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第132話:『さらわれたミスティ』









結晶体に包まれたベイチニア半島上空を飛行するフロンティアのヘリコプター。

街が結晶体に覆われたときに巻き沿いになった人達を見て、エマリーは「酷い」と呟く。


吹雪:「あれが、元帥が言っていた、ロヴィニ博士の家だね」
吹雪の目線の先には、ロヴィニ博士の豪邸が見えた。

勿論、その豪邸も結晶体に包まれている。


ミスティ:「結晶体の発生源は、ここなのね」


未来:「博士も娘さんも無事だといいんだけど…」
ロヴィニ博士と顔を知らない博士の娘を心配をする未来。



ヘリコプターは、島に着陸する目的地の場所に向かった。







第8OP『Mysterious《Naifu》』






第132話:『さらわれたミスティ』






ベイチニア半島の港



島の上空を飛ぶヘリコプターに気付いた島の人達。


ここにいる人達は、結晶化の現象から難を逃れ、避難してきた人達だ。


クレート:「どうやら来たようだな」
クレートはヘリコプターを見るなり、そう呟き、ヘリコプターが着陸しようとしている場所まで歩いた。



フロンティアのヘリコプターは、港に着陸した。



パイロット:「着陸完了。降りてもいいぞ」
パイロットがそう言って、ミスティたちはヘリコプターから降りた。


涼しい風を身体で感じて、「気持ちいい風」と呟く亜美。



クレート:「お待ちしておりました、フロンティアの皆さん」
男性が、自分たちを出向いてくれた。


吹雪:「キミは?」

クレート:「自分の名前はクレート。ロヴィニ博士の助手をしているものです」
礼儀よくお辞儀をするクレート。


未来:「ロヴィニ博士の助手…?」


クレート:「皆さんのことは、日本の大統領、明智様から連絡を受けています」

鬼柳:「お待ちしていたってことは、俺たちが来ることを知っていたってことだな」

クレート:「はい、私が知っていることは、全てお話しするつもりです。立ち話も何ですので、座ってお話をしましょう」
クレートは、方向転換をして前へ進む。


その後ろを、鬼柳たちもついて行く。




そんな中、フロンティアが来た時にできた島の住民たちの野次馬の中に隠れる1人の男性が、鬼柳たちの後を追いかける。




港の倉庫の近く。


そこにパラソルが立った椅子とテーブルがいくつもあった。

その1つに座るクレートとミスティたち。


クレートの仲間が、みんなにお水を出す。


クレート:「すいません、水しか出せなくて」
申し訳なさそうに謝るクレート。


その言葉に、未来は「気にしないでください。今は非常事態ですから」と言って水を飲んだ。



鬼柳:「元帥の爺さんから話しは聞いていたが、まさかここまでとはな」
ここから見える島を覆った結晶体。それを見て、鬼柳が呟く。


恵美:「元帥から、この事件を起こしたと思われる首謀者、ロヴィニ博士。避難民の中にはいないって聞いているけど、その後博士からの連絡は?」
恵美がそう聞くとクレートは首を横に振った。


クレート:「残念ながら、博士からの連絡はありません。おそらく、博士はあそこに」
クレートの目線は、この現象の発生源でもあるロヴィニ博士の豪邸を見つめていた。


ミスティ:「単刀直入に聞くけど、博士はどんな研究をしていたの?」
ミスティがそう聞くと、クレートの雲行きが怪しくなる。



みんなが集まる中物陰に隠れている男性が、話しを聞いていた。


クレート:「博士がやろうとしていたこと、それは多元世紀の歴史に記された、あるペンダントの力を使って、ある人を蘇らせることです」
クレートから発言された言葉。

蘇らせる…。つまり、死んだ人を、この世界に戻すということだ。


鬼柳:「馬鹿馬鹿しいな。死んだ人を蘇らせることなんてできないだろう」

クレート:「非論理的かもしれないですが、研究の元、ある物を使えば、実現できると博士と我々は判断したんです」

未来:「そのある物っていうのが、さっき言っていた多元世紀の歴史にも記された…」

クレート:「”ヴィータのペンダント”。命を光を人間に与えて蘇生させる力を持つペンダントです」
クレートは、ヴィータのペンダントの写真をみんなに見せた。


エマリー:「綺麗なペンダント」
写真越しでもわかる綺麗な宝玉が埋め込まれているペンダントを見て、エマリーは呟いた。






クレート:「我々は、博士と共にヴィータのペンダントについて調べ、そして1年ほど前に、そのペンダントを見つけました。しかし、見つけたのはいいもののペンダントは、その力を発揮せず、一体、力を発揮するために何が足りないのか1年間も調べ上げました。そして、1カ月ほど前…」



