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第168話:『一馬&トロン&フェイカー 父親タッグ!』








遊馬:「随分、遅かったな」


ベクター:『誰かさんが、面倒な仕事を押し付けた所為だろ』
ほとんどの者が驚いた。なぜなら、声の主は裏切り者のベクターだったからだ。




バリアン世界の本拠地


ベクター:「こっちは、とりあえず、終わらせたぜ」
かすり傷を負っているベクター、そして璃緒。


その近くには、今回の事件の現況、ドン・サウザンドが倒れていた。





ウェスカー:「どういうことだ…?」
フロンティアメンバーが持つミッションウォッチから聞こえるベクターの声を聞いて表情が一変するウェスカーは、動揺していた。


遊馬は、ウェスカーの表情を見て少し笑った。







第9OP『HEART・BEAT《MARIA》』







第168話:『一馬&トロン&フェイカー 父親タッグ!』





みんなのミッションウォッチにベクターの声が聞こえた。






ハートランド:「どういうことだ…!なぜ、ベクターの声が聞こえる!奴は、今頃、ドン・サウザンド様に生贄にされている頃では!」
遊馬達のデュエルを見ていたハートランドも動揺を隠し切れなかった。




凌牙ルート


凌牙:「ベクター!貴様!」
妹の璃緒を連れ去ったベクターの声を聞いて、怒りを露にする兄、凌牙。

しかし、通信の向こう側から、その妹の声が聞こえた。





璃緒:「私なら無事よ、凌牙」
ドン・サウザンドとの戦いで、少しケガを負った璃緒が凌牙を、そしてみんなを安心させる声で呟いた。





凌牙:「璃緒…!お前、無事なのか?」



璃緒:「ええ、少しケガしたぐらいよ」

ベクター:「安心しろよ。妹は俺様が仕方なく守ってやったよ」

璃緒:「調子いいですこと…」
地べたに座るベクターを見てため息をつく璃緒。


凌牙:『ベクター、お前…』
凌牙の言葉に怒りはなかった。何があったのかわからない凌牙だったが、璃緒がすぐに伝える。



璃緒:「凌牙、それに皆さん。私は無事です。ベクターも裏切ってはいません」
ベクターにさらわれた張本人である璃緒が、ベクターの濡れ衣を通信でみんなに伝える。




璃緒:『ベクターは、遊馬の指示で、事の事態を最小限に抑えるため、裏切った振りをして、ドン・サウザンドに近づいていたんです』







一馬:「遊馬の指示で…」
一馬は目の前にいる遊馬を見る。


遊馬は最悪の事態を想定していたのだ。

バリアン8人衆とずっと戦っていれば、時間は確実に無くなっていく。しかも、敵は8人衆だけではないことも、それなりに想定していた。



だから、ベクターを裏切り者に仕立て上げ、ドン・サウザンドに近づき、ドン・サウザンドを倒し、カイゼル・サウザンドが現れた現況とも言える血のデスリング、ヴィータのペンダント、アラクネーの宝玉の回収を頼んでいたのだ。



