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第176話:『旧知!ピアーズVSウェスカー』







ドン・サウザンドがいると思われる大樹。そこに最初に着いたメンバーたちは…。



アンナ:「ここがそうか」

カイト:「確かに、ここを中心に圧倒的な力を感じるな」

ゴーシュ:「待っていろ、ドン・サウザンド!」
カイト、アンナ、ゴーシュたちと共に行動していたメンバーが先に着いたようだ。


イシズ:「入り口は、あそこのようですね」
大樹が立つすぐ場所に洞窟の入り口があった。


ヨハン:「どうする?他のみんなを、ここで待つか?」

ゴーシュ:「そんな時間はねえ。とっとと行くぞ!」
ゴーシュが先行して、洞窟の中へ入る。

ドロワ:「待て、ゴーシュ!迂闊だぞ」
ゴーシュを止めようとするドロワだったが、恋人であるカイトも、すぐに中へ入ってしまった。


ドロワ:「カイト…!」


アンナ:「時間はもうねえんだ。早いとこ行こうぜ」
アンナもカイトの後を追って行った。

呆れたようにため息をついたドロワだが、アンナの言っていることも一理ある。時間はない。

ここにいるメンバーだけでも、ドン・サウザンドと渡り合えるはずだ。そう思ったドロワ、そして、他のみんなも、大樹のすぐそばにある洞窟の入り口を潜り抜けた。







第10OP『鏡のデュアル・イズム《petit milady》』







第176話:『旧知!ピアーズVSウェスカー』








バリアン8人衆だったシンディとピアーズを仲間に加えた凌牙や小鳥たち。

別任務で、ネオコーポレーションシティを留守にしていた吹雪たちも合流し、急いでドン・サウザンドのがいる大樹へと向かう。


その道のり、カイゼル・サウザンドに入ったばかりの吹雪や鬼柳たちが慎也たちに状況を確認する。


鬼柳:「もう、そこまで追い上げていたとはな」

慎也:「バリアン8人衆は、それぞれエースのマークを所持する者たち倒したと聞いている。そして、シンディとピアーズがこちらに着いたとなると、残るは…」

シンディ:「私たちのリーダーであるウェスカーただ一人よ」
バリアン8人衆のリーダーであるウェスカーが最後の生き残りだとシンディが発言すると、ピアーズは悔しそうに歯を立てる。

ピアーズ:「あんな奴、リーダーにした覚えはねえがな」

シンディ:「はいはい、もう強さで争うのはやめてよね。子供じゃないんだから」
呆れたようにシンディは言った。


凌牙:「お前、随分、ウェスカーに対するライバル心が強いみたいだな」
ピアーズの態度を見てそう思った凌牙。

ピアーズは凌牙の言葉に何も答えなかった。


シンディ:「昔から、どちらが強いとかでもめていたわね」

ピアーズ:「シンディ!おまえ!」
勝手に昔のことを話されたピアーズが焦った表情を見せる。


右京:「いわゆる負けず嫌いってやつですね」
右京が、話しを聞いてそう言った。



ピアーズは、過去のことを思い出した。




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バリアン世界

その世界のとある場所で、2つの武器が混じり合っていた。


片方は電撃を浴びた槍、そしてもう片方は黒い聖剣。

この2つのデュエルギアは何度もぶつかり合い、そしてそれぞれの所持者のプレッシャーや殺気が込められていた。


ピアーズ:「エディレイ・ラッシュ!!」
電撃を浴びた槍タイプのデュエルギア”キュムロニンバス・バハムート”から、雷の渦を生成し飛ばした。


ウェスカー:「…」
ウェスカーは、慌てることなく冷静にピアーズの攻撃に対処する。


ウェスカー:「ぬるい…」
ウェスカーが持つ黒い聖剣”バリアン・デュランダル”の刀身が黒いオーラに包まれ、ピアーズが放った攻撃をいとも簡単に打ち消した。


ピアーズ:「なっ!」

ウェスカー:「勝負あったな」
ウェスカーがピアーズに急接近する。



そして、いつの間にピアーズの首元ギリギリにウェスカーが握るバリアン・デュランダルの剣先が迫っていた。

少しでも動いたら刺さるであろう場所。いつでもさせるぞと言う殺気を放ち、この勝負はウェスカーの勝ちとなった。


ピアーズ:「くっ」

ウェスカー:「デュエルギアを持って攻撃するのはいいが、無駄な動きが多い。それに、俺とお前は何度も戦っている。お前の動きは初めて戦ったときから変わっていない。すぐに動きが読めるぞ」
ウェスカーとピアーズは何度も戦ったことがある。一度や二度じゃない。数えきれないほどに戦っている。




