第185話:『最強のバリアン・遊馬!』
遊馬:「人間は消して絶望しない!希望を持てば、必ずそれを超え、そして未来を掴む!」
ドン・サウザンド:「九十九遊馬!」
遊馬:「希望皇ビヨンド・ザ・ホープで夢幻大神官ヌメロニアス・ダイヤモンド・ヌメロニアと夢幻虚光神ヌメロニアス・ヌメロニアに攻撃!ホープ剣・ビヨンド・スラァァッシュッ!!」
ビヨンド・ザ・ホープが翼を大きく広げ、目を輝かせ気迫を溜める。
そして、ドン・サウザンドの最凶モンスター2体を粉砕した。
ドン・サウザンド
LP15000→0
ドン・サウザンド:「ぐわあああああああ!」
ドン・サウザンドのライフが0になった。
これで、世界は救われる。
第10OP『鏡のデュアル・イズム《petit milady》』
第185話:『最強のバリアン・遊馬!』
ドン・サウザンドが敗れたことに世界中の人々が喜んだ。
セイ:「やったよ!私たち助かったのよ!」
サチ:「よかった…」
嘘のようだった。ついさっきまで、世界の破滅が間近だったのに、それが何もなかったかのような感じだからだ。
嬉しいはずなのに、まだ現実を受けれていない。世界中のほとんどがそうだった。
カイゼル・サウザンド内部
鉄男:「よっしゃー!やったぁ!」
徳之助:「これで世界は救われたウラぁ!」
等々力:「とどのつまり、人類の勝利です!」
遊馬の同級生たちが大喜びする。
そんな中、シンディは目を瞑っていた。
そして、軽く笑った。どこかその笑みは悲しい表情にも見えた。
ゼアル状態の遊馬の身体が元に戻り、アストラルと分離する。
凌牙:「終わったのか…?」
遊馬:「あぁ、もう奴に戦う力はねえ」
遊馬は黒煙が上がり場所を見てそう呟く。
だが、黒煙の中から傷だらけのドン・サウザンドが姿を見せた。
息は荒れており、更に身体はもうすでに消えかけている。
ドン・サウザンド:「なぜだ…。なぜ、我が負ける…。我は世界を統一する神…。負けてはならぬのだ!」
ドン・サウザンドは、自分が負けたことを認めていなかった。
ドン・サウザンドが持っているアラクネーの宝玉、ヴィータのペンダント、血のデスリングが足元に落ちる。
ドン・サウザンド:「九十九遊馬…。貴様はなぜ、この世界で生きる。この世界をどこまで知っているのだ」
ドン・サウザンドは強い口調で、遊馬に聞いた。
遊馬:「どんな世界であれ、俺にとってこの多元世紀は思い出のある世界だ。お前と遭ったあの時から俺の運命は変わり、みんなの50年以上も離れる道を歩んでしまった。だが、そんな運命を背負う俺を、あの人達は受け止めてくれたんだ。だから、俺たちはあの人達に恩返ししなきゃいけねえんだ」
遊馬は掌を見てそう呟く。
ドン・サウザンド:「なぜ、あんな奴の下に付いていられる!何を隠しているのか知らない、あの男に!」
遊馬:「あんな奴…、遊戯さんのことか?」
遊馬は目を瞑り、ドン・サウザンドの問いに何を言うのか考える。
遊馬:「世界をどこまで知っているのか…、そして遊戯さん…。なるほど、そう言うことか。お前もそれなりに知っているようだな、多元世紀の歴史って奴を…。それを知るのが四大神王者だと認識しているようだが、俺は遊戯さんほど、この世界の秘密について知ることは少ない。いや、四大神王者全員がそれぞれ、この世界について知っていることが違う。遊戯さんが知らないこともある。逆に俺しか知らないことだってある。”特異点”や”スフィア”だからと言って、この世界を全て熟知している人なんてそういやしないさ」
遊馬の口から出た”特異点”と”スフィア”。
特異点とは、次元振動を引き起こし、多元世紀を作り上げたと思われる人々を示す。