ベクター:「そういや、お前が言っていた3つの代物」も、ここにあるぜ」
ドン・サウザンドの近くには、その3つの代物も、転がり落ちている。






小鳥:「それじゃあ、あなたは、私たちを裏切っていないのね!」
小鳥は通信の向こうにいるベクターに慌てるような感じで確認を取る。




ベクター:「バリアンの時も楽しかったが、今の生き方も楽しいからな。裏切る理由が、今のところねえよ」
ベクターは、ニヒリ顔でそう言った。


璃緒:「あなたに、その顔は似合わないわね」
璃緒はクスッと笑って、そう言った。過去のベクターは他人を信じない性格だった。

彼が、こういうと思わず笑ってしまう。

ベクター:「うるせえよ」
照れ隠しのつもりか、ベクターあ少し大きな声で言った。







凌牙:「なら、お前1人でもよかったんじゃねえのか?」
遊馬に頼まれて裏切った振りをしたとはいえ、璃緒をさらう理由がわからない凌牙は聞いた。





ベクター:「奴らに俺が、ちゃんとお前たちを裏切ったっていう証拠を見せつけるためには、璃緒が必要だったんだよ」
ベクターが璃緒を見て、そう言った。

璃緒は知らんぷりをする。




遊馬:『俺は、さらえと言っていないからな。お前が璃緒をさらったときは、俺も驚いたぜ』


ベクター:「すげえ、裏切りっぷりだろ!」
遊馬も焦るほどの演技をしたことに、ベクターは納得する。






凌牙ルート


右京:「そう言えば、まだ若干残っているけど、電波障害が徐々に弱まっているって言ってたよね」


慎也:「もしかしたら、ドン・サウザンドを倒したことによる影響かもな」

葵:「それじゃあ、これで戦いは終わり…!私たちの勝ちってこと!」

慎也:「いや、それならカイゼル・サウザンドに、何か異変が起きるはずだ。だが、今のところ変化は見受けられない…」
確かに、全ての現況であるドン・サウザンドが倒れたとなれば、何かしら異変が起きるはずだが、電波障害が徐々に消えていくだけで、他に変化はない。





遊馬ルート


鮫島:「こちらには、まだ敵が残っています…!」

レベッカ:「バリアン8人衆リーダーのウェスカー!」

トロン:「それと…!」

フェイカー:「ミスター・ハートランド…!」
フェイカーは、宙に浮かぶハートランドを見つめる。


ハートランドの表情は暗かった…。

ハートランド:「まさか、ドン・サウザンドが…」
ドン・サウザンドがやられたことに、言葉を失うハートランドと、ウェスカー。


ウェスカー:「ドン・サウザンド様が、負けるはずはない…!そうだ!あの方は、神になる方!負けるはずがないのだ!」
ウェスカーの背後に、ワープホールのようなものが現れる。


ウェスカー:「ハートランド!ここは、お前に任せる!俺は、ドン・サウザンド様の元へ向かう!遊馬!決着はお預けだ。次会ったとき、お前の首は俺がもらう!」
ウェスカーは、ワープホールの中へと入る。



エリファス:『逃げる気か!』


遊馬:「逃がすか!」
遊馬は希望皇ホープのデュエルギア”ナディエージダ”を銃モードにして、その銃口をワープホールの中へ入ったウェスカーに向けて放つ。


しかし、ワープホールのすぐ手前に、ハートランドが降りてきて、手に持つ杖で、遊馬の銃弾を弾いた。


遊馬:「ハートランド…」
目の前に立つハートランドの名前を呟く遊馬。


そして、ウェスカーが入ったワープホールは、その場から消えた。


同時に、遊馬はゼアルを解き、いつもの状態に戻り、背後にアストラルが立つ。


ハートランド:「まさか、ドン・サウザンド様が破られるとは…。いえ、何かの間違いだ。あの方は、神!人間を、そしてバリアンを超える神だ!そんな方が、あの旧式に敗れるはずがない!」
ハートランドの怒りは、誰に向けられているのかわからないが、少なからず今は、目の前に立つ遊馬に向けられているのだろう。


遊馬:「ベクターと璃緒を、機械のような言い方するな、ハートランド!」

ハートランド:「おや?旧式と言ったことに腹が立っているのか?九十九遊馬。だが、奴らは元々バリアンだったのは、お前もよく知っているはずだ。今のバリアンが新型となるなら、かつてのバリアン七皇は、旧式。古い機械と同じだ」
ベクターと璃緒を侮辱するハートランド。


