第120話:『大組織プラントの刺客現る!』
街外れの森
その森の中を逃げ回る水色の髪毛の少年。
???:「おい、いたか?」
???:「いや、こっちにはいない!完全に見失った!」
???:「まだ遠くには行っていないはずだ!早く探すぞ!でないと、ガリーナ隊長になんていわれるかわからないぞ」
少年の近くで聞こえる男性たちの声。
足音が遠くなっていくのを確認し、隙を見て少年は森を抜けた。
森を抜けて、大きな道路に出た。
その道路の先に見えたのは、街だった。
そう、ネオコーポレーションシティだ。
第8OP『Mysterious《Naifu》』
第120話:『大組織プラントの刺客現る!』
第5回デュエルバトルカーニバル選手権が終わって3か月
あれから、フロンティアには、多くのマスコミが来ていた。
なぜなら、あの一件で、全世界に武藤遊戯が生存していることがバレてしまい、しかも四大神王者のリーダーであることも知れ渡ってしまったからだ。
フロンティア本部の敷地の前に止まる一台の車。
その車に向かって歩く百々原元帥。周りにはガードマンが数人いた。
そして、元帥を見つけたマスコミが一斉に近寄ってきた。
マスコミA:「市長!武藤遊戯の件でご質問があります!」
百々原:「彼について、話すことはありません」
マスコミB:「武藤遊戯が生きていることは、もう隠せません!世界中大騒ぎです!彼は、今どこにいるのですか?一言お願いします!」
百々原:「彼が、今、どこで何をやっているのか私は知らない。悪いが、お引き取りください」
ガードマンに守られながら、百々原は車に到着し後部座席に乗り込んだ。
ガードマンが車の扉を仕舞い、百々原が乗る車は、どこかへ行ってしまった。
マスコミたちは残念そうに引き返した。
その頃、フロンティア本部では上層部の会議が行われていた。
その中には慎也がいた。
慎也:「見ての通りです。3カ月前、オズボーン・セーブルが武藤遊戯隊長が生きていることを全世界にさらした所為で、裏世界に出回っている”裏懸賞金”に大きな動きがありました。手配書に書かれている四大神王者No.1アッシュの表記に武藤遊戯と言う名が刻まれてしまいました。その額は8億5千万G(ゴールド)。裏懸賞金の中で覇5本の指に入るほどの高額値がついています」
上層部たちは慎也が持ってきた手配書を手に取る。
ヴォッカ:「写真入手は不可。それだけでも、マシということか」
裏懸賞金の手配書には名前と写真が載っていることが当たり前だが、四大神王者全員は、ぞれぞれのコードネームで名前は乗せられ、写真は載っていない。
羽鳥:「あの一件で、フロンティア内部でも大騒ぎになっている。武藤遊戯の妻と子供共も、ここには置いてはいられまい」
キョウ:「しかし、外に出したところで、武藤遊戯を釣る餌にもなりかねん。放っておくこともできまい」
自分の髭を触りながら話す十天老士の1人キョウ。
ヤバ:「武藤遊戯は、この世界の秘密を握る1人。簡単に、敵の手に取られてしまっては、どうもこうもない。フロンティアの未来にも関わる」
机を少し強く叩いてヤバは言った。
慎也:『その遊戯隊長を追放したのはどこの誰らだ。都合のいいことだけ言って…』
十天老士に静かに怒りをぶつける慎也。
杉山:「フロンティアの未来のことを話しても意味はない。奴は追放された身だ。しばらく、表舞台に現れることもない。No.4ロストいや、九十九遊馬も、3か月前に例の任務を終えてから消息を絶ったままだ。何を企んでいるのかは知らんが、しばらく、四大神王者が動くことはないだろう」
落ち着いた感じで十天老士の1人杉山が言った。
慎也:「武藤杏子、武藤結衣、武藤ツバキの3名につきましては自分が責任をもって護衛します」
宝井:「できるのか?」
慎也:「ここで、できないですという答えを言うつもりはありません」
言葉に迷いはなかった。
それは十天老士にもわかっていた。
十天老士は全員で目線を合わせて、同意を確認した。
メキボ:「ならば、そちらは、お前に一任する」
慎也:「了解です」
慎也は頭を下げて言った。
慎也:『遊戯隊長、あなたがいない間、俺があなたの大切なものをお守りします』
