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第178話:『ポセイドン・カリハリアス!』








凌牙:「エノシガイオス・アマルティア」
ポセイドンの罪…。

そう、凌牙の力により水で象られたのは、ギリシャ神話に登場する海や地震の神と言われたポセイドンだった。


凌牙:「行くぞ!」
水で象られたポセイドンが手に持つ槍を見えないはずのウェスカーに向ける。


そして、ポセイドンの槍が、ウェスカーにヒットする。


ウェスカー:『くっ、重い…』
ポセイドンの槍を受け止めるウェスカーは、その衝撃があまりにも重く、踏ん張ることに集中し過ぎた。


凌牙:「見えたぜ」
凌牙はの目線が、ウェスカーに向けられる。

さっきまで見えなかったはずのウェスカーの姿が見えるのだ。



凌牙はウェスカーがいる方へ走る。


地面に突き刺していたブラックランサーを手に持って…。


ウェスカー:「くっ…!」
ポセイドンの槍を無理矢理払うウェスカー。


だが、既に凌牙は目の前にいた。


凌牙:「終わりだ。ウェスカー!」
バハムート・エッジサイトとブラックランサーの刃が、ウェスカーを斬る。








第10OP『鏡のデュアル・イズム《petit milady》』







第178話:『ポセイドン・カリハリアス!』






凌牙が持つ2本のデュエルギアに斬られるウェスカー。


ウェスカー:「ぐはっ!」
腹には×印で斬られた傷口から血が流れる。



水で象られたポセイドンが消える…。


ウェスカーは傷口を押さえて、その場に跪く。


凌牙:「勝負ありだ。その身体じゃ、もう戦うことはできねえだろう」
凌牙はポケットからハンカチを出し、斬られた右の二の腕に出したハンカチを撒いた。



ウェスカー:「完全に視界は潰した…、なぜ俺の居場所が分かった…?」
同じことを言うかもしれないがウェスカーが使用した暗黒のドゥリンダナは、闇のオーラを散布し、敵からこちらの動きを消す視界潰しの技だ。

なのに、凌牙は突然、自分の動きに気付いて攻撃を仕掛けてきた。なぜ、それができたのかウェスカーにはわからなかった。



凌牙:「仲間が外で待っている…」

ウェスカー:「何?」

凌牙:「俺たちの目的は、お前を倒すことじゃない。ドン・サウザンドを倒すことだ。俺は、ここで負けるわけにはいかねえ」
自分の目的を話す凌牙。そして、心の中で呟いた。

凌牙:『そうだよな、ピアーズ』
散ったピアーズに向けて呟く。


ウェスカー:「仲間の力と言う奴か…。くだらん」
ウェスカーが立ち上がる。勿論、斬られた場所から血が垂れ、地面に染み渡る。

凌牙:「お前、まだやる気か…?」

ウェスカー:「当然だ。お前たちをドン・サウザンド様の元へは行かせない」
突然、ウェスカーの身体からとてつもない殺気が放たれる。

この感覚に見覚えがある凌牙。

何度も体感している。これは、ドン・サウザンドの力によるものだ。


しかし、同じ力でも、放たれる殺気は今まで以上に強いものだった。


凌牙:「ドン・サウザンドの力を最大限まで解放するつもりか…」

ウェスカー:「俺は、バリアン8人衆の中でも、特別な力をあの方から授かっている。絶望という言葉だけでは表すことのできない力を、お前に見せてやろう!」
ウェスカーがドン・サウザンドの力を完全解放し、邪悪なオーラに包み込まれる。