遊馬:「ホント、お前は腐った人間だぜ」

ウェスカー:「私はもはや、人間を捨てた身!人間を超えた存在なのだ!」
ウェスカーから気迫が放たれる。

ウェスカーほどではないが、それでも十分に強い気迫だ。


すると、遊馬はさっきまでウェスカーが立っていたところに何かが落ちていることに気付く。

バリアンズ・スフィア・キューブだ。今はバリアン世界に転移するときに使用するものだ。


遊馬:「ベクターはあれを使って、バリアン世界にワープした。なら、あれは誰にでも使える者なのか?」
遊馬は、隙を見て、バリアンズ・スフィア・キューブを取りに行こうとする。



ハートランド:「私はウェスカー様に、ここを任された。任された以上、私は、お前を倒さなければいけない」
ハートランドがDパッドを左腕につける。


ハートランド:「あの時は負けたが、今回はそうはいかない!ドン・サウザンドの力でパワーアップした、このデッキでお前を倒す!」
杖を突き付けるハートランド。


遊馬:「何度やっても同じだ。お前は、俺には勝てねえよ」
遊馬はハートランドを愚弄するかのように言った。


ハートランド:「生意気なガキが調子に乗るなよ」
ハートランドが気迫が更に強くなる。


遊馬は、デュエルをする態勢に入る。





すると、遊馬の目の前に何者かが立った。


遊馬:「と、父ちゃん…!」
遊馬の前に立ったのは、実の父、一馬…、そして、トロンとフェイカーだった。


ハートランド:「ん?何のつもりだ?」
自分の狙いは九十九遊馬ただ1人。他の者は眼中にない。一馬たちが目の前に現れ、少し驚いていた。

一馬:「遊馬。ここは、俺たちが相手をする」
一馬は息子に真剣な顔でそう言った。

小さい声で言ったつもりだったが、今の言葉はハートランドにも聞こえている。


遊馬:「父ちゃんたちが…!」


トロン:「あの男とは、因縁があるからね」

フェイカー:「けじめをつけさせてくれ」
トロンとフェイカーも、真剣な眼差しだった。



それに、なんだかんだ昔、あの男は一馬、フェイカー、トロンたちの息子に手を出し、痛めつけたこともあった。



ハートランド:「そこをどいてもらおうか。あなた方に興味はない」
何度も言おう。ハートランドの狙いはあくまで、遊馬である。

遊馬との勝負を邪魔する奴らは容赦なく排除するまで。



フェイカー:「昔は世話になったな、ハートランド。こうやって再会することになるとは、本当に残念だ」

ハートランド:「昔話でもしようと言うのですか?ドクター・フェイカー様。いえ、もうあなたは私の主ではない。上司面はやめてもらおうか」

フェイカー:「そのつもりで言ったわけではない」
フェイカーがハートランドと話している間、一馬は遊馬と目線を合わせる。

2人はアイコンタクトで頷いた。


フェイカー:「バリアンの仲間となり、ドン・サウザンドの忠誠を誓うことは、お前の勝手だ。だが、私からすれば、お前さんは、ドン・サウザンドにくっつくただの犬だ」

ハートランド:「犬で結構。ドン・サウザンド様への忠誠心こそが私の生きる道!神となる、あの方の下にいるだけで、私は幸せです!」
ハートランドは両手を広げて自慢するように言った。