慎也は心の中で、そう呟いた。
ネオコーポレーションシティ
昼間
時刻は正午を過ぎている。
人で賑わう街中を、1人で歩いているキャットちゃん。
耳にイヤホンをつけて音楽を聴きながら、青空の下を散歩していた。
しばらく歩いている噴水のある大きな広場にたどり着いた。
ここは、デート場所でも有名なところでもある。
そして、もう一つ有名なことは、小さい子供たちがデュエルする場所でもあると言うところだ。
周りには、デュエルディスクを左手に填め、中には、デュエルアイやDゲイザーを左目につけてデュエルしている子たちが沢山いた。
キャッシー:「今日も、沢山やっているわね」
噴水の近くにあるベンチに座り、周りでやっているデュエルを見つめるキャットちゃん。
デュエルをやるのも好きだが、こうやってただデュエルを見るのも好きなキャットちゃん。
プレイヤーがどんな戦術で、相手に攻めるのか、そして、その相手はどうやってその攻めを防ぐのか、この駆け引きが面白い。
子供A:「僕は、キラー・マシーンで攻撃!」
レベル5の通常モンスター、キラー・マシーンが相手が操るモンスター、シーザリオンを破壊した。
子供B:「俺はトラップを発動するよ!」
相手の子供がモンスターが破壊されたことを引き金にトラップカードを発動した。
キャットちゃんの目の前で行われているデュエルは、子供同士の熱いデュエルだった。
その頃―。
アントン:「ようやく見つけたぞ、アドレー」
ラーヴル:「大人しくしてもらおうか」
灰色のYシャツを来た肌黒いの男性と、メガネをつけ、スーツを着用した男性が、1人の少年の前に立っていた。
水色の髪の毛をした少年は、2人に囲まれ、身動きが取れないでいた。
アドレー:「僕は、お前たちの道具なんかじゃない。お前たちに着いていくなんて御免だよ」
追い込まれながらも、強い意志で口を開く少年。
アントン:「7歳のガキが生意気な口を聞くな。俺たちと一緒に、”エルフェンの森”に行くぞ。今回の俺たちの作戦に、お前は必要不可欠だからな」
アドレー:「必要なのは僕じゃなくて、僕の中にある謎のエネルギーだろ」
ラーヴル:「そのエネルギーを取り除くのが、俺たちの任務だ。さあ、俺たちと一緒に来い」
眼鏡の位置を整えて、アドレーに手を差し伸べる。
アドレー:「お断りだよ!」
アドレーが逃げようとする。
アントン:「逃すか!」
アントンは手元にショットガンタイプのデュエルギアを握った。
大きな広場でデュエルを見物するキャットちゃん。
キャッシー:「そろそろ本部に戻ろうかしら」
ベントで背筋を伸ばし、立ち上がった。
すると、そのとき!
ドカーン!!
大きな爆発音。
鳩たちが驚き、飛び去って行く。
広場にいた人達もなんだなんだ?と騒ぎ出す。
キャッシー:『あれは…?』
煙が出ている場所を確認したキャッシー。
フロンティアのメンバーということもあり、こういうことが起きると、気になってしまう。
キャットちゃんは走って、その場所に向かった。
爆発音がした場所―――
爆発の影響で吹き飛ばされ、傷を負ってしまったアドレー。
アドレー:「っ!」
アントン:「チッ、弾がガスボンベに当たっちまったか」
ラーヴル:「むやみに撃つからだ」
アントン:「喧嘩うってんのか?ラーヴル!」
ラーヴルの態度が気にいらず、怒鳴り出したアントン。
ラーヴル:「それよりも、早くアドレーを連れていくぞ。今の爆発音で、かなり目立ったからな」
ラーヴルがアドレーに近づく。
アドレーは諦めたのか逃げずに、その場でしゃがんでいた。
しかし、そこに一人の女性が走ってきた。
キャッシー:「ちょっとあなたたち、子供相手に何してるのよ!」
アドレーを守るように、前に立つキャッシー。
アントン:「誰だ?こいつ?」
ラーヴル:「爆発の音を聞いて、来ただけだろ」
ラーヴルがキャッシーに近づく。
ラーヴル:「そこをどけ。俺たちは、後ろの子供に用がある」
アントン:「そうそう、そいつが逃げなければ、こんなことにはならなかったんだ」
アントンがショットガンタイプのデュエルギアの先台をスライドさせて、弾を込めた。
キャッシー:『逃げた?』
肌黒い男性が言った言葉が気になったキャッシー。
