このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第121話:『目指せ エルフェンの森!』








フロンティア元帥室



必死にキャットちゃんが杉山とメキボに、自分が話したことを説明する姿を後ろから見ていたアドレー。

自分のために、ここまでやってくれるなんて思いも寄らなかったから、内心嬉しい気持ちでいっぱいだった。


この話を聞いた十天老士の2人は、一体どんな答えを出すのか。







第8OP『Mysterious《Naifu》』







第121話:『目指せ エルフェンの森!』






キャットちゃんは、杉山とメキボに、アドレーから聞いた話を説明した。


アドレーの体の中に眠るエネルギー物質のこと。

それを追っているプラントのこと。

エルフェンの森についての話し。


余すことなくすべてを話した。




杉山:「なるほどな、プラントが、その子を狙って、この日本にいると」

キャッシー:「はい、だから、この子を守りたいんです。プラントに狙われている以上、放っておくことはできません」
キャッシーが真剣な目でそう言った。




杉山:「なら、我々の答えを言おう」
目を瞑って、杉山はそう言ったが、開いた瞬間、怖い目でキャットちゃんを睨みつけた。


杉山:「そんなバカげた話しを我々が信用すると思ったか?」


キャッシー:「え?」
唖然とするキャッシー。

メキボ:「後ろにいる子供は、どう見ても小学生ぐらいの子供だ。そんな話しができる年じゃない。悪いが、子供一人でフロンティアは動ける組織じゃないんだ」
メキボも両腕を組ながらそう言った。


キャッシー:「ですが、現にアドレーはプラントに襲われているんですよ!私は、この眼ではっきり見ました!」


メキボ:「我々は見ていない。キミが嘘を言っている可能性もある」

杉山:「そういうことだ。元帥がいたら、少しは聞き入れてくれたかもしれないが、我々は違う。そういうことだ」
2人は部屋を出ようとする。


キャッシー:「待ってくださいよ。あなた方は、困っている人がいたら、何とも思わないんですか?こんな小さな子で、聞いたふりをするんですか!」
隣を取り過ぎ、ドアノブに手を伸ばす杉山たちに怒りをぶつけた。


メキボ:「我々は、自分の正義を貫く。それだけだ」
その言葉を聞いたキャットちゃんは更に怒りを顔に表現する。

アドレーも悔しい表情をしていた。


杉山:「あ、そこにいる子供は、ちゃんとプラントに引き渡すんだよ。今は、あの組織に関わりたくないんだ」
そう言って2人は、部屋を出てしまった。






数十分後


フロンティア本部、キャッシーの部屋



キャッシー:「なによ、あの態度!腹が立つわ!」
ベットの枕を窓に向けて投げ飛ばすキャットちゃん。


アドレー:「組織の上層部なんてこんなものだよ」

キャッシー:「アドレー」

アドレー:「僕はパパとママを失ってからずっと、プラントの本部にいたからわかるんだ。組織の上層部なんて、ほとんどが自分たちのことしか考えない。不利になれば、自分たちの立場を武器にして、下の人たちを従えて、自分たちの手は絶対に汚さない。そんな人達ばかりだよ」
自分がプラントで見てきたことを口にするアドレー。

アドレーが言っていることはよくわかる。

特に、十天老士は、それに該当する存在だ。

自分のことだけしか考えず、元帥がいない場所では好き放題にする嫌な連中ばかりだ。

キャッシー:「あなたのことは私が守るから、今はここにいましょう。ここが一番安全だから」
キャッシーがアドレーの両肩を掴んでそう言った。


アドレー:「そのことなんだけど、キャッシーお姉ちゃん」

キャッシー:「ん?」

アドレー:「僕、エルフェンの森に行こうと思う」
それを聞いたキャッシーは驚いた。

アドレー:「事の始まりは、あそこから始まったんだ。もしかしたら、自分が知らないことがわかるかもしれない」

キャッシー:「ちょっと待って、あなたはプラントに追われているのよ!それに、プラントの目的はあなたをエルフェンの森に連れていって、そこに眠る力を解放することでしょ。あなたが、そこに向かったらプラントはチャンスとばかりにあなたを狙ってくるわよ!」

