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第161話:『癒しの咆哮!イシュトリルトン』








カイゼル・サウザンド最奥部



ドン・サウザンド:「ほお、自分自身に打ち勝ったか」
自分が仕掛けた罠に引っ掛かり、ナッシュとデュエルしていた凌牙の気配を感じ取るドン・サウザンド。


凌牙は、そのナッシュに勝ったのだ。


ドン・サウザンド:「冀望皇バリアンにも、臆することはなかったか」
ドン・サウザンドは、左の中指に填めている血のデスリングを見る。

ドン・サウザンド:「過去に囚われてはいないということか」
ドン・サウザンドは立ち上がる。


ドン・サウザンド:「計画が徐々に進んでいる。タイムリミットまで2時間を切った。そろそろ、あの2人の生命を、もらい受けるとしよう」
ドン・サウザンドはすぐ側に置いてあったヴィータのペンダントとアラクネーの宝玉を手に取る。


すると、アラクネーの宝玉を持った瞬間、何か違和感を感じたドン・サウザンドは、宝玉をじーっと見る。








その頃、バリアン8人衆ペイトンが、暗闇の中1人目を瞑り立っていた。


ペイトン:「さあ、始めましょう。血の戦場を」
ペイトンはそう呟く。







第9OP『HEART・BEAT《MARIA》』







第161話:『癒しの咆哮!イシュトリルトン』








ドルべルート




戦争の跡地のような地帯を歩き続けるドルべたち。

おそらく元々街だったんだろうが、街だったという原形は全然見当たらない。

ドルべと共に行動しているのは、アキ、愛、一星、獏良、ナポレオン、剣山、マルタン、牛尾、アリト、ギラグの10名だった。


小さい木柱を踏んだ時、バキッと音を立てて、木柱は折れた。

アキ:「ここ、どう見てもバリアン世界じゃないわよね?」
アキは、アリトとギラグに聞いた。


アリト:「あぁ、俺たちが知っているバリアン世界に、こんな場所はねえ。ましてや、これほど荒れる戦争なんて、ありやしなかったぜ」

ギラグ:「空こそバリアン世界と同じだが、ここはおそらく人間世界…」
ここが、人間世界の風景だと発言するギラグ。


剣山:「それじゃあ、ここはドン・サウザンドが、俺たちの世界のどこかを模して作った世界って言うことザウルスか?」


牛尾:「そういうことになるな」
牛尾が、焼き焦げた家の中に入る。


腰を落とし、牛尾は何かを発見した。


マルタン:「何か見つけたの?」

牛尾:「見てみろ」
牛尾の目線の先には、おとぎ話の絵本が落ちていた。


しかし、それは日本語で書かれているものではなかった。

どこかの外国の言葉で、絵本のタイトル名は書かれている。


しかし、ナポレオンは、この絵本を見て、すぐに誰が作者なのかはっきりとわかった。


ナポレオン:「これは、シャルル・ペローの本…!」


愛:「シャルル・ペローって誰?」

ドルべ:「シャルル・ペローはフランスで有名な詩人の名前だ。赤ずきんやシンデレラの絵本も手掛けたことがある人らしい」
ドルべの解説に、愛が「へ~」と納得する。



一星:「それじゃあ、ここはフランスなのか…!」
自分たちが見ている風景がフランスだとわかったとき、数人が唖然とした。


獏良:「フランスって、こんなになるほどの戦争ってしてたっけ」
唖然とする獏良が恐る恐る聞いた。


ナポレオン:「我輩の知っているフランスは、穏やかな国しか知らないのでアール。戦争なんて、まさか…」
自分が生まれた国であるフランスが、こんな無残な姿になっていることを、この眼で見ているが信じられないナポレオン。