スフィアは、多元世紀や世界各地、歴史に秘められた全ての謎の真実を知る者を指し示す。
四大神王者は、これら2つに該当する人物でもある。
だから、世界の”謎”について、四大神王者はそれなりに知っているが4人それぞれ知っていること異なるのだ。
ドン・サウザンド:「世界の謎が解けないから、誰かが世界を統一しなければいけないのだ!」
ドン・サウザンドの身体の消滅速度が早まる。
ドン・サウザンド:「この世界だけではない!アストラル世界も、バリアン世界も、他の世界も全てを支配してこそ、本当の平和が望まれる!」
ドン・サウザンドが口にする幻想の世界は、ドン・サウザンドが中心になってこその話しだ。
しかし、今の映像を見ている、遊星と南羽剣一は呆れたような表情で映像を見ていた。
ドン・サウザンド:「そう!我こそが、世界を統一するのにふさわしい存在!我は神!全ての世界を統一する神、ドン・サウザンドだぁ!」
ドン・サウザンドは最後にそう言い残し、消滅した。
ドン・サウザンドが消滅したことで、カイゼル・サウザンドが機能を停止した。
雲行きの怪しかった空も元に戻っていく。
そして、世界中に流されていた映像が途切れた。
璃緒:「これで終わったのね…」
Ⅳ:「あぁ」
ドン・サウザンドは消滅した。
もう戦いは終わったのだ。
小鳥:「!」
何かが光っている…。小鳥は横をチラッと見ると、シンディの身体が光っていたのだ。
小鳥:「シンディ…!あなた!」
シンディ:「ドン・サウザンドが消えたのよ。あいつによってバリアンになった私だって消えるに決まっているわ」
そう、ドン・サウザンドが消滅したということは、ドン・サウザンドによってバリアンとして生まれ変わったシンディも消える存在。シンディは最初からそれを理解した上で、ドン・サウザンドを裏切り、小鳥たちに付いていたのだ。
カイト:「最初からそれを知っていて、俺たちに付いて来ていたのか?」
シンディ:「ドン・サウザンドは許されない存在だった。それは私自身も同じ気持ちだから…。これが定めってやつね…」
シンディは小鳥の方をチラッと見ると、涙目を見せていた。
シンディ:「泣かないでよ、小鳥。そんな顔されたら、お別れしづらいでしょ」
シンディは笑った表情でそう言った。
小鳥:「でも…」
シンディ:「…私、バリアンになってよかったと思っているわ」
小鳥:「え…」
シンディ:「バリアンになってなかったら、あなたたちと出会えることはなかったから…」
小鳥:「シンディ…」
シンディ:「もし私が生まれ変わったら、また会ってくれるかしら?」
シンディも涙を少し流した。
小鳥:「えぇ、必ず会うわ」
笑顔で小鳥はそう言った。
小鳥がそう言ってくれたことに、シンディは嬉しかった。
涙が止まらない。
シンディ:「ありがとう…。じゃあね、小鳥…」
シンディはそう言い残し消滅した。
小鳥:『私の方こそありがとう…。シンディ』
小鳥は涙を拭いた。
クロノス:「これで終わったノーね…」
ナポレオン:「でアール…」
戦いが終わったことに、皆が安心する。
すると、遊馬がドン・サウザンドが立っていた場所に立っていた。
そこには、ドン・サウザンドが残した血のデスリングやアラクネーの宝玉、ヴィータのペンダントが落ちていた。
右京:「遊馬くん…?」
どこか遊馬の様子がおかしいことに右京が気付く。
戦いが終わり避難していたネオコーポレーションシティの人々が街に戻ろうとする。
しかし、その時、上空に浮かぶカイゼル・サウザンドが再び強い輝きを放つ。
さっきまでとは違う。赤く、白く、そしてオレンジ色にカイゼル・サウザンドは輝いていた。
