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第164話:『VSドン・サウザンド 零鳥の影』






ドン・サウザンドは、ベクターの命をもらい受けようとする。


ドン・サウザンド:「!」
しかし、そのとき別の方向から斬撃が飛び、ドン・サウザンドは後ろに下がる。


今、この中には3人しかいない。

自分と、ベクター、そして…。


ベクター:「璃緒…!」
たった一人の女性、璃緒だ。


璃緒は、”零鳥獣シルフィーネ”の大鎌タイプのデュエルギア”シルフィーネイーター”を持って、ベクターの前に立つ。


璃緒:「あなたらしくないわよ、ベクター。仮にも、一度はドン・サウザンドの身体を一つにした、あなたが簡単にあいつに負けてどうするの」
璃緒は倒れるベクターに振り向き、そう言った。


心配してくれているような表情。ただ、それとは裏腹にどこか、情けないわねと言わんばかりの表情が隠れているようにも見える。


ドン・サウザンド:「メラグ、我の邪魔をするか」


璃緒:「ドン・サウザンドを倒すわよ」

ベクター:「お前には無理だ。引っ込んでろ」

璃緒:「今の攻撃で思い知られたでしょ。あなた1人でも無理よ。でも、2人で戦えば、きっと勝てるわ」
ドン・サウザンドを見た奴らは大抵、その姿に怯える。だが、璃緒は見慣れているのか、全然ドン・サウザンドに恐怖していなかった。


ベクター:「…ふ、フハハハハハ、おもしれえ奴だ。こんな絶体絶命の時に逃げねえなんてよ。お前、女じゃねえだろ?」

璃緒:「失礼ね、逃げたかったらとっくに逃げているわよ。でもね、今は、人類の危機が掛かっているの。逃げていたら、何も始まらないわ」

ベクター:「言うじゃねえか」
ベクターは立ち上がり、璃緒の横に来る。


ベクター:「ならやろうじゃねえか。一緒に!」



ベクターと璃緒のタッグマッチが、ドン・サウザンドに挑む!!


璃緒:「まさか、あなたと一緒に、ドン・サウザンドと戦うことになるなんて思ってもいなかったわ」

ベクター:「俺様がドン・サウザンドの力を利用して、お前とドルべを殺そうとしたときのことを思い出したか?」
ベクターはかつて、ドン・サウザンドの力を利用しようとしたときがあった。

