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第173話:『エクシーズ激戦!ナンバーズVSカオスエクシーズ』






マルピアスを模した空間に転移してきた凌牙や遊馬たち、フロンティアのメンバー


そんな中、一台のDホイールに乗った者が、みんなより少し遅れて、この空間に転移してきた。


そのDホイールに乗ったものは、初めて来た場所にも関わらず、何も迷うことなくDホイールを走らせた。


そして、そのDホイールの正面には、あるドラゴンの顔が象られていた。


そう、あの男が持つ最強ドラゴン


――青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)の顔が








第10OP『鏡のデュアル・イズム《petit milady》』









第173話:『エクシーズ激戦!ナンバーズVSカオスエクシーズ』






ドン・サウザンドがいると思われる場所に向かう遊馬達。


ベクターと璃緒のおかげで一度は戦いに終止符が打たれたかと思ったが、それは空想で終わってしまった。

ベクターたちにやられたのは、ドン・サウザンドの影。つまり偽者である。


遊馬も、このカイゼル・サウザンドに入る前に、ドン・サウザンドの影とやりあっているが、偽者でも奴の力は本物だ。


そして、先を急ぐ遊馬達の近くに、奴はまた潜んでいた。


???:『かつての記憶が我を揺るがす。言い余興を見せてもらうぞ。九十九遊馬、いやアストラル』
潜んでいるそいつの目はアストラルに向いていた。

そう、次の狙いはアストラルであった。



目的地の大樹まで走る遊馬たち。あの大樹に近づくにつれ、遊馬は昔のことを思い出していた。


遊馬:『俺は、あそこでバリアンの力を手に入れた…。敵だったドン・サウザンドから力を受け取ったことで・・・…』
あそこで起きた落石事故。その落石事故の所為で、遊馬は仲間たちと離れることを決意した。