だからこそウェスカーはわかるのだ。ピアーズが次に何をしてくるのかが…。

ピアーズ:「くっ、言わせておけば…。次こそ絶対に勝ってやるよ!」

ウェスカー:「そのやる気だけは認めてやるよ」
ウェスカーはそう言って、どこかへ立ち去る。

言いたい放題言ってくれたことに、ピアーズは腹が立っていた。


ピアーズ:「くそっ!もっと俺に力があれば…!」
拳を握り占めるピアーズは、悔しい気持ちをその拳に込め、近くの岩に向かって拳をぶつけた。


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ピアーズ:「…」


シンディ:「昔からウェスカーに挑んでボロ負けして悔しがって、でも何度も立ち上がる。その繰り返しだったわね」

ウェスカーとピアーズ、そしてシンディはバリアン8人衆の中で最も付き合いが長い中であるため、シンディは2人の戦いをよく見ていた。


オブライエン:「お前と同じだな」
オブライエンが、隣にいる万丈目を見て言った。

万丈目:「俺に似ているだと…!?どこかだ!俺は1回で勝つ!何度も立ち上がる必要はない!」

吹雪:「そうかなぁ?君、昔はかなり十代君に勝負を挑んでも負けて、勝つまで何度も挑戦してなかったっけ?」
昔の万丈目を思い出し、吹雪はそう言った。

万丈目:「昔の話しです!今は違います!」
そう、これは昔の話しだ。

もう何度も勝負を挑む相手は、この世にいないのだから。





みんなが色々と話しながら大樹に向かっているのを、気付かれないよう少し離れた場所から見ていた者がいた。

そう、バリアン8人衆の最後の生き残りが、凌牙たちに迫っていたのだ。



ピアーズ:「!」

シンディ:「!」

凌牙:「この感じは…!」
突然感じた強い殺気に、凌牙たちがその場に止まる。


璃緒:「凌牙?」

ベクター:「どうしたんだ?急に止まりやがって」
なぜ凌牙たちが止まったのか理解できないベクターたち。


だが、凌牙たちの顔を見て、すぐに何か悪い予感がしてきた。


凌牙:「どうやら、最後のお客さんが来たみたいだ」
凌牙が何かを警戒するような雰囲気でそう言った。



すると、黒い斬撃が飛んできた。


その斬撃に、ピアーズと凌牙が立ち向かう。



ピアーズは”CX(カオスエクシーズ)怒涛の雷鳥トニトルス・カイム”の槍タイプデュエルギア”キュムロニンバス・バハムート”を手に持ち、凌牙は”バハムート・シャーク”の大鎌タイプのデュエルギア”バハムート・エッジサイト”を手に持ち構えた。


凌牙:「ドラゴン・オンダス!!」
バハムート・エッジサイトから水波を生成し発生させ、そこから龍の頭が現れた。



ピアーズ:「エディレイ・ラッシュ!!」
キュムロニンバス・バハムートから雷の渦を発生させ、それを黒い斬撃に向けて飛ばす。


凌牙とピアーズが放った攻撃が、黒い斬撃を吹き飛ばす。


ウェスカー:「お前たちを、ここから先へは行かせん」
上空から舞い降りてきたのは、バリアン8人衆のリーダー、ウェスカーだった。


ウェスカーの手には、黒い聖剣”バリアン・デュランダル”が握られていた。


小鳥:「バリアン8人衆リーダーにして、最後の生き残り、ウェスカー…」

シェリー:「まさか、こっちに来るなんてね」
思ってもいなかったのだ―。まさか、バリアン8人衆のリーダーであるウェスカーが来るとは…。

ピアーズとシンディは真剣な表情で、ウェスカーを見つめる。



ウェスカー:「俺の気のせいか?九十九遊馬と同じで人間に付くバリアンが見えるぞ」
ウェスカーは、ピアーズとシンディを見てそう言った。


シンディ:「ウェスカー…」

ピアーズ:「ウェスカー、ドン・サウザンドがやる他の世界を滅ぼして、バリアン世界を復活させることは間違っている。他の世界を破壊しなくても、バリアン世界を救う方法があるはずだ」
ピアーズがウェスカーに、そう強く言うと、ウェスカーは表情を変えることなく口を開いた。

