第179話:『ドン・サウザンドの本体!遂に、光臨!』
ネオコーポレーションシティの空に浮かぶカイゼル・サウザンドに赤や青、緑色のラインが刻印され輝き出す。
更に、空が血のように赤く染められる。
フロンティア本部
ビルの屋上に斎王や春たちと共にいる元帥である百々原が直感した。
人類滅亡の危機が、もうすぐ側まで迫っていることに…。
百々原:「急げ…、みんな…」
百々原はカイゼル・サウザンド内に潜入した遊馬達を信じ呟いた。
急に空の色が変化し、住民たちは動揺し、混乱状態になる者たちもいた。
更に、空が赤くなったのはネオコーポレーションシティ上空だけではなかった。
ネオコーポレーションシティを中心に、日本全体を空が赤く染め上げる。
フロンティア西支部があるラクオウジシティ
この街の空も一気に赤く染められた。
そして、フロンティア西支部の建物の屋上に一人立つ不動遊星が空を見上げていた。
遊星:「世界滅亡のカウントダウンか…」
遊星はそう呟いた。
第10OP『鏡のデュアル・イズム《petit milady》』
第179話:『ドン・サウザンドの本体!遂に、光臨!』
既に目的地である大樹に到着し、洞窟内に潜入していたカイトやゴーシュ、アンナたち。
突然の揺れに驚き、ほとんどの者たちがしゃがみ込んでいた。
ライトを持っていた者達もほとんどそれを落としてしまい、周りが見えなくなっていた。
レイ:「きゃあ!」
ヴァロン:「くっ、なんだ…!?この揺れは!」
カイト:「くっ、オービタル!」
オービタル:『カシコマリ!ライトアップ!!』
カイトの命令を聞いて、オービタル7は目を光らせ、周りを照らす。
ゴーシュ:「みんな、下手に動くな!」
洞窟の中にいるため、いつ天井が落ちてきてもおかしくはない。
だから、孤立させないためにもゴーシュは、みんなにそう言った。
しばらくすると、地震は収まってきた。
ラリー:「止まった…」
地震が止まり、みんなは立ち上がる。
落としてしまったライトを手に取るアメルダ。
アメルダ:「一体、何が起きたんだ?」
ラフェール:「わからないが、何か不吉な予感がする」
アメルダ:「おいおい、アンタがそう言うこと言うとろくなことが起きないからやめてくれ」
ラフェールの感は、いつもほとんど当たる。
だから、不吉なんて言葉を使うと、それが当たりそうで怖い。
チャーリー:「このカイゼル・サウザンド自体に、何かあったのかもな」
等々力:「それはとどのつまり、ドン・サウザンドが世界を破壊するための最終段階に入ったということでしょうか?」
クロウ:「おいおい、冗談じゃねえぞ!ここまで来て、世界を破壊されてたまるかよ!」
エド:「急ぐぞ。カイト!」
エドがそう言うと、カイトは頷き、広くて長い洞窟を再び歩き出す。
ラクオウジシティ
街中が騒ぎだし、混乱が始まる。
街の警察が動き、混乱を防ぐ。
そして、ラクオウジシティにあるフロンティア西支部。
そこには、四大神王者の1人スターリングこと不動遊星がいた。
赤く染まった空を見上げ、遊星は世界の最後が近いことを予兆した。
不動博士:「ここにいたのか?」
遊星が立つ基地の屋上に、父の不動博士が来た。
遊星:「父さん」
不動博士:「世界の終わりが近づいているようだな」
不動博士は遊星の横に立つ。
不動博士:「いいのか?本当にいかなくて」
先ほど、基地の室内で家族と一緒に、テレビを見ていたときも同じような質問を受けた。
遊星は博士の問いにすぐに答えはしなかった。
しかし、何か色々考えていたのか、博士の方を振り向き、遊星はこう答えた。
遊星:「これは、遊馬のケジメだ。四大神王者は、この件に手出しはしない」
遊星ははっきりとそう言った。
だが、更に言葉を続けた。
遊星:「だが、あいつには俺が見込んでいる頼れる仲間たちがいる。だから、俺は遊馬と、そして仲間たちを信じるだけだ」
遊星はそう言って、不動博士の横を通り過ぎ、この場を後にする。
