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第149話:『守護神エリファス!レクイエム・ルクソール・フォース!』







凌牙:「ドン・サウザンドの考えは間違っている。人間界、アストラル世界を滅ぼさなくても、バリアン世界は復活できるはずだ。後のことはお前に任せる」
凌牙は、ピアーズにそう言った。




ピアーズ:『ドン・サウザンド様が、俺を見捨てた。俺は、これからどうすれば…』
目を瞑るピアーズ。


彼は、これから一体どうするのか…!



扉の奥へ進む凌牙たち。


再び、周りは真っ暗。宙に浮かぶ道の上を走っていた。


凌牙:『ドン・サウザンド、お前だけは絶対に許さねえ!』
凌牙は心の中でドン・サウザンドに怒りをぶつけた。








第9OP『HEART・BEAT《MARIA》』






第149話:『守護神エリファス!レクイエム・ルクソール・フォース!』







凌牙がピアーズを倒した、その頃、遊馬達は奇岩と木々が立ち並ぶ場所を歩いていた。



因みに、遊馬と共に行動しているのは、双六、羽蛾、竜崎、レベッカ、アーサー、鮫島、ボマー、カーリー、鉄男、一馬、トロン、フェイカー、明里、羅夢。そして掃除ロボットのオボミ、それからアストラルとエリファスだ。



遊馬:「はぁ、はぁ」
息を切らしている遊馬。

明里:「アンタ、さっきから大丈夫?息切らしてるけど?」
遊馬の姉である明里が、遊馬の顔を見る。


遊馬:「あぁ、バリアンの力を使っちまうと、かなり体力が消耗しちまうんだ。だから、実戦でも全然使わねえんだ」


アストラル:『それ以前に、使いたくはないだろ。バリアンの力なんてな』
しれっとアストラルがそう言った。


アストラルの言う通りだ。俺は、バリアンの力をあまり使いたくない。欲しくて手に入れた力でもないし、因縁であるドン・サウザンドからもらった力を、好んで使いたくもない。

