第123話:『激戦開始!アドレーを死守せよ!』
リボルバータイプのデュエルギアの引き金を引いたレイド。
弾丸が発砲され、プラントのメンバーの1人にヒットする。
弾が当たった奴は、口から血を吐き出し倒れる。
周りにいた仲間たちが駆け寄る。
レイド:「まずは、1人目だ」
余裕な口振りでそう言ったレイド。
ガリーナ:「あなたの方から攻撃を仕掛けてきたのよ。もう容赦はしないわ!」
ガリーナの背後にドラゴンが出てきた。
そのドラゴンは”デス・ヴォルストガルフ”だった。
デス・ヴォルストガルフは光の球となって、ガリーナの手元に武器となって出てくる。
ガリーナ:「ヴォルストランサー」
刃に龍の顔を刻まれている槍タイプデュエルギア。これが、ガリーナが愛用する”ヴォルストランサー”だ。
しかし、ガリーナには、他にも変わった力を持っていた。
そう、あの力を…。
第8OP『Mysterious《Naifu》』
第123話:『激戦開始!アドレーを死守せよ!』
レイド:「飛び道具に槍で挑む気かい?」
ガリーナ:「これが、私が一番使っている武器なのよ。飛び道具だろうと、何だろうと引くつもりはないわ。それに」
レイド:「?」
ガリーナ:「私には、私だけの力があるのよ」
ガリーナはヴォルストランサーを地面に突き刺す。
ガリーナ:「まずは、動きを封じるわ」
地面に突き刺したヴォルストランサーから地割れが発生する。
レイドは、一瞬足を持って行かれそうになるが、すぐに高く飛んだ。
レイド:『地割れ?…いや―』
地割れの底が赤く光っている。
ガリーナ:「ラヴァー・バッケン!」
地割れから大量の溶岩が噴出し、辺りの地面に広がる。
レイド:「溶岩…。デス・ヴォルストガルフに溶岩の力はない。つまり、属性波動による力。だが、これだけの規模は…」
レイドは鎖のようなものを出して、それを近くの木に投げ絡ませ、そっちの方に砲口変換し木の上に着地する。
レイド:「危ない危ない。そのまま着陸すれば大やけどするどころか溶かされてしまう」
ガリーナ:「判断が早いわね。今まで、沢山の人を殺してきたから、こういう戦いには慣れているのかしら」
レイド:「まあね。でも、まさか久しぶりに戦えるとは思ってもいなかったよ。多重属性界を使う敵とはな」
ガリーナ:「!」
もう気付かれた…。そのような顔をするガリーナ。
レイド:「それだけの規模、炎属性だけの波動じゃ使えないからな」
ガリーナ:「バレちゃったらしょうがないわね。そう、私は、炎属性と地属性を組み合わせて生み出す”溶属性”の使い手」
説明するまでもないが、”多重属性界”とは複数の属性を組み合わせることで新たな属性を生み出す者たち、生み出された属性のことを示す言葉だ。
彼女は、その多重属性界に該当する。炎属性と地属性。その2つを組み合わせることでできた溶属性。
マグマが液体状態を保ったまま噴出したもの、それが溶岩だ。
風が吹き、無数の木の葉が下に落ちていく。
しかし、下は溶岩。その木の葉は溶岩によって燃え消滅した。
レイド:「自然には物凄く悪い力だな」
ガリーナ:「そうね。それは私も否定しないわ」
レイド:「で、それからどうするんだい?確かに溶岩に落ちたら、一溜りもないけど、要は落ちなければいいだけのことだ」
レイドはリボルバータイプのデュエルギアをガリーナに向ける。
ガリーナ:「残念だけど、この溶岩は、こういう使い方もあるのよね!」
ヴォルストランサーを地面から抜き、刃先をレイドに指した。
すると、溶岩がブクブクと音を鳴らせる。
次の瞬間、レイドに向かって溶岩が飛んでくる。
レイドは咄嗟に隣に木の後ろに隠れる。
レイド:「あんな使い方もできるのか。面倒だな」
木に隠れるレイドが呟く。
ガリーナ:「隠れてるつもり?」
地面に広がる溶岩が再び飛び、レイドが隠れる木を貫通した。
丁度、レイドの頭上に穴が開く。
レイド:「勘弁してほしいな」
レイドが木を利用して移動を開始する。
ガリーナ:「みんな、攻撃開始!」
ガリーナの指示で、部下たちが弓や銃など飛び道具系のデュエルギアを使って、レイドに一斉攻撃を仕掛ける。
レイドは、当たらないように動いては木の後ろに隠れ、攻撃から逃れたり、溶岩による攻撃が飛んで来れば、再び移動を開始する。
ガリーナ:「お遊びはこれまでよ!」
溶岩でできた球体が、宙に浮く。
移動するレイドにターゲットを定める。
ガリーナ:「ステルク・ラヴァー!」
溶岩でできた球体が、レイドに向かって発射され―
レイド:「ぐわあ!」
その球体に当たったレイドは、行動不能となり、下に広がる溶岩に落ちて散った。
部下たちは「うおおおおお」と勝利を喜ぶ。
ガリーナ:「呆気ないものね。連続殺人犯がこうも簡単に死ぬなんて。所詮は、ただの人殺しってことね」
ガリーナも自分の勝利に笑う。
バーン!