ウェスカーの技で張られた黒い結界の外にいる仲間たち。


突然、黒い結界に動きが見られた。

ビリビリと電流のようなものが結界全体に流れている。


恵美:「何かしら…」

ミスティ:「空気が妙に重くなったわね」
黒い結界を中心に、空気が重く感じるミスティたち。

本田:「中で何かあったのか…!」


璃緒:「凌牙…」
兄を心配する璃緒。


今は信じるしかない。凌牙が無事に戻ってくることを…。






ドン・サウザンドの力を完全解放するウェスカー。



黒いオーラに包まれていたウェスカーが、その姿を現す。

凌牙:「!」

黒いオーラの中から出てきたウェスカーの姿は顔こそ同じだが、身体全体は見違えるほど変化していた。

しかし、凌牙はその姿を見た覚えがあった。


そう、かつてドン・サウザンドの力を取り込んだベクターが変貌したときの姿と瓜二つだったのだ。


その姿を見て凌牙は嫌な記憶が数々蘇った。


凌牙:「見たくねえものを見ちまったな」

ウェスカー:「終焉の時だ。お前の命、ここで終わりにする」
ウェスカーの両手には、2本のセカンドステージ状態のバリアン・デュランダルが握られていた。


そして、ウェスカーからとてつもない殺気が放たれる。

その殺気は、ウェスカーがさっき展開した黒い結界”ヘクトール・ゾーナ”を震わせていた。


凌牙:『結界そのものが振動している…。ベクター以上にドン・サウザンドの力を取り込んでいるということか…』
膝が強制的に地面に付けられそうになる程の殺気を受け、凌牙はバハムート・エッジサイトとブラックランサーをセカンドステージ状態にする。


その直後だった!

ウェスカー:「フッ」
凌牙のすぐ目の前にウェスカーの顔が飛び込んで来た。


まるで、瞬間移動だ。


凌牙:『速い…!』
一瞬やられるかと思ったが、凌牙はすぐにセカンドステージ状態となったバハムート・エッジサイトで受け止めた。


凌牙:「くっ…」

真の姿となったウェスカーが牙を向く!





その頃、黒い結界の外にいたベクターたちも、結界の中から感じる異様な感覚に気付いていた。


ベクター:「この感覚は、ドン・サウザンドの力か…!」

璃緒:「えぇ、間違いないわ。おそらくウェスカーがドン・サウザンドの力を使ったのよ」
璃緒たちがそう確信すると、暗い顔するシンディがソワソワしていた。


小鳥:「どうしたの?シンディ」

シンディ:「結界の中から感じる、この感覚…。おそらくウェスカーがドン・サウザンドから受け取った力を最大限まで解放したんだわ」

右京:「ドン・サウザンドの力を最大限まで解放した?」

シンディ:「私たち8人衆の中でもウェスカーは特にドン・サウザンドに対する忠誠心が高く、そしてドン・サウザンドもウェスカーを強く信頼していたわ。だからこそ、ウェスカーだけは、ドン・サウザンドから受け取った力が強かったの…」
シンディは、ウェスカーの身体の中から感じたことのある力を思い出しながら呟いた。


エマリー:「そんなに強くなる?ドン・サウザンドの力を最大限まで解放したウェスカーは…?」
エマリーの問いに黙ってしまうシンディだったが、すぐに口を開いて、みんなに分かりやすい表現で、ウェスカーの強さを教えた。


シンディ:「ドン・サウザンドの力を最大限まで解放したウェスカーは…、かつて人間界にあった小組織を1つを1人で壊滅させたわ」
その表現に、みんなが驚く。




そして、それほどの力を持つウェスカーは凌牙を苦しめていた。


ウェスカー:「はっ!」
2本のセカンドステージ状態のバリアン・デュランダルから、斬撃を放ち、その斬撃は1つになり巨大な大きな黒い球体となって、凌牙を吹き飛ばす。


凌牙:「ぐわああ!」
吹き飛ばされた凌牙は、黒い結界に思いきっりり背中をぶつけ、その場に倒れる。


凌牙:「な、なんて力だ…」
息切れをしながら、凌牙は起き上がろうとする。

しかし、ウェスカーはすぐに凌牙の側に立ち、立ち上がろうとする凌牙の背中を踏む。

凌牙:「ぐはっ!」

ウェスカー:「いい光景だ。かつてのバリアン七皇のリーダーであるナッシュが、俺の前に手も足も出ず倒れ込むとは!」
絶望の力…、ドン・サウザンドの力を最大限まで解放して余裕がある所為か、性格も変わったような気がするウェスカー。

