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第155話:『バディ対決!ゴーシュVSドロワ』









その衝撃で、ブラナーの身体は吹き飛ぶ。

過去に会った出来事を、綺麗さっぱり忘れようとするブラナー。それでも、当時、自分を思ってくれている父と母のことだけは忘れなかった。


ブラナー:「過去を捨てたよ。これで、そっちに行ける…」


ブラナー
LP1800→0




ブラナーの身体が砂漠の上に倒れる。



アンナ:「ブラナー!」
アンナはすぐに倒れるブラナーの元へ駆け寄る。



ブラナー:「ゴホゴホ…」
少しだが目を開いているブラナー。

アンナ:「ブラナー…」

ブラナー:「ありがとう…。キミのおかげで、過去を断ち切ることが…、できた…」
苦しそうに話すブラナー。

アンナ:「ブラナー、まさかお前、最初は―」

ブラナー:「それ以上は…言わないでほしい…。過去を捨てた、意味がない…」
笑って目を閉じるブラナー。


ブラナー:「ドン・サウザンド様は強い。簡単には…倒せないよ…」
ブラナーの身体が輝き、少しずつ消えて行く。

アンナ:「!」

ブラナー:「君たちの…ご武運を祈るよ…」
そう言って、ブラナーは消えてしまった。


アンナ:「ブラナー…くっ」
敵だったはずなのに、ブラナーが消えたことに悔しがるアンナ。



レイ:「アンナ!大丈夫!」

チャーリー:「これで、バリアンの戦力を一つ消したな」
アンナの勝利に喜ぶ仲間たち。


アンナ:「あんまり、嬉しい勝利じゃねえけどな」

ラリー:「え?」

ナーヴ:「何かあったのか?」
アンナの暗い表情が気になる仲間たち。


アンナ:「いや…。今は時間がない、とにかく急ごうぜ」
アンナはそう言って、仲間たちとは顔を合わせず、前へ進む。


アンナ:『遊馬…、お前はバリアンの正体に気付いているのか…』
アンナは心の中でそう呟く。







第9OP『HEART・BEAT《MARIA》』







第155話:『バディ対決!ゴーシュVSドロワ』





遊馬ルート


ウェスカーの部下であるスネイクをエリファスが倒してから、敵は一向に現れる気配を見せなかった。


エリファス:『遊馬』
遊馬の背後にエリファスが現れる。

遊馬:「どうした?」

エリファス:『バリアン8人衆、君はどうするつもりだ?』

遊馬:「…」

エリファス:『キミも気づいているはずだ。彼らは元々…』

遊馬:「わかってる。俺も、できれば、あいつらをドン・サウザンドから解放してやりたい。だが、シャークたちの時とは違い、今回のバリアンたちは、かなりドン・サウザンドに忠誠を誓っている。そう簡単に、俺たちに耳を傾けてはくれない」
ドン・サウザンドにつく8人のバリアンの顔を思い出す遊馬。