???:「では、あなたは平和なフランスで育ったということになりますね」
どこからともなく声が聞こえた。


ドルべのNo.7のエースのマークが光る。



瓦礫の山の影から、人影が出てきた。


ドルべ:「お前は、バリアン8人衆の1人」

ペイトン:「ペイトン。それが私の名前です。以後お見知りおきを」
ペイトンが礼をする。


ドルべ:「みんな下がってくれ。こいつは、私が相手をする」
ドルべの言う通りに、みんなは後ろに退避する。



ペイトン:「あなたのことは調査させてもらいました。ドルべ、かつてのバリアン七皇として、人間世界を襲ったもの。リーダーのナッシュと共に、七皇の副リーダー的存在の行動を見せた」
ドルべの過去のことを話すペイトン。

話すのは勝手だが、自分にとってはあまり思い出したくない過去だった。



ドルべ:「私の過去をベラベラ話すのは勝手だが、私のいないところで言ってほしいな。私は、もうバリアンとして生きていた自分のことを思い出しくないのでな。それより、ここはなんだ?」
ドルべは周りの風景を見て、ペイトンに聞いた。

ペイトン:「あなた方もさっき気付いたでしょう。ここはフランスです」

ドルべ:「私は、そんなことを聞いているんじゃない。なぜ、こんな風景を私たちに見せると言っているんだ」
ドルべの問いに、口元が笑うペイトン。


ペイトン:「人間として生まれ変わった後は随分平和な日常を送っていたのですね、あなたは」

ドルべ:「?」

ペイトン:「ここは私が生まれ育ったフランス」


マルタン:「え?」

アキ:「生まれ育ったフランス…?」

ドルべ:「どういう意味だ。お前はバリアン世界で生まれたんじゃないのか?」
ペイトンの発言が理解できないドルべは、強い口調で質問した。


ペイトン:「我々、バリアン8人衆は、元々人間世界で生まれ育ったもので構成された組織です」
ペイトンの言葉に更に驚く、みんな。


ギラグ:「なっ!」

アリト:「お前たちは、元々人間だったのか!?」


ペイトン:「えぇ、しかも、病などで身体が弱く他人に差別され続けた哀れな人間ですよ。私は、そんな身体で、このフランスで育ちました。身体が弱い所為で、学校には行けず友達もできなかった。自分を助けてくれたのは、家族だけでした」
ペイトンの話しを聞くドルべたち。


ペイトン:「家族と過ごす時間、これが私にとって一番楽しい時間でした。ですが、フランス政府の勝手な判断で戦争が勃発、国は戦場化となってしまいました。それが、これです」
戦争が繰り広げられた結果が、今自分たちが立っている場所だ。


これは、戦争の跡地。街なんて言う原形は全然ない。


ペイトン:「戦争により、私の家族は全員死に、私も死の瀬戸際まで来ました。ですが、そこに、私の新たな光をあの方が授けてくれた」

アリト:「まさか、ドン・サウザンドのことか…!」


ペイトン:「えぇ、ドン・サウザンド様は、私の新たな命を授けてくれた。バリアンの力を手に入れた私は、完全に生まれ変わり、この姿を手に入れたのです」
自分の右掌を胸に当てて言った。


ドルべ:「お前はバリアンになって、何がしたいんだ?」

ペイトン:「この腐った世界を破壊し、ドン・サウザンド様が願う新たなバリアン世界を作り上げる事。それが私が、今やるべきことです」
表情とは裏腹に腐った世界などという暴言を吐くペイトン。


ドルべ:「ドン・サウザンドに操られているわけではないようだな。それが、お前の本性か?」

ペイトン:「ええ、そうですよ。今、あなたたちの目の前にいるのが、私自身です。そして―」
ペイトンが1枚のカードを手にする。

カードが輝き、デュエルギアへと変化する。

そのデュエルギアはガトリング砲の姿で、ペイトンは両手でそのガトリングを持った。



ペイトン:「これが私のデュエルギア”CX(カオスエクシーズ)ガトリング・ブラッド”の、”バトルフィールド・ブラッド”です」
血の戦場。そのデュエルギアは、日本語に訳すとそういう意味になる言葉だった。