凌牙の背中を踏む右足に力を入れ、凌牙の身体を地面に押し付ける。


凌牙:「ぐあああ!」
強く押し付けられている所為で、苦しむ凌牙。


ウェスカー:「苦しめ、神代凌牙!いや、ナッシュ!バリアンだった頃、お前はその権力で、七皇をまとめ上げ、九十九遊馬達を絶望へと陥れた。しかし、それは失敗に終わった。なぜ失敗したのか、それはお前が弱くあまいからだ!お前と言う存在が招き入れた結果が、かつてのバリアンの敗北の限界だ!」
ウェスカーは嫌がらせをするかのように凌牙を踏みながら凌牙を翻弄する。


ウェスカー:「俺は必ず、ドン・サウザンド様に誓って実現させる!バリアン世界を救うと!過去のお前に、バリアン世界を救うという気持ちが、本当にあったのなら、その気持ちは俺が引き継ごう!もっとも、その気持ちが役に立つかはわからないがな!」
ウェスカーが、倒れる凌牙に顔を近づけ、憎たらしい顔を見せつける。


凌牙:「へっ」

ウェスカー:「何がおかしい?」

凌牙:「所詮、お前はドン・サウザンドの力を使わなければバリアン世界は救えねえって言いたいんだろう?笑わせてくれる」
ピンチの状態にもかかわらず、凌牙はウェスカーを翻弄した。

