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第165話:『激動! VS闇デュエル界の四悪人』









ベクター、璃緒:「ブリザード・シャドー・バード!!」
技の名前を叫ぶ2人の気迫は、ドン・サウザンドにも伝わった。

ドン・サウザンド:「消え去れ!死にぞこないのバリアンよ!」


ベクター:「うおおおおおお!」

璃緒:「はあああああ!」


璃緒とベクターの攻撃が、ドン・サウザンドの攻撃とぶつかり合ったとき、一瞬の輝きと共に周りに爆風が襲う―!!


ベクターと璃緒

戦いの結末は――!




そして、カイゼル・サウザンドでは、あの連中が動き出そうとしていた。


そう、かつて遊馬、凌牙、カイト、そして、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴたちを苦しめた闇デュエル界の四悪人たち。


蝉丸:「まどろっこしいの嫌いだ」
他人から記憶を吸い取る能力を持ち、かつて遊馬とⅢに敗れた蝉丸。


クラゲ先輩:「奴らに先輩ルールを教えてやるぅ」
クラゲの力を持っており、刺された者は死に至るほどの毒を持つ、凌牙とⅣに敗れたクラゲ先輩。


蚊忍者:「害虫ブラザーズがいれば問題ないって蚊ぁ?」
相手に幻覚作用を引き起こす毒を注入する能力を持ち、カイトとⅤに敗れた蚊忍者。


ハートランド:「さあ、行きましょう。復讐を果たしに」
ハートランドがニヤッと笑う。







第9OP『HEART・BEAT《MARIA》』







第165話:『激動! VS闇デュエル界の四悪人』






凌牙ルート


ミッションウォッチの通信機能を使用し、ここにいる者たち以外と連絡を試みようとする慎也は、ミッションウォッチからホログラムを出して、電波状況などを調べていた。


カイゼル・サウザンドの中に入ってから、特殊な電磁波の所為で、通信機能の電波が遮断され、ずっと他の者たちと連絡が取れていないからだ。

しかし、ついさっき、通信機能の電波を遮断している特別な電磁波が弱まっており、今なら連絡が取れるかもしれないと、暗い空間の中、走りながら、作業を進めていた。


しばらくすると、凌牙たちは、暗い空間の道を走り抜け、街中に出てきた。


勿論、空は赤い空だった。


万丈目:「少しまともな場所に出てきたな」

オブライエン:「とりあえず、前に進むぞ」
みんなが、歩こうとしたとき、慎也が「待ってくれ」と言い放った。


慎也は、ミッションウォッチの通信機能からずっと聞こえている砂嵐のような音から、女性の声が聞こえた。


慎也は通信機能の電波を強くして、電波状況を正常にしようとする。


???:『も…もし、もし…れか、近くにいるの?』
砂嵐の音から聞こえた声は女性の声だった。


風間:「この声、深影さんだ」
風間はそう言うと、慎也は通信機能をONにした。

すると、風間の隣にいたジャックが、大きな声で呼びかける。

ジャック:「おい、深影!」

深影:『その声は、アトラス様ですか!近くにいるんですね』
どうやら、こちらの声も向こうに聞こえているようだ。


みんなが慎也の周りに集まる。







小鳥ルート



深影:「よかった、ミッションウォッチが突然、通信をキャッチしたのでびっくりしました」

ロビン:「そっちの人たちは、全員無事なの?」
エスパー・ロビンが心配そうな顔で聞いた。




慎也:「こっちは、全員無事だ。凌牙が、バリアン8人衆の1人を倒している」
慎也が、状況を報告すると、向こうもすぐに状況を報告し返してきた。





杏子:「こっちも、小鳥ちゃんが8人衆の1人を倒しているわ」

小鳥:「トドメはさしていませんけどね」
小鳥が右頬を掻きながらそう答えた。






凌牙:「俺の方もそうだ。生かしておいた」

慎也:「少なくとも8人衆は、2人が落ちたということか。全体の状況を確認したい。そちらからも他の連中に呼びかけてくれないか?今なら、通信機能の電波が届くかもしれない」
慎也が、向こう側の仲間たちにお願いをする。




