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第154話:『過去との断ち切り』










3か月前


遊馬の元、みんなが修行期間に入ったときのことだ。


アンナ:『あの時、俺は遊馬に呼ばれて、久しぶりに二人っきりになった』


アンナと遊馬も、演習場にある森の中にいた。


アンナ:「怒り?」

遊馬:「あぁ、お前に受け継がれているNo.6のエースのマークには怒りという言葉が込められている」

アンナ:「怒りねぇ。それがどうしたっていうんだ?」

遊馬:「お前、ダイシャラス王国での戦いで、その力に囚われたみたいだな」

今でも忘れないダイシャラス王国での事件。

あの時、テイタラファミリーの幹部ディヴィットと戦っている最中、アンナは怒りに囚われ、自我を失った。


無論、ある記憶を思い出したことで、その力から解放されたが、その記憶のことは、遊馬に関わることなので、あまり話したくない。

アンナ:「あ、あぁ」

遊馬:「お前のエースのマークの力は、自分自身の力を上げるには、最適な能力だ。自分の怒りを、力に変えてくれんだからな。だが、怒りに囚われ、エースのマークの力を解放し過ぎると暴走する可能性がある。ダイシャラス王国のときみたいにな」

アンナはダイシャラス王国でのことを思い出す。


あの時、近くにいたⅤたちにも迷惑をかけた。



自分自身思い出したくない記憶だ。

遊馬:「No.6は8つあるマークの内一番危険な力を秘めている。俺自身、お前にその力を使ってほしくはないが、今後の戦い、必要な時があるかもしれない」

アンナ:「…」
右手の甲を見つめるアンナ。


遊馬:「アンナ、お前は属性波動の修行中、No.6のエースのマークの力をコントロールできるようにもしてもらう」

アンナ:「わかった。教えてくれ、遊馬」
あの時、怒りの力をコントロールする修行が、遊馬と共に密かに始められていたのだ。






そして――




ブラナーに攻撃を喰らわせたアンナ。


アンナ:『遊馬、この力でバリアンを絶対に倒して見せるぜ』
アンナは心の中でそう呟いた。








第9OP『HEART・BEAT《MARIA》』








第154話:『過去との断ち切り』






アンナの右手の甲に浮かび上がるNo.6のエースのマークが輝きを放つ。

アンナがマークの力を解放したのだ。



ブラナー:「さっきまでとは雰囲気が違うね。エースのマークの力かい?」


アンナ:「あぁ、俺のエースのマークは怒りを力に変える能力を持っている」
自分のエースのマークの力の特性を話すアンナ。


ブラナー:「怒りを力に…」

アンナ:「だが、この力を使いこなすには、エースのマークの力をもっとうまくコントロールすることと感情のコントロールが必要になる。前に俺は、そんなことも知らないで、エースのマークの力に溺れ、暴走仕掛けたことがあるからな」
アンナはダイシャラス王国であったことを思い出しながらそう呟いた。



ブラナー:「面白い力だね。その力を使ったってことは、君は僕に怒りを向けているってことだよね。でも、人間の怒りなんて、痛くも痒くもないよ」

アンナ:「その余裕も、いつまで続くかな」
セカンドステージ状態のラーゼン・ゲイボルグが赤いオーラに纏われる。


ブラナー:「人間如きが僕に勝てるわけないよ!」
ブラナーがアンナに接近する。


セイクリッド・スラッシュを前に突き出すブラナー。

ブラナー:「セイクリッド・インパルス!!」
光の斬撃をアンナに向けて放つ。



アンナ:「俺に力を貸してくれ。エースのマーク!」
右手の甲に浮かぶマークが更に輝きを増す。


セカンドステージ状態のラーゼン・ゲイボルグを構えるアンナは、フーと息を吐き、鋭い目でブラナーを見る。




アンナ:「アンガー・エクスプレス!!」
真っ赤なオーラで象った特急電車に、アンナの身体は包まれる。


その状態で、アンナはブラナーの攻撃に立ち向かう。



アンナ:「はあああああ!」
ブラナーが放った斬撃とアンナが接触するが、その赤いオーラで象った特急電車が、その斬撃を一瞬で粉砕した。

ブラナー:「何!?」

アンナ:「覚悟しろ!ブラナー!はああああ!」
アンナはブラナーに接触する。

ブラナー:「うわあああああ!」

アンナ:「人間を見くびるんじゃねえ!人間だって。昔から強いんだよ!」
アンナの攻撃によりブラナーが吹き飛ばされる。



ブラナーが倒れた辺りは砂が舞い上がっていた。




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???:『お前なんか、友達にすんじゃなかった。身体が弱いんじゃ遊んでもつまんねえし』

