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第135話:『自由を求める者と復讐を誓う者』









ジャガーは家の方向を見つめる。


目を閉じてカルメの心を感じ取る。

ジャガーの脳裏にはカルメが悲しんでいる姿が浮かび上がった。


ロヴィニ・ジャガー:「カルメが泣いている」

ミスティ:「え…!」

ジャガーはレイバーにトドメを刺すのをやめた。

ロヴィニ・ジャガー:「家に戻るぞ。カルメを落ち着かせるんだ!」
ジャガーがミスティにそう言うと、ミスティはすぐにジャガーの背中に乗った。


レイバー:「ま、待て!逃げるのか!」

ロヴィニ・ジャガー:「お前を相手をしている暇はない」
ロヴィニ・ジャガーはそう言って、高くジャンプして急いで家に向かった。


レイバー:「くっ…、戦いを放棄するとはな」
身体の痛みがなくなり、レイバーもロヴィニ・ジャガーが向かった方へ走った。




急いで家に向かうジャガーとミスティ。

ミスティ:『カルメ…』
ミスティは心の中で、そう呟いた。





その頃、カルメは泣きながらベットの上に座っていた。


カルメ:「パパ、ママ…私、もう一人は嫌だよ…」
頬を赤く染めながらカルメはそう呟いた。








第8OP『Mysterious《Naifu》』







第135話:『自由を求める者と復讐を誓う者』







博士の家に向かうバギーを追っていた鬼柳。


バギー:「しつこい!」
バギーは、ジャマダハルタイプのデュエルギア、”ラファール・ジャマダハル”から斬撃を放ち、少し大きめの結晶体を倒し鬼柳たちの行く手を阻んだ。