百々原:「なんだ…!?」
元帥室の窓からカイゼル・サウザンドを見ていた百々原が驚く。
その頃、カイゼル・サウザンド内部も様子がおかしかった。
地面が揺れているのだ。
カイト:「これは…!」
Ⅴ:「カイゼル・サウザンドの動きが止まっていない…!」
Ⅳ:「どういうことだ?俺たちはドン・サウザンドを倒したんじゃないのか!?」
突然の揺れに、皆が動揺する。
遊馬:「まだ戦いは終わりではないってことだ」
皆から少し離れた場所で、遊馬はそう呟いた。
一馬:「遊馬…?」
実の息子の様子がおかしい。一馬は遊馬に近づこうとする。
遊馬:「俺に近寄るな!父ちゃん!」
大きな声で、遊馬はそう叫んだ。
一馬は突然の怒鳴り声に驚いた。
アストラル:『遊馬…』
エリファス:『…』
こうなってしまったか…。2人はそう思った。
そして、皆の周りの風景が突然変化した。
アストラル世界とバリアン世界の風景が入り混じった空間が、そこに広がった。
未来:「な、何…!?」
ミザエル:「これは…!」
周りに広がった風景を見て、何が起きたのか理解できない者達。
そして、遊馬の身体が紫色に輝き始めた。
ゼアルの姿ではない。遊馬がドン・サウザンドから与えられたバリアンの力。
遊馬はその力を使い、バリアンの姿へとなったのだ。
凌牙:「遊馬…、お前…」
遊馬:「ドン・サウザンドは敗れた。だが、これからが、真の最後の戦いだ」
バリアン体遊馬。その目は冷たく、家族や仲間たちには決して見せることのない目つきだった。
フロンティア西支部
カイゼル・サウザンド内部の映像が映ることはもうないだろう。
戦いは終わったのだから。
だが、遊星は知っていた。まだ戦いは残っていることに…。
遊星:『ここからは、遊馬、お前自身が引き起こす戦いだ…』
遊星は心の中でそう呟いた。
その表情は心配そうな顔だった。
明里:「ゆ、遊馬…」
小鳥:「何をしてるの?遊馬。戦いは終わったはずじゃ!」
小鳥が遊馬に手を伸ばそうとする。
しかし、遊馬はその怖い目つきで小鳥を睨み、小鳥は手を引っ込めてしまう。
初めて見る遊馬の表情。姿が違う所為か。いや、それでも、目の前にいるのが遊馬であることに変わりはない。
なのに、遊馬をここまで恐れるのは初めてだった。
ゴーシュ:「どういうつもりだ?遊馬!」
状況が理解できないゴーシュは怒鳴り声を上げて遊馬に聞いた。
遊馬:「この世にバリアンの力がある以上、ドン・サウザンドは再び復活するからな。ドン・サウザンドによって生まれ変わったシンディは消滅したみたいだが、俺はそうはならなかった…。なら、俺自身が、このバリアンの力を何とかしなければいけない…。しかし、バリアンの力を自ら捨てることはできないみたいだからな。なら、ドン・サウザンドに変わって、世界を支配することを俺は決めた」
遊馬は右手にアラクネーの宝玉、ヴィータのペンダント、血のデスリングを持ち、それを強く握る。
カイト:「何ッ!?」
ハルト:「何を言ってるの?遊馬が世界を支配するって…?」
アンナ:「遊馬、冗談にしては大きいぜ」
遊馬の言っていることが理解できない。皆、そう思っていた。
アストラル:『これは冗談ではない…』
一馬:「アストラル…」
エリファス:『これは、遊馬が選んだ道。運命が選んだ道なのだ』
アストラル:『ドン・サウザンドが敗れれば、世界の滅亡は終わる。しかし、バリアンの力が消えなければ、それらが原初となりドン・サウザンドは再び蘇る。我々はそう分析してきた』