ベクターが、その力を解放したとき、最初に犠牲になったのが、ドルべそしてメラグこと璃緒だった。


璃緒:「昔の話しでしょ。もう、何も思ってないわ」
その言葉が、ベクターの心を安心させた。

ずっと俺のことを憎んでいると思っていたからだ。

ベクター:「そうかよ」
少し穏やかな表情をするベクターであった。



ドン・サウザンド:「一人一人、手を付けるつもりだったがまあいい。2人まとめて掛かってこい!この神である我に!」
ドン・サウザンドからとてつもない殺気が放たれる。

その殺気は、璃緒とベクターをビビらせるのであった。









第9OP『HEART・BEAT《MARIA》』







第164話:『VSドン・サウザンド 零鳥の影』





とてつもない殺気が璃緒とベクターを襲う。


璃緒:「やっぱり、物凄い気迫ね。神を名乗ることだけのことはあるわ」

ベクター:「やっぱり戦うのやめるか?」

璃緒:「冗談言わないで。私、一度言ったことには責任を持つことにしているから」
璃緒は真剣な表情でそう言った。

ベクターはドン・サウザンドよりも璃緒に今は恐怖心を覚えた。

ベクター:『やっぱり、こいつ、女じゃねえ』
ベクターは心の中で呟いた。


璃緒:「何か言ったかしら?」
ナイフのような細い目が、ベクターを見つめる。


ベクター:「何も言ってません」
その目をドン・サウザンドに向けてくれ、ベクターは心の中でそう呟く。



ドン・サウザンド:「さあ、来るがいい!ベクター!メラグ!」
ドン・サウザンドはイマジナリー・ヌメロニアを振り回す。


ベクター:「行くぞ、璃緒」

璃緒:「ええ」
ベクターが先行する。


璃緒:「アイス・シュヴァルベ!!」
シルフィーネイーターから青い斬撃を飛ばす。


その斬撃は、宙で氷で象られた燕に変化し、ドン・サウザンドに襲いかかる。

ドン・サウザンド:「青いな」
ドン・サウザンドは一言、そう言うとイマジナリー・ヌメロニアを一振りし、氷の燕を一瞬で粉々にした。


ドン・サウザンド:「それでは、我に―」
ドン・サウザンドが、セリフを言い続けようとしたとき、懐にベクターが入り込んでいた。




ベクター:「ダーク・ザード!」
アンブラル・ファルチェを振り、黒い針を無数に投げ飛ばす。

ドン・サウザンドは瞬時に飛び上がり、その攻撃を回避する。

ベクター:「ちっ、外したか。まあ、こんなもんでやられる玉じゃねえよな」
ベクターがそう呟いている間に、ドン・サウザンドは地上に着地する。


璃緒:「うまく隙をついたつもりだったけど、無理だったわね」

ベクター:「人間やバリアン以上の直観力があるんだ。隙を作るのも相当大変だろうぜ」
アンブラル・ファルチェを肩に担ぎ、ベクターはそう言った。


璃緒:「なら、躱すことができない攻撃を仕掛けるまでね」

ベクター:「俺たちには、エースのマークの力なんて宿ってねえ。俺たちの最大の攻撃をぶつけるしか方法はねえか」

璃緒:「あら、嫌なのかしら?」

ベクター:「何も言ってねえだろ。まさか、組み合わせ技を一緒にやる相手が、お前になるとはなって改めて思っただけだ」
ベクターが少し前に出る。


ドン・サウザンド:「何をコソコソ話していたのかは知らないが、お前たちに我を止めることはできぬ。我と対等に渡り合えるのは―」
ドン・サウザンドが、名前を出そうとしたとき―


ベクター:「ジャジャジャーン!正解は遊馬でしたー!」
ドン・サウザンドが言おうとしたことを先読みして、派手に大声で叫ぶベクター。

璃緒:「!?」
ベクターのいきなりの叫びに璃緒も少し驚いた。

ベクター:「はぁ、嘗めるなよ、ドン・サウザンド。人間がどれだけ強い人間か教えてやる」
今までに見たことがないベクターの真剣な顔に、ドン・サウザンドは一瞬、動揺した。

ベクター:「てめえから見たら、人間も、そして下僕扱いしているバリアンも弱者しかいない生き物なのかもしれねえ。けどな、これだけははっきり言ってやる。…人間もバリアンも、生きてんだよ」
人間、バリアンなんて関係ない。

どちらも生きている。ベクターは、ドン・サウザンドにそれを言いたかった。


ドン・サウザンド:「理解できないな。それが、強い理由にはならん。もし、強いなら、今すぐ我に、その証拠を見せてみろ!」
ドン・サウザンドが、イマジナリー・ヌメロニアから地を走る斬撃を放つ。