不動博士:「フッ、絆と言う奴か。相変わらずだな」
遊星の背中を見て、父である不動博士はそう言った。
カイト、ゴーシュ、アンナルート
洞窟を暫く歩いていると、広場のような場所に出てきた。
辺りは真っ暗なため、ライトを照らして見渡すが、かなり広そうな場所と見える。
翔:「ここで行き止まり?」
全体を見渡すが、自分たちが入ってきた場所以外、特に道はない。
徳之助:「遊馬は、ここにドン・サウザンドがいるかもって言ってたけど」
矢薙:「どうやら感が外れたようじゃな」
ここにドン・サウザンドはいない…。誰もがそう思っていた。
しかし…
闇川:『なんだ…、この異様な空気は…』
闇川は気付いていた、この広場のような場所に入ってから、何か思い空気を感じてきたことに…。
六十郎:「皆、辺りを警戒しろ」
六十郎は”カオス・ソルジャー”のデュエルギア”伝説剣”を握る。
タカ:「警戒しろって…」
ブリッツ:「おいおい、ここにはドン・サウザンドはいないんだろ?なら、すぐにここを出て、別の場所に…」
ここにドン・サウザンドがいないと思い込んでいるブリッツ。
だが、その言葉は、たった今、間違いだと本人は気付く。
「ヌメロン・ネットワーク…」
何者かの声が、辺りに響いた。
すると、突然天井が赤く輝き、周りは断崖絶壁と言えるほどの崖が沢山立ち並んでいた。
その一つに、カイトたちは立っていた。
ヨハン:「な、なんだ…!?」
藤原:「僕たち、最初からこんな場所に立っていたのかい…!」
藤原は崖の下を見てそう言った。
ミザエル:「いや、これはヌメロン・ネットワークで作られた仮想空間だ」
ミザエルは、周りを見てそう呟く。
氷室:「ヌメロン・ネットワーク?」
ジム:「何だ?それは」
ヌメロン・ネットワークが何なのか理解できないでいたジムたち。
カイト:「ヌメロン・ネットワークが何なのか、それは奴に聞くことだ」
カイトが目の前を見つめていた。
カイトの目線の先には、宙に浮くある者の姿があった。
哲平:「遂に、お出ましか」
怖れているのか、哲平は冷汗を垂らす。
そして、ハルトは息を飲む。
カイト:「ドン・サウザンド…」
そう、遂に現れた。この事態を引き起こした張本人ドン・サウザンドである。
ゴーシュ:「本体か?また分身とかないよな?」
自分たちの前にいるのがまたドン・サウザンドの偽者ではないかと疑うゴーシュ。
だが、カイトやミザエルにはわかる。今、自分たちの目の前にいるのはドン・サウザンド本体だということに…。
ドン・サウザンド:「我も、無限に分身が作れるわけではない。それに作るには、相当時間を要する」
カイト:「既に戦わせる分身はいないということか。なら、お前を倒して、世界を救う!」
カイトがギャラクシー・サーベルを握る。
ドン・サウザンド:「ベクターが予想外のことを仕出かしたことで予定より、遅くなってしまったが、世界滅亡の時間は既に迫っている」
ゴーシュ:「それじゃあ、さっきの地震はお前の仕業ということか」
アンナ:「世界滅亡なんてぜってーさせねえ!覚悟しろ!ドン・サウザンド!」
アンナは右手の甲にNo.6のエースのマークを輝かせる。
そして、ゴーシュもNo.8のエースのマークが輝く。
カイト:「お前を倒し、世界を救う!それが俺たちの目的だ!」
カイトもNo.4のエースのマークを右手の甲に浮かばせる。
ドン・サウザンド:「フッ、我の野望を止めるために九十九遊馬が選んだ戦士たちよ。お前たちが束になろうと、我を倒すことはできない」
ドン・サウザンドが右手を突き出す。
マリク:「数はこっちの方が上だ。一気に仕掛けよう」
マリクたちもデュエルギアを握ろうとする。
ドン・サウザンド:「無駄だ。このヌメロン・ネットワークの中で、人間は動けない」
ドン・サウザンドがそう言うと、ほとんどの者たちが、その場から動けなくなってしまった。
リシド:「何…!?」
