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第124話:『静寂な水の輝き!クエートウォーター・フラッシュ!』






プラントの隊員たちと戦闘するレミ。


マジークガイドソードとデスサイズ・ラモールを交差させて、敵が降ろおろしてきた大剣のデュエルギアを受け止める。

隙あり!と言って、敵がレミの背後から仕掛けてくる。


レミ:「っ!」
しかし、レミはすぐにその場から離れて背後からの攻撃を躱す。


レミ:「まったく、しつこい人達ね」
息を切らしながら、レミは小さい声で言った。



すると、近くで爆発音がなった。


かなり大きい音だった。



レミ:「確か、あそこには梨香が…。あのモンスターたちに苦戦しているみたいね」
爆発がした方向には煙が上がっていた。





爆発した付近




身体中に少し擦り傷を負う梨香が、5体のドラゴンガール・ヒーローを相手に苦戦を強いられていた。










第8OP『Mysterious《Naifu》』










第124話:『静寂な水の輝き!クエートウォーター・フラッシュ!』






5体のドラゴンガール・ヒーローを相手に苦戦を強いられる梨香。


梨香:「はぁ、はぁ。流石、パパのモンスターね。見た目は女でも、力は化け物だよ」
力ない笑みでそう呟く梨香。


別にバカにしているわけではなく、驚いているのだ。

まるで、歯が立たないことに…。



黄色の鎧を身に纏う、轟く雷鳴の轟竜の力を手にしている”DG・HERO轟竜-織田信長”が、梨香に接近してくる。


織田信長の名を持っているが見た目は女だ。


ショットガンから弾丸を数発放つ。

梨香は当たらないようにすぐに躱した。


しかし、轟竜-織田信長はその隙に高く飛び刀の刀身を輝かせて梨香を切ろうとする。


梨香:「女1人に、そんな本気にならなくてもいいでしょ!」
梨香はラーマーヤナから斬撃を放つが、轟竜-織田信長はそれを軽々とかわして、梨香を切り殺そうとする。


それを躱そうとする梨香。

轟竜-織田信長の強い太刀筋が地面を叩きつけて、その衝撃により風圧が発生し、梨香を襲う。

梨香:「きゃあああ!」
梨香が吹き飛ばされ、近くの木にぶつかる。

背中から思いっきりぶつかってしまった梨香。


あまりの痛みにすぐに立ち上がれそうになかった。


そんな梨香に近づいてくる5体のドラゴンガール・ヒーロー。


怖い目つきで梨香に少しずつ近づく。


梨香:『闇の力の影響とはいえ、ここまで強いなんて。本来の力は、どれぐらいすごいのよ。ドラゴンガール・ヒーローって…!』
梨香が何とか立ち上がろうとするが、やはりまだ立ち上がれない。


5体の中心に立つ轟竜-織田信長が水色の長い髪の毛を靡かせながら、ショットガンの銃口を梨香に向けた。


梨香:『やられる…!』
梨香は死ぬ覚悟を決めた。


しかし―



サイバー・チュール:≪やらせない!≫
梨香の前に突然現れたピンクのツインテールでバレリーナ用の舞台衣装を着用する少女が、轟竜-織田信長に強い蹴りをお見舞いした。

轟竜-織田信長は咄嗟に後ろに下がり、他のドラゴンガール・ヒーローたちも後ろに下がる。


サイバー・チュール:≪もう見てられないわよ!梨香!≫

梨香:「サイバー・チュール…!どうして出てきたの!」
梨香のデッキに入っているモンスター”サイバー・チュール”が、実体化して梨香を助けたのだ。


サイバー・チュール:≪私も手伝ってあげる!≫

梨香:「無理よ!相手はパパが使っていたモンスターなのよ!」

サイバー・チュール:≪でも、今は闇に操られたまがい物よ!≫
その言葉を聞いた梨香が、「確かにそうだ」という気持ちでサイバー・チュールの言葉に耳を傾けた。





サイバー・チュール:≪私、偽者の力に負けるほど、弱くない。梨香もそうでしょ?もし、あなたの父が、あの5体を操っていたら、物凄く強いし勝てないかもしれない。でも、今は闇に操られた人形も同然でしょ≫
サイバー・チュールが梨香に語り掛ける。