深影:「わかりました。私のミッションウォッチから呼びかけて見ましょう」

シェリー:「いきなり、通信ができるようになったってことは、もしかして、私たち同じ空間にいるんじゃないかしら?」

ミゾグチ:「そちらの方々は、今どこに?」
ミゾグチが慎也たちがいる場所を確認してみる。




葵:「よくわからないけど、空間を抜けたら、街中に出たわ。空は赤いけど、街並みは綺麗よ」
葵がそう言うと、小鳥たちはもしかしたら、自分たちがさっきいた街ではないかと疑問を抱く。







結衣:「これって、合流した方がいいんじゃない?」

ツバキ:「仲間は多い方がいいからね」

隼人:「けど、タイムリミットまで時間がないんだなぁ」
隼人の言う通りだ。

ドン・サウザンドが言ったタイムリミットは既に2時間を切っている。

そうなると、合流している時間はない。




慎也:「今なら、現在地も転送できるかもしれない。そちらの現在地を教えてくれ。その後、みんなは、そのまま先へ。後はできる限り定期的に連絡を取って、合流しよう。俺たちもなるべく急ぐ」
慎也がそう言うと、深影は「はい」と返事をした。


すると、次の瞬間、凌牙が割り込むかのように小鳥の名前を呼んだ。


凌牙:「璃緒のこと、まだ見ていないか?」


小鳥:『うん、敵に聞こうとしたけど、直ぐに逃げちゃって』


凌牙:「そうか…」
残念そうな表情をする凌牙。

すると、小鳥が珍しく凌牙を励ますような口調でこう言った。

小鳥:「大丈夫よ、璃緒さんなら。璃緒さんすごく強いし、なによりあなたの妹でしょ?シャーク」
小鳥の言葉に、凌牙は鼻で笑った。


凌牙:「フッ、言わせておけば。…そうだな。あいつがそう簡単にくたばる奴じゃねえ」
凌牙は笑ってそう言った。


そして、慎也のミッションウォッチに、深影のミッションウォッチの現在地の座標が送られた。

地球空間外の地形もあって、座標ははっきりしたものではなかった。

だが、小鳥たちの元にたどり着けないわけではない。

慎也:「座標は確認した。こちらはすぐに動く。そちらも早く動いてくれ」
慎也がそう言うと、深影が「了解です」と返して通信を切った。


慎也:「よし、急ごう」
慎也がそう言って、みんなは先へ進む。





その頃、小鳥たちも立ち止まらず先へ進んだ。






ドルべ、Ⅴルート



戦争が行われたような街中を歩くドルべやⅤたち。


ペイトンの戦いの後、ドン・サウザンドと遭遇したが、すぐに逃げられてしまい、ずっとこの空間を漂っていた。


ドルべ:「そうか、まだ璃緒とベクターがどこにいるのか掴めていないのか?」

Ⅴ:「すまない。敵を倒すことを考えたばかりに、情報を聞き出すことに失敗した」

ドルべ:「構わないさ。私も同じだ。それに、敵は他にもいる。別ルートから進んでいる仲間たちが、もしかしたら聞き出しているかもしれない」

Ⅴ:「そうだな」
2人は横に並んで、今までの出来事を語りながら歩いていた。




そんな、ドルべ、Ⅴ一行に潜む2つの影。



蝉丸:「俺たちの、相手は奴らか」

クラゲ先輩:「ぬはは、懐かしい顔もいるじゃねえか」
サングラスをかけた大男、長い髪にハット帽子をかぶるクラゲ先輩が、不気味な笑みを浮かべていた。





そして、その頃、カイトたちの方も、あの男が近づいていた。


蚊忍者:「かっかっか、油断禁物って蚊ぁ?いつでも襲ってくれ言ってるようなもんって蚊ぁ?」
木の裏に潜む蚊忍者が、一瞬で表に出てきて、カイトたちに接近する。


カイト:「…!みんな避けろ!」
カイトが、ギャラクシー・サーベルを手に持ち、近づいてくる敵に斬撃を放った。

敵は高く飛んで、斬撃を躱す。


蚊忍者:「久しぶりだな、天城カイト」
カイトを見るなり、「かっかっかぁ」と笑う。


カイト:「お前は確か…、あの時の…」
カイトは、昔バリアンと激戦を繰り広げていた戦いのことを思い出し、そのときに自分とⅤの目の前に現れた蚊忍者のことを思い出す。


蚊忍者:「忘れないとは言わせないって蚊?お前とⅤに倒された蚊忍者だって蚊!」
素顔を包帯を巻いて隠し、メガネをかけた蚊忍者。あの時のことを思い出しただけで腹が立つと言わんばかりに、独特な笑いをし続ける。