亮:「身体が…」
御伽:「動かない…」
つい数秒前までは何もなかったのに、突然身体が動かなくなったことに動揺する一行たち。
しかし、そんな中動ける者たちもいた。
アンナ:「おい、みんなどうしちまったんだよ!」
アンナ、ゴーシュ、カイトの3人だけは身体が動かせる状態だった。
ドロワ:「身体が動かないのだ…」
特に何かに縛られているわけではない。
金縛りのように、身体が全然動かないことをカイトたちに訴える。
ドン・サウザンド:「ヌメロンコードの力を受け継いだヌメロン・ネットワークは、自我を持つすべての生物の動きを無効化する。発動者である我以外だけは、この領域にいても動ける。しかし、その様子だと、エースのマークはヌメロンコードの力を無効化する能力があるようだな」
カイトとゴーシュ、アンナを見て、ドン・サウザンドはそう分析した。
ゴーシュ:「エースのマークを持つ俺たち以外、全員の動きが封じられたということか」
アンナ:「数で攻めるつもりだったが、こんな布石があったとはな」
カイト:「くっ、なら俺たちで攻めるだけだ!」
カイトたち3人はそれぞれ右手の甲に浮かぶエースのマークを輝かせ、デュエルギアを握る。
ドン・サウザンド:「お前たち如きが我を止められると?笑わせてくれる!」
ドン・サウザンドの背後に、”CNo.1000 夢幻虚神ヌメロニアス”が現れ、ヌメロニアスはドン・サウザンド専用の大剣デュエルギア”イマジナリー・ヌメロニア”となり、ドン・サウザンドに握られる。
ドン・サウザンドの殺気は、周りに展開されるヌメロン・ネットワークに共鳴していた。
至るところで、ピカピカと輝き出す。
アンナ:『これが、ドン・サウザンドの殺気…。手の震えが、止まらねえ…』
アンナは”暴走特急ロケット・アロー”の槍タイプのデュエルギア”ラーゼン・ゲイボルグ”を握っていたが、その手がずっと震えていた。
闇川:「くそっ…、敵は目の前にいるというのに、身体が動かないとは…」
六十郎:「なんという屈辱だ…!」
無理矢理身体を動かそうとするも、全然動かない闇川たち。
オービタル:『キノウ…テイシ…』
ロボットであるおーオービタル7も、ドン・サウザンドの殺気とヌメロン・ネットワークの力に耐え切れず、機能を停止した。
ハルト:「機会であるオービタルにも影響を及ぼすなんて…」
ラフェール:「やはり、バリアン世界の神と言われているだけのことはあるか…!」
ドン・サウザンドの力がケタ違いだと改めて実感するラフェール。
初めて勝つことができないかもしれないと思ったかもしれない。
ゴーシュ:「どうする?カイト?作戦とかあるのか?」
カイト:「用意していたら、とっくに話している」
ゴーシュ:「だよな。じゃあ、どうする?せめて遊馬達が来るのを待つか?」
アンナ:「ドン・サウザンドがそれを待ってくれるとは思わねえけどな」
カイト:「今は、全力で立ち向かう。そして、後へとつなぐ」
カイトはギャラクシー・サーベルを握り占める。
ゴーシュ:「遊馬達が来るまでの、時間稼ぎと言うわけか。確かに、あいつのことをよく知る人物は、遊馬、そして凌牙ぐらいだからな」
ゴーシュはクサナギブレードを握り、ドン・サウザンドを見つめる。
その瞬間、ドン・サウザンドと目が合い、奴から放たれる殺意に、ゴーシュは身体を震わせる。
ゴーシュ:『やっぱ、半端ねえぜ』
ゴーシュは額から汗を流す。
カイト:「怖いなら、下がってもいいんだぞ」
2人が怯えていることに気付くカイトがそう言った。
ゴーシュ:「誰が怯えているって?」
アンナ:「お前だけ戦わせないぜ、カイト」
恐怖心はある。だが、今は怖いといって戦えないと言っている場合ではない。
戦わなければ、後ろにいるみんなが殺される。
いや、それ以前に世界が滅亡される。それだけはあってはならない。
だから、ゴーシュもアンナも、そしてカイトも強く戦うことを誓う!