バリアンの力を宿してしまった以上、仲間たちと一緒にいることはできない。

遊馬はそう思い、一度は決別を選んだ。


だが、50年経って再会を果たし、そして真実を知ってもなお、仲間たちは自分を仲間だと言ってくれた。

一度は決別を選んだが、やはり仲間とはいい物だと改めてわかった。


エリファス:『遊馬』
遊馬の背後にエリファスが現れる。何か慌てているようにも見える。

遊馬:「どうした?エリファス」

エリファス:『さっきから微弱ではあるが、奴の気配を感じる…』

遊馬:「!」

アストラル:『私も同じだ。あの大樹からではない。もっと近くに奴の気配を感じる…』
周りを見渡すアストラル。

アストラルもエリファスも、何かの気配を感じていたのだ。

遊馬はまだ何も感じていなかったが、アストラル世界の住民である、この2人がそう言うということは、そうなのだろう…。



遊馬:「みんな、止まってくれ」
先頭を走る遊馬が、いきなりその場に止まり、みんなを止める。


羽蛾:「おいおい、何だよ?」

竜崎:「先を急ぐんじゃないんかい?」
いきなり止まり出す遊馬になぜか反発する羽蛾と竜崎。


羅夢:「何かいるのか?」
羅夢がそう聞くと、遊馬は黙って頷いた。


遊馬:「なるほど、アストラルとエリファスの言う通りだな。確かに奴の気配を感じる…」
遊馬は深呼吸をする。

そして―。


遊馬:「出て来い!ドン・サウザンド!!」
遊馬が大きな声でそう叫ぶ。

シーンと静まる中、聞こえるのは風が吹く音。


しかし、突然、遊馬達の目前の空間が歪みだす。


カーリー:「なになに!?」

明里:「空間が歪みだしたわ!?」

ボマー:「まさか…!」
遊馬は、あいつの名を叫んでいた。

つまり、今から現れるのは―。


ドン・サウザンド:「…」
そう、ドン・サウザンドであった。



鉄男:「ド、ドン・サウザンド!?」

遊馬:「いや、あれも偽者だ」
遊馬は、自分たちの目の前にいるドン・サウザンドが偽者だと見抜いた。

遊馬:「奴から感じられる殺気は確かに強いが、かつて俺が戦ったドン・サウザンドよりは明らかに殺気が弱い」

エリファス:『また影か…』

ドン・サウザンド:「順調に進んでいるようだが、そう簡単に先へは行かせん」
ドン・サウザンドは右掌を前に突き出す。


遊馬:「やる気か…」

ドン・サウザンド:「安心しろ。今回は、お前が目的ではない」

遊馬:「何…」
ドン・サウザンドの狙いは遊馬ではなかった。



前に突き出した掌からが輝きが放たれ、その輝きはアストラルの身体をすり抜けた。

アストラル:『!?』

遊馬:「アストラル…!」

アストラル:『大丈夫だ。何ともない』
自分の胸に触れ、問題ないことを確認したアストラルは、遊馬にそう言った。






ドン・サウザンド:「フッ…」

遊馬:「ドン・サウザンド、お前アストラルに何をした?」

ドン・サウザンド:「別に何もしてはいない。ただ、昔のことを思い出したくてな」
ドン・サウザンドの右掌には黒い輝きの塊が乗っていた。


それは、何かの魂のようにも見える。


ドン・サウザンド:「所詮は、奴の記憶から作られたものに過ぎないか」


アストラル:『何を言っている…?』
ドン・サウザンドは、右掌に乗っている黒い輝きの塊を自身の胸へと押し込む。


すると、突然、ドン・サウザンドの身体に変化が訪れた。

身体が少しずつ小さくなり、元々の姿とはかけ離れた姿へとなっていく。

だが、その姿は、遊馬やアストラルにとって、あまり思い出したくない過去の記憶が蘇るだけだった。


遊馬:「チッ」

アストラル:『嫌がらせのつもりか?ドン・サウザンド』
少し腹が立っているのか遊馬に関しては舌打ちをする。

アストラルは表情こそポーカーフェイスだが、心の中では怒りで溢れていた。

なぜなら、自分たちの目に映っているのは、アストラルと同じ姿…いや、違う。

目の前にいる奴の姿について話すには、少し語らねばいけない。






かつてあるナンバーズは、ドン・サウザンドの一部と言われていた。それは、大昔アストラルとドン・サウザンドが戦ったとき、ドン・サウザンドの放った力がアストラルの中に入ったものである。

そう、つまり目の前にいるのはアストラルであってアストラルではない。

闇のアストラル。”No.96ブラック・ミスト”に宿っていたドン・サウザンドの力で生まれた闇のアストラルだ。



鉄男:「あれは、ブラック・ミスト…!悪のアストラル…!」
鉄男も、この黒いアストラルには一度手を焼いたことがあった。



黒い影:『所詮、記憶によって作られた幻。声までは変わらないか』
遊馬達の目の前にいる黒いアストラル。だが声はドン・サウザンドのままだった。


黒い影:『我の本体までたどり着きたければ、ここで我を倒して見ろ。我のカオスエクシーズで、お前を葬る』
黒いアストラルの姿をしたドン・サウザンドが、左腕にデュエルディスクを装備する。


奴が指名しているは、自分だとアストラルは少しずつ前に出る。


遊馬:「アストラル…」

アストラル:『奴は私を指名している。なら、ここは私が行こう』

エリファス:『奴は、確実にキミを挑発している。罠の可能性もある』

アストラル:『これこそが、奴の罠だ。ドン・サウザンドは、かつての敵を私たちの前に現し、こちら側を怒りで満たそうとしている。だが、そんなことで、私は怒りに囚われるつもりはない』
アストラルは左腕にデュエルディスクを装着する。


アストラル:『それに?』

遊馬:「?」

アストラル:『君もエリファスも戦った。それなのに私だけ何もしていないのは腑に落ちないのだ。だから、腑に落ちるために、ここは私が行こう』
アストラルは、軽い笑みを浮かべながら、それを遊馬とエリファスに見せる。