梨香:「そうだったわね。今、私の前にいるドラゴンガール・ヒーローはただの人形。闇に操られた弱いモンスターよ!」
梨香は楽しそうに笑ってそう言った。


サイバー・チュール:≪いつものあなたに戻ってきたわね≫
梨香の顔を見てそう思ったサイバー・チュール。


梨香:「あなたのおかけで目が覚めたわ。ありがとう」

サイバー・チュール:≪どういたしまして≫
梨香とサイバー・チュールが横に並ぶ。


梨香:「さあ、ここからが本気のバトルよ!」
梨香がラーマーヤナを構える。


5体いるドラゴンガール・ヒーローの1体、DG・HERO迅竜-石田三成が2本の大剣を手に取り、梨香に接近する。

女性なのに、2本の大剣を両手に持つなんて大した腕力だと、梨香はそんな目をしながら、迅竜-石田三成の大剣による攻撃を躱す。


サイバー・チュール:≪梨香!≫

梨香:「私は大丈夫!あなたは、そっちに集中して!」
その言葉を聞いたサイバー・チュールは目の前を見る。


DG・HERO崩竜-徳川家康とDG・HERO火竜-豊臣秀吉が、自分の方に走って接近していた。


火竜-豊臣秀吉がショットガンから弾丸を数発放った。

その弾丸は、放たれてから10メートルぐらいで炎に包まれた。


そして、炎をに包まれた弾丸は炎の竜の姿となって、大きな口を開けたような状態でサイバー・チュールを襲おうとした。



サイバー・チュール:≪そんなこともできるのね。でも、当たらなければ問題ないわ!≫
サイバー・チュールが、火竜-豊臣秀吉の攻撃を躱す。

余裕で、その攻撃を躱すサイバー・チュール…だったが、自分を覆うように影が現れ、サイバー・チュールを上を見る。


さっきまで、火竜-豊臣秀吉の側にいた崩竜-徳川家康が、手裏剣に近い形をした剣を持って飛んでいた。


崩竜-徳川家康が、手に持っていた剣を手裏剣のように投げ、サイバー・チュールを追う。

サイバー・チュールは必死に逃げる。

サイバー・チュール:≪どこまで追いかけてくるのよ!まったく!≫
サイバー・チュールは伏せて、ギリギリで手裏剣のように飛ぶ剣の攻撃から逃れた。


投げた剣は崩竜-徳川家康の手に戻ってくる。

そのまま崩竜-徳川家康は大剣を持ってサイバー・チュールに接近する。


サイバー・チュール:≪!≫
背後を見ると、火竜-豊臣秀吉が接近している。


サイバー・チュール:≪これはちょっとまずいかも…!≫
自分の危機を知ったサイバー・チュール。


しかし―。


???:≪あなたは、赤い鎧の方に集中して!≫
サイバー・チュールに語り掛ける女性の声。


サイバー・チュールは言われた通りに、火竜-豊臣秀吉の腕を押さえる。



そして、崩竜-徳川家康の方は、サイバー・チュールの隣に突然現れた美しいドレスを着る”サイバー・マリー”が受け止めた。


サイバー・チュール:≪マリーどうして!≫

サイバー・マリー:≪5対2じゃ、流石に分が悪いでしょ≫
サイバー・マリーが、チュールに向かって笑顔で言う。


サイバー・チュール:≪この2体を倒して、梨香の手伝いをしないといけないからね≫


サイバー・マリー:≪私たちの姿を見て弱そうだと思わないことね≫
サイバー・マリー、サイバー・チュール両者とも、その足で目の前にいるドラゴンガール・ヒーローを蹴り飛ばした。