ラーヴル:「おしゃべりが過ぎるぞ、アントン。こいつが、別組織の者だったら、どうするつもりだ?」
余計なことを話したアントンを怒るラーヴル。
「全くと」と呟き眼鏡の位置を人差し指で直した。
キャッシー:『訳アリみたいね』
後ろにいる少年をチラッと見て呟いた。
キャッシー:「どんな理由であれ」
”キャットガール”のクロータイプデュエルギア”キャットネイル”を右手につけるキャットちゃん。
キャッシー:「男の子1人に、2人で襲いかかるなんて情けないわよ!」
キャットネイルを構え、凛とした態度でキャットちゃんは言った。
アントン:「デュエルギア…!」
ラーヴル:「貴様、只者じゃないな?」
キャッシー:「私は、大組織フロンティアの一員よ」
自分がフロンティアのメンバーであることを告げたキャットちゃん。
それを聞いたアントンとラーヴルは動揺した。
アントン:「大組織フロンティアだと……!」
ラーヴル:「一番合ってはならないことが起きてしまったか」
キャッシー:「この街で大きな事件を起こすようであれば、容赦はしないわよ」
強気の意志でキャットちゃんはそう言った。
ラーヴル:『フロンティア。我々と同じ大組織の一員だったか』
アントン:「お前、1人に何ができる?お前をやった後で、アドレーは連れていくぞ!」
ショットガンタイプのデュエルギアを構えるアントン。
キャッシー:『属性波動をデュエルギアに込めて…』
人間の体内に流れるデュエルエナジーの一種、属性波動。
遊馬との修行の中で、キャットちゃん初級レベルではあるが、属性波動のコントロールを取得した。
そして、キャットちゃんが扱う属性は―。
キャッシー:『一気に放つ』
右手を後ろへ下げる。
それを見たアントンとラーヴルは何かしてくると察知した。
キャットちゃんの右手につけているキャットネイルが青く光る。
そして、ボウリングのボールを投げるかのように、下から上へ手を振り上げようとする。
キャッシー:「オーシャン・アイ・ディジィー!」
青く輝くキャットネイルから水が出現する。
キャットちゃんがキャットネイルを下から上に振り上げた影響で、水は津波のように現れ、アントンとラーヴルを襲った。
アントン:「くそっ!」
ラーヴル:「チッ」
津波が襲ってくる影響で、身動きが取れない2人。
キャッシー:「さあ、行くわよ!」
キャットちゃんが、少年に手を差し伸べる。
少年はキャットちゃんの手を掴み、一緒にここから逃げた。
技を放った本人がいなくなったことで、2人を襲った水が消えた。
2人の目の前に女と少年の姿はなかった。
アントン:「チッ、どうする?アドレーをフロンティアに取られたぞ」
ラーヴル:「とりあえず、ガリーナ隊長に連絡だ」
2人は、一旦アドレーのことは諦め、隊長に連絡を入れることにした。
アントンとラーヴルから逃げたキャットちゃんとアドレーは、建物と建物の間の狭い路地に身を潜めていた。
傷だらけのアドレーの身体を、自前のハンカチで拭くキャットちゃん。
アドレー:「いたっ」
キャッシー:「ごめん、痛かった?」
アドレー:「ううん、大丈夫。ありがとう。えーと」
キャッシー:「キャッシーよ。みんなにはキャットちゃんって呼ばれているわ」
アドレー:「僕はアドレー。さっきは助けてくれてありがとう。えーと、何て呼べばいいかな?」
キャッシー:「アドレーの好きなように呼んでいいわよ」
アドレー:「じゃあ、キャッシーお姉ちゃん」
アドレーはキャットちゃんを”キャッシーお姉ちゃん”と呼ぶことに決めた。
キャッシー:「訳アリみたいね。あなたのような子供が、あんな怖そうな男たちに追われているなんて考えられないし」
キャッシーがそう言うと、さっきまで笑っていたアドレーの顔の雲行きが怪しくなった。
キャッシー:「よかったら、話してくれない?さっきも言ったけど、私は大組織フロンティアの一員。こういう問題ごとには慣れているから」
アドレーの隣に座るキャッシー。
アドレー:「僕を追っていた2人組、アントンとラーヴルは、大組織プラントの一員で、僕と一緒に、日本に来た人達なんだ」