ペイトンはドルべに向けてガトリングの引き金を引き、弾丸を連射する。



ドルべ:「っ!!!」
ドルべはすぐにその場から離れる。

隠れる場所に向かうまでに、光天使ソードの弓タイプデュエルギアのホーリー・ライトニング・カトラリーアローを手に持つ。


直ぐに矢を放って、攻撃を止めたいが、攻撃をさせまいとペイトンはバトルフィールド・ブラッドの引き金から手を離さない。



ギラグ:「ドルべ!」
連射される弾丸に追われるドルべを見て、心配するギラグ。



ペイトン:「フッ、人の心配をしている場合じゃないですよ」
ペイトンは、バトルフィールド・ブラッドの照準をドルべから別の方へと変えた。

それに気付いたドルべは、ペイトンのバトルフィールド・ブラッドの銃口の向き先を見て、まさか…!慌てて、みんなに逃げろと伝える。



ドルべ:「ギラグ!アリト!みんなを連れて逃げろ!」

ペイトン:「逃げられるかな!」
ペイトンは、ドルベではなくギラグやアリトたちに向けて引き金を引いた。




アリト:「ヤバイ!?」

牛尾:「みんな逃げろ!」
ペイトンのバトルフィールド・ブラッドが、自分たちに向けられていることに気付き、みんなが逃げる。



バトルフィールド・ブラッドの弾丸は、無差別にみんなを襲う。



愛:「きゃあ!」

一星:「愛!」
一星は、双子の姉である愛を庇いながら、逃げる。


アキ:「愛!一星!」
子供たちの方へ走ろうとするアキ。


だが、ペイトンのバトルフィールド・ブラッドは、アキの方へと向けられた。


牛尾:「十六夜!行くぞ!」
牛尾はアキを連れて、逃げる。




ドルべ:「どういうつもりだ!ペイトン!お前の相手は私のはずだ!」
ドルべはペイトンにそういうが、ペイトンは楽しそうな表情でドルべを見る。


ペイトン:「ドン・サウザンドの計画を邪魔する者たちは、全員排除するようにと命令を受けています。1人1人相手をしていても時間の無駄ですし、これの方がスリルがあっていいでしょう」

ドルべ:「これでは、お前自身が戦争を起こそうとしているようにしか見えないぞ!」

ペイトン:「人間にはそのようにしか見えないでしょうね。でも、今の私はバリアン。革命を起こそうとしているだけですよ」
ペイトンがドルべにバトルフィールド・ブラッドの照準を変えて引き金を引く。