遊馬:「フッ、わかったよ。ここは、お前に任せるぜ、アストラル」
遊馬は、この勝負をアストラルに任せることにした。

アストラル:『ありがとう、遊馬。すぐにケリをつけてくる』
アストラルはそう言って、前に出る。


エリファス:『よかったのか?』

遊馬:「あいつがやるって言ってんだ。なら、あいつを信じようぜ」
遊馬がそう言って、デュエルに巻き込まれない場所まで下がる。

エリファスは遊馬の後をついて行く。



黒い影:『かつて、お前を苦しめた自分自身を見て、どんな気分だ?』

アストラル:『そいつは、私自身ではない。まあ、今の質問の答えは”最悪”…、この一言だけだ』

黒い影:『お前はかつての亡霊に敗れる。バリアンの象徴であるカオスエクシーズによって!』

アストラル:『私は亡霊などに負けるるもりはない』
お互いにデュエルディスクを構え、デッキから5枚のカードを引いた。


そして―


『『デュエル!!』』

両者の掛け声と共にデュエルがスタートした。


その間に、遊馬は鉄男の隣に立つ。

鉄男:「嫌な記憶が蘇っちまったな」

遊馬:「あぁ、俺にとって、あいつはドン・サウザンドよりも会いたくない奴だったよ。ドン・サウザンドが化けているとはいえ、その姿は奴と瓜二つ。悪趣味な奴だぜ」

鉄男:「だが、あんな奴にアストラルは負けない。そうだろ?」

遊馬:「当たり前だぜ。あんな奴に負けたら、アストラル世界は今頃終わってるぜ」
2人ともアストラルの勝利を心から信じていた。






両者
LP4000





1ターン

アストラル:『先行は私がもらう。私のターン、ドロー!』
アストラルがデッキからカードをドローし、手札が6枚になる。

アストラル:『私は”アストラル・マジシャン”を召喚!』
どこかガガガマジシャンに似た輝く魔法使い族がアストラルの場に現れる。


アストラル・マジシャン
LV4 攻撃力1500


アストラル:『カードを1枚セットし、ターンエンド』
アストラルはモンスターを召喚し、カードを1枚セットしてターンを終えた。

敵の出方を見ているのだ。デュエル開始前に、奴はカオスエクシーズという言葉、2、3回言っていた。

バリアンが操るカオスエクシーズ。アストラルは、それを警戒していた。





2ターン
両者
LP4000


黒い影:『我のターン!』
黒い影がデッキからカードをドローし、手札が6枚になる。


黒い影:『我はマジックカード”マリスボラス・トレイ”を発動!手札に存在するマリスボラスと名の付くモンスターカードを可能な限り効果を無効にして特殊召喚する』
黒い影の手札5枚から3枚のカードが輝く。

黒い影:『現れろ!”マリスボラス・スプーン”!”マリスボラス・フォーク”!”マリスボラス・ナイフ”!』
黒い影の場に、それぞれスプーン、フォーク、ナイフを武器にする黒い悪魔が現れる。


マリスボラス・スプーン
LV2 守備力500


マリスボラス・フォーク
LV2 守備力400


マリスボラス・ナイフ
LV2 守備力100


アストラルたちは、この3体のマリスボラスを見て、No.96ブラック・ミストのデッキを思い出した。

あいつも、このマリスボラスデッキを操り、こちらに戦いを挑んで来た。

アストラル:『デッキまで同じとはな。嘗められてものだ。私を同じ手で倒すことはできないぞ。ドン・サウザンド』
見たことのあるカードなら、アストラルには分がある。

マリスボラスはレベル2の悪魔族・闇属性モンスターを起点とするビートダウンデッキ。

マリスボラス自体は低レベルのモンスターばかりなので、素早くモンスターを揃えてエクシーズ召喚の素材にするのが一般的な戦術だ。

黒い影:『残念だが、我が使うデッキは、お前たちの知るデッキとは違う。今、それを見せてやろう』
黒い影は、1枚のカードを掲げる。

黒い影:『我はフィールド魔法”カオスエクシーズ・サンクチュアリ”を発動!』
黒い影を中心に、結界のようなものがフィールドに張られる。


アストラル:『っ!』



遊馬:「こいつは…!」

双六:「一体なんじゃ…!」
突然現れた結界に、遊馬達が動揺する。



アストラル:『この邪悪な力に満ちた感じは…、バリアンの力か…!』

黒い影:『そう、このカード自体がバリアン世界と同じ成分でできている。バリアン世界の成分をカードに封じ込め、それをフィールドに拡散させる。このカードの効果により、自分フィールド上に存在する攻撃力1000以下のモンスターを全て墓地に送る!』
黒い影の場に存在していた3体のマリスボラスモンスターが、墓地へと葬られる。

黒い影:『そして、エクストラデッキからカオスエクシーズと名の付くエクシーズモンスターを墓地へ送ったモンスターの数だけ、効果を無効にして特殊召喚する!』
墓地へ送ったモンスターは3体。よって、3体のカオスエクシーズを特殊召喚するということだ。

アストラル:『エクシーズ素材を使わず、3体もエクシーズを召喚すると言うのか!』

黒い影:『その通りだ!さあ、現れるがいい!』
フィールド頭上に3つの異次元の渦が現れ、その中からモンスターが現れる。


黒い影:『現れろ!”CX(カオスエクシーズ)機装魔人エンジェネラル”!!」
天使には見えない機械族のようなモンスターが次元の渦の中より舞い降りてきた。


CX機装魔人エンジェネラル
ランク4 攻撃力2600


黒い影:『”CX(カオスエクシーズ)CH(コミットヒーロー)レジェンド・アーサー”!!』
両肩に城のような建物の鎧を身につけ巨大な剣を持つモンスターが現れる。


CX(カオスエクシーズ)CH(コミットヒーロー)レジェンド・アーサー
ランク5 攻撃力3000


黒い影:『”CX(カオスエクシーズ)激烈華戦艦タオヤメ”!』
巨大な花びらが開くような要塞が現れる。


CX(カオスエクシーズ)激烈華戦艦タオヤメ
ランク4 攻撃力2400




鉄男:「カオスエクシーズがいきなり3体も…!」

オボミ:『ピンチ!ピンチ!』
アストラルの危機的状況を見て、オボミがクルクルと身体を回転させる。


黒い影:『行くぞ。CH(コミットヒーロー)レジェンド・アーサーでアストラル・マジシャンに攻撃!カオス・ブラスト!!』
レジェンド・アーサーはいとも簡単にアストラル・マジシャンを破壊し、アストラルにダメージを与える。


