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第140話:『4つのデュエルギア!』









カルメ:「パパだよね?姿は変わってるけど、私にはわかる」

ロヴィニ・ジャガー:「…」

カルメ:「もうやめよう。パパ」
カルメは悲しそうにそう言った。


カルメ:「本当のパパに戻って。私を1人にしないで」
涙を流すカルメ。


その涙を見て、ロヴィニ・ジャガーは頭痛に悩まされた。


ロヴィニ・ジャガー:『な、なんだ…』
ジャガーは足を一歩引いた。



ミスティ:『博士の様子がおかしい…。彼女の声に反応している…』
ジャガーの様子がおかしいことに気付くミスティ。


ひょっとしたら助けられるかもしれない。ミスティはそう思った。







第8OP『Mysterious《Naifu》』






第140話:『4つのデュエルギア!』






カルメの声を聞いた途端、頭が痛くなってきたロヴィニ・ジャガー。

ロヴィニ・ジャガー:「わ、私は…」

カルメ:「今のパパなんて嫌だ…!いつものパパに戻ってよ…」
涙を流しながら、自分の気持ちを伝えるカルメ。


ミスティ:「彼女の気持ちに応えてください。ロヴィニ博士。娘さんは、あなたのことを待っています」
カルメの横に立ち、ミスティはそう言った。


ロヴィニ・ジャガー:「今の私が、本当の私だ…!カルメは、私を受け入れてくれた…!」


ミスティ:「それは、あなたの本当の意志ではないわ。あなたの首にぶら下がっているペンダントの力の所為よ」
ミスティがヴィータのペンダントのことを言うと、ロヴィニ・ジャガーは自分の首にぶら下がるペンダントを見る。

ミスティ:「そのペンダントのマインドコントロールの力で、あなたの意志は操られているんです。さっきまでのカルメちゃんもそうです」
ミスティが一歩前に出る。


ミスティ:「そのペンダントを外してください、ロヴィニ博士。私の後ろにいる娘さんが待っています。それに、このような光景、天国にいる奥さん…、ヴィラさんは望んでなどいない。いつものように仲良く暮らす2人の姿が見たいと言っているはずです」