鬼柳:「くそっ」

エマリー:「パパ、こっち!」
エマリーは倒れた結晶体の向こうに行けるであろう隙間を見つけた。

エマリーは、その中に入って先を進む。


その後を鬼柳や吹雪たちが付いて行く。






追手がいないことを確認したバギーは、少しスピードを上げて、前へ進む。


そんな中、結晶体が増殖していることに気付いた。


バギー:「また、結晶体が増えている…。一体、何が原因で増えているんだ…」
地面からいきなり出てきた結晶体を躱しながら、バギーは前へ進む。






その頃、家でパパとママの帰りを待つカルメ。



窓の扉が開き、ロヴィニ・ジャガーとミスティが部屋に入ってきた。


カルメ:「パパ…ママ…」
顔をベットに押し当てて泣くカルメ。


ロヴィニ・ジャガー:「カルメ」

ミスティ:「カルメちゃん」
彼女のママになり切ってから呼び捨てで呼んでいたがつい、「ちゃん」付で彼女の名前を呼んだミスティ。

カルメ:「ママ…?」
泣いた顔をミスティに見せるカルメ。

ミスティ:「一体、どうしたの…」
母親のように優しい声で話しかけるミスティ。

ベットに座り、カルメの顔を覗く。


カルメ:「パパもママもずっと帰って来なかったから…。私、寂しくて…」
涙がポロポロ目から出るカルメ。

ロヴィニ・ジャガー:「…」

ミスティ:「カルメちゃん…」

カルメ:「私、もう一人になりたくないよ!」
カルメはミスティの膝に顔を当てて泣いた。


彼女に寂しい思いをさせてしまったことに申し訳ないと思ってしまったミスティは、彼女の頭を撫でる。

ミスティ:「ごめんなさい。今度からは、外に出たらなるべく早く帰ってくるようにするわ」
ミスティがそう言った所為か、カルメは顔を90度回転させて、涙を拭いた。

カルメ:「約束だよ、ママ」
少し嬉しそうにそう言ったカルメ。


ミスティ:「えぇ、約束するわ」
ミスティはロヴィニ・ジャガーに視線を向けた。


すると、ロヴィニ・ジャガーはカルメに近づき、彼女の顔を覗く。

ロヴィニ・ジャガー:「パパも約束しよう」
ジャガーがそう言うと、「うん」とカルメは嬉しそうに頷いた。






その頃、結晶化の増殖は収まっていた。






レイバー:「収まったのか…?」
先ほどまでロヴィニ・ジャガーと戦っていたレイバーが周りの結晶体の増殖が収まったことを確認してそう呟く。







その頃、バギーを追っていた鬼柳たちは―。


鬼柳:「急に動いたり、止まったり、まるで生き物のようだな」
結晶体をコンコンと叩きながら鬼柳は言った。


エマリー:「パパ、早く行こ」

吹雪:「バギーを追わないと、キミの奥さんにも危険が及ぶよ」
エマリーと吹雪が、鬼柳を呼ぶ。


鬼柳:「わかってるよ」
鬼柳たち一行は、急いでロヴィニ博士の家に向かったバギーを追いかける。







泣き止んだカルメを慰めるミスティ。


カルメの球のような小さい頭を撫でるミスティ。



カルメ:「…ママ……」
小さい声でカルメは話しかけてきた。


ミスティ:「どうしたの?カルメ」
小さい声でカルメに聞いたミスティ。

顔を覗くと、カルメの目は今にも閉じそうであった。


カルメ:「私…もっとママとパパと、遊びたい……」
眠そうな口調でカルメは言った。


そして、段々、彼女の目が閉じていく。



スゥ、スゥ…


眠ってしまったようだ。気持ちよさそうに、ミスティの膝の上で寝るカルメ。




すると、パソコンの画面にカメラの映像が映る。


ミスティ:「!」


ロヴィニ・ジャガー:「さっきの連中か」
映像に映っていたのは鬼柳たちだった。


ミスティ:『京介…、みんな』
ミスティは、心の中で、みんなを心配する。



映像は変わって、別のカメラの映像になった。


何者かが、この家に向かって近づいて来ている。


ロヴィニ・ジャガー:「この男、性懲りもなく」
映像に映っていたのはミスティを、ここに連れてくる前に、結晶体を破壊しようとしていたバギーだった。


ミスティはバギーの顔を見て、少し驚いた。


ミスティ:『どうして、この人がここに…!この人は、確かバリアン世界に追放されたはずじゃ…』
ミスティも、ダイシャラス王国で見ていた。バギーが、バリアンの連中に連れていかれるところを、この眼で…。



ミスティがパソコンの画面に夢中になっている間に、ロヴィニ・ジャガーが部屋の扉に向かって歩き出す。

そして、額を扉に当てて、押し開けた。


ミスティ:「どこへ行くの?」
扉が開いたことに気付き、部屋を出ようとするジャガーに聞くと、こちらに振り向き楽しそうに答えた。

ロヴィニ・ジャガー:「カルメは遊びたいと言った。私はカルメが望むことをするだけだ」
ジャガーは部屋を出て扉を閉める。

広い廊下を歩くジャガー。


ロヴィニ・ジャガー:「私がもっと楽しませてあげよう、カルメ」
ロヴィニ・ジャガーがそう呟くと、首にぶら下がっているヴィータのペンダントの宝玉がキラッと光り輝いた。


次の瞬間、家の中全体の構造が変化し、家の中ではないような光景が広がる。




丁度その頃、ロヴィニ博士の家の前に1人の男が到着した。


ミスティとジャガーを追ってきたレイバーだった。


レイバー:「案外、簡単に辿り着けたな。この剣に狙われた奴は、俺から逃れることなんてできないぞ」
トルネード・アロンダイトの柄を強く握り占めるレイバーが一歩ずつ前へ歩く。