いきなり聞こえた発砲音。
ガリーナが持っていたヴォルストランサーに弾丸が当たり、その衝撃で武器が吹き飛ぶ。
ガリーナ:「っ!」
手首にダメージを負うガリーナ。弾が飛んできたと思われる方を見ると、そこにはリボルバータイプのデュエルギアを構えるレイドの姿があった。
ガリーナ:「どうして…」
レイド:「目の前だけに、気を取られたら、戦いは死を意味するよ」
レイドが、下を見る。
目線の先には、さっき倒したレイドの下半身がある。
上半身は既に溶岩の中だ。
しかし、その下半身が姿を変えた。
いや、変えたのではなく戻ったという表現が正しいだろう。
そこにあったのは、太い木だった。
レイド:「いわゆる変わり身分身ってやつさ」
うまくいったというような表情で笑うレイド。
ガリーナ:『動き回っている中で、近くにあった木にエナジーを流し込んで、自分そっくりの分身を作っていたのね。やってくれるわ』
レイドの掌でまんまと遊ばれていたと気付かされるガリーナ。
敵とは言え、我ながら見事だと感心してしまう。
すると、そこに―。
アドレー:「ここだよ!アテーナーの池は!」
アドレーを先頭に、キャットちゃん、静香、龍可、そしてレミが到着する。
キャッシー:「あ、レイド!」
木の上に立つレイドを見つけるキャットちゃん。
レイド:「へえ、もう来たんだ。だが、梨香の姿が見えないな。あいつだけで、ドラゴンガール・ヒーローを相手にしているということか」
遊城十代のカードとなれば、梨香が残って戦っているだろう、そう思ったレイド。
アドレー:「ガリーナ!」
ガリーナを見つけたアドレーが叫ぶ。
レミ:「ガリーナ…。ってことは、ここにいるのはプラントのメンバー…」
静香:「暑い…」
龍可:「溶岩…!自然によるものじゃないわよね」
地面に広がる溶岩の暑さにやられる静香と龍可。
ガリーナ:「アドレー、まさか、アントンとラーヴルと合流する前に会えるとはね。丁度いいわ。少しお話をしましょう。あなたにも興味がある話しよ、レイド。宝玉についての話しだからね」
レイド:「へえ、それはぜひ聞きたいね」
ガリーナに向けていたリボルバータイプのデュエルギアを収めるレイド。
ガリーナ:「フロンティアの人たちは、アラクネーの宝玉については、聞いたのかしら?」
ガリーナがキャットちゃんに問いかける。
キャッシー:「アドレーのパパとママがかつて探していた宝玉…。そして、宝玉には謎の力が備わっている。それぐらいかしら」
ガリーナ:「あまり詳しいことはわかっていないのね。なら、いいわ。全部教えてあげる。宝玉について、その力について、そして、アドレーの両親と、アドレーの体に眠るエネルギー物質についてね」
それを言った瞬間、キャットちゃんを初めフロンティアメンバーとレイドが耳を傾けた。
ガリーナ:「数年前、アドレーの両親は、ある人の依頼によって、アラクネーの宝玉を研究するために、ここへ訪れた」
アドレー:「ある人の依頼?パパとママは、自分たちの研究のために、ここへ来たんじゃ?」
ガリーナ:「それは違うわ。あなたの両親は、そのとき既にある人と手を組んでいたの。そう、私たちプラントのボスとね」
アドレー:「!」
レミ:「アドレーの両親は、プラントのボスと手を結んでいた?」
意外な真実を知ったアドレーたち。
ガリーナ:「ボスが、そのとき既にアラクネーの宝玉の情報を掴んでいたのよ。かつてエルフェンの森を襲った怪物ドミナシオンを封印したものだってことをね」
静香:「ドミナシオンって…」
龍可:「フランス語で支配を意味する言葉よね」
ガリーナ:「ドミナシオンは、かつてこの森を支配していた蜘蛛の姿をした怪物。だけど、多元世紀が始まってすぐ、鹿の姿をしたモンスターに倒され、その宝玉に封印されたという伝説があるわ」
