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第127話:『虎猫の威嚇炸裂!』








静香とラーヴル、龍可とアントンの攻防戦が続く中、キャットちゃんもガリーナと一戦を交えていた。


ガリーナ:「ラヴァ・ポイズン!」
ヴォルストランサーを振って、溶岩の塊を1発飛ばす。


キャットちゃんは、その攻撃を躱し、溶岩の塊は後ろにある樹木にヒットした。

ヒットした部分が見る見ると溶けていくのが見てわかった。


炎属性と地属性を組み合わせた溶属性が使えるガリーナならではの技だ。


ガリーナ:「当たらなくてよかったわね。この攻撃に当たれば、当たった場所は毒に感染されたように溶けていく。だから、ポイズンっていうのよ」
ヴォルストランサーを振り回しながら、ガリーナは言った。


キャットちゃんも、キャットネイルを構えて、いつでも攻撃が飛んできてもいいように準備をしていた。



木の上から高みの見物をするレイド。


レイド:『随分粘るな、フロンティアの連中も。戦いも気になるが』
レイドは目線を池のすぐそばにいるアドレーに向けた。


池の中を照らす光が大きくなっているのがわかる。



レイド:『さて、ドミナシオン。一体、どんな奴が復活するんだ』
ワクワクが止まらない。その気持ちが表情に現れていた。









第8OP『Mysterious《Naifu》』







第127話:『虎猫の威嚇炸裂!』







アドレー:「ぐうう」
身体中が熱いアドレー。胸を押さえながら、身体の中に眠るエネルギー物質が吸収される。


???:『もう少しだ。…もう少しで…お前は解放される…』

アドレー:『さっきから誰なの!?僕に語り掛けているのは!』

???:『我は、お前の身体に我が一部を入れ込んだ。お前に預けていたエネルギーが我に戻ったとき、我は完全に復活する』


アドレー:『そうか、お前はドミナシオン!』

???:『そう、我が名はドミナシオン。かつて、この土地を支配していた存在。何十年も前に、アクリスの手によって宝玉に封印され、長い年月を得て復活しようと試みたとき、我が破片を1人の人間が回収した』
それってもしかして!アドレーは、頭の中に聞こえる声の話しを聞いてパパのことを言っているんだと呟いた。


???:『そして、あの時、我は宝玉の破片から身を映した。お前の体の中にな。お前の中にいれば、いずれはここへ導いてくれると踏んでな』

アドレー:『僕を利用していたのか?』

???:『我は何もしてない。ここへ来ると決めたのは、お前自身。お前自身が我を導いてくれたのだ』

アドレー:『プラント同様、僕は、お前の掌の上で動いていたというのか…』

???:『さあ、もう少しだ。もう少しで我が姿は完全体となる。その時、お前の身体は晴れて自由となる。だが、我はこの世界を支配するために新たな道を歩き出すのだ!』
アドレーから大量の黒いオーラが吹き出す。