だから、遊馬は仲間や家族に、この力のことを隠していた。お前なんか人間じゃねえ、そんな目で見られるのが怖かったからだ。



鮫島:「しかし、どこ見ても奇岩ばかり。その中ずっと進んでいるだけですが…」

ボマー:「敵が出てくる気配は一向にない」

トロン:「だが、奴らは必ず我々のことをどこかで見ているはずだ。なぜなら、ここは奴らの管轄内なのだから」
みんなは歩きながら、周りを警戒する。


ここは、カイゼル・サウザンド内部。ならば、奴らはどこかで自分たちのことを監視しているはずだからだ。



オボミ:『ピピ』
オボミが目を光らせ、その場に停止する。

明里:「オボミ?どうしたの?」
いきなり停止したオボミに近づく明里。

オボミは停止したまま手をクルクル回す。


オボミ:『ユウマ!ユウマ!』

遊馬:「?」
オボミが遊馬の名前を連発する。


オボミ:『敵!敵!』
オボミが発言した言葉に、周りのみんなの警戒心が強まる。


フェイカー:「敵だと…!」

カーリー:「でも、敵なんて、どこにもいないわよ」
周りを見渡すが、敵の姿などどこにもない。


しかし、先ほどより、奇妙な空気が漂っていた。


遊馬:『オボミの言う通り、敵は近くにいる』
遊馬も周りを警戒する。



すると、さっきま何も聞こえなかったはずが、妙な音が鳴り響ていた。

その音は少しずつ大きくなっている。つまり、こちらに近づいているということだ。


羽蛾:「この音、翼を広げている音だ」

双六:「こちらに近づいてるようじゃが…」
耳を澄ませて音が聞こえる方を辿ろうとするみんな。


アーサー:「みんな!あれを見るんじゃ!」
アーサーが空に向かって指を指した。

その方向を見ると、カラスのような紫色の鳥が空を飛んでいた。1羽だけじゃない。数え切れないほどの鳥が空を飛んでいた。


そして、その鳥は赤い目を光らせ、こちらに接近していた。


レベッカ:「こっちに来るわ!」

遊馬:「くっ」
遊馬はデュエルギアを手に取ろうとする。

しかし、体力の消耗でうまくデュエルギアが手に出てくれなかった。


ボマー:「ここは私に任せてくれ」
そう言ってボマーは、みんなの前に出る。

ボマーは”トラップ・リアクター・RR(ダブルアール)”のカードを手に取り、そのカードが輝く。




ボマー:「”RR(ダブルアール)・バルカン”!!」
ボマーの手に両手持ち型のガトリングガンが出てきた。


これが”トラップ・リアクター・RR”のガトリングガンタイプのデュエルギア”RR・バルカン”だ。


ボマー:「ファイアー!」
引き金を引き、4つあり銃口から次々と弾が連射される。


こちらに近づく紫色の鳥は、連射された弾を浴びて、地面に落ち、そして消える。


どうやら、自然に生きる生き物ではないようだ。


ボマーのおかげで、近づいていた鳥は全て消え去った。


竜崎:「た、助かったのか?わいら」
竜崎が怯えながらそう言った。


羅夢:「どうやら、敵が仕掛けてきたみたいだね、遊馬」

遊馬:「あぁ」
何やら真剣な目をする遊馬。

すると、いきなり後ろを振り向いた。


遊馬:「あの鳥が襲ってきてから感じてはいたが、お前が俺の相手をしてくれるのか?」
遊馬は、奇岩の上にいる敵を見つめて言った。


遊馬:「ウェスカー」
遊馬たちの前に現れたのは、バリアン8人衆のリーダーであるウェスカーだった。



ウェスカー:「こちらの気配に気づいていたか、流石、九十九遊馬だな」
ウェスカーが、黒い刀身の聖剣を持つ。


鉄男:「いきなり8人衆の大将がお出ましかよ」
鉄男は”ブリキの大公”の剣タイプデュエルギア”ブリキギュンター”を手に取り構える。


ウェスカー:「行くぞ、九十九遊馬」
ウェスカーが奇岩から降り、猛スピードで遊馬に接近する。


鉄男:「遊馬と戦いたいなら、俺をとしてからだ!」
鉄男がブリキギュンターを持ってウェスカーに立ち向かう。


遊馬:「待て!鉄男!」
いきなりウェスカーに立ち向かう鉄男を遊馬は止めようとするが、一足遅かった。

遊馬の声は鉄男には聞こえていない。


ウェスカー:「邪魔だ。雑魚に用はない」
ウェスカーは鉄男の真横を取り、鉄男を蹴り飛ばす。


鉄男:「ぐわああ!」
鉄男は奇岩に思いっきり衝突する。


遊馬:「鉄男!」

ウェスカー:「他人の心配をしている暇があるなら剣を取れ。九十九遊馬」
ウェスカーは再び、遊馬に接近する。


遊馬:「くっ、ホープレイ!」
遊馬が身につけているホープ・カードホルダーから”CNo.39希望皇ホープレイ”のカードが飛び出て、遊馬はそのカードをキャッチする。


カードが輝き、デュエルギアを手に取ろうとするが、体力の消耗の所為で、うまくデュエルギアが出てくれない。


その間に、ウェスカーは見る見ると遊馬に近づく。


遊馬:「エスペランサ!」
遊馬はそう叫ぶと、ホープレイの銃剣可変型デュエルギアの”エスペランサ”が短剣モードとなって遊馬の手に握られ、そのデュエルギアでウェスカーの聖剣を受け止める。