???:『行こうぜ、みんな』
周りにいた友達は、僕を置いて遊びに行ってしまった。


???:『どうして、僕の身体は、こんなに弱いんだ…』
1人の男の子は、その弱い自分の身体を責める。


???:『憎いか?自分の身体が?そして、人間が』


???:『!!』
何処からか聞こえる奇妙な声。その子は、その声に驚き、耳を塞ぐ。

???:『安心しろ。この声は、お前にしか聞こえない。そして、お前にしか見えない』
男の子の前に、奇妙な黒い物体が現れる。

???:『な、何っ!?』
男の子は腰を抜かしてしまった。

???:『我が、お前の運命を変えよう。今まで生活が嘘みたいな日常になるぞ』

???:『身体も治るの?』

???:『無論だ。ただし、それには条件がある』

???:『条件?』
黒い物体は、男の子の周りを浮遊する。まるで幽霊のように。

???:『人間を捨て、我の下に付け』
それが、運命を変える条件だ。言っていることは簡単かもしれないが、人間を捨てるという条件は、かなり大きいリスクである。

???:『人間を捨てる…』

???:『弱気人間の身体を捨て、強きバリアンの身体を手にするのだ。そうすれば、お前はもっと強い戦士になれる』

???:『…』

???:『どうした?できないのか?』
黒い物体は男の子にそう聞いた。

決断を迷っているのだ。今まで通りの生き方をするか、人間を捨て新たな生き方をするかを…。


???:『迷いを捨てろ。お前は、強い戦士に生まれ変わるのだ』

そうだ。迷っていては前に進まない。男の子は決心した。人間を捨てることに…。

そう、新たな戦士バリアンとして生まれ変わることにしたのだ。

バリアンとして覚醒した、その子の名前は、ブラナー…



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立ち上る砂ぼこり。しかし、その砂ぼこりは一瞬で、風圧で消えた。


アンナ:「っ!」
いきなりの風圧に驚くアンナ。


目の前には、どす黒いオーラに包まれているブラナーが立っていた。


ブラナー:「セイクリッド・スラッシュ、セカンドステージ」
セカンドステージしたセイクリッド・スラッシュは、刃の形状を変えていた。

だが、その刃はセイクリッドという名には相応しくない形をしていた。

そう、命をもぎ取る…。そのような形をしている。


ブラナー:「僕はね、人間が大っ嫌いなんだ」

アンナ:「!」

ブラナー:「そんな人間を消す力を、ドン・サウザンド様は僕にくれた」
右手をギューっと握るブラナー。

ブラナー:「キミは怒りを力にしているみたいだけど、僕は闇を力にして戦うよ」
さっきまでのブラナーはどこか違う。その怖い目でアンナを見つめる。




チャーリー:「な、なんだ…。雰囲気が急に変わったぞ」

哲平:「さっきまでのブラナーとは何かが違う」
戦いを見届ける哲平達もブラナーを見て動揺する。




ブラナー:「行くよ」
ブラナーがセカンドステージしているセイクリッド・スラッシュを構える。


アンナ:「くっ」
アンナは素早くセカンドステージしているラーゼン・ゲイボルグを構える。


ブラナー:「カオス・セイクリッド・バーン」
セカンドステージしているセイクリッド・スラッシュを上に掲げ、上空に闇と光で生成したエネルギー体を出現させる。

そして、それをアンナに向かって落とす。



アンナ:「アンガー・エクスプレス!」
エースのマークの力を解放し、真っ赤なオーラで象った特急電車に包み込まれるアンナ。

さっきは攻撃として使ったが、今は防御として使用する。


ブラナーがぶつけてきたエネルギー体は、アンナのオーラと接触し、アンナを襲う。


アンナ:「くうっ!」

ブラナー:「無駄だよ。人間の限界は知っている。そんなもので、僕の、この攻撃は耐えきれない」
ブラナーがそういうと、エネルギー体は、アンナの身体を包む特急電車の形をしているオーラを粉砕した。