ウェスカー:「バリアン世界を完全な状態で復活させる。そのために、他の世界を滅ぼす。それが、ドン・サウザンド様のお考えだ」

シンディ:「確かにそうかもしれない。他の世界の者たちを巻き込んでまで、バリアン世界を復活させる必要はないわ。なぜなら、ドン・サウザンドは、神になるために他の世界を滅ぼしてバリアン世界を復活させようとしているだけだから!」

ウェスカー:「ドン・サウザンド様が神?それは違うな」

シンディ:「え?」
シンディが言っていることが誤っていると発言するウェスカー。

ウェスカー:「あのお方は、既にバリアン世界の神だ。あの人が狙っているのは、他の世界を滅ぼし、そして数多の世界の頂点に君臨することを願っている」

杏子:「数多の世界?」

ウェスカー:「人間界、バリアン世界、アストラル世界。これらは、数多ある世界の1つに過ぎない。世界を他にも様々存在する。その中でも、全ての世界を結び付け、頂点に立つ神が存在すると言われている。その名は”シナト”」
ウェスカーの口から語られる名前のような単語。


杏子は、その名前を聞いて復唱してしまった。


結衣:「何?そのシナトって?」

ウェスカー:「とある世界を収める神であり、その世界を中心に全ての世界を結び付けた謎の神。それ以上のことは、俺もドン・サウザンド様も知らない」
ドン・サウザンドでも知らないとは、相当謎の多い存在なのだろう。




小鳥:「ドン・サウザンドは、そのシナトを倒すために、他の世界を一つずつ崩壊しているの?」

ウェスカー:「そうだ。シナトは、どこの世界にいるのか解明されていない。となれば、世界を1つずつ潰していくしかないと判断したのだ」
ウェスカーから語られたことは、シンディとピアーズは初耳だった。


シンディ:「まさか、この作戦の裏に、そんな狙いがあったなんて…」

ピアーズ:「あの人が何であれやっていることは間違っている。俺は、それに気付いちまったんだ!ウェスカー!邪魔をするなら、容赦はしねえ!」
キュムロニンバス・バハムートを振り回し、身体に電流を浴びる。


凌牙:「ピアーズ…」

ピアーズ:「お前は手を出すな。あいつの旧知として、ここは俺が行く」
ピアーズの目線は目の前のウェスカーしか見ていなかった。

そして、その表情はケジメを付けるような顔をしていた。


凌牙:「この戦いは、お前に任せるぞ」
凌牙はそう言って、後ろに下がる。


シンディ:「ピアーズ…」

ピアーズ:「お前も下がってろ、シンディ。あいつは俺たち以上にドン・サウザンドに忠誠心が強い奴だ。裏切り者の俺たちの言葉を聞いてはくれねえよ」

そうだ…。私たちはバリアンだけども、ドン・サウザンドを裏切った。ウェスカーにとって、私たちはもう味方ではなく敵として認識されているだろう。

シンディ:「気を付けて、ピアーズ」
シンディもそう言って後ろに下がる。


気を付けて…、初めてシンディにそう言われたような感じがした。


ピアーズ:『変なこと言うなよ…。覚悟が乱れる…』
ピアーズは心の中でそう呟いた。



ウェスカー:「昔からお前は何度も俺に勝負を挑んでくる。だが、お前が俺に勝ったことが一度でもあったか?」
何度も勝負した。しかし、ピアーズが勝ったことなど一度もない。