アストラル:『くっ!』


アストラル
LP4000→2500


黒い影:『まさか、こんな結末とはな。機装魔人エンジェネラルでダイレクトアタック!ドゥームズ・エアレイド!!』
機装魔人エンジェネラルがアストラルに攻撃を仕掛ける。



羅夢:「この攻撃が通れば、アストラルは瞬殺だ!」

遊馬:「心配ねえよ」
みんなが慌てている中、遊馬だけが落ち着いた表情をしていた。

遊馬:「あいつのことだ。奴がカオスエクシーズモンスターを出すことは想定していたはずだぜ」
遊馬の言う通り、アストラルは伏せていたカードを発動した。


アストラル:『トラップ発動!”アストラル・バックバリア”!』
アストラルが発動したカードにより、アストラルの周りに透明なバリアが張られ、機装魔人エンジェネラルの攻撃から身を守った。

アストラル:『自分フィールド上に存在するアストラルモンスターが戦闘で破壊されたターンに、直接攻撃を宣言されたとき、このターンのバトルフェイズを強制終了し、更に、このターン戦闘で破壊されたアストラルモンスターを私のフィールド上に呼び戻す!』
バトルフェイズが終了ということは、残るもう1体のカオスエクシーズは、このターン攻撃することができないということだ。

そして、アストラルの場に、数十秒前に破壊されたアストラル・マジシャンが現れる。


アストラル・マジシャン
攻撃力1500


黒い影:『トドメを刺し損ねたか。だが、この絶対的な状況に、お前はどう立ち向かう?アストラル。我はこれでターンエンド』
黒い影のターンが終了した。


アストラル:『絶対的な状況か…。確かに、カオスエクシーズ3体を倒すには、少し骨が折れる。だが、私にはナンバーズがある。そのナンバーズで、貴様を倒す!』
アストラルは黒い影もとい黒いアストラルに化けているドン・サウザンドの影に、自分の勝利を宣言する。






デュエルが継続している中、その場に先ほど別れた彼らが到着した。


一馬:「遊馬!」
突然、父の声を聞いて後ろを振りむく遊馬。

そこには、一馬とトロン、そしてフェイカーが走ってこちらに近づいていた。


遊馬:「父ちゃん!」

明里:「父さん、よかった。無事だったのね!」父の無事を確認した明里がホッとした表情を見せる。


一馬:「あぁ、心配かけたな」

遊馬:「ハートランドは?」
一馬たちを置いて、先に自分たちだけが前に進んで来たのは、突然目の前に現れたミスター・ハートランドと決着をつけさせるためであった。


フェイカー:「問題ない。我々で倒してきた」

トロン:「もっとも、倒した直後に謎の光が、ハートランドを照らし消滅させたがな」

エリファス:『おそらく、ドン・サウザンドの仕業だろ』

遊馬:「あぁ、用済みと判断されて消されたんだろうな。昔と同じだ」
かつて、自分に負けたハートランドも、最後は4枚の偽りのナンバーズ”No.1”から”No.4”のカードによって全身が黒い炎で焼き尽くされ、消滅した。


一馬:「それで、アストラルと戦っているあいつは?」
アストラルと戦う黒い影が気になった一馬は遊馬に問いかけた。

遊馬:「ドン・サウザンドの影がなりすましているまがい物ってやつだ」

トロン:「相手の場にはカオスエクシーズが3体か…」

フェイカー:「これは、正直危機的状況だな」
アストラルが不利な立場に立たされていることは、誰が見ても分かる。

だが、アストラルは弱いデュエリストではない。

遊馬:「心配ねえさ。あいつなら、必ず勝つ。カオスエクシーズなんかに負けるデュエリストじゃねえよ」
デュエルを見守る遊馬が、笑みを見せて呟く。








3ターン
アストラル
LP2500
黒い影
LP4000


アストラル:『私のターン!』
アストラルはデッキからカードをドローする。


アストラル:『私はマジックカード”リチュアル・リファインメント”を発動!このカードは、自分フィールド上に存在するアストラルモンスターの、倍の数のモンスターをデッキから特殊召喚する!私の場にいるアストラルモンスターは1体。よって2体のアストラルモンスターを特殊召喚!現れろ!”アストラル・ゴーレム”、”アストラル・ナイト”!』
ゴゴゴゴーレムと同じ姿をしたモンスターと、ズババナイトと同じ姿をしたモンスターが現れる。

