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第146話:『凌牙VSピアーズ 水を襲う雷の衝撃!』







遊馬:「お前が俺にどんな力を与えようが、俺はお前に屈するつもりはねえ。お前が俺を…いや、みんなを襲ってくるのであれば、俺は、この力を使ってでもお前を倒す!」
バリアンの姿となった遊馬の目つきは、今まで以上に鋭いものだった。



ブラナー:「僕たちに着くつもりはないみたいだね」

ペイトン:「敵対するのであれば、消すまでです。そうですよ?ウェスカー」

ウェスカー:「あぁ、ドン・サウザンド様。奴を制裁を」
ウェスカーが、ドン・サウザンドに遊馬を殺す許可を求める。


ドン・サウザンド:「いい人形だと思っていたのだが、仕方あるまい」
ドン・サウザンドがそう言うと、左手の中指に填めているリングを、みんなに見せる。


そのリングは、ほとんどの人が見たことのあるリングだった。


ツバキ:「あれは、血のデスリング!」

結衣:「そういえば、あのとき、ウェスカーが持ち去ったわね」
4か月ほど前に中組織セルビアとフレシャス財団が手を結び、フレシャス財団のボスである孫が、血のデスリングの力を解放。

あの時、ツバキの活躍で血のデスリングの力は収まったが、その直後に、ウェスカーが持ち去ってしまった。



ドン・サウザンド:「このリングは、カイゼル・サウザンドを生み出すために必要不可欠。お前たちに奪われるわけには行かなかったのでな」

遊馬:「…」

ドン・サウザンド:「そして、こいつには、こんなこともできる!」
左手を挙げて、リングに埋め込まれているルビーが眩しい輝きを解き放つ。


そして、遊馬の目の前に、数体のゾンビのような化け物が現れる。


遊馬は焦ることなく、目の前に現れたゾンビ共を見つめる。







第9OP『HEART・BEAT《MARIA》』







第146話:『凌牙VSピアーズ 水を襲う雷の衝撃!』







遊馬の目の前に現れたゾンビのような姿をした化け物たち。


明里:「な、何、あれ!気持ち悪い」

チャーリー:「悪趣味にも程があるぜ」
化け物を見て、気分を悪くする明里。



ドン・サウザンド:「血のデスリングには、こういう力もある。さあ、ゆけ。我が家臣共よ!九十九遊馬にバリアンの制裁を!」
化け物たちが遊馬に向かって走ってきた。


凌牙:「くっ」
凌牙がブラックランサーを手に取る。


だが、一瞬の出来事だった。何者かが、後ろから自分のすぐ真横を通り過ぎた。

無論、そんなことをするのは…。


遊馬:「虫けらどもが、邪魔するな」
遊馬しかいない。


遊馬は、化け物1体を、その拳で殴り飛ばした。



スペンサー:「早い…」

シンディ:「バリアンの力を使いこなしている?」
遊馬が自分たちを同じ力を使いこなしていることに驚くバリアンたち。


遊馬:「No.101.その力を解き放て!」
上空に方舟のようなモンスターが現れる。

それは、凌牙がかつてバリアンだったときに使用していた…。

凌牙:「サイレント・オナーズ・アーク・ナイト!」
”No.101 S・H・ArkKnight”であった。


アーク・ナイトは輝きに包まれ、デュエルギアとなって、遊馬の手に収まる。



遊馬:「”アサイラム・オナーズ・ランサー”!」
槍タイプのデュエルギア。黒色にも関わらず、キラキラと輝いている。


化け物たちが、遊馬に一斉に仕掛けてくる。


遊馬はアサイラム・オナーズ・ランサーを振り、化け物たちを倒していく。



ウェスカー:「九十九遊馬…、我らにどこまで刃向う!」

遊馬:「生きている内はずっと刃向ってやるさ!俺は、遊戯さんとそう誓った!」
遊馬は戦いながらそう叫んだ。

遊馬の言葉に、杏子が反応した。


遊馬:「俺が、どんな力を持っていようと、遊戯さんたちは、俺を仲間として受け入れてくれた。バリアンの力を持つ、この俺を!だから、最後まで運命に刃向い、そして!」
遊馬はアサイラム・オナーズ・ランサーでドン・サウザンドを指す。

