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第139話:『家族の絆は永遠』






ミスティ:「ここへ来てからずっと思っていたの。あなたが一体、何者なのか」

ロヴィニ・ジャガー:「……」

ミスティ:「あなたも目を覚ましなさい!ロヴィニ博士!」
ミスティがジャガーに向かってそう叫んだ。

鬼柳やエマリー、レイバーはそれを聞いて、目を点にした。



鬼柳:「こ、こいつが…」

レイバー:「ロヴィニ博士だと…!」
目の前に立つジャガーを見て、そう呟く。


エマリー:「でも、どう見ても人間には見えないよ」

ミスティ:「あの姿に惑わされてはダメよ。おそらく、あの姿はヴィータのペンダントの力によって変貌したロヴィニ博士の姿。そして、その博士本人も、ヴィータのペンダントのマインドコントロールを受けている」


鬼柳:「どうして、そうだと言い切れる」
ミスティの言葉に嘘はない。

だが、あのジャガーがロヴィニ博士だという確証はない。

ミスティ:「思い出よ」

鬼柳:「思い出?」

ミスティ:「えぇ。カルメちゃんは、私をママだと思って、いろんな思い出を語ってくれたわ。マインドコントロールを受けても、彼女の家族の思い出は消えていなかったみたいね。そして、彼女の思い出話を聞いた、あなたはまるで昔から知っているかのように、カルメちゃんの話しに混じっていた。楽しそうにね」

ロヴィニ・ジャガー:「……」

ミスティ:「あなたが話す思い出に、カルメちゃんは特に反論を見せなかった。つまり、あなたは彼女とずっと昔から側にいたってことになるわ」

ロヴィニ・ジャガー:「私は、カルメの父親だ!昔から一緒にいて当然だ!」

ミスティ:「でも、あなたの、その姿が彼女の心を惑わしているわ。早く目を覚めて、彼女の元へ帰ってきなさい」
凛とした立ち振る舞い。ミスティは、言葉に力を込めてそう言った。










第8OP『Mysterious《Naifu》』







第139話:『家族の絆は永遠』








ロヴィニ・ジャガー:「私は、カルメの父親だ!今の姿が、本当の私だ!」
ジャガーがミスティに向かって走る。

大きな声を上げて威嚇するジャガー。



カルメ:「いやーーー!」
大きな声で叫び出すカルメ。

ジャガーはその場に止まり、小さい声で彼女の名前を呼んだ。

カルメ:「パパ!ママ!た、助けて!」
頭を押さえて、彼女は叫んだ。

エマリー:「カルメちゃんの様子がおかしい!」

ミスティ:「マインドコントロールの力が、彼女を苦しめているんだわ!」
何となくだが、そう思ったミスティは、ジャガーの方を向く。

彼女の目線の先にあるもの。それはヴィータのペンダントだった。


鬼柳:「ペンダントさえ、破壊できれば、この状況を消すことができるかもしれないな!レイバー!力を―」
レイバーに力を求める鬼柳だったが、既にレイバーはジャガーに接近していた。


鬼柳:「レイバー!」

レイバー:「あんたが博士だという証拠は不十分だが、それでもあんたがロヴィニ博士だというなら!」
レイバーは結晶体に巻き込まれた家族のことを思い出す。

レイバー:「くっ…。俺は、あんたを倒して、家族の仇を晴らす!それで、俺の復讐はおしまいだ!」
レイバーがトルネード・アロンダイトの刃を、ロヴィニ・ジャガーに向ける。


ジャガーは、高く飛び上がる。


レイバー:「逃しはしない!でいやああ!」
剣を振り上げて、真上に飛んだロヴィニ・ジャガーに斬撃を当てる。


ロヴィニ・ジャガー:「ぐはっ!」
ロヴィニ・ジャガーは態勢を崩し倒れる。



カルメ:「パパを気付つけないで!」
カルメがそう言うと、彼女の周りから結晶体が次々と現れ、レイバーや鬼柳を襲う。


鬼柳:「くっ…」

レイバー:「こんなもの!」
レイバーはトルネード・アロンダイトを振って、その太刀で結晶体を破壊する。

レイバーは再びロヴィニ・ジャガーに刃を向ける。



ミスティ:「京介!彼を止めて!」
レイバーを止めるように鬼柳に訴えるミスティ。

ミスティ:「姿が違うとはいえ、あれはカルメちゃんの父親。あの人が死ねば、彼女は本当の一人ぼっちになってしまうわ!そうなる前に!」
ミスティが鬼柳にそう言うと、鬼柳は復讐心に燃えるレイバーを見て、ダークシグナーとなってある男に復讐を誓おうとしたときの、自分を思い出す。