しかし、どちらとも実体は持っておらず、アストラル世界の光でできたモンスターである。


アストラル・ゴーレム
レベル4 攻撃力1800


アストラル・ナイト
レベル3 攻撃力1600


アストラル:『そちらがカオスエクシーズの戦力でこちらを叩こうとするのなら、私はナンバーズで対抗させてもらう!私はマジックカード”パラレル・マテリアル”を発動!』
マジックカードを発動した瞬間、アストラルのフィールドが輝く。

アストラル:『このターン、自分フィールド上のモンスター1体で2体分のエクシーズ素材にすることができる!』

黒い影:『ほお』

アストラル:『アストラル・マジシャンの効果発動!アストラルと名の付くモンスターのレベルを倍にする!』
アストラル・マジシャンの効果により、アストラル・ゴーレムのレベルが倍の数値になる。


アストラル・ゴーレム
レベル4→8


アストラル:『私はレベル8となった2体分のアストラル・ゴーレムでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!』
フィールド上に次元の渦が現れ、アストラル・ゴーレムが吸収され、爆発を引き起こし新たなモンスターが降臨する。

アストラル:『圧倒的な巨躯を誇る牢獄、その力でフィールドを支配せよ!”No.68摩天牢サンダルフォン”!!』
ユダヤ教の大天使の名を持つ牢屋の姿をしたモンスターが現れた。


No.68摩天牢サンダルフォン
ランク8 攻撃力2100


アストラル:『更に私は再びアストラル・マジシャンの効果発動!アストラル・マジシャン自身のレベルを倍にする!』
レベル4のアストラル・マジシャンのレベルが倍の数値になる。


アストラル・マジシャン
レベル4→8


アストラル:『更にマジックカード”アストラル・DNAチェンジ”!アストラルモンスター1体の種族を、私が選択した種族にエンドフェイズまで変更する!私はドラゴン族を選択する』
これでアストラル・マジシャンのの種族が変更された。


アストラル・マジシャン
魔法使い族→ドラゴン族



黒い影:『わざわざ種族を変更するということは、そうしなければいけないエクシーズモンスターを召喚するということか』

アストラル:『そうだ!私はレベル8となったアストラル・マジシャン2体分でオーバーレイ!2体のドラゴン族モンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!』
再び次元の渦が現れ、アストラル・マジシャンを吸収し、新たなモンスターを呼び起こす。

アストラル:『現れろ、No.46!雷鳴よ、とどろけ。稲光よ、きらめけ。顕現せよ、我が金色の龍、”神影龍ドラッグルーオン”!』
白い鱗に、大きい翼と長い尻尾の竜。その姿はまさに神龍であった。


No.46神影龍ドラッグルーオン
ランク8 攻撃力3000


アストラル:『そして、2体分となったレベル3のアストラル・ナイトでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!』
新たなに次元の渦が現れ、そこから新たなモンスターが現れる。

アストラル:『現れろ!No.30!すべてをその忌まわしき力で溶かしつくせ!”破滅のアシッド・ゴーレム”!』
身体中の筒の穴から酸のようなものを垂らすモンスターが現れる。


No.30破滅のアシッド・ゴーレム
ランク3 攻撃力3000


アーサー:「おお」

レベッカ:「一気にエクシーズモンスターを3体も出してくるなんて」

鉄男:「やっぱりアストラルはすげえな」
わずか1ターンでナンバーズを3体もエクシーズ召喚してきたことに、傍観者が興奮する。

アストラル:『私は摩天牢サンダルフォンの効果発動。互いの墓地に存在するモンスター1体につき、このカードの攻撃力守備力は×100ポイントアップする。今、お前の墓地には3体のモンスターが眠っている。よって300ポイントサンダルフォンの攻守はアップする!』
摩天牢サンダルフォンの攻撃力が上昇する。


No.68摩天牢サンダルフォン
攻撃力2100→2400


アストラル:『バトル!破滅のアシッド・ゴーレムでCH(コミットヒーロー)レジェンド・アーサーに攻撃!アシッド・スプラッシュ!!』
酸を吹き出し、その拳をレジェンド・アーサーにぶつける。

しかし、攻撃力は両モンスター共に3000。よって勝負は相打ちとなった。

アストラル:『お前のモンスターと、私のアシッドゴーレム、そしてアシッドゴーレムに乗ってオーバーレイユニットが墓地へ行ったことで、摩天牢サンダルフォンの攻撃力が、更に300ポイントアップ!』
摩天牢サンダルフォンの攻撃力が更に上昇する。