家全体は結晶体に包まれているものの、家の扉がある場所には所々、結晶化されていない場所があった。


それはあえて、そうしているようにも見える。


何故なら、結晶体に巻き込まれた家は、家の中に入れないように結晶化していたのにも関わらず、この家だけはそうではない。

結晶体に巻き込まれていないならまだしも、窓そのものが空いて、中のカーテンが風に靡いて外に出ていた場所もあった。



そして、家の玄関と思われる場所は結晶体に包まれて、簡単に中へ入ることはできなかった。



レイバー:「真っ正面から中へ行くか、遠回りして静かに中へ行くか」
どちらの選択肢で行くか迷うレイバー。


レイバー:「フッ、一度は戦った奴だ。恐れることはないだろ」
レイバーは、トルネード・アロンダイトを構えて、玄関の扉を覆う結晶体を破壊しようとする。



すると、そこに1人の男が到着した。

男は、玄関の前にレイバーがいることに気付く。

バギー:「チッ、先客がいたか」
ヴィータのペンダントを狙って、ここまで来たバギーがラファール・ジャマダハルを強く握って、レイバーに接近する。



結晶体を破壊しようとトルネード・アロンダイトから斬撃を放とうとするレイバー。


しかし、背後に迫る殺気に気付き、後ろを振り向いた。




バギー:「うおおおお!」
バギーはラファール・ジャマダハルを振り下げてレイバーを倒そうとする。


レイバーはトルネード・アロンダイトで受け止めて攻撃を防いだ。


一度、後ろに下がるバギー。

レイバーは目の前に立つ男の顔を見て、何者かを確認するが初めて見る顔だった。

レイバー:「誰だ?フロンティアから送られた連中にはいなかったな」

バギー:「あいつらと一緒にしてもらいたくないな。俺にとってフロンティアは敵でしかない。お前こそ、何者だ?」
反撃するかのようにバギーが問いかけた。

レイバー:「この事態を起こした奴に復讐を誓うデュエリスト。そう名乗っておこう」
レイバーは本名を名乗らず、自分のことをそう紹介した。


バギー:「復讐?下らんな。そんなことしても、この島が元に戻ることはない。しかし、どうやら、俺の目的とは無関係のようだな」
自分が狙っているのはヴィータのペンダント。それを狙っていないとなると、こいつと戦う理由はないとバギーは悟った。


バギー:「そこをどけ。お前に用はない。俺はペンダントを取りに来ただけだからな」

レイバー:「ペンダント?あぁ、ロヴィニ博士が見つけたって言うあれか」
レイバーがそれを口にすると、バギーは反応した。


バギー:「貴様、ペンダントのことを知っているのか?」

レイバー:「少しだけな。博士が見つけ、そのペンダントの力を利用して、博士は亡き妻を生き返らせようとした」
レイバーは避難所でクレートとフロンティアの連中が話していたことを思い出しながら口にする。



レイバー:「そして、これは仮説にすぎないが、そのペンダントの力が、この結晶化を引き起こした可能性がある」

バギー:「…」

レイバー:「もしそうだったら、博士に復讐を遂げた後、そのペンダントを破壊するまでだ。俺の本当の復讐は、それで終わる」
レイバーは憎しみを言葉に込める。


バギー:「お前の復習に興味はないが、ペンダントを破壊されては困るな。あれを奪取しなければ、俺に自由はないからな」

レイバー:「お前は自由を得るために、あのペンダントを手に入れるつもりか」

バギー:「そうだ。本当の自分を取り戻し、自由を得る。そして、あのとき俺を懲らしめた、あの男を…」
バギーの脳裏に、あの男の顔を浮かんだ。


ダイシャラス王国で、自分を倒し、全ての計画を台無しにされた、九十九遊馬の顔が…。

遊馬の顔が思い浮かぶだけで、怒りが爆発する。


バギー:「あいつを殺すまで、俺は死ねない…」

レイバー:「お前も所詮、復習が目的なんじゃないのか?」

バギー:「これは復讐ではない。ただの仕返しだ」
ラファール・ジャマダハルを構えるバギー。


レイバー:「それを復讐って言うんだよ」
レイバーもトルネード・アロンダイトを構える。


レイバー:「邪魔をするなら容赦はしない」

バギー:「それは、こちらのセリフだ!」
バギーが動き出す。


バギー:「ラファール・ジャマダハル!セカンドステージ!!」
ラファール・ジャマダハルが進化。刃の先が大きくなり、刀で言う鍔にあたる部分から2本のかぎ爪のような刃がついている。


バギーは、進化したラファール・ジャマダハルを突き、突進する。



レイバーは、これに当たると一溜りもないと思ったのか、すぐに回避した。

バギーの突きは、家の扉を覆う結晶体に命中し、大きな突進音が響いた。




その頃、カルメの室内にいたミスティも、大きな異音に気付いた。


ミスティ:「もう来たのね…」
ミスティは、外を確認しようと立ち上がろうとするが、カルメを避けようとしたとき、彼女が自分のスカートを強く握り締めていることに気付き、一度立ち上がるのをやめた。