レイ:「アンナの力が!」

三沢:「かき消された!」
アンナの技が破られたことに驚く三沢たち。





アンナ:「うわあああ!」
怒りの力が消され、ブラナーの攻撃がアンナにヒットする。



レイ:「アンナ!」

ラフェール:「な、なんて力だ…!」

ヴァロン:「さっきまでとは明らかに違うぞ!」
ブラナーの攻撃がパワーアップしていることに驚くラフェールたち。


誰が見ても、確実にパワーが上がっている。


ブラナー:「ドン・サウザンド様からもらった力を解放しているんだ。今の僕は、不死身同然だよ」
どす黒いオーラがブラナーの身体から放出される。



アンナ:「くっ、ドン・サウザンドの力…。バリアンが持つ特別な力ってやつか」
倒れるアンナは身体を起こす。


ブラナー:「ドン・サウザンド様は弱かった僕を強くしてくれた。だから、僕はあの方を裏切れない。そして、僕を裏切った憎き人間を滅亡させれるのなら、僕は喜んでドン・サウザンド様の計画に手を貸す」

アンナ:「お前を裏切った憎き人間だと…」

ブラナー:「ドン・サウザンド様の計画を邪魔する奴は、誰であろうと許さない!」
ブラナーは走ってアンナに接近する。

アンナ:「待てよ!どういうことだ!お前を裏切った憎き人間って!」

ブラナー:「今は戦い中だよ!過去を語る時間はない!」
ブラナーは、更にドン・サウザンドからもらった力を解放し、闇のオーラが周りに充満する。


その影響で、砂漠の砂が周りに散らされる。

セカンドステージしているセイクリッド・スラッシュを構え、アンナに襲いかかる。


アンナは立ち上がり、ラーゼン・ゲイボルグを構え、セイクリッド・スラッシュを受け止める。


アンナは闇のオーラに纏われているブラナーの表情を見る。

アンナ:「!」
アンナは目を疑った。涙だ。ブラナーは涙を少し流していたのだ。


アンナ:「ブラナー、お前は…」
ブラナーの過去に一体、何があったのか。気になるアンナだが、今はそれどころじゃない。


ブラナー:「うおおおお!」
ブラナーは力を振り絞り、アンナを追い込んでいく。


アンナ:「くっ!」
ブラナーの力に耐えるアンナ。


アンナ:「俺たちは、街の人たちを…、世界の人たちを助けるために、ここへ来たんだ…!ここで負けるわけにはいかねえんだよ!」
右手の甲に浮かび上がるNo.6のエースのマークが、さっきまで赤色に輝いていたはずが、マークと同じ色のピンク色に輝き始めた。


ブラナー:「これは…!」
ブラナーは一旦後ろに下がる。


アンナ:「次で決める!俺の最強技で、トドメを刺す!」
アンナはセカンドステージしているラーゼン・ゲイボルグを、今まで見せたことのない態勢で構える。


ブラナー:「望むところだよ!どんな攻撃を振り出そうと、僕の技で返り討ちにしてくれる!」
ブラナーもセカンドステージしているセイクリッド・スラッシュを構える。


セイクリッド・スラッシュの刃が、黒く輝き出す。




アメルダ:「どちらとも、次の攻撃で終わらせるつもりか」

ラフェール:「衝撃に備えた方がよさそうだな」
お互いの技がぶつかったとき、風圧などの衝撃が、自分たちを襲ってくると予想したラフェールは、みんなにそう伝える。




ブラナー:「はあああ」
気を溜めるブラナーの背後にセイクリッド・カオスの幻影が現れる。


アンナも気を溜める。

No.6のエースのマークはピンク色に輝き続け、アンナの身体を纏う気は、やがてデュエルギアへと伝わる。




ブラナー:「セイクリッド・テンポラーレ!!」
セイクリッド・カオスの幻影が竜巻となり、ブラナーは竜巻と同じ方向に身体を回転させながら、竜巻と一体化する。

ブラナー:「はあああああああ!」
竜巻の回転は勢いを増し、アンナに襲いかかる。


アンナ:「ラージュ・ルトラン!」
セカンドステージしているラーゼン・ゲイボルグを片手で振り回し、周りに炎に包まれた電車の幻影が4つ現れる。


アンナ:「ノヴァ!!」
セカンドステージしているラーゼン・ゲイボルグからピンク色の光線を放ち、それが合図かのように、4つの電車の幻影も前へ突っ込む。


やがて、4つの電車の幻影とピンク色の光線は一つになり、強力な攻撃へと生まれ変わる。


ブラナー:「はあああああ!」

アンナ:「うおおおおお!!」
両者の気合は、その攻撃に込められている。


攻撃がぶつかり合い、周りに衝撃波が襲う。


レイ:「きゃ!」

三沢:「なんて衝撃波だ!」
突然の衝撃波に驚き、仲間たちは吹き飛ばされないように踏ん張る。



両者の攻撃は、消えることなくずっとぶつかり合っていた。



ブラナー:「僕は、僕は、弱くない!」
ブラナーの攻撃はパワーを増していく。

アンナ:「お前に何があったのかは知らねえけど、過去に囚われ続けたって、これから先、何も変わらねえぞ!」
アンナがそう伝えると、ブラナーの身体は一瞬ビクッと反応した。






