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第147話:『掘り下げられた凌牙の過去』









ピアーズ:「エースのマークを使うことなく、お前は敗北するのさ。まずは1人目!」
ピアーズがキュムロニンバス・バハムートを握り締め、凌牙にトドメを刺すために接近してきた。


葵:「慎也!このままじゃ!」

慎也:「くそっ!」
慎也が援護しようとする。


凌牙:「手を出すなと言ったはずだ!」
凌牙が仲間たちに手を出すなと要求する。

ピアーズ:「仲間たちの力を借りれば、妹を助けに行けたかもしれねえのによ!お前は、ここで終わりだ!」
凄まじい殺気を出して、ピアーズは凌牙に接近する。



このままではやられる。

凌牙:「くっ」
凌牙は死ぬ覚悟をした。

だが、凌牙が身につけているデッキケースが輝き、背後に青い身体をしたモンスターが現れる。

ピアーズ:「!」
ピアーズは一度、その場に止まる。


そして、そのモンスターは口から弾丸のように水の弾を放ち、凌牙からピアーズを遠ざける。


凌牙の後ろに現れたモンスターが少しずつ姿を現す。


凌牙:「バハムート・シャーク…」
凌牙は自分を守ってくれたモンスターに向かって、そう言った。






第9OP『HEART・BEAT《MARIA》』







第147話:『掘り下げられた凌牙の過去』



凌牙を守った海竜族モンスター”バハムート・シャーク”。主人のピンチを知って、表に現れたのだ。


だが、バハムート・シャークは水属性。ピアーズの雷には相性が悪い。


バハムート・シャークは、凌牙を見つめる。

凌牙:「戦ってくれるのか…」
バハムート・シャークの身体が輝き、デュエルギアへと姿を変え、凌牙の目の前に突き刺さる。


その武器は、棒の両端に三日月の刃がついている大鎌だった。

既に、身体の痺れが取れている凌牙は立ち上がり、地面に突き刺さった、その武器を取る。


バハムート・シャークのデュエルギア。その名は…。


凌牙:「バハムート・エッジサイト。お前がどんな電流を出してこようが、こいつで跳ね返す!」
バハムート・エッジサイトを振り回し、凌牙は宣言した。




クロノス:「ママミーヤ…」

ジャック:「おい、雷を使う敵に、水のデュエルギアで真っ向勝負を挑む気か!」
凌牙の行動に驚くジャックたち。


慎也:「それでいいのかもしれない」

ジャック:「何…!」

右京:「モンスターが、自ら出てきて、デュエルギアとなったんです。神代君ではなく、モンスター自身が、敵の雷を受けて主人を守ることを決意したのでしょう」
バハムート・シャークの決意は、外野でもある自分たちにもわかる。

モンスターが、勝手に表に来ることなど、滅多にないのだから。

しかし、だからといって、不利な状態を作ってしまったことには変わりはない。


凌牙:『頼むぞ、バハムート・シャーク』
心の中でそう呟く凌牙。


ピアーズ:「いいデュエルギアだな。主人のピンチに気づいて出てくるとは。だが、所詮は、水属性モンスター。俺の雷には抵抗できねえだろ!」
ピアーズが真っ正面から突っ込んで来た。