アドレー:「そうかもしれない。でも、僕はもう逃げたくないんだ!。僕は、僕自身の中に眠るエネルギー物質が何なのか知りたい。もしかしたら、それを取り除く方法が、エルフェンの森にはあるかもしれない。力を解放せずに取り出す方法が…」
アドレーの強い意志を聞くキャットちゃん。


キャッシー:『こんな子供が、こんなことを言うなんて。ううん、次元振動の影響で、ずっと7歳だって言っていたから、この年でもう50年は生きているのよね』
キャッシーはアドレーの力強い言葉を聞いて、心の中で呟いた。




アドレー:「もしかしたら、僕がエルフェンの森に行くことは、ガリーナには予測されているかもしれない。でも、どんな危険が待っていても、僕はそこに生きたんだ」


キャッシー:「ガリーナ?」

アドレー:「今回の任務で、派遣されたリーダーの名前だよ。ガリーナ・ジュエリー。プラントの一員だよ」

キャッシー:「名前からして、女性の人みたいね」

アドレー:「女性だからって甘く見ない方がいいよ。あの人は物凄い切れ者で、力も相当ある人だよ」
ガリーナの怖さはアドレーもよく知っていた。


キャッシー:「そんな人が相手でも、あなたは行くのね」
アドレーは首を縦に振った。


キャッシー:「わかったわ。あなたがそう言うなら、私は止めない。もう夜だし、今行動すれば、敵もあなたを見つけにくいでしょうしね」
キャッシーはアドレーの意志を聞き入れてくれた。

それがうれしいアドレーが、ものすごく嬉しそうな表情をした。


キャッシー:「早く支度していくわよ」

アドレー:「え?」

キャッシー:「この時間だと、バスも少ないからね」
ミッションウォッチを左腕につけてキャットちゃんはそう言った。


アドレー:「ちょっと待って!お姉ちゃんも行くの!?」

キャッシー:「当たり前でしょう。あなたを、アドレーを1人では行かせられないもの」

アドレー:「いや、でも」

キャッシー:「それに…」

アドレー:「?」

キャッシー:「あれだけ話しを聞いちゃうと、私も真実を知りたいわ」
優しい笑顔でキャットちゃんはそう言った。

アドレー:「お姉ちゃん」
僕のために、お姉ちゃんも行動してくれるんだ。嬉しい気持ちと、自分の所為でお姉ちゃんを巻き込んでしまった責任による気持ちが混ざり合って複雑な気持ちをする。


キャッシー:「さあ、急いで準備して」

アドレー:「う、うん」
キャットちゃんは必要なものをミッションウォッチによる粒子化で収納した。





準備を終えたキャットちゃんとアドレー。



部屋を出て廊下を走る。


静香:「ん?」
キャットちゃんが急いでいる姿を目撃する静香。


静香:「どうしたのかしら?あんなに慌てて?」
急いでいるキャットちゃんを不思議そうに見つめる静香。




キャットちゃんとアドレーは本部のエントランスから外に出た。

丁度、その瞬間を目撃した龍可。


龍可:『こんな時間にどこ行くのかしら?それに、一緒にいた子供…』
外に出た二人の姿を見ながら龍可は呟いた。







20分後


キャットちゃんとアドレーは、無事にバス停にたどり着いた。

キャッシー:「次のバスは、5分後ね。ギリギリセーフだわ。次のバスを乗れなかったら、今日のバスはもうないからね」
キャットちゃんはミッションウォッチからホログラムを出して、改めてエルフェンの森までの道のりを確認する。


キャッシー:「まずは、このバスに乗って、エルフェンの森に一番近いバス停まで行くわ。ざっと4時間ぐらいはかかるわね。それから、6時間ほど歩いて、エルフェンの森に行くわ。車とかで行ければいいんだけど、私免許持ってないし、エルフェンの森に向かう道路は途中で険しくなるってネットには書かれているから、歩く方が迷わずに行けるわ」