ドン・サウザンド:「かつての九十九遊馬を思い出す。奴が、我に立ち向かってきたときもそんな目をしていたな」
ドン・サウザンドは手に持つ大剣をカイトたちに向ける。
ドン・サウザンド:「来るがいいエースのマークに選ばれし人間共よ!このバリアンの神、いや世界の神となるドン・サウザンドが相手をしてくれる!」
カイト:「お前如きが世界の神を名乗ってもらっては困るな」
ゴーシュ:「行くぜ、ドン・サウザンド!」
カイトとゴーシュ、アンナがドン・サウザンドに立ち向かう。
アンナ:「まずは、俺からだ!」
アンナは炎属性波動をラーゼン・ゲイボルグに伝達させる。
アンナ:「マグマ・エクスプレス!!」
ラーゼン・ゲイボルグを地面に突き刺し、ドン・サウザンドの周りに火柱を数本出現させた。
更に、ドン・サウザンドの足元に地割れが発生し、地面を破壊する。
ドン・サウザンドは、地割れから落ちる前に高くジャンプする。
アンナ:「今だ!ゴーシュ!」
アンナはそう言うと、ゴーシュがクサナギブレードを構え、攻撃態勢に入る。
ゴーシュ:「アメノムラクモ!」
クサナギブレードからオレンジ色の斬撃を飛ばすゴーシュ。しかし、その斬撃は今までのアメノムラクモではなかった。
エースのマークの力と融合された斬撃のため、通常よりも大きい斬撃になっていた。
ヨハン:「よし、奴の態勢からデュエルギアで攻撃を受け止めることはできない!」
翔:「確実にダメージを与えられる!」
ゴーシュの攻撃は、ドン・サウザンドに大ダメージを与えられると皆は思った。
ドン・サウザンド:「ぬるいな」
ドン・サウザンドはボソッとそう言うと、左手を前に出し、その手でゴーシュの斬撃を受け止め、かき消した。
ゴーシュ:「何!?」
自分が放った攻撃を、素手で消されたことに唖然とするゴーシュ。
そして、次にドン・サウザンドはイマジナリー・ヌメロニアを思いっきり振り、周りの火柱を真っ二つに斬り落とし消滅させた。
アンナ:「一振りで俺の攻撃を…!」
アンナも自分が放った攻撃が簡単に消されたことに驚くしかなかった。
カイト:「くっ、やはり一筋縄ではいかないか…。なら!」
カイトは前に出る。
ドロワ:「カイト…!」
突然、走り去るカイトを見て、動かない身体を無理矢理動かそうとするドロワ。しかし、身体が自由を取り戻すことはなかった。
ドン・サウザンド:「我に正面から立ち向かうか。その勢いだけは認めてやろう。だが、お前の力と我の力は、天と地の差だ」
カイト:「なら、その差をエースのマークの力と、俺の炎で埋めるだけだ!」
カイトのギャラクシー・サーベルが姿を変え、セカンドステージへと入った。
更に、カイトのNo.4のエースのマークが輝き、セカンドステージ状態のギャラクシー・サーベルへ力が流れ、更に、カイトが持つ炎の属性波動もギャラクシー・サーベルへ流れ込む。
カイト:「プロミネンス・ギャラクシー!」
ギャラクシー・サーベルの刀身を粒子で生成された緑色の龍が彷徨い始める。
更に、カイトの身体が緑色に輝き、カイトはドン・サウザンドのすぐ側まで飛び出す。
そして、龍が彷徨う刀身が炎で纏われる。
ドン・サウザンド:「エースのマークの力と炎の力か。そんなもので、我のイマジナリー・ヌメロニアに対抗できると思うか」
カイト:「あぁ、今のギャラクシー・サーベルは…」
カイトはエースのマークの力と炎の力が纏われたギャラクシー・サーベルを思いっきり振り下ろした。
カイト:「どんな頑丈なものも斬り裂き、燃やし尽くす力を持っているからな!」
カイトが振り下ろしたギャラクシー・サーベルは、ドン・サウザンドのイマジナリー・ヌメロニアを斬り裂き、真っ二つにした。
ドン・サウザンド:「!」
流石のドン・サウザンドも、これには少し驚いていた。
真っ二つにされたイマジナリー・ヌメロニアの剣先が、炎で燃やし尽くされた。
チャーリー:「ドン・サウザンドの武器を、真っ二つにしやがった…!」
クロウ:「やるぜ、カイトの野郎」