キュムロニンバス・バハムートを構えるピアーズ。


その間に、凌牙は片方に持つブラックランサーを地面に突き刺した。


ピアーズは片手でキュムロニンバス・バハムートを振り回す。

すると、振り回しているキュムロニンバス・バハムートが電流を浴びていた。

その電流は少しずつ大きくなり、次第にはピアーズの身体にもその電流が流れていた。


ピアーズ:「果てろ!神代凌牙!ロールオブサンダァァ!!」
ピアーズは身体中に浴びている電流を凌牙に向かって一気に解き放つ。


目の前から針のように電流が飛んできているのが肉眼でわかる。

凌牙はすぐにその攻撃を避ける。

しかし、1回だけ避けたところで、他の電流が再び襲ってくるので、油断はできない。

更に―。


ピアーズ:「俺がいる事も忘れるな!」
針のように飛んでくる電流の中からピアーズが、キュムロニンバス・バハムートを持って飛び出てくる。




電流を浴びているキュムロニンバス・バハムートの刃が凌牙を襲う。


凌牙:「くっ」
凌牙は、バハムート・エッジサイトで、キュムロニンバス・バハムートの刃を受け止める。


しかし、敵は雷を使ってくる武器。やはり、相性が悪く、デュエルギア同士が接触する間が長ければ、デュエルギアを通じて、自分の身体を襲ってくる。


凌牙は咄嗟に後ろに下がる。

ピアーズ:「逃がすか!」
針のように飛んでくる電流は、凌牙の頭上に集まっていく。


集まってもなお、凌牙についてくる電流は、バチバチと激しい音を鳴らしていた。


ピアーズ:「ユピテル・サンダーボルト!」
凌牙の頭上に溜められた電流は落雷となって、凌牙を襲う。

凌牙は落雷に当たらないようにギリギリのところで落雷を躱す。


ピアーズ:「躱し続けられるものじゃねえぞ!」
凌牙の頭上の電流は凌牙からベッタリついてきて、離れることはなかった。

ついてくる間に、ずっと雷を凌牙に落とす。




本田:「あいつの言う通り、あれは躱し続けられるもんじゃねえぞ。ずっと雷がついてきやがる」

万丈目:「あのままでは、体力の消耗が早くなるぞ」
戦いを見届ける本田と万丈目はそう言った。



すると、逃げていた凌牙が、その場に止まる。


ペガサス:「ん?彼は一体、どうしたのデスか?」

ジャック:「止まったぞ?」
凌牙が動きを止めたことに違和感を感じたペガサスとジャック。


ピアーズ:『諦めたのか?』
攻撃を放っていたピアーズでさえ、そう思った。


しかし、凌牙はバハムート・エッジサイトを持つ手を挙げて、頭上で振り回し始めた。


ピアーズ:「何をする気だ…」
いきなりの行動に少し動揺するピアーズ。


2枚の刃が青く輝く。

凌牙:「ドラゴン・オンダス!」
バハムート・エッジサイトが水面、いや水波を生成し発生させ、そこから龍の頭が出てきて、凌牙の頭上にあった電流を飲み込む。



ピアーズ:「水の攻撃で、雷を打ち消したか…。やるな」
面白うそうに凌牙を見るピアーズ。

ピアーズ:「殺すのには勿体ないな」
小さい声でそう呟くピアーズ。



オブライエン:「フッ、やるな。雷の攻撃を打ち消した」

風間:「どうやら、口だけではなかったみたいだな」
バハムート・エッジサイトを持った時に、「電流を出してこようが、こいつで跳ね返す」と凌牙は言っていたが、それが、今目の前で実現した。


凌牙:「てめえの攻撃が打ち消した。さあ、次はどんな手で来る」
凌牙がピアーズを挑発しているつもりなのか、余裕の笑みを浮かべてそう言った。


すると、ピアーズは攻撃してくる素振りを見せず、明らかに戦う者の態勢ではない態度を取る。



ピアーズ:「神代凌牙」

凌牙:「あ?」

ピアーズ:「お前、俺たちの仲間にならないか?」
ピアーズがいきなり吹きかけてきた言葉。


周りにいる仲間たちも、こいつ何を言っているんだ?そのような顔をする。

ピアーズ:「ドン・サウザンド様にとって、今必要な人間はベクターと神代璃緒。だが、敵として勿体ない遊馬を迎え入れようとした。まあ、直ぐに拒否されたがな。だが、お前はどうだ?神代凌牙」


凌牙:「貴様、負けると見えて、次は俺をバリアンに迎え入れようとする気か」

ピアーズ:「元バリアンだった、お前が仲間に入れば、ドン・サウザンド様もさぞ喜ぶ。バリアン七星のリーダーだったのだからな。神代凌牙、いやナッシュ」
凌牙に取って、その名で呼ばれるのは一番嫌いだった。

凌牙:「その名で呼ぶな!俺はナッシュじゃねえ!そして、バリアンでもねえ!お前たちの手に落ちるつもりはねえ!」
凌牙はピアーズの申し出を頑なに拒否する。



ピアーズ:「思い出せ、ナッシュ。お前の過去を」
ピアーズは、凌牙に過去のことを思い出させようとする。



ピアーズ:『お前は、幼いころ、交通事故で両親を失った。だが、本来その事故では、お前も璃緒も、家族全員が死ぬはずだった』
凌牙の耳を襲うピアーズの声。


思い出しなくない過去。

両親を失い、自分と璃緒だけが生き残った。

だが、これがバリアンとしての運命の始まりとは、当時は思わなかった。






ピアーズ:『両親を失ったお前は妹ともに人生を生き続けた。そして、中学生のとき、お前は”学校一の札付き”だと学園では恐れられ、子分を作り、学園で暴れ続けてきた』
主に中学2年生の時のことだ。