エリファス:『やはり、戦うしかないのか…?』
エリファスがそう聞くと、遊馬は全然口を開こうとしなかった。

遊馬自身も悩んでいるのだ。彼らと本気で戦うことに…。



アストラル:『遊馬…!』
急にアストラルが、目の前を指さして遊馬の名を呼ぶ。


遊馬は足を止め、共に行動する仲間たちも足を止める。



目の前に、次元の歪みが発生していたのだ。


双六:「なんじゃ…」

ボマー:「次元が歪んでいる…?」
目の前に見えるものに驚く双六たち。


しばらくすると、次元の歪みは安定し、そこに別の場所に通じるであろう扉が出てきた。


明里:「扉…?」

レベッカ:「これは、敵の罠と見て間違いないわね」
ここは、カイゼル・サウザンドの内部。バリアンの領域内だ。

突然出てきた扉は、遊馬たちを誘う罠だと、レベッカは踏んだ。



一馬:「どうする?」
遊馬の隣に立つ一馬が聞いた。

遊馬:「いずれにせよ、時間は決められてんだ。罠だとわかっていても、俺は行くぜ」
遊馬が扉に手を振れる。


一馬:「そうこなくちゃな。流石、俺の息子だ」

トロン:「一馬譲りの性格だな」

フェイカー:「同感だ」


遊馬は扉を開けて、中へと進む。

その後を、みんなはついて行く。







赤い空の下にある崩壊した街…


倒壊寸前の建物の中に、1人のバリアンがあくびをして眠っていた。


サリバン:「あーあ、面倒だぜ。人間と戦うなんてよ」
バリアン8人衆の1人サリバン。8人衆の中でも、とても変わった奴で、少しめんどくさがり屋の面々が多い。


???:『サリバン、聞こえるか?』
サリバンの脳内に男の声が聞こえた。

サリバン:「ん?なんだよ、隊長さん」
サリバンの頭の中に聞こえた声の主は8人衆のリーダーのウェスカーであった。


ウェスカー:『お前、またどこかでさぼっているのか?人間共は?』

サリバン:「まだ、目の前に出て来てねえからいいだろう?」

ウェスカー:『ドン・サウザンド様に見つかったら、打ち首だな』

サリバン:「おっと、それだけは勘弁だぜ」
打ち首で死ぬのだけは御免だと言わんばかりに、サリバンは起き上がった。


サリバン:「それで、何のようだ?テレパシーで呼びかけてきたということは、大事なことなんだろ?」
サリバンは、その場から立ち上がり赤い空を見上げる。


ウェスカー:『コルダとブラナーがやられた』


サリバン:「!」


ウェスカー:『それから、ピアーズも連絡が取れない状況だ。どうやら、我々は敵を甘く見過ぎたようだ。九十九遊馬だけ警戒すればいいと思っていたが、それが徒になってしまったようだ』


サリバン:「人間だって甘く見るなよ。そう言いたいのか?」

ウェスカー:『そうだ』

サリバン:「フッ、了解だぜ。コルダにブラナーを倒す人間なんだ。手加減はしないで、敵と戦ってやる」
サリバンは、右拳を左の掌にぶつける。


ウェスカー:『用心しろ。お前の力も、もしかしたら奴らには効かないかもしれない』

サリバン:「その時は、ドン・サウザンド様からもらった力で、力を強化して戦うまでだぜ」

ウェスカー:『めんどくさがり屋なお前でも、やる時はやってくれる。期待しているぞ』
そう言って、ウェスカーはサリバンに期待して。テレパシーを切った。


サリバン:「この性格は昔からだぜ、隊長さん」
サリバンがそう言うと、何やら気配を感じ、外を見つめる。


サリバン:「来たようだな。俺の敵が…」
サリバンは遂に敵が来たことを察知し、下へと降りる。












その崩壊した街に足を踏み入れたのは、No.8のエースのマークを持つゴーシュと、共に行動する仲間たちであった。


ゴーシュと共に行動しているのは、ドロワ、闇川、六十郎、御伽、翔、ヨハン、ジム、藤原、タカ、ブリッツの全部で11名だ。


藤原:「街の人たちは、いないみたいだね」

ヨハン:「おいおい、ここは作り物の空間だぜ。人なんか最初からいねえだろ」

藤原:「それもそうだね」

崩壊した街のど真ん中を歩くゴーシュ達。


タカとブリッツは、周りを見ていると昔のことを思い出してしまった。


タカ:「こうやって見ると、サテライト生活のことを思い出すな」
タカはボソッと呟く。


ヨハン:「サテライト生活?」


ブリッツ:「俺たちの時代は最初、身分の高いシティと、身分の低いサテライトの2つに大きく分けられていたんだ。そして、身分の低いサテライトの方は、シティ側からコケにされて、生活も不十分だったんだ」

翔:「大変だったんだね」

タカ:「そうでもないさ。楽しいことも沢山あった。それに、遊星のおかげで、サテライトとシティの身分の差は無くなったからな」
タカの口から出てきた名前。タカやブリッツ達と同じ時代の者たちは、よくこの男の名を口にする。