ロヴィニ・ジャガー:「ヴィラ…」
ジャガーが、ヴィラの名前を小さい声で呼ぶ。


カルメ:「そうだよ。私の本当のママだよ。パパが愛した、私だけのママ」
カルメの頭の中に、昔見たママの笑顔が思い浮かばれた。


そして、ロヴィニ・ジャガーの頭の中にも、1人の女性が思い浮かばれた。

顔ははっきりと覚えている。だが、名前が出てこない。

だが、何となく予想はできた。自分の頭の中にいる女性。彼女がヴィラなのか…


未来:「ロヴィニ博士。これ以上、娘さんを悲しませないでください」
未来も前に出てきて、ジャガーに語り掛ける。


未来は、ロヴィニ博士と少しだけ面識があった。

だから、何となくわかるのだ。ミスティの言う通り、あのジャガーがロヴィニ博士だということに…。


未来:「あなたがいなくなってしまっては、彼女は一人ぼっちになってしまいます。それでもいいんですか?」

ロヴィニ・ジャガー:「わ、私は…」
首を振って、朦朧とする意識を吹き飛ばそうとするジャガー。

意識を保たなければ…。ジャガーは心の中でそう思った。


未来:「本来の自分を思い出してください、ロヴィニ博士!」
未来は強い言葉でそう言った。


すると、ロヴィニ・ジャガーの目の色が変わってきた。

ロヴィニ・ジャガー:「私は…、カ、カルメ…」
目の前にいるカルメを見て、名前を呼ぶジャガー。


カルメもまた、ジャガーの目を見て、少しだけ笑顔を取り戻す。


カルメ:「あ、パパ…!」
ジャガーの目は、いつものパパの目だったのか、カルメはそう言った。

そして、ジャガーに近寄ろうとする。



ロヴィニ・ジャガー:「うっ!」
すると、その時、ジャガーの首にぶら下がるヴィータのペンダントから、妙なオーラが漂い、ジャガーを包み込む。


カルメ:「パパ!」

鬼柳:「な、なんだ…!?」


ロヴィニ・ジャガー:「か、カルメ…。に、逃げろ…!ぐわああああ!」
妙なオーラがジャガーの全身を包み込んだ。


未来:「博士!」


吹雪:「何が起きているんだ…!」
周りにいるみんなが動揺する。





そして、ジャガーを包んでいた妙なオーラが消え、さっきよりも狂暴そうになったロヴィニ・ジャガーが現れる。


ジャガーは、今まで見せなかった鋭い目つきで、カルメを見つめた。

カルメ:「ひっ!」
その目に怯えるカルメ。


そして、ロヴィニ・ジャガー周辺から、結晶体が次々と出現し、目の前にいるミスティ、未来、カルメに迫りくる。


未来:「カルメちゃん!」


鬼柳:「ミスティ!」

未来は側にいたカルメを抱いて、咄嗟に後ろに下がった。


鬼柳も愛する妻を守るため、彼女を庇うように倒れる。


3人に迫っていた結晶体は、壁のように次々と出現し、やがて鬼柳とミスティを、他のみんなから引き離した。



エマリー:「パパ!ママ!」

恵美:「2人とも、無事!」
結晶体の奥に呼びかけるエマリーと恵美。


鬼柳:「ああ、心配ない。ミスティも無事だ」
自分たちが無事であることを、エマリーたちに伝える。



吹雪:「どうやら、2人とも無事みたいだね」
鬼柳の声を聞いた吹雪が一安心する。

だが、そのとき、大きな声で吠えるロヴィニ・ジャガーの声が聞こえた。





鬼柳:「っ!」
突然、吠えだしたロヴィニ・ジャガーに驚く鬼柳とミスティ。

鬼柳:「あいつ、いきなりどうしちまったんだ…!」
いきなり様子がおかしくなったことが気になる鬼柳。


ミスティ:「京介、彼の首元を見て」
ミスティの言う通りに、ジャガーの首元を見る。

首元にあるもの言えば、ヴィータのペンダントだが、そのペンダントから妙な光を放っていた。


ミスティ:「多分、あのペンダントが、博士の意識を乗っ取っているんだわ」

鬼柳:「なるほどな。ヴィータのペンダントが更に力を覚醒させたということか」

ミスティ:「ええ、おそらく。それで博士は、完全にペンダントの力に乗っ取られてしまったかも」
あくまで推測だ。しかし、博士の意識を奪うほどの力を持つといえば、マインドコントロールする力を持つヴィータのペンダントとしかない。


鬼柳:「もしそうなら、やることは1つ。あのペンダントを破壊するまで!」
鬼柳は右手にインフェルニティ・パイソン、そして、左手に”インフェルニティ・デス・ガンマン”のカードを持つ。