”学校一の札付き”。そして、一度標的に喰らいついたら離さないことから”シャーク”の異名が付けられた。


あの時は、俺に従う子分を作り、ぐれていた時代とも言ってもいいだろう。

通っていた”ハートランド学園”で、標的を見つけはデュエルで暴れまくり、アンティルールを仕掛けては、敵のデッキやカードを奪い続けてきた。




ピアーズ:『そして、お前が暴れ続けている中、お前の前に現れた人物。それが、九十九遊馬。お前の運命を変えた男だ』

俺にとって、仲間であり、ライバルであり、命を救ってくれた男でもある。


ピアーズ:『お前は九十九遊馬との初デュエルの中、ナンバーズに操られ、遊馬を追い込んでいくものの敗北。そのおかげで、子分たちはお前の前から離れ、その異名は腐れ始めた』
自分でも、あのとき一体、自分に何が起きたのか分からなかった。

だが、その力に憑依されたときの、記憶がないわけじゃない。

その力に取り付かれた俺は、無差別に攻撃をし、遊馬を襲った。

しかし、その時、遊馬も希望皇ホープの力を手にし、俺に勝った。





ピアーズ:『しかし、その敗北がきっかけでお前は、何かと遊馬と関わりが多くなってきた。聞いた話によれば、遊馬とカイトと共に、ドクター・フェイカーを裏で操っていたベクターを倒したとか』
初めて3人で協力し、デュエルをしたときのことだ。


何十年経った今でも、よく覚えている。



ピアーズ:『そして、その後バリアンの攻撃が本格的に開始した。ベクター、ドルべ、ミザエル、アリト、ギラグ。この5人を中心に、人間界への進行が始まり、遊馬たちと協力し、戦いに望んだ。だが、お前は、その戦いの中で本当の自分を見つけてしまうことになってしまった』


凌牙:「!」
そうだ。この戦いの中で、俺は知ってしまったのだ。俺は、いや俺たち兄妹は人間ではないことに…!

俺も璃緒もバリアンのナッシュとメラグだということに…!

あの時、俺は全てを思い出し、自分が遊馬たちの敵だったことに涙を流した。


ピアーズ:『本来の自分を見つけてしまったお前は、遊馬達と敵対することを決意し、人間界へ現れた。そして、バリアンの仲間たちと共に、元仲間たちを倒していった』

バリアンとして生きる事を誓った俺は、刃を向けるⅣを葬った。


ピアーズ:『そして、その後、お前は全ての現況であるドン・サウザンド様を撃つことになった。遊馬と共にな』

俺たちを影から操っていたドン・サウザンドを、俺は許せなかった。

だから、一時的に遊馬と協力し、ドン・サウザンドを倒すために戦った。


ピアーズ:『そして、お前たちは絆の力で見事ドン・サウザンド様に勝つことができた。だが、それで終わりではなかった。人間界とアストラル世界を背負う遊馬と、バリアン世界を背負うナッシュの戦いの始まりが待っていた。お前は、バリアンの道を突き通した。遊馬と戦い傷つけ、絆を断ち切った。それでも、九十九遊馬には一歩及ばず、敗北し、バリアン世界は幕を閉じた』

このデュエルに敗北した俺は消滅したが、アストラルのおかげで人間として蘇ることができた。





ピアーズ:「人間として蘇っても、お前の内なる心では、バリアン世界を裏切れねえはずだ。お前は、神代凌牙でじゃねえ。バリアン七星のリーダー、ナッシュだ」
ピアーズの言葉に耳を傾けているのか、凌牙はボーっと立っていた。


右京:「神代君!しっかりするんだ!今の君が、君自身なんだ!」
右京が、凌牙に声をかける。


ピアーズ:「黙れ!人間が!」
ピアーズは手から衝撃波を出し、右京を襲う。

右京:「うわっ!」
吹き飛ばされた右京。オブライエンと本田が後ろから支える。


オブライエン:「大丈夫か?」

右京:「は、はい」
右京は自分の無事をオブライエンたちに教え、凌牙を見る。


ピアーズ:「こっちに来い。ナッシュ。一緒にバリアン世界の完全復活を目指そうじゃねえか」
ピアーズが一歩ずつ凌牙に近づく。


ボーっと立っていた凌牙。



高校時代の時の記憶が蘇る。


遊馬と一緒に学校の屋上にいたときの記憶だ。





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遊馬:「はあ!?もし、お前がバリアンであり続けたら、どうなっていたかだって?」
遊馬の大きな声でに凌牙は耳を塞いだ。

凌牙:「いきなり、大きな声出すなよ。耳に響く」
凌牙は膝に置いていたパンを食べる。



遊馬:「いきなり、どうしたんだよ?熱でもあんのか?」
遊馬が凌牙の額に触ろうとするが、「熱なんかねえよ!」と凌牙は頑なに拒否した。




凌牙:「いきなり、そんなこと言ってバカだとは思っている。だが、たまに夢に出てくるんだ。自分がナッシュであったときの記憶がよ」
これは凌牙にとって悩みでもあるのかもしれない。