ヨハン:「お前たちがいた街の救世主だったな」

ブリッツ:「ああ、あいつのおかげ、サテライトは変わり、シティとうまくやっていけるようになったんだ」
遊星のことを思い出しながらブリッツは過去の話しをした。



ブリッツ達の話しを、密かに聞いていたゴーシュとドロワ。



ゴーシュ:「やっぱり、どの時代にも貧しい生活って言うのはあるもんだな」

ドロワ:「いきなり、どうした?」

ゴーシュ:「ガキの頃のことを思い出しちまってよ」
ゴーシュはそう言うと、ずっと共にしていたドロワも子供の頃を思い出してしまった。


ゴーシュとドロワも、子供の頃から豊かな生活を送れずにいた。

雨に打たれながら外を走り、追手から逃げ回っていたときもあった。

そんな貧乏な生活でも、自分たちを救ってくれたのは、デュエルモンスターズだった。

デュエルモンスターズは自分たちの期待を裏切らない。


ゴーシュ:「俺たちの人生はデュエルモンスターズに救われたんだな」

ドロワ:「そうだな」

ゴーシュ:「お前も、早くカイトとゴールインしろよ」
ゴーシュはニヒッと笑ってドロワを見つめる。

ドロワ:「なっ…///お前、なぜ、カイトのことを!」
自分がカイトと付き合っていることは、内緒にしていたはずだ。

ゴーシュ:「バレバレだっつうの。ずっとバディを組んでんだぜ。お前の隠しごとなんて、直ぐにわかる」
全てゴーシュには見抜かれていたようだ。

ドロワは観念したのか、何も返さず前を向いた。

しかし、頬は赤く染まっている。






闇川:「!」

六十郎:「!」
先頭を歩く闇川と六十郎が止まる。


御伽:「敵かい?」
御伽も足を止め、闇川に聞く。

闇川は頷いた。



ゴーシュ:「俺にもわかるぜ。近くに、バリアンがいる…」
ゴーシュも闇川の隣に立つ。


御伽:「みんな、警戒して」


ヨハン:「やっとお出ましか」
周りを見渡すヨハン。


六十郎:「気配は感じるが、どこにいるかわかるか?闇川」

闇川:「いえ、見られている気配しかしないです」
敵がどこにいるのか分からない闇川たち。


気配は感じるが、どこにいるか特定が全然できない。



ゴーシュも周りを見渡す。


ゴーシュ:「!!上からだっ!」
ゴーシュが上を見る。


すると、モーニングスターと呼ばれる武器を手に持つ人影が、襲いかかってきた。


ゴーシュ:「くっ!」
ゴーシュは”H-Cクサナギ”の太刀タイプのデュエルギア”クサナギブレード”を構えて、敵の攻撃を受け止める。


闇川:「くっ!」
闇川は”機甲忍者ブレード・ハート”の黒い刀”黒刀・霧雨”を手に持ち、ゴーシュと接触している人影を斬り倒そうとする。



しかし、その人影は一瞬で後ろに下がった。


サリバン:「これで準備OKっと」

ゴーシュ:「お前は確か、バリアン8人衆の!」

サリバン:「自己紹介はいいだろう?めんどくせえから」
サリバンはめんどくさそうにそう言った。


ドロワ:「自己紹介は不要だ。お前のことは、知っている」

ゴーシュ:「8人衆の1人サリバン…!」
ゴーシュはサリバンのことを認識していた。だから、名前も覚えている。



サリバン:「俺のことを覚えてくれているなんて光栄だぜ」

ゴーシュ:「遊馬が、お前を警戒していたんでな。俺たちの仲間は、お前のことを認識している」

サリバン:「なるほどな」
サリバンがモーニングスターを振り回しそう言う。

サリバン:『奴は、あらかじめ俺たちバリアンのことを調査し、わかっていることを味方に伝えているみたいだな。だが、それでも、俺への対処はできないだろうがな』
サリバンは心の中で呟く。