鬼柳:「お前の出番だ”インフェルニティ・ウェッソン”!」
インフェルニティ・デス・ガンマンのカードがデュエルギアへとなる。

スミス&ウェッソンM66をモチーフにした回転式拳銃、鬼柳の新たなデュエルギア”インフェルニティ・ウェッソン”だ。

今から鬼柳は2丁拳銃で戦おうとしているのだ。


鬼柳:「ミスティ、お前は下がっていろ。あのペンダントは俺が何とかする」
彼女の安全を優先したのか、下がれと指示する鬼柳。


だが、ミスティはそれを聞き入れず、鬼柳の横に立つ。


鬼柳:「ミスティ…」

ミスティ:「あなただけに無茶はさせない。ここは、私もいくわ」

鬼柳:「やっぱり、女っていうのは怖いな」

ミスティ:「何か言った?」
ギロッとした目で夫を見つめるミスティ。

鬼柳:「いえ、何も」
ギクッと身体が一瞬震え、誤魔化す鬼柳。


ミスティ:「それじゃあ、行くわよ」
ミスティが両手にそれぞれ1枚ずつカードを持つ。

”バッド・エンド・クイーン・ドラゴン”と”レプティレス・ヴァースキ”の2枚だ。

そして、カードが輝きそれぞれ武器になる。


バッド・エンド・クイーン・ドラゴンは、鞭タイプのデュエルギア”トラジェディ・ウィップ”。

レプティレス・ヴァースキはフラワーナイフと呼ばれるナイフタイプのデュエルギア”ナーガラージャ・ナイフ”。

ミスティと、鬼柳はそれぞれ両手にデュエルギアを持ち、計4つのデュエルギアが並ぶ。


鬼柳:「夫婦の力ってやつだ。行くぞ、ミスティ!」

ミスティ:「ええ」
2人の気合は十分のようだ。


狂暴になったロヴィニ・ジャガーが、牙を向き出しにして、2人に飛び掛かる。


鬼柳:「くらえ!」
インフェルニティ・パイソンとインフェルニティ・ウェッソンの2丁から弾丸を放ち、ロヴィニ・ジャガーの動きを止めようとする。


しかし、空中だというのにも関わらず、ロヴィニ・ジャガーは身体をうまく捻ったりなどして、鬼柳が放つ弾丸を躱す。



鬼柳:「さっきの動きとはまるで違うな。やっぱり、ヴィータのペンダントの力か…!」

ミスティ:「なら、私に任せて」
ミスティが鬼柳よりも少し前に出る。





ミスティ:「はっ!」
トラジェディ・ウィップを振り、テールがロヴィニ・ジャガーの右前足を捕えた。

ミスティは、捕えたことを確認しトラジェディ・ウィップを引っ張る。


ロヴィニ・ジャガーは地上に無理矢理着地させられ、鬼柳が接近する。


鬼柳:「くらえ!」
2丁の銃から弾丸を放つ鬼柳。


ロヴィニ・ジャガーの身体にダメージを与える。


ミスティ:「ペンダントは私に任せて!」
ナーガラージャ・ナイフを構え、ロヴィニ・ジャガーに向かって走る。


ナーガラージャ・ナイフでペンダントを破壊しようとしているのだ。


すると、狂暴したロヴィニ・ジャガーが怖い顔で大きく吠え、その影響で発生した風圧がミスティを襲う。


ミスティ:「あああぁ!」

鬼柳:「ミスティ!」
風圧で吹き飛ばされたミスティを鬼柳が受け止める。






その頃、ミスティと鬼柳から分断されてしまった吹雪や恵美、レイバーたちは…。


バンバンバン

吹雪はレッドアイズ・ガレオンから弾丸を放ち、結晶体にぶつける。

吹雪:「ダメか」
しかし、結晶体に傷一つ付けられなかった。


レイバー:「俺がやる」
トルネード・アロンダイトを構えて、剣の先を結晶体に向けて突き刺す。

だが、結晶体は今まで以上に硬化されており、トルネード・アロンダイトでも傷がつくことはなかった。