ウェスカー:「今の状況を、よく確認して言え!この人間風情が!」
ウェスカーは凌牙を思いっきり蹴り飛ばした。





凌牙:「ぐはっ!」
凌牙は蹴り飛ばされた衝撃が身体に染みるが、それでもブラックランサーを使って立ち上がる。

しかし、凌牙の身体はかなりふらついていた。


ウェスカー:「まだ立ち上がるか」
その表情から、少し苛ついているようにも見える。

ウェスカーは、手に持つバリアン・デュランダルを握り占める。


凌牙:「言ったはずだ。俺の、いや俺たちの目的は、ドン・サウザンドを倒し、世界を救うことだってな」
凌牙の右手の甲に浮かぶNo.3のエースのマーク。


今までにない青い輝きを見せていた。


その輝きは、他のエースのマークを持つ者たちと共鳴していた。





凌牙が閉じ込められている黒い結界のすぐそばにいる小鳥のNo.2のエースのマークが輝く。


未来:「エースのマークが…」

小鳥:「感じる…。シャークの強い気持ちが…」
エースのマークを通じて、凌牙の意志を感じ取った小鳥は結界の中にいる凌牙がぶじに戻ってくることを信じる。

璃緒:『必ず帰って来て、凌牙。私たちの戦いは、まだ終わりじゃないのよ』
小鳥の側にいる璃緒も同じことを思っていた。






既に目的地の大樹にたどり着き、洞窟へと入ったカイト、アンナ、ゴーシュと共に行動している者達。

エースのマークを持つカイトたちの右手の甲が輝くと、その輝きは周りを明るく照らすほどの光だった。



カイト:「凌牙が、ウェスカーと戦っている…」

ゴーシュ:「あぁ、絶体絶命のようだが、それでも諦めねえ執念が感じるぜ!」

アンナ:「待ってるぜ。俺たちは、お前のことを!」
アンナは右手の甲を上に突き出す。






たった今、大樹に到着したドルべとⅤと共に行動していた仲間たち。


ドルべとⅤのエースのマークも強い輝きを放っていた。



ドルべ:「やっと着いたか」
ようやく目的地に着いたドルべは少しだけ一安心する。


城之内:「みんな、見てくれ」
城之内は、大樹のすぐそばであることに気付く。


それは無数の足跡だ。


剣山:「この足跡は…」

明日香:「どうやら、とっくに中に入っている人達がいるみたいね」

Ⅳ:「なら俺たちもとっとと入るぞ。いいよな?アニキ?」
Ⅳは兄であるⅤに問いかける。

Ⅴは自身の右手の甲に浮かぶエースのマークの輝きを見つめる。

すると、ドルべがⅤに話しかける。

ドルべ:「あいつなら、大丈夫だ」
何を根拠にそう言えるのかはドルべ自身も分からなかった。


しかし、凌牙は強い人間、いやデュエリストである。

だから、きっと俺たちの元へ来る。ドルべはそう信じていた。


Ⅴ:「そうだな」

色葉:「さあ、行きましょう」
洞窟の入り口が安全かを確認した色葉や剣代たち。

Ⅴとドルべは凌牙が来ることを信じ、中へと投入する。








そして、遊馬達一行



アストラル:『遊馬、気付いているか?』

遊馬:「当たり前だろ」
遊馬は目的地の大樹に向かって走りながら強い光を放つNo.1のエースのマークを見る。


羅夢:「その光は、嫌な知らせによるものかい?」
共に並んで走る羅夢が問いかける。

すると、遊馬は軽く笑う。

遊馬:「そうだな。悪い知らせってやつだ。だが、あいつならどんな危機的状況でも、何とか脱出できるさ。なぜなら…」

羅夢:「?」

遊馬:「なぜなら、あいつは、俺のライバルであり、バリアンのことをよく知るいい奴だからな」
遊馬の表情から、嫌な知らせが来たなんて思いもできない。


しかし、遊馬は「大丈夫だ」…。言葉には言っていないが、表情からその言葉が飛んでくるように感じた。







ウェスカーの前で立ち上がる凌牙。


凌牙の表情は戦いのまだ諦めていない表情だった。


ウェスカー:『神代凌牙…。やはり一筋縄では行かないということか…』
少しだけ悔しそうにウェスカーは呟いた。


凌牙:『みんな…、俺は必ずこいつに勝つ…!人間として、そして元バリアン七皇リーダー、ナッシュのケジメとして!』
凌牙にナッシュの面影が重なる。






ウェスカー:「もういい、うんざりだ!とっとと死ぬがいい!」
ウェスカーは2本のセカンドステージ状態のバリアン・デュランダルを強く握り、凌牙に向かって走る。


凌牙はセカンドステージしているブラックランサーに、闇属性の波動を送る。


凌牙:「ナハト・メーア!」
闇属性の波動を使用した地を走る斬撃を攻撃を繰り出す凌牙。


ウェスカー:「その程度の技が、俺に通用するか!」
ウェスカーは2本のバリアン・デュランダルを使って、斬撃を消した。


そして、2本のバリアン・デュランダルを前に突き出す。


ウェスカー:「ダブル蝶剣・黒帯!」
2本のバリアン・デュランダルの黒い刀身が伸び、凌牙に迫る。

しかし、凌牙は今までウェスカーには見せたことのないスピードで伸びた黒い刀身を躱す。


ウェスカー:『速い…!エースのマークの力か…!小賢しい!』
ウェスカーはすぐに刀身を縮め、凌牙に迫る。


凌牙:「ワータラブラックスピア!」
ブラックランサーの先から水の矢を突き出す。


ウェスカーは2本のバリアン・デュランダルで、その攻撃を受け止める。


ウェスカー:「くっ、嘗めるな!」
ウェスカーは、足で凌牙を蹴り飛ばす。

凌牙:「くはっ!」

ウェスカー:「旧式に負けるつもりはない!バリアンの旧式ごときに!」
ウェスカーから闇の波動が放出する。

凌牙:「ストロング・ドラゴン・オンダス!」
セカンドステージしているバハムート・エッジサイトで水波を生成し発生させ、そこから龍の頭が飛び出し、ウェスカーに迫る。


ウェスカー:「ブラックホール・デュランダル改!」
2本のセカンドステージしているバリアン・デュランダルから黒い球体をそれぞれ飛ばし、黒い球体は1つになって更に巨大な球体へとなり、凌牙が放った攻撃とぶつかる。


