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第122話:『アラクネーの宝玉を巡る激戦!』









アントン:「フッ、とっとと始めようじゃねえか!一人のガキを奪い合うための、小競り合いを!」
ショットガンタイプのデュエルギアを手にするアントン。


ラーヴル:「お前の場合、小競り合いでは済まないだろうがな」
ラーヴルがカードを手に取る。

そのカードはドラゴン族通常モンスター”エレキテルドラゴン”だった。

エレキテルドラゴンのカードが輝き、光の球となって、ラーヴルと一つになる。


キャッシー:「あなた、まさか、限界勢力の使い手…!」
”限界勢力”。デュエルモンスターズそのものを身体に取り込んで力を発揮する力と、その力を持つ人間のことを示す言葉だ。

モンスターの力を無理矢理取り込むのではなく、精霊と宿主が心を通わせ通じ合ったとき初めて発揮できる力だ。


ラーヴルの体に電流が流れる。


ラーヴル:「女だからと言って手加減はしないぞ、女!」
眼鏡を外し、戦闘モードに入るラーヴル!


2人ともアドレーを連れ戻すために手段を選ばないつもりでいるのだ。








第8OP『Mysterious《Naifu》』








第122話:『アラクネーの宝玉を巡る激戦!』









エルフェンの森に一台のヘリが着陸した。

森の生き物たちは驚いて、その場を離れる。





その頃、プラントが所有する飛行艇から出されている電波が何かをキャッチしセンサーが反応。

ガリーナの携帯端末が反応した。


ガリーナ:「何?新手?」



部下:「そのようです。敵は数人かと思われます」

ガリーナ:「この場所の近くではないでしょうね?」

部下:「えぇ、センサーの反応からして、かなり離れた場所かと。ですが、アントン、ラーヴルが向かった先ではあります」
部下がそう言うと、親指の爪を噛むガリーナ。

ガリーナ:「早いとこ、こちらも動かないといけないわね」
ガリーナは行動準備に入る。






その頃、アントンとラーヴルを相手に使用とするキャットちゃん。

キャッシー:「後ろに下がってなさい、アドレー!」
キャットちゃんは少し焦った口調でアドレーにそう命令する。

アドレーは、すぐ後ろにある木の陰に隠れる。



キャッシー:「キャットネイル!」
キャットガールのクロータイプデュエルギア”キャットネイル”を右腕につけるキャットちゃん。

木の隙間から照らされる太陽の輝きがキャットネイルのブラウンとピンク色を照らす。


緊張感が走る空気。

だが、この緊張感はキャットちゃんだけであった。


アントン:「おら!行くぞ!」
ショットガンタイプのデュエルギアをいきなり発砲するアントン。


キャッシー:「は、早い!」
すぐに避けたキャットちゃん。

ショットガンから放たれた弾丸は、木に埋め込まれる。


フォアエンドを引いて、弾を装填するアントン。


アントン:「ほら、次行くぞ!猫女!」
ショットガンタイプのデュエルギアから連続で弾丸を発射するアントン。

ずっと躱すのは辛いと思ったキャットちゃんは木の陰に隠れる。

アントン:「それで隠れたつもりか?」
アントンがラーヴルを見る。






ラーヴルの体に流れている電流が、激しさを増す。

ラーヴル:「エレキテル・ハンドナイフ!」
右手を手刀にし、その手刀に電流が流れ込む。

そして、そのままキャットちゃんが隠れている木に向かって走り、電流が流れる手刀で、その木を切った。