レイド:「ちなみに、その鹿の姿をしたモンスターは、その怪物を封印した後、どこかへ消えたという話が残っているが、その後、そのモンスターを見た物は誰一人していない。そいつも謎を持つモンスターらしいけどね」
ガリーナ:「あら、以外と勉強しているじゃない。連続殺人犯にしては」
レイド:「お褒めの言葉ありがとう」
鋭い目線をぶつけあう2人だが、ガリーナはため息をついて「続きを話すわ」と目線を逸らす。
ガリーナ:「ボスは、そのドミナシオンの力が手にしようと、アドレーの両親にアラクネーの宝玉の情報を持ち込んだのよ。興味深い話をすれば、必ず動いてくれると知ってね。そして、アドレーの両親は、ボスの思惑通りに行動し、あなたと一緒にエルフェンの森に向かってくれたわ」
アドレー:「パパとママは、あのボスの掌で動いたっていうの…?」
怒りを堪えながらアドレーは聞いた。
ガリーナ:「そう言うことになるわね。でも、あなたの両親はボスの期待に応えてくれなかったみたいね。結局、ここアテーナーの池まで辿り着くことはできず、見つけられたのは、アラクネーの宝玉の欠片だけ。飛んだ期待外れだって、ボスが言っていたわ」
その言葉を聞いて、アドレーは怒りを面に出しガリーナに近づこうとする。
キャッシー:「落ち着いて!アドレー!」
アドレー:「でも、あいつらのボスの所為で、パパとママが!!」
涙を流しながらアドレーはそう言った。
ガリーナ:「あなたたちの所為って、ここへ来たのは、あなたの両親が望んできたことでしょ?それに、あなたを不幸にさせたのは、両親の所為なのよ」
アドレー:「え?」
ガリーナ:「あなたの身体に眠る謎のエネルギー物質。それは、アラクネーの宝玉に眠るエネルギーと同じものなのよ」
ガリーナの話しを聞いたみんなが唖然とする。
静香:「宝玉に眠る力と同じって…」
龍可:「それってつまり…」
キャッシー:「アドレーの中に眠るエネルギーは、かつてこの森を支配していたドミナシオンのエネルギーそのものってこと…」
小さい声でそう呟くキャットちゃん。
レイド:「へえ、あの子供がね」
レイドの目線が初めてアドレーに向かった。
ガリーナ:「アドレーの両親と手を組んでいたことで、事件の原因は何となく察しが付き、世間に広がらないように、あの時の出来事をもみ消し、プラントはあなたを引き取ったのよ」
この話を聞いたアドレーは、「なるほど…」と呟いた。
アドレー:『あの事件があったとき、プラントがいち早く、あの研究所に来られたのは、パパとママがプラントのボスと手を結んでいたからってわけか』
ずっと気になっていたのだ。
パパの研究所は外部には知られていない地下施設にあったはずなのに、プラントの人たちは、その場所を知っていた。
その答えが今わかった。
ガリーナ:「あの事件での生存者は、あなただけ。ボスはそれが気になって、あなたの身体を調べたら、やっぱりあったわよ。まだ小さかったけど、ドミナシオンと同じエネルギーがね」
アドレー:「……」
ガリーナ:「ボスは、まだドミナシオンの復活させることができるとわかった瞬間、アドレーをこちらで引き取ったのよ。いつでも、エルフェンの森に行けるようにね」
少し笑って話すガリーナ。
それを聞いたキャットちゃんたちが、歯を立てる。
ガリーナ:「あなたは、自分の身体に眠る謎のエネルギー物質が何なのか知りたくて、ここへ来たみたいだけど、それは私たちにとって好都合だったのよ。なぜなら、あなたさえ、ここにきてくれれば、あなたの身体に眠るエネルギーと池に眠る宝玉のエネルギーが共鳴して、ドミナシオンが復活させることができるのだからね」
さっきレイドに弾き飛ばされたヴォルストランサーを手に取る。
レイド:「今の話しが全て本当なら、ドミナシオン復活の鍵は全て、その子が持っているってことだよな」