そして、その頃、ドルべとⅤたちの目の前にも、蝉丸とクラゲ先輩が現れた。



Ⅲ:「お前たちは…!」

Ⅳ:「あの時の…!」
かつて倒したはずの敵が目の前に現れ、少し驚くⅢとⅣ。


Ⅴ:「ハートランドと同じで、こいつらも蘇っていたのか?」
ハートランドはバリアンの力によって復活したと言っていたので、こいつらもおそらく同じなのだろうと分析するⅤ。



蝉丸:「俺たちは、かつての俺たちとは違う」

クラゲ先輩:「俺たちは生まれ変わったのさ。大いなる力を手にして!」
手を広げてクラゲ先輩は自慢するように言った。



剣山:「何が大いなる力だドン!どうせ、バリアンに心を打った腐った野郎ザウルス!」
剣山がクラゲ先輩を侮辱する。

クラゲ先輩:「おい、お前、俺より何個下だ?」

剣山:「何、訳の分からないこと言ってるザウルス!」

クラゲ先輩:「後輩は先輩を立てるもんだろ!」

蝉丸:「まどろっこしいのは嫌いだ」
蝉丸がそう言うと、蝉丸とクラゲ先輩の足元から結界のようなものが広がってきた。







その頃、蚊忍者も…!



蚊忍者:「蚊学忍法・屍鬼蚊円陣!!」
蚊忍者を中心に結界のようなものが広がる。



ミザエル:「下がれ、カイト!」
ミザエルはカイトを押し出した。


カイト:「ミザエル!?」

自分を押し出したミザエルは、結界の中に閉じ込められる。






そして、結界の中に全員が捕えられそうになっていたⅤたちだったが…!


ギラグ:「みんな、下がっててくれ!」

アリト:「ここは俺たちがやるぜ」


Ⅳ:「お前ら…!」
いきなり、目の前に出てきたギラグとアリトに驚くⅣ。


ギラグ:「奴らは、今もバリアン側についているどうしようもない連中だ」

アリト:「ここは、元々バリアンだった俺たちが、けじめをつけてやるぜ」
奴らと戦うことに楽しみなのか、ギラグとアリトは笑ってそう言った。



そして、蝉丸とクラゲ先輩が張った結界に、アリトとギラグが閉じ込められる。


クラゲ先輩:「なんだ?お前たちが相手か?」

アリト:「ああ、お前たちの腐った根性、すぐに砕いてやるよ」
アリトはそう言って、”BK(バーニングナックラー)拘束蛮兵リードブロー”の、ボクシンググローブの形をしたデュエルギア”バーニングブロー”を両手に填める。


クラゲ先輩:「お前、俺の何コ下だよ?後輩は先輩に、立てつけられねえことを教えた方がいいみたいだな!」
クラゲ先輩の身体が変化する。


蝉丸:「とっとと始めようぜ!すぐにお前たちを地獄に落としてやる!」
蝉丸の身体も輝き、身体を変化させる。


ギラグ:「久しぶりに見たな…」

アリト:「あぁ、こいつらの本当の姿…」


クラゲ先輩は、クラゲのような傘を頭に被ったいわゆるクラゲ人間に、蝉丸は蝉のような羽が背中についた正真正銘の蝉丸へと姿を変えた。



舞:「あれが奴らの…」

獏良:「本当の姿なの?」

Ⅳ:「あぁ、昔のことを思い出しちまったぜ」
あんな奴らのこと、記憶の奥底に沈めていたつもりだったが、奴らが現れた所為で、その記憶は奥から這い上がり、Ⅳを苛立たせる。


ギラグ:「俺の燃える手で焼き付きしてくれる!」
”ファイヤーハンド”のガントレットタイプのデュエルギア”ブレイジング・ヒート”を右手に装着するギラグ。ブレイジング・ヒートを炎が包み込んでいる。