お互いの攻撃がぶつかり合ったとき、黒い球体はブラックホールとなった。

物凄い吸引力が、周りを襲うが、その間にウェスカーは凌牙に迫る。

ウェスカー:「終わりだ!神代凌牙!」
ウェスカーは目の前にいる凌牙にしか集中していない。


お互いの武器がぶつかり合う。


凌牙:「くっ…まだ終わるわけにはいかねえ」
凌牙が手に持つ2つのデュエルギアを強く握り占める。

更に、エースのマークから解き放たれる青い輝きが凌牙を包み込む。

凌牙:「ドン・サウザンドを倒すまでは、お前にやられるわけにはいけねえんだよ!」
凌牙はウェスカーを弾き飛ばす。

ウェスカー:「何だ!この力は!?」
今まで見せたことのないパワーで、自分が吹き飛ばされたことに驚くウェスカー。


凌牙:「次の攻撃で終わりにする!そして、俺たちはドン・サウザンドの元へ行く!」
セカンドステージしているバハムート・エッジサイトとブラックランサーを構える凌牙。


二つのデュエルギアに、水属性の波動が伝達される。


ウェスカー:「終わりにするのは俺のセリフだ!人間のお前が、バリアンである俺に敵うはずがない!そう何度も言ったはずだ!」
ウェスカーの背後にドン・サウザンドの影のようなものが現れる。

???:『ナッシュ…!死ぬがいい。バリアン世界復活の礎となるのだ』
ウェスカーの背後に現れた影が凌牙に恐怖の目線を見せる。

しかし、対する凌牙も怖い目線を見せた。


その目は、サメのようにまるで獲物を捕らえたかのような目だった。

凌牙:「見せてやるよ、ドン・サウザンド。人間の生き様って奴を…!」
凌牙が気力を溜める。

エースのマークの輝きに包まれている凌牙の身体が更に、水属性の波動に包まれる。


すると、ドン・サウザンドの影よりも更に大きな水で象られた物体が、凌牙の背後に現れる。


凌牙:「ポセイドン」
凌牙の背後に現れたのは、水で象られた巨大な海の神ポセイドン。

トライデントを持ちマントを付けた長髪長鬚の老人の姿をした海の神が現れる。


???:『!!?』

ウェスカー:「バカな…、人間がこれほどの規模の力を…!」

目の前に現れた水で象られた海の神にウェスカーは動揺してしまう。


凌牙がブラックランサーを持つ左手を挙げると、ポセイドンもまた左手に持つトライデントを上に突き出す。

すると、上空に水波が現れる。


凌牙:「鮫の牙がお前を飲み込む」
水波から実体の身体を持つ黒い鮫が数十体現れ、ウェスカーに向かって飛んでくる。

凌牙は身体を一回転させ、バハムート・エッジサイトから水の斬撃を黒い鮫に向かって放ち、黒い鮫たちと水の斬撃が1つになる。

凌牙:「ポセイドン・カリハリアス!」
巨大な海の神が持つトライデントが、黒い鮫と共にウェスカーに迫る。



ウェスカー:「人間がバリアンである俺よりも規模の大きい攻撃を放つだと…!ふざけるなぁ!」
ウェスカーはドン・サウザンドの力を更に解放し、2本のバリアン・デュランダルから黒いエネルギー球体を無数に放つ。


しかし、数体の黒い鮫もポセイドンの槍も、ウェスカーが放つ攻撃を全て打ち消す。




ウェスカー:「バカな」
全ての攻撃が打ち消されたことに開いた口が塞がらない。

黒い鮫がウェスカーを襲う。


ウェスカー:「ぐわあああああ!」

???:『ぐおおおおおお!』
同時に黒い影も襲う。



凌牙:「じゃあな、俺の後継者…」
水で象られた海の神のトライデントが、ウェスカーに突き刺さる。


その瞬間、大量の水が地面に広がる。



凌牙とウェスカーを取り込んでいた黒い結界が徐々に消えて行く。


ミスティ:「結界が消えて行くわ…」

風間:「決着が着いたのか…」
黒い結界が完全に消え、中にいた凌牙とウェスカーの姿をみんなが捕える。


ウェスカーは仰向けに倒れており、そのすぐそばに凌牙がしゃがみ込んでいた。


璃緒:「凌牙…」

シンディ:「ウェスカー…」

みんなが凌牙の元へ走る。


ベクター:「決着が着いたのか?」
最初に凌牙の元へたどり着いたベクターが問いかけるが、その問いに凌牙は返事を返さなかった。

その代わりに、倒れていたウェスカーが軽く笑った。

ウェスカー:「まさか、バリアンである俺が…やられるとはな…。これで、バリアン8人衆も全滅…。いや、まだお前が残っていたな…」
ウェスカーは目を開け、側にいたシンディを見つめる。