遊馬はバカにせず、黙って凌牙の話しを聞いた。



遊馬:「夢に出てくるってことはよ、ナッシュは寂しがっているんじゃねえのか」
遊馬は青空を見て、そう呟く。

凌牙:「俺が寂しがっている?」

遊馬:「お前じゃなくて、ナッシュがだ。お前とナッシュは別人だ。今、俺と話しているお前は神代凌牙、それ以上でもそれ以下でもねえ」

凌牙:「ナッシュが、寂しがっている…。もし、そうなら、お前はどうする?敵として倒すのか?」
凌牙が遊馬の横に立つ。


遊馬:「戦う前にまずは話し合いだろ。話し合って、言葉を通わす。そして、お互いわかり合えば、俺はそいつを友達として、受け入れるだけさ」
ニヒッと笑う遊馬。


凌牙は、このとき、やっぱりこいつはバカだと思った。

敵だった男を、友達として見ていることに。



だが、そんな遊馬の言葉を聞いて、少し笑う凌牙。

心の中ではそう思っているのに、なんだか嬉しいからだ。


遊馬:「うっ…何笑ってんだよ?気持ちわりい」

凌牙:「なっ…、誰が笑っているだ!」

遊馬:「お前がだよ」
凌牙を指さして言う遊馬。


その態度に腹が立つ凌牙。

凌牙:「指を指すな!俺は笑っていない!」
そう言って、牛乳パックを手に持つ凌牙は中身を飲み干す。

遊馬:「まったく照れ屋さんだな、シャークはよ」

牛乳を吹き出す凌牙は、慌てて口元を拭いて、遊馬に怒る。


凌牙:「次、変なこと言ってみろ。ただじゃ済まねえぞ」
ギロッとした目で遊馬を見る凌牙。


遊馬:「そう怒るなよ。冗談だ。冗談だ」

凌牙:「お前が言うと冗談に聞こえねえんだよ、バカ」

遊馬:「バカってなんだよ!バカって!」


それから数分、2人の言い合いは続いたのであった。



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ピアーズ:「ドン・サウザンド様が待っている。あの人について行けば、力が手に入るぞ」
ピアーズは凌牙を脅しながら段々凌牙に迫る。


ペガサス:「敵の言葉を聞いてはいけないのデース!」

オブライエン:「奴は、君の過去を利用して仲間に入れようとしているんだ!」

葵:「目を覚まして!」
仲間たちが凌牙に声をかけるが、凌牙はずっと立ったままだった。

右京:「神代君…」
右京が凌牙を心配そうな目で見る。



そして、凌牙の目の前で、ピアーズの足が止まる。


ピアーズ:「行くぞ、ナッシュ・ドン・サウザンド様の元に」
ピアーズは笑ってそう言った。


凌牙:「ピアーズ…、俺が出す答えは…」
凌牙は小さい声で呟く。


ピアーズ:「やっと、その気に―」
凌牙が仲間になると思ったピアーズ。


だが、凌牙はバハムート・エッジサイトを振り、ピアーズとの距離を取った。


ピアーズ:「神代凌牙、貴様…!」
いきなり、攻撃してきた凌牙を見て、怒りを露にする。


ずっと棒のように立っていた凌牙がいきなり攻撃したことに、周りのみんなも驚いた。



凌牙:「何を語り出すと思えば、俺の昔の話しかよ。くだらねえ」

ピアーズ:「何…」

凌牙:「俺は俺だ。ナッシュじゃねえ。神代凌牙だ。バリアンを狩る暴れ鮫だ」
ピアーズを見て、あざ笑う凌牙。



凌牙の姿を見て、仲間たちは一安心したようだ。


万丈目:「どうやら、いらない心配をしたようだな」

葵:「彼はとっくのとうに、バリアンのことは吹っ切れていたみたいね」

慎也:「みたいだな」
一安心してホッとする慎也たちであった。



凌牙はブラックランサーが突き刺さる方へ歩き出し、それを手に持ち地面から抜き取る。






凌牙:「俺も元はバリアンだった。だから、お前の気持ちはわかる」

ピアーズ:「…」

凌牙:「バリアン世界の完全復活。自分たちの世界だ。復活させたいのは、当然だろ。だが、そのために人間世界とアストラル世界を滅亡させるのは間違っている!ドン・サウザンドのやり方には、賛同できねえ!」
凌牙が、ドン・サウザンドの考えを拒絶する。