ハルト:「兄さん、すごい…!」
あまりの光景に、皆はカイトの強さを改めて知らされた。
カイトが強いのはわかる。だが、今のカイトは自分たちが把握している以上の力を持っている。
ドン・サウザンドは一旦、後ろに下がる。
そして、カイトも一度後ろに下がり、ゴーシュとアンナの側に戻る。
ゴーシュ:「やったな!カイト。お前の刃がドン・サウザンドに届いたぜ」
アンナ:「見せてくれるぜ」
ゴーシュはカイトの肩をポンポンと叩き、褒めたたえる。
カイト:「まだ戦いは終わっていない。喜ぶのは後にしろ」
と厳しい言葉を返すカイトに、ゴーシュは「へいへい」と返事をする。
ドン・サウザンドは刀身が折れたイマジナリー・ヌメロニアを見つめる。
ドン・サウザンド:「まさか、我の剣が折られるとはな」
ちなみに、真っ二つにされた刀身の方は、カイトの炎で燃やし尽くされた。
カイト:「お前の武器は折られた。さあ、どうする?ドン・サウザンド」
カイトのおかげで形勢逆転となった所為か、ゴーシュとアンナも余裕の表情を見せる。
ドン・サウザンド:「少しはやれるということか」
ドン・サウザンドは折られたイマジナリー・ヌメロニアを強く握り占める。
すると、イマジナリー・ヌメロニアが赤く輝き出す。
ドン・サウザンド:「ならば、我も少しは本気を出すとしよう」
ドン・サウザンドから再び強い殺気が放たれる。
数秒前まで余裕の表情を一瞬見せたゴーシュとアンナの表情は一変してしまった。
ドン・サウザンド:「セカンドステージ」
ドン・サウザンドがそう一言呟くと、イマジナリー・ヌメロニアが黒い霧に包まれる。
ドン・サウザンド:「真の絶望は、ここからが始まりだ」
ドン・サウザンドの手に握られたは、刀身の形状を変えたイマジナリー・ヌメロニアだった。
レイ:「破壊した剣が元に戻ってる…」
ヨハン:「少しは戦いが有利になると思っていたが…」
カイトの強力な技で破壊できたドン・サウザンドの武器イマジナリー・ヌメロニアが進化した姿で奴の手に握られたのを見て、皆は再び動揺してしまう。
ドン・サウザンド:「まずは、お前からだ」
ドン・サウザンドは、その目をカイトに向ける。
そして、セカンドステージ状態のイマジナリー・ヌメロニアを振り、黒い斬撃を飛ばす。
その斬撃は尋常なく大きいものだった。
カイトは即座に”フォトン・カイザー”のカードを手に取り、新たなデュエルギアを構える。
カイト:「フォトン・ガラハド!」
フォトン・カイザーのガラハドの盾をモチーフにされたデュエルギア”フォトン・ガラハド”がカイトに手に持たれる。
ゴーシュ:「カイト…!」
カイト:「下がっていろ!2人とも!」
カイトはフォトン・ガラハドを前に突き出す。
カイト:「カイザー・オーブ!」
フォトン・ガラハドの前に粒子で生成された盾が現れる。
粒子の盾とフォトン・ガラハドの二重の盾でドン・サウザンドの攻撃を凌ごうとしているのだ。
ドン・サウザンド:「そんなもので我の攻撃が耐えられるか見せてもらおうか!」
ドン・サウザンドが放った黒い斬撃が、フォトン・ガラハドから放たれた粒子の盾とぶつかり合う。
カイト:「うおおお!」
カイトは自分が出せる限りの力を出し、ドン・サウザンドの攻撃を受け止め消し去ろうとする。
しかし、フォトン・ガラハドの前に展開されている粒子の盾は、黒い斬撃に耐えきれず、ひび割れを起こし、挙句の果てに砕け散った。
カイト:「っ!」
ドン・サウザンドの黒い斬撃は、カイトが持つフォトン・ガラハドとぶつかり合う。
カイトは腰を低くしてドン・サウザンドの攻撃に耐え続けるが、あまりにもパワーの差があり過ぎて、吹き飛ばされる。
カイト:「ぐわあああ!」
ゴーシュ、アンナ:「カイト!!」
ドロワ:「カイト!」
吹き飛ばされたカイトの名前を叫ぶドロワ。
その目に映っているのは、カイトではなくカイトの周りに立ち上る埃と白煙だ。カイトの姿は、それらの所為で見えない。