あのときの自分も、己の勘違いで復讐に囚われていた。

家族を失ったことは辛い。それは、自分にもわかる。




だが、そうだとしても、過ちを犯した者を殺して復讐を果たすのも違う…!


鬼柳:「今度は、俺がこっちの役割みたいだぜ…、遊星」
鬼柳はレイバーを止めるために動き出す。


レイバー:「トルネード・アロンダイト!今こそ、復讐を果たす時だ!」
トルネード・アロンダイトが緑色に輝き、通常以上よりも大きな斬撃を放つ。


ロヴィニ・ジャガー:「私は、カルメの父親!それ以外は、何者でもない!」
レイバーが放った斬撃を躱すジャガーは、4本の足に炎を灯し、レイバーにのしかかろうとする。


レイバー:「っ!」
トルネード・アロンダイトで、ジャガーの前足を受け止める。

ロヴィニ・ジャガー:「甘い受け身だ。そんなもの守ったとはいえないぞ!」
ジャガーは身体を捻り、後ろ脚2本でレイバーを蹴り飛ばした。

強く蹴り飛ばされたことで、身体が宙に浮くほど飛ばされた。


鬼柳:「おっと」
しかし、そんなレイバーを鬼柳が受け止めた。


鬼柳:「大丈夫か?レイバー」

レイバー:「離せ!これは、俺の戦いだ!」
助けてやった鬼柳に礼も言わず、ジャガーに向かって走り出そうとする。

鬼柳:「落ち着け!レイバー!復讐に捕らわれるな!」
鬼柳はレイバーの肩を掴んだ。

レイバー:「うるさい!貴様に俺の何がわかる!」
鬼柳の手を振り払い、レイバーはジャガーに刃を再び向ける。


レイバー:「ガスト・スライサー!!」
トルネード・アロンダイトから連続で風の斬撃を放つ。


ジャガーは、4本の足に炎を灯しながら、草原の上を駆け、レイバーの攻撃を躱し続ける。


レイバー:「なっ!」

ロヴィニ・ジャガー:「その技は、見飽きた。もう怖くはない」
ジャガーは飛び上がり、レイバーに体当たりする。

レイバー:「ぐはっ!」
レイバーは再び吹き飛ばされる。


腹を押さえながら咳払いをするレイバーに、鬼柳は呆れたような顔をしていた。

鬼柳:「復讐したところで、自分を見失うだけだというのが、なぜわからない」
小さい声で鬼柳はそう言った。





結晶体に囲まれたカルメは苦しそうに悲鳴を上げる。


カルメ:「きゃああああ!」
強烈な頭痛の所為か、カルメは目を開いたまま悲鳴を上げていた。


ミスティ:「カルメちゃん…!」

エマリー:「ママ!早くしないと、彼女が!」

ミスティ:「ええ、わかっているわ!」
「早く彼女の目を覚まさせないと…」ミスティはそう呟きながら彼女に近づく。

これ以上は、彼女の命が危ないかもしれないからだ。





ロヴィニ・ジャガーが雄叫びを上げて、レイバーに接近する。


レイバー:「来るなら来い!真っ二つにしてやる!」
レイバーがトルネード・アロンダイトを構えてそう言うと、ジャガーは口から火球を飛ばして、レイバーを襲う。


レイバーは風の力を最大限まで引き出し、トルネード・アロンダイトの刃に纏わせる。

レイバー:「はっ!」
レイバーはトルネード・アロンダイトで火球を真っ二つにする。



トルネード・アロンダイトの刀身に、風の渦が纏われる。

そして、それを前へ突き出して特攻する。

レイバー:「ガスト・レイ!!」
レイバーの更新の一撃ヒット!

