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第162話:『ジュワユース・アンジェラス!』







アラクネーの宝玉を出し、光の柱に姿を包み込んだペイトン。




アキ:「な、何が起きてるの…!」
突然の出来事に、戸惑うアキたち。



そして、光の柱に目のようなものが浮かび上がった。



マルタンの足元に3匹のバニーラが出てきた。

マルタン:「君たち…」
マルタンが3匹を抱き抱える。

3匹とも、光の柱を見て怯えていた。



ペイトンと戦っていたドルべが、その光の柱に一番近いところに立っていたが、光の柱に浮かび上がる目を見て、足が震えそうになった。




ペイトン:「これが…、これが、アラクネーの宝玉いや、ドミナシオンの力ですか!」
光の中から現れたペイトン。その姿は、もはや怪物だった。









第9OP『HEART・BEAT《MARIA》』






第162話:『ジュワユース・アンジェラス!』





光の柱の中から出てきたペイトンの姿は、もはやバリアンの原形が全然なかった。


蜘蛛人間…、そう例えるのが無難か…。


一星:「な、なんだ…あれは!」

愛:「気持ち悪い…」
あまりの気持ち悪さに口を押える愛。



ドルべ:「この化け物め!」
ドルべがセカンドステージ状態のホーリー・ライトニング・カトラリーアローから矢を放つ。


ペイトン:「そんなものは、もう通用せん!」
口元から蜘蛛の糸を吐き、放たれた矢に絡みつき、軌道を殺した。


ドルべ:「くっ」
ドルべが手元に新たなデュエルギアを出す。


ドルべ:「エクレレ・セプター!」
”光天使セプター”の王笏の形をしたデュエルギア”エクレレ・セプター”である。



ドルべ:「レヨン・チェーン!」
エクレレ・セプターの先端から光で生成したチェーンを出し、蜘蛛人間を捕えようとする。


蜘蛛人間は、再び糸を吐き、飛んできたチェーンを弾き飛ばした。

更に、蜘蛛の糸はドルべの身体をぐるぐるに巻きつけ、身動きを封じる。


ギラグ:「ドルべ!」


ドルべ:「くっ」
蜘蛛の糸を取ろうとするが簡単には取れなかった。



ペイトン:「うおおおおお!」
大きな声で唸るペイトン。


カイゼル・サウザンドの中に作られている、この辺りの空間が歪みだす。


ナポレオン:「な、何が起きているのでアール…」
空間が歪んできていることに動揺するナポレオン。






その頃、Ⅴたちは、周りが暗い空間に浮かび上がる階段を上がっていた。



すると、突然、どこからか唸る声が聞こえてきた。


城之内:「何だ…、今のは…」

舞:「城之内、見て!」
舞が指さした場所を見る、みんな。


Ⅴ:「何…!?」

色葉:「空間に亀裂…!」
空間に亀裂のようなものが出来ていたのだ。


その亀裂は、少しずつ大きくなっている。



そして、再び大きな唸り声が聞こえた瞬間、その亀裂はガラスが割れたような音を立てて、外部の光が、Ⅴたちを照らした。


あまりの眩しさにⅤたちは目を瞑る。





しばらくして、目を開けたⅤたち。


目に映ったのは、戦争の跡地のような地帯が広がる場所だった。



そして、その目の前には、何者かが唸っていた。



雑賀:「なんだ…あれは!」
目に映った蜘蛛人間を見て、雑賀は唖然とする。

ジュンコ:「き、気持ち悪い…」