アドレー:「本当に半日ぐらいかかるんだね」

キャッシー:「まあ、仕方ないわ。エルフェンの森は、地図に載っているものの、”蜘蛛の跡地”なんて書かれている所為で誰も近寄らない場所でもあるから」
キャットちゃんがそう言っていると、待っていたバスが到着する。


キャッシー:「バスが来たみたいだわ」
バス停にバスが停車し、キャットちゃんとアドレーはバスに乗車した。


一番後ろの隣に4人座れる席に座る2人。


アドレー:「僕、バスに乗るの久しぶりかも。プラントに引き取られてからずっと本部の中だったから」

キャッシー:「だったら、観光気分で楽しみなさい。少しは気分が穏やかになるわ」

アドレー:「外夜だから、綺麗なものはあまり見えないけどね」
ははは、と力なく笑うアドレー。

キャッシー:「それもそうね」
キャットちゃんも力なく笑い返した。

こうやってみると周りからは仲のいい姉と弟にしか見えない。





その頃、とある森の中に止まっていた飛行艇もエンジンを始動させた。



部下:「アントンとラーヴルが戻られた!今すぐ出発する!行先はエルフェンの森だ!」
プラントのメンバーの一人がそう言うと、飛行艇は空へ飛び、エルフェンの森へと向かった。






バスに乗車して2時間




キャットちゃんとアドレーは、まずは第一目的地のバス停に到着した。

2人はバスから降りて、運転手さんに礼を言った。


時刻を確認するキャットちゃん。


既に日付は変わっている時間だ。


キャッシー:「やっぱり、街外れだから、街灯はないか」

アドレー:「この先に何かないの?バスが、そのまま真っ直ぐ言ったってことは、建物ぐらいあるんじゃない?」

キャッシー:「残念だけど、あのバスは、折り返しバスだから、途中で引き返して来るわ。一応、地図を見る限り、次の街までバスは行かないし、そっちまで行けば、エルフェンの森に到着するのが遅れるから」

アドレー:「それじゃあ、このまま暗い道を歩くの?」

キャッシー:「この先に、小さい湖があるわ。今日はそこで野宿にしましょう。明日の朝早く起きて、エルフェンの森に向かうわ」
キャットちゃんがそう言うと、その湖がある方向に歩き出した。

アドレーは暗い道が怖い所為か、キャットちゃんの袖口をぎゅっと握った。

それを見たキャットちゃんはフッと笑った。

バカにしているわけじゃない。かわいいからそう思っただけだ。




そして、湖がある場所に着いた2人。


フクロウの鳴き声が少し聞こえ、湖には月が映るほどきれいだった。


キャットちゃんは、ミッションウォッチから粒子化していたキャンピング用の道具を出した。


キャッシー:「確か、これでよかったわよね」
初めて一人で使うキャンピング道具。

バーナーに火をつけて、簡単に食べられるものを出して、アドレーにあげた。

アドレー:「ありがとう」

キャッシー:「お腹空いたでしょう。食べなさい」

アドレー:「うん」
キャッシーとアドレーは、パックの封を開けて、中身を容器に出した。

そして、それをバーナーに近づけて温め、いい具合に温まったところで、それを口にした。


しばらく無言で食べる2人。

しかし、キャットちゃんは気になったことをアドレーに聞いた。

キャッシー:「アドレーは、プラントに引き取られて、どんな生活を送っていたの?最初は、何も知らなかったんでしょう?プラントの計画のこと?」
キャットちゃんがそう聞くと、アドレーは「うん」と縦に首を振った。

アドレー:「最初は、僕みたいに親を失った子供たちと一緒に、勉強したり遊んだり、楽しい毎日を過ごしてたよ。でも、しばらくすると、僕だけ自由な時間が少なくなって、変な機械が沢山ある場所に寝かせられて、身体をいっぱい調べられたんだ」
楽しい過去、そしていきなり日常が変わった楽しくない過去のことを話すアドレー。


