第153話:『怒りのアンナ』
カイト:「これが真のギャラクシーアイズ使いのデュエルだ!ネオ・ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン2回目のバトル!スペンサーにダイレクトアタック!」
ネオ・ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴンが、再び攻撃体勢に入り、スペンサーに向かって粒子を放った。
この攻撃が成立すれば、カイトの勝利となる。
だが―
スペンサー:「トラップカード発動!”銀河爆砕”!ギャラクシーと名の付くモンスターが戦闘で破壊されたとき、お互いのプレイヤーは戦闘で破壊されたモンスターの攻撃力分のダメージを受ける!」
カイト:「何!!」
フィールド中央にギャラクシーアイズ・ディマンシオン・ドラゴンの幻影が現れ、身体が赤色に輝く。
そして、大きな音を立てて、その幻影は爆発した。
ギャラクシーアイズ・ディマンシオン・ドラゴンの攻撃力は3000。よって、両者3000ポイントのダメージが襲う。
スペンサー:「ぐうっ!」
スペンサー
LP500→0
カイト:「ぐわあ!」
カイト
LP625→0
両者のライフが0になった。
第9OP『HEART・BEAT《MARIA》』
第153話:『怒りのアンナ』
カイトとスペンサー、両者のライフが0になった。
イシズ:「あ、相打ち…!」
このデュエルは相打ちという結果になってしまった。
カイト:「うっ」
デュエルのダメージを受けたカイトは、身体に伝わる痛みに耐えながらも立ち上がる。
スペンサー:「勝負はお預けのようだな」
スペンサーも身体に負ったダメージに耐えながら、立ち上がる。
カイト:「はぁ、はぁ」
スペンサー:「お互い、デュエルのダメージが残っている以上、全力で戦うことはできない。決着は次の機会にしよう」
カイト:「逃げるのか?」
スペンサー:「ここはな。だが、次は、こうはいかないぞ。今度会ったときは、必ずお前を倒し、ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴンを消滅させる。俺の手でな」
スペンサーがカイトに背を向き、背後にある滝に向かって歩く。
カイト:「待て!」
カイトがスペンサーを追う。
ハルト:「兄さん!」
ミザエル:「カイト!」
カイトの後を追うハルトとミザエル。
スペンサーは滝の中へと入っていく。
すると、次の瞬間、滝の内側の方で眩しい輝きが放たれ、滝全体に妙な影が浮かび上がった。
巨大な、その影は目をギラッと光らせ、カイトの方を見ていた。
カイト:「ギャラクシーアイズ・ディマンシオン・ドラゴン…。いや…」
滝に映る影を見て、ギャラクシーアイズ・ディマンシオン・ドラゴンだと思ってしまったカイトだったが…。
影は眩しい輝きを放って数秒後に消えた。
マリクが滝の後ろを確認するが…。
マリク:「どうやら逃げられてしまったようだ」
マリクが、みんなに伝える。
オービタル:『周りに特別なエネルギーはなし。カイト様、どうやら奴は本当に逃げたようです。周りに反応はアリマセン』
オービタル7がカイトに、そのことを伝えるが、カイトの耳にオービタル7の声は入っていなかった。
奴が操るギャラクシーアイズのことで頭がいっぱいだからである。
カイト:『ギャラクシーアイズ・ディマンシオン・ドラゴン。俺たちが知らない次元の地肩を持つギャラクシーアイズ…。ダメージを受けた俺にはわかる。ギャラクシーアイズ・ディマンシオン・ドラゴンは強い。そして、そのドラゴンを操るスペンサーも流石といえる…』
カイトがスペンサーの強さを評価する。
そして、滝に映っていた影のことを思い出すカイト。