木を切った瞬間、キャットちゃんの顔が丸見えになってしまう。


キャッシー:「くっ」
キャットちゃんは、その場から離れる。



キャッシー:『限界勢力の力とは言え、チョップで木を切るなんて普通あり得ないでしょう!』
心の中でそう呟くキャットちゃん。



アントン:「よそ見してる場合じゃねえぞ!俺もいるんだからよ!」
ショットガンタイプのデュエルギアから弾を発砲するアントン。

だが、さっきまでの普通の弾とは違い、弾に炎が纏われていた。

すぐに近くの木に隠れようとするが、炎の弾丸は、太い木を貫通し、その後ろにある岩に深く埋め込まれた。


これでは、隠れても意味がないとわかったキャットちゃん。


キャッシー:『マズイ。圧倒的に、私が不利じゃない。このままじゃ、アドレーの身も危ない!』
キャットちゃんはアドレーの側に近寄る。


アドレー:「キャッシーお姉ちゃん!」

キャッシー:「行くわよ!アドレー!」
アドレーの手を強く握るキャットちゃん。


急いで、その場から離れる。


アントン:「勝てないとわかって逃げるか!」

ラーヴル:「アドレーは返してもらうぞ!」
2人を追うアントンとラーヴル。



アドレー:「僕はもう、プラントには帰らない!帰ったって待っているのは苦しみだけだから!」
キャットちゃんに手を引っ張られながらそう叫ぶアドレー。

ラーヴル:「お前の体に眠るエネルギー物質は、この地に眠る力を呼び覚ますために必要なものだ。その力を呼び覚ましさえすれば、お前の隙にすればいい」

アントン:「もっとも、その力を呼び覚ました後、お前がどうなるかは、俺たちも分からないがな!」
ショットガンタイプのデュエルギアを構えるアントン。


アントン:「プロミネンス・ドラゴン!お前の燃え盛る炎を弾丸に!」
アントンが使用するプロミネンス・ドラゴンのショットガンタイプのデュエルギア”プロミネンス・トレンチガン”の銃口にエネルギーが込められる。


アントン:「プロミネンス・バレット!」
引き金を引き、弾丸が放たれ、その弾丸は銃口に溜めていた炎のエネルギーを纏い、そのまま空中で龍の姿となって、キャットちゃんたちに迫る。

キャッシー:「アドレー!」
キャッシーはアドレーを抱きかかえ、そのままジャンプしてアントンの攻撃を躱す。


しかし、飛んだ先が坂道で、そのまま下に転がり落ちる。


アドレーの方は、キャットちゃんに抱えられていたおかげで怪我はないが、キャットちゃん自身に所々に擦り傷ができてしまう。

アドレー:「キャッシーお姉ちゃん!大丈夫!?」
キャットちゃんを心配するアドレー。

キャットちゃんは、少し痛みはするものの、その痛みに耐えながら笑った顔で「大丈夫よ」と返した。


しかし、流石に少し身体中が痛む所為ですぐには立てなかった。

その間に、アントンとラーヴルが下に降りてきた。


アントン:「もう逃がさないぞ」
プロミネンス・トレンチガンのバレルシュラウド(火傷防止カバー)の部分を自身の肩にぶつけながら2人に近づくアントン。


ラーヴル:「アドレー、俺たちの元へ戻ってこい。そうしたら、そこの女の命は助けてやろう」

アドレー:「え?」
アドレーの脳裏に二つ選択肢が生まれた。


このまま、自分があいつらについて行けば、お姉ちゃんは助かる。

逆にいかなければ、お姉ちゃんは死んで、僕は無理矢理奴らに連れていかれる。

アドレー:「僕は…」
アドレーが足を一歩前に出す。

すると…!