ベクターは、アンブラル・ファルチェを前に突き出し、輝かせた。

アンブラル・ファルチェは鎌の形状が変化し、凄まじいパワーを持ったセカンドステージ状態へとなった。


そして、同時に、セカンドステージ状態のアンブラル・ファルチェは赤く輝き、刃の部分に炎が灯された。


ベクター:「ゲヘナフレイム・ギルティ!」
バツ印を描くように、炎の斬撃をまず放った。


そして、アンブラル・ファルチェを前に突き出し、垂直にして円を描くように回し、炎で象った円をバツ印に向けて放った。


バツ印の斬撃が、まずドン・サウザンドが放った斬撃とぶつかり合い、消し去った。

残る炎の円の斬撃が、ドン・サウザンドに迫る。


ドン・サウザンド:「そんなもの、避けるまでもない」
イマジナリー・ヌメロニアを構えたドン・サウザンド。

ベクターの攻撃を受け止めるつもりなのだ。

ドン・サウザンドはベクターの攻撃を受け止めた。

ドン・サウザンド:「軽い斬撃だ。やはり、人間の力だな」
ドン・サウザンドはイマジナリー・ヌメロニアを大きく振って、炎で象った円の斬撃を打ち消した。

ドン・サウザンド:「!」
だが、攻撃を消したのも束の間、直ぐに次の攻撃が飛んできた。


驚いたのか、ドン・サウザンドはすぐにイマジナリー・ヌメロニアを構え、防御する。

いきなり飛んできた攻撃だった所為か、ドン・サウザンドは少しだけ後ろに押された。


璃緒:「余裕ぶっこいてると、怪我しますわよ。神様さん?」
シルフィーネイーターの刃から白煙が出ている。

どうやら、今の攻撃は璃緒が放った攻撃らしい。

しかもよく見ると、シルフィーネイーターの形状が変化していた。

刃の形状が大幅に変化され、大きな刃がついている逆側の棒の先端にも小さい刃がついている。


ドン・サウザンド:「メラグ…、女風情が我の邪魔をするか…」
少しだけドン・サウザンドは怒っているようだ。

すると、そのとき、ベクターのアンブラル・ファルチェが至近距離で襲ってきた。

ベクターがいつの間にかドン・サウザンドに近づいていたのだ。

ベクター:「良かれと思って、攻撃しちゃいました。怒ってるとこすいませんね!神様!」
ベクターが連続でセカンドステージのアンブラル・ファルチェをドン・サウザンドにぶつける。


ドン・サウザンドは、イマジナリー・ヌメロニアで全て受け止める。


ドン・サウザンド:「調子に乗るなよ、ベクター!サングエ・ヌメロン!!」
イマジナリー・ヌメロニアの刃に刻印が刻まれ、ドン・サウザンドの背後に巨大な黒い影が出てくる。

そして、ドン・サウザンドは目の前にいるベクターに巨大な斬撃を放った。


ベクターに当たったのか、周りが爆発に見舞われた。

璃緒:「ベクター!」
ベクターの姿が見えない璃緒は名前を叫んだ。

ベクター:「回避してるっつうの。心配すんな」
ベクターは何とか、攻撃を回避していたようだ。


しかし、今の攻撃で、セカンドステージ状態のアンブラル・ファルチェがボロボロになってしまった。






ベクター:「修復には少し時間がかかるか」
デュエルギアが、破損したときデュエリストの意志がデュエルモンスターズに伝われば出した状態でも修復することが可能で、その伝達が早ければ早いほど、修復スピードも速い。


璃緒:「私が、少しだけ時間を稼ぐわ」
次は璃緒が前に出てきた。



ドン・サウザンド:「メラグ…、貴様が我に敵うとでも思っているのか?」

璃緒:「思っていないわ。あなたの強さは理解しているつもり。でも―」
璃緒は、セカンドステージ状態のシルフィーネイーターを前に突き出し、それでドン・サウザンドを指さして強くこう言った。

璃緒:「私の内なる心の怒りは、あなたが出てきた時点で、頂点に達しているの!」

ドン・サウザンド:「ほお」

璃緒:「私を怒らせたこと、後悔させてあげますわ!」
璃緒がセカンドステージ状態のシルフィーネイーターを後ろに振りかざした。

ドン・サウザンド:「それは、こちらのセリフだ」
ドン・サウザンドは、イマジナリー・ヌメロニアから斬撃を放つ。


璃緒:「アイス・ネーベル!!」
セカンドステージ状態のシルフィーネイーターから地を走る氷の斬撃を飛ばす。


両者の斬撃がぶつかり合った瞬間、そこを中心に、霧が周りに充満した。


ドン・サウザンド:『目くらましか…』
辺りに広がった霧の所為で、視界が見えないドン・サウザンド。

霧の所為でドン・サウザンドの身動きが鈍っている間を逃がさまいと、璃緒は霧の中に突っ込み、ドン・サウザンドの至近距離まで攻め、斬り倒そうとする。


ドン・サウザンド:「図になるな…」
ドン・サウザンドは一言そう言うと、目を瞑り、璃緒の攻撃を躱した。

璃緒:「目を瞑ったまま…!」
気配を感じて躱したんだわ…。璃緒はそう思って、もう一度斬りかかるが、再び躱されてしまう。


ドン・サウザンド:「貴様らなど目を瞑っても、相手できる」
ドン・サウザンドは目を瞑って、攻撃を躱し続ける。


2人がぶつかり合っている中、周りを覆っていた霧が晴れ、璃緒は一旦後ろに下がる。


ドン・サウザンド:「フッ、腰抜けだな」



璃緒:「ベクター、まだデュエルギアは治らないの?」

ベクター:「もう少しだ」
ベクターが持つアンブラル・ファルチェは、徐々に回復はしているが、まだ戦えるような武器ではなかった。



ドン・サウザンド:「2人まとめて、終わらせてやろう。その後で貴様ら2人をカイゼル・サウザンドの生け贄にする」
ドン・サウザンドは、イマジナリー・ヌメロニアを振り、黒い竜巻を出す。