カイト:『あれは、一体何だったんだ?ギャラクシーアイズ・ディマンシオン・ドラゴンが召喚されたときと同じ気迫を感じたが、何かが違った…』
カイトは心の中で呟く。
カイト:「っ!」
カイトが、その場で地面に膝を付けた。
デュエルのダメージは思ったよりも、カイトの身体を襲っていたようだ。
ハルト:「兄さん」
カイト:「大丈夫だ、心配ない」
エド:「時間はないが、少し休もう」
エドは一度、ここに留まることを提案する。
カイト:「だが、一刻も早くっ!」
立ち上がろうとするカイトだが、やはりダメージが身体を襲う。
イシズ:「焦っても仕方がありません。今後の戦いのために、ここは、一度休息を取りましょう」
等々力:「スペンサーはまた、カイト君を狙ってきます。なら、身体は万全にしておかないと」
タイムリミットはもう少しで3時間を切る。
カイトは、みんなの意見に賛同し、身体を休めることにした。
しかし、時間は決められている。それに、スペンサーのこともある。
カイト:『スペンサー、次こそは必ず…』
次スペンサーに遭遇したら、決着を付ける。カイトは心の中でそう決めたのであった。
バリアン本拠地
バリアン側に寝返ったベクター。そして、ベクターにさらわれ、ここへ来てしまった璃緒。
璃緒は、自分をここに連れてきたベクター、いや裏切り者を警戒する。
ベクター:「ったく、そう警戒すんなよ。何もしねえよ」
璃緒の目線に気付いたベクターがそう言った。
璃緒:「私を、無理矢理ここに連れて来られて、警戒するなという方がおかしい話よ。バリアンに寝返ってどうするつもり?ベクター」
ベクター:「別にどうもしねえよ。強い方に着いた方が、安全だろ?だから、世界を滅ぼそうとするバリアン側に着いたってわけだ」
璃緒:「なら、あなた1人で来ればよかったじゃない。私は、バリアンに付くつもりはないわ」
璃緒はバリアンに付くことをずっと拒否している。
ベクター:「さっきも言ったろ。お前の意志は関係ねえ。ドン・サウザンドが、俺とお前を受け入れようとしてんだ。お前が欠けちまったら、俺の身が危ういぜ」
璃緒:「あくまで、自分の身を守るために、私をここに連れてきたのね。臆病者がやることよ」
ベクター:「好きなだけ言えよ。いずれにせよ、ドン・サウザンドは、ここに来る。そこで、けじめをつけなくちゃいけねえんだ?」
璃緒:「けじめ?」
確かにそう言った。「けじめ」、この言葉には、一体何を意味しているのか璃緒には理解できなかった。
アンナルート
赤い空に下に広がる砂漠
その砂漠をアンナたちは歩いていた。
アンナと共に行動するのは、ラフェール、アメルダ、ヴァロン、三沢、レイ、ラリー、ナーヴ、チャーリー、そして哲平の計10人で行動している。
それぞれに道に分かれたときは、誰よりもやる気のあったアンナだが、今は…。
アンナ:「もうどれぐらい歩いたんだ?一向に、バリアンが出てくる気配がないぞ」
ずっと歩いていた所為で戦う前からヘトヘトのアンナ。
アメルダ:「それぞれ道を分かれてから既に1時間。だが、敵が現れる気配はなしか」
ヴァロン:「まさか、俺たちに恐れをなして、戦う前から逃げたのか?」
ラフェール:「だといいがな」
ナーヴ:「敵が現れなかったら、俺たちはずっとこの砂漠を歩き続けることになるかもしれないな」
ラリー:「それだけは勘弁してほしいよ…」
冗談には聞こえないナーヴの言葉。実際、敵が現れなかったら、ずっとここを歩くことになるかもしれないのは確かなことだ。
アンナ:「ああもう!もう我慢ならねえ!」
アンナは走って、みんなよりも前に立つ。
アンナ:「とっとと出てきやがれ!腰抜けども!俺が相手になってやる!」
アンナが空を見て大声で叫ぶ。
チャーリー:「ウヒョー、おっかねえ女だ」
三沢:「あれで敵が現れてくれたら、苦労はないな」
アンナを見て2人はそう呟く。
すると、いきなり砂嵐が発生し、みんなを襲う。