No.68摩天牢サンダルフォン
攻撃力2400→2700


アストラル:『摩天牢サンダルフォンで、激烈華戦艦タオヤメに攻撃!』
摩天牢サンダルフォンが体内にタオヤメを封じ込め懲らしめて破壊する。


黒い影:『っ!』


黒い影
LP4000→3700


そして、黒い影の墓地にモンスターが増えたことで、サンダルフォンの攻撃力が再びアップする。


No.68摩天牢サンダルフォン
攻撃力2700→2800


アストラル:『このターン、最後の攻撃だ!神影龍ドラッグルーオンで機装魔人エンジェネラルに攻撃!火炎神激!!』
身体が炎に包まれ、口元に炎を溜めてそれを一気に解き放ち、エンジェネラルを粉砕する。


黒い影
LP3700→3300


黒い影:『やるな。まさか、カオスエクシーズを1ターンで全て破壊するとは』

アストラル:『カオスエクシーズとは何度もやりあっている。同じ戦術では私には勝てない。私はカードを1枚セットし、ターンエンド』
アストラルのターンが終了した。


アストラル:『向こうのことだ。必ず、ナンバーズ対策で仕掛けてくるはずだ…。どう出てくる…』
アストラルは警戒した目で黒い影を見つめる。






4ターン
アストラル
LP2500
黒い影
LP3300


黒い影:『我のターン!』
黒い影がカードをドローする。


アストラル:『この瞬間、摩天牢サンダルフォンの効果発動!オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、相手ターン終了時まで、このカードは効果では破壊されず、お互いに墓地のモンスターを特殊召喚できない! 』
サンダルフォンはオーバーレイユニットを使用し、万全な状態でフィールド上に立つ。


No.68摩天牢サンダルフォン
オーバーレイユニット:1→0

更に、オーバーレイユニットであったアストラル・ゴーレムが墓地に送られたことで、更に攻撃力アップする。


No.68摩天牢サンダルフォン
攻撃力2800→2900


黒い影:『3体のカオスエクシーズを破壊したところでいい気になるなよ、アストラル。我はマジックカード”マリスボラス・ボンド”を発動!』
黒い影のフィールドが、黒い霧に覆われる。 


黒い影:『我はライフを1000ポイント払うことで、墓地に存在するマリスボラスと名の付くモンスターを任意選択し、選択したモンスターと同名モンスターをデッキから特殊召喚する』
黒い影のライフがダウンし、墓地に存在する3枚のカードが幻影として黒い影の背後に現れ、その魂がデッキに吸収される。


黒い影
LP3300→2300


つまり、黒い影は墓地のマリスボラス3体を選択したということだ。

そして、デッキから3枚のカードがサーチされ、黒い影の手に持たれる。

黒い影:『我は、マリスボラス・スプーン、フォーク、ナイフを1体ずつ特殊召喚する』
3体のマリスボラスがフィールド上に現れる。


マリスボラス・スプーン
守備力500


マリスボラス・フォーク
守備力400


マリスボラス・ナイフ
守備力100




鮫島:「また、低レベルのモンスターを呼び出してきたということは…」

ボマー:「フィールド魔法の効果が発動される…!」


カオスエクシーズ・サンクチュアリの真骨頂が、ここから始まる。


黒い影:『カオスエクシーズ・サンクチュアリの効果発動!自分フィールド上に存在する攻撃力1000以下のモンスターを全て墓地に送ることで、エクストラデッキからカオスエクシーズと名の付くエクシーズモンスターを効果を無効にして特殊召喚する!』
3体のマリスボラスが墓地へと送られた。


黒い影:『現れろ!”CX(カオスエクシーズ)超巨大空中要塞バビロン”!』
巨大な空中要塞が黒い影の頭上に出没する。


CX超巨大空中要塞バビロン
ランク11 攻撃力3800


黒い影:『”CX(カオスエクシーズ)熱血指導神アルティメットレーナー”!』
6本の腕を持つ戦士が紅蓮の炎に纏われて現れる。


CX熱血指導神アルティメットレーナー
ランク9 攻撃力3800


黒い影:『”CX(カオスエクシーズ)風紀大宮司サイモン”!』
陰陽師のような白い和服に包まれたモンスターが何かを振り回して現れる。


CX風紀大宮司サイモン
ランク7 攻撃力3000


アストラル:『再びカオスエクシーズを…。だが、モンスターが3体墓地へ送られたことで、サンダルフォンの攻撃力が更に300ポイントアップ!』
サンダルフォンの攻撃力が上昇する。