すやすや寝ている彼女の顔を見て、気持ちよさそうに寝ていたので、彼女は立ち上がるのをやめ、そのままの状態をキープした。






その頃、鬼柳たちにも異音が聞こえていた。


未来:「今の爆発音は…!」

亜美:「博士の家の方からよ!」

恵美:「急いだ方がいいわね」
おそらくバギーが博士の家にたどり着き、家の中へ入ろうとしているのだろうと思い込んでしまう恵美たち。


鬼柳たちは、急いで博士の家に向かう。





バギー:「フェザー・ハンド・ガン!」
右手で指鉄砲を作り、人差し指の先から風の弾丸を連続で放つ。

レイバーは、風の弾丸を走って躱す。

バギー:「こいつから逃げられるもんじゃねえぞ」
指鉄砲のターゲットを変えないバギー。逃げ続けるレイバーを捕え続ける。


バギー:「死になくなかったら、とっとと失せろ!下級デュエリスト!」
フェザー・ハンド・ガンを撃ち続けながら、バギーはレイバーを見下すように言った。


レイバー:「逃げるつもりはない!それに、俺は!」
レイバーが進行方向をいきなり変えて、バギーに接近する。

レイバー:「下級デュエリストじゃない!」
レイバーの足元に風の属性波動が纏われ、動くスピードが急に速くなる。


バギー:「風属性の波動の使い手か。なら!」
バギーも足元に風属性の波動を流し込み、動くスピードを速くする。






両者とも目で追えないスピードでぶつかり合う。


武器がぶつかり合い、何度も接触するも、どちらとも一歩も引かなかった。


レイバー:「ガスト・レイ!!」
刀身が風の渦を纏い、レイバーは剣を前へ突き出し走り出す。

しかも、足元に風属性の波動を纏っているおかげで、普段の攻撃よりもスピードが上がっている。



バギー:「タイラント・フェザー・バリア!!」
右手が緑色に光り、その右手を横に大きく振って、風のバリアを展開する。

そのバリアが、レイバーの攻撃を防いだ。


レイバー:『こいつ、かなりできる…!しかもなんだ…!風属性のバリアのはずが、こんな頑丈とは…!』
バリアを破ることはできない。そう思ったレイバーは一旦、後ろに下がる。


レイバー:「風のバリアにしては、随分固いんだな」

バギー:「属性波動による攻撃は、本人がどれだけ属性波動の力を発揮するかで、その強さが決まる。お前が、俺のバリアを頑丈だと思っているのなら、こういう答えが出る。俺はお前よりも優れた戦闘能力を持っているということだ!」
セカンドステージしているラファール・ジャマダハルを構えて、レイバーに攻撃を仕掛けるバギー。