クラゲ先輩:「お前ら後輩風情が、先輩の俺たちに敵うわけねえだろ。なぜなら、俺たちは…」
クラゲ先輩も蝉丸も1枚ずつカードを手元に出した。

そのカードは黒いオーラに包まれていた。


Ⅴ:「この感覚、あの時と同じ…。まさか…!」
奴らが手にしたものを予測したⅤは、戦慄しそうだった。


蝉丸とクラゲ先輩が、手に持つカードをギラグたちに見せた。そのカードは、ナンバーズシリーズのカード、”No.4猛毒刺胞ステルス・クラーゲン”と”No.3地獄蝉王ローカスト・キング”の2枚だった。



レミ:「あれってもしかして、ナンバーズ…!」

雑賀:「確か、ナンバーズは九十九遊馬しか持っていないはずでは…」
レミたちが、奴らが出したカードを見て驚くと、そのカードを知る者たちが口を開いた。



キャッシー:「あれは偽者のナンバーズよ」
そのセリフに少しの間、沈黙が続いた。


Ⅲ:「かつて、奴らを含む闇デュエル界の四悪人に手渡された偽者のナンバーズ…」

Ⅳ:「まがい物のナンバーズも復活していたか」
Ⅳがそう呟くと、クラゲ先輩は笑った。


クラゲ先輩:「復活?違うな。俺たちも、こいつらも転生したんだよ!新たな力を手にしてな!」
クラゲ先輩と蝉丸の背後に、それぞれ黒クラゲのステルス・クラーゲンと、鋭い嘴を持つローカスト・キングが現れる。


クラゲ先輩:「混沌に漂いし、透明なる戦士!すべてを見通し世界を刺せ!偉大なる先輩、俺と一つになれ!!」
クラゲ先輩がステルス・クラーゲンを吸収し、身体を一つにする。


蝉丸:「長き眠りより目覚め、地獄の凱歌を高らかに歌え!ローカスト・キング!!」
蝉丸とローカスト・キングと身体を一つにする。


クラゲ先輩は、黒い鎧のようなものを身に纏い、背中からクラゲのような足が数本をうねうねと動いていた。

目が赤く光り、鋭い眼力を見せるクラゲ先輩の新たな姿が現れた。


そして、蝉丸は、元々背中に生えていた羽が2枚から4枚に増え、頭に角が生えていた。

両腕が他の人間より大きくなったその手を見せつけるかのように、蝉丸も新たな姿を、ギラグたちに見せつける。



明日香:「何なの!あれ!?」

剣代:「モンスターを吸収したのか…!」

色葉:「限界勢力とは違う方法で、モンスターを取り込んでいるんだわ…!」
敵の姿を見て驚くことしかできない明日香達。


Ⅴ:「今更だが、お前たち2人がいるということは、偽りのNo.2を持つあいつも…」
Ⅴがさりげなく聞くと、蝉丸は不気味な笑みを見せて、口を開いた。


蝉丸:「あぁ、今頃、お前たちの別の場所にいる仲間たちのところにいるだろうな」
楽しそうな表情が、Ⅴたちを不安がらせる。







その頃、ミザエルを結界の中に閉じ込めた蚊忍者も手にカードを1枚手にしていた。


すると、ミザエルが戦う前、質問した。

ミザエル:「貴様、神代璃緒とベクターがどこにいるか知らないか?」

蚊忍者:「そんなこと僕が知らないって蚊?まあ、バリアン世界の本拠地でゆっくりしているか、ドン・サウザンド様に何かされているかもしれないって蚊ぁ」
蚊忍者は笑ってミザエルの質問に答えた。


ミザエル:「どうやら、私は聞く相手を間違えたようだ。お前をすぐに倒して、我々はこの先へ進む!」
”限界竜シュヴァルツシルト”のランタン・シールドの姿をしたデュエルギア”シュヴァルツシールド”を展開する。