キャッシー:「行っちゃダメよ、アドレー!」
アドレーの肩を掴むキャットちゃん。

キャッシー:「戻ったら、また苦しむ思いをするだけよ!」

アドレー:「けど、このままじゃ、お姉ちゃんが!」

キャッシー:「自分で見つけるんでしょ、自分の身体に眠る謎の真実を。それに、あなたが言うこと聞いて向こうに戻ったところで、私は殺されるわ。ドラマでよく見ない?こういう展開」
敵の言うことを聞いても、最後は殺される。よくある展開だ。

たまに、味方が登場して、殺されるのを免れる場合もあるが、そんな展開が、本当に現実になるとは思えない。


アドレー:「僕は…僕は、自分の足で真実に近づく!お前たちなんかに屈しない!」
アドレーはラーヴルの申し出を拒否する。


ラーヴル:「そうか。なら、力づくでやるしかない。そこの女には死んでもらおう」
ラーヴルがそう言うと、アントンがプロミネンス・トレンチガンを構える。


アントン:「憎むなら、そこのガキを憎めよな、女!」
アントンが引き金を引こうとする。


『もうダメね』と思ったキャットちゃん。


だったが―――。






???:「「刀流派-極 時雨桜!!」」
桜の花びらを纏った斬撃が、アントンとラーヴルを目掛けて、どこからか飛んできた。


2人は、咄嗟にその斬撃を躱す。


アントン:「くっ!なんだよ!」

ラーヴル:「増援…!?」
敵の増援だと察しをつけるラーヴル。


すると、キャットちゃんとアドレーの前に2人の女性が現れた。



レミ:「悪いけど、これ以上好き勝手にやらすわけにはいかないわ!」
銀髪を靡かせて”魔導法士ジュノン”の剣タイプデュエルギア”マジークガイドソード”を握る上原レミが堂々と立つ。

梨香:「正義の味方は遅れて登場するのがお約束♪いいタイミングでしょう?」
”サイバーエンジェル-螺天”の刀タイプのデュエルギア”ラーマーヤナ”を持ちながら、調子のよさそうに発言する天上院梨香。

2人がキャットちゃんたちを助けてくれたのだ。


キャッシー:「梨香に、レミ!どうして、ここに!?」
突然目の前に現れた見知った顔を見て驚くキャットちゃん。


静香:「よかった、無事で」
キャットちゃんの後ろから静香と龍可が現れる。


アントン:「チッ、4人も援軍が来るとはな」

ラーヴル:「こちらの分が悪いな」
状況を見て2人しかいないアントンとラーヴルは、こちらの状況が圧倒的に不利だと気付く。


梨香:「悪いけど、私たち、あなたたちと戦うつもりないのよね」

レミ:「私たちはキャットちゃんたちを助けに来ただけだから、ここは黙って引かせてもらうわ」
レミが後ろをチラッと見る。


龍可が頷き、”エンシェント・フェアリー・。ドラゴン”のカードを手にする。

龍可:「エターナル・クロスボウ!」
普段のクロスボウより少しだけ小さいサイズのクロスボウを手に握る龍可。

水色に綺麗な薄い緑色のラインが入ったクロスボウタイプのデュエルギア、”エターナル・クロスボウ”。これが、龍可のデュエルギアだ。


エターナル・クロスボウに光の矢が装填される。


龍可:「ダズリン・サンシャイン!」
空に向かって矢を放ち、矢は眩しい輝きを地上に照らす。

突然の輝きに、目を瞑ってしまうアントンとラーヴル。


輝きが収まり、目を開いた時には目の前にアドレーたちの姿はなかった。

アントン:「チッ、また逃げられた!まだ、そう遠くには行っていないはずだ」
アントンはアドレーたちを探そうとする。

ラーヴル:「ちょっと待て、隊長からメッセージが届いている」
携帯端末を手に取り、内容を確認するラーヴル。


ラーヴル:「メッセージにはすぐに合流してほしいと書いてある。おそらく、隊長も敵の増援に気付いているんだろう」

アントン:「アラクネーの宝玉をアドレーよりも先に見つけるのが先決ということか」

ラーヴル:「おそらくな。行くぞ」
アドレーを追うのをやめ、ガリーナたちと合流することにしたラーヴルたちであった。






その頃、アントンとラーヴルを撒いたキャットちゃんたち。


静香:「はい、これ。使って」
静香はハンカチを手渡す。

キャッシー:「ありがとうございます」
ハンカチを受け取り、身体についた軽い泥を拭くキャットちゃん。


キャッシー:「それよりも、みんなどうして、ここに?」
キャットちゃんは一番気になることを聞いた。自分がここに来るなんて、誰にも言っていないのに、みんながここにいるのがどうしても納得いかないのだ。