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ロヴィニ博士:「光だ。光が足りないんだ!ヴィータのペンダントに光を浴びせさせれば、力は発揮するはずだ!」
ロヴィニ博士は自信満々にそう答えた。

その日、話しを聞いた研究仲間たちは、すぐに作業に取りかかった。

装置もすぐに設計し、製造した。


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クレート:「ペンダントの力を引き出す装置も完成し、後は起動テストをするだけでした。ですが数日前、博士は、そんなことをやる必要はないと反発し、我々を研究施設から追い出し、1人引きこもってしまったんです」
クレートが、ここ最近のことを、みんなに語った。


未来:「私はロヴィニ博士と一度お会いしたことがありますが、そんな博士が反発するって言うことは、蘇生させたい人物と何か関係が?」

亜美:「誰なんです?博士が、施設に閉じこもってまで生き返らせたい人って…」


クレート:「博士の奥さん、ヴィラさんです」
クレートの口から出た名前。それは、博士の奥さんだった。


それを聞いた未来たちが少し動揺する。


未来:「博士、奥さんを亡くしていたんですか」

クレート:「はい、かなり前に病死で」
クレートが悲しそうに言った。

未来:「そうだったんですか…」
聞いてはいけないことを聞いてしまった…。そんなことを思いながら、辛そうな顔をする未来。


クレート:「娘さんのカルメちゃんが、物心ついたときでした。奥さんが不治の病にかかってしまったのは…。当時のカルメちゃんも相当悲しんでいました。それに、今でも、夢の中でママにあったと博士本人に時々話すんです」

ミスティ:「奥さんを娘さんに会わせたい、ロヴィニ博士はそう思っているんですね」
今の話しを聞いたミスティは博士の考えを予想した。


クレートは黙って頷いた。

クレート:「突然の死、突然の別れ。博士も奥さんを亡くなったあとしばらくは、部屋に閉じこもっていました」
クレートがそういうと、ミスティは過去に起きたある出来事を思い出した。


まだ前世紀の頃の話しだ。


モーメントの輝きの中、愛する人が消え、ずっと部屋の中で悲しんでいたアキのことを。


あの時、彼女も辛い思いを他人に見せず、部屋の中に引きこもっていた。

あの時、私は彼女を励まそうと部屋に言ったことがあった。




ミスティ:「その気持ち、私にはわかります」


エマリー:「ママ?」
不思議そうにママを見つめるエマリー。



世界で一番愛していた人が、突然目の前から消えた。

現実に起きていることが信じられない気持ちだったアキは、沢山泣き、私の胸に飛び込んで来た。



そんな彼女に、夫と…、不動遊星と再会させたい。ミスティはそう思っていた。



ミスティ:「昨日まで日常生活を送っていた愛する人が、いなくなれば誰しも悲しくなるわ。誰だってそうよ」
ミスティは少し辛そうな表情でそう言った。




その言葉を聞いた吹雪も妹のことを思い出した。


妹である明日香も、愛する人を亡くした。

あの世界精霊大戦の中、世界を守るために犠牲となって死んだ。


恵美:「あなた、もしかして、明日香さんと十代君のこと…」
吹雪の表情を見て、彼の気持ちが何となくわかった妻の恵美。


吹雪:「明日香も、ずっと泣いていたからね。それに今でも、たまにね」
吹雪本人も、博士のやろうとしていたことがわかる気がすると感じてしまった。



鬼柳:「水を差すとこ悪いんだが、1ついいか?」
鬼柳が話しに割って入ってきた。


鬼柳:「結局、その話しと、島の結晶化現象と何の関係がある。博士がやろうとしていたことは、奥さんを蘇生させようとしていただけだろ」
鬼柳の言う通りだ。


今までの話しと、島の結晶化現象の繋がる点が全然見当たらなかった。


クレート:「そうですね。確かに、繋がる点はないかもしれません。ですが、1つだけあるんです。今話した中にあるものと、この結晶化は」
クレートがそう言うと、未来は「はっ」と気付いた。


未来:「もしかして、ペンダント…!」
未来はそう思い、口からペンダントという単語を出した。






クレートは頷いた。


クレート:「その通りです。博士が見つけたヴィータのペンダント。それが、この現象を起こしたんです」
そのことを聞いたミスティたちが耳を傾ける。



そして、建物の陰に隠れていた男性も興味があるかのように話しを聞いた。


クレート:「ヴィータのペンダントは、死んだ人を蘇生させる謎の力を持っています。ですが、本当にそれだけなのか。私は少し前から胸騒ぎがして、個別でヴィータのペンダントについて調査をしたんです。そして、此間見つけてしまったんです。ヴィータのペンダントに宿るもう一つの力を」