レイ:「きゃあ!」
砂嵐の所為で体勢を崩すレイだったが、三沢が後ろから支える。
三沢:「大丈夫かい?」
レイ:「はい、ありがとうございます」
ヴァロン:「作り物とはいえ、やはり本物そっくりに作られているようだな」
アメルダ:「あぁ、じゃなかったら砂嵐なんて発生しない」
砂嵐に耐えながらヴァロンとアメルダはそう言った。
???:「カイゼル・サウザンドはドン・サウザンド様が、血のデスリング、アラクネーの宝玉、ヴィータのペンダントの力を合わせて作ったものだよ」
砂嵐に襲われている中、どこからか声が聞こえてくる。
???:「だから、完成度は現実のものと同じさ。もっとも、バリアン世界に来たことがない君たちには、わからないかもしれないけどね」
砂嵐が少しずつ収まり、みんなの前に人影が現れた。
アンナ:「ようやく出てきたな」
バリアンが出てきたことが相当嬉しいのか、さっきまでの疲労感が消え、顔がにやけてしまう。
レイ:「出てきちゃった…」
哲平:「まあ、まぐれだろうけどな」
アンナが大声で叫んだ途端に出てきたので、ちょっとだけ驚くレイたち。
「やっぱり、こんなことってあるんだな」と哲平は呟く。
ブラナー:「僕の名前はブラナー。バリアン8人衆の一人だよ」
他のバリアンと違って随分落ち着いた性格だなと、アンナは心の中で呟く。
アンナ:「随分、礼儀正しいんだな。バリアンにしては見直したぜ」
ブラナー:「一応、礼を言うよ。確か君がエースのマークを所持していたよね」
アンナ:「ああ、No.6のマークをな」
アンナが右手の甲を見せる。
エースのマークが浮かび上がるのは右手の甲だから見せたのだろう。
ブラナー:「なら、僕と戦うのは君でいいのかな?」
アンナ:「ああ、よろしく頼むぜ。バリアン8人衆のブラナーさん」
ブラナー:「随分男みたいなしゃべり方をするんだね、キミ」
アンナのしゃべり方が気になったブラナー。
アンナ:「これは昔からだ!悪いか!」
ブラナー:「別に悪くはないよ。個性でいいと思うよ」
アンナ:「いっつも、初めて俺と会う奴らは、俺のしゃべり方に食いついてくるぜ」
今までの過去のことを思い出してしまったアンナ。
ブラナー:「ここから先、君たちを通すわけには行かない。ドン・サウザンド様の元へ行きたいのなら、まずはこの僕を倒すことが条件だ」
ブラナーはそう言って、インドの刀剣の一つククリ刀と呼ばれる刀の形をしたデュエルギアを手に握る。
アンナ:「わかりやすい条件だぜ。お前を倒して、俺たちはドン・サウザンドの元へ行く!」
アンナは”暴走特急ロケット・アロー”の槍タイプのデュエルギア”ラーゼン・ゲイボルグ”を手に持つ。
更に―。
アンナ:「セカンドステージ!」
ラーゼン・ゲイボルグは形状を変え、セカンドステージを果たす。
レイ:「いきなり、セカンドステージ!?」
ラリー:「やる気満々だね、あの子」
アンナのやる気は、自分たちが思っている以上があるようだ。
アンナ:「行くぜ!」
アンナが先手を仕掛ける。
セカンドステージ状態のラーゼン・ゲイボルグについているノズルから炎が噴射され、アンナの移動速度を上げる。
アンナ:「レイジング・バスタァード!」
ノズルから噴射している炎のおかげでスピードが上がっているアンナは、そのまま突撃する。
ブラナー:「へえ、大した速さだね」
アンナが急接近しているのにも関わらず、ブラナーは落ち着いた表情で、その場に立っていた。
アンナ:『こいつ、避けねえつもりか…!』
何もしてこないブラナーを見て、アンナは嘗められているような感じがした。
だが、スピードは落とさず、そのまま突っ込む。
アメルダ:「向こうは、何もしてくる気配がないぞ」
ヴァロン:「俺には分かる気がするぜ。あいつ、俺たちのこと嘗めてやがる」
ブラナーの気持ちになってヴァロンはそう思った。