レイバー:「くっ、トルネード・アロンダイトでもダメか」
先ほどまで、この剣で壊せていたモノが斬れなくなっている。

その現実に少しだけ動揺するレイバー。


すると、突然、結晶体の壁の向こう側から大きな爆発音がした。


恵美:「今の音は!」

エマリー:「もしかして、ママたちに何かあったの!?」
両親が心配でならないエマリーが結晶体を叩いて、父と母に呼びかける。


エマリー:「パパ!ママ!大丈夫!!」

亜美:「早く、これを壊して2人を助けないと!それに博士も!」

レイバー:「だが、この結晶体、今までと違って、簡単には壊せないぞ」
何とか、結晶体を破壊して向こう側に行かなくてはいけない。

カルメ:「パパ…」

みんなの思いは全員一緒だった。




その頃、鬼柳とミスティは、ロヴィニ・ジャガーが発生させた風圧に飛ばされたミスティを鬼柳が受け止め、そのまま後ろにある結晶体に背中をぶつけた。


ミスティは鬼柳のおかげであまり衝撃がなかったが、鬼柳の方は背中にかなりのダメージが伝わった。


ミスティ:「京介!」

鬼柳:「大丈夫だ、問題ねえ」
ミスティを心配させないために言ったのか、鬼柳はそう言って立ち上がった。


鬼柳:「パワーが段違いだな。吠えただけで吹き飛ばされるとは…」
鬼柳が狂暴したロヴィニ・ジャガーを見る。

ロヴィニ・ジャガーの目に優しさはない。その目は、目の前にある生き物を狩る目でしかなかった。


ミスティ:「ペンダントを破壊するチャンスはきっと来るはずよ」

鬼柳:「そう簡単に訪れはしないと思うがな」

ミスティ:「なら作ればいいじゃない。そのチャンスを」
、と笑みを浮かべてそう言ったミスティ。


鬼柳:「何か策があるのか?」
鬼柳はミスティにそう聞くとミスティは何やら小さい声で鬼柳に何かを伝えた。


ミスティ:「ダメかしら」

鬼柳:「俺、そんなにスナイピングセンスはないぞ」

ミスティ:「ええ、知ってるわ。でも、博士を傷つけないように助けるには、これが一番だと思うの」

鬼柳:「はぁ、わかった。やってみよう」
鬼柳は真剣な目をして、ロヴィニ・ジャガーを見つめる。

しかし、鬼柳の視線はロヴィニ・ジャガーの首元だった。

鬼柳:「難しい仕事だな」
鬼柳はそう言って、ポケットからヘアゴムを出して、その長い髪を後ろで縛る。

ミスティも、その長い髪をポニーテールにして縛る。


鬼柳:「準備万端だ。行くぞ」

ミスティ:「京介」
隣にいたミスティが鬼柳に呼びかける。


鬼柳は呼ばれたことにすぐ気付き、隣を向いた。

すると、ミスティの手が伸びてきた。




そして…


鬼柳:「!」

ミスティ:「…」
2人の唇が重なった。

そう、こんな時にキスをしているのだ。


優しくて甘いキス…。


数秒して、2人の唇は離れた。


ミスティ:「お守りよ。絶対に成功させましょう」
いきなりのキスに動揺する鬼柳。

ミスティの頬は少しだけ赤く染まっていた。


鬼柳:「今ので、完全に火が付いたぞ。俺は」

ミスティ:「ふふ」
鬼柳の表情を見て笑うミスティ。


そして、2人はロヴィニ・ジャガーの方を振り向く。

鬼柳:「行くぞ!」

ミスティ:「ええ!」
2人は走ってロヴィニ・ジャガーに接近する。


鬼柳:「セカンドステージ!」
インフェルニティ・パイソンが紫色に輝き、形状を変えた。

インフェルニティ・パイソンがセカンドステージして、更なる力を今見せる!