エマリー:「もう一つの力?」


クレート:「それは、人間をマインドコントロールしてしまう力。ヴィータのペンダントに埋め込まれている宝玉を見てしまったものは、その綺麗さに取り込まれるかのように、精神操作されて、意志を持たないはずのペンダントに乗っ取られてしまうと言う能力らしいです」
そのことを聞いて、亜美が唾を飲み込んだ。

ペンダント1つで人間の精神を乗っ取るなんて信じられないことだったからだ。


クレート:「そして、その力が発動したとき、半径数百メートルに渡って謎の結晶化現象が発動するとのことでした」

鬼柳:「ということは、博士がヴィータのペンダントにマインドコントロールされてしまい」

吹雪:「謎の結晶体が島を覆ってしまったということですか」

クレート:「その可能性はあります。ですが、まだ断言はできません」

未来:「でも、もしそうだったら、まだあそこにいるはずの娘さんも危ないんじゃ!」
結晶体に包まれたロヴィニ博士の豪邸を見つめる未来。


建物の陰に隠れていた男も、博士の豪邸を見つめる。


レイバー:「あそこに、ロヴィニ博士がいるのか」
この島の住民のレイバー。物陰に隠れてクレートの話しを聞いて、怒りが沸き上がってきた。


レイバー:「博士の所為で、俺の家族は…」
レイバーの家族は、この結晶体に飲み込まれてしまった。

だから、この現象を引き起こした博士を許すことができなかったのだ。







結晶体に包まれたベイチニア半島。

その結晶体のど真ん中に次元の渦のようなものが現れ、その中から1人の男性が現れた。


目つきの悪いその男性。バリアン世界から来た人間バギーだった。

バギー:「ベイチニア半島、ここにヴィータのペンダントがあるらしいな」
結晶体の上を歩くバギー。


特に、結晶の上を歩いたところで、自分を包み込むんで来るような感じはなかった。


バギー:「不気味な結晶だな」
歩きながらバギーはそう呟いた。


バギーに取って、これが最後のチャンス。取ってくるものを取ってこれば、俺は自由を手に入れられる。

あのままバリアン世界の牢獄にいて殺されるのは御免だ。







ロヴィニ博士の豪邸



カルメの部屋




カルメ:「ハハハ、パパもっと早く走って!」
ロヴィニ・ジャガーの背中に乗って楽しそうに笑うカルメ。

ロヴィニ・ジャガーは背中から彼女を落とさないように小走りで、広い部屋の中を走っていた。


私は、カルメのパパ。娘が望むことは、全て叶え、彼女を喜ばせるのが私の役目だ。

ロヴィニ・ジャガーは、そう思いながらカルメを楽しませていた。



すると、近くに置いてあったノートパソコンの画面がいきなり起動した。


カルメ:「パパ、待って」
ノートパソコンが起動したことに気付いたカルメが、パソコンの画面を見つめる。



島全体の映像。


その映像の1つに、1人の男性が映っていた。

結晶の上を歩く男性。そうバギーだ。


カルメ:「誰、この人?パパの知り合い?」

ロヴィニ・ジャガー:「いや、私は知らない」

カルメ:「それじゃあ……、あ」
パソコンの画面を見ていたカルメが少し驚く。



バギーは、その手に武器を持ったのだ。







バギー:「ラファール・ジャマダハル」
アボイド・ドラゴンのジャマダハルタイプのデュエルギア”ラファール・ジャマダハル”だ。

バギー:「邪魔な結晶だな。博士の家まで、少し距離がある。粉砕させてもらう!」
バギーは、ラファール・ジャマダハルを使って、周りにある結晶を次々と壊していく。

容赦なく結晶を壊すバギー。



カメラ越しからそれを見ていたカルメ。



カルメ:「ダメ!壊しちゃダメ!」
結晶を壊すバギーを見て、カルメが映像に向かって叫ぶ。


ロヴィニ・ジャガー:「あいつ、悪い奴」