セカンドステージしたラファール・ジャマダハルとトルネード・アロンダイトが何度もぶつかり合う。





自由を掴み取ろうとするバギーと、復讐を成し遂げようとするレイバーの戦闘が繰り広げられている中、鬼柳たちが、その場に到着した。



鬼柳:「さっきから妙な音が聞こえていると思っていたがやはり、奴か」
鬼柳はバギーがいることを確認した。


吹雪:「しかし、あいつと戦っている彼は、何者だい?」

恵美:「味方同士…には見えないわね」
バギーと戦っているレイバーが気になる吹雪たち。




エマリー:「…」
エマリーは結晶体に包まれた目的の場所、博士の家を見つめる。

エマリー:「ここにママがいるんだよね」
エマリーがそう言うと、隣にいた亜美が頷いた。

亜美:「うん、無事だといいわね」
亜美が心配そうな声でそう言った。




レイバー:「はっ!」

バギー:「うおお!」
レイバーとバギーは、斬撃を放った。

両者の斬撃はぶつかり合い、風圧が鬼柳たちを襲う。

鬼柳:「くっ」

未来:「きゃあ!」
風圧に驚く鬼柳たち。

吹き飛ばされないように踏ん張る。


鬼柳たちがいることに気付いたバギー。

バギー:「チッ、追いついてきたか。ゆっくりはしていられないか」
バギーがそう呟いた。


レイバー:「どこを見ている?戦いは終わっていないぞ!」
トルネード・アロンダイトを握るレイバーがバギーに向かって走る。


すると、そのとき、レイバーとバギーの間に何かが落ちてきた。

白煙が舞い、レイバーは、その場で足を止める。


バギー:「な、なんだ…!?」
いきなり振ってきた何かに驚くバギー。



白煙が少しずつ晴れていく。

そして落ちてきたものが何なのかを確認した。


レイバー:「お前は!」
目の前に落ちてきたものを見てレイバーは驚倒する。


目の前に現れたのは、先ほど戦ったジャガーだったからだ。


そして、その姿を見て驚いたのは、レイバーだけじゃなかった。


鬼柳:「あいつは!」

エマリー:「ママを連れ去った奴…!」
愛する人、尊敬する人であるミスティを連れ去ったジャガーを見て、すぐにあいつを倒したいと言う気持ちになる2人。


だが、鬼柳はデュエルでミスティに言われたことを思い出し、すぐに気持ちが収まった。


しかし、エマリーの気持ちは怒りに囚われたままだった。


エマリーは、ボウイナイフのデュエルギアを手にする。


亜美:「エマリー…!」
エマリーが前へゆっくりと進むのに気づく亜美が止めようとする。

しかし、その前に鬼柳がエマリーの腕を肩を掴んで止めた。

エマリー:「パパ…!」

鬼柳:「やめろ、エマリー」

エマリー:「でも、あいつがママを!」

鬼柳:「ああ、わかっている。だが、今は耐えろ」
エマリーの肩を叩き、彼女の気持ちを落ち着かせる。

エマリー:「…わかった」
エマリーはボウイナイフのデュエルギアを収めた。



レイバーがロヴィニ・ジャガーの右側から見つめる中、その逆からロヴィニ・ジャガーを見ていたバギーが何かに気付いた。




バギー:『こいつの首にぶら下がっているものは…』
バギーはジャガーの首にぶら下がっているペンダントが、例の物だということに気付いた。


バギー:『間違いない…!ヴィータのペンダント!』
奪うチャンスだとばかりに、その気持ちが表情に出る。


ロヴィニ・ジャガー:「この地へ入った者は全員いるようだな」
周りを見渡し、カメラの映像に映っていた者たちが全員いることを確認するジャガー。


すると、そのとき!


バギー:「そいつを渡してもらうぞ!」
バギーがロヴィニ・ジャガーを殺す勢いでセカンドステージしたラファール・ジャマダハルを振り下ろし斬ろうとする。


ロヴィニ・ジャガーは、バギーが近づいていることにすぐに気づき高くジャンプして、その攻撃を躱す。


ジャガーの4本の足に炎が灯される。

そして、真下にいるバギーに向かって降下する。


バギー:「っ!」
バギーは回避するが、ジャガーが落ちてきた衝撃で、足元の結晶体が砕け散り、その破片がバギーの視界を奪う。

バギー:「チッ」
バギーはすぐに後ろに下がった。

ロヴィニ・ジャガー:「娘を楽しませる余興を、お前たちにしてもらうつもりだったが、やはり、お前は論外だ」
バギーを見つめてそう言ったジャガー。

バギー:「余興?意味の分からないことをベラベラ話すワンちゃんだな。それよりも、お前の首にぶら下がっている、そのペンダント」
指を指すようにセカンドステージしたラファール・ジャマダハルの剣先を向ける。

バギー:「そのペンダントは、ヴィータのペンダントだな」
バギーが自由を得るために追い求めているもの。それが、ジャガーの首にぶら下がっている。

そいつを奪えば、俺は自由を手に入れられる。


その執念がバギーを焦らせていた。


レイバー:『ヴィータのペンダント…。あの生き物の首にある奴が…』
復讐を遂げるため、そのペンダントを壊すことを目的とするレイバー。初めて、現物を見て、ターゲットを頭の中に入れておく。