レイドがギロッとアドレーを見つめる。
その目つきにアドレーは動揺してしまう。
キャッシー:「アドレー…」
キャッシーとレミがアドレーの前に立つ。
ガリーナ:「あなたに、あの子は渡さないわ!ドミナシオンの力は私たちプラントが手にする!」
キャッシー:「そのドミナシオンの復活を私たちがさせないと思っているの?」
キャットちゃんが、ガリーナたちに問いかけた。
ガリーナ:「あなた、もしかして、アドレーに眠るエネルギーをドミナシオンを復活させずに消滅させようと思っていない?それは無理よ」
キャッシー:「なんで、そう言い切れるのよ?」
ガリーナ:「私たちプラントの研究結果とアドレーの父の研究結果を元に結論を出した結果、そのエネルギーは、アラクネーの宝玉なしでは取り除くことはできないと90%解明されているわ。だから、ドミナシオンを復活させることでしか、アドレーの中に眠るエネルギーを取り除くことはできない。最も、その後、アドレーがどうなるかはまだ分からないけど」
やれやれと落胆したかのようにガリーナは語った。
レイド:「その子が、どうなるかなんてどうでもいいさ。俺がほしいのはドミナシオンの力だ。それが手に入るのであれば、そこの子供を生贄にして復活させるまでだ!」
レイドが木の上からジャンプしてアドレーに接近する。
ガリーナ:「させないわよ!!」
ヴォルストランサーの刃に炎が灯させ、その状態でヴォルストランサーを振り炎の斬撃を放って、レイドを動きを怯ませた。
静香:「みんな!ここは、逃げましょう!」
キャッシー:「アドレー行くよ!」
キャットちゃんが、アドレーの手を引っ張り、レミ、龍可、静香と一緒に、ここから逃走する。
ガリーナ:「部隊の半分はレイドをここで押させて!残りの半分は、私と一緒にレイドを追うわよ!」
ガリーナが部下を引き連れてアドレーたちを追う。
レイド:「チッ、腰抜けめ…」
レイドの前に立つ10名以上のプラントのメンバーたち。
デュエルギアをそれぞれ構えて、戦いの準備に入る。
レイド:「サクッと片付けてやるか」
リボルバータイプのデュエルギアを片手にレイドはそう言った。
プラントの追手から必死に逃げるキャットちゃんたち。
アドレー:「ごめんなさい、僕のわがままなばっかりに、ガリーナの思い通りになっちゃって、みんなを巻き込んで」
謝罪の言葉を並べてアドレーは誤った。
キャッシー:「謝るのは後!今は逃げるのが先決よ!あの数、相手じゃ私たちだけでは太刀打ちできないわ!」
このままでは全滅も覚悟しなくてはいけない。そう思ったキャットちゃん。
その頃、レイドの手によって召喚された5体のDG・HERO(ドラゴンガール・ヒーロー)と戦う梨香。
ミッションウォッチの通信機能を使って、家族と連絡を取っていた。
エルフェンの森の中に着陸したヘリコプター付近にいる剣代、明日香、珠里の3人。
ヘリコプターの外に出て、梨香の受信をキャッチした。
剣代:「何!レイドが!」
梨香の通信をキャッチした剣代が、梨香から話しを聞いて驚く。
側に、母と妹も近づく。
梨香:「うん、パパが使っていたカードらしいんだけど、今、ドラゴンガール・ヒーローっていうモンスターと戦っているわ」
状況を簡潔に話す梨香。
DG・HERO(ドラゴンガール・ヒーロー)、剣代はそのヒーローの名に聞き覚えはなかった。
剣代:「母さんは聞いたことあるか?」
明日香:「いえ、私も初めてよ。ヒーロー・アイランドにある博物館にも、そんなモンスターの歴史は刻まれていないわ」
母もDG・HEROは初めて聞く名のようだ。
珠里:「大いなる力のE・HEROと同じで、レイドが見つけて、悪用していたってこと?」
梨香:『そうなるわね』
珠里の問いに梨香がすぐに答えた。
そして、梨香に爆風が襲った。
梨香:「くっ」
梨香はその場を離れる。