カルメ:「あの人、悪者なの!」
カルメがそう言うと、ロヴィニ・ジャガーは頷いた。

カルメは再び画面に映るバギーを見る。


容赦なく結晶を壊し続けるバギー。


カルメ:「それを壊しちゃダメーーー!」
大きな声で叫ぶカルメ。







すると、島を覆っていた結晶が再び、増殖を開始した。


地面から次々と出てくる結晶。


バギー:「くっ!」
地面から出てくる結晶を壊すバギーだったが、壊しても壊しても出てくる結晶に嫌気がさした。


バギー:「くそっ!いきなりなんだ!?」
バギーは一旦、その場から離脱した。





その頃、避難住民がいる方では…。



クレート:「また結晶体が出ているだと!?」


研究仲間A:「住民たちも大騒ぎだ!」


未来:「急いで、皆さんを避難させた方が!」

クレート:「わかっています。住民たちを、B地区に移動させるぞ!急げ!」
クレートが研究仲間たちに、そう伝える。


吹雪:「僕たちも手伝うよ」

クレート:「お願いします」
フロンティアの、みんなも住民の避難に力を貸す。



恵美:「皆さん、慌てず急いで避難してください!」

亜美:「走れない人は、言ってください!」
恵美と亜美が大きな声で、住民たちにそう伝える。



エマリー:「B地区はこっちです!」


クレート:「協力し合って避難してください!」
避難民が最初にいた場所に誰もいないことを確認した鬼柳とミスティ。


ミスティ:「こっちは、誰もいないわ。京介の方は?」


鬼柳:「俺の方も大丈夫だ。早く行くぞ」

ミスティ:「ええ」
鬼柳とミスティは建物から急いで出た。






その頃、カルメは映像で、さっきの悪者が結晶を破壊していないことを確認する。


カルメ:「さっきの人は?」

ロヴィニ・ジャガー:「どうやら逃げたようだ」

カルメ:「それじゃあ、もう大丈夫?」

ロヴィニ・ジャガー:「ああ、おそらくは」

カルメ:「やった!」
大喜びするカルメ。

ノートパソコンの「エンターキー」を押して、画面に映るカメラ映像を切り替えるカルメ。


すると…。


カルメ:「あ…」
ある映像で、エンターキーを押すのをやめた。

男性と女性が走っている映像。



右顔半分に黄色いマーカーのあるロン毛の男性と黒髪で美しい女性。

そう、鬼柳とミスティだ。


カルメはミスティの方を見つめる。


ノートパソコンの横にある母親であるヴィラの写真。

カルメ:「ママ…」
カルメがそう呟くと、ロヴィニ・ジャガーの首にぶら下がっているペンダントに埋め込まれている宝玉がピカッと光る。


その光は、カルメを照らした。


カルメ:「ママ…。ママだよ!パパ!あそこにママがいるよ!」
カルメがノートパソコンに映るミスティを指さしてそう言った。

ロヴィニ・ジャガーも画面を見る。

ロヴィニ・ジャガー:「カルメのママ…」

カルメ:「一緒にいる男の人は誰?もしかして、また悪い人?」
カルメは鬼柳を見て首を傾げた。


ロヴィニ・ジャガー:「カルメは、ママをどうしたい?」

カルメ:「勿論、一緒にいたい!話したいこといっぱいあるから!」
カルメは笑顔でそう言った。


ロヴィニ・ジャガー:「分かった。パパが連れてくる」

カルメ:「ホント?やったー!」
大喜びするカルメ。


そして、ロヴィニ・ジャガーは部屋の窓から飛び出し、目的の場所に向かう。






その頃、住民を避難させていたミスティたち。



未来:「住民の避難は完了しました」

鬼柳:「そうか」
鬼柳は後ろを振り向く。


鬼柳:「結晶化は止まったみたいだな」


吹雪:「うん、でも一度止まった結晶化が再び始まったとなると、またいつ始まるか油断できないね」
吹雪の言う通りだ。結晶化が動いた以上、島全てを取り込むのも時間の問題かもしれない。