フェイカー:「そうか、今の生き方が幸せか。なら、昔のハートランドは、もう死んだととらえて言いな」

ハートランド:「何が言いたい?」

フェイカー:「もう、君は人間として生きる資格がないと言っているのだ」
フェイカーは少し怖い目つきでハートランドを睨む。


ハートランド:「どうでもいいが、早くそこをどけ!邪魔だ!」
ハートランドは紅のオーラを纏い、手に持つ杖を突き出し、波動を出して、フェイカーたち3人をビビらせる。

だが、3人は全然怯むことがなかった。

そして―


遊馬:「うおおおおお!」
いつの間にか別方向から遊馬が叫びと共にハートランドに突っ込む。


しかし、狙いはハートランドではない。ハートランドのすぐそばに落ちているバリアンズ・スフィア・キューブだ。


ハートランド:「何…!?」
思わず動揺してしまったハートランドは、杖を下ろした。


遊馬:「頼むぞ、出てくれ!」
遊馬はキューブを投げると、そこにワープホールが出てきた。


アストラル:『どうやら、うまくいったようだな』

遊馬:「みんな、早く行くぞ!」
遊馬がそう言うと、みんながワープホールに向かって走る。


双六:「みんな、急ぐのじゃ!」


羅夢を先頭に、ワープホールの中にみんなが入る。


明里:「遊馬、父さんたちは!」

遊馬:「今は、父ちゃんたちを信じるんだ!」

明里:「でも!」
父を心配する明里。

全然、ワープホールの中へ入ろうとしない。

だが、それを―

オボミ:『ハヤク!ハヤク!』
オボミが明里を押して無理矢理、ワープホールの中へ入らせる。

明里:「オボミ!ちょっと待っ―」

最後に遊馬が入ろうとするが―。


ハートランド:「逃がさん!」
ハートランドが杖から波動を放つ。

だが、ワープホールの前に、一馬たち3人が立ち、遊馬を守る。

遊馬:「父ちゃん!フェイカー!トロン!」


一馬:「行け!遊馬!ここは、父ちゃんたちに任せろ!」
一馬がハートランドの攻撃に耐えながらそう言った。


遊馬:「わかった!」

アストラル:『急ぐぞ!遊馬!』

遊馬:「ああ、信じてるぜ!父ちゃん!」
遊馬はそう言って、ワープホールの中へ入った。


ワープホールは消えることなく、そのままその場所に留まっていた。


ハートランド:「くっ、ジジイどもが…」

トロン:「キミも十分ジジイだよね」
ハートランドを茶化すトロンに、ハートランドは歯を立てる。


一馬:「ここを通りたければ、俺たちを倒してからにしてもらおうか」
一馬がDパッドを左腕に装着する。




トロン:「昔、息子たちが世話になったみたいだからね。僕たちでお返しさせてもらうよ」

ハートランド:「いいだろう。九十九遊馬を殺す前に、あなた方を華麗に抹殺差し上げましょう!」
ハートランドは左腕に装着しているDパッドを展開する。


ハートランド:「ここは今から、バリアンズ・スフィア・フィールドへと化す!」
ハートランドが4つほどのバリアンズ・スフィア・キューブを上に投げ、フィールドを展開する。


一馬はDパッドを展開し、Dゲイザーを左目につける。



トロン、フェイカーもデュエルの準備をする。


ハートランド:「ルールはタッグデュエルで行う。ライフは、4000。あなた方が3人で4000とし、フィールドも共有して使用する。ルールに異論はありますか?」
ハートランドが確認する。


フェイカー:「ない」

トロン:「それでいいだろう」

一馬:「行くぞ!フェイカー!トロン!」



「「「「デュエル!!」」」」
4人の掛け声でデュエルがスタートした。



両者
LP4000






ワープホールの中へ入った遊馬たち。


周りに広がるのは、もう見慣れてしまった暗い空間で、その中にある一本の道だ。



明里:「父さんたちを置いて大丈夫だったの?」

遊馬:「父さんたちがやるって言ってるんだ。俺は、父ちゃんたちを信じるだけだ」
遊馬の真っ直ぐな視線でそう言った。

大人になったわね…。明里は心の中でそう呟く。



カーリー:「でも、あのままデュエルを続行していたら、遊馬君勝てたんじゃない?」
ウェスカーとのデュエル。奴は、ドン・サウザンドの安否が心配で無理矢理デュエルを中断した。


もし、あのままデュエルを続けていれば、遊馬は勝てたかもしれない。


遊馬:「そうとは限らないさ。奴のフィールドには伏せカードが2枚あった。あれが、もし俺のリバースカードを破壊するカードだったら、やばかったですよ」
中断する直前のターンの最後、遊馬はリバースカードを1枚伏せていた。