モンスター…、誰もが最初はそう思った。




獏良:「あ、城之内君!」
自分の名前を呼ばれたことに気付いた城之内は、声がした方を向き、白髪の男性がすぐ目に映った。


城之内:「獏良…!?お前どうして、ここに…!」

獏良:「それは、こっちのセリフだよ!どうして、君たちがここに―」
お互い、ここにいることに驚く城之内と獏良。


すると、その時、再び唸り声が響き、蜘蛛人間が目をギラッと光らせる。


ペイトン:『これがアラクネーの宝玉に宿る力…。私は、それを使いこなしているのか…!』
自分の身体を見て、力を実感するペイトン。


やばい…!ドルべはそう思った。


ドルべ:「みんな!今すぐ、ここから離れるんだ!」
蜘蛛と糸に身体を縛られているドルべが、みんなにそう言った。

だが、ペイトンは、口から蜘蛛の糸を、城之内達に向けて吐いた。


吐いた蜘蛛の糸は槍のように鋭くなり、城之内達が立つ地面に突き刺さる。


城之内:「のわっ!」

舞:「う、うそでしょ!?」

色葉:「みんな!早く隠れて!当たったら、一溜まりもないわ!」
色葉が、みんな隠れるように命ずる。

しかし、ドルべだけは蜘蛛の糸に捕らえられているため、身動きが取れなかった。


ギラグ:「ドルべ!」

アリト:「俺が行く!」
アリトがドルべの方へ向かって走る。


Ⅴ:「私が援護しよう!アリト、その間に、ドルべを!」

アリト:「ああ!」
Ⅴとアリトが横に並んで走る。


そして、Ⅴが愛用の”ディープ・スペース・クルーザー・ナイン”の刺突用の剣レイピア型のデュエルギア”スペース・レイピアザー”を手に持つ。


ペイトンが再び口から蜘蛛と糸を吐く。

その糸は先ほどと同じで、鋭い槍へと化す。


Ⅴ:「オリオン・ジャマー!」
Ⅴは光の属性波動をスペース・レイピアザーに流し込み、オリオン星座の幻影を出し、槍と化した蜘蛛の糸を弾き返す。


その間に、アリトはドルべの元に到着する。


アリト:「今助けるぞ、ドルべ!」
アリトは、”BK(バーニングナックラー)拘束蛮兵リードブロー”のボクシンググローブの形をしたデュエルギア”バーニングブロー”を両手に填める。


アリト:「ヒート・カッター!」
右拳のバーニングブローの周りに、炎の刃が出てきて、それを使ってドルべの身体に巻きつけられている蜘蛛の糸を切り、ドルべを助ける。


ドルべ:「ありがとう、助かった」

アリト:「これぐらい、どうってことねえよ。Ⅴ!ドルべは助けた!」
アリトがドルべを助けたことをⅤに伝える。


Ⅴ:「一旦、下がるぞ!」
言われた通りに、3人は後ろに下がり、身を隠す。



Ⅴ:「ドルべ、あれは一体、何だ?」

ドルべ:「あれは、バリアン8人衆の1人ペイトンだ」

Ⅲ:「あれが、バリアンの1人…!」
あの蜘蛛人間がバリアンの1人だということに驚くⅢ。



マルタン:「よくわからないけど、変な宝石のようなものを出した瞬間、光に包まれて、あんな姿になっちゃったんだ」
自分の目に映ったことをそのまま伝えるマルタン。



ペイトン:『さあ、隠れてないで出てきてください!』
ペイトンはそう言って、ガトリングタイプのデュエルギアを手元に出す。


さっきのバトルフィールド・ブラッドに似ているが、よく見ると、似ているのは色だけで、形状はそれなりに変化しているようにも見える。その理由として、レーザーサイトが取り付けられているからだ。