ナーヴ:「あのブラナーってやつの態度、少し腹立ってくるな」
ラリー:「アンナ!そのまま痛い目に遭わせてやれ!」
アンナにそう指示をするラリー。
アンナ:「俺を嘗めるなよ!ブラナー!うおおお!」
アンナは叫びながら技を放つ。
ブラナー:「嘗めた何かいないよ。すごい技だと思うよ。もっとも人間にしては、だけどね」
ブラナーが右手に持つククリ刀タイプのデュエルギアを前に突き出す。
ブラナー:「セイクリッド・アンピュルシオン」
ブラナーがそう呟くと、アンナの動きがブラナーのすぐ手前で止まった。
アンナ:「!?」
チャーリー:「お、おい、どうした!」
アンナの動きが止まったことにまわりのみんなは戸惑う。
アンナ:「か、身体が動かねえ…!」
ブラナー:「僕の持つ武器は、セイクリッドいわゆる神聖な力を持っている」
アンナ:「セイクリッドモンスターの使い手か…」
ブラナー:「正解。けどね、このデュエルギアは、少し違うよ」
ブラナーがそう言うと、背後に光と闇が入り混じったオーラがモンスターの影を生み出す。
三沢:「あ、あれは…!?」
ブラナーの背後に現れたモンスターに三沢は驚く。
ブラナー:「”CX(カオスエクシーズ)セイクリッド・カオス”。光と闇、2つの力を持つ僕だけのセイクリッド」
アンナ:「カオスエクシーズ化したセイクリッドモンスターか」
ブラナー:「光と闇の力を持つ、僕が君のような虫けらに敗れるわけないよ。ふん!」
左掌を突き出すと、アンナの身体が衝撃波に襲われ吹き飛ばされる。
アンナ:「ぐわああ!」
アンナはの身体は遠くに飛ばされ、砂漠に倒れる。
哲平:「ア、アンナ!」
ラフェール:「何だ!今のは」
いきなりアンナが吹き飛ばされたことに驚く哲平とラフェール。
アンナ:「くそっ!」
アンナはすぐに立ち上がる。
ブラナー:「女だからって容赦しないよ。セイクリッド・スラッシュの餌食にしてくれる」セイクリッド・スラッシュ。それが、ククリ刀タイプのCXセイクリッド・カオスのデュエルギアの名前だ。
ブラナーは、吹き飛ばしたアンナに向かって走る。
ブラナー:「バリアンは、カオス・エクシーズ化したモンスターの力を十分に引き出すことができる。例えば、こういう感じでね!」
ブラナーは目を大きく開ける。
すると、セイクリッド・スラッシュから光のオーラが身体を包み込み、そしてブラナーの腰辺りに2枚の翼が生え、羽ばたく。
ブラナー:「セイクリッド・ウィンド」
アンナ:「と、飛んだ…!」
空を飛ぶブラナーに目を大きく開くアンナ。
ナーヴ:「あれは、限界勢力の力なのか…!」
哲平:「いや、限界勢力に近いが、おそらくあれは、デュエルギアの力によるもの。デュエルギアの使いこなしが上達すれば、あれぐらいのことはできる。ただし、限界勢力と違い、デュエルモンスターズの力を取り込んでいない分、継続時間が短いはずだ」
哲平はブラナーの力を解説する。
哲平の言葉はどうやらブラナー本人に聞こえていたようだ。
ブラナー:「キミは、かなりのベテランみたいだね。初めて見て、そこまで見抜けるなんて大したものだよ。そう、君の言う通り、この翼の継続時間は短い。だから、これを出したら、直ぐに技を放たないとダメなんだよね」
ブラナーはそう言うと、セイクリッド・スラッシュの刀身を輝かせる。
そして、それを片手で振り回す。
ブラナー:「キミにこの攻撃が、避けられるかな!」
空を飛ぶブラナーが下にいるアンナに急接近する。
ブラナー:「シャイン」
ブラナーの身体が輝く。
片手で振り回すセイクリッド・スラッシュが、ブラナーの前方に結界を張る。
ブラナー:「オーバー・セイクリッド!」
ブラナーは、その状態でアンナに突撃する。
ブラナーとアンナが接触した衝撃で、激しい砂ぼこりが、周りを襲う。
アンナ:「うわあああ!」
砂ぼこりから聞こえるアンナの悲鳴。