遊馬:「はぁ、はぁ」
息を切らす遊馬。


それを見たウェスカーは、黒い聖剣を遊馬から離す。


ウェスカー:「今のお前と戦ってもつまらん」

遊馬:「何…!」

ウェスカー:「我々の力を使って、体力を消耗しているお前と戦っても、無意味だと言っているんだ」
ウェスカーは、黒い聖剣を収め、後ろを振り向く。


ウェスカー:「スネイク!」
ウェスカーがそう言うと、奇岩から人が落ちてくる影が見えた。

スネイク:「お呼びですか?ウェスカー様」
蛇のような顔をした奴が、ウェスカーに頭を下げる。


ウェスカー:「ここは、お前に譲る」

スネイク:「この私に、戦いの場を下さるとは、ありがたき幸せ」
みんなは、ウェスカーに頭を下げていることから奴の部下だと察する。


ウェスカー:「九十九遊馬。万全な状態で俺と戦え。俺はこの先で待つ。最も、こいつを倒せたらの話しだがな」
ウェスカーはそう言って、奥へと歩き出す。


遊馬:「ま、待て!」
遊馬は追いかけようとする。

スネイク:「おっと!ここから先は行かせねえぜ」
スネイクは舌を蛇のように長くして、鞭のように無造作に回す。

遊馬:「そこをどけ!お前の相手をしている暇はねえ!」
エスペランサを銃モードにして弾丸を放つ。

だが、弾丸はスネイクに当たる前に消えた。


遊馬:「!」

スネイク:「シャッシャッシャ!ウェスカー様の言った通りだ。今のお前と戦っても負ける気がしねえ」

遊馬:「っ!」

スネイク:「ウェスカー様の元へ行きたいのなら、この俺様を倒すんだな!シャッシャッシャー!」
スネイクが挑発させるような笑いをする。

先ほど使ってしまったバリアンの力で、遊馬の体力は万全じゃない。

思うように戦うこともできない。こいつの挑発を黙って聞くことしか、遊馬にはできなかった。


すると―。


エリファス:『貴様の相手は、私がしよう。デュエルでな』
アストラルの守護神であるエリファスが前に出る。

遊馬:「!」

アストラル:『エリファス…!』

エリファス:『時間がないのはわかっている。しかし、今の君には体力を回復させる時間も必要だ。私が、奴とデュエルしている間に、君は体力の回復に専念したまえ』

遊馬:「すまねえ、エリファス」
遊馬はエスペランサを収めた。


一馬:「大丈夫か?遊馬」

遊馬:「あ、あぁ」
一馬が息子を支える。


明里:「鉄男君!大丈夫!」
明里とオボミがウェスカーにやられた鉄男を助ける。

かなり強く吹き飛ばされていたが、鉄男の怪我は軽傷で済んでいた。





スネイク:「おめえは確か、アストラルの守護神エリファスだったな。話しは聞いているぜ。シャッシャッシャ」
エリファスと戦えて嬉しいのか舌を振り回すスネイク。


スネイク:「デュエルでもなんでもいい。戦いを滾らせる奴は、再起不能まで叩き潰す!」
蛇のような目がエリファスを見る。




みんなは、その場から離れ、エリファスとスネイクはデュエルディスクを左腕に装着する。


エリファス:『行くぞ!スネイク』

スネイク:「シャッシャッシャー!絞め殺してやる!」


「「デュエル!!」」
両者の掛け声とともにデュエルが開始した。






両者
LP4000





1ターン


スネイク:「シャッシャッシャ!先行もらうぜ、俺様のターン、ドロー!」
スネイクが舌を出しながらデッキからカードをドローした。

スネイク:「俺様は永続魔法”黒蛇病”を発動!」
スネイクは永続魔法を発動した。

スネイク:「このカードがフィールド上に存在する限り、俺様のスタンバイフェイズ毎にお互いのライフに200ポイントダメージを与える。そして、2ターン目以降は自分のスタンバイフェイズ毎にダメージは倍になる!」
両者プレイヤーに効果ダメージが与えられるカード。つまり、自分にとってもデメリットがあるカードだ。


スネイク:「更に永続魔法”白蛇鏡”を発動!」
2枚目の永続魔法を発動したスネイクは、その効果を読み上げる。

スネイク:「このカードが場に存在する限り、魔法カードによる自分が受ける効果ダメージは全て相手が受ける!」
つまり、黒蛇病の効果で、自分がダメージを受けようとしても相手に跳ね返るということだ。

黒蛇病のデメリットを回避する相応しいカードといってもいいだろう。


スネイク:「モンスターを裏守備表示でセット」
スネイクはモンスターカードを裏守備でセットした。

スネイク:「俺様はこれでターンエンド」
スネイクのターンが終了した。



エリファス:『奴のデッキは効果ダメージを中心にしたデッキか…。特に目立つようなプレイはしてこなかった…』
スネイクのフィールドを見て、少し警戒するエリファス。


エリファスのデッキの一番上のカードが輝く。






2ターン
両者
LP4000



エリファス:『私のターン!アストラルの守護神とも言われた私の力を見せてやろう!シャイニング・ドロー!』
エリファスは輝いているデッキの一番上のカードを引いた。


エリファス:「ダブル永続魔法発動!”神秘のモノリス”!このカードはランク4のモンスターエクシーズの、エクシーズ召喚に必要な素材1体分の代わりにすることができる」
フィールドの中央に渦が現れる。



一馬:「エリファス、いきなり出して来るか…」
エリファスの行動を見て小さい声で呟く。


エリファス:「私は、この2枚の永続魔法を使い、オーバーレイ!2枚のカードでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」
異次元の渦が爆発し、エクシーズモンスターが姿を現す。