遊馬:「ドン・サウザンド!お前を倒す!」
遊馬が、ドン・サウザンドにそう宣言した。





ドン・サウザンド:「現実も分からぬ愚かな奴だ。ならば、前に進むがいい」
ドン・サウザンドがそう言うと、8つの扉が目の前に現れる。


ドン・サウザンド:「我が、忠実なる僕たちが、お前たちの前に立ち塞がる。そして、我の元へ来い。そこで決着とつけよう」
ドン・サウザンドが後ろを振り向く。


ドン・サウザンド:「最も、まずは、ここを切り抜けなければいけないがな」
ドン・サウザンドが、その場から消える。



遊馬:「待て!」
遊馬がドン・サウザンドを追いかけようとすると、化け物たちがそれを行かせまいと邪魔をする。


ウェスカー:「我々は、バリアン世界を復活させるため、全力で貴様らを倒す」


サリバン:「めんどくせえが、退屈しのぎにはなるかもな」

ピアーズ:「扉の向こうで待ってるぜ」
ウェスカーやピアーズたちも、その場から消えて行く。


そして、最後に残ったのは、スペンサーだった。


スペンサー:「天城カイト」

カイト:「ん?」

スペンサー:「貴様が操るギャラクシーアイズは、我々にとって、最も邪魔になる存在だ」

カイト:「何?」

スペンサー:「貴様が持つギャラクシーアイズは、俺が倒す。俺が持つ、”ギャラクシーアイズ”でな」
スペンサーは、そう言い残し消えた。


ドロワ:「ギャラクシーアイズで倒すだと…」

ミザエル:「まさか奴も持っているのか…。ギャラクシーアイズを!」
スペンサーの言葉からそう察したミザエル。


カイトが戦う敵は、もう決まったも同然のようだ。



???:「戦いの火蓋は切られました」
さっきまでドン・サウザンドたちが立っていた場所に人影が見えた。


ミスター・ハートランド:「互いの世界の運命をかけた戦いが開幕するのです!」



剣山:「お前は、映像に映っていた!」

翔:「確か名前は―」


フェイカー:「ハートランド!」
かつて部下だったハートランドの名前を呼ぶ出イカー。


ミスター・ハートランド:「これは、これはドクター・フェイカー様。いえ、弱気人間の1人よ」

フェイカー:「ぬっ」

ミスター・ハートランド:「私も、この戦いに参加させていただきます。バリアン側としてね。そして、九十九遊馬!」
ミスター・ハートランドは手に持つ杖で遊馬を指す。

ミスター・ハートランド:「あなたへの復讐を果たします!」
ハートランドはそう宣言した。

ミスター・ハートランド:「精々、誰にもやられないことを祈っていますよ」
ハートランドも、その場から消える。




そして、遊馬の周りに立つ化け物たちが一斉に襲いかかってきた。


遊馬:「キーボートス・スィモス!」
アサイラム・オナーズ・ランサーの刃を向け、刃から黒いレーザーを周りに放つ。


遊馬を取り囲んでいた化け物が一斉にやられ、消え去った。


敵を全滅させたと遊馬を思い、バリアンの姿を解き、元の姿へとなった。


すると、そのとき、背後から倒したと思っていた化け物が襲ってきた。

遊馬はすぐに後ろを振り向き倒そうと思った。


しかし、何者かが黒い槍で化け物を突き刺し倒してくれた。


遊馬:「シャーク…」
遊馬を助けてくれたのは、凌牙だった。


凌牙:「最後まで油断するな…、修行の中で俺たちにそう教えたのはお前だろ」

遊馬:「…」
自分のもう一つの姿をみんなに見せてしまったことを気に病む遊馬。

凌牙:「ほら、行くぞ。バリアンを、ドン・サウザンドを倒しに」

遊馬:「!」

カイト:「お前がどんなになろうと、お前は九十九遊馬だ」

鉄男:「ああ、俺たちの友達だ」
自分のバリアンの姿を見たはずの、仲間たちが優しく接してきた。


Ⅲ:「少し驚いたけど、君はいつもの遊馬でしょ?」


明里:「お母さんとお婆ちゃんには、あまり見せたくない姿だけどね」

六十郎:「街が崩壊するまで、タイムリミットは4時間を切る」

闇川:「その間に、ドン・サウザンドを倒すぞ」
みんなのやる気十分のようだ。



杏子:「私たちも手を貸すよ」

遊馬:「杏子さん」

杏子:「遊戯は、あなたを仲間として受け入れてくれた。なら、あなたは私たちに取っても仲間よ」

御伽:「杏子ちゃんの言う通りだ。行こう、奴を倒しに」


バリアンの姿を見せたとき、みんなは俺を敵として見るんではないかと、正直怖かった遊馬。

でも、みんなは、そんな俺を遊戯さんと同じで受け入れてくれた。


遊馬はアストラルを見る。

アストラルは、笑顔で首を縦に振った。


遊馬:「ありがとう、みんな。行こう、ドン・サウザンドを倒しに!」

凌牙:「そして、璃緒を助ける」
遊馬、凌牙、そしてみんなの気持ちが一緒になった。



そして、みんなの前にある8つの扉。


1個ずつ入っていくには、時間がかかる。


遊馬:「ここからは、分かれて前に進む」

凌牙:「おそらく、扉の向こうにはそれぞれバリアンが立ち塞がっているはずだ」

カイト:「ならば、エースのマークを持つたちを中心にそれぞれの道へ進もう。俺の前には必ず…」
カイトがスペンサーの顔を思い出す。


カイト:「奴が現れる」

ハルト:「兄さん…」
心配そうな目で兄を見るハルト。


フェイカー:「ハルト、カイトを見守ってやってくれ」
フェイカーがハルトにそう言った。

ハルト:「父さん…」

カイト:「父さん、やっぱり…」

フェイカー:「あぁ、ミスター・ハートランド。あの男とのけじめをつける。奴は遊馬の前に必ず現れるはずだ」
フェイカーはミスター・ハートランドと戦うつもりでいるようだ。


トロン:「フェイカー、その戦い僕たちも力を貸そう」

一馬:「奴は、野放しにはできない存在だ」

フェイカー:「バイロン、一馬…」
フェイカーは2人を見て頷いた。




そして、それぞれ扉を潜るチームが決まった。




まずは、遊馬の共に行くメンバーは、一馬、フェイカー、トロン、明里、鉄男、お掃除ロボットのオボミ、双六、羽蛾、竜崎、レベッカ、アーサー、鮫島、ボマー、カーリー、そして、SOA特務隊6係リーダーの羅夢となった。付け加えるなら、アストラルとエリファスも一緒だ。