ゴーシュ:「ここは俺が相手になるぜ!エースのマークを持っている俺がな!」
No.8のエースのマークを持つゴーシュが前に立つ。


ドロワ:「油断するな、ゴーシュ」

ゴーシュ:「わーってるよ!」
クサナギブレードを持つゴーシュがサリバンと戦う準備を整える。


サリバン:「随分やる気のある奴だな。めんどくせー」
そう言って、サリバンは後頭部をポリポリと掻く。

ゴーシュ:「ノリが悪いなぁ。やる前からそんなんじゃ―」
ゴーシュが走り出す。

ゴーシュ:「俺の勝ちは決まりだな!」
クサナギブレードの刃が、サリバンに迫りくる。

サリバン:「ああ、お前の勝ちだよ、この戦いは」
サリバンがモーニングスターを振り回す。

サリバン:「まあ、俺の勝ちでもあるけどな」
モーニングスターを振り回す中心部分から眩しい輝きが放たれる。

ゴーシュ:「うっ」
ゴーシュは、その場に止まり身体が灰色に輝く。

ゴーシュ:「何だ…!」

サリバン:「岩幻縛り。”CX(カオスエクシーズ)メガロック・ゴーレム”のデュエルギア”メガロック・ハード”に一度触れると、そいつは俺の幻術に落ちる」

ゴーシュ:「な、に…」
眩しい光に目を細めるゴーシュ。

サリバン:「お前には見えるはずだぜ。目の前に立つ、岩のゴーレムが…」
サリバンが不気味そうにそう言った。


ゴーシュは目を開くと、そこには巨大な岩のゴーレムが立っていた。

ゴーシュ:「これは…」
岩のゴーレムは目をピカッと光らせる。

ゴーシュはその目を見てしまう。

サリバン:『俺のモノになれ。そして、戦え』
サリバンはゴーシュに語り掛ける。

ゴーシュは呆然と立っている。



ヨハン:「ん?ゴーシュの奴、どうしたんだ?棒見てえに立って」

翔:「なんか様子おかしくないッスか?」
ゴーシュの様子がおかしいことに気付くみんな。


ドロワ:「どうした、ゴーシュ?」
ドロワがゴーシュに近づき、手を伸ばす。


ゴーシュの手がピクッと動く。


闇川:「!」

六十郎:「いかん!そやつから離れろ!」
六十郎が慌ててドロワに危険を知らせる。


すると、ゴーシュのクサナギブレードは、近づくドロワに牙を向く。


ドロワ:「!」
ドロワはギリギリで後ろに下がる。

ドロワ:「ゴーシュ!」
ドロワがゴーシュを見る。

しかし、ゴーシュの目は、目の前を向いていなかった。

まるで上の空だ。



サリバン:「洗脳成功」
不気味な笑みを見せるサリバンは、メガロック・ハードを振り回す。





ドロワ:「洗脳だと…?」

サリバン:「こいつは、地属性の中でも数少ない幻術を使うデュエルギアだ。こいつに触れた後、岩幻縛りの技を使えば、そいつの心のはメガロック・ゴーレムに支配され、俺の意のままに動いてくれる」
サリバンがそう説明すると、御伽が少し前のことを思い出す。


サリバンが襲いかかってきたとき、その武器がゴーシュのクサナギブレードと接触していた。

あの時、ゴーシュはクサナギブレードでサリバンの、メガロック・ハードを受け止めたときのことだ。


御伽:「あの時、既に仕込みは済んでいたということか」
御伽がそう呟く。



ドロワ:「くっ、よくもゴーシュ…」

サリバン:「俺は、面倒なことをするのは嫌いでね。面倒なことは、全部操られた奴に任せている」
メガロック・ハードを見せて、そう言った。


サリバン:「さあ、見せてやるぜ!人間の操り方って言うのをな!」
サリバンがメガロック・ハードを前に突き出すと、ゴーシュがクサナギブレードを握り締め、一番近くにいたドロワに襲いかかる。


ドロワ:「フォトンパピヨンクロス!」
ドロワの”フォトン・バタフライ・アサシン”のクロスボウタイプのデュエルギア”フォトンパピヨンクロス”を手元に出す。




ドロワ:「バタフライ・ネットワーク!」
フォトンパピヨンクロスから光の矢を放つ。

矢は、蝶の姿となり、ゴーシュに接近する。

ゴーシュのすぐ側まで近づくと、蝶の姿となっていた矢は網のような形状になり、ゴーシュに覆い被さって身動きを封じる。



サリバン:「そんなもの、直ぐに敗れ」
サリバンがそうゴーシュに命令すると、クサナギブレードの刀身が輝き、網で動きが制限されているのにも関わらず、無理矢理、剣を振って、その網を斬り倒す。