敵2体のモンスターは一度距離を取って、武器を構える。


敵は2つずつ武器を持っているにも関わらず、サイバー・マリーもサイバー・チュールも武器を持たずに、敵と戦闘する。






その頃、梨香は3体のドラゴンガール・ヒーローを相手にしていた。



DG・HERO破竜-井伊直政が、腰に背負う3本の刀から2本、鞘から抜いた。


2本の剣を巧みに扱い、梨香に何度も斬撃を与える。


梨香は斬られないようにその斬撃を全て受け止める。







その斬撃を受け止めながら、梨香は破竜-井伊直政の目を見る。

身体は動いているが、意識はないように見えるその目…。


梨香:『闇に負けちゃダメ…。あなたたちは地球を守った英雄たちでしょ…!』
梨香は、そのことを思いながら、破竜-井伊直政の斬撃を何度も受け止める。


そして、いきなり強い太刀筋が梨香を襲い、後ろに吹き飛ばされる。


梨香:「うぅぅぅ!」
両足で踏ん張り、その太刀筋に耐えた。


地面には、梨香が踏ん張った足跡がくっきり残っている。


破竜-井伊直政は、無言な表情で梨香を見つめる。


そして、残り1本鞘に収めていた刀を抜き、右手に1本、左手に2本の刀を持って構える。

梨香:「?」
何しているんだと言う表情で見つめる梨香。


すると、破竜-井伊直政が持つ3本の刀が輝き、1本の太刀になった。


梨香:「3本の刀が1本に…!」
武器が合体したのか…!そんなことを思いつつも、その間に破竜-井伊直政は手に持つ太刀を握り構えていた。



そして、破竜-井伊直政は、その太刀を逆手に取り、剣先を地面に当てて地面を走る斬撃を繰り出す。



この攻撃は躱せる…。

そう呟く梨香。

だが、地面を走る斬撃は少しずつ大きくなり、やがて地面の中から顎に巨大な2本の牙を持った土で生成された竜が現れる。


梨香:「うそでしょ!こんなのあり!」
それを見た梨香が驚愕する。


梨香は躱そうとするが、土で生成された竜は梨香が数秒前まで立っていた場所に、巨大な牙を差し込み、その後、顔を上げて、土や石が周りに飛び散った。


飛び散った石などに当たる梨香。

背後に近づく迅竜-石田三成の気付くのが遅れ、捕まってしまった。


梨香:『やばい…!』
右腕で首を絞められ、さっきまで持っていた2本の大剣は背中に背負い、腰に身につける脇差を抜いて、梨香の首に刀身を当てる。


梨香は必死にもがくが、女生徒はいえ、敵はモンスター。力は、勿論、向こうの方が上、簡単に抜け出すことはできない。


脇差の刀身が梨香の首に少し当たる。


梨香:『一か八か、やってみるしかないわ!』
梨香は両手にデュエルエナジーを込める。




梨香:『水属性の波動を集中して…』
ラーマーヤナの刀身が青く光る。


迅竜-石田三成に気付かれないようにラーマーヤナの柄の頭部分を向ける。

梨香:「ウォッダー・ヴィンジニア!!」
そう叫んだ瞬間、ラーマーヤナの柄の頭から水が出てきた。


その水は、少しずつ迅竜-石田三成を飲み込み、球体となって、最後は捕えた。


突然の出来事に驚いたのか迅竜-石田三成は、つい梨香を手放してしまった。

苦しかったせいで咳き込む梨香。


梨香:「私の身体に一番流れている属性の波動は水。この3か月間、私は、水属性の波動を操れるように修行を重ねてきたわ」
梨香は、この3か月間の修行のことを思い出す。



迅竜-石田三成は闇の力を増幅させて、この水の檻から出ようとするが、身体が思うように動かない所為か、水の中から出られずにいた。

梨香:「無駄よ。水の中じゃ、行動は制限されるから、簡単には抜け出せない」
梨香は捕えた迅竜-石田三成を見てそう呟く。


すると、そのとき!