続いて、小鳥側のメンバーは、杏子、結衣、ツバキ、隼人、龍亜、深影、シェリー、ミゾグチ、エスパーロビンこと風也の9人。


次は、カイト側のメンバーは、マリク、イシズ、リシド、亮、エド、クロウ、氷室、矢薙、等々力、徳之助、ミザエル、ハルト、そしてオービタル7。


Ⅴのメンバーは、弟であるⅣとⅢ、それから城之内、舞、ジュンコ、ももえ、雑賀、そして色葉の8人である。



ドルべのメンバーは、アリトとギラグ、そして、アキ、愛、一星、牛尾、獏良、剣山、ナポレオン、マルタンである。


アンナの方には、チャーリー、ラフェール、アメルダ、ヴァロン、三沢、レイ、ラリー、ナーヴ、そして哲平となった。



ゴーシュには、ドロワ、闇川、六十郎、御伽、ヨハン、翔、ジム、藤原、タカ、ブリッツとなった。



そして、最後、凌牙には右京、本田、ペガサス、万丈目、クロノス、オブライエン、ジャック、風間、そして慎也と葵となった。



凌牙:「それぞれ分かれたみたいだな」


慎也:「みんな、これから何が起こるかわからない。気を引き締めていくように」


ゴーシュ:「特に、俺たちエースのマークを持っている奴は要注意だな」

ドルべ:「どんな奴が来ようと、倒すまでだ」
ドルべの気合充分な姿を見て、剣山が首を縦に振って感心する。

剣山:「気合は充分見たいザウルスね」

ナポレオン:「感心するのでアール」

マルタン:「早く終わらせて、シティに戻ろう」
ドルべと共に行動する者たちが扉の向こうへ行く。


アンナ:「よっしゃー、行くぜ!おめえら!」
アンナが先頭に出て、偉そうにそう言った。

少なくとも、アンナと共に行動するメンバーは全員アンナより年上だ。


ラフェール:「相変わらず、威勢のある女だ」

三沢:「いいじゃないか。大人しくしているよりも、こっちの方が強く見せられる」
アンナの姿を見て、少し笑うラフェールと三沢。

アンナたちは扉の向こうへと行った。


Ⅴ:「行くぞ。Ⅳ、Ⅲ」

Ⅳ:「ああ」

Ⅲ:「はい」

城之内:「俺たちも忘れるなよ、クリス」
ある事件をきっかけに名前でⅤを本名で呼ぶようになった城之内がクリスと肩を組んで言った。


Ⅴ:「そうでしたね、城之内さん」

色葉:「早く行きましょう、時間は減っていくだけだから」

舞:「そうね」

城之内:「バリアンと戦うまで、お前は俺が守ってやるよ」

Ⅴ:「では、背中をお任せします」
Ⅴたちも、扉の中へ入った。



ドロワ:「私たちも行くとしよう、ゴーシュ」

ゴーシュ:「そうだな」


闇川:「戦闘準備は万端だ」

ヨハン:「ここにいない、奴らの分まで頑張ろうぜ、翔」

翔:「はいッス」
ゴーシュ達も気合充分のようだ。全員が扉の向こうへと言った。



カイト:「オービタル、先頭は任せた」

オービタル7:『カシコマリ!』
オービタル7を先頭にし、カイトチームも扉の向こうへ行く。


等々力:「それじゃあ、遊馬君、気を付けて」

徳之助:「再会を祈っているウラ」
等々力と徳之助が遊馬に手を振って扉の向こうへ行った。



小鳥:「遊馬」
小鳥が遊馬に声をかける。