DG・HEROは梨香を追ってくる。
珠里:「お姉ちゃん!大丈夫?」
通信の向こう側にいる姉を心配する珠里。
梨香:「私は大丈夫。ドラゴンガール・ヒーローは、私が救い出して見せるわ。だから、ママたちは、キャットちゃんたちと合流して!」
梨香がそう言うと―。
ピロロン、ピロロン
明日香のミッションウォッチに通信が入った。
静香:『明日香さん!聞こえますか?』
明日香:「静香さん、どうしたんですか?」
通信相手は静香だった。
静香:「こちらに応援に来ることできませんか?私たち、今、プラントの人たちに追われて!」
明日香は静香の声を聞いてわかった。かなり焦っていることに。
明日香が受信した通信を聞いた剣代は、梨香に確認を取った。
剣代:「一人で大丈夫だな?」
そう聞いた剣代。
すると、即、答えが返ってきた。
梨香:「当たり前!」
元気に笑って、そう言った。
剣代:「なら、お前を信じているぞ!梨香」
剣代はそう言って通信を切った。
剣代が通信を切ったと同時に、明日香は静香に返事を返す。
明日香:「わかりました。今すぐ、向かいます!」
明日香も通信を切り、剣代、珠里と共に静香達の元へ向かった。
その頃、キャットちゃんたちは、しつこく追いかけてくるプラントの追手から逃げていた。
しかし、キリがないとわかったレミは、その場で走るのをやめた。
龍可:「レミ、どうしたの?早く逃げましょう!」
龍可はそう言うが、レミは―。
レミ:「先に行って。ここは私が食い止めるから」
静香:「でも、あの数相手じゃ」
レミ:「誰かがやらないとダメですから。さあ、早く!」
レミの言葉を聞いて、彼女の覚悟が身体中に染み渡る。
キャッシー:「ここは、レミを信じましょう!」
アドレーと一緒に逃げるキャットちゃん。
静香:「無理しないで!」
龍可:「ごめんなさい、ここはお願いするわ」静香と龍可も、この場から逃げる。
レミは”魔導法士ジュノン”の剣タイプデュエルギア”マジークガイドソード”を握る。
水色と桃色の刀身が輝く。
こちらに向かってくるプラントの追手が走って、レミに接近する。
レミ:「ここは、私が相手をするわ!」
マジークガイドソードを構えて、レミは言った。
プラント隊員A:「敵は女一人だ。構わずやっちまうぞ!」
レミの前に立ちはだかるプラントの者たちがデュエルギアを構えて、突撃してくる。
レミ:「女が一人だからこそ怖い時もあるのよ!」
マジークガイドソードを両手で握り静かに構える。
目を一度閉じで気迫を溜めて、溜め切ったと同時に目を開いた。
マジークガイドソードの刀身が緑色に輝き、刀身を覆うような感じで竜巻ができる。
レミ:「メイジ・ゲイル!」
両手で持ったマジークガイドソードを振り、刀身を覆った竜巻が敵に向かって飛び、竜巻から魔力が生成され、弾となって近づく敵を撃破していく。
プラント隊員B:「チッ、なら、こちらも一斉攻撃だ!いくぞ!」
レミが放った攻撃に当たらなかったプラントのメンバー数人が、デュエルギアを使って同時に攻撃を仕掛けた。
炎や水や風の斬撃や弾丸がレミに襲いかかる。
レミ:「くっ!」
レミは咄嗟に近くの岩陰に隠れて敵の攻撃を回避する。
そして、敵の攻撃が止んだことを確認し、岩陰から出てきて、相手に接近する。
レミ:『足に属性波動を集中して…!』
レミの両足が緑色に輝く。同時に、レミの動きの速度が速くなる。
レミ:「モーメント・カリバー!!」
そう叫んだレミ。
プラントのメンバーには一瞬の出来事だった。
目の前にいたはずの銀髪の女性がいなかったからだ。
レミ:「殺すつもりはないわ。峰打ちよ」
いつの間に敵の後ろにいるレミがボソッとそう言った。
プラントのメンバー数人は、身体にダメージを喰らい、そのまま地面に倒れてしまった。
これで全員倒したかと思いきや…!