段々と白煙が消えて行く。そして、皆の目に映ったのは、左腕に重症の傷を負うカイトの姿だった。
カイト:「…」
カイトの左腕からは大量の血が出ている。
ハルト:「に、にいさーん!」
あまりの兄の姿に、ハルトは涙目になる。
ドン・サウザンド:「戦いにおいて、一番厄介なやつを先に潰す。これは常識だ」
カイトを倒したことに、満足するドン・サウザンドが笑う。
哲平:「カイトが、やられるとは…」
藤原:「よくも僕たちの仲間を!」
マリク:「ドン・サウザンド…!!」
カイトの無残な姿を見て、ドン・サウザンドへの怒りが溢れる哲平達。
だが、哲平達の身体はヌメロン・ネットワークの力で動くことができない。
ドン・サウザンド:「動けない虫共に、そんな目をされても、何も感じないな。さあ、次はお前たちだ」
ドン・サウザンドの目線は、ゴーシュとアンナに向けられる。
さっきまで輝いていたエースのマークは、その輝きが弱まっていた。
それはドン・サウザンドから放たれる殺気に、恐怖しているためだ。
ゴーシュもアンナも、戦意喪失に近かった。
ゴーシュ:『カイトがやられちまうとは…』
アンナ:『俺たちだけでどうやって戦えばいんだ…』
アンナは恐怖のあまり、足を1歩後ろに下げてしまった。
ドン・サウザンド:「そうだ。もう戦う意思を見せるな。そうすれば、苦しむことはない。人間界が滅ぶその瞬間をその目で見ることだ」
ドン・サウザンドは、ゴーシュ達にそう言った。
今、ここにいる皆を殺すつもりはないようだ。ドン・サウザンドは見せたいのだ。こいつらに、世界が滅ぶその瞬間を。
カイト:「っ…」
倒れていたカイトは目を少しずつ開ける。
その目に映ったのは、戦意を無くすゴーシュとアンナだった。
カイト:「ここまでか…」
カイトはそう呟いた。
???:「まだ我々は負けていない!」
どこからか聞こえる声に、ドン・サウザンドを含め皆が反応する。
カイト:「!」
カイトは、ドン・サウザンドの背後にいる者を見て驚く。
Ⅴ:「アンドロメダ・アマルテア・ブレード!」
セカンドステージ状態のスペース・レイピアザーを手に持ち、ドン・サウザンドを背後から攻撃を仕掛けるⅤ。
ドン・サウザンドはすぐに方向転換し、セカンドステージ状態のイマジナリー・ヌメロニアで、Ⅴの巨大な光の剣を受け止める。
ドン・サウザンド:「No.5のエースのマークを持つ者か」
Ⅴ:「ドルべ!今の内にカイトを!」
Ⅴがそう言うと、倒れるカイトの横に、別行動をしていたはずのドルべが現れる。
ドルべ:「しっかりしろ、カイト」
ドルべが持つNo.7のエースのマークの力は癒しの効果を持つ。つまり、傷を治す力だ。
ドルべはその右手でカイトに触れ、負傷した左腕の傷口が少しずつ塞がれる。
ドルべ:『これが限界か…』
ドルべのエースのマークの力を持ってしても、カイトの傷を完全に癒すことはできないようだ。
カイト:「ドルべ…」
カイトは左腕を押さえながら起き上がる。
ドルべ:「無茶はするな。残念だが、傷は完全に治し切れないようだ」
ドルべがそう言うと、カイトは悔しそうな表情をする。
ドン・サウザンド:「大声を出さなければ、我を切れたかもな」
ドン・サウザンドはセカンドステージ状態のイマジナリー・ヌメロニアを振り、Ⅴを吹き飛ばす。
Ⅴ:「くっ!」
Ⅴはゴーシュ達がいる場所に立つ。
Ⅴ:「まだ我々の希望は折れていない。まだ九十九遊馬と神代凌牙いう希望が残っている!」
ドン・サウザンドを倒すために必要な鍵。それは、遊馬と凌牙。2人の希望が、この戦いに終止符を打ってくれることをⅤは信じている。
第11ED『切望のフリージア《DaizyStripper》』
次回予告
ナレーション:次々とエースのマークを持つ者たちが集う!
神に挑む人間たちは、怯えることなくドン・サウザンドに立ち向かう!
そして、あの男がドン・サウザンドの前に現れた時、本当の戦いが始まる!
凌牙:次回、遊戯王5DXAL「ヌメロン・ネットワーク消失!」
凌牙:「エースのマークの力を一つにするんだ!」