ゴーシュは、そのままドロワに接近する。

ドロワはフォトンパピヨンクロスを盾代わりにして、ゴーシュの太刀を受け止める。


ドロワ:「くっ」

ゴーシュ:「…」

ドロワ:「目を覚ませ!ゴーシュ!」
ドロワは操られているゴーシュに語り掛ける。


サリバン:「あーあ、女だからって容赦はいらねえぜ」
その言葉にゴーシュが反応し、ゴーシュはドロワのお腹を思いっきり殴る。

ドロワ:「っ!」
ドロワはその場に膝を付ける。


藤原:「このままじゃ危ない!」

ジム:「ヘルプするぞ!」
ジムが手に1枚カードを持って、援護しようとする。


ドロワ:「待て!」
ドロワが腹を押さえながら、自分を助けようとする仲間たちを止める。

ドロワ:「こいつは、私が長年バディを組んできた奴だ。私が、こいつの正気を取り戻す!」
ドロワはそう言って、さりげなくフォトンパピヨンクロスをゴーシュに向ける。

ドロワは引き金を引き、光の矢をゴーシュに向けて放った。
対するゴーシュはギリギリで矢を躱し、後ろへ下がる。



サリバン:「熱いね、仲間のために命をかけるか」

ドロワ:「こんなバカに、命をかけるつもりはない。私を殴ったこと、目を覚まさせたら後悔させてやるぞ、ゴーシュ」
ドロワは笑って、ゴーシュに言う。


それでも、ゴーシュの目つきは変わらなかった。


サリバン:「反吐が出るぜ。まあいい、こいつは、今、俺の人形と化している。止めることはできないぜ」

ドロワ:「ゴーシュは幻術によって操られているのだろ?なら、その幻術を解くまでだ」

サリバン:「無駄だぜ。俺の幻術はそこら辺のものとは格が違う。俺の幻術は、ドン・サウザンド様からもらい受けた力で、パワーアップしているからな」

這ったり…ではなさそうだ。

ゴーシュからとてつもないオーラが彷徨っているのがわかる。

それは、ドロワだけではなく、他のみんなも気づいていた。




ルビー・カーバンクル:『ルピピ』
ヨハンの肩に、宝玉獣の1体カーバンクルの”宝玉獣ルビー・カーバンクル”が乗る。

ヨハン:「ルビー…、お前も気づいているのか?」
ヨハンがそう聞くと、ルビーが頷いて返事をする。


藤原:「彼に纏わりついてる邪念…、ただ操られているだけには思えないね」

闇川:「幻術による精神操作だけでなく、身体そのものを強化していると見えた…」

六十郎:「よいか、みんな。戦う準備はしておけ。もしものときは出るぞ」
六十郎が、みんなに伝える。

ドロワは自分がやると言ったが、彼女だけでは心配だ。

だから、もしもの時は、みんなで止めることを、六十郎は考えていたのだ。



ドロワ:「さあ、来い」

サリバン:「お前の手で、仲間を傷つけろ!」
サリバンがそう言うと、ゴーシュはクサナギブレードを強く握り、ドロワに接近する。


ドロワは、フォトンパピヨンクロスを構え、光の矢をゴーシュに向けて放った。

矢は、ゴーシュの頬ギリギリを横切った。

外したわけではない。ゴーシュが少しだけ首を曲げ矢を躱したのだ。



サリバン:「迷いはなしか。なら、俺は一息させてもらうぜ」
サリバンは近くの瓦礫に腰を落とす。





ドロワはフォトンパピヨンクロスから矢を打ち続ける。


しかし、ゴーシュはクサナギブレードを使って、その矢を次々と落とし、ドロワに接近する。


ドロワ:『私の矢をクサナギブレードで弾くか。本来のゴーシュにはできないことだな』
ドロワはそう言って、修行中のことを思い出す。


自分がゴーシュにフォトンパピヨンクロスの矢を放つと、決まってゴーシュは「あぶねっ!」と言いながら少し怯えて躱す。


ゴーシュは、クサナギブレードから斬撃を放つ。


ドロワ:『っ!斬撃の速度が、いつもより速い…!』
いつもゴーシュが放つ斬撃よりも早いことに気付くドロワ。


ドロワは斬撃を何とか躱し、フォトンパピヨンクロスの標準をゴーシュに向ける。


サリバン:「岩幻縛りの幻術に掛かった連中は、普段よりもパワーが数段上がる。勿論、スピードもな」