アドレー:「わあああああああ!」
頭を押さえるアドレー。



いきなり叫び出したアドレーに驚くみんな。


キャッシー:「アドレー!!」
ガリーナとの戦いをすっぽかしてアドレーの元へ走るキャットちゃん。


アドレーに触れようとしたとき、何かがアドレーの身体を守り、触れようとしたキャットちゃんが吹き飛ばされてしまう。


キャッシー:「きゃあ!」


龍可:「キャットちゃん!」


アントン:「おっと行かせないぜ」
龍可がキャットちゃんの元へ向かおうとするが、その前にアントンが立ち塞がる。





キャッシー:「くっ、何かがアドレーを守っている…。なら、それを打ち破るまで!」
キャットネイルの刃で、アドレーに纏っている闇を斬り裂こうとするキャットちゃん。



だが、その前にガリーナが立ち塞がった。


ガリーナ:「悪いけど、これ以上はさせないわ」

キャッシー:「そこをどきなさい!」

ガリーナ:「どかない。もう少しでドミナシオンが復活するかもしれないからね」
ガリーナが後ろを振り向き、アドレーを見る。


すると、池の中が輝き、中から何かが浮上してきた。




レイド:「遂に出てきたな…”アラクネーの宝玉”」
池の中から出てきたのは、レイド、それにガリーナたちが探し求めていたアラクネーの宝玉そのものだった。


宝玉の中心部に蜘蛛のような形をした模様が打ちし出されているから間違いないだろう。




ラーヴル:「あれがアラクネーの宝玉か」
宙に浮くアラクネーの宝玉を見るラーヴル。



アドレーから出ているオーラいやエネルギーと、宝玉から出ているエネルギーが共鳴しているのも、その証拠だ。


アントン:「宝玉が出てきたということは、そろそろということか」

もう少しで、ドミナシオンが復活する。アントンたちはそう思っていた。



キャッシー:「絶対にさせない。ドミナシオンの復活は、私たちが阻止する!そしてアドレーを救い出して見せるわ!」
キャットネイルを収めるキャットちゃん。


ガリーナ:「ん?何のつもり?デュエルギアを使わずに私を倒そうとでも思っているの?」

キャッシー:「いいえ、思っていないわ。だから、ここは正々堂々デュエルで勝負しないかしら?」
いきなりデュエルを申し込むキャットちゃん。

ガリーナ:「へえ、面白いこと言うわね」

キャッシー:「あなたもデュエリストなんでしょ?だったら、デュエルギアで勝負しないで、デュエルモンスターズで勝負しましょ。私が勝ったら、そこを通してもらうわ」

ガリーナ:「あなたが負けたら?」

キャッシー:「みんなを連れて、この場を去る」
覚悟を決めたかのようにキャットちゃんはミッションウォッチから粒子化していたD・ゲイザーとD・パッドを手元に出す。


ガリーナ:「いいわ。その条件に嘘がないと言うなら、デュエルを受けましょう」
ガリーナもデュエルギアを収め、デュエルディスクとデュエルアイを手に取る。


キャッシー:「一度言ったことに、嘘はつかないわ」
左目にD・ゲイザーをつけながらキャットちゃんは言った。



ガリーナ:「いい覚悟ね」
ガリーナもデュエルアイを左目につける。


キャットちゃんはDパットを、ガリーナはデュエルディスクを左腕につける。


キャッシー:『待っててアドレー。すぐに私が助けるから!』
胸の中でそう呟きながら、Dパットを起動させた。


ガリーナ:「行くわよ!」

キャッシー:「ええ!」



「「デュエル!!」」
両者の叫び声と共にデュエルがスタートした。





両者
LP4000


1ターン


キャッシー:「先行はもらうわ!私のターン、ドロー!」
キャットちゃんが先行を取り、デッキから1枚ドロー。手札が6枚になる。


キャッシー:「私は”キャット・ガール”を攻撃表示で召喚よ!!」
キャットちゃんの場に、猫をモチーフにした衣装を着用した女性モンスターが現れる。


キャット・ガール
LV4 攻撃力1200


キャッシー:「リバースカードを1枚セットし、ターンエンドよ」
キャットちゃんのターンが終了した。



ガリーナ:「猫好きにはたまらないデッキね。でも、私のデッキに、そのデッキは不利と見たわ」

キャッシー:「まだデュエルは始まったばかりよ。勝手に決めつけないでくれる?」

ガリーナ:「そういうと思ったわ。ならすぐに現実を見せてあげる!」
ガリーナのターンに入る。





2ターン
両者
LP4000



ガリーナ:「私のターン、ドロー!」
ガリーナがデッキからカードをドローし、手札が6枚になる。

このときガリーナの思考は動いていた。

ガリーナ:『攻撃力の低いモンスターを攻撃表示で召喚。そして、リバースカードが1枚。こちらからの攻撃を誘っていることがバレバレだけど、ここはあえて、その誘いに乗ることにするわ』
ガリーナが動く。


ガリーナ:「”溶岩ギル・ガース”を攻撃表示で召喚!」
赤い鎧を身に付けた悪魔がフィールドに現れる。


溶岩ギル・ガース
LV4 攻撃力1800


ガリーナ:「溶岩ギル・ガースの効果発動。手札を2枚墓地へ送ることで、デッキから炎属性または地属性もしくは、モンスター名に”溶岩”と名の付いたモンスター1枚を手札に加える!」
ガリーナはデッキから1枚か―カードを手に取り、それを手札に加えた。