そして、盾に治めらていた剣を抜き構えるミザエル。


蚊忍者:「調子のいいことを言うなって蚊ぁ?お前は、この僕に倒されるのさ!進化した僕に!」
蚊忍者の身体が輝き、本物の蚊のような姿へと変化する。


そして、蚊忍者が手元に持っていたカード、それは”No.2 蚊学忍者シャドー・モスキート”だった。




カイト:「やはり、偽りのナンバーズか…」
一度、あのナンバーズと戦ったことのあるカイトは、蚊忍者のカードを見て、そう呟いた。



蚊忍者:「僕もこいつも進化したのさ。新たな力を手にして!」
蚊忍者の背後に、シャドー・モスキートが現れる。


蚊忍者:「行くって蚊ぁ!蚊学忍法・超蚊変化!!」
蚊忍者が、シャドー・モスキートを吸収し、背中と尻、両足にそれぞれ2枚ずつ蚊の羽がついた姿へと変化した。

1本の脇差を手にして、目をキラッと輝かせる。



ミザエル:「本物の蚊だな…」
ミザエルはボソッと呟く。


蚊忍者:「かっかっかぁ!僕の速さについて来られる蚊!」
羽を高速で羽ばたかせ、耳に激しく響くモスキート音が、ミザエルを、そしてカイトたちをも苦しめる。

ミザエル:「これは…!?」
武器を持っている所為でうまく両耳を防げないミザエルは、苦しそうに蚊忍者を見る。




カイトたちは、両耳を防いではいるが、それでもモスキート音は耳に響いてきた。


ハルト:「これって、モスキート音じゃないよね…!」

エド:「超音波か!」
モスキート音もとい超音波の所為で、目すら開けない者も中にはいた。

蚊忍者:「これが、デス・モスキート・ウルトラサウンドって蚊!!」
蚊忍者が脇差を強く握り、高速移動でミザエルに近づく。

ミザエル:「っ!」
ミザエルは、激しく聞こえるモスキート音の発信源を頼りに、蚊忍者の脇差をシュヴァルツシールドで受け止める。


そして、すぐに攻撃へと切り返し、もう片方の手に持つ剣で、蚊忍者を斬り倒そうとする。


蚊忍者:「苦し紛れに振った剣など、怖くないって蚊!」
蚊忍者は後ろへ飛び、ミザエルの剣を躱す。







その頃、変化した蝉丸とクラゲ先輩と戦うギラグとアリト―



ギラグ:「うおおおお!」
右腕に装備されたブレイジング・ヒートに炎が灯され、その拳を蝉丸にぶつける。

しかし、蝉丸はその一回り巨大な腕で、ギラグの拳を受け止める。

蝉丸:「ぬるいな」

ギラグ:「何…!?」
炎が灯った拳を受け止められ驚くギラグ。

驚いているのも束の間、蝉丸にその右腕を掴まれ、激しく振り投げられた。

蝉丸:「うおおお!吹っ飛びやがれ!」

ギラグ:「ぐわああ!」
ギラグは、結界の壁に背中をぶつける。



アリト:「はっ!ギラグ!!」

クラゲ先輩:「人の心配している場合か?」
投げ飛ばされたギラグを見て油断してしまったアリト。いつの間に、クラゲ先輩が、目の前に立っていた。


アリト:「っ!」
アリトは両手に填めているバーニングブローの拳をクラゲ先輩にぶつけようとしたが、クラゲ先輩の背中からうねうねと動いているクラゲのような足が、アリトを捕え身動きを封じた。

アリト:「くそっ!離しやがれ!」
アリトは必死に脱出しようともがく。

クラゲ先輩:「そんなに離してほしいんなら離してやるよ。けどな!先輩に逆らったバツは付けねえとな!」
クラゲ先輩が背中出ているクラゲのような足で、捕えていたアリトを上へ放り投げる。


アリト:「うおっ!」

クラゲ先輩:「喰らいやがれ!バカ後輩が!!」
クラゲ先輩の背中から出ているクラゲの足数本が、アリトの身体に強くヒットする。


アリト:「ぶはっ!」
アリトは、そのまま殴り飛ばされた。



キャッシー:「あ、アリト!」

城之内:「あいつら、なんて強さだ!」


Ⅴ:「偽りとはいえナンバーズを取り込んだことで、確実に力が倍増している…!」

ドルべ:「いや、それだけではない」
ドルべの言葉に、「何…!」と反応するⅤはドルべを見る。

ドルべ:「かすかだが、奴らからドン・サウザンドの力を感じる。おそらく、バリアン8人衆ほどではないが、奴らもドン・サウザンドから闇の力を授かっているんだ」
怯えた感じの表情で、ドルベは言った。