エリファス:「いでよ!ランク4!!”NO(ニューオーダーズ)4 エーテリック・アヌビス”!!」
エリファスの場に現れたのは、エジプト神話に出てくる冥府の神アヌビスを象ったモンスターだった。


NO4 エーテリック・アヌビス
ランク4 攻撃力1000


スネイク:「シャッシャッシャァ!いきなり、エクシーズ召喚とは見せてくれるじゃねえか」

エリファス:「まだ終わりではない。ニューオーダーズは進化を続けるモンスター。その新たな姿を見よ!」
エリファスは手札から1枚のカードを発動した。

エリファス:「私はニューオーダーズ専用”RUM(ランクアップマジック)-オーダーズ・フォース”を発動!」
ランクアップマジック。それは、エクシーズモンスターのランクを一つ上げることで、新たな姿へと進化させる魔法カードである。


エリファス:「自分フィールド上に存在するニューオーダーズエクシーズモンスターを素材に、素材にしたエクシーズモンスターのランクが2つ上のエクシーズモンスターをエクストラデッキから特殊召喚する!!私は、エーテリック・アヌビスを素材にオーバーレイ!」
エーテリック・アヌビスが中央に現れた渦に吸い込まれる。


エリファス:「1体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築!ランクアップ・エクシーズチェンジ!!」
エーテリック・アヌビスは、新たなエーテリックモンスターとなって姿を現す。

エリファス:「いでよ”NO6 エーテリック・アポピス”!!」
エリファスの場に現れた巨大な蛇アポピスの姿を象ったモンスターだった。


NO6 エーテリック・アポピス
ランク6 攻撃力2500



遊馬:「エリファスの奴、俺を休ませるとかいいながら、はやく決着つけようとしてんじゃねえか」
面白うそうに少し笑って遊馬は言った。


エリファス:「エーテリック・アポピスで、貴様の場にある裏守備モンスターに攻撃!」
エーテリック・アポピスがスネイクの場にある裏守備モンスターは破壊した。

因みに破壊した裏守備モンスターの正体は”半蛇人サクズィー”だった。

エリファス:「私はカードを1枚セットし、ターンエンド」
エリファスのターンが終了した。






3ターン
両者
LP4000


スネイク:「シャッシャッシャ!俺様のターン!」
スネイクがデッキからカードをドローする。

スネイク:「忘れていないよな?俺様の場には永続魔法”黒蛇病”がある。この効果によって、お前は200ポイントのダメージを受ける。」
エリファスの効果ダメージが襲う。


エリファス
LP4000→3800


スネイク:「そして、黒蛇病は発動しているプレイヤーにもダメージを与えるが、もう1枚の白蛇鏡の効果で、俺様が受ける効果ダメージは、お前が受けることになる!」
スネイクの目の前にふちが白蛇を象った鏡が現れ、黒蛇病による効果ダメージをエリファスに跳ね返す。


エリファス
LP3800→3600


200ポイント受けるはずだったダメージは倍の400ポイントとなった。


スネイク:「俺様はマジックカード”融合”を発動!手札から”魔法のランプ”と”ひょうすべ”を融合!」
2体のモンスターが融合する。


スネイク:「融合召喚!!現れろ!”轟きの大海蛇”!!」
スネイクの場に現れたのはレベル6のゆうごうもん融合モンスターだった。


轟きの大海蛇
レベル6 攻撃力2100


アーサー:「ん?珍しいカードを使うな」

双六:「ふむ、轟きの大海蛇は、効果を持たない融合モンスター。デュエルモンスターズが世間に広がったときに生まれたカードといっても過言ではないカードじゃぞ」

レベッカ:「そんなカードでどうやって戦うのかしら?」
スネイクが出した轟きの大海蛇を見て、3人は呟いた。


スネイク:「俺様は手札からマジックカード”蛇の聴覚”を発動!手札が、このカード1枚だけのときに発動可能!デッキから4枚ドロー!」
スネイクはデッキからカードを4枚ドローし、手札を補充した。