それは、当の本人も理解していることだ。


ピアーズ:「そんなことを、俺が一番わかっている。だが、俺だって戦いを積み重ね、強くなっている。それをお前に証明してやるよ!」

ウェスカー:「なら見せてみろ。お前の力を!」
ウェスカーは地上に着地し、黒い聖剣”バリアン・デュランダル”を構える。


互いにデュエルギアを構えてから、数秒間の無音が続いた。

その間、2人の間には殺気のぶつけ合いが行われていた。


そして、2人は動いた。

ウェスカーは、バリアン・デュランダルを握り、ピアーズに接近する。


ピアーズ:「サンダー・ボルト・レイジング!!」
キュムロニンバス・バハムートを横に平行にして構え、周りに電撃を飛ばす。


こちらに接近するウェスカーは、その攻撃を躱しながらピアーズに接近する。


シンディ:『全て躱されている…!』
ウェスカーが、ピアーズの攻撃を全て躱していることに気付く。




ウェスカー:「何度も見た攻撃だ。当たりはしない」
そう言いながら、攻撃を躱し続け、ウェスカーはピアーズの懐に入った。


ピアーズ:「!」

ウェスカー:「終わりだ」

ピアーズ:「勝手に終わりにするな!」
ピアーズは身体に纏う電流の出力を上げる。

更に、キュムロニンバス・バハムートが纏う電流の出力も限界まで上げる。

ピアーズ:「うおおお!」

ウェスカー:「懐に入れば、いつもそうやって雷の纏いを強くする」
ウェスカーは、今までの戦いを思い出す。

いつもは、拳に闇属性の波動を纏い、その拳をピアーズにぶつけ、電流を無効化していた。

なぜそうしてきたのか。それは、重傷を負わせずに済むからだ。


だが、今、ウェスカーの目の前にいるのは、ただのピアーズではない。

裏切り者のピアーズだった。


バリアン・デュランダルに闇属性の波動を纏わせ、そして―。


ピアーズ:「!」
バリアン・デュランダルを振り上げ、ピアーズの右肩を切りつけた。



凌牙:「!!?」

シンディ:「ピアーズ!!」
あまりの光景に叫ぶシンディ。


ピアーズ:「くそっ…」
ピアーズはダメージを負いながらも一旦後ろに下がった。


血が流れる右肩を押さえるピアーズ。


ウェスカー:「敵になった以上、容赦はしない。敵なら、死ぬまで切るだけだ」
ウェスカーから感じる殺気は、今まで感じたことがなかった。

いや、感じたことはあるのかもしれない…。


今まで、自分に向けられていなかっただけで、それを感じられていなかったのかもしれない。


けど、初めてウェスカーの殺気を感じてわかった。こいつは、とてつもなく強いということに…。


ピアーズ:「何度も戦っているはずなのに知らなかったぜ。お前が、こんなに強かったとはな」
ピアーズが持つキュムロニンバス・バハムートが輝き、セカンドステージ状態になる。






ピアーズ:「お前が裏切り者である俺を殺すつもりなら、俺も旧知として、お前を殺す。それが俺のケジメだ」
大きな傷を負いながらも、ピアーズから感じる気迫は本物だった。



ウェスカー:「今更、俺の力を知ったところで、何も解決策はない。ピアーズ、お前の死のカウントダウンは、俺が切ってやろう」
ウェスカーの身体中に黒いオーラが纏われる。


更に、背中から黒い翼が生え、空を飛ぶ。



葵:「背中から黒い翼…!?」
葵はウェスカーの翼を見て驚いた。

その翼はまるで、この場にいる全員を包み込むような暗く、そして恐怖が感じられる翼だった。



そんな中、万丈目が目を細くして、ウェスカーを見る。


ウェスカーの背後にいる黒い影。


それは黒騎士のような姿をしたモンスターだった。


おジャマ・イエロー:『万丈目のダンナァ』
突然、万丈目に声をかけてきたのは、万丈目のデッキに眠る精霊、”おジャマ・イエロー”だった。

おジャマ・イエロー:『あいつ…、あいつから感じられるオーラ、マジヤバイわ~。早く、ここから逃げようよ』
泣き言を言うおジャマ・イエロー。対する万丈目は、呆れた表情をする。