クレート:「皆さん!」
こちらに近づくクレートとエマリー、恵美と亜美。

恵美:「住民は全員B地区に着いたみたいよ」

亜美:「私たちも、早くそこに行きましょう」

吹雪:「そうだね」
みんなが、住民たちが避難した方へ向かおうとしたとき―。



どこからか、雄叫び声が聞こえた。


鬼柳:「!?」

吹雪:「え?」

エマリー:「何、今の声!?」
動揺する鬼柳たち。





1体の獣が結晶の上を駆けていた。


そして、鬼柳たちの前に現れる。


亜美:「と、虎…!」

エマリー:「いや、豹じゃない?」

鬼柳:「どちらでもいい!なんだ!こいつ!」
いきなり現れた、その生き物に驚く鬼柳たち。


その生き物を見てクレートは気付いた。


クレート:『あれは…!』
突然現れた生き物の首にぶら下がっているもの。それはヴィータのペンダントだった。




未来:「この虎、結晶化した街の方から走ってきたけど…」


恵美:「只者じゃないってわけね」


ミスティ:「あれは、ジャガーね。虎でも豹でもないわ」

鬼柳:「そこ突っ込むところか、ミスティ」
変なところに突っ込むミスティに鬼柳が呆れた。


現れたジャガーは、目の前にいる人間たちを見渡す。


そして、その目線はミスティに向いた。


ミスティ:「え?」


ロヴィニ・ジャガー:「お前は、カルメの、ママ」
ジャガーがそう呟くと、首にぶら下がっているペンダントの宝玉が輝く。


その輝きを見つめるミスティ。

ミスティ:「私は…」


鬼柳:「ミスティ?」


ロヴィニ・ジャガー:「お前は、カルメのママだ」


ミスティ:「私は、ママ…」
ミスティのそう呟き、一歩ずつ前へ進む。


エマリー:「ママ!」
エマリーがミスティの腕を引っ張る。




その瞬間を、映像越しで見ていたカルメ。


カルメ:「ダメ!ママに触らないで!」
カルメがそう叫んだ。




ロヴィニ・ジャガーは、鋭い目線をエマリーに向けた。

その鋭い目つきに怯えてしまったエマリーは、ミスティから手を離してしまった。


ミスティは一歩ずつ前へ進む。

ミスティ:「私は、ママ…」
ミスティはそう呟きながら前へ進む。

そして、ロヴィニ・ジャガーの首にぶら下がるペンダントの輝きが収まると同時に、ミスティは意識を失い倒れそうになる。

だが、それをロヴィニ・ジャガーが背中で受け止める。


鬼柳:「ミスティ!」
鬼柳がジャガーに近づこうとするが、ロヴィニ・ジャガーはミスティを乗せて、この場から立ち去った。


エマリー:「ママー!」

鬼柳:「くそっ!」
鬼柳がロヴィニ・ジャガーが走った方へ走る。

それを追いかけるエマリーとクレート。


ミスティを連れ去ったロヴィニ・ジャガーが結晶体の中に突入する。


走る速度が速い。当然だ。向こうはジャガーなのだから。

追いつくことができないと分かった鬼柳は結晶化した地面の目の前で止まった。


エマリー:「そんな、ママ…」

鬼柳:「ミスティ、なぜお前が!」
現実に起きていることを認めることができない鬼柳。

愛する妻が、自分の前から連れ去られた鬼柳の胸には大きな傷がついた。





未来:「そ、そんな…」


吹雪:「なぜ、彼女を…」

亜美:「エマリー…」
地面に膝をつけて、悲しむエマリーを抱き寄せる亜美。



みんなは、ジャガーが走り去った場所を見つめた。








ロヴィニ博士の豪邸



カルメの部屋に、ミスティを背中に乗せたロヴィニ・ジャガーが帰ってきた。


カルメ:「パパ、おかえり!」
カルメはロヴィニ・ジャガーを出迎えた。

ロヴィニ・ジャガーは背中に乗せるミスティをカルメのベットの上に寝かせた。

カルメ:「ママは?」

ロヴィニ・ジャガー:「大丈夫、気絶しているだけだ」


カルメは、ミスティの顔を覗く。

すると、ミスティはゆっくりと目を開いた。


カルメ:「あ、ママ!おはよう!」
目を覚ましたミスティに向かって、「ママ」と呼ぶカルメ。


ミスティ:「私は、あなたの…ママ」

カルメ:「そうだよ、ママ。ヘヘ」
カルメはミスティの膝の上に座った。

ミスティは少しだけ笑って、カルメのオレンジ色のショートヘアを撫でる。


楽しそうにするカルメを見て安心したのか、ロヴィニ・ジャガーは、その場に伏せて目を閉じた。




ロヴィニ博士の豪邸内には、カルメの笑い声が聞こえていた。








第8ED『あしあと《Clair(クレア)》』




次回予告

ナレーション:謎のジャガーに連れ去られてしまったミスティ。

彼女を救うため、鬼柳たちはロヴィニ博士の家に向かうことを決意する。

一方で、ミスティは正気を取り戻し、何が起きているのかを自分なりに突き止め始めた。

そして、こちらに向かってくる鬼柳たちに、ミスティは突然、牙を向いた!


ミスティ:次回、遊戯王5DXAL「私を信じて ミスティVS鬼柳」


ミスティ:「お願い京介、ここは私に任せて」





遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!



ミスティ:「ロヴィニ博士が発見した”ヴィータのペンダント”は、死んだ人を蘇生させる力を宿しているわ。そして人をマインドコントロールする力を持っている危険な代物よ。博士は、これを使って奥さんを蘇らせようとしていたみたいだけど…」
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