ロヴィニ・ジャガーの右腕に突き刺さる。


あまりの痛みに苦痛の叫びを上げた。



カルメ:「パパ!!」
苦しむジャガーの声を聞いた所為か、カルメの周りから新たな結晶体が現れた。


そして、ジャガーにトドメを刺そうとするレイバーの動きを結晶体で封じる。


レイバー:「チッ、またこいつか…!」
もう、この結晶体にはうんざりのレイバーは、トルネード・アロンダイトで、その結晶体を壊す。


レイバーの動きが封じられている間に、ロヴィニ・ジャガーの腕の傷がどんどん治癒されていく。


鬼柳:「ん?傷が瞬時に治っているだと…」

レイバー:「これもあのペンダントの力か!」


自動再生したロヴィニ・ジャガーの腕。大きな雄叫びを上げる。


レイバーは次々と出てくる結晶体に苦戦していた。

レイバー:「こいつはキリがないな。だったら!」
レイバーの目線が、カルメに向かう。


鬼柳:「あいつ、まさか!」
鬼柳はレイバーの目線がカルメに向かったことに気付く。


レイバー:「復讐を果たすためだ!そのためなら容赦しない!」
レイバーがカルメに接近する。


ミスティ:「ダメ!」

鬼柳:「よせ!レイバー!」
レイバーを止めようとする2人。しかし、2人の声はレイバーの耳に入っていない。

レイバーはまだ6歳のカルメを殺してまで復讐を果たそうとしているのだ。





次々と出てくる結晶体を躱し、レイバーはカルメに必死に近づこうとする。



だが、接近している途中に謎の影が、レイバーの前に立ち塞がった。


レイバー:「!」
その黒い影はレイバーが持つトルネード・アロンダイトの刃をナイフタイプのデュエルギアで受け止めた。

エマリー:「っ!」

ミスティ:「エマリー!」
レイバーの太刀を受け止めたのは、エマリーだった。


エマリー:「邪魔しないでよ…!今からママが彼女を助けようとしているんだから!」

レイバー:「そこをどけ!そいつの所為で、俺の復讐は果たせないんだ!それに、今から殺す奴の家族なら、一緒に逝かせるのが筋ってもんだろ!」

エマリー:「何をふざけたことを言っているの!あなたの復讐はただのわがままじゃない!」

レイバー:「これ以上邪魔をするなら、お前も―」
レイバーの牙はエマリーにも向けられそうになっていた。



鬼柳:「レイバー、歯を食いしばれ!」
だが、鬼柳がレイバーに強烈な一発をお見舞いした。


レイバーは吹き飛んだ。

レイバー:「ぐっ!」
殴られた頬が赤くなっていた。

レイバー:「何のつもりだ!鬼柳京介!」
自分を殴った鬼柳に怒りをぶつける。


鬼柳は一歩ずつレイバーに近づく。


鬼柳:「お前の復讐は、あいつを殺して果たせるものなのか」

レイバー:「俺はあいつに、家族を奪われた!あいつを倒してこそ、俺の復讐は!」

鬼柳:「それで家族は戻ってくるのか!」
鬼柳がそう怒鳴ると、レイバーはピクッと驚いた。


鬼柳:「家族を失ったのは辛いことだ。俺も、ある事件で家族を失った時は辛かったさ。もっとも物心つく前の話しだがな」
鬼柳が語っていることが何なのか、ミスティにはすぐ理解できた。


ミスティ:『ゼロ・リバースのことね…』
ゼロ・リバースとは、モーメントが暴走して発生した天変地異のことだ。

この事件の所為で、同時の童実野シティとサテライトは分断され、多くの死者が出た。


鬼柳:「それに、俺は最高の友も失った…。シティの救世主と呼ばれた奴だ」
鬼柳がそう言うとミスティは、あの事件で最愛の夫を亡くしたアキの悲しむ顔を思い浮かんでしまった。