キャッシー:「日常生活を過ごさせることで、アドレーの中にある謎のエネルギー物質に異常がないか、あるいは変化があるかどうかを調べていたのね」

アドレー:「多分ね。でも、それだけなら僕もまだよかったよ。けど、数か月前から、プラントの人たちが僕を見る目が変わってね。僕の体を調べていた人たちも態度を急に変えて、最終的には、みんなとも会えなくなってきたんだ」
いきなり涙がポロポロ目から出すアドレー。

その姿を見て、本当に辛かったのね。


アドレー:「どうして、僕だけ、こんな辛い目に遭わなきゃいけないの…」
容器を起き、体育座りをするアドレー。

涙をズボンで拭く。

キャッシー:『辛い目か…』
キャッシーはそう呟くと、友達である遊馬の顔を思い出した。


3か月前、彼の元で修行したが、その後、遊馬はとある任務に就き、その任務を終えた直後、本部に戻ることなく、どこかへ行ったという。


フロンティア上層部に嫌な目で見られ、国家政府には信用されているのかされていないのか、よくわからない立場であるため、追われることもある。


彼だって辛い目に遭っている。


キャッシー:「辛い人生を送っているのは、アドレーだけじゃないわ。この世界には、辛い人生を送っている人が沢山いる。でも、それに負けずに立ち向かって、人生を変える人だっているのよ」

アドレー:「人生を変える…」

キャッシー:「あなたも変えたいでしょう?人生を」
キャットちゃんがそう聞くと、アドレーは、頷いた。


キャッシー:「なら変えましょう。それを実現するためには、エルフェンの森に行かないと。そうでしょ?」
キャットちゃんがそう聞くと、アドレーは力強く「うん」と答えた。


キャッシー:「その意気よ。さあ、明日は早いから、早く食べて寝ましょう。もう夜中の1時過ぎてるし、宵子は寝る時間なんだから」

アドレー:「うん、わかった」
アドレーは置いていた容器を手に持って、食べ物を残さず平らげる。


キャッシー:『この子の人生を変えるためには、私もしっかりしないとダメよね』
キャットちゃんも残さず食べた。










その頃、プラントのメンバーが乗る飛行艇は、上空を飛行していた。



パイロット:「いいのですか?隊長?こんなにゆっくり飛行していて?」


ガリーナ:「早く到着しても、意味がないでしょう。アドレーがいないんだから」


アントン:「あのガキは、本当にエルフェンの森に来るのか?」

ガリーナ:「あの子は、謎があれば真実を求める子よ。私が勉強を教えていたときも、わからなかったことがあれば必ず聞いてくるいい子だったわ。そんな子が、自分の身体に何があるのか気になってしょうがないはずよ」
ガリーナは椅子に座って外を見る。