万丈目:「ずっと隠れていた奴が、何を今更。てか、お前、いつぶりに登場した?」
ふざけてを言ったつもりなのか、万丈目の頭にはクエスチョンマークがついていた。


万丈目自身もおジャマ・イエローを久しぶりに見たから、黙ってはいられなかったのだ。


おジャマ・イエロー:『こんな時に、冗談言ってる場合?ダンナ、早くここから離れましょう』
オネェ口調でおジャマ・イエローは万丈目にこの場を離れるよう要求する。


万丈目:「黙ってみていろ。俺たちは、もう後戻りできないところまで来ているんだ」
万丈目は、恐怖に包まれた黒い翼を広げるウェスカーを見つめる。



ピアーズ:「限界勢力…、バリアンズ・デュランダル・ヴァルキリーの力を纏ったか…」
長い付き合いであるピアーズにはわかる。ウェスカーが”CX(カオスエクシーズ)-バリアンズ・デュランダル・ヴァルキリー”を限界勢力の力で身に纏ったことに…。



ウェスカー:「ピアーズ。お前に天罰を与えてやる」


ピアーズ:「ヤナこった、俺はもうお前に負けるつもりはねえ。天罰を喰らうのは、お前の方だ!」
セカンドステージ状態のキュムロニンバス・バハムートから電撃が放出され、ピアーズの頭上に、雷で生成された大きな鳥が現れる。


ピアーズ:「ボルテック・フリカムイ」
ピアーズは今放つ技に全てを込める。


ウェスカーは空中で構え、そして魔法陣を目の前に展開する。


ウェスカー:「邪哮・鳥乱」
目の前に展開した魔法陣をバリアン・デュランダルで斬った瞬間、カラスのような黒い鳥が無数に現れ、ピアーズに迫る。


対するピアーズも、雷で生成した大きな鳥ボルテック・フリカムイの技をぶつける。


ピアーズ:「勝負だ!ウェスカー!」

ウェスカー:「絶望を味わえ!!」
両者の殺気は、周りで戦いを見守る者たちにも伝わるぐらい感じた。


ピアーズ:「うおおおおおお!」


ウェスカー:「うおおおおおお!」

両者の攻撃が衝突する。


その直後、爆風が周りを襲う。


エマリー:「きゃああ!」

ミスティ:「あぁぁ!」
爆風に吹き飛ばされるエマリーとミスティ。

それを鬼柳が背後から受け止め支える。



女性陣は、爆風の影響でほとんど立てられなかった。


ベクター:「おいおい、なんて衝突だ!」

璃緒:「あれだけの力で、これだけの規模の爆発を起こせるなんて…」
凌牙に支えられている璃緒が、目の前に映る攻撃による爆発を見て発言する。



シンディ:「ピアーズ!」
共にバリアン側を裏切ったシンディが、ピアーズの安否を心配する。


右京:「彼は無事なのですか?」
仲間として認めている右京が、ピアーズの安否を確認する。


爆風による影響で発生した白煙の所為で、ピアーズとウェスカーの姿が確認できない。


特に殺気も感じられない。戦いは終わっているようにも見える…。



白煙が晴れ、少しずつ目の前が見えるようになってきた。


さっきまで空を飛んでいたウェスカーだが、飛んでいた場所にウェスカーはいなかった。



対するピアーズは、息を切らすも、その場に立っていた。



凌牙:「ピアーズ…!」


風間:「あいつを倒したのか?最後のバリアンであるあいつを倒したのか?」

クロノス:「やったノーね!!」
バリアン8人衆のリーダーであるウェスカーが倒れたことに驚くクロノス達。

これで、ドン・サウザンドの元へ向かえる。



しかし、凌牙たちは戦慄する。

なぜなら、ピアーズがそこに立っているだけで、ウェスカーが倒れている姿を誰も見ていないからだ。


そして、そんなことを思ってから数秒後、思ってもいないことが起きてしまった。






グサッ!