エリファス:『手札の補充。引くカードが多ければ、狙っているカードが手札に来る確率は高くなる。仕掛けてくるか…』
エリファスはスネイクの行動に警戒する。

スネイク:「シャッシャッシャ!行くぜ!轟きの大海蛇でエーテリック・アポピスに攻撃!」

エリファス:「何!?」
エリファスが驚くのも無理はない。轟きの大海蛇の攻撃力は2100。対するエーテリック・アポピスの攻撃力は2500。こちらの方が攻撃力は高い。


鉄男:「あいつ、自殺プレイしやがった!」
と、鉄男は思ったことを口にした。


スネイク:「シャッシャァァ!俺様は、負ける攻撃はしない達なんだよ!手札から速攻魔法”モーメント・メタルヘビー”を発動!」
轟きの大海蛇の身体がメタル化された。

スネイク:「自分フィールド上に存在する爬虫類族または蛇と名の付くモンスターの攻撃力をエンドフェイズまで1000ポイントアップさせる!」


轟きの大海蛇
攻撃力2100→3100


スネイク:「これで、轟きの大海蛇はエーテリック・アポピスの攻撃力を上回ったシャー!攻撃続行!轟きの大海蛇!奴のモンスターを絞め殺せ!」
轟きの大海蛇がエーテリック・アポピスに接近する。

しかし、エリファスも黙ってやられる奴ではない。

エリファス:「トラップ発動!”神秘の池”!相手の攻撃宣言時に発動可能!墓地に存在する魔法カード1枚を発動し、このターンのバトルフェイズを強制終了させる!」
エリファスの墓地より1枚の魔法カードがフィールドに現れる。


エリファス:「私が発動するのは、”RUM-オーダーズ・フォース”!エーテリック・アポピスを素材にオーバーレイ!!」
エーテリック・アポピスがフィールド中央に現れた次元の渦に吸い込まれる。

エリファス:「1体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築!ランクアップ!エクシーズチェンジ!!」
中央の渦が爆発する。

エリファス:「更なる高みへ!”NO8 エーテリック・セベク”!!」
エリファスの場に現れた新たなエクシーズモンスターはクロコダイルのような顔をしたモンスターだった。


NO8 エーテリック・セベク
ランク8 攻撃力3000


エリファス:「エーテリック・セベクがエクシーズ召喚に成功したとき、自分のデッキから魔法・罠カード1枚を手札に加える事ができる」
エリファスはデッキから1枚カードを手札に加えた。

エリファス:「そして、神秘の池の効果で、このターンのバトルフェイズを強制終了される!」


スネイク:「何回も何回もモンスターを進化させて、うざい奴シャー。だが、モーメント・メタルヘビーの効果にはもう一つ効果がある。このカードを発動したターンのバトルフェイズが、相手のカード効果により終了したとき、相手に1000ポイントのダメージを与え、相手は手札を1枚墓地へ捨てる!」

エリファス:「何!?」

スネイク:「シャッシャッシャァァ!!」
轟きの大海蛇の身体がピカッと輝き、エリファスにダメージを与える。

エリファス:「ぐはっ!」


エリファス
LP3600→2600


エリファスは衝撃で後ろに押される。


エリファス:「っ!」
更に効果によって、手札から1枚カードを墓地へ送る。


スネイク:「俺様はカードを2枚セットし、ターンエンドだ」
スネイクのターンが終了した。


轟きの大海蛇
攻撃力3100→2100


モーメント・メタルヘビーの効果が切れ、轟きの大海蛇の攻撃力が元に戻る。



トロン:「やはり、敵のデッキは効果ダメージを主軸にしたデッキの構成のようだね。守備に回れば、ライフは見る見る削られていく」


遊馬:「エリファスだって、それぐらいわかってるはずだ」
デュエルを見ているトロンと遊馬が話し合う。






4ターン
エリファス
LP2600
スネイク
LP4000


エリファス:「私のターン!」
デッキの一番上のカードが輝き、エリファスは、そのカードを引く。


エリファス:「マジックカード”ランクアップ・セッペリーレ”を発動。自分のライフが相手より少ない時、手札のランクアップマジックを1枚墓地へ送ることで、相手に1300ポイントのダメージを与える!」
エリファスは手札にあった、もう1枚のRUM-オーダーズ・フォースを墓地へ送った。