ガリーナ:『さあ、来なさい、アドレー。先に行って待っているから。フロンティアの人たちと一緒に』
ガリーナは心の中で呟いた。









早朝


キャットちゃんとアドレーは時間通りに目を覚ました。


いい日差しだが、朝だけあって、少し冷えていた。


キャッシー:「さあ、行きましょう。今日は6時間も歩くからね」

アドレー:「はーい」


キャットちゃんとアドレーはエルフェンの森に向かって歩き出した。






その頃、フロンティア本部




本部に1台のヘリが用意されていた。



レミ:「慎也さんと哲平さんに許可は貰ったわ。そっちはどう?」
ヘリの近くで、ミッションウォッチの通信機能を使い誰かと話すレミ。



梨香:『うん、一応、彼女を見かけたっていう情報があったわ。静香さんと龍可の情報を元に出発しましょう』
レミの通信相手は梨香だった。


レミ:「わかったわ。すぐに出発できるように準備しておく」
そう言ってレミは通信を切った。


昨日、見たキャットちゃんの慌てぶり…。

レミ:『普通じゃないわよね』
レミはそう呟く。








その頃、キャットちゃんとアドレーは、エルフェンの森に向かって歩いていた。


歩いて既に2時間が経過している。


7歳の子供には、そろそろ辛いかなと思ってアドレーの方を見ると、元気よく歩いている姿が目に映った。


キャッシー:『まだ大丈夫みたいね』
キャットちゃんはアドレーの姿を見て、問題ないと判断した。






綺麗な森林。そこには野生の生物が沢山いた。

それだけじゃない。中には、宿主を持たない野生のデュエルモンスターズの精霊もいた。



そう、ここが”エルフェンの森”。

”蜘蛛の跡地”とも呼ばれた森で、街から離れており、かつここまでくる道が険しいため、滅多に人は来ない。


だが、そんな森に一台の飛行艇が着陸した。

ガリーナ率いるプラントのメンバーが乗る飛行艇だ。



飛行艇からガリーナや、アントン、ラーヴルが降りてきた。

更に、他に乗っていたメンバーも全員飛行艇から降りてきた。



ガリーナ:「サーチフィールドを展開しなさい」
ガリーナがそういうと、飛行艇から数本のアンテナが出てきて、電波を発する。

これは、センサーを発する電波で反応すれば、プラントのメンバーが持つ携帯端末に情報が流れる仕組みだ。

ガリーナは手に持っていた端末を起動させて、センサーに何か反応がないかを確認する。


ガリーナ:「流石に、まだ来ていないか」
ガリーナは携帯端末の電源を落とし、周りを見渡す。


ガリーナ:「蜘蛛の跡地、何て呼ばれているのが嘘ぐらい穏やかな場所ね」
小鳥の声、気持ちい風、ゆっくり休める場所にぴったりな場所だ。



アントン:「で、ここにあるんだよな?例の宝玉は?」

ガリーナ:「ええ、情報が正しければだけど」

ラーヴル:「宝玉の名前は確か…」


ガリーナ:「”アラクネーの宝玉”。かつて、アドレーの両親が探していた宝玉でもあるわ。ボスの話しでは、。宝玉の中心部に蜘蛛の形が映し出されているらしいわ」
ボスから聞いた情報を、みんなに教えるガリーナ。

アラクネーとは、ギリシャ神話に登場する上半身が女性、下半身が雲の姿をした怪物だ。


ラーヴル:「我々は詳しく聞いていませんが、ボスは、その宝玉に眠る力がほしいと言っていたそうですね」

ガリーナ:「正確には、その宝玉に眠るある怪物の力だけど」

アントン:「怪物?」

ガリーナ:「ええ、このエルフェンの森は、色々謎があってね。空白の200年の時代から存在していたという話しもあるわ。そして、多元世紀が始まってすぐ、この森を支配していた怪物は、この宝玉に封印されたっていう歴史が残っているわ。その封印されたのが、かつて、この森を支配していた”ドミナシオン”」
ドミナシオンはフランス語の支配を意味する。

ガリーナ:「ドミナシオンは、その圧倒的な支配力で森は朽ち、自然は消滅したとも言われているわ。そんなドミナシオンの支配を止め、森を綺麗な姿に戻したのが、鹿の姿をした謎の精霊。その精霊は、その力で、ドミナシオンを宝玉に封印し、そして森を元の姿に戻した後、姿を消した。それ以来、その精霊を見た物はいないわ」
歴史に残る話しをするガリーナ。




ラーヴル:「ドミナシオンの支配力。ボスは、それに惚れたということですね」

ガリーナ:「あの人のことよ。ドミナシオンの力、いえエネルギーを手に入れて、新たな巨大兵器でも作るんでしょう」
ガリーナが笑ってそう言うと、メンバー全員の、携帯端末が音を鳴らす。


パイロット:「センサーに反応です」
飛行艇に乗っていた人が、みんなに知らせる。


ガリーナ:「どうやら、来たみたいね」


アントン:「フッ、昨日は逃げられたからな、今度こそ逃がさねえぞ」
昨日のことを忘れられなかったアントン。


ガリーナ:「センサーの反応は2つね。一つはアドレーとして2人だけで来たのね。昨日の失敗を挽回してきなさい」
ガリーナはアントンとラーヴルのみをセンサーが反応している場所に向かわせた。