ブラナー:「何も進まない…」

アンナ:「人間って言うのは、日々にあったことを乗り越え続けることで、成長し強くなっていく生き物なんだ!それは、バリアンだって同じだろ!」

ブラナー:「僕は…、僕は…」
ブラナーは、過去に記憶を少しだけ思い出す。



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???:『ぎゃははは、やっぱりおめえ弱いぜ!』

???:『お前みたいな奴、友達に入れるかよ』

周りにいる人達は酷い。僕の身体が弱いからって、仲間外れにしてくる。




仲間外れの男の子が家に帰ると、迎えてくれたのは、その子の母と父だった。

母は、自分をギューっと抱きしめてくれた。


温かい母のぬくもり。バリアンになってから忘れられない気持ちい時間だった。



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ブラナーの攻撃が弱まり、アンナ攻撃が竜巻を貫いた。


ブラナー:「お父さん、お母さん…」
ブラナーはそう呟き、アンナが放った攻撃を、喰らった。


悲鳴など聞こえない。聞こえるのは、爆発音だけ…。



周りを襲っていた衝撃波が収まり、砂ぼこりが舞う。



ラフェール:「勝負は!」

アメルダ:「決まったのか…!」
みんなは、目の前の状況を確認する。


砂ぼこりが立っている中に1つの影。それは、アンナだった。

レイ:「アンナだ!」

チャーリー:「無事だったみたいだな」

哲平:「敵の方は…!」
哲平達がアンナから、ブラナーがいると思われる方を見つめる。


アンナの周りよりも、砂ぼこりが立っており、ブラナーの姿はすぐには見えなかった。


アンナ:「!」

だが、しばらくすると、ブラナーの姿が見えてきた。


ブラナー:「はぁはぁ、まだ勝負は決まっていないよ」
傷だらけのブラナーが、そこにいた。

だが、ブラナーは横腹を押さえていた。

しかも、そこから血が出ている。


そんな状況でも、ブラナーはいつの間に左腕つけているバリアン専用のDパッドを展開し、デッキを装填する。


ヴァロン:「あいつ、まだやる気か!」

アメルダ:「あれだけの傷を負いながら、なぜそこまで戦う…!」



アンナ:「ブラナー…」


ブラナー:「さあ、最後の戦いだよ。これで勝負をつける!」

アンナ:「もう勝負は決まっているようなものだぜ!お前の負けだ!」

ブラナー:「僕はバリアン8人衆の一人であり、デュエリストでもある!自分の最後は自分で決める!それが、デュエルだ!」

アンナ:「ブラナー」

ブラナー:「さあ、構えなよ。神月アンナ」

アンナ:「わかった。お前の最後の望み、俺が叶えてやる!」
アンナもDパッドを左腕に取り付け、Dゲイザーを左目につける。


無論、Dゲイザーを付けなくてもデュエルはできるが、周りに出てくるホログラムが、様々な情報を展開してくれるため、迫力が出る。


ブラナー:『お父さん、お母さん。見てて…』


「「デュエル!!!」」
両者の掛け声と共にデュエルがスタートする。








両者
LP4000


1ターン


アンナ:「先行はもらうぜ!ドロー!」
アンナがカードをドローし、手札が6枚になる。


アンナはブラナーの表情を確認する。


辛そうな、その表情、今にも倒れそうな姿。

アンナ:『すぐに終わらせる…。それが、お前のためだ』
アンナは引いたカードを手札に加え、元々手札にあったカードをフィールドに出す。

アンナ:「”勇気機関車ブレイブポッポ”を攻撃表示で召喚するぜ!」
アンナの場に蒸気機関車をモチーフにした緑色の機関車が現れる。


勇気機関車ブレイブポッポ
レベル4 攻撃力2400


アンナ:「カードを1枚セットし、ターンエンドだ」
アンナは1枚伏せカードをセットし、ターンを終了した。


ブラナー:『っ!』
ブラナーは横腹を押さえる。

血がたらたらと出てくる。

ブラナー:「全力で行くよ!」






2ターン
両者
LP4000


ブラナー:「僕のターン、ドロー!」
ブラナーがデッキからカードをドローする。


ブラナー:「”セイクリッド・グレディ”を攻撃表示で召喚!」