おそらく、バトルフィールド・ブラッドのセカンドステージ状態であろう。


ペイトンはセカンドステージ状態のバトルフィールド・ブラッドの引き金を引き弾丸を連射する。





アキ:「また無差別に攻撃してきたわ!」


一星:「これでは、迂闊に出ることはできない…!」
目の前にいるペイトンをどうやって倒すかを考える一星たち。


下手に出て行けば、ガトリングの銃弾の餌食になり兼ねない。もしくは、奴の口から出てくる蜘蛛の糸で捕らえられるか、もしくは槍となって串刺しになるかだ。


かといって、ずっと隠れていても埒が明かない。


Ⅴ:「!」
ドルべ:「!」
ペイトンをどう倒すかを考えていると、ドルべとⅤのエースのマークが輝き出した。


Ⅴ:「これは…」
自分の手の甲を見つめるⅤ。

それはドルべも同じだった。


2人は顔を合わせて頷いた。

ドルべ:「ここは、我々が協力して戦うしかないようだな」

Ⅴ:「そうだな。行くぞ、ドルべ」
ドルべとⅤは共に戦うことを決めた。


剣山:「2人だけで戦うつもりドン!?」

ドルべとⅤにそう聞いた剣山。


ドルべ:「どんな姿になろうと、奴がバリアンであることに変わりはない」

Ⅴ:「なら、戦うのは、我々の仕事だ。みんなは伏せててくれ」

Ⅲ:「ですが…!」
Ⅲは、それでもⅤたちを止めようとする。


しかし、Ⅳは違った。


Ⅳ:「わかった。なら、奴は、2人に任せる」

Ⅲ:「兄さん…!?」

Ⅳ:「2人の目を見ろよ、Ⅲ。俺たちが止めても無駄だろ」

ドルべとⅤの目は、蜘蛛人間に変貌したペイトンにずっと向いていた。

しかも、すごい真剣な目だった。


Ⅲ:「わかりました。気を付けてください、兄さん」


ギラグ:「もしやばくなったら、すぐに手を貸すぞ」
ギラグもドルべにそう言った。


ドルべ:「ありがとう、ギラグ」
ギラグに礼を言って、ドルべは戦く覚悟を決める。


Ⅴ:「まずは、私が先行する」

ドルべ:「了解した」
隠れていたⅤが、表に出てきてペイトンに向かって走る。


ペイトン:『身の程を知りなさい!私のあなた方の力の差を!』
セカンドステージ状態のバトルフィールド・ブラッドについているレーザーサイトがⅤを追いかける。

照準が定まり、引き金を引きⅤに銃弾の雨が襲いかかる。


Ⅴ:「エースのマークよ!鉄壁のバリアを展開し、我を守りたまえ!」
No.5のエースのマークが輝き、周りにバリアが展開され、襲いかかる銃弾から自分の身を守る。


それでも、引き金を引き続けるペイトンは、少しずつⅤに近づく。


引き金を引いたまま、Ⅴに近づくということは、バリアに当たっている銃弾のパワーが、近くなってくるにつれ、強くなるということだ。


Ⅴは息を飲む。

バリアにだって限界はある。


そして、恐れていたことはすぐに起きた。


Ⅴが展開したバリアにヒビが入ったのだ。


ペイトン:『そのバリアも終わりですね』
蜘蛛人間に変貌しているペイトンの目が光る。


そして、全身に赤いオーラが纏われ、セカンドステージ状態のバトルフィールド・ブラッドの銃口の中も赤く光る。


ペイトン:『バーニング・アラクネー!!』
セカンドステージ状態のバトルフィールド・ブラッドから炎の銃弾が連続で発砲され、放たれた銃弾はやがて1つになり、炎で象った蜘蛛の姿となって、Ⅴが張ったバリアとぶつかり合い、バリアを粉砕した。


城之内:「クリス!」

Ⅲ:「兄さん!!」
バリアが破られ、Ⅴに炎の蜘蛛が迫ってくることに、城之内達が焦る。


Ⅴ:「ソーラー・スクード!!」
Ⅴの頭上に、”太陽風帆船(ソーラー・ウィンドジャマー)”が一瞬現れ、光の粒子となって、Ⅴの手に盾のデュエルギアとなって、主人を守る。