ガリーナ:「溶岩ギル・ガースでキャット・ガールに攻撃!デス・ラヴァ・スラッシュ!」
手に持っている剣で、キャット・ガールに攻撃を仕掛けようとする。

キャッシー:「そうはさせないわ!リバースカード発動!”猫に小判”!自分フィールド上に存在する獣族モンスターが攻撃対象に選択されたとき、ダメージステップの間、そのモンスターの攻撃力を相手モンスターの攻撃力の半分の数値分アップする!」
溶岩ギル・ガースの攻撃力は1800。その半分、900ポイントがキャット・ガールの攻撃力に加算される。


キャット・ガール
攻撃力1200 → 2100


キャッシー:「反撃して!キャット・ガール!!」
キャット・ガールが、素早く走り、溶岩ギル・ガースの攻撃を躱して、溶岩ギル・ガースの背後を取り、その拳を喰らわせて破壊した。


ガリーナ:「やってくれるわね」

ガリーナ
LP4000 → 3700


ガリーナ:「でも、この瞬間、溶岩ギル・ガースの効果発動!このカードが戦闘で破壊され、墓地へ送られたとき、手札から”溶岩”と名の付くモンスター1体を特殊召喚する!あなたが、何かを仕掛けているのは読めていたわ。おかげで強力なモンスターを呼べる」

キャッシー:「くっ」
まんまとガリーナの思惑通りに動いてしまったと、キャットちゃんは少しだけ悔しかった。

ガリーナ:「私が呼び出すのは、さっき、溶岩ギル・ガースの効果で手札に加えた”溶岩伯爵ラヴァ・ジェルマン”!!」
ガリーナの場に赤いハット帽子や黒と赤の服を着用した男爵が現れる。


溶岩伯爵ラヴァ・ジェルマン
LV5 攻撃力2200


ガリーナ:「今度こそ形勢逆転させてもらうわ!溶岩伯爵ラヴァ・ジェルマンでキャット・ガールに攻撃!ラヴァ・バロン!」
髭を触りながら帽子を取り、その帽子を空高く投げて、帽子の中から溶岩の滝が流れ、下にいたキャット・ガールが飲み込まれて破壊される。


キャッシー:「ぐっ!」


キャットちゃん
LP4000 → 3900



ガリーナ:「この瞬間、溶岩伯爵ラヴァ・ジェルマンの効果発動!このカードが戦闘でモンスターを破壊したとき、破壊したモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える!キャット・ガールの元々の攻撃力は1200。その半分は600。受けてもらうわよ、効果ダメージを!」
ラヴァ・ジェルマンは手で溶岩の塊を生成し、それをキャットちゃんの足元に投げ飛ばして爆発を起こした。

キャッシー:「きゃあああ!」


キャットちゃん
LP3900 → 3300

爆発による風圧で、少しだけ吹き飛ばされるキャットちゃん。


ガリーナ:「私はこれでターンエンドよ」
ガリーナのターンが終了した。






2人のデュエルを見ていたレイド。


レイド:『溶岩デッキとは、女にしては珍しいデッキを使うな。これは、もう勝負あったか』
腕を組んで、右足に重心をかけて木に寄りかかるレイドはそう呟いた。




3ターン
キャットちゃん
LP3300
ガリーナ
LP3700



キャッシー:「私のターン!」
キャットちゃんは敵の強さに逃げず、デッキから1枚ドローする。手札が5枚になり、どうするかを考える。


キャッシー:『この手札じゃ、この状況を脱することはできない。チャンスを待つしかないわ。でも、そのためにモンスターを出さないと』
キャットちゃんはマジックカードを発動する。


キャッシー:「マジックカード”猫招き”を発動!デッキから”キャット・ナイトガール”を手札に加えて、攻撃表示で召喚!!」
剣と盾を持った猫の騎士が現れる。


キャット・ナイトガール
LV4 攻撃力1800


ガリーナ:『ん?攻撃表示…』


キャッシー:「キャット・ナイトガールは攻撃表示で存在する限り、相手はマジック、トラップカードを発動できなくさせる効果を持っているわ」

ガリーナ:『だから、攻撃表示で召喚したのね。でも、発動できないのは、そのカードがフィールドにいるときだけ、しかも攻撃表示。さっきの猫と同じですぐに葬ってあげるわ』
キャットちゃんのフィールドを見つめながらガリーナは呟いた。