鬼柳:「デス・ストライクショット!」
セカンドステージしたインフェルニティ・パイソンから6発の弾丸を放つ。

放たれた弾丸は、1つに集約され黒いビームとなってロヴィニ・ジャガーに襲いかかる。


ロヴィニ・ジャガーは、そのビームを躱すのではなく、額で受け止めた。

鬼柳:「!」
意外な行動に驚く鬼柳。ロヴィニ・ジャガーの額をよく見ると、額周辺が赤く光っている。

いや、光っているのではなく燃えていた。

鬼柳:『額の周りに、炎属性の波動を展開して、防御したか…!』
ネタがわかり、少し悔しそうな顔をする鬼柳。


だが、鬼柳が攻撃を仕掛けていた間に、ミスティはロヴィニ・ジャガーの背後に回り込んでいた。

ナーガラージャ・ナイフを強く握るミスティは、ロヴィニ・ジャガーに向かって走る。

しかし、背後からミスティが近づいていることに気付いたロヴィニ・ジャガーは、顔をミスティに向けて、口に炎のエネルギーを溜める。


ミスティ:「させない」
ミスティはナーガラージャ・ナイフを前に出して構える。

ナーガラージャ・ナイフの刃が青く光る。


ミスティ:「カランコエ・ヒュドール!」
ミスティは目の前に水のバリアを展開した。

ミスティの体内には水属性の属性波動が一番流れている。これは、水の属性波動を使ってできる技だ。


ロヴィニ・ジャガーは、口に溜めていた炎を一気に吐き出し、それをミスティは水のバリアで受け止めた。

ミスティ:「っ!」
力は無効の方が上…。それなりの振動は身体に伝わった。

だが負けるわけにはいかない。ミスティは耐え切り、攻撃を防いだ。

だが、カランコエ・ヒュドールの力はこれで終わりではない。

展開していた水のバリアから、ロヴィニ・ジャガーが吐き出した炎が、そのまま出てきた。

そう、カランコエ・ヒュドールは防いだ攻撃を吸収し、それを跳ね返すことができる。

しかもそれだけではない。その攻撃に、水の力を与えて跳ね返すのだ。


ロヴィニ・ジャガーは、それを受け、吹き飛ばされる。


ミスティ:「これで!」
トラジェディ・ウィップを振り回し、ロヴィニ・ジャガーを捕えようとする。


だが、狂暴したロヴィニ・ジャガーはすぐに立ち上がり、大きな声で吠えた。

その瞬間の風圧が原因で、トラジェディ・ウィップのコントロールが効かなくなり、テールの部分がロヴィニ・ジャガーまで届かなかった。


ミスティ:「すぐに態勢を立て直したわね」

鬼柳:「今まで放った攻撃よりも強力なものを放たないとダメだな」


ミスティ:「なら、私に任せて」
ミスティが前に出る。


鬼柳:「やれるのか?」

ミスティ:「密かに練習していた技で、博士を止めるわ」
ミスティは何かを企んでいるような目で前を向く。


鬼柳:「なら、お前に任せるさ。思う存分やってくれ」
鬼柳が後ろに下がる。



ミスティは片手に持っているナーガラージャ・ナイフを地面に投げ飛ばし、武器を捨てる。

どうやら、トラジェディ・ウィップだけで何かをやろうとしているようだ。


ミスティは目を瞑り、練習した日々のことを思い出す。




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ネオコーポレーションシティ

訓練所


アキ:「どう?感覚は掴めてきた?」

ミスティ:「そうね…、4割程度かしら」

アキ:「まだ半分は達していないのね。でも、どうしてこの攻撃に拘るの?他にも参考になりそうな攻撃はあるじゃない」

ミスティ:「そうね。強いて言えば、私も守る立場になりたいから、かしら」
と上を向いてそう呟くミスティ。

アキ:「守る立場」

ミスティ:「私はいつも旦那に守られっぱなしだから。少しは自分も強くならないとってね」
笑みを浮かべてミスティはそう言った。


アキ:「愛娘もいるしね」

ミスティ:「フフ、さあもう一回よ。もう少しで感覚が掴めそうなの」

アキ:「いいわ。いくらでも付き合うわ」
そう言ってアキは”ブラック・ローズ・ドラゴン”のローザ・ジャベリンを持ってそう言った。



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ミスティ:『大丈夫、きっとできるわ』
ミスティが心の中でそう呟くと、トラジェディ・ウィップの紫色に光る。





狂暴したロヴィニ・ジャガーが吠え、ミスティに接近する。

それにも動揺せず、息を吐き心を落ち着かせるミスティ。

すると、右手に持つトラジェディ・ウィップを無造作に振り回す。

だが、その速度は早く目で追えるような速さではなかった。


ミスティ:『相手の動きに惑わされてはダメ。自分のペースで振り回す…』
右手を振る速さが次第に早くなっていく。


トラジェディ・ウィップのテールの部分がロヴィニ・ジャガーがヒットした。


ヒットしたところにダメージを負うロヴィニ・ジャガーは、一瞬態勢を崩すも、再び駆けだす。


それでも、何度もテールがジャガーの身体に連続でヒットする。

トラジェディ・ウィップの速さが超高速になる。


ミスティ:「バッドエンド・トランジェント!」
トラジェディ・ウィップが、ロヴィニ・ジャガーに連続でダメージを与え、動きを封じる。


ダメージを受け過ぎたのか、ロヴィニ・ジャガーはその場にしゃがみ込んでしまう。


ミスティ:「!」
ミスティはトラジェディ・ウィップをコントロールしながら振り回し、テールの部分でロヴィニ・ジャガーの右足を捕える。


ミスティ:「今、助けます。博士」
ミスティがそう言うと、ロヴィニ・ジャガーは再び立ち上がり反撃に出ようとする。

ミスティ:「あなた、今よ!」
鞭でロヴィニ・ジャガーを捕えながら、誰かに指示を出すミスティ。


すると、別方向にインフェルニティ・ウェッソンを構える鬼柳がいた。


鬼柳:「じっとしててくれよ。狙いが定まらないからな」
鬼柳はインフェルニティ・ウェッソンの銃口を定める。

狙いはヴィータのペンダントのチェーンの部分だ。


正直、一発でその部分を狙うのは難しい。

だが、今はそんなこと言っていられない。

チャンスは1発。この弾丸しかないのだ。


ミスティ:「京介、早く「!」
トラジェディ・ウィップを力いっぱい引っ張りロヴィニ・ジャガーの動きを止めるミスティ。


ここだ!