エリファス:『ドン・サウザンドが消えれば、遊馬の中に眠るバリアンの力も消えると思っていたが、そうはならなかった。おそらく、ドン・サウザンドがかつてナッシュに特別なバリアンの力を与えたのと同じ、遊馬にも特別な力を与えたのだろう』
遊馬:「俺は俺自身でバリアンの力を捨て去ることはできない。だから、この道を選んだ」
遊馬の意志は強かった。悪役になろうと、やるべきことをやろうとしているのだから。
凌牙:「遊馬!なぜ、お前が!?」
遊馬:「俺がこうなることは、遊戯さんを含む四大神王者全員が知っている。遊戯さんたちにも、全てを話し俺にやるべきことに文句は言わなかった…」
結衣:「パパも、止めなかったってこと?」
遊馬:「そうだ。キミに任せる。遊戯さんはそう言ってくれた」
遊馬は目を瞑ってそう言った。
モクバ:「あの遊戯が止めなかったのかよ…」
海馬:「…」
腕を組み、海馬は真剣な眼差しで遊馬を見る。
海馬:『遊戯…、貴様は、この男に何を賭けた…』
海馬は遊馬を見て、そう呟いた。
遊馬は、凌牙を見る。
遊馬:「あの時とは真逆だ。俺と戦え!シャーク!」
遊馬は凌牙を指さしてそう言った。
凌牙:「くっ」
遊馬:「俺が勝てば、世界は破滅する。だが、お前が勝てば世界は救われ、俺は消滅する」
凌牙:「自分を犠牲にしているつもりか?遊馬」
遊馬:「…」
凌牙:「答えろ!遊馬!」
大きな声で凌牙は問いかけた。
遊馬:「これは俺が選んだ道だ。犠牲になったつもりはない!」
遊馬は殺気を解き放つ。
凌牙は拳を握り占める。
凌牙:「俺が、お前を止める!お前を倒して、世界を救う!」
遊馬:『そうだ…、それでいい…』
遊馬は心の中で呟いた。
遊馬:「アストラル、エリファス。ここまで付き合ってくれたこと感謝するぜ。後は俺の仕事だ。下がってくれ」
遊馬は、アストラルとエリファスにそう言った。
エリファス:『分かった…』
アストラル:『あとは君に任せる…』
2人は、その場から離れた。
遊馬:「行くぜ!シャーク!」
凌牙:「来い!遊馬!」
「「デュエル!!」」
仲間だったのに…。共に戦ってきた仲間だったのに…。何か物凄く裏切られたような、この気持ちに凌牙は少し怒りを覚えていた。
このデュエルは、物凄く過酷なデュエルになるだろう。
小鳥:「やめて!遊馬!こんなの信じられないよ!」
恋人の遊馬が敵に回った。小鳥の涙は止まらない。
明里:「小鳥ちゃん…」
ベクター:「なぜ、こうなちまった…」
アリト:「あいつは最初からこうなることを知っていたみたいだな…」
ギラグ:「最初から覚悟してんだろう。俺たちと戦うことを…」
ドルべ:「全てはバリアンとなってしまった宿命…というわけか…」
昔自分たちがバリアンだったことを思い出すドルべたちであった。
両者
LP4000
1ターン
凌牙:「先行はもらうぞ!俺のターン、ドロー!」
凌牙がデッキからカードをドローする。
凌牙:「俺は”ビッグ・ジョーズ”を召喚!」
凌牙の場に機械の顎を持つジョーズが現れる。
ビッグ・ジョーズ
レベル3 攻撃力1800
凌牙:「更に”ブルー・オクトパス”を特殊召喚!」
その名の通り、青いタコの姿をしたモンスターが現れる。
ブルー・オクトパス
レベル3 攻撃力900
凌牙:「このカードは自分フィールド上に、レベル3の水属性モンスターが召喚に成功したとき、手札から特殊召喚できる。俺はビッグ・ジョーズとブルー・オクトパスでオーバーレイ!」
フィールド上に異次元の渦が現れる。
凌牙:「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」
異次元の渦に2体のモンスターの魂が吸い取られ爆発し、新たなモンスターを呼び覚ます。