ギラグ:「負けてたまるかよ!」
ギラグはすぐに立ち上がり、蝉丸に強い拳をぶつける。


蝉丸:「だから、無駄だ。てめえの拳は、俺には届かねえ!」
蝉丸は再び片手でギラグの拳を受け止め、殴り飛ばす。


ギラグ:「ぐはっ!」
ギラグは、再び殴り飛ばされるが、何とか両足で着地した。

殴られた頬を撫でるギラグ。



アリト:「喰らいやがれ!」
バーニングブローをはめた右拳から、炎を飛ばすアリト。

クラゲ先輩:「俺には、こういうのもできるんだよ!」
クラゲのような足がクラゲ先輩の前にバリアを展開した。

そのバリアが、アリトが放出した炎からクラゲ先輩を守った。

アリト:「っ!」


蝉丸:「お前たちの攻撃など通用しない!」

クラゲ先輩:「俺たち先輩は、完璧主義者なんだよ!うはははははは!」

蝉丸:「ははははは!」
自分たちの力を自慢し高笑いをする。



剣山:「何が完璧主義者ザウルス!」

牛尾:「モンスターの力を吸収して強くなっただけじゃねえか!」
剣山と牛尾が、クラゲ先輩と蝉丸を侮辱する。


蝉丸:「てめえら…」

クラゲ先輩:「何様のつまりだぁ!先輩に楯突くつもりか!」
自分たちを侮辱した奴らに怖い目線を送った。









ミザエルと蚊忍者の戦いは、蚊忍者が有利に立っていた。

モスキート音の超音波が、ミザエルたちを苦しめ続ける。



蚊忍者:「かっかっか!どうした?反応は鈍くなっているって蚊!」
蚊忍者の脇差がミザエルを襲う。

何とか、シュヴァルツシールドで受け止めているものの、それでも身体中に切り傷が出てきてしまうほど、ミザエルはダメージを受けていた。


マリク:「くっ!このままでは、彼の不利が続くだけだ!」

イシズ:「な、なんとかしなければ…」

クロウ:「けどよ…、この音の所為で、動くこともままならないぜ!」
両耳を防ぎながら、ミザエルの様子を何とか見る仲間たち。

超音波の所為で、身体の言うことが聞かない。


オービタル:『ピピピピピピピ…、コウドウ、不能、でアリマス…:』
オービタル7がその場にバタッと倒れ、ハルトが「オービタル!」と叫ぶ。


カイト:「チッ…」
カイトはデッキケースにあるカードを取ろうと、両耳を防ぐ片方の手を耳から離そうとする。


しかし、そのとき、蚊忍者がタイミングよく超音波の音を激しくし、カイトは再び両耳を強く抑える。


ミザエル:「ぐわっ!」
ミザエルが目を瞑り、両膝を地面に付けた。


蚊忍者:「もう降参蚊!僕の勝ちだな!だが、降参したところで、お前を消すことに変わりはないって蚊!」
蚊忍者が、脇差を振り回し、ミザエルに接近する。






その頃、クラゲ先輩と蝉丸と戦うアリトとギラグも窮地に立たされていた。


ギラグ:「ぐふっ!」
蝉丸の巨大な拳がギラグの腹にヒットした。

その痛みは、殴られたような痛みじゃない。刃物が突き刺さったような痛みだった。


蝉丸:「喰らいやがれ!」
4枚の羽根を大きく広げ、拳に力を込めギラグを上に高く放り投げる。




アリト:「ぶはっ!」
クラゲ先輩の背中から生えているクラゲの足がアリトを襲う。

クラゲ先輩:「これでお仕舞いだ。虫けらが!」
クラゲ先輩のクラゲのような足が一斉にアリトを殺そうと襲いかかって来る。



蝉丸:「てめえも、ここでお仕舞いだ!」
蝉丸の頭の角が赤くなる。


周りにいる誰もがわかる…。この展開は、あの角を真下に落ちてくるギラグに突き刺すつもりなのだと…。



ナポレオン:「マズいのでアール!あのまま落下すれば、角が突き刺さるのでアール!」

牛尾:「急いで、この結界を壊すぞ!」

城之内:「もう間に合わねえよ!」