鬼柳:「失ったものは、自分が何をしても戻ることはない。お前が奴に復讐したところで、家族は戻って来ないぞ」
鬼柳がロヴィニ・ジャガーを見てそう言った。


レイバー:「そんなことは!そんなことは…俺も分かっている…」
腕に力が入っていないからか、トルネード・アロンダイトを握っていた手がぶらーんと下がる。


ミスティ:「復讐をしても、あなたの家族は喜ばないわ」

レイバー:「!」

ミスティ:「私もね、一度だけ、自分の勘違いで復讐をしたことがあるの。たった一人の弟を殺されて、私は復讐心に捕らわれたわ」
ダークシグナーだったときのことを話すミスティ。



すると、鬼柳たちが昇ってきた階段から吹雪、恵美、亜美、未来の4人が出てきた。


4人は、1人の男性に向かって話している鬼柳とミスティを見て、「来るタイミングを間違えたみたいだね」と吹雪が呟いた。


鬼柳:「俺もそうだ。自分の勘違いで、さっき言った最高の友に復讐心をぶつけたときがあった。そして、度々思う時があるんだ。もし、あのときそのまま復讐が果たされていたら、何が残るのかってな」

レイバー:「復讐して残るもの」

鬼柳:「あぁ、復讐を果たせば喜ばしいことになるだろ。だが、本当にそれだけなのかってな」
鬼柳は自分の掌を見ながらそう呟く。


ミスティ:「復讐を果たせば、自分の目的は達成される。けど、同時に後悔するんじゃないかってね」

レイバー:「……」

ミスティ:「復讐は所詮、殺人に繋がる。私は時々思うの。あの時、彼女を…アキを殺していたら、きっと後悔していたのかもってね。ううん、後悔しているわ。結局、私はあのとき、復讐を果たすために、本当に弟を殺した人を葬ってしまったから」
アキが弟を殺していないと知って、真の犯人である、ある男をミスティは葬った。


あの時から、ミスティは後悔する日々があった。

もしかしたら、もっと違う道があったのかもしれないと…。

あいつを殺したところで弟が戻ってくるわけではない。それを知ってて、私はあいつを…アルカディアムーブメントの社長を殺した。


ミスティ:「復讐を果たすためなんて言ってるけど…、あなたも本当はロヴィニ博士を殺したくないんじゃない?」

レイバー:「っ!」

鬼柳:「お前、あのジャガーが博士だと知って、太刀筋が甘くなっていること気付いていたか?」
ジャガーの正体を知ってしまった前と、その後でレイバーの太刀筋が変わっていたこと、鬼柳は気付いていた。






手に握るトルネード・アロンダイトを見つめるレイバー。





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ロヴィニ博士:「やったじゃないか、レイバー。デュエルカップ世界大会に優勝したんだってな」


レイバー:「ああ、優勝賞品で、こいつをもらった」
レイバーはトルネード・トルーパーのカードを博士に見せる。


ロヴィニ博士:「テレビでしか見たことなかったが、生で見ると迫力あるな」
カードに顔を近づけてロヴィニ博士は、隅から隅までカードを見た。


レイバー:「博士、見過ぎだよ」

ロヴィニ博士:「おっと、これは失礼した」

レイバー:「今日、家で優勝記念のパーティをやるって、父さんと母さんが張り切っているんだ」

ロヴィニ博士:「それはそうだろ。息子がデュエルカップ世界大会に優勝したんだ。興奮が収まらないはずだ。おっ、そうだ。私からも何か御馳走を持って行くとしよう。レイバーの初優勝だからな」
そう言って、父と母のようにやる気を出す博士を見て、レイバーはため息をついた。