凌牙:「漆黒の闇より出でし赤き槍!”ブラック・レイ・ランサー”!」
凌牙のエースモンスター、”ブラック・レイ・ランサー”が現れた。
ブラック・レイ・ランサー
ランク3 攻撃力2100
凌牙:「俺はカードを1枚セットし、ターンエンド」
凌牙のターンが終了した。
2ターン
両者
LP4000
遊馬:「俺のターン!ドロー!」
遊馬がデッキから1枚ドローする。
遊馬:『悪いな、シャーク。付き合わせちまって…。だが、こうするしかないんだ。俺と言う存在を消すためには…』
遊馬の右手の甲にNo.1のエースのマークが浮かび出る。
その輝きに、反応するかのように、凌牙の持つNo.3のエースのマーク、いやNo.2からNo.8のエースのマークが全て輝く。
カイト:「これは…」
小鳥:「感じる…、遊馬の覚悟が…」
ドルべ:「遊馬は本気だ…」
アンナ:「本気で俺たちを…」
Ⅴ:「敵として認識している…!」
ゴーシュ:「くっ、遊馬…」
エースのマークを持つ者達にはわかる。遊馬の思いが…。
凌牙:「お前は、何を考えているんだ…」
小さい声で凌牙が呟いた。
遊馬:「行くぞ、シャーク!俺は手札の”マツボックル”を墓地へ送り、”コロボックリ”を特殊召喚!」
遊馬の場に、どんぐりの身体を持つ小さいモンスターが現れる。
コロボックリ
レベル1 守備力400
遊馬:「更に、マツボックルがコロボックリの効果で墓地へ送られたとき、マツボックルは墓地から特殊召喚できる!」
たった今、コストで墓地へ送った松ぼっくりを象る帽子を被ったモンスターが復活する。
マツボックル
レベル1 守備力200
遊馬:「マジックカード”フリーダム・オーバーレイユニット”を発動!1~10までのレベル1つ宣言し、エンドフェイズまで自分フィールドに存在するすべてモンスターのレベルを宣言したレベルの数値にする。俺はレベル4を宣言!」
2体のモンスターのレベルが4になる。
コロボックリ
レベル1→4
マツボックル
レベル1→4
ドロワ:「レベル4のモンスターが2体…」
闇川:「来るか、遊馬のエースモンスター…」
六十郎:「希望皇ホープが…!」
誰もが希望皇ホープが召喚されると予想した。
しかし、今の遊馬はバリアン。遊馬は心の中でホープを召喚するつもりは全然なかった。
遊馬:「俺はレベル4となったコロボックリとマツボックルでオーバーレイ!」
フィールドに現れた異次元の渦に2体のモンスターの魂が吸い込まれる。
遊馬:「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」
異次元の渦が爆発し、エクシーズモンスターが姿を現す。
凌牙:「こ、こいつは…」
現れたモンスターの影に、凌牙は目を丸くする。
遊馬:「現れろ!No.101!満たされぬ魂を乗せた方舟よ。光届かぬ深淵より浮上せよ!”S・H・Ark Knight(サイレント・オナーズ・アーク・ナイト)!」
かつて凌牙もといナッシュが使用したナンバーズが姿を見せた。
No.101S・H・Ark Knight
ランク4 攻撃力2100
ギラグ:「サイレント・オナーズ・アーク・ナイト…!」
Ⅳ:「かつて、凌牙がバリアンだったときに使っていたオーバーハンドレットナンバーズ!」
現れたナンバーズを見て、かつての記憶を思い出すⅣたち。
その中でも、こいつを使用していた凌牙本人が、嫌な記憶を思い出してしまった。
自分がバリアンだったときの記憶。世界を滅ぼそうと遊馬とデュエルしたとき…。
あらゆる昔の記憶が、蘇る。