羅夢:「いずれにせよ、勝負はまだ分からなかった…。そうだよね?」

遊馬:「あぁ」
ウェスカーとのデュエルの行方はまだどっちに転がってもおかしくないデュエルだった。

だが、決着は付けなければいけない。

遊馬:『次会ったときが、本当の決着だ』
遊馬は、心の中で呟く。








フェイカーを相手にタッグデュエルする一馬、フェイカー、トロンの3人。




1ターン


ハートランド:「先行は、私がもらいます。人数で言えば私の方が不利なのでね」


トロン:「好きにしなよ」

ハートランド:「では、遠慮なく」
ハートランドがデッキから1枚ドローする。


ハートランド:「私は手札の永続魔法”インフェクション・エクステンション”をコストに、永続魔法”インフェクション・ジェネラル”を発動!」
永続魔法1枚を墓地へ送り、別の永続魔法をフィールドに出した。

そのカードを出した瞬間、カードから奇妙なオーラが放たれる。


トロン:『なんだ…、あのカードから伝わる気迫は…』

フェイカー:『あやつのデッキは、ドン・サウザンドの力で強化されている。私が感じているのは、ドン・サウザンドの力によるものなのか』

明らかにハートランドによる気迫じゃないことを感じるトロンとフェイカーは、ハートランドを警戒する。

勿論、一馬も、カードから放たれる気迫に気付いていた。冷や汗を少し垂らす。


ハートランド:「このカードが表側表示で存在するとき、毎ターンのスタンバイフェイズ時に、自分フィールド上に”インフェクション・バグ・トークン”を1体特殊召喚する。因みにですが、このトークンとの戦闘によって発生するプレイヤーへの戦闘ダメージは全て0となります。私はこれでターンエンド」
ハートランドのターンが終了した。


一馬:「モンスターを召喚せずターンを終了するとは…」

フェイカー:「普通なら、手札事故かと思いたいところだが、あんなカードを出して、そう言う気持ちにはならないな」
ハートランドが発動した永続魔法には、何か裏があることを感じ取るフェイカーたちであった。


トロン:「ここは僕から行くよ」

一馬:「先陣を切ってくれるのか?トロン?」


トロン:「早くあいつをぶっ飛ばしたくてね。久しぶりに子供になった気分だよ」
トロンが、次のターンを迎えることになった。






2ターン
両者
LP4000


トロン:「僕のターン!」
トロンがデッキからカードをドローする。


ハートランド:「この瞬間、インフェクション・ジェネラルの効果により、私の場にインフェクション・バグ・トークンを1体特殊召喚する!」
ハートランドの場に、赤い目をした蠅が現れる。


インフェクション・バグ・トークン
レベル1 守備力300



トロン:「僕は”紋章獣バシリスク”を召喚!」
トロンの場に怖い目つきをする鳥のようなモンスターが現れる。


紋章獣バシリスク
レベル4 攻撃力1000


トロン:「更にマジックカード”紋章獣の引き合い”!自分フィールド上に紋章獣1体を選択して発動し、選択したモンスターと同じレベルの紋章獣を手札から特殊召喚!来い!”紋章獣ユニコーン”!」
トロンの場に一角獣の紋章獣が現れる。


紋章獣ユニコーン
レベル4 攻撃力1100


一馬:「レベル4のモンスターが2体…」


トロン:「更に、自分フィールド上に紋章獣が2体以上存在するとき、”紋章獣エアレー”は手札から特殊召喚できる!」
長い角を持つ2足歩行のモンスターがトロンの場に現れる。


紋章獣エアレー
レベル4 攻撃力1000


一馬:「これで3体目…!」

トロン:「僕はレベル4の紋章獣バシリスク、ユニコーン、エアレーの3体でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」
フィールド中央に現れた渦に3体のモンスターが吸い込まれ、紋章の皇帝を呼び覚ます。