レイバー:「博士まで…」


ロヴィニ博士:「ははは、後で娘と一緒に、そっちへ行く。待っててくれ」
笑顔を見せて、レイバーの肩を叩く博士。

これが、レイバーがデュエルカップ世界大会に優勝したときの出来事だ。







レイバー:「冒険家?博士、冒険家もしていたのか」
研究所にある資料を整理しながら、レイバーは一緒に資料を整理するクレートと話していた。

いわゆる手伝いだ。


クレート:「うん、世界を見るのも、あの人は趣味にしているからね」

レイバー:「助手の人達は大変だな。いざってときに博士がいないと困るだろ」

クレート:「もう慣れたよ。多元世紀になってからずっと一緒だからね。あ、レイバー、こっちも頼む」
クレートが指を指してレイバーに指示を出す。

レイバー:「はいよ」
レイバーはクレートの指示で動く。


レイバーは、クレートの頼みで時々、資料整理の手伝いをさせられたことがあった。






カルメ:「お兄ちゃんいくよ!」
小さいボールを蹴り飛ばすカルメ。


ボールが向かった先にはレイバーがいた。

レイバーは、そのボールを右足で受け止める。

レイバー:「それじゃあ、行くぞ。それっ」
レイバーはカルメが受け止められるほどに軽くい飛ばした。

カルメは、そのボールを素手で受け止め、目の前にボールを置く。

楽しそうに笑う彼女。

2人が遊んでいる場面を見つめるロヴィニ博士。



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思い返せば、俺は様々な場所で、博士やカルメと触れ合っていた。

俺は復讐を果たすために、その人達を殺そうとしていたのか…。


それに気付いた時、レイバーの手は震えていた。


鬼柳:「自分が何をやろうとしていたのか、気付いたみたいだな」
レイバーの様子を見て、鬼柳はそう言った。


ミスティ:「あなたの復讐は、もう終わりよ」
ミスティがそう言った瞬間、カルメの喚く声が響いた。


カルメ:「みんな、ここから出て行って!」
カルメの周りから更に結晶体が出てくる。



ミスティ:「カルメちゃん…!」
ミスティがカルメに近づこうとする。


ロヴィニ・ジャガー:「娘には近づけさせん!」
ジャガーが、ミスティに接近する。


エマリー:「また来た!」

鬼柳:「チッ!」
鬼柳はインフェルニティ・パイソンを構える。


レイバー:「ガスト・スライサー!」
レイバーはトルネード・アロンダイトから風の斬撃を飛ばして、ジャガーの行く手を阻む。


そして、ミスティの前に立つレイバー。

ミスティ:「あ、あなた…」

レイバー:「彼女には、もうロヴィニ博士しかいない…。もし、あれがロヴィニ博士だというなら、俺は博士を助けたい」
さっきまでとは違う…。復讐に燃えていたレイバーは、私たちの前からいなくなっていた。

今のレイバーは、博士を助けたい一心だった。


鬼柳:「ようやく、目が覚めたな。行くぞ、あいつの足を止める」

レイバー:「あぁ」

鬼柳:「ミスティ、彼女は頼んだぞ」
鬼柳とレイバーはロヴィニ・ジャガーの元へ突っ込む。



そんな二人を見つめるミスティは、カルメの元へ歩く。






亜美:「エマリー!」
亜美や吹雪たちが、エマリーの元へ走ってきた。


吹雪:「これ、一体、どういう状況だい?君のママをさらった、あのジャガーは…!」

エマリー:「あれが、ロヴィニ博士だよ」
エマリーは、吹雪たちに視線を向けることなく、ボソッと呟く。


恵美:「え?」

未来:「あれが、ロヴィニ博士…!?」

エマリー:「あれはヴィータのペンダントの力によって、姿を変えてしまったロヴィニ博士だって、ママは考えているみたい。そして、あのジャガーも、そしてカルメちゃんも、ペンダントのマインドコントロールの力によって記憶を操作されているみたい…」
カルメに必死に近づこうとする母親を見つめるエマリー。






結晶の柱を避けて、カルメに接近するミスティ。


ミスティ:「カルメちゃん」
ミスティは、彼女の名前を呼ぶ。







カルメ:「来ないで…。来ないで、来ないで!」
同じ言葉を繰り返し言うカルメ。


ミスティはゆっくりと、彼女の前に近づき、しゃがみ込む。


ミスティ:「辛かったでしょ。ママを失ってから。でもね、カルメちゃん。ママを失っても、家族の絆は繋がったままよ」
ミスティは、彼女の手に持っている写真に手を添える。


ミスティ:「家族の絆は永遠に繋がったままよ。あなたのママも、あなたの心の中で生き続け、そしてずっとあなたを見ているわ」
ミスティがそう言うと、カルメは強く首を振った。