ドルべ:「くっ、御託なことばかり…!」
ドルべは逃げながらそう呟く。

ドルべ:「どうやら、その表情は嘘のようだな」
ドルべの右手の甲にNo.7のエースのマークが輝く。


ドルべ:「お前の化けの皮を剥がす!」
ホーリー・ライトニング・カトラリーアローを構えるドルべ。


ドルべ:「ジャッジメント・バーン!」
エースのマークの力を宿した矢を放ち、その矢が分散しペイトンを襲う。

ペイトンはバトルフィールド・ブラッドから弾丸を連射し、矢を打ち消そうとする。


しかし、数本はペイトンが立っている場所に命中した。



剣山:「矢がヒットしたドン!」

獏良:「倒したの?」
みんなはドルべがペイトンを倒したかのように思った。


だが、バリアンがそう簡単に敗れるはずがないことに、ドルべとアリト、ギラグは気付いていた。


ペイトン:「念のため1つだけ持ち歩いていて正解でした」
ペイトンの周りに張り巡らされている結界のようなもの。それは―。


ドルべ:「ちいっ、バリアンズ・スフィア・フィールドをバリア代わりにしたのか…!」
ペイトンの手にはバリアンズ・スフィア・キューブが握られている。

それから、フィールドを展開し、ドルべの攻撃から自分の身を守ったのだろう。



ペイトン:「次は、こちらから行きます!」
バトルフィールド・ブラッドの無数の銃口にエネルギーが溜められる。




マルタン:「な、何か…」

ナポレオン:「マズい気がするのでアール…」
皆が、ペイトンの行動に恐れを覚える。


ペイトン:「あなたたちは、死の境界線を越えることになる」
不気味な声でペイトンは言った。


そして、引き金を引く。

ペイトン:「モルテ・コンフィーネ!!」
銃口に溜められていたエネルギーが一気に放射され、放射されたエネルギーが悪魔のような顔を作る。


ペイトンが放った攻撃は、辺り一面を襲った。


爆風が、瓦礫を吹き飛ばし、そして―。


ドルべ:「うわあああああ!」
ドルべたちを襲った。







辺りには、白煙や埃が舞っている。


ペイトン:「少しやり過ぎましたでしょうか」
ペイトンは周りを見てそう呟く。


すると、白煙の中から一人の男の立っている姿が見えてきた。

ペイトン:「そうでもなかったようですね」

ペイトンが見たもの。それは、ドルべがエースのマークの力でバリアを張って身を守る姿だった。



ドルべ:「くっ」
バリアが消え、ドルべはあまりの衝撃によるダメージで膝をつけた。


ドルべ:「他の、みんなは…」
ドルべが周りを見る。



その中で、まずはアリト、ナポレオン、マルタン、獏良、剣山の無事を確認した。

彼等を救ったのは―。


ギラグ:「ブレイジング・ヒート」
”ファイヤーハンド”のガントレットタイプのデュエルギア”ブレイジング・ヒート”を右腕に取り付け、炎を纏った掌を前に突き出し、みんなを守ったのだ。






そして、アキ、愛、牛尾の無事も確認した。

3人を守ったのは、一星だった。


エトワール・ローズ・ドラゴンの片鎌槍のデュエルギア”エトワール・ランツェ”からバリアを展開し、みんなを守ったのだ。

一星:「エストレア・デファンス……っ!」
守ったのはいいが、ダメージは受けているようだ。


アキ:「一星!」
息子に近寄り、肩を掴むアキ。



ギラグ:「くっ!」
ギラグも同様に膝を地面に着ける。

アリト:「ギラグ!」
ギラグを心配するアリト。



牛尾:「大丈夫か?」

一星:「え、えぇ」
牛尾の声に普通に反応した一星は、頭を押さえる。



剣山:「おかげで助かったドン」
剣山もギラグの側に近寄って礼を言う。

ギラグ:「これぐらい、なんてことはない」
ギラグも余裕ではないが、大丈夫そうな表情で言った。





ドルべは、みんなが無事だったことを確認してホッとする。




ペイトン:「今の攻撃に耐えるとは、流石フロンティアで鍛えられていることだけのことはありますね」
自分が放った攻撃に耐えたドルべ、ギラグ、一星を見て感心するペイトン。