遊馬:「フリーダム・オーバーレイユニットで、レベルが変化したモンスターをエクシーズ素材に、特殊召喚したエクシーズモンスターは、このターン攻撃することはできない。だが、このカードを使えば、それは無意味になる」
遊馬は手札から1枚のカードを場に出した。
遊馬:「手札から”RUM(ランク・アップ・マジック)-リミテッド・バリアンズ・フォース”を発動!」
遊馬が発動したカードはエクシーズモンスターを進化させるマジックカードだった。
双六:「ランクアップマジック…!」
三沢:「今、彼の場にいるエクシーズモンスターは…!」
遊馬の場にいるエクシーズモンスターはサイレント・オナーズ・アーク・ナイトのみ。
凌牙:「あいつを出すつもりか…!」
遊馬:「このカードは、自分フィールド上のランク4のエクシーズモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターよりランクが1つ高い”CNo(カオスナンバーズ).”と名のついたモンスター1体を、選択した自分のモンスターをエクシーズ素材にし、エクシーズ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する!」
フィールド頭上に黒い異次元の渦が現れる。
遊馬:「俺はサイレント・オナーズ・アーク・ナイトでオーバーレイネットワークを再構築!カオスエクシーズ・チェンジ!」
サイレント・オナーズ・アーク・ナイトが混沌の力を得て、姿を現す。
遊馬:「現れろ、CNo.101!満たされぬ魂の守護者よ、暗黒の騎士となって光を砕け!”S・H・Dark・Knight(サイレント・オナーズ・ダーク・ナイト)”!」
漆黒に包まれし騎士が、槍を振り回し現れる。
CNo.101S・H・Dark・Knight
ランク5 攻撃力2800
凌牙:「!」
小鳥:「サイレント・オナーズ・ダーク・ナイト…」
璃緒:「かつて、ナッシュが使用していた最強のエクシーズモンスター…!」
エド:「このモンスターから漂う殺気のようなものは、普通じゃない…」
オブライエン:「どこか、ドン・サウザンドの力を感じる…」
それもそのはず。オーバーハンドレットナンバーズは全て、ドン・サウザンドによって生み出されたもの。モンスターからドン・サウザンドの力を感じてもおかしくはない。
遊馬:「サイレント・オナーズ・ダーク・ナイトで、ブラック・レイ・ランサーに攻撃!」
その黒き槍が、ブラック・レイ・ランサーに迫る。
凌牙:「リバースカード発動!”ポセイドン・ウェーブ”!相手モンスターの攻撃宣言時に発動し、その攻撃を無効にする」
サイレント・オナーズ・ダーク・ナイトの攻撃が止められた。
凌牙:「そして、自分フィールド上に魚族・海竜族・水族モンスターが表側表示で存在する場合、その数×800ポイントダメージを相手ライフに与える」
遊馬:「だがシャーク、お前の場にいるのは獣戦士族のブラック・レイ・ランサーのみ。よって、効果ダメージはない」
凌牙:「くっ」
効果ダメージの発生はない。少し悔しいが、攻撃を止められただけでも良しとした。
遊馬:「カードを1枚セットし、ターンエンドだ」
遊馬のターンが終了した。
凌牙:「…」
遊馬:「かつて使用していたモンスターに会えて感動しているのか?シャーク」
凌牙:「遊馬…、お前、俺に嫌がらせでもしているのか?そいつを出して、思い出させたくないことを思い出しちまったぞ」
遊馬:「そいつは悪いな。だが、別に嫌がらせをしているつもりはねえ。今のこいつは、俺の力だからな」
遊馬は親指を立てて、サイレント・オナーズ・ダーク・ナイトは俺のモンスターだということを宣言する。
凌牙:「くっ…」