ドン・サウザンド:「ストーム・ヴィジオーネ」
更に、その黒い竜巻をイマジナリー・ヌメロニアで何回も斬り、数個の黒い竜巻に分離させた。


ドン・サウザンド:「ふん!」
目を大きく開き、竜巻は合図が出たと言わんばかりに一斉に璃緒とベクターに襲いかかってきた。


璃緒:「受けて立つわ!」
璃緒のセカンドステージ状態のシルフィーネイーターの刃が緑色に輝く。

そして、シルフィーネイーターを前へ出し、振り回す。


璃緒:「風の力で、青嵐よ、敵を吹き飛ばしなさい!ブルー・テンペスタ!!」
振り回しているシルフィーネイーターから、嵐が発射される。


ドン・サウザンドが放った黒い竜巻を吹き飛ばしていくが、それでもいくつか残ってしまった。


ドン・サウザンド:「残念だが、終わりだ」

璃緒:「まだよ!ブルー・テンペスタ・ブリザード!!」
先ほどと同じで嵐がシルフィーネイーターから発射される。


しかし、よく見ると、嵐の中に氷の粒が混じっていた。

シルフィーネイーターは零鳥獣シルフィーネのデュエルギアだ。本来は氷の力を使うデュエルギア、つまり嵐の中に氷の力を加えたのだ。


残った黒い竜巻を次々と消し飛ばす璃緒の攻撃は、遂にドン・サウザンドにヒットした。

ドン・サウザンドは、イマジナリー・ヌメロニアを盾にして、ダメージを最小限に抑える。


しかし、璃緒が放った攻撃の所為で、イマジナリー・ヌメロニアと、ドン・サウザンドの身体の一部が凍り付いてしまった。

ドン・サウザンド:「…」
ドン・サウザンドは凍り付いた自分の身体を見つめる。


璃緒は満足したような表情を見せる。

ベクター:「俺の武器も修復できたぜ」
ベクターが璃緒に、元に戻ったアンブラル・ファルチェを見せた。





ベクター:「言いざまだな、ドン・サウザンドさんよ。立派な姿だぜ」
ベクターは、ドン・サウザンドをバカにする目で見つめる。

ドン・サウザンドは、無表情でベクターを見る。

慌てている様子はない。


ベクター:「ホント、不気味な奴だぜ。とっととトドメ差してやるよ!」
セカンドステージ状態のアンブラル・ファルチェの刃に炎が灯される。


ベクター:「ゲヘナフレイム・ギルティ!!」
バツ印を描くように炎の斬撃を放ち、その後、アンブラル・ファルチェを前に突き出し、垂直にして円を描くように回し、炎で象った円をバツ印に向けて放ち、2種類の斬撃がドン・サウザンドに迫る。


璃緒:「終わりよ!ドン・サウザンド!」
ドン・サウザンドの終わりを宣言する璃緒。


ベクターの攻撃はドン・サウザンドにヒットし、周りに火花が飛び散り、煙が立ち上る。


強敵ドン・サウザンドを倒した。

ベクターと璃緒は、そう思った。


しかし、それは思い込みで終わってしまった。


煙が一斉に爆風で吹き飛ばされ、ドン・サウザンドが姿を現したのだ。


ベクターも璃緒もやっぱり倒せないか…そんな表情を見せた。


ドン・サウザンド:「虚無の大神よ。その力を、我に宿せ!」
ドン・サウザンドが、そう呟くとドン・サウザンドの背後に巨大なモンスターの幻影が現れた。



璃緒:「!?」


ベクター:「なんだよ…、こいつは!」


ドン・サウザンド:「そうか、お前たちは初めて見るものだったな。これこそが、虚無の大神。真のカオスナンバーズの頂点!”CiNo.1000 夢幻虚光神ヌメロニアス・ヌメロニア”だ」
その巨大なモンスターの殺気はベクターと璃緒を襲う。