レミ:「あなた、昨日基地内で物凄く慌てていたように見えたから、早朝に調べてみたのよ。そしたら、バス会社の方から、エルフェンの森に行くと言ったメガネのかけた女性と小学生ぐらいの男の子をバスに乗せたって情報を聞いてね」

龍可:「そして、慎也さんの許可を得て、ここまで来たのよ」

キャッシー:「それじゃあ、ここには皆さんで?」

梨香:「他に、ママと剣代お兄ちゃん、妹の珠里も来ているけど、乗ってきたヘリコプターのパイロットと一緒に現地で待機中。何かあったとき、すぐに逃げられるようにね」
つまり、今、この森にいるフロンティアのメンバーは、キャットちゃんを除いて、梨香、レミ、静香さん、龍可さん、明日香さん、剣代、珠里の7人ということになる。


静香:「基地の中でも、その子と一緒にいたよね?一体、どうしたの?この森にはどういった経緯で来たの?」
静香がキャットちゃんに質問する。
キャットちゃんは一度、アドレーと顔を合わせ、ここにいるみんなに事情を話すことを決意する。






自分が知る限りのことをみんなに話すキャットちゃん。


レミ:「この森のどこかにある宝玉と、その子の体に眠る謎のエネルギー物質の解明ね。そして、その子を狙う大組織プラントの陰。随分ややこしいことになっているのね」

龍可:「それで、その池は見つかったの?」

キャッシー:「それがまだ…」
「やっぱり」という感じの龍可。

梨香:「私たちがヘリコプターで、この森の上空を飛んだ時には、大きな湖はあったけど…」
梨香がそう言うと、アドレーは「はっ」と何かを思い出した。


アドレー:「その近くだ」

キャッシー:「アドレー?」

アドレー:「その近くだよ!エルフェンの森には湖は一つしかないってパパが昔言ってた思い出した!そして、その近くに湖の広さの半分ぐらいの池が5つほどあって、その中のどれかに宝玉は隠されているんだ!」
昔、父が言っていることを思い出したアドレー。

確か、それを知ったのは、宝玉の欠片を見つけ、研究所に戻ってすぐに気づき、パパがもっと調べておけばと後悔していたことを思い出した。


キャッシー:「それは、ホントなのね、アドレー」
キャットちゃんがそう聞くと、アドレーは強く頷いた。


龍可:「宝玉を探す範囲が狭くなったわね」

レミ:「そうね、プラントの人たちよりも早く見つけましょう」
レミたちが立ち上がる。

キャッシー:「え?みんな、手伝ってくれるの?」

静香:「何かあったら、協力して上げてください。それが慎也さんから言われたことだから」

梨香:「人数は多い方がいいでしょう?ママ達には私の方から連絡するから」
梨香はミッションウォッチのホログラムを出して、ヘリコプターで待機するママたちにメッセージを送る。


キャッシー:「みんな、ありがとう。アドレーよかったわね」
キャッシーがそう言うと、アドレーは「うん」と頷いた。







その頃、1人の男性が森に到着した。


ゴールドの上着を着用し黒いハットを被る男性。


レイド:「ここが蜘蛛の跡地とも呼ばれている森か」
この男を覚えているだろうか?