まだ、目を覚ましてくれないか…。

ミスティは、そう心の中で呟き、彼女を抱き寄せた。

ミスティ:「ヴィラさん、寂しがってるわよ。あなたに見てもらえなくて。それでいいの?カルメちゃん」
ミスティが彼女を抱き寄せて、そう言った。





その頃、鬼柳とレイバーは、ロヴィニ・ジャガーの動きを封じようとしていた。

鬼柳:「なんか、さっきよりもパワーが上がってないか?」

レイバー:「あぁ、一体、どうなっている…」
息切れしながら2人は、ジャガーの力が上がっていることを気にしていた。







カルメを抱き寄せるミスティは、写真を持つ彼女の手を少しだけ持ち上げる。

ミスティ:「ほら、ママ笑っているわよ。目を開けて見て見なさい」
ミスティがそう言うと、カルメは少しずつ目を開けた。


さっきも見た写真が目の前にあった。

カルメ:「マ、マ…」
写真に映る1人の女性。



???:『目を開けて、カルメ。私は、ここよ』
彼女の頭の中に聞こえた女性の声。

カルメ:「ママ…」
カルメの涙が写真に落ちる。



彼女の頭の中に、過去の記憶が蘇る。




???:『カルメ、パパと一緒に遊ぼうか』

カルメ:『わーい!パパ、鬼ごっこしよう!パパが鬼ね!』

???:『いいだろう。けど、パパは早いぞ。そら逃げろー!』
男は逃げる楽しそうに悲鳴を上げるカルメを追いかける。


そんな楽しそうな2人を見つめる女性。


カルメ:『ママ!一緒に遊ぼうよ!』
カルメはシートの上に座る女性に手を振った。


さっきまで全然顔が思い出せなかった。


だが、ようやく思い出してきた。ずっと自分を支えてくれた人達。



ロヴィニ博士:「カルメ」
高い高いをしてくれるパパ。


ヴィラ:「カルメ」
自分の頭を撫でてくれるママ。


はっきり思い出した。私のパパとママ…!



カルメ:「はっ…パパとママ」
写真を見て、カルメはそう呟く。

ミスティ:「目が覚めた?」

カルメ:「あれ…、私…。えーと…」
どうやら、記憶がはっきりしていないようだ。


カルメ:「あ!パパ!」
彼女は何かを思い出したかのように、ミスティの胸から離れる。

ミスティ:「カルメちゃん…?」

カルメ:「早く、パパを助けないと!」
カルメはミスティにそう訴える。






その頃、圧倒的に力に対抗できていなかった鬼柳とレイバー。

レイバー:「流石にやばいか…」

鬼柳:「ペンダントの力が更に増幅しているのか…!」
しゃがみ込むレイバーと鬼柳。



吹雪:「僕たちも手伝おう!このままじゃ、2人が危ない!」

恵美:「ええ」
吹雪たちが戦闘に割り込もうとした。


そのとき!

パリンパリン!


草原から出ていた結晶体が次々と砕け散った。

ロヴィニ・ジャガー:「何…!」
いきなり砕け散る結晶を見て驚くジャガー。


そして…。



カルメ:「もうやめて!パパ!」
砕け散る結晶の中から、カルメが走って出てきた。


ロヴィニ・ジャガー:「か、カルメ…」
カルメの姿を見て動揺するジャガー。


ミスティ:「京介!」
しゃがみ込む鬼柳の側に来るミスティ。


鬼柳:「ミスティ、どうやらやったみたいだな。流石、俺の妻だ」
こんな状況で鬼柳は、ミスティの頬にキスをする。

ミスティ:「もう、こんなときに…」
少し恥かしいのか、頬を赤くしてミスティは言った。



カルメ:「パパだよね?姿は変わってるけど、私にはわかる」

ロヴィニ・ジャガー:「…」

カルメ:「もうやめよう。パパ」
カルメは悲しそうにそう言った。







第8ED『あしあと《Clair(クレア)》』






次回予告

ナレーション:本来の記憶を取り戻したカルメ。

だが、姿を変えてしまったロヴィニ博士は、ヴィータのペンダントの力に打ち勝つことができず、暴走を開始する。

鬼柳とミスティは博士を救うべく、暴走したロヴィニ・ジャガーに立ち向かう!

家族の力で、ロヴィニ博士を救うことができるのか!

鬼柳:次回、遊戯王5DXAL「4つのデュエルギア!」


鬼柳:「夫婦の力ってやつだ。行くぞ、ミスティ!」
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