レイ:「アンナ!」
砂ぼこりの所為で、アンナの状況がわからないレイたち。
しばらくすると、さっきまで腰に翼があったブラナーが砂ぼこりの中から出てきた。
ブラナー:「さあ、ここから本当の地獄だよ」
楽しそうな笑みを見せながら、ブラナーは前を見つめる。
砂ぼこりが晴れ、アンナの様子が見えてきた。
すると、どうか。アンナは謎の結界に包み込まれていた。
アンナ:「な、なんだよ!これ!」
ブラナー:「面白いでしょ?その結界は、君を永遠に懲らしめる結界だよ」
アンナ:「こんな物!」
アンナはセカンドステージしているラーゼン・ゲイボルグで、結界を破ろうとする。
哲平:「待て!むやみに結界に触れるな!」
哲平がアンナに注意を呼び掛けるが、アンナの耳に哲平の声は届かなかった。
アンナはラーゼン・ゲイボルグで結界を破ろうとしたが、結界に触れた瞬間、結界から眩しい輝きが放たれ、アンナに強烈なダメージを与える。
アンナ:「ああああ!」
アンナはその場に膝を付ける。
ブラナー:「その結界に触れれば、ダメージは君に跳ね返るよ」
アンナ:「な、んだと…」
ブラナー:「その結界はね、閉じ込めた者を永久に懲らしめる結界でね。その結界に包み込まれたら最後、死ぬまで出ることはできない」
アンナ:「何…!」
ブラナー:「残念だよ、エースのマークを持つ人間が、こんなに弱いなんて」
アンナ:「くそっ!こんなものぉ!」
アンナは再び結界を破ろうとラーゼン・ゲイボルグを結界にぶつける。
しかし、再び眩しい輝きがアンナを照らし、ダメージを与える。
アンナ:「ああああっっ!」
レイ:「アンナ!」
ラフェール:「マズい!このままダメージを受け続ければ、彼女の生命にも関わる!」
哲平:「今回の戦い、エースのマークを所持する者たちに任せることになっているが、これは見逃せない!速やかにアンナを助ける!」
哲平は”聖刻龍-ウシルドラゴン”の大剣タイプのデュエルギア”ウシルバスター”を手に持って、ブラナーと応戦しようとする。
ブラナー:「今は、彼女の相手をしているんだ。君たちは、そこで黙っていて」
ブラナーは、セイクリッド・スラッシュを振り回し、光の壁を作って哲平達をこちらに近づけさせないようにする。
哲平:「こ、これは!」
光の壁は哲平たちの行く手を阻む。
更に、光の壁は哲平達の四方すらも取り囲み、完全に光の壁の中に哲平たちを閉じ込めた。
ブラナー:「セイクリッド・プリズン。君たちは、彼女が苦しむところをそこで見ててよね」
ブラナーはそう言って、アンナを見つめる。
アンナは、結界を破ろうと必死にセカンドステージ状態のラーゼン・ゲイボルグを振り回し、結界を破ろうとする。
しかし、敗れる気配はなく逆にアンナにダメージが襲う。
アンナ:「ぐはっ!」
さっきよりもダメージが大きくなっているような感じがする…。アンナはそう思った。
ブラナー:「こうやってみていると、目の前にある食べ物を必死に掴み取ろうとする肉食動物に似てるね」
アンナを見て、そう呟くブラナー。
だが、その目は明らかにアンナを見下している目だった。
アンナ:「お前、以外と口悪いんだな。友達少ないだろ?」
ブラナーの言葉を聞いたアンナは、頭に来たのか何も考えずに、思ったことをそのまま言った。
ブラナー:「そうでもないさ。こう見えて、仲間たちとはうまくやってるよ」
ブラナーはそう言うと、ある記憶を思い出した。
正直、自分にとっては思い出したくない記憶だ。
ブラナー:「昔は、少なかったかもしれないけどね」
アンナ:「?」
ブラナー:「こっちの話しさ。そういう君はどうなんだい?そんなしゃべり方をして、特に女友達が少ないんじゃない?」
アンナの質問を聞き返すブラナー。
アンナ:「フッ、俺も同じこと言うぜ。そうでもないさ」
ブラナー:「ふーん、君もそれなりに友達に恵まれてるんだね」