ピアーズ:「…」
ピアーズの腹に刺さる黒い刀身…。


みんなは、あまりの衝撃に目を丸くする。


そして、刺されたピアーズも、自分が刺されたことに気付くのが遅れた。

恐る恐る下を見て、自分の腹部を見つめては、一体何が起きたのか理解しようとする。

だが、そんなことを考えている時間はなかった。



ウェスカー:「所詮、貴様は、この程度だ」
白煙の中から聞こえる声。それは、紛れもなくウェスカーだった。


黒い闇のオーラと違う力が、ウェスカーを覆っていた。



ウェスカー:「そして、俺とお前では大きく違うものがある。ドン・サウザンド様に信頼されているかされていないかだ」
ウェスカーの背後に出てくる黒い影。

それは、ドン・サウザンドの影だった。


ピアーズ:「ウェス…カー、貴様…」
苦しみに耐えながらピアーズに目線で怒りをぶつける。


ウェスカーは、手に持つ黒い聖剣バリアン・デュランダル…、いやセカンドステージとなったバリアン・デュランダルを引き、ピアーズの腹から剣を抜いた。

ピアーズは腹を押さえて跪いてしまった。


シンディ:「ピアーズ!」
シンディがピアーズの元へ走って行く。


ウェスカー:「シンディ、お前も裏切り者として、俺が始末する」
ウェスカーはセカンドステージ状態のバリアン・デュランダルを構える。


ウェスカー:「蝶剣・黒帯!」
黒い刀身が伸び、シンディに迫る。


小鳥:「シンディ、危ない!」
小鳥がシンディに危機を伝えるが、今更躱すことのできる距離ではなかった。

シンディのすぐ目の前まで黒い刀身が迫っていた。



シンディ:「!」
しかし、シンディに黒い刀身が刺さる直後、誰かがシンディを無理矢理押して、シンディを守った。

シンディを守ったのは誰でもないピアーズだった。

シンディ:「ピ、ピアーズ…!」

ピアーズの肩に黒い刀身が突き刺さる。


ウェスカー:「バリアンにとって感情は不要だと思っていたが、お前にはその感情が残っているようだな」

ピアーズ:「くっ…」
ピアーズは肩に突き刺さる黒い刀身を掴もうと右手を伸ばす。


だが、その前にウェスカーはそれを引き抜いた。


ウェスカー:「2人まとめてあの世へ送るつもりだったが、まずはお前から始末する」
ドン・サウザンドの力を身に纏い、セカンドステージ状態のバリアン・デュランダルに力が込められる。


慎也:「マズい!」

葵:「2人とも逃げて!」


シンディがすぐに立ち上がろうとし、ピアーズと共にこの場を離れようとする。


しかし、ピアーズは、重症の傷を負いながらもシンディを肩を押して逃がそうとする。


シンディ:「ピアーズ!」

ピアーズ:「バリアンとして、元人間として、俺の希望をお前に、そして後ろの連中に託す」
ピアーズはそう言って、ウェスカーに向かって走り出す。



凌牙:「ピアーズ!」
いきなり走り出すピアーズを見て動揺を隠し切れない凌牙たちであった。



ウェスカー:「絶望を味わえ、ピアーズ!そして、散れ!黒き暗黒の中で!」
ウェスカーがセカンドステージ状態のバリアン・デュランダルを思いっきり振り、黒いエネルギー球体を飛ばす。


ウェスカー:「ブラックホール・デュランダル!」
黒いエネルギー球体が、ピアーズに直撃した瞬間、ブラックホールが発生し、ピアーズを飲み込む。



ピアーズ:「ぐわあああああああ!」
衝撃の痛みに耐えるピアーズの悲鳴は、みんなの耳に聞こえていた。


ベクター:「ピアーズ!!」

璃緒:「っ!」
あまりの衝撃に璃緒は目を閉じた。


ピアーズ:「ぐわあああああ!」

ウェスカー:「消えろ!我が旧知よ!」
ブラックホールが集約され、そこを中心に大爆発が起きた。




ピアーズ、散る。旧知であるウェスカーの手によって…。








第11ED『切望のフリージア《DaizyStripper》』






次回予告

ナレーション:ウェスカーの手によって散ったピアーズ。

シンディの悲しみ、そしてピアーズを仲間として受け入れた璃緒たちの気持ちを胸に、凌牙が立ち上がる!

バリアン8人衆リーダーとの真の決着が今、始まる!!


凌牙:次回、遊戯王5DXAL「激突!水の槍VS黒き聖剣!」


凌牙:「ウェスカー!ピアーズに託された希望を背負って、お前を倒す!」







遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!


凌牙:「ウェスカーをリーダーとする”バリアン8人衆”は、元々は人間として生きていたが、ドン・サウザンドに忠誠を誓い、バリアンとして生まれ変わった8人で構成されたメンバーだ。かつて俺が率いたバリアン七皇のあとがまと言っても過言じゃねえ」
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