ドルべ:『あの攻撃を何発も打たれたら、一溜まりもない。すぐにケリをつけなければな…』
ドルべが立ち上がる。


よく見ると、腕から血が出ていた。


さっきの攻撃で腕を切ってしまったのだ。


これぐらいの傷なら、ドルべの身体に宿るNo.7のエースのマークの力で治癒することができる。

ドルべは右手で傷口に触れる。


触れた部分の傷が少しずつ治っていく。



ペイトン:「回復能力、いや確か君のエースのマークはN.7。治癒の力を持つエースのマークだったですね」

ドルべ:「これぐらいの傷ならすぐに治せる」
そんなこんなであっという間に傷が消えた。


ペイトン:「ならば、回復できないほどダメージを与える必要があるようだな」
ペイトンがそう言って、バトルフィールド・ブラッドから弾丸を連射する。


ドルべはすぐにその場から逃げた。


ペイトンは引き金から手を離すことなく、バトルフィールド・ブラッドから放たれている弾丸は、ドルべを追う。


ペイトン:「逃がしませんよ」
ペイトンは不気味な笑みを浮かべながら引き金を引き続ける。



ギラグ:「ドルべ!」
ギラグが立ち上がり、ドルべの援護に向かおうとするが、それを剣山が止める。

剣山:「今行くのは危ないドン!」

ギラグ:「離してくれ!このままじゃ、ドルべ!」

アリト:「落ち着け、ギラグ!お前まで犬死になるつもりか!」
それでもドルべを助けようとするギラグをアリトが止める。


アリト:「安心しろよ。ドルべのことだ。何も考えずに行動なんてしてねえはずだ」
アリトが逃げ回るドルべを見て、そう言った。




ペイトン:「逃げ続けても無駄ですよ」
ペイトンが赤く輝き、バトルフィールド・ブラッドに、その輝きが伝わる。

ドルべ:「!?」

ペイトン:「私の炎を受けてなさい!スコッピオ・ウィケッド!!」
バトルフィールド・ブラッドから炎の弾丸が無数に放たれる。


ドルべ:『炎の銃弾…!炎属性の波動による技か!』
ドルべは、その弾丸に当たらないようにと逃げる。


ペイトンが放った炎の弾丸が地面に着弾した瞬間、そこを中心に爆発が起きた。



愛:「きゃあ!」

アキ:「ば、爆発…!?」
何発もの炎の弾丸が地面に着弾した所為で、爆風がアキたちを襲う。


ペイトン:「これなら、動けれる場所が制限されます。逃げるのも、そろそろ終わりです」
爆風によって舞う白煙や埃の中を走り続けるドルべ。

ドルべ:『好き放題にしてくれるな、まったく…。だが、倒せない敵じゃない…!』
白煙の中に紛れて、ペイトンの姿を確認するドルべ。

ドルべ:『あれだけ大きいデュエルギアだ。突然の出来事には対処できまい』
ドルべが持つホーリー・ライトニング・カトラリーアローが輝く。


その輝きは、ペイトンに、自分はここにいるぞ、と教えているようなものだった。

ペイトンは「そこですか」と言って、引き金を引き、炎の弾丸を連射する。


その輝きの周りに、炎の弾丸が着弾し、連続で爆発する。



ギラグ:「ドルべ!!」
ドルべがいたと思われる場所を中心に爆発が起き、爆風がみんなを襲う。



マルタン:「うっ!」

獏良:「なんて、爆風だ…!」
踏ん張る獏良たち。


ナポレオン:「これは流石に一溜まりないのでアール…」
見たことをそのまま口にするナポレオン。

その言葉は=ドルべは助からない…、そう聞こえる。


ペイトン:「まずは1人…」
ペイトンがそう呟き、目線を他の者たちがいる方へと向ける。




自分たちが見られていることに気付くアリトたちは、各々デュエルギアを構える。


そして、ペイトンはバトルフィールド・ブラッドの銃口の向き先を変える。



???:「セカンドステージ」
爆風の中から聞こえた男性の声。


眩しい輝きと共に、舞っていた白煙が消え去り、中からドルべが現れる。


ドルべ:「ホーリー・ライトニング・カトラリーアロー!」
しかも、ホーリー・ライトニング・カトラリーアローがセカンドステージ状態になっている。


鳥打と大腰部分にあった刃が無くなったため、近接戦闘では使用できなくなってしまったが、大きさは通常時よりもかなり増している。



ペイトン:「しぶといですね、あなたも」
ペイトンがバトルフィールド・ブラッドの銃口を変えようとする。


しかし、その瞬間、1本の矢がバトルフィールド・ブラッドの砲身に突き刺し貫通した。


ペイトン:「!」

やったのは勿論、ドルべだ。

セカンドステージしたことで、矢が飛ぶスピードが増し、パワーも桁違いに強くなっている。


ドルべ:「これで、それは使い物になるまい」

ペイトン:「くっ…」
ペイトンはデュエルギアを捨てて、その場から離れようとするが、ドルべは「逃がさん」と言って、攻撃準備に取りかかる。

No.7のエースのマークが強く輝き、セカンドステージしたホーリー・ライトニング・カトラリーアローに力を与え、光の矢を生成する。


ドルべ:「治癒の力を1本の矢に!!イシュトリルトン・ローア!!」
ドルべがセカンドステージしたホーリー・ライトニング・カトラリーアローから矢を放った瞬間、威力がすごいのか、ドルべ自身がその反動で後ろに押された。