3ターン
両者
LP4000
凌牙:「俺のターン!」
凌牙がデッキからカードをドローする。
凌牙:『サイレント・オナーズ・ダーク・ナイトは、1ターンに1度、相手フィールド上の特殊召喚されたモンスター1体を、サイレント・オナーズ・ダーク・ナイトのオーバーレイユニットとして吸収する効果を持っている。迂闊に特殊召喚すれば、まず奴のオーバーレイユニットとして吸収されてしまう』
慎重にサイレント・オナーズ・ダーク・ナイトの効果を分析する凌牙。
だが、サイレント・オナーズ・ダーク・ナイトの効果はこれだけじゃない。
凌牙:『それだけじゃない。オーバーレイユニットを持つあいつを破壊すれば、墓地からサイレント・オナーズ・アーク・ナイトを特殊召喚し、サイレント・オナーズ・ダーク・ナイトの元々の攻撃力2800のライフを、あいつは回復する。破壊する場合はまずオーバーレイユニットを何とか減らさなければいけない…』
モンスターの復活効果とライフ回復効果の同時発動は、阻止したいところだ、と凌牙は思っていた。
慎重な凌牙だが、それは表情に現れていた。
遊馬:「かつて、お前が使っていた最強オーバーハンドレット・カオスナンバーズだ。慎重になるのも無理はねえ。だが、怯えてじゃあ、苦しむだけだぜ!」
挑発させるような口調で話しかけてきた遊馬の言葉を聞いて、凌牙は切り返した。
凌牙:『あいつの言う通りだ。サイレント・オナーズ・アーク・ナイト、そしてサイレント・オナーズ・ダーク・ナイト。こいつらが来るとなれば、他のカードも…』
凌牙は初めて引いたカードを見て、デュエルを続行する。
凌牙:「俺は”ドリル・バーニカル”を召喚!」
ドリルの甲羅を持つ甲殻類系のモンスターが現れる。
ドリル・バーニカル
レベル3 攻撃力300
凌牙:「更に、ドリル・バーニカルをリリースし、”シャークラーケン”を手札から特殊召喚!」
鮫とクラーケンが一体化したモンスターが凌牙の場に現れた。
シャークラーケン
レベル6 攻撃力2400
シャークラーケンは水属性モンスターをリリースすれば特殊召喚できるモンスターだ。
しかし、特殊召喚ということは、奴のモンスター効果が発動される。
遊馬:「サイレント・オナーズ・ダーク・ナイトの効果発動!1ターンに1度、相手フィールド上の特殊召喚されたモンスター1体を、サイレント・オナーズ・ダーク・ナイトのオーバーレイユニットとして吸収する!ダーク・ソウル・ローバー!!」
サイレント・オナーズ・ダーク・ナイトが、シャークラーケンを吸収し、オーバーレイユニットにする。
しかし、これが凌牙の狙いだった。
凌牙:「この瞬間、手札から速攻魔法”ポイズン・リーダー”を発動!」
凌牙は手札から速攻魔法を発動した。
凌牙:「相手フィールド上に存在するエクシーズモンスターのオーバーレイユニットが増えたとき、増えた分のオーバーレイユニットを取り除き、取り除いたモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。そして、取り除かれたオーバーレイユニット1つにつき、取り除かれたモンスターの攻撃力を1000ポイント下げる!」
遊馬:「サイレント・オナーズ・ダーク・ナイトのオーバーレイユニットは1つ増えた…。自分のモンスターを取り戻すつもりか…」
凌牙:「あぁ、返してもらうぞ、シャークラーケンをな!」
凌牙の場に吸収されてしまったシャークラーケンが戻ってくる。
シャークラーケン
攻撃力2400
そして、サイレント・オナーズ・ダーク・ナイトの攻撃力が1000ポイントダウンする。
CNo.101S・H・Dark・Knight