キャッシー:「カードを2枚セットして、ターンエンド」
キャットちゃんのターンが終了した。


ガリーナ:『またリバースカード。キャット・ナイトガールを守るカードね。単純な作戦ね、まったく』
面白くないのか、さっきまで笑っていたガリーナの表情に笑みが消えた。


ガリーナ:「あまりに単純なデュエルで、全然面白くないわ。もう終わらせる!」
ガリーナの表情は真剣な表情だった。



4ターン
キャットちゃん
LP3300
ガリーナ
LP3700


ガリーナ:「私のターン、ドロー!」
ガリーナがカードをドローし、手札が4枚になる。



ガリーナ:「”溶岩魔神の化身”を攻撃表示で召喚!」
ガリーナの場に新たなモンスターが召喚された。


溶岩魔神の化身
LV2 攻撃力0


キャッシー:『攻撃力0…。でも、こういうモンスターに限って、何かあるのよね』


ガリーナ:「溶岩魔神の化身の効果発動!このカードを墓地へ送ることで、デッキから”溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム”を、自分フィールド上に特殊召喚する!!」

キャッシー:「えっ!自分のフィールド上に!?」

ガリーナの場にいた溶岩魔神の化身が消え、溶岩で構成された怪物がガリーナの場に現れる。


溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム
LV8 攻撃力3000


だが、これはおかしいプレイである。それはキャットちゃん自身も気づいていた。


キャッシー:『自分フィールド上にラヴァ・ゴーレムを特殊召喚!?本来、ラヴァ・ゴーレムは相手フィールド上に特殊召喚することで、毎ターン相手のライフを1000ポイントずつライフを減らす効果ダメージモンスターのはず。それを、どうして自分フィールド上に…!』
そんなことを思いながら、ガリーナはフッと笑った。


ガリーナ:「あなたが考えていること当ててあげましょうか」

キャッシー:「…」

ガリーナ:「相手のモンスター2体をリリースすることで召喚するラヴァ・ゴーレムを何故、自分フィールドに出したのか。ラヴァ・ゴーレムは、相手フィールド上に出すことで、効果を発揮し相手のライフを減らす効果を持っているというのに…」
キャットが思っていたことを全て言い当てるガリーナ。正直、気味が悪いと、キャットちゃんはそう思った。

ガリーナ:「私が、どうしてラヴァ・ゴーレムを、自分フィールド上に出したのか、それは、これを出すためよ」
右手に持つ1枚のカード。ガリーナは、それを出すために、わざと自分フィールド上にラヴァ・ゴーレムを出したのだ。


ガリーナ:「自分フィールド上に溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムが存在するとき、溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムのコントローラーを相手に移すことで、手札から”溶岩帝王ガイア・ラヴァ”を特殊召喚する!!」
ガリーナの場から溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムが消え、その代わりキャットちゃんのフィールドに溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムが現れる。


そして、大地を揺るがすほどの力を持つ溶岩モンスターの頂点に立つ者がガリーナの場に現れる。



溶岩帝王ガイア・ラヴァ
LV8 攻撃力3200



キャッシー:「攻撃力3200…!ラヴァ・ゴーレムより攻撃力が高い溶岩モンスター!」
圧迫感にやられ、キャットちゃんは胸を押さえる。

ガリーナ:「溶岩帝王ガイア・ラヴァは、カード効果では破壊されないモンスターよ。つまり、マジック、トラップカードは通用しないわ」
これが帝王の力。圧倒的な力に驚くキャットちゃん。