そう、FBIに指名手配されている連続殺人犯のレイドだ。


3か月前に起きた中組織セルビアの基地で繰り広げられた激戦。

その中にフレシャス財団に雇われたレイドの姿があった。


あの時は、英雄の神とも呼ばれた遊城十代がこの世に残した”大いなる力のE・HERO”を使って剣代たちを繰り占めたが、それらを剣代に取られた後、姿を消した。


レイド:「確か、例の物は”アテーナーの池”って場所にあるらしいな」
レイドは森の奥深くに入る。



その先にあるのは、この森の中に一つしかない湖だった。


そう、こいつが狙っているのも、あの宝玉なのだ…。




その頃、キャットちゃんたちは、アドレーの言っていた湖を目指して歩いていた。

森の上空を飛行しているときに、大きな湖が見えたのは間違いない。

距離からして、そう遠くはないはず…。

レミがミッションウォッチからホログラムを出して地図を表示する。


レミ:「もう少し歩けば、湖が見えるはずよ」先頭を歩くレミの後ろをついていくキャットちゃんたち。


アドレー:「!」
身体中で何かを感じたアドレー。

アドレー:『身体が重い…。僕の中にあるエネルギー物質が、何かに反応している?』
いきなり重くなった身体を引きずりながら歩くアドレー。

だが、キャットちゃんがアドレーの様子がおかしいことに気付いた。

キャッシー:「大丈夫?アドレー。どうかした?」

アドレー:「うん、大丈夫。でも、身体が何かだるくて…。もしかしたら、僕の体の中にあるエネルギー物質が、反応しているのかも…」
少し息切れをするアドレー。

梨香:「急いだ方がいいかもね」

龍可:「そうね。早く行きましょう」

キャットちゃんはアドレーの手を握る。

アドレーがいきなり倒れるのを防ぐためだ。

アドレーもキャットちゃんの手を握り締めた。





森を突き進み、そして、一行の目の前に湖が見えてきた。


森の中にある美しい湖。

小さい魚から大きな魚まで、沢山の生き物が泳いでいる。

少し離れた場所には、犬が口を湖につけて水を飲んでいた。
いや、よく見ると、犬ではなく狼。しかも、デュエルモンスターズの”シルバー・フォング”だった。

実体化して野生として、この森で生きているのだろう。



静香:「綺麗な湖」
手を湖の中に入れる。

キャッシー:「この近くにある池のどれかに宝玉はあるのよね?アドレー」

アドレー:「うん、間違いないよ」
パパがそう言っていたことを思い出したアドレーは自信満々に頷いた。




???:「あれ?随分、珍しいお客さんがいるじゃない」
いきなり目の前に現れた黒いハット帽子を被る男性。

キャットちゃんたちは、目の前に現れた男性に見覚えがあった。

なぜなら、つい3か月ほど前に会っているからだ。


キャッシー:「あ、あんたは!」

梨香:「レイド!?」
FBIに指名手配されている連続殺人犯レイド。

3か月前、フレシャス財団に雇われ、剣代に牙を向けた極悪人だ。

レイド:「あれ?剣代ちゃんはいないけど、妹ちゃんはいるんだ」

梨香:「どうして、あなたがここにいるの!」
少し焦りながら、レイドにそう聞いた梨香。


レイド:「どうして?そりゃあ、この森に眠る力の源”アラクネーの宝玉”を取りに来たからさ」
自分の目的を躊躇いもなく話し、それを聞いたキャットちゃんが、「アラクネーの宝玉…」と呟く。