スネイク:「ぐっ」
スネイクにダメージが通り、ライフが並ぶ。


スネイク
LP4000→2700


羅夢:「よし、効果ダメージのやり返しで、何とか巻き返した」

カーリー:「それに、エーテリック・セベクは、あの蛇男のモンスターより攻撃力は上」

アストラル:『このままモンスターを破壊すれば逆転できる…!』
みんなは、エリファスの逆転に期待する。

エリファス:「行くぞ!エーテリック・セベクで轟きの大海蛇に攻撃!」
エーテリック・セベクが攻撃を仕掛ける。

スネイク:「シャッシャッシャ!!あめえよ!トラップカードオープン!”蛇醜態”!相手が自分フィールド上に存在する爬虫類族または蛇と名の付くモンスターに攻撃宣言したとき、相手フィールド上に存在するモンスターの攻撃力をエンドフェイズまで半分にする!」


NO8 エーテリック・セベク
攻撃力3000→1500


エリファス:「何っ!」

スネイク:「もっとも、このカードを発動したターン、お互いのモンスターは戦闘では破壊されないがな」

エーテリック・セベクの攻撃が轟きの大海蛇に当たるが、トラップカードの影響で、エーテリック・セベクの攻撃力は轟きの大海蛇の攻撃力よりも低くなっているため、ダメージはエリファスに跳ね返る。

エリファス:「っ!」


エリファス
LP2600→2000


エリファス:「カードを1枚セットし、ターンエンド」
エリファスは冷静な顔でリバースカードをセットし、ターンを終了。

蛇醜態の効果が切れ、エーテリック・セベクの攻撃力が元に戻る。


NO8 エーテリック・セベク
攻撃力1500→3000



明里:「モンスターの破壊はできなかったわね」

一馬:「だが、負けたわけじゃない。まだ逆転するチャンスはある」
一馬がエリファスを信じてそう呟く。


それとは裏腹にスネイクは、ずっとシャッシャッシャと小さく笑っていた。



5ターン
エリファス
LP2000
スネイク
LP2700


スネイク:「俺様のターン!」
スネイクがカードをドローする。

引いたカードをを見て、高笑いする。

スネイク:「シャッシャッシャッシャッシャッシャー!どうやら、このデュエル、俺様の勝ちのようだな!」

エリファス:「!」
スネイクが勝利宣言をした。嘘を言っているようには思えない。どうやら本気で、このデュエルを終わらせるようだ。

スネイク:「永続魔法、黒蛇病の効果発動!このターンは、お互いに400ポイントのダメージを受ける!」
1ターン目から発動していた永続魔法の効果ダメージがエリファスを襲う。


エリファス
LP2000→1600


スネイク:「更に、白蛇鏡の効果で、俺様が受けるダメージはお前に跳ね返る!」
更に400ポイントのダメージがエリファスを襲う。


エリファス
LP1600→1200



スネイク:「行くシャー!轟きの大海蛇をリリースして、リバースカード発動!トラップカード”蛇龍の雄叫び”!」
スネイクのフィールドに大きな穴が出現した。


スネイク:「このカードの効果により、手札からレベル6以上の爬虫類族モンスターをリリースなしで召喚する!さあ、俺様の元へ来い!”残身なる大蛇龍-キングコブラ”!!」
大きな穴の中から巨大な黒と金色のコブラが現れ、その長い牙を見せる。


残身なる大蛇龍-キングコブラ
レベル8 攻撃力3200


エリファス:「攻撃力3200…!奴のエースモンスターか!」

スネイク:「残身なる大蛇龍-キングコブラは、召喚に成功したターンのみ、エンドフェイズまで攻撃力4000になる!」



残身なる大蛇龍-キングコブラ
攻撃力3200→4000





遊馬:「攻撃力…」

竜崎:「4000じゃと!」
残身なる大蛇龍-キングコブラの攻撃力に目を飛び出すほど驚く竜崎。


スネイク:「更に、このカードがバトルフェイズを行うターン、相手は、このカードを対象にするトラップカードを発動できない」

エリファス:「…」

スネイク:「シャー!バトル!残身なる大蛇龍-キングコブラでNO8 エーテリック・セベクに攻撃!!ストロング・ファング!!」
キングコブラは、その長い牙見せびらかせエーテリック・セベクに攻撃してくる。

エリファス:「トラップ発動!”ニューオーダーズ・プロテクタ”!」
エリファスがトラップカードを発動した。

スネイク:「忘れたか!キングコブラにトラップカードは通用しない!」

エリファス:「勿論、覚えている。だが、このカードは、お前のモンスターを対象にするカードではない。自分フィールド上に存在するニューオーダーズモンスターは、このターン戦闘では破壊されない!」
エーテリック・セベクの身体に見えないプロテクターが纏われる。