トロン:「紋章獣の頂点に立つ新たな帝よ!今こそ、その力を解き放ち、全てを包み込め!”紋章帝(メダリオン・カイザー)-ローブ・オブ・エステート”!!」
トロンの場に、紋章獣の頂点に立つエクシーズモンスターが現れる。かつてトロンが持っていたNo.69紋章神コート・オブ・アームズに似ている。


紋章帝-ローブ・オブ・エステート
ランク4 攻撃力2700


トロン:「ローブ・オブ・エステートの効果発動!オーバーレイユニットを一つ取り除き、相手フィールド上に存在するモンスター1体を破壊し、更に相手の手札からカードをランダムで墓地に捨てる!カイザー・ディストルツィオーネ!!」
ローブ・オブ・エステートはオーバーレイユニットを使い、インフェクション・バグ・トークンを破壊した。


紋章帝-ローブ・オブ・エステート
オーバーレイユニット:3→2


トロン:「キミの手札も1枚墓地へ送ってもらおうか」
トロンの言う通りに、ハートランドは手札を1枚墓地へ捨て、手札が3枚になる。



フェイカー:「ハートランドの場はがら空き。ローブ・オブ・エステートの攻撃が通れば、大ダメージを与えられる!」


トロン:「覚悟しろ!ハートランド!ローブ・オブ・エステートでダイレクトアタック!カイザー・カラミータ!!」
ローブ・オブ・エステートの攻撃が、ハートランドに迫る。

そして、ハートランドの周りに白煙が沢山立ち、ハートランドの姿が見えなくなる。


攻撃が通っていれば、2700の大ダメージがハートランドを襲っているはずだ。

だが、トロンは目を見開いた。


ハートランド
LP4000


トロン:「何…!」

フェイカー:「なぜ、ライフが減っていない…!」
ハートランドのライフが減っていなかったのだ。ましてや、ハートランドの場には、インフェクション・バグ・トークンが存在していた。


ハートランド:「これぞ、イッツ・ショータイーム!永続魔法インフェクション・ジェネラルの効果発動!相手のバトルフェイズ中に1度だけ、インフェクション・バグ・トークンを守備表示で特殊召喚できる」
永続魔法には、相手が攻撃したときのトークンを召喚する効果も備わっていたのだ。


インフェクション・バグ・トークン
守備力300


ハートランド:「更にインフェクション・バグ・トークンは、インフェクション・ジェネラルが存在する限り、戦闘では破壊されない」
つまり、どんなに攻撃力が高いモンスターを召喚していても、インフェクション・ジェネラルが場にある限り、インフェクション・バグ・トークンの破壊はできないということだ。

ましてや、トークンが守備表示でいれば、相手に戦闘ダメージも与えられない。


トロン:「嫌なカードだね、まったく…。カードを1枚セットしターンエンド」
トロンのターンが終了した。




3ターン
両者
LP4000


ハートランド:「では、再び私のターンです!」
ハートランドがデッキからカードをドローする。


ハートランド:『フッ、あなた方は私には勝てませんよ。私には、ドン・サウザンド様からもらった力がある。そう、九十九遊馬も知らない究極の力がね』
ハートランドが、心の中で高笑いをする。



一馬、トロン、フェイカーの3人に、闇の力が迫りくる!







第10ED『さすらいびと《DASEIN》』







次回予告

ナレーション:ハートランドを倒すため、今持てる全ての力を出し切る一馬、トロン、フェイカーの3人

だが、ハートランドはドン・サウザンドからもらった力を解放し、絶望を呼び起こすモンスターを召喚する!

ハートランドの力に苦戦する3人に勝機はあるのか!


フェイカー:次回、遊戯王5DXAL「血塗られし偉大なるバアルを撃破せよ!」


フェイカー:「我々3人の力で、お前を倒す!」






遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!


アストラル:『偽りのナンバーズと呼ばれた偽造ナンバーズは、かつてドン・サウザンドによって生み出された偽者ナンバーズである。そして、No.1からNo.4まで偽者のナンバーズは、闇デュエル界の四悪人へとそれぞれ渡った』
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