キャッシー:「それって、もしかして、アドレーが探している宝玉じゃ…!」

レイド:「その宝玉は、この湖の近くにある”アテーナーの池”と呼ばれる特別な池にあるらしいからな」
レイドの言った池の名前。聞き覚えのある言葉だと思ったアドレー。

そして、思い出した。

アドレー:「パパが探して宝玉は、その池にあるんだ…!」
アドレーがキャットちゃんの手を引っ張りながらそう言った。

キャッシー:「本当なの?レイド!」

アドレー:「お姉ちゃん、早くいかないと、宝玉が!」
宝玉が取られることに焦りを感じてきたアドレー。


レイド:「悪いけど、ここから先を通すわけにはいかないよ」
5枚のカードを手に取るレイド。

そして、銃タイプのデュエルディスクにカードを装填する。


レイド:「ふん」
銃タイプのデュエルディスクの引き金を引きいて、レイドの前に闇のオーラを纏った5体の戦士が現れる。

鎧を身に付けた女性戦士たち。


初めて見るモンスターだが、モンスターから放たれる気迫や姿を見て、梨香の感が働いた。


梨香:「ま、まさか、それって…!」

レイド:「そう、キミの父、遊城十代が使っていた戦士。大いなる力のE・HERO同様、英雄の神が、この世に残したもの。その名も”DG・HERO”。ドラゴンガール・ヒーローさ」
レイドが出した5体のモンスターは、そう呼ばれている戦士たちらしい。


レイド:「”DG・HERO轟竜-織田信長”」
黄色の鎧に水色の長い髪の毛、刀とショットガンを武器にする轟竜-織田信長。

レイド:「”DG・HERO崩竜-徳川家康”」
灰色の鎧で手裏剣に近い形をした剣と大剣を持った崩竜-徳川家康。

レイド:「”DG・HERO火竜-豊臣秀吉”」
真っ赤な鎧を身に纏い、槍とショットガンを武器にする火竜-豊臣秀吉。

レイド:「”DG・HERO迅竜-石田三成”」
真っ黒な鎧を身につけ、2本の大剣を背中に背負い、1本の脇差を腰につける迅竜-石田三成。

レイド:「”DG・HERO破竜-井伊直政”」
茶色と赤い色の鎧に金髪ヘア、3本の刀を腰に背負う破竜-井伊直政。

闇のオーラの影響で、5体共人格を失われているようだ。



梨香:「レイド、あなた、まだ持っていたのね…!」
怒りをあらわにする梨香。

龍可:「これも、あの十代さんが使っていたモンスターなんて…」

静香:「デュエル初心者である私にもわかります。あのモンスターから放たれる殺気は、今まで感じたことない…」
ドラゴンガール・ヒーローたちの目線に覚える静香。


レイド:「それじゃあ、頑張ってくれ。その間に、俺はやることやっちまうから」
落ち着いた感じで、レイドは口を開き、その場から離れる。


キャッシー:「待って!」
レイドを追いかけようとするキャットちゃんだが、5体のドラゴンガール・ヒーローが武器を構え、この先に行かせないようとする。


レミ:「厄介な敵が現れてきたわね」
魔導法士ジュノンの剣タイプデュエルギア”マジークガイドソード”を手に出すレミ。


梨香:「待って、レミ」
レミの肩を掴み、前に出る梨香。

レミ:「梨香…?」

梨香:「ここは私に任せて」

レミ:「え…!?」
いきなり発言に驚くレミ。

梨香はあのモンスター5体を相手に1人で立ち向かうつもりなのだ。


静香:「ダメよ…!相手は5人もいるのよ!」

キャッシー:「ここはみんなで戦った方が…!」
みんなで立ち向かった方が早いと思うキャットちゃんたち。

梨香:「でも、この間に、レイドかプラントの人たちが宝玉を取ってしまうかもしれない。手遅れになる前に行って!」
みんなに行くようお願いする梨香。

梨香:「それに、あそこにいるのはパパが持っていたモンスターたち。敵として現れてしまった以上、娘である私が何とかしなくちゃいけないと思うの。だから、早く」
梨香はサイバーエンジェル-螺天(ラーマ)の刀タイプデュエルギア”ラーマーヤナ”を握る。