ピアーズ:「分かったような口を聞くな!おめえに、何がわかる!俺たちの苦しみが!痛みがよ!」
ピアーズから放たれる殺気を感じ取る凌牙。


だが、凌牙は、その殺気にビビる素振りは見せなかった。


凌牙:『この感じ…。そうか、お前もバリアン世界のために戦っているんだな…。ドン・サウザンドのためじゃなく、バリアン世界を救うために』
ピアーズの殺気を感じて、そう思った凌牙。



凌牙の眼差しが変わった。

ピアーズと向き合って戦うことを改めて決意したのだ。


凌牙:「来い!ピアーズ!シャークの異名を持つ、俺が相手になってやる!」
凌牙がそう言うと、右手の甲にNo.3のエースのマークが浮かび上がってきた。


ピアーズ:「フッ、何を今更!」
少し笑ったピアーズは、地面を蹴って凌牙に向かって飛んできた。


キュムロニンバス・バハムートを両手に持つ2本のデュエルギアで受け止める凌牙。



ピアーズ:「守ってるだけじゃ、追い込まれるだけだぜ!神代凌牙!!」
キュムロニンバス・バハムートを連続で振り回し、凌牙を襲う。


だが、凌牙はただ守っているだけではなかった。

タイミングを待っているのだ。攻撃できるタイミングを…。


ピアーズ:「こいつで仕舞いだ!」
キュムロニンバス・バハムートを思いっきり振り上げるピアーズ。


だが、これが凌牙に取ってチャンスになった。


ブラックランサーに、自分が持つ闇属性の波動を込める。

凌牙:「ナハト・メーア!!」
ブラックランサーから地を走る斬撃を放ち、ピアーズにヒットする。


ピアーズは、その勢いで後ろに押されるが、キュムロニンバス・バハムートで受け止めており、それを振って斬撃をかき消した。



ピアーズ:「こんなもので!」
ピアーズが目の前を見ると、既に凌牙が攻撃する素振りを見せていた。


赤い空が、バハムート・エッジサイトの刃をピカッと輝かせる。



バハムート・エッジサイトの刃が水に覆われ、それを振り回す凌牙。

すると、キュムロニンバス・バハムートから水が飛び散り、鮫を象った水の塊が誕生する。


凌牙:「パッラ・スクアーロ!」
鮫を象る水の塊が、ピアーズに向かって猛スピードで飛ばされた。


ピアーズ:「エディレイ・ラッシュ!!」
キュムロニンバス・バハムートを使用して、雷の渦を生成し、それを凌牙が放った攻撃に向けて飛ばす。

水と雷なら、雷の方が強い。この攻撃で、かき消せると思ったが、水で象った鮫は大きな口を開けて、雷の渦を飲み込んだ。


ピアーズ:「何!?」
流石に驚いたピアーズ。


凌牙の攻撃が、ピアーズに直撃する。


ピアーズ:「ぐわあああ!」
ピアーズは大きく吹き飛ばされ、赤い海へと落ちた。


体力を少し使い過ぎたのか、息切れをする凌牙。

だが、大したことではないようだ。すぐに、前へ歩きピアーズが落ちた場所を見つめる。

そこには、水波がまだあった。




風間:「よし、まずは1人目だ」

ジャック:「残るバリアンは7人。先に進み、他の連中と合流するぞ」
凌牙の勝利を喜ぶ風間達。



しかし、凌牙の表情に喜びはなかった。

その表情を見た右京は、何かを思った。


右京:「いや、まだ終わりでないようです」
右京がそう言った。


凌牙も同じことを考えていた。


ピアーズが落ちた水面を中心に揺れ始め、大きな水しぶきを上げた。


まだ、ピアーズは倒れていないということだ…!









第9ED『Prototype《石川智晶》』







次回予告

ナレーション:キュムロニンバス・バハムートをセカンドステージさせ、バリアンの真の力を発揮するピアーズ。

一方で、凌牙もまたエースのマークの力を極限まで引き出し、ピアーズの攻撃を真っ正面から受け止めるのであった。

凌牙とピアーズの戦いの先にある答えとは…。

遂に、2人の決着が着く!


凌牙:次回、遊戯王5DXAL「凌牙の努力!戦い後の決意!」


凌牙:「ピアーズ、これで仕舞いだ」





遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!


凌牙:「俺が使用する”バハムート・シャーク”のデュエルギア”バハムート・エッジサイト”は、2枚の刃を両端に持つ大鎌たいぷのデュエルギアだ。必殺技の1つは水を鮫を象った塊にして、敵にぶつける、パッラ・スクアーロだ」
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