小鳥:「気を付けてね。私、待ってるから」
少し頬を赤くして小鳥は言った。


遊馬:「あぁ、お前も気を付けろよ」

小鳥:「うん」
小鳥たちも扉の中へ入った。


シェリー:「熱いお二人さんね」

隼人:「見てるこっちが照れるんだな」
小鳥と遊馬の会話を見ていたシェリーと隼人が小鳥を茶化しながら扉の向こうへ行った。

扉の向こうから、先に入った小鳥の焦っているような声が聞こえた。




遊馬:「シャーク」
遊馬が凌牙の方を振り向いて声をかける。


凌牙:「?」

遊馬:「ドン・サウザンドは、必ず罠を仕掛けてくる。特に、元バリアンだった連中には、手を出してこないとは到底思えねえ」

凌牙:「…」

遊馬:「気を付けろよ、シャーク」

凌牙:「誰に言ってんだ。そんなこと言われなくても分かってる。ドン・サウザンドが、どんな罠を仕掛けて来ようが、俺は璃緒を必ず助ける」
凌牙の目つきを見て、遊馬は笑った。

遊馬:「いらねえ心配だったな。なら、それ以上の言葉はねえ。じゃあな、シャーク」
遊馬が扉の向こうへ行った。


オボミ:『ジャアナ、ジャアナ』
オボミはクルクル回りながら遊馬の後を追う。


羽蛾:「なんで、俺が一番危険な奴と行かなきゃいけねえんだ」

竜崎:「最悪や。ホンマに」
がっくりしながら扉の向こうへ行く羽蛾と竜崎であった。



葵:「それじゃあ、私たちも行きますか」

慎也:「そうだな。タイムリミットは4時間を切った」

凌牙:「その間に、バリアンを倒し、璃緒を助け、そして、ドン・サウザンドを撃つ!」
凌牙チームも全員、扉の向こうへ行った。



それぞれの道へ進むエースのマークを持つ者たちと、その仲間たち。

彼らにどんな戦いが待っているのだろうか…!






その頃、ベイニチア半島からネオコーポレーションシティにヘリコプターで向かっていた吹雪や鬼柳たち。


カイゼル・サウザンドが現れた所為で、凄まじい突風や、激しく鳴り響く雷、場所によっては激しい雨も降っているようだ。


そんなのをもろともせず、吹雪たちが搭乗している、四大神王者の補佐と言っている南部剣一が操縦するヘリは猛スピードで空を飛行していた。


未来:「ホント、すごいヘリですね。こんな天候の中、こんなに早く飛べるなんて」

亜美:「もうどの辺まで来ているんですか?」
亜美がヘリコプターを操縦する南部に恐る恐る聞いた。


南部:「もう日本の領域には入ってるよ」
その言葉に、みんなが驚いた。


ミスティ:「え?もうですか…!」

恵美:「なんだか、ワープでもしている気分だわ」
驚きを隠せない恵美たちはそう言った。


すると、ヘリコプター内部から音楽が鳴り始めた。

南部はジャケットの懐から携帯端末を取り、中身を確認する。どうやら、メールが届いたようだ。


南部:「どうやら、急いだ方がいいみたいですね」

エマリー:「何かあったんですか?」
エマリーが聞いた。

南部:「遊戯さんからメールです。どうやら、SOA特務隊十数名が、カイゼル・サウザンドの中へ潜入し、バリアンとの打ち合いを始めるようです」
南部がそう言うと、みんなが驚いた。