残身なる大蛇龍-キングコブラは、その長い牙でエーテリック・セベクをかみ砕こうとするが、プロテクターの影響で、それはできなかった。


スネイク:「だが、ダメージは受けてもらうシャー!」
キングコブラの尻尾がエリファスを襲う。

エリファス:「ぐはっ!」


エリファス
LP1200→400


スネイク:「残身なる大蛇龍-キングコブラは、相手モンスターを戦闘で破壊したとき、相手に500ポイントのダメージを与える効果を持っている。ここで、エーテリック・セベクが破壊されていたら、お前は負けていた。運がいい奴だ。だが、次の俺様のターンが回ってきたとき、黒蛇病の効果が発動し、効果ダメージで貴様の敗北は確定する。どのみち貴様に希望はない。俺様はこれでターンエンド!」
スネイクのターンが終了した。

同時に、キングコブラの攻撃力が戻る。


残身なる大蛇龍-キングコブラ
攻撃力4000→3200



スネイク:「さあ、お前の最後のターンだ!」
スネイクが舌を蛇のようにぺろぺろさせて言った。


羽蛾:「おいおい、マズいんじゃないのか?」

レベッカ:「ライフ残り400。次に奴のターンが回ってきたら、永続魔法の餌食で敗北が確定する」

フェイカー:「どのみち、エリファスに残されたターンは、この1ターンのみ」


オボミ:『ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ』
ヤバイという言葉を連発し、クルクル回るオボミ。


すると、誰かの手がオボミの頭に乗った。


遊馬:「心配すんな。エリファスは、こんなことで負けるような奴じゃねえよ」
オボミは、回るのをやめ、遊馬を見る。



スネイク:「シャッシャッシャ!痛い目に遭いたくないんだったら、今でも遅くないサレンダーするんだな。そうすれば、楽に地獄に葬ってやる。シャッシャッシャァ!シャッシャッシャァ!」
スネイクが大きな声で笑う。

エリファス:「サレンダー?私の辞書にそのような言葉は載っていない」

スネイク:「シャ…」
スネイクは笑うのをやめる。

エリファス:「それに、デュエルは、たった一枚のカードで逆転する確率もある。最強デュエリストは、その可能性を信じ、勝利を収めてきた」
エリファスの右手が輝く。


アストラル:『フッ…』

遊馬:『見せてくれよ、お前の希望のドローを!』
アストラルと遊馬は、エリファスが勝つことを信じているのか、笑った表情をしていた。




6ターン
エリファス
LP400
スネイク
LP2700


エリファス:「私の奇跡のドローを見せてやろう!」
エリファスから気迫が放たれる。

エリファス:「最強デュエリストのデュエルはすべて必然!ドローカードさえもデュエリストが創造する!全ての光よ!力よ!我が右腕に宿り、希望の光を照らせ!」
エリファスはデッキの一番上のカードに手を置く。

エリファス:「シャイニング・ドロー!!」
エリファスは輝く、その手でデッキから1枚ドローし、ドローカードを確認する。


スネイク:「シャッシャッシャァ!どんなカードが来ようと、お前が勝つ確率は0%だ!」

エリファス:「ならば私は、その0%を貴様に返却しよう」

スネイク:「何?」

エリファス:「このカードは、私の運命を決めるカードだ!”RUM-レクイエム・ルクソール・フォース”を発動!!」
新たなランクアップマジックが発動され、フィールド全体が照らされる。

エリファス:「このカードは、自分の墓地に存在するランクアップ・マジックを2枚除外することで発動!エクシーズモンスター1体を選択し、選択したエクシーズモンスターを素材にランクが1つ上のエクシーズモンスターを1体特殊召喚する!」
エリファスは、墓地に存在する2枚のRUM-オーダーズ・フォースを除外する。


エリファス:「私は墓地よりNO8 エーテリック・セベクを選択し、オーバーレイ!!」
フィールド上に大きな渦が現れ、エーテリック・セベクが吸い込まれる。

エリファス:「1体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築!ランクアップ・エクシーズチェンジ!!」
大きな渦が爆発を起こし、新たなモンスターが姿を現す。