ソーラー・スクード。中世ヨーロッパの騎士が持っていた盾をモチーフにされたⅤの新たなデュエルギアだ。


Ⅴ:「アブソーバー・ソーラー!!」
ソーラー・スクードで、炎の蜘蛛とぶつかったとき、炎の蜘蛛がソーラー・スクードに吸収された。


ペイトン:「!?」




色葉:「敵の技を吸収した…!」
突然の出来事に驚く色葉。


そして、ソーラー・スクードが吸収した力がⅤの目の前に放出され、それをスペース・レイピアザーが纏った。

Ⅴ:「そちらにお返しする!」
スペース・レイピアザーから炎の斬撃が繰り出され、ペイトンが持つセカンドステージ状態のバトルフィールド・ブラッドに直撃する。





銃弾が放てることができないほどに、大破し、ペイトンはバトルフィールド・ブラッドを、その場に捨てる。





舞:「盾が吸収した力を、剣に与えて、敵に攻撃するなんてね。やるじゃない」


Ⅳ:「ふん、ここまでやってくれなきゃ、アニキに任せた意味がねえ」
ⅣがⅤにペイトンのことを任せたのは、兄がここまで力を見せてくれることを信じていたからだ。




Ⅴ:「ドルべ!」
Ⅴが一旦下がると、後方でセカンドステージ状態のホーリー・ライトニング・カトラリーアローを構えるドルべが立っていた。


よく見ると、ドルべが手が青く光っている。

エースのマークの輝きではない。属性波動による力を発動するときに見られる光だ。

ドルべが、この月数ヵ月で会得した属性波動は、”水”属性である。つまり、水属性による技を放つつもりだ。


ドルべ:「アイル・シューティングアロー!!」
水で生成した矢を放つドルべ。


ペイトン:『負けませんよ!!』
ペイトンも蜘蛛人間のような顔をした口元から連続で蜘蛛の糸を吐き続ける。

糸は宙で鋭い矢となり、ドルべが放った技とぶつかるが、ドルべの攻撃が弱まることはなかった。


ペイトン:『くっ』
ペイトンは、その場から離れようとした。


だが、水の矢はペイトンを逃がさない。

放たれた矢はやがて、狼を象り、宙を走る。


狼を象る矢は、ペイトンを襲った。


同時に、風圧が周りを襲う。



ももえ:「やりましたわ!」

城之内:「ざまぁみろ!人間の力を嘗めたバツだ!」
ペイトンを倒したことを確信する城之内達。



だが、ドルべとⅤの表情は、まだ勝利を喜ぶような顔をしていなかった。


Ⅲ:「兄さん…?」

マルタン:「2人とも、どうしたんだろ?」
みんなが喜んでいるのに、戦った本人たちが喜んでいないのはおかしい…。

誰もがそう思ったとき、さっきまでペイトンが立っていた場所に黙々と立っている白煙が晴れると、中からペイトンが姿を現した。


愛:「う、うそでしょ…」


一星:「あいつ、まだ…!」
先ほどと同じで蜘蛛人間の姿をするペイトン。所々、ダメージによる傷があるが、それでも奴はまだ倒れていない。


ペイトン:『まさか、人間風情がここまでやるとは思いませんでした…。ですが、今の私は、アラクネーの宝玉に宿りし力を身体に持つ存在!あのような、攻撃で倒れるわけがありません!』
ペイトンの背後に、巨大な蜘蛛の影が出てきた。


ドルべ:「!!?」

Ⅴ:「なんて殺気だ…。今までで一番強い殺気だ」
ペイトンから放たれる殺気を間近で感じるドルべとⅤ。


巨大な蜘蛛の影は、ペイトンの身体に吸収される。

ペイトン:『地獄を味わいなさい!』
ペイトンは口や手、あらゆるところから蜘蛛の糸を出してきた。


ドルべ:「くっ!」
エースのマークの力で展開しているバリアを張って、身を守るドルべ。


口以外からどうやって糸を吐き出しているのか突っ込みたくなるほどに、奴は蜘蛛の糸を吐き続ける。


Ⅴもエースのマークの力で展開したバリアで身を守る。

ペイトン:『いいのですか?ここにいる時点で、危険なのはあなた方だけではありませんよ』
ペイトンが脅すかのように2人に問いかける。


2人が、みんながいる方へ目線を変える。

槍のように鋭くなった糸が、みんなが立っている場所に数本も飛んでいっていたのだ。


ドルべ:「マズい!あれだけの数を弾き飛ばすのは無理だ!」

Ⅴ:「急いで逃げるんだ!!」



ペイトン:『もう遅いです』

何十本の糸の矢が、雨のようにみんなに降り注ごうとしていた。



しかし、その時―!