ガリーナ:「溶岩帝王ガイア・ラヴァで、ラヴァ・ゴーレムに攻撃!ダイナマイト・ラーヴァ・ブラット!」
赤い球体を空に飛ばし、爆発する。

そして、その中から溶岩の雨が降り注ぎ、先ほどキャットちゃんの場に移動してきたラヴァ・ゴーレムに直撃する。

キャッシー:「くっ!」


キャットちゃん
LP3200 → 3000


ダメージを受けたキャットちゃん。だが、ラヴァ・ゴーレムが破壊されたということは、次のターン、効果ダメージを受けなくて済むということだ。

そう思っていたキャットちゃんだったが、ラヴァ・ゴーレムは、まだ自分のフィールド上に残っていた。



キャッシー:「どうして…。確かに攻撃を受けたはず…!」


ガリーナ:「言い忘れてたけど、溶岩帝王ガイア・ラヴァが存在する限り、フィールド上に存在する溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムは戦闘では破壊されず、表示形式も変更できない」

キャッシー:「!」


ガリーナ:「更に、攻撃宣言も行えない!!」

キャッシー:「そんな…。それじゃあ、ラヴァ・ゴーレムは、本当にプレイヤーのライフを削るために存在しているってこと!」
ラヴァ・ゴーレムは、相手のライフを削るために、相手のフィールド上に召喚するが、デメリットとして相手の場に攻撃力3000のモンスターを召喚するため、ラヴァ・ゴーレムを召喚させたプレイヤーに戦闘ダメージを与えやすいと言う欠点もあり、防御にも使えると言うことだ。

だが、攻撃を防がれた以上、ガリーナのライフを減らすことはできない。戦闘で破壊されず、表示形式を変更できないということは、毎ターン、ガリーナのターンで、ガイア・ラヴァとの戦闘ダメージが自分を襲うと言うことだ。


キャッシー:「嫌な効果ね…」


ガリーナ:「バトルフェイズは終わってないわよ!溶岩伯爵ラヴァ・ジェルマンでキャット・ナイトガールに攻撃!」
被っていたハット帽子を空高く飛ばす。

先ほどと同じで溶岩の滝を帽子から出す気だとキャットちゃんは思った。


キャッシー:「リバースカード発動!”猫に石仏”!自分フィールド上に存在する獣族モンスターが、相手モンスターの攻撃宣言時、宣言されたモンスターは、このターン戦闘では破壊されない!」
キャット・ナイトガールは手に持つ盾を頭の上に挙げて、溶岩の滝から身を守った。


ガリーナ:「けど、ダメージは受けてもらうわよ」
モンスターの破壊は免れても、キャットちゃんへのダメージが消えるわけではなかった。


キャッシー:「っ!」


キャットちゃん
LP3000 → 2600


ガリーナ:「カードを1枚セットして、ターンエンドよ」
ガリーナのターンが終了した。







5ターン
キャットちゃん
LP2600
ガリーナ
LP3700


キャッシー:「私のターン!」
キャットちゃんがデッキから1枚ドローする。

キャッシー:「マジックカード”猫の尻尾”を発動!自分フィールド上に、獣族モンスターが1体以上存在する場合、デッキから2枚ドローする」
キャットちゃんの場には、キャット・ナイトガール、獣族モンスターが1体存在している。

よって、キャットちゃんはデッキから2枚ドローし、手札を補充した。


キャッシー:「私は手札から”捨て猫”を墓地へ送り”キャット・フェザー”を特殊召喚するわ!!」  
緑色の毛に、漢字で”風”と刻まれたペンダントを首にぶら下げた猫が現れる。


キャット・フェザー
LV5 守備力2200


キャッシー:「このカードは手札から獣族モンスター1体を墓地へ送ることで特殊召喚できる。更に、私はキャット・ナイトガールを守備表示に変更し」
キャット・ナイトガールが防御態勢に入る。


キャット・ナイトガール
攻撃力1800 → 守備力1500


キャッシー:「ターンエンド」
キャットちゃんのターンが終了した。




ガリーナ:「防御に専念してきたわね。でも無意味よ」
ガリーナは余裕な表情でそう言った。




6ターン
キャットちゃん
LP2600
ガリーナ
LP3700


ガリーナ:「私のターン!」
ガリーナがデッキからドローする。

ガリーナ:「私のスタンバイフェイズ、ラヴァ・ゴーレムの効果を発動!本来は、あなたのスタンバイフェイズで発動するはずのラヴァ・ゴーレムの効果ダメージは、ガイア・ラヴァの効果で、私のターンに発動するわ!あなたに1000ポイントのダメージよ!」
キャットちゃんの場にいるラヴァ・ゴーレムが、プレイヤーであるキャットちゃんにダメージを与えた。