アンナ:「友達って言うのは、自分から作るもんさ。いっぱい話して、いっぱい触れ合う、そして友達が生まれるんだ」
ブラナー:「面白いことを言うね。でも、その友達もいなくなる。ドン・サウザンド様の計画の元、人間世界は滅びるんだからね」
アンナ:「そんなことはさせねえ!俺たちが絶対に!」
人間世界、そしてアストラル世界を守る。アンナは、遊馬達とそう誓った。
ブラナー:「やる気は認めてあげるよ。でも、それだけじゃ、バリアンには勝てない。人間なんて、僕たちからすれば、ただの子犬も同然だからね」
アンナ:「言わせておけば…!」
ブラナー:「まあそんなことはどうでもいいや。いずれにせよ、人間世界はあと3時間で終わる。そしたら、君の友達も全員死ぬんだ」
アンナ:「!」
ブラナー:「その前に、君はその結界のダメージで死ぬけどね」
アンナ:「ふざけんじゃねえ!」
アンナはセカンドステージ状態のラーゼン・ゲイボルグを振り、結界を破壊しようとするが、何度やっても結界は破れることはなく、アンナにダメージが跳ね返るだけだった。
アンナ:「ああああああ!」
哲平:「それ以上、むやみに攻撃するな!」
ヴァロン:「下手に攻撃すれば、お前の命が危ないぞ!」
同じく結界によって行動を宣言されている哲平達がアンナにそう呼びかける。
ブラナー:「もう楽になりなよ。そうすれば、痛みはもうなくなるから。その後、友達も君の後を追うから」
そう言って、ブラナーはニヤッと笑った。
アンナはその表情を見て怒りを露にする。
アンナ:「そんなことさせるか!」
右手の甲にNo.6のエースのマークが浮かび上がる。
ブラナー:「今更、マークの力を覚醒したところで遅い―!」
ブラナーは目を疑った。
アンナを包み込む結界に亀裂が入っていたからだ。
ブラナー:「これは…!」
赤い輝きと共に、結界に入った亀裂は大きくなり、そして結界は赤い輝きと共に砕け散った。
近くにいたブラナーは一旦、後ろに下がる。
眩しい輝きの中から、アンナの姿が見えてきた。
アンナ:「俺を怒らせるとどうなるか、その身体に教えてやる!」
さっきまでとは表情が違う…。ブラナー、そして仲間たちもアンナの顔を見てそう思った。
哲平:「No.6のエースのマークは、怒りという言葉が込められている。まさか、その力に飲み込まれたのか…」
アンナを見た哲平は、そう呟く。
ブラナー:「面白い芸当だね。けど、表情が変わっただけで、何も変わってないよ!」
ブラナーがアンナに接近する。
アンナはセカンドステージ状態のラーゼン・ゲイボルグを突き出す。
ノズルから炎が噴射する。アンナが炎の属性波動をデュエルギアに送り込んでいるのだ。
アンナ:「バーニング・トレイン!」
ノズルから噴射する炎が電車を象り、その炎がブラナーに向かって放たれる。
ブラナー:『早い…!』
ブラナーは、その場に止まり防御態勢に入る。
そして、アンナが放った攻撃がブラナーに直撃したのか、周りに砂ぼこりが周りに広がる。
見よ。これが、アンナの怒りの力…!
第9ED『Prototype《石川智晶》』
次回予告
ナレーション:怒りの力でブラナーに対抗するアンナ。
一方で、ブラナーもドン・サウザンドからもらい受けた力を解放し、応戦する。
2人の戦いの結末に待っているもの。それは、勝利か敗北か
アンナとブラナーの戦いに決着が着く!
アンナ:次回、遊戯王5DXAL「過去との断ち切り」
アンナ:「ブラナー、お前は…」
遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!
アンナ:「俺が持つNo.6のエースのマークは”怒り”の言葉が込められているぜ。自身の怒りを力に変え、戦うこともできるが、逆にそれに飲み込まれる可能性もあるから、コントロールが必要なんだ」