壊したところで、彼等を助けにいく暇はない。



ギラグとアリトの見たくない姿を見ることになるのか…。みんなは、そう覚悟した。



クラゲ先輩:「安心しろ。お前が信じる九十九遊馬も、すぐにお前たちの元へ送ってやる!」
クラゲの足をアリトに接近させながら、クラゲ先輩は言った。


クラゲ先輩:「あいつは、いずれその力に溺れ世界を破滅に導くかもしれない男よ。ならば、今の内に消しておかなきゃいけねえ奴だ!」


蝉丸:「ドン・サウザンド様は、バリアンの力を持つ奴を仲間として受け入れようとしていたが、それは違う!ドン・サウザンド様は、遊馬に世界を渡さないつもりで、仲間に入れようとしただけだ。バリアン世界が復活すれば、遊馬はすぐに消される存在だった!」
落ちてくるギラグを見て、自分が知っていることを語る蝉丸。その語り方は楽しそうだった。





そして、蚊忍者もミザエルに接近していく中で、皆へ遊馬に関する今後の出来事を教える。


蚊忍者:「九十九遊馬はお前たちとは違う恐ろしい力を持っている存在だ!貴様らの世界で言う国家政府っていう連中も、遊馬を危険視している!ならば、世界のため、バリアンのため、アストラル世界のため、奴を殺すことが一番大事って蚊ぁ!!」
蚊忍者が高笑いして、遊馬という存在を、人間という存在から突き放し、そして殺すことが当たり前だと宣言するような口ぶりをする。



クラゲ先輩:「お前たちは、そんな化け物を、庇えるかぁ!」
蝉丸:「お前たちは、そんな化け物を、庇えるかぁ!」
蚊忍者:「お前たちは、そんな化け物を、庇えるかぁ!」
打ち合わせでもしていたのだろうか。3人の言葉がシンクロする。



ミザエル:「…」

ギラグ:「…」

アリト:「…」

3人は何も言葉を返さず、黙っていた。









その頃…




遊馬:「!」
山の中を、仲間たちと歩く遊馬は、立ち止まり赤い空を見る。



アストラル:『どうした?遊馬』
いきなり立ち止まった遊馬に声をかけるアストラル。


遊馬:「いや、何でもねえ」
遊馬はそう一言言って、再び歩き始める。


遊馬:『みんな、頑張ってくれ』
遊馬は、別の場所にいる仲間たちを信じる。






蚊忍者:「蚊!!」
蚊忍者は脇差を、ミザエルに突き刺す手前で動きを止める。


いや、止めたんじゃない。止められたのだ。


シュヴァルツシールドを中心にオーラのようなものが張り巡らされていた。

そのオーラの中に入ったことで、蚊忍者は動きを止めたのだ。

モスキート音の超音波もピタッと止まった。


ミザエル:「おい、それ以上は他言無用だ…」
ミザエルは立ち上がる。




ギラグ:「エレクトロ・ハンド」
ギラグはカードを1枚手元に出すと、目の前に巨大な青色のメカハンドが現れ、そのハンドは電気を帯びて、蝉丸の身体を殴り飛ばした。

蝉丸は瞬時に、防御に入ったがそれでも大きく吹き飛ばされ、しかも頭の角がポキッと折れた。




アリト:「ふん!」
鼻息を荒くして、拳に力を込める。

右手の拳を突き付けた瞬間、いくつもの衝撃波が、クラゲ先輩の背中から出ているクラゲの足に全て直撃させ、反撃した。


クラゲ先輩:「ぬわっ!」
あまりの痛みに、クラゲ先輩は数本のクラゲの足を引っ込める。



アリト:「おい、クラゲ野郎。もう一度、遊馬を侮辱してみろ」
完全にキレている…。アリトの表情は誰にで、そう見える顔だった。


ギラグ:「遊馬がどうして、あんなに強いのか。それは、バリアンに落ちるためでもなければ、化け物になるためでもない。世界を守るための力だと、俺たちは知っている」
ギラグの近くに現れていたエレクトロ・ハンドが消える。