そして、放った矢は物凄いスピードで飛び、ペイトンに接近する。


ペイトン:「!!!」
ペイトンが持つバトルフィールド・ブラッドを貫き破壊し、大爆発を起こした。


牛尾:「みんな伏せろ!」
牛尾の言葉で、みんなは伏せて衝撃に備えた。

再び爆発による爆風が周りを襲う。


ドルべ自身も、踏ん張り爆風に耐える。




爆風はしばらくして収まり、みんなは立ち上がる。

マルタン:「みんな、大丈夫!?」
マルタンは、周りを見渡す。


ナポレオン:「こっちは無事でアール」
ナポレオンや剣山たちが無事であることを確認した。

他にもアキや愛たちも無事だった。



ドルべ:「はぁはぁ」
パワーをを使い過ぎたのか息を切らすドルべ。


ドルべ:『やはり、遊馬の言った通り、治癒の力を攻撃に使うと、自分にも反動が来るな』
この技は前に遊馬と一緒に修行したときに、会得した技だが、治癒の力は基本的にケガを治す力であり、攻撃に使うものではない。

今みたいに使おうと思えば使えるが、イマイチ力のコントロールが難しい。


ドルべ:「ペイトンは…」
ドルべがペイトンが立っていた方を確認する。


沢山の白煙が立ち上っている。


ペイトン:「よくもやってくれましたね…」

ドルべ:「!」
白煙の中から聞こえたペイトンの声。


白煙の中から炎が吹き出し、そこから傷だらけのペイトンが姿を現した。


その表情は、さっきとは違うようにも見えた。


ペイトン:「憎たらしい…、この炎を見ていると、過去の自分を思い出します…」
どこか怒りを感じているような表情にも見える。


ドルべ:「お前が、あんな無差別攻撃さえしなければ、私もあの攻撃は使わなかったよ」
少しだけ息を切らしながらドルべは言った。

ペイトン:「そうですか。私の所為ですか…。では、私も、それなりの責任を取るとしましょう」
ペイトンは懐から何かを取り出そうとする。


ドルべ:「俺もお前も、これ以上戦闘する体力はない。大人しくしろ」

ペイトン:「何を言ってるんですか?私は、まだ終わりではないですよ。そう、この力を使えば、私はまだ戦える!」
そう言って、ペイトンが手元に出したのは、宝玉だった。


ドルべ:「あれは…!」

宝玉の中心部に蜘蛛のような形をした模様が見える。

そう、これはドン・サウザンドが探していた宝玉”アラクネーの宝玉”。ペイトンがドン・サウザンドの指示で、エルフィンの森から持ち去ってきたものだった。


ペイトン:「アラクネーの宝玉に眠りし、ドミナシオンよ!その力を私に捧げよ!」
ペイトンがそう言うと、宝玉が強い輝きを放ち、光の柱がペイトンを飲み込んだ。



ペイトン:「うおおおおおおおお!」
光の柱の中からペイトンが唸る声が聞こえる。



アキ:「な、何が起きてるの…!」
突然の出来事に、戸惑うアキたち。



そして、光の柱に目のようなものが浮かび上がった。









次回予告

ナレーション:アラクネーの宝玉に封印されていたドミナシオンの力を取り込み、姿を変えたペイトンは、その圧倒的な力でドルべたちを恐怖へと誘う。

ペイトンが変貌したことで、周りの空間が歪みだし、Ⅴたちと合流するも、その圧倒的な力に成すすべがなかった。

しかし、癒しと知性…、この二つの力が合わさったとき、ドルべとⅤの新たな攻撃が炸裂する!


ドルべ:次回、遊戯王5DXAL「ジュワユース・アンジェラス!」


ドルべ:「これが我らの真の必殺技だ!」






遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!


ドルべ:「私が持つNo.7のエースのマークは癒しという意味が込められており、言葉の通り、治癒能力が備わっている。軽い怪我ならばすぐに治せるが、攻撃に使うときはコントロールが難しく爆発的な力になり得るときもある」
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