エリファス:「更なる高みへ!!”NO9 エーテリック・レネヌテト”!!」
ランク9のエクシーズモンスターがエリファスの場に現れる。


NO9 エーテリック・レネヌテト
ランク9 攻撃力3200



遊馬:「ランク9のエクシーズモンスター…」

トロン:「攻撃力3200。残身なる大蛇龍-キングコブラと攻撃力は同じ…」
エリファスの新たなニューオーダーズモンスターを見つめて言う遊馬とトロン。


スネイク:「相打ち狙いか?モンスターが破壊されても、俺のライフは減らない。無意味なことだ」


エリファス:「残念だが、レクイエム・ルクソール・フォースはもう一つ効果を持っている。それは、このカード効果に対象となったエクシーズモンスターのランクが2つ上のエクシーズモンスターを、このカードをオーバーレイユニットに組み込むことでエクシーズ召喚することができる!!」


スネイク:「なっ!2体目のエクシーズモンスターをだと!」


フェイカー:「1枚のカードで2回連続ランクアップすることができるのか!」



エリファス:「私は、このカードを素材にオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」
新たなニューオーダーズエクシーズモンスターが現れる。

エリファス:「天空を舞え!”NO10 エーテリック・ホルス”!!」
ランク10のホルスの姿をしたモンスターが現れる。


NO10 エーテリック・ホルス
ランク10 攻撃力3500


ボマー:「攻撃力3500!」

カーリー:「キングコブラの攻撃力を上回ったんだから!」
新たなエクシーズモンスターが現れて興奮するカーリー。


スネイク:「くっ」

エリファス:「NO9 エーテリック・レネヌテトの効果発動!オーバーレイユニットを一つ取り除くことで、デッキから1枚ドローし、それが通常魔法または永続魔法の場合、その場で発動する!」
エーテリック・レネヌテトのオーバーレイユニットが一つ消えた。


NO9 エーテリック・レネヌテト
オーバーレイユニット:1→0


エリファスはデッキから1枚ドローする。

エリファス:「フッ、引いたカードは永続魔法”ランクアップ・アドバンテージ”!よって、このカードを発動!」
エリファスはカード効果で引いたカードを発動する。


エリファス:「行くぞ!エーテリック・ホルスで残身なる大蛇龍-キングコブラに攻撃!!」
エーテリック・ホルスがキングコブラに対して攻撃を仕掛ける。


スネイク:「残身なる大蛇龍-キングコブラの効果発動!手札を1枚捨てることで、相手モンスターの攻撃を無効にし破壊することでできる!」
スネイクがキングコブラの効果を発動しようと動いた。しかし―

エリファス:「無駄だ。永続魔法、ランクアップ・アドバンテージの効果により、「RUM」と名のついた魔法カードの効果で特殊召喚したモンスターエクシーズが 攻撃対象に選択した相手モンスターの効果は無効化される。 よって、残身なる大蛇龍-キングコブラの効果は無効!!」
ランクアップ・アドバンテージの効果で、既にキングコブラの能力は失われていたのだ。


スネイク:「何!!?」

エリファス:「攻撃を続行!エーテリック・ホルス!奴のモンスターを葬り去れ!」
エーテリック・ホルスが残身なる大蛇龍-キングコブラを破壊した。


スネイク:「シャアアア!」


スネイク
LP2700→2400


スネイク:「バカな!たった1枚のカードで、逆転されるだと!」

エリファス:「アストラル世界は必ず守って見せる!遊馬と、仲間たちと共に!エーテリック・レネヌテトでダイレクトアタック!!」
エーテリック・レネヌテトがスネイクにトドメを刺す。


スネイク:「シャアアアァァァァァアアアア!!!」
大きな叫び声を上げて、スネイクは吹き飛ばされた。


スネイク
LP2400→0



このデュエルはエリファスの勝利で終わった。








第9ED『Prototype《石川智晶》』






次回予告

ナレーション:スネイクを負かしたエリファス。

遊馬たちは、その勝利に喜ぶ時間もなく先へと進む。

一方、Ⅴたちの目の前に、バリアン8人衆の1人コルダが現れた。

その中でコルダからダイシャラス王国元王子バギーとバリアンとの関係が明かされるのであった!


Ⅲ:次回、遊戯王5DXAL「バギーとバリアン世界の繋がり」


Ⅲ:「それが、バギーたちが犯した罪…」




遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!


エリファス:「私が使用する”エーテリック”エクシーズモンスターは、光属性を中心としたランクアップし続けるモンスターだ。その姿はエジプト神話の神々をモチーフにしている」
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