シンディ:「もう終わりにしましょう。あなたも気づいているでしょう?あなたの身体の中にあるドン・サウザンドの力は消えているわ…」
シンディはそう言って、ウェスカーの側に落ちている黒騎士のカードが消えいていることに気付いた。


シェリー:「カードが…」

ウェスカー:「黒騎士は、ドン・サウザンド様が俺のために作ってくれたカード…だ。俺がやられれば、当然こうなる…」
そう言うと、ウェスカーの身体も粒子となって徐々に消えて行く。

凌牙:「ウェスカー…」

ウェスカー:「神代凌牙…、お前が思っているほどドン・サウザンド様は弱くはないぞ…。あの方はかつてよりも大きな力を手にしているのだからな」
ウェスカーは凌牙に忠告させる。ドン・サウザンドと言う存在について…。


凌牙:「お前に言われるまでもねえ。そんなことを俺が一番わかっている。だが、それでも世界を救うためには、あいつを倒さなければいけねえ」
凌牙はウェスカーの忠告に対し、そう答えた。

ウェスカー:「そうか…。なら俺は向こう側で、お前の戦いを見届けるとしよう…」
ウェスカーが目を閉じる。


ウェスカー:『コルダ、ペイトン、サリバン、ブラナー、スペンサー……、ピアーズ。俺もそっちへ行く…』
ウェスカーは、心の中で呟き、そして完全に消滅した。


右京:「これでバリアン8人衆も終わりだね…」
右京が呟いた。


そして、小鳥はシンディを見る。

仲間だった者がまた消えたのだ。シンディにとって辛い気持ちのはず。

だが、シンディは小鳥の目線に気付いたのか。

シンディ:「大丈夫よ…」
そう一言言った…。



シンディ:「私は大丈夫だから」
少し笑った表情を見せるシンディだが、嬉しそうな笑顔ではなかった。

辛いのだろう。同類が全て消えたことに…。

シンディは、本当の気持ちを隠して自分の心の中で苦しんでいるのだ。

私たちから何も言えない…。

小鳥は心の中でそんな気持ちが芽生え、今はそっとしておくことにした。


すると、その時、地面が揺れ始めた。

杏子:「な、何…!?」

結衣:「地震?」

オブライエン:「しかし、ここはカイゼル・サウザンドの中。カイゼル・サウザンドは空中に浮かぶ要塞だ。地震が起きるはずがない…!」


万丈目:「おいおい、これは本当にやばいんじゃないのか…!」
みんなの心が危機を感じる。


凌牙:「急ぐぞ。ドン・サウザンドの元に!」
凌牙の言う通りに、みんなはドン・サウザンドがいると思られる大樹に向かって走り出す。





その頃、ネオコーポレーションシティの空に浮かぶカイゼル・サウザンドに赤や青、緑色のラインが刻印され輝き出す。


更に、空が血のように赤く染められる。





フロンティア本部

ビルの屋上に斎王や春たちと共にいる元帥である百々原が直感した。

人類滅亡の危機が、もうすぐ側まで迫っていることに…。


百々原:「急げ…、みんな…」
百々原はカイゼル・サウザンド内に潜入した遊馬達を信じ呟いた。









第11ED『切望のフリージア《DaizyStripper》』



次回予告

ナレーション:バリアン8人衆、陥落!

残るはドン・サウザンドただ一人!

苦難を乗り越え、遂にドン・サウザンドとの決着を付けるときが来た!

エースのマークを持つ者たちの力は、ドン・サウザンドに通じるのか!!


カイト:次回、遊戯王5DXAL「ドン・サウザンドの本体!遂に、光臨!」


カイト:「お前を倒し、世界を救う!それが俺たちの目的だ!」






遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!


凌牙:「遂に、バリアン8人衆を全て退け、残るはドン・サウザンドのみ。戦いも終盤へと突入した!覚悟してもらうぞ!ドン・サウザンド!」
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