同時に、ギラグの右腕が炎に包まれる。

蝉丸:「よ、よくも俺の角をぉぉ!」
蝉丸は折られた角を地面に落とし、ギラグに突っ込む。


ギラグ:「ジャーマ・ディレクト!」
右拳を突き出し、炎のパンチを繰り出す。

そのパンチは巨大で、炎の塊と言っても過言ではない。

ギラグが放った炎の巨大なパンチは、蝉丸を飲み込んだ。

蝉丸:「ぐわあああ!」
蝉丸は奇声をあげ、吹き飛ばされる。

そして、ギラグが放った攻撃は、結界にヒットし、その結界を粉々にしてしまうほどの破壊力抜群の攻撃だった。


クラゲ先輩:「け、結界が!」

アリト:「余所見すんじゃねえよ。てめえも、遊馬を侮辱した罪を被ってもらおうぜ」
アリトは技を放つ態勢を取る。

アリトの身体に赤いオーラが纏われる。

クラゲ先輩:「だから、どの口が言うんだよ!先輩に楯突くんじゃねえよ!!」
クラゲ先輩の背中から出ているクラゲの足数本が、アリトに迫る。


アリト:「バーニング・ヴェーア・パァァンチ!!」
炎の右拳パンチを一度繰り出しただけで、炎のパンチ十数発分を一気に放つ、この技の名は”バーニング・ヴェーア・パンチ”。アリトが、炎の属性波動を全身に込めることで放てる技だ。

襲いかかるクラゲの足が焼き焦げにされ、そしてクラゲ先輩を襲う。


クラゲ先輩:「ぬわああああああ!」
クラゲ先輩も蝉丸と同様で、大きく吹き飛ばされる。






そして、ミザエル―


ミザエル:「カオス・アリーナ。私の闇の属性波動で生まれた区域に足を踏み入れたものたちは、しばらくの間、動けなくなる」
ミザエルは少しだけ後ろに下がる。


蚊忍者:「かっかっかぁ!こんな人間の力などに負ける僕じゃないって蚊ぁ!」
蚊忍者がもがくが、全然動ける気配はない。



ミザエル:「例え、ドン・サウザンドから受け取った力を持ってしても、それからは逃れられない」

蚊忍者:「さっきも言ったが、お前はあの遊馬を庇うと言うの蚊!世界を滅ぼすかもしれない力を持つ奴を!」

ミザエル:「あの男は、そんなことはしない」

蚊忍者:「なぜ、そう言いきれる!」

ミザエル:「あいつは、私たちの、仲間だからだ」
ミザエルはきっぱりと、真剣な眼差しでそう言った。

蚊忍者:「答えになってないって蚊ぁぁぁ!!こんな力などーーー!」
蚊忍者からシャドー・モスキートの幻影が浮かび上がる。


ミザエル:「そんな力を使ったところで、私に敵うわけがないだろ!」
ミザエルは、剣を構えた。


ミザエル:「オスクリタ・トリニティスラッシュ!!」
剣を振り、闇の3つの斬撃を飛ばす。


蚊忍者:「ぐっ…がああああああ!」
一度は脇差で受け止めるものの、3つの斬撃はそれをものともせず、蚊忍者の身体へ大ダメージを与える。




闇デュエル界の四悪人
蝉丸、クラゲ先輩、蚊忍者の戦闘不能!









第10ED『さすらいびと《DASEIN》』








次回予告

ナレーション:闇デュエル界の四悪人の蝉丸、クラゲ先輩、蚊忍者を倒したギラグ、アリト、そしてミザエル。

一行はそれぞれ、倒れている敵を無視し、前へ突き進む!

その頃、遊馬の前に、バリアン8人衆のリーダーであるウェスカーと闇デュエル界の四悪人のリーダーであるミスター・ハートランドが現れた!

ウェスカーは遊馬との決着を付けるため、遊馬にデュエルを挑み、激戦を繰り広げることとなる!!


遊馬:次回、遊戯王5DXAL「迫りし黒騎士!!」


遊馬:「俺たちは前へ突き進む!そして、戦いを終わらせる!」
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