ベクター:「これが、ヌメロニアス・ヌメロニア…」

璃緒:「遊馬と凌牙、それに小鳥から聞いたことあるわ。ドン・サウザンドが使う最強のカオスナンバーズ。圧倒的な効果ゆえ、倒すのが困難だったって…」
かつて、ヌメロニアス・ヌメロニアは遊馬と凌牙が戦ったことあるモンスターだ。

なので、璃緒とベクターも一応話だけは聞いたことあったが、まさかここまでとは思ってもいなかった。



ドン・サウザンド:「そう、ヌメロニアス・ヌメロニアは、あの2人を苦しめた最強の神のカード。そして、最強の神の力は、我の身体へと転移する」
ヌメロニアス・ヌメロニアの幻影が粒子となって、ドン・サウザンドと一つになる。

ベクター:「おいおい、まさかこれって…」

璃緒:「限界勢力…」
デュエルモンスターズそのものを身体に取り込んで力を発揮する力のことを言う。


ドン・サウザンド:「限界勢力?我を人間と同じにしてもらっては困るな」
ドン・サウザンドの表情は圧倒的な力を手にし、それを見せびらかす表情をしていた。

ドン・サウザンド:「私自身がヌメロニアス・ヌメロニアなのだ。虚無を司り、永遠の闇を自在に操る神。それがヌメロニアス・ヌメロニアであり、そしてドン・サウザンドなのだ!」
ドン・サウザンドからとてつもない殺気が放たれ、璃緒とベクターは吹き飛ばされる。


ベクター:「うおおおおお!」

璃緒:「きゃああああ!」
2人は背後の階段に追突した。


ベクター:「やっぱり、隠し玉、持っていやがったか?」

璃緒:「ヌメロニアス・ヌメロニアの力を取り込んだ、ドン・サウザンドの気迫はとんでもないようね」

ベクター:「あぁ、だが、おもしれえ」

璃緒:「?」

ベクター:「こんな糞強い敵に立ち向かえるんだ。自分が強くなるための、相手には相応しいぜ」
ベクターの目の前の敵と戦えることに面白さを感じている。


だが、それは、璃緒も同じだった。


璃緒:「えぇ、そうね。私たち、以外にラッキーな相手と戦っているのかもね」
璃緒とベクターは笑みを浮かべながら立ち上がった。


その表情を見たドン・サウザンドは―


ドン・サウザンド:『この2人、ヌメロニアス・ヌメロニアに怯えていない。むしろ、この状況を楽しんでいる?伝説を残していない平凡な人間が!』
2人の表情を見て面白くなかったのか、ドン・サウザンドは珍しく怒りが頂点を達した。

同時に、ドン・サウザンドから今まで以上にない殺気を解き放つ。


ベクター:「来るぜ」

璃緒:「分かってるわ」
お互いにドン・サウザンドの殺気に耐え、デュエルギアを構える。





ドン・サウザンド:「ベクター!メラグ!お前たちをカイゼル・サウザンドの生け贄に捧げるのはやめにしよう!お前たちを生け贄にしたところで、人間世界が滅びるのが早まるだけなのだからな!」