キャッシー:「くっ!」


キャットちゃん
LP2600 → 1600


キャッシー:「さっきの私のターン、ラヴァ・ゴーレムの効果が発動しないから気になってはいたけど、そういうことだったのね」

ガリーナ:「気づくのが遅かったわね。もう一発行くわよ!溶岩帝王ガイア・ラヴァの効果発動!私のスタンバイフェイズ時に、ラヴァ・ゴーレムの効果が発動したとき、相手に800ポイントのダメージを与える!!」
ガイア・ラヴァが溶岩の球体をキャットちゃんに向かって投げ飛ばす。


キャッシー:「きゃあああ!」
キャットちゃんは吹き飛ばされた。

キャットちゃん
LP1600 → 800



その瞬間を見ていた静香。


静香:「キャットちゃん!」
静香がキャットちゃんの方へ走ろうとする。


ラーヴル:「逃がしはしない!」
身体中に浴びている電流を静香に向かって飛ばし、キャットちゃんの方へ行かせないよう、足止めをする。


ラーヴル:「あんたの相手は俺だ」
静香と交戦中のラーヴルは、静香を見下すような目で見つめる。





キャッシー:「くっ」
吹き飛ばされたキャットちゃんが立ち上がる。


ガリーナ:「このターンでケリをつけさせてもらうわ」
ガリーナが攻撃を仕掛けてくる…!キャットちゃんは彼女の目を見てそう思った。


ガリーナ:「溶岩帝王ガイア・ラヴァでラヴァ・ゴーレムに攻撃!ダイナマイト・ラーヴァ・ブラット!!」
溶岩の雨がラヴァ・ゴーレムを襲う。


しかし、ガイア・ラヴァがフィールドにいる限り、ラヴァ・ゴーレムは戦闘では破壊されない。

しかし、ダメージはプレイヤーを襲う。

キャッシー:「くっ!」


キャットちゃん
LP800 → 600


ガリーナ:「溶岩伯爵ラヴァ・ジェルマンでキャット・ナイトガールに攻撃!ラヴァ・ジェルマンは、戦闘でモンスターを破壊したとき、破壊したモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える!キャット・ナイトガールの攻撃力の半分は900。あなたのライフを0にするためには十分な数値よ!」
この攻撃が通れば、効果ダメージでキャットちゃんのライフは0になる。

ガリーナ:「ラヴァ・バロン!」
ラヴァ・ジェルマンが被っているハット帽子を空に向かって投げ飛ばした。

ハット帽子の中から、溶岩の滝を流すつもりなのだ。


キャッシー:「させるものですか!キャット・フェザーの効果発動!自分フィールド上に存在する獣族モンスターが攻撃宣言されたとき、1ターンに1度、攻撃を無効にし、相手に800ポイントのダメージを与える!!」
キャット・フェザーが口から強く息を吹きかけて、ハット帽子をラヴァ・ジェルマンの元に戻した。

ガリーナ:「モンスター効果で、攻撃を無効に…!」


ガリーナ
LP3700 → 2900


ガリーナ:「まあいいわ。どうせ、次の私のターンがこれば、ラヴァ・ゴーレムの効果ダメージで、あなたのライフは完全に尽きる。でも、念には念を入れておくわ。溶岩帝王ガイア・ラヴァの効果発動。自分の手札からカードを2枚墓地へ送ることで、相手フィールド上に存在するモンスター1体を破壊し、相手のライフを半分にする!」

キャッシー:「なんですって!?」

ガリーナは残り2枚の手札を全て墓地へ送った。

そして、ガイア・ラヴァが溶岩の塊をキャット・ナイトガールに向かって飛ばし破壊した。


キャッシー:「きゃあああ!」
キャット・ナイトガールを破壊した衝撃による風圧がキャットちゃんを襲う。


キャットちゃん
LP600 → 300


ガリーナ:「私は、これでターンエンドよ」
ガリーナのターンが終了した。



ガリーナ:「あなたのライフは風前の灯火。それに対して私のライフはまだ2900.このデュエル勝負あったわね」
腕を組んで、自分の勝利を宣言するガリーナ。


キャッシー:「まだよ、まだデュエルは終わっていないわ。私は、最後まで諦めない!」
ここまで追いつめられながらも、まだ諦めていないキャットちゃん。


ガリーナ:「その度胸だけは認めて上げる。でも、この状況をひっくり返すのは至難の技よ」

キャッシー:「なら、私はそれを実現させるまでよ!」
キャットちゃんの目つきがさっきとは違い、猫のような獲物を捕らえる目になる。






7ターン
キャットちゃん
LP300
ガリーナ
LP2900


キャッシー:「私のターン!」
キャットちゃんがデッキからカードをドローする。


すると、次の瞬間!