レミ:「梨香…。わかったわ。ここはあなたに任せるわ」
梨香の決意を信じて、ここは本人に任せることにするレミ。

キャッシー:「梨香、無茶だけはしちゃダメよ!」
アドレーを連れて、この場から離れるキャットちゃん。

龍可:「お願いね、梨香」

静香:「何かあったら、連絡して」
そう言って、梨香を残し、みんながこの場から離れる。


それを追うとするドラゴンガール・ヒーローたち。

梨香:「エンジェリック・スラッシュ!」
ラーマーヤナを大きく振って、ピンク色の斬撃を放ち、ドラゴンガール・ヒーローたちの足を止める。


梨香:「悪いけど、あなたたちの相手は私よ」
ラーマーヤナの剣先をドラゴンガール・ヒーローたちに向けて、梨香はそう言った。

その姿は宣戦布告をするような姿だった。





その頃、ガリーナ率いるプラントのメンバーは既にアテーナーの池にたどり着いていた。


ガリーナ:「ここがアテーナーの池。なら、この池のどこかに宝玉は眠っているのね。やれるだけのことはやっておくわよ。調査を開始して」
地図を確認しながら、目的地がここであっているかを確認、池の調査を開始しようとする部下たち。


だが、そこに…!


レイド:「あれれ?また、珍しいお客さんが沢山いること」
ハット帽子を被る男性が、アテーナーの池に近づいてくる。


プラントのメンバーたちは武器を構えて、いきなり出てきたレイドを警戒する。

レイド:「フロンティアの連中…ではなさそうだね」

ガリーナ:「何者?」

レイド:「俺のことを知りたいんなら、自分の方から教えるっていうのが筋だろ」
レイドがそう言いながら池に近づく。

しかし、プラントのメンバーが男を池に近づけさせまいと、デュエルギアを構えて立つ。

レイド:「おっと、危ない」
レイドがふざけてやっているような、怯える素振りをして後ろに下がる。

その間に、部下がガリーナの耳元で囁く。

部下:「FBIに指名手配され散る連続殺人犯です」
レイドの情報をいち早く調査して、その情報を伝達する。


ガリーナ:「そんな奴がどうして、ここに…」
小さい声でそう発言するガリーナ。

だが、その声はレイドに聞こえていた。


レイド:「あんたらと同じだよ」

ガリーナ:「!」

レイド:「俺も、その池に眠るアラクネーの宝玉を手に入れるために、ここへ来たんだ。だから、ここは引いてくれないかなぁ?」
リボルバータイプのデュエルギアの銃口をガリーナ達に向けるレイド。

ガリーナ:「悪いけど、そうはいかないわ。アラクネーの宝玉を手にするのは、私たちプラントよ」
プラントのメンバーたちがデュエルギアを構える。

レイド:『大組織プラント。なるほど、そこのボスの命令か』
レイドは心の中で呟く。


レイド:「なら、痛い目に遭ってもらうしかないみたいだな」

ガリーナ:「それは、こっちのセリフよ。この人数を相手にできると思っているのかしら」
プラントのメンバーは見る限り20人以上はいる。

誰が見てもレイドが圧倒的に不利にしか見えない。
だが、不気味な笑みを浮かべながら、レイドは余裕の表情する。

レイド:「これぐらいの人数じゃあ、俺を止めることはできないさ!」
レイドはリボルバーの引き金を引いて発砲する。








第8ED『あしあと《Clair(クレア)》』





次回予告

ナレーション:ガリーナ率いるプラントのメンバーと激戦を繰り広げるレイド。

そこにキャットちゃんが到着し、ガリーナはレイドにことについて語り始める。

アドレーの体に眠る謎のエネルギー物質、そしてアラクネーの宝玉に眠るエネルギー。この二つが交わったとき、この森に災いが起きることを知ってしまうキャットちゃんたちは決死の思いでアドレーを守ることを誓う!


レミ:次回、遊戯王5DXAL「激戦開始!アドレーを死守せよ!」


レミ:「ここは、私が相手をするわ!」




遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!


ガリーナ:「大組織”プラント”はフロンティア、サイファーに並ぶ組織の一つであり、その本部はノルウェーにあるわ。ボスは、力を手に入れる為なら手段は選ばない方で、組織の裏では内密で核兵器などを製造しているわ」
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