山羊座の加護を受けた女戦士がブラナーの場に現れる。


セイクリッド・グレディ
レベル4 攻撃力1600


ブラナー:「グレディのモンスター効果発動!このカードが召喚に成功したとき、手札からセイクリッドと名の付くレベル4のモンスター1体を特殊召喚できる!僕は、この効果で”セイクリッド・カウスト”を特殊召喚!」
弓を武器にする射手座の加護する光の戦士が現れる。


セイクリッド・カウスト
レベル4 攻撃力1800








ブラナー:「セイクリッド・カウストの効果発動。フィールド上のセイクリッドモンスター1体を選択し、選択したモンスターのレベルを1つあげるか、もしくは1つ下げることができる!僕は、セイクリッド・グレディのレベルを4から5にする!」
グレディのレベルが変化する。


セイクリッド・グレディ
レベル4→5


アンナ:「レベルを4から5に…。しかも、セイクリッド・グレディの効果は…」

ブラナー:「そう、この効果は1ターンに2度使用できる!僕はもう一度、この効果を発動し、セイクリッド・カウスト自身のレベルを1つ上げる!」


セイクリッド・カウスト
レベル4→5





チャーリー:「これで、奴のフィールドには、レベル5のモンスターが2体」


哲平:「この状況でやることは、1つしかない…」



アンナ:「エクシーズ召喚か」


ブラナー:「察しがいいね。行くよ!僕はレベルとなっているのセイクリッド・カウストとセイクリッド・グレディでオーバーレイ!」
フィールド中央に次元の渦が現れる。


ブラナー:「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」
その渦に、2体のモンスターの魂が吸収され、新たなモンスターがフィールドに現れる。


ブラナー:「来い!眩き光の戦士!”セイクリッド・プレアデス”!」
牡牛座を守護する上級戦士が姿を現す。


セイクリッド・プレアデス
ランク5 攻撃力2500


ブラナー:「プレアデスの効果発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、フィールド上に存在するモンスター1体を持ち主の手札に戻す!」
セイクリッド・プレアデスが一つ減り、効果が発動される。


セイクリッド・プレアデス
オーバーレイ:2→1


ブラナー:「僕が選択するのは、勇気機関車ブレイブポッポ!」
ブレイブポッポがアンナの手札へ戻る。



ナーヴ:「これで、彼女の場はがら空き。ダイレクトアタックが来るぞ!」



ブラナー:「セイクリッド・プレアデスで、君にダイレクトアタック!」
ブラナーの指示により、セイクリッド・プレアデスは、その手に持つ武器を構えて、アンナに接近する。


アンナ:「喰らうかよ!この瞬間、手札から”除雪機関車ハッスル・ラッセル”の効果発動!自分の魔法トラップゾーンにカードが存在し、相手の直接攻撃を宣言されたとき、このカードを手札から特殊召喚し、自分の魔法トラップゾーンのカードを全て破壊する!」
アンナのフィールドに除雪用機関車をモチーフにしたモンスターが場に現れ、フィールドを駆け巡る。

同時に、アンナのフィールドに伏せていたカードを破壊する。


除雪機関車ハッスル・ラッセル
レベル10 攻撃力2500


ブラナー:「レベル10のモンスターを、そんな風に召喚するなんてね」

アンナ:「安心するのは早いぜ。ハッスル・ラッセルは、効果で破壊したカード1枚につき200ポイントのダメージを、相手に与える!ハッスル・ラッセルを特殊召喚したときに破壊したカードは1枚。よって、200ポイントの効果ダメージだ」
ハッスル・ラッセルの効果ダメージがブラナーを襲う。



ブラナー
LP4000→3800


ブラナー:「くっ」
苦しそうにするブラナー。だが、まだ倒れるわけにはいかない…。ブラナーは心の中でそう呟く。


ブラナー:「手札から速攻魔法”セイクリッド・バースト”を発動!自分フィールド上にセイクリッドと名の付くエクシーズモンスターが1体のみ存在するときに、相手フィールド上にモンスターが特殊召喚されたとき、そのモンスターの攻撃力分のダメージを、相手プレイヤーに与える!」