ベクター:「おいおい、それってタイムリミットを無視して人間世界を滅ぼすってことだよな?神様が、タイムリミットを無視して約束破って言い訳?」

ドン・サウザンド:「なんとでも言え。お前たちは死よりも怖い恐怖へ誘ってやろう!!」
イマジナリー・ヌメロニアの刃が、黒いオーラに包まれる。


そして、ドン・サウザンドの背中から大きな羽は生えてきた。


ベクター:「いよいよ、本気ってとこか?」


璃緒:「準備はいいかしら?ベクター」
璃緒は、共に戦うベクターに確認を取った。


ベクター:「いつでも」
一言そう言うと、ベクターはニヒッと笑った。


璃緒:「なら、私の攻撃を、あなたに託します!」
璃緒がセカンドステージ状態のシルフィーネイーターを振り回す。


冷気が周りに広がる。

そして、璃緒の頭上に氷で象られた鳥が数羽生成された。

璃緒:「行きなさい!アイスバード!!」
生成された数羽の鳥は、ドン・サウザンドに向かって体当たりを仕掛ける。


ドン・サウザンド:「そんなもの、我の手を汚すまでもない!」
ドン・サウザンドは気迫を解き放ち、それだけで氷で生成した鳥たちを粉々にして元の氷の状態にした。


璃緒:「本番は、ここからですわ!」
さっきは数羽の鳥を氷で生成したが、次は巨大な鳥を氷で象って生成した。


その鳥は、別の言い方をすれば不死鳥とも言えるだろう。



ベクター:「シャドー・スキャム!」
セカンドステージ状態のアンブラル・ファルチェを地面に付けたベクター。

すると、地面にできたアンブラル・ファルチェの影が伸び、氷で生成した巨大な鳥の影にくっ付く。

そして、氷で生成した巨大な鳥と同じ形の鳥が、影から出てきた。


ドン・サウザンド:「デュエルモンスターズで言えば、攻撃力を倍にしたに過ぎない。そんなもので我には勝てない」
ヌメロニアス・ヌメロニアの力を、イマジナリー・ヌメロニアに送り、とてつもない殺気を放つとともに巨大な斬撃を飛ばす。



ベクター:「ここまでは、まだ準備に過ぎねえよ!行くぞ、璃緒!」

璃緒:「ええ!」
2人の武器に属性波動の力がそれぞれ流れ込む。


ベクター:「憎しみの炎!俺様の心と共に燃え盛れ!」
アンブラル・ファルチェの刃を覆う炎を影で作った氷の巨大な鳥に飛ばし、本物の不死鳥かのように、影で生成した巨大な鳥は炎に包まれる。


璃緒:「零鳥の風となって、全てを斬り裂きなさい!」
璃緒もシルフィーネイーターの刃に纏った風の力を、氷で象った巨大な鳥に託し、鳥の周りを風が吹きまわる。


巨大な2羽の鳥は、ドン・サウザンドが放った斬撃に迫る。


ベクター、璃緒:「ブリザード・シャドー・バード!!」
技の名前を叫ぶ2人の気迫は、ドン・サウザンドにも伝わった。

ドン・サウザンド:「消え去れ!死にぞこないのバリアンよ!」


ベクター:「うおおおおおお!」

璃緒:「はあああああ!」


璃緒とベクターの攻撃が、ドン・サウザンドの攻撃とぶつかり合ったとき、一瞬の輝きと共に周りに爆風が襲う―!!


ベクターと璃緒

戦いの結末は――!









その頃、カイゼル・サウザンドの最奥部にいるミスター・ハートランドの元に、バリアン8人衆のリーダー、ウェスカーが訪れた。


ウェスカー:「ミスター・ハートランド、こちら側の状況が多少不利になってきている。お前たちにも働いてもらうぞ」

ハートランド:「承知しております、お任せください」
ハートランドが軽く一礼すると、後ろを振り向き、目の前にいる者たちを指示を出す。


ハートランド:「では、我々も行くとしよう。遂に、闇デュエル界の四悪人の出番です」
闇デュエル界の四悪人、それはハートランドの旧知の知り合い。

ハートランドを含めた4人のデュエリスト。そして、その者たちはかつて、遊馬、凌牙、カイト、そして、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴたちを苦しめた連中でもあった。


極悪人のデュエリストたちが、再び舞い戻る…!









第10ED『さすらいびと《DASEIN》』







次回予告

ナレーション:人間世界を救うために立ち向かう者たちに忍び寄る影

かつて倒したはずの闇デュエル界の四悪人のメンバー、蝉丸、クラゲ先輩、蚊忍者が舞い戻る!

ドン・サウザンドの力で復活を遂げた3人に立ち向かうアリト、ギラグ、そしてミザエル。

まがい物のナンバーズの力を使って、戦う敵に、彼等はどう立ち向かうのか…!


ミザエル:次回、遊戯王5DXAL「激動! VS闇デュエル界の四悪人」


ミザエル:「そんな力を使ったところで、私に敵うわけがないだろ!」





遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!


璃緒:「私のデュエルギア”シルフィーネイーター”は、”零鳥獣シルフィーネ”のデュエルギアで、ベクターと同じ大鎌タイプのデュエルギアよ。氷の力を使って、敵を凍らせるのが戦術の1つよ」
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