攻撃力2800→1800
ドラガン:「攻撃力1800、これならブラック・レイ・ランサーであのモンスターを倒せる!」
ドラガンがガッツポーズをしてそう言った。
凌牙:「行くぞ!ブラック・レイ・ランサーでサイレント・オナーズ・ダーク・ナイトに攻撃!」
ブラック・レイ・ランサーが赤き槍で、サイレント・オナーズ・ダーク・ナイトの胸元を突き刺した。
遊馬:「っ!」
遊馬
LP4000→3700
遊馬:「この瞬間、サイレント・オナーズ・ダーク・ナイトの効果発動!オーバーレイユニットを持つこのカードが破壊されたとき、墓地に存在するサイレント・オナーズ・アーク・ナイトを特殊召喚し、サイレント・オナーズ・ダーク・ナイトの元々の攻撃力2800のライフを回復する!リターン・フロム・リンボ!」
異次元の渦が現れ、その中からサイレント・オナーズ・アーク・ナイトが現れ、遊馬のライフが回復する。
No.101S・H・Ark Knight
守備力1000
遊馬
LP3700→6500
凌牙:「例えサイレント・オナーズ・アーク・ナイトを復活させたところで、俺にはまだシャークラーケンの攻撃が残っている!行け!シャークラーケン!」
シャークラーケンがサイレント・オナーズ・アーク・ナイトを木端微塵に破壊した。
遊馬:「手始めにこいつらを出してみたが、躊躇いもなく破壊してきたな」
凌牙:「どういう意味だ?」
遊馬:「フッ、思い出話しようって言ってんだよ!」
遊馬から冷たい風圧が吹き荒れる。
遊馬:「トラップ発動!”エクシーズ・アトリビュート・シフト”!自分フィールド上に存在するエクシーズモンスターが破壊されたとき、破壊されたモンスターと同じ属性のエクシーズモンスターをエクストラデッキから特殊召喚する!」
サイレント・オナーズ・アーク・ナイトの残骸が、青い異次元の渦を生成した。
凌牙:「サイレント・オナーズ・アーク・ナイトは水属性。水属性エクシーズモンスターを召喚するつもりか…!」
遊馬:「その通りだぜ。そして俺が呼び出すのはこいつだ!」
青い異次元の渦よりモンスターの影が現れる。
遊馬:「現れろ!No.103!冷たき華麗なる令嬢よ。今こそ、その姿を現せ!”神葬零嬢ラグナ・ゼロ”!!」
No.103神葬零嬢ラグナ・ゼロ
ランク4 攻撃力2400
サイレント・オナーズ・アーク・ナイトに変わって2体目のオーバーハンドレットナンバーズが姿を現した。
璃緒:「ラ、ラグナ・ゼロ…!」
凌牙:「遊馬…、お前…」
遊馬の場にモンスターが途切れることはない。
なぜなら、遊馬は7体のオーバーハンドレットナンバーズを所持しているのだから…!
第11ED『切望のフリージア《DaizyStripper》』
次回予告
ナレーション:サイレント・オナーズ・アーク・ナイトに、ラグナ・ゼロ…。
かつて、バリアン七皇が使用していたドン・サウザンドによって生み出されたオーバーハンドレットナンバーズを次々と呼び出す遊馬。
それに苦戦する凌牙だが、チャンスを伺い逆転を狙う!
遊馬の強襲が止まることはない!
小鳥:次回、遊戯王5DXAL「絶望の予兆!オーバーハンドレットナンバーズの強襲!」
小鳥:「遊馬、あなたが見る世界って…」
遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!
凌牙:「オーバーハンドレットナンバーズがカオス化した姿、それが”オーバーハンドレット・カオスナンバーズ”だ。かつて、俺はこの力を使ってバリアン世界を復活させようとしたが、今回は遊馬がこれを使って世界を支配しようとしている」