アドレー:「うわああああああ!」
今までにないアドレーの悲鳴が鳴り響く。


キャッシー:「アドレー!?」


ガリーナ:「どうやらもう少しのようね。ドミナシオンの復活は!」
アドレーの様子を見てガリーナはそう言った。


早くしないと、手遅れになっちゃう!そんなことを思いながら、キャットちゃんは引いたカードを確認した。


キャッシー:『!』
キャットちゃんは引いたカードと、序盤からずっと伏せていたリバースカードを見る。


キャッシー:「どうやら、キングのお出ましね」

ガリーナ:「え?」


キャッシー:「自分フィールド上に獣族モンスターが存在するとき、手札から”アイシクル・キャット”を特殊召喚!」
触ったら凍りつくような身体を持つ猫が現れる。


アイシクル・キャット
LV5 守備力2200


キャッシー:「リバースカード発動!”借りて来た猫”!自分フィールド上に”キャット”と名の付くモンスターが2体以上存在するとき、自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースし、デッキからキャットと名の付くモンスター1体を特殊召喚する!」

ガリーナ:「リリースって!」

キャッシー:「流石のあなたでも、状況が飲み込めたみたいね。私がリリースするのは、ラヴァ・ゴーレム!」
ラヴァ・ゴーレムはガイア・ラヴァの効果で戦闘では破壊されないが、リリースによってフィールドから離れることは無効にされない。つまり、フィールドから消すことが可能なのだ。

ラヴァ・ゴーレムが消え、背中に炎を灯す猫が現れる。


キャッシー:「”キャット・フレイム”を守備表示で特殊召喚!」


キャット・フレイム
LV5 守備力2200


キャッシー:「キャット・フレイムがカード効果で特殊召喚に成功したとき、相手に500ポイントのダメージを与える!!」
キャット・フレイムは口から火の粉を飛ばし、ガリーナに当てる。

ガリーナ:「っ!」

ガリーナ
LP2900 → 2400


ガリーナ:「たかが500ダメージ、何とも思わないわね」
キャットちゃんをバカにするような口調でそう言ったガリーナ。


キャッシー:「悪いけど、本命はここからよ!」


ガリーナ:「…!フィールド上にレベル5のモンスターが3体…。ま、まさか!」

キャッシー:「ええ、そのまさかよ!私はキャット・フェザー、アイシクル・キャット、キャット・フレイムの3体でオーバーレイ!!」
3体の猫が光の球体になる。


キャッシー:「3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」
フィールドの中央に現れた次元の渦に3つの光の球体が吸収され、そして新たなモンスターを呼び覚ます。

キャッシー:「猫にもなれば虎にもなる!その姿は、まさに百獣の王そのもの!”キャット・タイガー・キング”!!」
赤と緑と青の虎の模様が身体中にある大きな猫がフィールド上に現れる。


キャット・タイガー・キング
ランク5 攻撃力2800


ガリーナ:「ランク5のエクシーズモンスター…!でも、攻撃力はガイア・ラヴァの方が上よ。例え、ラヴァ・ジェルマンを破壊できたとしても、次のターンには、ガイア・ラヴァの攻撃で粉砕されるわ」

キャッシー:「残念だけど、もうあたなに次のターンはないわ」

ガリーナ:「何ですって…?」

キャッシー:「キャット・タイガー・キングの効果発動。このカードがエクシーズ召喚に成功したとき、オーバーレイユニットを一つ取り除き、相手フィールド上に存在する一番攻撃力が低いモンスターを破壊し、相手に1000ポイントのダメージを与える!!グッバイ・ネイル!」
3つあるキャット・タイガー・キングのオーバーレイユニットが2つになり、キャット・タイガー・キングは、その爪で溶岩伯爵ラヴァ・ジェルマンを葬った。