No.68摩天牢サンダルフォン
攻撃力2900→3200


黒い影:『たかが300ポイント攻撃力が上がったところで、状況は何も変わりはしない。行くぞ。超巨大空中要塞バビロンで摩天牢サンダルフォンに攻撃!デステニー・バスター!!』
バビロンは主砲からビームを解き放ち、サンダルフォンを粉砕する。

アストラル:『くっ』


アストラル
LP2500→1900


黒い影:『続いて、熱血指導神アルティメットレーナーで神影龍ドラッグルーオンに攻撃!』
紅蓮の炎に包まれたその拳で、ドラッグルーオンを亡き者にした。

アストラル:『くうっ!』


アストラル
LP1900→1100


これでアストラルのフィールドには、モンスターが存在せずがら空きになってしまった。

黒い影:『さあ、最後だ。アストラル』
黒い影の目が、アストラルを怖い目で見つめる。


羽蛾:「おいおい、マズいじゃねえか!奴のフィールドには、攻撃できるモンスターが1体いるのに対して、こっちはモンスター0」

竜崎:「勝負決まったも当然やな」
味方であるはずの羽蛾と竜崎が、アストラルの敗北を決めつける。

しかし、中にはまだアストラルの負けを決めつけていない者たちもいた。

いや、むしろ決めつけていない方が大半だった。


一馬:『いや、アストラルのフィールドには、まだ…』
一馬はアストラルの場にある伏せカードを見つめる。

黒い影:『風紀大宮司サイモンでダイレクトアタック!』
風紀大宮司サイモンがアストラルに攻撃を仕掛ける。

アストラル:『まだだ。まだ私には、このカードがある!トラップ発動!”カオスエクシーズ・ノット・ムーヴ”!』

黒い影:『!』

アストラル:『このカードは、相手がカオスエクシーズモンスターでダイレクトアタックを宣言したとき、その攻撃を無効にし、エクストラデッキからナンバーズ1体を攻撃力を0にして特殊召喚する!』
サイモンの攻撃が強制的に止まる。

黒い影:『あんなトラップカードを伏せていたとはな…』
黒い影の表情は少し悔しそうにも見えた。


アストラルのフィールドに異次元のワープホールが現れ、その中からエクシーズモンスターが1体現れる。


アストラル:『現れろ!”No.39希望皇ホープ”!』
遊馬のエースモンスターとも言える希望皇ホープがアストラルの場に召喚された。


No.39希望皇ホープ
ランク4 攻撃力2500→0


黒い影:『ここで、希望皇ホープを出してくるとはな。だが、攻撃力は0。何も怖くはない。我のターンは終了だ』
黒い影のターンのが終了した。


アストラル:『何も怖くはないか。ドン・サウザンド、その言葉、今ここで言ったことを後悔するぞ』

黒い影:『?』

アストラル:『希望皇ホープは、私と遊馬との絆を象徴するモンスター。ホープは、その名の通り、我々に希望をそして奇跡を与えてくれる!』
アストラルは右手を上に挙げる。



アストラル:『さあ、ラストターンだ。ドン・サウザンド!』
アストラルは次のターンのドローフェイズを実行する。





5ターン
アストラル
LP1100
黒い影
LP2300


アストラル:『私のターン!』
アストラルはデッキからカードをドローし、手札が2枚になる。

アストラルは引いたカードを確認し、笑みを浮かべた。

アストラル:『引き当てたぞ』

黒い影:『?』

アストラル:『かつて私と遊馬の熱き思いが重なったときに生まれた運命のカード!』
アストラルは、そのカードを黒い影に見せた。

そのカードは魔法カード。そして、ランクアップマジックという言葉が書かれていた。

アストラル:『このカードは、最強のナンバーズを呼び出すための礎となる!私は手札の”RUM(ランクアップマジック)ヌメロン・フォース”を墓地へ送り、』
アストラルはエクシーズモンスターのランクを上げてエクシーズチェンジさせるランクアップマジックのカードを墓地へ送った。


アストラル:『フィールド上の希望皇ホープでオーバーレイ!』
ホープの魂が天空へと昇天し、新たなモンスターを呼び覚ます。


アストラル:『希望皇ホープでオーバーレイネットワークを再構築!エクシーズ召喚!!』
白い鎧を身に纏った白き竜が翼を広げて、地上に降り立つ。

アストラル:『現れよNo.99!砕け散り我が魂の記憶。今、ひとつの星となりて、天命を貫く霹靂となれ!これがナンバーズの終焉にして頂点!”希望皇龍ホープドラグーン”!!』