???:「エンジェリック・スラッシュ!!」


???:「ラス・オブ・ネオル-烈火斬!!」
ピンク色の斬撃と、粒子を纏った炎の斬撃が飛んできて、みんなに降り注ぐ糸の矢を弾き飛ばした破壊した。



一星:「これは…!?」
この攻撃に見覚えのがあった一星。




キャッシー:「みんな、大丈夫!」
そこに現れたのは、キャットちゃんに、明日香、剣代、梨香、珠里、静香、龍可、レミたちだった。


城之内:「静香!?」

静香:「お兄さん。よかった、お兄さんも、こっちに来てたんだ」
妹が、ここにいることに驚く城之内。

しかし、静香の方は、兄にすぐにあえてホッとしたかのような表情を見せる。


梨香の手には、”ラーマーヤナ”が、剣代の手には、”光燐之太刀・烈火”が持たれているということは、さっきの攻撃は、2人の攻撃によるものだとすぐに気づく一星や愛たち。


龍可:「それより、あれって…」
龍可は目の前にいる蜘蛛人間を見て、何かを感じる。


明日香:「えぇ、おそらくアラクネーの宝玉によるものだは、あいつから感じるプレッシャーは、あのときと同じ」
明日香は、数日前の戦いのことを思い出す。


それは、エルフェンの森であった出来事。アラクネーの宝玉に眠っていた”ドミナシオン”が目覚め、森を破壊し尽くしたときのことだった。



ジュンコ:「明日香さんたちは、あれを知っているんですか!?」

明日香:「あいつのことは知らないけど、あれに似た力なら知っているわ」

珠里:「もしかして、宝玉みたいなもの出しませんでした?」

ももえ:「え、えぇ」

珠里:「私たち、実はその宝玉があった場所に、先日までいたんです。話せば長くなるので、詳しいことは割愛しますが、アラクネーの宝玉は最終的に、バリアン8人衆の1人ペイトンに奪われてしまって…」
珠里の口から出た人物。それは、今、自分たちの目の前にいる人物のことだった。


剣山:「そのペイトンって、あいつのことドン!」
剣山が蜘蛛人間を指さして、そう言った。


剣代:「アラクネーの宝玉の力を使ったペイトンってことか…」
剣代がペイトンを見つめる。






ペイトン:『これはこれは、先日はお世話になりました。ですが、あなた方に構っている暇はありません。すぐに方をつけ―』
ペイトンが、みんなを殺す宣言を使用としたとき、ペイトンを挟むかのように、ドルべとⅤがそれぞれ両側に立った。