???:≪苦しい…≫

梨香:「え?」

???:≪助けて…私たちは…≫

???:≪闇に…溺れ…≫
頭の中に聞こえる女性たちの声。


それは、梨香ではなくサイバー・チュールとサイバー・マリーにも聞こえていた。



???:≪早く…この呪縛から…≫


サイバー・チュール:≪ねえ、聞こえた?今の声!≫

サイバー・マリー:≪ええ、でも一体、誰の声なの?≫
突然聞こえた声の主が誰なのか、周りを見渡すサイバー・チュールたち。


だが、今、ここには梨香と私たち、そしてドラゴンガール・ヒーローたちしかいない。


聞いたことのない声。

梨香:「!」
はっと梨香はまさか…というような表情で、ドラゴンガール・ヒーローたちを見る。


梨香:「あなたたち、なの?」
梨香がウォッダー・ヴィンジニアに捕らえられている迅竜-石田三成を見て、そう思った。




サイバー・マリー:≪ドラゴンガール・ヒーローたちが苦しんでいる…≫

サイバー・チュール:≪彼女たちも闇に負けないように戦っているんだわ!≫

突然聞こえた声が、もしドラゴンガール・ヒーローたちのものなのであれば、きっと彼女たちもレイドの闇と戦っているんだ。そう思ったサイバー・マリーたち。






轟竜-織田信長が刀を振り回し、梨香を襲う。


梨香:「レイドに植え付けられた闇に負けちゃダメ!」
轟竜-織田信長の刀を受け止めながら、梨香は語り掛けるが、その目は遠くを見ていた。



サイバー・チュール:≪梨香!≫
サイバー・チュールが梨香を助けようと動こうとするが―。


サイバー・マリー:≪チュール!前!≫

サイバー・マリーの声を聞いてサイバー・チュールは、目の前を見た。


そうだった。今は、彼女の相手をしていたんだ。

そう思いながら、DG・HERO火竜-豊臣秀吉が放つショットガンの弾丸を躱すサイバー・チュール。


サイバー・マリーも、DG・HERO崩竜-徳川家康と交戦中だった。



梨香たちが目の前の敵と戦っている間に、破竜-井伊直政が手に持つ太刀で、水の牢獄を斬り壊し、中にいた迅竜-石田三成を助けた。



それを見ていた梨香は、悔しい表情をする。



梨香:『このままじゃ、こっちの力が持たない…!何とかして、彼女たちを助けないと!』
そう思いながら、轟竜-織田信長から一旦距離を取る梨香。


しかし、迅竜-石田三成と破竜-井伊直政が、走って梨香に接近する。


梨香:「このままじゃ、本当にやばい!」
大きな声で発言した瞬間、梨香が持っているラーマーヤナが輝く。



その光はラーマーヤナの所持者である梨香でさえ目を瞑るほどの光だった。




そして、迅竜-石田三成と破竜-井伊直政の前に1体のモンスターが立ち塞がった。


目を開いて、梨香は自分の前に立つモンスターの後ろ姿を見て呟く。


梨香:「サイバーエンジェル-螺天…」
ラーマーヤナの本来の姿。サイバーエンジェル-螺天が現れたのだ。

美しい桃色の髪、2本の剣を握るサイバーエンジェル-螺天は、首を少し回し、梨香と目を合わせる。


螺天:≪梨香…あなたは、彼女たちをどうしたいのですか?≫

梨香:「え?」

螺天:≪武器を握る時に迷いがあってはならない。今のあなたは、相手の攻撃を防いでるだけの存在。倒したいのか、逃げたいのか、はたまた別の答えがあるのか。それを決めなさい≫
螺天が梨香に語り掛ける。


梨香:「私は、あの5体を、彼女たちを救いたい…!」
はっきりとそう言った梨香。

螺天は頷いた。


螺天:≪ならば、それを果たしなさい。彼女たちを救える手をあなたは持っているはずです。水と言う力を…≫

梨香:「水…」
梨香は自分の掌を見る。


螺天:≪水は生き物の心を収める効果を持っています。静寂で、心を落ち着かせる力を…≫

自分が持っている水属性の波動。

私にそんな力が持っているのか、自身はない。


けど―。


梨香:「やるしかないよね!」
梨香がそう言ってやる気を出す。



サイバー・マリーたちと戦っていた崩竜-徳川家康と火竜-豊臣秀吉が、轟竜-織田信長たちがいる場所の側に立つ。


螺天:≪我々が、彼女たちの動きを誘導します。マリー、チュール、手伝いなさい≫
螺天の隣に、サイバー・マリーとサイバー・チュールが立ち、5体のドラゴンガール・ヒーローに向かって接近する。