ロヴィニ・ジャガー:「狙いは、このペンダントか。私にはどうでもいいものだが、娘を楽しませるために、こいつは必要不可欠だ。渡すわけにはいかない」

バギー:「それでも渡してもらうぞ!」
バギーが走り出し、セカンドステージしたラファール・ジャマダハルをバギーに向ける。


ロヴィニ・ジャガー:「どけ。お前は娘を邪魔するだけの存在だ」
ロヴィニ・ジャガーは、こちらに近づくバギーに向かって吠えた。

吠えたときの衝撃波が、バギーの足を止める。

バギー:「な、なんだ…。この力は…!」
その衝撃波に耐えるバギー。

だが、ロヴィニ・ジャガーは更に吠え、バギーに強烈な衝撃波が繰り出される。

バギー:「ぐわああ!」
バギーは衝撃波によって宙に浮かぶほど吹き飛ばされた。



未来:「あの生き物…」

亜美:「一体、どんな力を持っているの…!」
バギーを吹き飛ばしたジャガーを見て驚く未来たち。



バギーを吹き飛ばしたことに満足し、ロヴィニ・ジャガーは、みんなの方へ向いた。


ロヴィニ・ジャガー:「私は娘が望むことをするだけだ。お前たちには、娘を楽しませるための餌になってもらう」
その言葉を聞いたレイバーが、ジャガーに近づく。

レイバー:「餌だと…。ふざけるな!俺は、博士に用があって、ここへ来たんだ!とっとと中へ入らせろ!」
レイバーが怒鳴り声でそう言った。


ロヴィニ・ジャガー:「そんなに入りたければ、入ればいい」
ロヴィニ・ジャガーはそう言って、高く飛び上がり、屋根の上に立つ。

同時に、玄関を覆っていた結晶体が崩れ始める。

ロヴィニ・ジャガー:「しかし、入ったら、そのとき、お前たちに魔の手が迫る。それでもいいのであれば通るがいい」
玄関の扉が自動で開いた。


その開き方は不気味が悪く、扉の向こうから幽霊が出てくるんじゃないかと、亜美とエマリーは心配だった。


エマリーは首を振って、気持ちを切り返す。


エマリー:『ママが待っている。怖がっちゃダメよ』
エマリーは心の中で自分に訴える。



レイバー:「ロヴィニ博士は何処にいる!答えろ!」
レイバーが屋根の上にいるジャガーに叫ぶ。


ロヴィニ・ジャガー:「それを知りたければ、前へ進み、真実を見つけろ」
ロヴィニ・ジャガーはそう言い残し、身体が炎に包まれて、その場から消えた。



吹雪:「消えた…」

鬼柳:「不気味な奴だ」
鬼柳は勝手に開いた扉を見る。



さっきのミスティとのデュエル終盤のことを思い出す鬼柳。

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ミスティ:「私、彼女を救いたいだけなの…」
切ない声でそう言った。


鬼柳:「……」


ミスティ:「愛しているわ」




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鬼柳:『お前が何をやろうとしているのか、俺には分からない。だが、俺の気持ちはただ一つ。お前を取り戻すだけだ』
鬼柳の胸には、その気持ちでいっぱいだった。




その頃、ミスティはカルメの部屋の中で「京介」と呟き、窓の外を見た。




扉の奥に待っているのは一体、何のか…!

そして、鬼柳はミスティを取り戻すことができるのか…!







第8ED『あしあと《Clair(クレア)》』






次回予告

ナレーション:ロヴィニ博士の家へ潜入した鬼柳たち一行とレイバー。

レイバーは自身の目的を話し、鬼柳はかつて自分が復讐心に燃えていた頃の自分を、彼に重ねてしまう。

一方、1人外に残った未来は、自由を手に入れ、自分の息子に手を出そうとするバギーと戦いを繰り広げようとしていた。

一度は失ったと思った息子を守るため、未来は矛をバギーに向ける!


未来:次回、遊戯王5DXAL「息子を守るために 秘めたる母親の力!」


未来:「遊馬は、私が守る。それが母親の役目よ」






遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!



ミスティ:「私のエースモンスター”バッド・エンド・クイーン・ドラゴン”は、自分フィールド上の永続魔法カードが3枚以上あるときのみ特殊召喚できるモンスターよ。破壊されても、自分フィールド上に表側表示で存在する永続魔法カード1枚を墓地へ送れば、何度も蘇るわ」
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