その頃、エルフェンの森に到着したキャットちゃんとアドレー。

時刻は正午になるところだった。


綺麗な森の中を歩いていた。


キャッシー:「初めて来たけど、普通にキレイな森ね。蜘蛛の跡地って言われているのが嘘みたい」
これから遭遇するかもしれない敵と同じことを発言するキャットちゃん。


キャッシー:「森に着いたけど、どうする?あなたの体に眠るエネルギー物質についての手掛かりとかあるの?」


アドレー:「パパが探していた宝玉は、この森のどこかにある池に隠されているはずだって言ってたのを覚えているよ。まあ、前に来た時は、あまりの広さに断念して、欠片だけを持って帰って終わっちゃったけどね」

キャッシー:「この森にある池ね。この広さだし、簡単に見つからないわね」

アドレー:「ゴメン、僕がちゃんと覚えていれば…」
自分を責めるアドレー。

キャッシー:「人間ですもの、忘れることぐらいあるわ。手掛かりさえあれば、池の一つや二つ見つかるわよ」
キャットちゃんが笑って、そう答えてくれた。




ガサガサ


茂みが妙な音を立てた。


それに気づいたキャットちゃん。

アドレーを自分の後ろに立たせる。

アドレー:「お姉ちゃん?」

キャッシー:「こう見えて、耳はいい方なのよね」
メガネのレンズがキラッと光り、妙な音がした方を見つめる。


キャッシー:「隠れてないで出てきたら、どうなの?」
キャットちゃんがそう言うと、茂みの中から肌が黒く灰色のYシャツを着用した男性と、メガネをかけてスーツを着用した男性が出てきた。


キャットちゃんは、その二人に見覚えがあった。


なぜなら、昨日遭っているからだ。


アントン:「以外と、いい関してんじゃねえか」

ラーヴル:「フロンティアのメンバーだけのことはあるか」

アドレー:「アントンとラーヴル!」
2人の前に出てきたのは、昨日、自分を捕まえようとずっと追いかけてきたプラントのメンバーのアントンとラーヴルだった。


キャッシー:「まさか、こんなに早く遭うとは思わなかったわ」
茂みの中に誰かいるのは気付いていたが、2人いるとは思いもよらなかったキャットちゃん。

内心、少しだけビビっている。



アントン:「まさか、自分から、この森に来るとはな。隊長の予想通りだ。しかも、昨日のフロンティアの女と一緒だとはな」

ラーヴル:「もう少し、大人数で来ると思っていたが、まあいい、こちらには好都合だ」

アントン:「ああ、アドレーを連れ戻す手間が省ける!」
相手を殺すような目つきをするアントン。

その目つきに、つい片脚を後ろに下げてしまうキャットちゃん。


ラーヴル:「昨日みたいにはいかないぞ」
昨日はうまく逃げられてしまったが、今回はそうはいかないというような感じでラーヴルは眼鏡の位置を人差し指で調整する。


だが、それはキャットちゃんだってわかっているつもりだ。

同じ敵に、同じ手が通用するとは思ってもいない。

絶体絶命の状況に立たされたキャットちゃん。ここをどう潜り抜けるのであろうか…!








その頃、一台のヘリが空を飛んでいた。


プラントが所有するものではない。

そのヘリは一体、どこへ向かっているのか……。










第8ED『あしあと《Clair(クレア)》』








次回予告

ナレーション:アントンとラーヴルを相手に絶体絶命の状況に立たされてしまったキャットちゃん。

アドレーを守るため必死に戦っている、そんなとき、思いも寄らなかった増援が到着する。

そして、ここエルフェンの森に、あの連続殺人犯が近づいていた!


アドレー:次回、遊戯王5DXAL「アラクネーの宝玉を巡る激戦!」


アドレー:「パパが探して宝玉は、その池にあるんだ…!」
1/1ページ
スキ