梨香はラーマーヤナを見つめる。


梨香:『静寂で、心を落ち着かせる力。水には、その力が備わっている…』
梨香は水属性の波動をラーマーヤナに込める。

水属性の波動が込められたことでラーマーヤナは青く輝いた。


目の前で戦っているモンスターたちを見つめる梨香。


梨香:「私を信じて…パパ」
ラーマーヤナを持って走る。


梨香:「彼女たちを絶対に救って見せるから!」
梨香は大きな声でそう言った。




梨香:「螺天、行くわよ!」
梨香はそう言うと、螺天は光の球となって、梨香と一つになる。


これは、人間と精霊が心を通わせ通じ合ったときに起きる力”限界勢力”だ。

梨香は、それが使えるようになったのだ。







サイバー・チュール:≪あれって、もしかして!≫

サイバー・マリー:≪限界勢力…!遂にやったわね、梨香!≫
身体中が輝いている梨香を見て、驚くチュールと感心してしまったマリー。



梨香:『螺天、お願い!』
梨香は、身体の中にいる螺天に語り掛け、螺天本人は頷いた。


5体のドラゴンガール・ヒーローが、武器を持って梨香に近づく。


ラーマーヤナを両手で持ち、ドラゴンガール・ヒーローたちの攻撃を受けては華麗に躱し、そして受けてはまた躱した。

その動きは、まるで音楽に合わせて踊っているようにも見えた。


梨香:「あなたたちに取り付いた闇の呪縛、私が解いて見せるわ!」
身体中輝いている梨香とは異なり、ラーマーヤナが青く輝き、刀身が水に覆われる。


梨香:「はっ!」
ラーマーヤナを振り、地面が水で覆われる。


梨香:「はあ!」
剣を下から上へ振り上げ、地面を覆った水から数本の水柱が生成される。

その水柱は、まるで結界のようなものだった。

数本の水柱の中に立つドラゴンガール・ヒーローたち。

頭上が太陽のように輝く。


その輝きは、ドラゴンガール・ヒーローたちに取り付いた闇を吸収する。


梨香:「あれが、彼女たちに取り付いていた闇!」
浮き上がるように出てきた闇を肉眼で確認。


その闇は、雄叫びを上げるかのよう不気味な表情をする。


梨香:「レイドは、これほどの闇を操れるのね。でも、これぐらい、私の敵じゃない!」
ラーマーヤナを持つ右手を挙げる。

梨香:「静寂な水の輝き!その輝きで闇を浄化せよ!」
闇が、完全に表へ現れ、ドラゴンガール・ヒーローたちはカードに戻る。


梨香:「クエートウォーター・フラッシュ!!」
闇を照らす輝きが、数本の水柱を吸収する。


そして、頭上の輝きから、水の渦が放たれ、闇を撃ち抜いた。

闇は苦しむように消え去った。


サイバー・チュール:≪終わったわね≫

サイバー・マリー:≪ええ、ひとまず安心ね≫
サイバー・チュールたちが実体化を解き消えた。


梨香と一つになっていた螺天も光の粒子となって消えた。


梨香は、地面に落ちている5枚のカードを拾う。

手に取った5枚のドラゴンガール・ヒーローのカードがピカッと輝く。


梨香の意識が、現実世界から離れ、心の中の意識へと飛んだ。


目の前には、5体のドラゴンガール・ヒーローが並んでいた。



轟竜-織田信長:≪ありがとう、梨香。私たちをレイドの呪縛から助けてくれて≫
轟竜-織田信長が、梨香に近づいて礼を言う。


梨香:「気にしないで、信長ちゃん」

轟竜-織田信長:≪信長ちゃん?≫

梨香:「みんな、女なのに、男の名前つけられているでしょ。だから、”ちゃん”付け」
ニヒッと笑う梨香。

その顔を見て、轟竜-織田信長はかつての主の顔を思い出す。

轟竜-織田信長:≪その表情、遊城十代と一緒ね≫
轟竜-織田信長がそう言うと、梨香は元気なさそうに「そうなんだ」と呟いた。

梨香:「あなたたちも、あの戦争で戦っていたんでしょ?」

轟竜-織田信長:≪……≫

梨香:「教えて、あの戦争で、あなたたちに何があったのか?パパに何があったのかを…!」
梨香が追求する。

轟竜-織田信長:≪それは話せない≫

梨香:≪え?≫

轟竜-織田信長:≪あの戦争について語ることは、あの戦争が始まる前に遊城十代から、時が来るまで話してはいけないと固く禁じられている。それに、我々ドラゴンガール・ヒーローは、遊城十代やネオスと違い、地球圏での戦いではなかった≫

梨香:「地球圏の戦いじゃないって、あの戦争はどれだけの規模で行われていたの!?歴史には刻まれていない、私たちの知らない戦いがあったってこと?」
梨香がしつこく追及する。

轟竜-織田信長:≪話はここまでよ。これ以上話すことはできないわ。でも、いずれ話す時は来るわ。世界を知るためにね≫
轟竜-織田信長が梨香の目の前から消えて行く。


轟竜-織田信長:≪私たちは、これからあなたと共に戦うわ≫
最後に轟竜-織田信長はそう言った。


そして、梨香は現実世界に意識を戻す。


手元に持つ5枚のカードを見る。


梨香:「いずれ話すか。まあいいわ。話したくないことを無理に聞くつもりはないしね」
梨香は笑ってそう言った。


梨香:「これから、よろしくね」
5枚のカードをデッキケースに仕舞い、梨香はキャットちゃんたちの元へ向かった。









第8ED『あしあと《Clair(クレア)》』







次回予告

ナレーション:プラントの追手から逃げるキャットちゃんたち。

しかし、1人別行動を取っていたガリーナにアドレーが取り押さえられてしまった。

単身、アテーナーの池に向かうガリーナ。

キャットちゃんたちは、アドレーを救うことができるのか!


龍可:次回、遊戯王5DXAL「アドレーとアラクネーの宝玉の共鳴」

龍可:「早くしないと、アドレーが!」



遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!


梨香:「今回は”DG・HERO(ドラゴンガール・ヒーロー)”について話すわ。かつて、私のパパ遊城十代が使用してカードで、女性戦士で構成されたヒーローたちよ。女性の顔なのに男の名前が付けられているから、私は”ちゃん”をつけて、これから呼ぶことにするからね」
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