ガリーナ:「ちっ!」


ガリーナ
LP2400 → 1400


キャッシー:「手札からマジックカード”女の心は猫の眼”を発動!自分フィールド上に存在する獣族モンスター1体を選択して発動!選択したモンスターの攻撃力は、エンドフェイズまで相手ライフと同じ数値分アップする!!」
ガリーナのライフは1400。よって、キャット・タイガー・キングの攻撃力は1400ポイントアップする。


キャット・タイガー・キング
攻撃力2800 → 4200


ガリーナ:「攻撃力4200…!?」

キャッシー:「キャット・タイガー・キング!」
キャットちゃんの猫の耳のような髪の毛がピクピク動く。

キャッシー:「思いっきり楽しむニャ!」
つい出てしまった…。語尾に”ニャ”をつけるときは、キャットちゃん本人が興奮するときだ。

キャッシー:「キャット・タイガー・キングで溶岩帝王ガイア・ラヴァに攻撃!ストロング・虎イデント!!」
キャット・タイガー・キングの前方に赤と青と緑の3つの魔法陣が展開され、その魔法陣を潜り、身体を輝かせながらガイア・ラヴァに突撃し、破壊した。


ガリーナ:「くっ、ガイア・ラヴァが!」


ガリーナ
LP1400 → 400


キャッシー:「キャット・タイガー・キングの効果。戦闘でモンスターを破壊したとき、オーバーレイユニットを一つ取り除くことで、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える!!」
2つあるキャット・タイガー・キングのオーバーレイユニットが一つ消え、口から光線を飛ばして、ガリーナを吹き飛ばす。


ガリーナ:「あああああ!」

溶岩帝王ガイア・ラヴァの攻撃力は3200。これで勝負あった。




ガリーナ
LP400 → 0



デュエルの勝者はキャットちゃんとなった。



ガリーナ:「くっ、私が、負けるなんて…」
起き上がりながら、悔しい気持ちを口に出す。


キャッシー:「約束通り、ここは通してもらうわよ」
ガリーナの横を走って通り過ぎたキャットちゃん。


約束は約束、ガリーナは負けを認め、キャットちゃんを通した。



キャッシー:「アドレー!」

アドレー:「きゃ、キャッシー、お姉ちゃん…」
苦しみながらキャットちゃんの方に振り向こうとするアドレー。


???:『さあ、遂に復活するときだ…!』
さっきからアドレーの頭の中に聞こえる声。


だが、今の声は、キャットちゃんたちにも聞こえていた。


キャッシー:「い、今の声…!!」



レイド:「ドミナシオンの声…」
レイドにも聞こえた不気味な声。その声の主がドミナシオンのものだとレイドは言う。


アラクネーの宝玉の輝きが増していく。



アドレー:「うわああああああああああ!!!」


???:『この大地を壊し、全てを支配する!その時が実現するのだ!!!』
アドレーと宝玉から出ているオーラが、化け物の影を作る。



巨大な影が現れた衝撃で、宙に浮かんでいたアラクネーの宝玉がどこかへ吹き飛んでしまった。


そして、その影は、巨大な蜘蛛の形となって雄叫びを挙げるのであった。






第8ED『あしあと《Clair(クレア)》』






次回予告

ナレーション:遂に、支配神ドミナシオンが復活してしまった!

ドミナシオンの圧倒的な力に怯える人間たち。そして破壊されていくエルフェンの森。

なすすべがないと思っていたとき、キャットちゃんが、アドレーが、そしてフロンティアのメンバーが、みんなを救うために動き出す!


キャッシー:次回、遊戯王5DXAL「ドミナシオン復活!悲しみか喜びの選択肢」


キャッシー:「目を覚ましなさい!アドレー!」




遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!


キャッシー:「今回、私が使用したエクシーズモンスター”キャット・タイガー・キング”は、レベル5モンスター3体を素材にエクシーズ召喚できるランク5のモンスターよ。トラのような縞模様を持つネコで、目をつけられたら、逃れられることなんてできないわよ!」
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