いや、正直、こうなることは予想していた。特に未来に関しては息子がバリアンと関わりのあることを知っているのだから尚更だ。

南部はメールの本文を読む。

『遊馬君から連絡あり』本文の最初には、そう書いてあった。

南部:『バリアン…。けじめをつける気だな、敵と、そして自分自身に…』
南部は心の中でそう呟いた。

携帯端末を懐に仕舞い、チラッと吹雪の方を振り向いた。

すると、吹雪は目を閉じて、みんなの安否を心配する。


吹雪:『みんな、無事でいてくれ』
目を開き、外を見る吹雪。すると…



南部:「安心してください。吹雪さん」

吹雪:「!」

南部:「必ず、間に合いますよ。皆のところに、無事に送り届ける。それが僕の役目ですから」
南部は前を向いたまま、そう言った。一瞬、口がにやけた。

心を読まれたのかと思った吹雪。いや、それ以前に…。

吹雪:『あれ、僕、名前を教えたっけ?』
一瞬、そう思った吹雪。だが、四大神王者の補佐ということは、フロンティアの一員でもある。

フロンティアに所属する者たちの名前を把握しているのだろうと、今はそう思った。



凌牙ルート



遊馬達と分かれ、それぞれの道へ進むSOA特務隊のメンバー。

凌牙たちは、宙に浮かぶ道を走っていた。


クロノス:「扉を潜ってから、随分走っているケード」

万丈目:「出口が全然見当たらんぞ」

ジャック:「奴ら、本当に俺たちと戦う気があるのか」


確かにジャックたちの言う通りだ。

真っ暗い空間にあるのは、1本の道だけ。敵が現れる気配は全然ない。


まさか、時間稼ぎ…。そう考えていた、その時であった。

目の前に出口らしき輝きが見えてきた。


オブライエン:「出口か」
オブライエンがそういうと、凌牙は走る速度を上げて早くここから出ようとする。


本田:「お、おい!待てよ!お前!」

右京:「深追いは禁物だ!」
本田たちが凌牙を止めようとするが、凌牙は走る速度を落とそうとはしなかった。



道の先にある輝きに向かって走り、この空間から出ると、そこには幻を見ているような光景が見えた。


赤い空、赤い海。あの巨大要塞とも言えるカイゼル・サウザンドの中にいるとは思えない光景が目に映った。


凌牙の後を追ってきた右京たちも到着し、周りの光景を見て目を疑う。


ペガサス:「これは…」

葵:「カイゼル・サウザンドの中とは思えないわね」
少しずつ前に出て、周りを見渡すペガサスや葵たち。


凌牙:『かつて、俺がバリアンだったときに見たことのある光景にそっくりだ。俺を惑わせているのか…』
こんな光景を見せられて、そう思った凌牙。



???:「やっとお出ましのようだな」
どこからか聞こえる声。この声はバリアン8人衆の1人である奴の声だ。


ピアーズ:「神代凌牙。お前の相手は俺だ」
そうバリアン8人衆の中でも、一際は目立つ人物ピアーズだった。






万丈目:「貴様は、バリアン8人衆の1人ピアーズ!」

風間:「バリアンの中で一番戦いに飢えていた奴か」
ピアーズを見て、目つきを変える万丈目と風間。


ピアーズ:「後ろにいる連中もやる気はあるようだな。いいぜ、まとめて相手になってやるよ」
ピアーズの背後に巨大な影が現れる。

その影は、少しずつ姿を現した。


ピアーズ:「”CX(カオスエクシーズ)怒涛の雷鳥トニトルス・カイム”!」
黒い身体に電流を浴びた巨大な鳥が翼を大きく広げ、身体が輝く。


そして、そのモンスターはピアーズが操るデュエルギアとなる。


ピアーズ:「キュムロニンバス・バハムート」
ピアーズの手に握られたデュエルギアは槍タイプの武器だった。


万丈目たちも戦う準備をする。

しかし、凌牙が手を挙げて、みんなを静止させる。


凌牙:「アンタらは手を出すな。ここは俺が行く」
凌牙の手には、既にブラックレイ・ランサーのデュエルギア”ブラックランサー”が握られていた。


右京:「神代くん…」
凌牙を心配する右京。