キャッシー:「プラントって言えば、フロンティア、サイファーに並ぶ大組織の一つ。裏では核兵器などを内密に製造しているって話も聞いたことがあるわね。本部は確か、ノルウェーだったかしら。あなた、そんな場所から、ここまで来たの?」
キャッシーの質問にアドレーは頷いた。
キャッシー:「両親が心配するでしょ」
アドレー:「パパとママは、もういない。僕は此間まで、プラントの本部で暮らしてきたから」
暗い顔で、話をするアドレー。
キャッシー:「辛いかもしれないけど、話してくれない?君は、どうしてプラントの人たちから逃げているのか」
アドレー質問をぶつけるキャットちゃん。
アドレー:「僕の体の中にはある事件がきっかけで、この世の科学では解明されていない謎のエネルギーの物質が体内に眠っているんだ。数年前に起きた事件。その事件がきっかけで、パパとママは死に、僕はプラントに保護されたんだ」
キャッシー:「そのある事件って、何?」
アドレーが言うある事件。そのことを質問するキャットちゃん。
アドレー:「キャッシーお姉ちゃんは、エルフェンの森って知ってる?」
キャッシー:「エルフェンの森?聞いたことないわね」
アドレー:「じゃあ、こういえばわかるかな。エルフェンの森は別名、”蜘蛛の跡地”」
その名を聞いて、キャットちゃんは反応した。
キャッシー:「そこって確か、ネオコーポレーションシティから半日ぐらいで行ける森林…」
アドレー:「うん、数年前、僕は科学者であったパパとママが、その森に眠る何とかの宝玉ってものを捜しに、その森に行ったことがあるんだ」
当時のことを話すアドレー。
アドレー:「パパとママは、お目当ての宝石を探している中、ある物を見つけた。それが探している宝玉の欠片と思われる物だったんだ。パパとママは、その欠片を調べるために、すぐに研究所に戻り、作業を開始したんだ。そして、悲劇はこの後起きた。それから3日後…」
アドレーは同時のことを思い出し、それをキャットちゃんに話した。
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パパ:「なんだ!この光は!?」
宝玉の欠片とも思われるものから放たれる不気味な光に怯える研究者たち。
ママ:「アドレー、急いで建物から出なさい!」
アドレー:「ママたちも一緒じゃなきゃ嫌だ!!」
ママの言うことを聞かずに、ママが着用する白衣を握り締めて離れないアドレー。
そして、奇妙な光を放つ宝玉の欠片は砕け散り、妙な黒い物陰が姿を現した。
研究者たちは恐れをなし、研究所から逃げようとする。
しかし、突如現れた黒い物陰は、近くにいる研究者たちを次々と飲み込んだ。
パパ:「うわああああ!」
ママ:「あなた!」
黒い影がパパを飲み込む寸前を、目の当たりにするママとアドレー。
そして、そのあと、黒い物陰はママと自分を襲った。
それから、何時間経っただろう。一瞬目を開けたときだった。
いろんな人が、周りにいた。
プラントの一員:「気が付いたようだな。私は、プラントの者だ」
そう、あのとき、プラントの人たちが、倒れていた自分を助けてくれたのだ。
アドレー:「パパと、ママは?」
アドレーがそう聞くと、自分を見てくれた人は暗い顔をして、目線を別の方に向けた。
アドレーも寝ながら、そっちを見た。
そして、平静を失うほどに、アドレーは驚いた。
パパやママ、部屋にいた研究者たちが大勢倒れていたのだ。
プラントの一員:「残念だが、キミ以外、助かった者はいない」
その言葉を聞いたアドレー。
僕はまだ7歳だ。多元世紀の影響で、永遠の7歳。両親なしでは生きていけない歳だ。
だが、その両親が、自分の前からいなくなってしまった。
涙がいっぱい出てくる。
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アドレー:「あのとき、パパとママを失った僕は、プラントに引き取られ、その後、僕だけどうして、生き残ったのか、身体を検査をしたんだ。そしたら、パパとママが見つけた宝玉の欠片の内部に眠っていた謎のエネルギー物質が、僕の体から確認できたんだ」
キャッシー:「つまり、事件が起きたときに、あなたたちが視た黒い物陰は、何らかの方法で、あなたの中にエネルギー物質を封印したってこと?」