鬼柳は狙いを定めたようだ。


鬼柳:「行くぜ!アンタから余計な呪縛を解き放つ!」
鬼柳はインフェルニティ・ウェッソンから弾丸を発砲した。

放った弾丸は、平行に回転しながらロヴィニ・ジャガーの元へ飛ぶ。


ミスティのトラジェディ・ウィップに捕えられている影響で、あまり動きが取れないロヴィニ・ジャガー。


そして、鬼柳が発砲した弾丸は、ヴィータのペンダントのチェーンにヒットした。

ヒットした部分に罅が入り、砕けるようにチェーンが切れた。

ペンダントは仮想世界の草原の上に落ちた。



ロヴィニ・ジャガーは苦しそうに吠える。


不気味な光が、ロヴィニ・ジャガーを包み込む。


鬼柳:「やったのか!?」
目の前で起きていることが理解できない鬼柳とミスティ。

不気味な輝きの所為で、ロヴィニ・ジャガーの姿は見えない。


だが、しばらくすると輝きの中から人が現れ、その場にバタッと倒れてしまった。


2人は急いで、倒れた人の元へ向かい、鬼柳はその人を抱いて顔を覗く。


鬼柳:「ミスティ」

ミスティ:「えぇ、写真に映っていた人と同じ顔。やっぱり、ロヴィニ博士だったんだわ」
自分たちの目の前にいる人がロヴィニ博士だと確認した2人。

ロヴィニ博士:「うう…」
目を瞑っていたロヴィニ博士が目を開く。


ミスティ:「博士」
ミスティは博士が目を開いたことに気付き、声をかける。

ロヴィニ博士:「わ、私は…。どうして、ここに…。あなたたちは…」
自分の目の前にいる鬼柳とミスティを見て驚く博士。


鬼柳:「あの姿だったときのことは覚えていないようだな」
鬼柳は博士を見てそう言った。

すると、ミスティが博士に話しかける。

ミスティ:「博士は、あのペンダントに操られていたんです。覚えていないですか?」
そう言って、ミスティは近くに落ちていたヴィータのペンダントを視界に入れた。

彼女と同じ場所を見る博士。チェーンの部分がちぎれたヴィータのペンダントが、そこにはあった。


ロヴィニ博士:「そうか…。私は、あの時…」
ロヴィニ博士は、ヴィータのペンダントを使った実験のことを思い出した。


ちゃんと調べていない所為で、このようなことを引き起こしてしまったのか…。

周りを見るロヴィニ博士が呟いた。

ロヴィニ博士:「私の行いが、このような事態を…」
自分の行いを責める博士。

だが、鬼柳とミスティは一度顔を合わせ頷いた。

ミスティ:「自分を責めないでください、博士。あなたは愛娘のために行動しただけです。間違いではありません」

ロヴィニ博士:「だが、私の所為で、島の人々が…」

鬼柳:「確かに、アンタの行いが、この事態を引き起こしてしまった。なら、正直に訳を話して島の人々に謝るしかない。訳を聞いて、俺たちみたいに理解してくれる人もいれば、その逆もいるだろう。そして罪を償えばいい」
鬼柳はそう言って、立ち上がった。



その頃、島を覆っていた結晶体の増殖が止まった。


クレート:「止まった…のか?」
いきなり、増殖が止まったことに戸惑うクレートたち。






そして、鬼柳たちが戦っていた仮想世界も崩れていく。



全て終わったのだ…。これで何もかも…。







第8ED『あしあと《Clair(クレア)》』






次回予告

ナレーション:ロヴィニ博士が元に戻り、娘のカルメと再会を果たす。

だが、これで丸く収まることはなかった!

ヴィータのペンダントが単独で暴走を開始し、ミスティたちを襲う!

そして、新たな戦いの火種が再び生まれる!


ミスティ:次回、遊戯王5DXAL「優しい光の中から…」


ミスティ:「やっぱり、家族っていいものね…」






遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!


ミスティ:「私のデュエルギアの1つ”トラジェディ・ウィップ”。鞭タイプで”バッド・エンド・クイーン・ドラゴン”のデュエルギアよ。バッドエンド・トランジェントで、敵に連続で攻撃を与え、拘束するわ」
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