ドルべ:「残念だが、お前に、それを宣言する時間はない」


Ⅴ:「これで終わりにしよう、ペイトン。お前の負けだ」
2人からとてつもない気迫が放たれ、ペイトンを襲う。


ペイトン:『な、何をするつもりですか…!あなた方の力は、私には通用しないことは分かったはずでしょう』

Ⅴ:「嘗められたものだな。あれが我々の実力だと?」

ペイトン:『何…!?』


ドルべ:「これが我らの真の必殺技だ!」
ドルべのNo.7のエースのマークと、ⅤのNo.5のエースのマークが強く輝く。


ドルべはエースのマークの力で光の矢を生成し、それをペイトンの真上に放つ。


そして、Ⅴはエースのマークの力をスペース・レイピアザーに与え、剣先から光線をペイトンの真上に放つ。


ドルべとⅤが放った攻撃が、ペイトンの真上で接触したとき、真下にいるペイトンに光の柱を落とした。

ペイトン:「これは…!?」

Ⅴ:「お前の力は強すぎる…」

ドルべ:「ならば、我々は力を合わせて、強力なちからを作るまで」

ペイトン:「ぐおおおおお!」
ペイトンの身体が少しずつ元に戻る。

光の柱のすぐそばに、大きな鐘の幻影が現れ、鐘の音が周りに響く。

更に、巨大な女神の幻影も現れ、光の柱を包み込む。



ドルべ、Ⅴ:「「ジュワユース・アンジェラス!!」」
光の柱の辺り一帯が強い光に包まれる。


みんなは、その眩しい輝きに目を閉じてしまう。




しばらくして、全員は恐る恐る目を開けた。


そこには、堂々と立つドルべとⅤがいた。そして間には、元の姿を取り戻したペイトンが倒れていた。

近くには、アラクネーの宝玉が落ちている。



マルタン:「勝ったの…?」

雑賀:「どうやら、そうみたいだな…」
あの一瞬で何が起きたのか理解できない雑賀達。

だが、確実なのは、ドルべとⅤが放った攻撃により、ペイトンを倒したということだ。


Ⅳ:「ホントに二人で倒しちまったか」

Ⅲ:「兄さん、2人を信じていたんじゃないの?」
Ⅳの言葉に苦笑するⅢ。



キャッシー:「アラクネーの宝玉、早くあれを回収しないと」
キャットちゃんが、そう言ってペイトンが倒れている場所に近づこうとした、そのとき!


ピカッ

倒れているペイトンの頭上が輝き出し、そこから黒い光の柱が落ちてきた。


アキ:「何…!?」
黒い光に驚くアキたち。


???:「やはり、お前だったか」
黒い光の中から聞こえた声。その声の主が、みんなの前に姿を現す。


そう、それは、バリアン8人衆を束ね、今回の騒動を起こした張本人ドン・サウザンドであった。



アリト:「てめえは!」


ドルべ:「ドン・サウザンド!!?」
周りのみんなが一斉に警戒する。


こいつは、バリアン8人衆とは違う。油断は絶対にできない。誰もがそう言う気持ちだった。


ドン・サウザンドは、落ちているアラクネーの宝玉を拾う。

ドン・サウザンド:「力欲しさに、私の手から盗んだようだが、人間に負けるようでは、お前はいらない存在だな」
ドン・サウザンドが、右の掌をペイトンが倒れている方に突き出す。


すると、ペイトンの頭上から再び黒い光の柱が落ちてきて、ペイトンを飲み込んだ。


光の柱が消えたとき、その場にペイトンの姿はなかった。

ドン・サウザンドによって、粛清されたのだ。



ドルべ:「ドン・サウザンド…」
ドルべがセカンドステージ状態のホーリー・ライトニング・カトラリーアローをドン・サウザンドに向ける。

ドン・サウザンド:「我を打ちたいか?ドルべ。だが、我は汝の相手をしている暇などない」

ドルべ:「何?」

ドン・サウザンド:「我の計画は最終段階へ突入する。お前たちの相手は、その準備が整ってからだ」
ドン・サウザンドの身体が少しずつ消える。

ドルべ:「待て!ドン・サウザンド!!」
ドルべがホーリー・ライトニング・カトラリーアローから光の矢を放つ。

しかし、その矢はドン・サウザンドの身体をすり抜け、そしてドン・サウザンドは消えた。


アリト:「あいつ、逃げやがった…!」


Ⅴ:「計画の最終段階…、奴は一体、何をするつもりなんだ…」




ドン・サウザンドの最終段階。それは、誰も気づかない、ベクターと璃緒の最後が近づいているということだった…!









第10ED『さすらいびと《DASEIN》』








次回予告

ナレーション:バリアン世界の本拠地に姿を現すドン・サウザンド。

そこで静かに待っていたベクターと璃緒が、遂に計画のための生け贄となるとき来てしまった…!

”闇の力を持つ平和の王子”、”ポセイドン海の連合国の王の妹”、この2つの魂が、カイゼル・サウザンドに捧げられた時、真の絶望が人間世界に降り注ぐ。

だが、ドン・サウザンドが、2人にその事実を告げたとき、ベクターも、真の目的を明かす!


ベクター:次回、遊戯王5DXAL「ベクター 真の目的」


ベクター:「まさか、あいつが、こんなことを頼んでくるとは思ってなかったぜ」
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