凌牙は一歩ずつ前に出る。


ピアーズ:「1対1の勝負か。お前のことだから、妹を早く助けるために後ろの連中の力を借りて俺を倒して来ると思っていたがな」

凌牙:「?」

ピアーズ:「ベクターから聞いていないようだな。奴に、こちらへ来いと誘い、バリアンズスフィアキューブを渡したのは、俺だ」

凌牙:「何!」
こいつが、ベクターをバリアン側に誘い込んだ張本人であることを知った凌牙は、その場に止まる。


ピアーズ:「最初は奴も躊躇っていたさ。こちら側に来ることにな。だから、少し考える時間をやったのさ。そしたら、奴はまんまと俺の口車に惑わされて、こちら側に来てくれた。偶然にも、ドン・サウザンド様が求めて、貴様の妹、神代璃緒も連れてきてくれた」

凌牙:「っ!」

ピアーズ:「悲惨だな。ずっと信じてきた仲間に裏切られ、ましてや妹まで連れていかれるとは。九十九遊馬がいなかったら、今頃ここに来ることはできず、妹はあの世行きだったぞ」
凌牙を挑発するピアーズ。凌牙は怒りを露にする。


凌牙:「璃緒は必ず助け出す!そして、お前たちバリアンは、俺たちが倒す!うおおおお!」
凌牙が先手を仕掛ける。

凌牙:「ブラックスピア!!」
ブラックランサーを突き出し、突撃する。


ピアーズ:「寝ているのか?そんな攻撃が通用するか!」
ピアーズはキュムロニンバス・バハムートを振って、凌牙の体勢を崩す。


ピアーズ:「エディレイ・ラッシュ!」
キュムロニンバス・バハムートに突き出し、雷でできた渦を生成する。

ピアーズ:「はあ!」
キュムロニンバス・バハムートを振り、雷の渦が凌牙にぶつけられる。

凌牙:「ぐはっ!」
凌牙はブラックランサーで受け止めるものの、かなりの衝撃で吹き飛ばされた。


右京:「神代君!」
吹き飛ばされた凌牙の安否を心配する右京。


慎也:「奴のデュエルギア、あれは雷技を得意とする武器か」

オブライエン:「では、少しマズいな。神代凌牙にとって雷は…」


吹き飛ばされた凌牙が起き上がる。


凌牙:「チッ、俺が一番嫌いな種族か…!」
凌牙は嫌そうな顔でそう呟く。


凌牙は闇と水を中心にしたカードばかり。

水は雷に弱い。つまり、水のカードは迂闊に使えないということだ。


凌牙:『このブラックランサーと、俺が持つ闇の属性波動で対抗するしかないようだな』
凌牙はゆっくりと立ち上がろうとした。


だが!

凌牙:「!」
凌牙はピクッと止まった。

ピアーズ:「動けないだろ?」

凌牙:『これは…!』

ピアーズ:「さっきお前にぶつけたエディレイ・ラッシュは、当たれば敵の身体をしばらく感電させて動けなくする」

凌牙:「な、何…!」


ピアーズ:「エースのマークを使うことなく、お前は敗北するのさ。まずは1人目!」
ピアーズがキュムロニンバス・バハムートを握り締め、凌牙にトドメを刺すために接近してきた。


葵:「慎也!このままじゃ!」

慎也:「くそっ!」
慎也が援護しようとする。


凌牙:「手を出すなと言ったはずだ!」
凌牙が仲間たちに手を出すなと要求する。

ピアーズ:「仲間たちの力を借りれば、妹を助けに行けたかもしれねえのによ!お前は、ここで終わりだ!」
凄まじい殺気を出して、ピアーズは凌牙に接近する。



凌牙は、この状態から躱すことができるのか…!






第9ED『Prototype《石川智晶》』






次回予告

ナレーション:怒涛の雷が襲い、絶体絶命の状態に立たされる凌牙。

共にいる仲間たちの力を借りずに戦う凌牙に、ピアーズは、彼の過去を掘り下げる。

両親を失った過去、不良時代だった過去、そしてバリアンだったときの過去を振り返り、凌牙は何を思うのか!


凌牙:次回、遊戯王5DXAL「掘り下げられた凌牙の過去」


凌牙:「ピアーズ…、俺が出す答えは…」
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