最強のナンバーズが、今降臨した―


No.99希望皇龍ホープドラグーン
ランク10 攻撃力4000


黒い影:『ナンバーズ99だと…!』
ホープドラグーンを見て、ずっと落ち着いた表情をしていた黒い影もといドン・サウザンドが、動揺していた。

遊馬:「よし!ホープドラグーンの召喚に成功した!」


鉄男:「これなら!」
遊馬達もアストラルの勝利が見えてきたようだ。

アストラル:『ホープドラグーンの効果発動!1ターンに1度、墓地からナンバーズ1体を守備表示で特殊召喚する!私は摩天牢サンダルフォンを選択し、特殊召喚!』
前のターンに破壊されたサンダルフォンが再びアストラルの場に現れる。


No.68摩天牢サンダルフォン
守備力2700


アストラル:『マジックカード”ナンバーズ・ランク・アタック”!!自分フィールド上に存在するナンバーズ1体を選択して発動。選択したナンバーズを墓地へ送り、自分フィールド上に存在するモンスター1体は、このターン墓地へ送ったナンバーズのランク1つに付き、1回の攻撃を可能にする!ただし、ダイレクトアタックはできない!私は摩天牢サンダルフォンをリリース!サンダルフォンのランクは8!よって、ホープドラグーンは8回の攻撃を可能にする!』
サンダルフォンの魂が、ホープドラグーンへと受け継がれた。


黒い影:『攻撃力4000の8回攻撃だと…!?』

アストラル:『どんなに防御して来ても、8回分の攻撃は防ぎきれまい。といっても、そちらに怪しい伏せカードはないようだがな』
黒い影の場には、3体のカオスエクシーズモンスターとフィールド魔法1枚が存在していた。

つまり、攻撃を防御するようなカードは見当たらないということだ。


アストラル:『行くぞ!ホープドラグーンで、まずは熱血指導神アルティメットレーナーに攻撃!』
ホープドラグーンは容赦ない攻撃を解き放ち、アルティメットレーナーを粉砕した。

黒い影:『くっ!』


黒い影
LP2300→2100


アストラル:『次にホープドラグーンで超巨大空中要塞バビロンに攻撃!』
ホープドラグーンは再び、破壊力のある攻撃を繰り出し、巨大なモンスターであるバビロンを跡形もなく消し飛ばした。


黒い影:『うぅっ!』


黒い影
LP2100→1900


アストラル:『そして、ホープドラグーンで風紀大宮司サイモンに攻撃!』
黒い影の場にいた最後のモンスターを破壊した。

黒い影:『ぐわああ!』


黒い影
LP1900→900


これで、黒い影の場はがら空きとなった。

だが、ナンバーズ・ランク・アタックの効果で攻撃をするホープドラグーンは相手にダイレクトアタックできない。

つまり、

黒い影:『我の場にモンスターはいない。そして、ホープドラグーンはダイレクトアタックできない状態になっている。残念だが、ライフ0までは届かなかったな』
ライフが0にならなかったことに喜ぶ黒い影。

だが、アストラルは手元に最後の手札のカードを見せつける。

黒い影:『っ!』


アストラル:『速攻魔法”アストラル・エクシーズ・デストロイ”を発動!このターン、相手のエクシーズモンスターを戦闘で3体以上破壊したときに発動可能!墓地のアストラルモンスターを全て除外し、除外したモンスター1枚に付き300ポイントのダメージを与える!』

黒い影:『墓地のアストラルモンスターの数だと…!』

アストラル:『私の墓地には、アストラル・マジシャン、ゴーレム、ナイトの計3体が存在する。よって、アストラルモンスター3体を除外!合計900ダメージをお前に与える!』
アストラルが黒い影に向かって指を差し、そう宣言する。

黒い影:『なっ!』

アストラルのフィールドにアストラルモンスター3体の幻影が現れ、そして、その魂が黒い影を襲う。


黒い影:『……』


黒い影
LP900→0


黒い影は、眩しい光に包まれる。






第11ED『切望のフリージア《DaizyStripper》』






次回予告

ナレーション:黒いアストラルに扮していたドン・サウザンドを倒したアストラル。

だが、ドン・サウザンドは、まだ奥の手を残していた。

それは他の仲間たちが倒したはずの、蝉丸、クラゲ先輩、蚊忍者の3人だった。

3人の牙が、遊馬達に向けられたとき、あの男が爆音と共に、遊馬たちの前に現れる。


双六:次回、遊戯王5DXAL「海馬登場!ブルーアイズ・エクステンダー!」


双六:「最近、見ないと思ったら、あんなものを…」



遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!


アストラル:『最強のナンバーズ、”No.99希望皇龍ホープドラグーン”は、ランク10のエクシーズモンスターで攻撃力4000という高い攻撃力を持っている。手札のランクアップマジックを捨て、希望皇ホープはオーバーレイユニットにすることでエクシーズ召喚可能だ』
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