プラント隊員C:「先行していた味方がやられただと!」
プラント隊員D:「くそっ!あの女よくも!」
次々とプラントのメンバーが沸いてきた。
レミ:「まだいたのね。いくらでも相手をしてあげるわ!」
レミがマジークガイドソードを構えようとしたとき!
後ろから敵がいきなり現れた。
プラント隊員E:「もらった!!」
斧タイプのデュエルギアを持つ大男が斧を振り下ろそうとする。
レミ:「ラモール!」
左手に黒い光が現れ、その光は黒い大鎌タイプのデュエルギアとなった。
レミは、その大鎌で背後から振り下ろされてくる斧を一瞬受け止め、すぐに後ろに下がった。
プラント隊員E:「何!」
レミを見て驚くプラントのメンバーたち。
右手に剣、左手に大鎌。
2つのデュエルギアを同時に扱うのは、それ相当の経験や修行を積み重ねないとできないことだ。
レミ:「私も、ずっと強くなろうと努力してきたのよ。これぐらい、できるわ」
レミは黒い大鎌を振り回す。
レミ:「”魔導冥士ラモール”の大鎌タイプデュエルギア”デスサイズ・ラモール”」
レミの新たなデュエルギア。
死神の名を持つラモール。
その黒い大鎌のデュエルギアは、相手を冥府へと誘うための武器であった。
レミ:「手加減しないわよ!」
レミがデスサイズ・ラモールを降って、斬撃を飛ばし、斧を持つ大男がその斬撃を受け止めるも、自慢の斧が折れてしまい、身体ごと吹き飛ばされる。
プラント隊員C:「あいつを、吹き飛ばすほどの斬撃だと…!」
レミ:「私たちフロンティアは、世界を守るために強くなってきたの!あなたたちのように、力を求めるだけの組織とは違うわ!」
2つのデュエルギアを構えてレミは言った。
プラント隊員D:「怯むな!敵は女一人だ!」
敵1人に負けられまいと、プラントの隊員たちが一斉にレミに仕掛ける。
レミ:『早く片付けた方がいいわね。今、思えば』
レミは一斉に襲いかかってくる敵の集団を見る。
レミ:『あのガリーナって人がいない。別ルートで、キャットちゃんたちを追ったわね』
沢山いる敵の中に、隊長であるはずのガリーナの姿がいなかったことに気付いたレミ。
そう、レミが思っている通り、ガリーナは別の道を使って、アドレーたちを追っていた。
ガリーナ:「どんな手段を使っても、アドレーは頂くわよ」
ガリーナが全力で走る。
その頃、アドレーはキャットちゃん、静香、龍可と一緒に走って逃げていた。
息を切らしながら、疲れることも忘れているぐらいに走り続ける。
そして、レイドが召喚したドラゴンガール・ヒーロー5体を相手にする梨香も苦戦を強いられていた。
梨香はドラゴンガール・ヒーローたちを救い出すことができるのか…!?
第8ED『あしあと《Clair(クレア)》』
次回予告
ナレーション:ドラゴンガール・ヒーローの力に圧倒されてしまう梨香。
かつて父が使っていたモンスターを助けたいという思いとは裏腹に、5体のモンスターは梨香たちを殺す勢いで攻撃を仕掛けてくる。
だが、梨香の気持ちに応えた”サイバーエンジェル-螺天”が、梨香と心を一つにして癒しの光を照らすのであった!
梨香:次回、遊戯王5DXAL「静寂な水の輝き!クエートウォーター・フラッシュ!」
梨香:「私を信じて…パパ」
遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!
アドレー:「エルフェンの森にあるアテーナーの池。そこに眠るのが、前に僕のパパが探していた”アラクネーの宝玉”。その宝玉には、かつてエルフェンの森を支配していた巨大怪物が封印されているんだ。プラントはこの巨大怪物の力を手にするために僕を狙っているんだ」