アンナ:「なっ!」


ブラナー:「モンスターを特殊召喚したことが仇になったね。プレアデスの攻撃力2500のダメージを受けろ!」
何処からともなく現れた光の輪がアンナに直撃する。


アンナ:「ぐっ!!」


アンナ
LP4000→1500



ブラナー:「僕はこれでターンエンド」
ブラナーのターンが終了した。


ブラナー:「さあ、君のターンだよ」

アンナ:「言われなくてもわかってるぜ」
アンナはダメージに耐え、次のターンを迎える。




3ターン
アンナ
LP1500
ブラナー
LP3800



アンナ:「俺のターン!」
アンナはデッキからカードをドローする。

アンナは引いたカードを見て、ブラナーを見る。


アンナ:「ブラナー、このターンで終わらせるぜ」
アンナの言葉に嘘はない。ブラナーはそう思った。だが、ブラナーは驚くというよりもフッと軽く笑った。


アンナ:「”深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト”を召喚するぜ!!」
アンナの場に、新幹線の先頭車両に騎士の上半身がついたモンスターが現れる。


深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト
レベル10 攻撃力3000


アンナ:「このカードは攻撃力を0にすることで、リリースなしで召喚することができる!」


深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト
攻撃力3000→0

アンナ:「行くぜ!俺はナイト・エクスプレス・ナイトとハッスル・ラッセルでオーバーレイ!!」
フィールド中央に次元の渦が広がる。

アンナ:「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」
次元の渦が爆発し、新たなモンスターが現れる。


アンナ:「鉄路の彼方より、地響きともに、ただいま到着!現れろ!”超弩級砲塔列車グスタフ・マックス”!」
巨大な大砲がついたモンスターがアンナのフィールドに堂々と現れる。


超弩級砲塔列車グスタフ・マックス
ランク10 攻撃力3000


アンナ:「グスタフ・マックスの効果発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、相手ライフに2000ポイントのダメージを与える!!」
グスタフ・マックスのオーバーレイユニットが、砲身に込められる。


超弩級砲塔列車グスタフ・マックス
オーバーレイユニット:2→1


アンナ:「喰らえ!発射オーライ・ビッグ・キャノン!」
グスタフ・マックスの大砲から弾が撃てられ、ブラナーにヒットする。


ブラナー:「ぐわああ!」
大量に出血する中、ブラナーはそのダメージに耐える。


ブラナー
LP3800→1800


アンナ:「マジックカード”鉄子エール”!手札から機関車、列車、特急いずれか名を持つモンスター2体を墓地へ送り、フィールド上に存在する機械族モンスター1体の攻撃力をエンドフェイズまで、2000ポイントアップさせる!!」

ブラナー:「っ!」


アンナ:「俺は手札の勇気機関車ブレイブポッポと”暴走特急ロケット・アロー”を墓地へ!」
2体の列車の力がグスタフ・マックスに与えられる。


超弩級砲塔列車グスタフ・マックス
攻撃力3000→5000






レイ:「攻撃力5000…!」

ラフェール:「この攻撃が決まれば」

哲平:「アンナの勝利だ」
仲間たちはアンナの勝利を期待する。


アンナ:「これで最後だ!超弩級砲塔列車グスタフ・マックスで、セイクリッド・プレアデスに攻撃!グスタフ・ハンマー!!」
グスタフ・マックスが、ブラナーに向けて大砲を放つ。


ブラナーは、またフッと笑い、攻撃を受ける。



その衝撃で、ブラナーの身体は吹き飛ぶ。

過去に会った出来事を、綺麗さっぱり忘れようとするブラナー。それでも、当時、自分を思ってくれている父と母のことだけは忘れなかった。


ブラナー:「過去を捨てたよ。これで、そっちに行ける…」


ブラナー
LP1800→0






第9ED『Prototype《石川智晶》』






次回予告

ナレーション:アンナとブラナーの勝負はアンナの勝利で幕を下ろした。

そして、次はゴーシュの前にバリアン8人衆の中でも、幻術の力に特化したサリバンが現れる。

戦い開始直後に、サリバンの幻術に掛かり、仲間たちを襲ってくるゴーシュ。

そんな中、長年ゴーシュとバディを組むドロワが立ち上がる。


ドロワ:次回、遊戯王5DXAL「バディ対決!ゴーシュVSドロワ」

ドロワ:「目を覚ませ!ゴーシュ!」
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