ゴーシュが、走ってドロワに接近する。

そして、高くジャンプする。


ドロワ:「ゴーシュ!」
ドロワはフォトンパピヨンクロスから矢を数本放つが、ゴーシュはクサナギブレードで次々と光の矢を切り落とす。


そして、最後の一本だけでは既にキャッチする。




翔:「矢を素手で取った…!」

闇川:「あんなこと、修行を積み重ねなければできない芸当だぞ…!」
ゴーシュが矢を素手で受け止めたことに驚く翔たち。



クサナギブレードの刀身の先が、ドロワの顔に近づく。


サリバン:「終わりだな。まずは1人目だぜ」
ドロワを倒したことを確信するサリバン。


ドロワ:「まだだ!ヴェロス・ポース!」
ドロワはフォトンパピヨンクロスから光の矢を放つが、その矢をすぐに素手に持ち、矢は光の剣となる。

ドロワは、その剣でゴーシュのクサナギブレードを受け止める。



ブリッツ:「よし!受け止めた!」

六十郎:「じゃが、そう長くは耐えられまい…!」

相手は男。女であるドロワに、それを耐え切る力など、あまりない。それは、ドロワ自身も気づいていた。


ドロワ:「くっ…」
ドロワは光の矢の先を無理矢理ゴーシュに向ける。


ドロワ:「伸びろ!ヴェロス・ポース!」
光の刀身が伸び、剣先がゴーシュの頬をかすめる。


ゴーシュは一旦、後ろに下がる。



サリバン:「うっとしいぜ、そろそろ決めろ」
サリバンがゴーシュにそう言うと、クサナギブレードの刀身が輝く。


そして、ゴーシュは一振りし、無数の斬撃を飛ばす。


ドロワ:『ツムガリカミシロ…!ゴーシュが遊馬との修行中の中で身に付けた技か』
ゴーシュが放った技を見て、そう呟くドロワ。


そして、無数の斬撃がドロワの周りを襲う。


ドロワ:「ぐっ!」
身動きが取れないドロワ。


そして、最後に無数に飛んでくる斬撃の中でも特に大きい斬撃がドロワを襲う。


藤原:「あ!」

ヨハン:「ドロワ!」
ドロワに斬撃が当たったのを、この眼で見てしまったヨハン。

翔:「そんな…」

自分の目に映ることが信じられないと思っている翔たち。



サリバン:「終わったな…」
ドロワを倒したことを確証するサリバン。


サリバン:「残りは、お前たちだぜ」
サリバンがヨハンたちの方を見つめる。


闇川:「くっ…」
闇川は愛用のデュエルギア”黒刀・霧雨”を構える。


すると、白煙が立つ場所から眩しい輝きが放たれる。


サリバン:「ん?」
サリバンがその輝きに気付く。


操られているゴーシュも、その輝きの方を見る。



ドロワ:「まだ終わりではない」
白煙が無くなり、輝きの中心にドロワが立っていた。

ドロワ:「セカンドステージ…。ゴーシュ、お前を幻術から解き放つ!」

フォトンパピヨンクロスがセカンドステージ!


ドロワはゴーシュを幻術から解放することができるのか…!









第9ED『Prototype《石川智晶》』






次回予告

ナレーション:サリバンの幻術からゴーシュを助け出そうとするドロワ。

サリバンは幻術に掛かったゴーシュをおもちゃのように操り、ドロワを襲う。

しかし、ドロワには、ゴーシュを助け出すための秘密の技を隠し持っていた…!

遂に、その技が解放される!

ドロワ:次回、遊戯王5DXAL「スワロウテイル・リバレイト」


ドロワ:「この技は、私が修行の中で身に付けたものだ!」





遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!



ドロワ:「私が使用するクロスボウタイプのデュエルギア”フォトンパピヨンクロス”は、”フォトン・バタフライ・アサシン”のデュエルギアで、普段は光の矢を放つ武器だが、その矢を光の剣にして戦うこともできる」
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