アドレー:「もしくは、黒い物陰そのものが、僕の体の中に入ったか。それはまだ分かっていないんだ。だから、プラントの人たちは、そのエネルギー物質が一体何なのか、ずっと調べてくれていたんだ。でも、此間、僕は真実を知った」
キャッシー:「その真実が、あなたがプラントから逃げる理由ってことね」
キャッシーがそう言うと、アドレーは頷いた。
アドレー:「お姉ちゃんもさっき言ってたけど、プラントは内密で核兵器などを作っている軍事力が強い組織。そこのボスは、使えるものが見つかれば、すぐにプラントの戦力として導入しようとする人なんだけど、僕はこっそりとボスとその部下の人たちの話し聞いてしまったんだ」
此間のことを思い出すアドレー。
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ボス:「アドレーの体に眠るエネルギー物質を利用する。エルフェンの森へすぐに迎え」
部下:「アドレー本人はどうします?そこまですれば、あの子の命が」
ボス:「あいつの命など知ったことではない。必要なのは、その身体に眠るエネルギーだ。そして、エルフェンの森に眠る力を解放させて、我が力にするのだ」
自分のことをどうでもいいように話すプラントのボス。
閉じ切っている扉の向こうにいるアドレーは、涙を流した。
そして、すぐにそこを後にした。
それから1日が経ち、アドレーはアントンやラーヴルを含むプラントのメンバー数人を乗せた飛行艇で、エルフェンの森へと向かった。
だが、その途中、飛行艇のトラブルにより、緊急着陸をした。
その隙に、アドレーは、プラントの人たちから逃げ出したのだ。
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キャッシー:「慎也さんや葵さんが、プラントは何を考えているのか分からない組織だって聞いてたけど、力を求めるために、子供の命を奪うほどまで落ちているなんて、許せない!」
怒りを露にするキャットちゃん。
アドレー:「アントンとラーヴルが、ここまでやって来るから、どんな手段を使っても、僕を捕まえようとするはずだ」
キャッシー:「なら、隠れましょう。このままじゃ危険よ。フロンティアの人たちに話しをしてみるわ!」
キャットちゃんは、そう言って、アドレーを連れてフロンティアの本部に戻った。
急いで、とある場所に向かうキャットちゃん。
そんな急いでいるキャットちゃんの姿を偶々見た梨香とレミ。
梨香:「どうかしたのかな?」
レミ:「かなり慌ててたわね」
キャットちゃんの姿を見て、そう呟く梨香とレミ。
そして、キャットちゃんは、目的地の部屋の前に立つ。
そこは、元帥室だった。
キャットちゃんは躊躇いもなく、ドアをノックして、部屋の中の応答を聞くまでもなく、すぐに扉を開いた。
キャッシー:「失礼します!」
キャットちゃんは、そう言って入ると…。
メキボ:「貴様、無礼だぞ。勝手に、元帥の部屋に入ってくるとは!」
杉山:「最近の若い者は、マナーがなっていないな」
十天老士の一員であるメキボと杉山が、そこにいた。
キャッシー:「百々原元帥は、どこです?」
2人に近づき、キャッシーは聞いた。
杉山:「元帥なら、今日は帰って来ない。国家政府の本拠地ヴェーロイアに言っているからな」
それを聞いたキャットちゃんは「そんな…」と残念そうにつぶやく。
キャッシー:「なら、上層部であるあなた方にお話があります」
とりあえず、話して見よう。そんな気持ちで、キャットちゃんは、アドレーから聞いた話を2人に話した。
その頃…。
プラント所有の飛行艇内
???:「それで、簡単に逃げられたと?」
ラーヴル:『申し訳ありません、隊長』
ディスプレイ画面に映るラーヴルとアントンが、飛行艇にいる隊長に向かって謝る。
???:「はあ、まあいいわ。あなたたちは、一旦戻りなさい」
ラーヴル:「で、ですが、」
アントン:「アドレーのガキを、このままにしておくのかよ!」
???:『あの子が、フロンティア関係の人に渡ってしまった以上、簡単には手が出せないわ。大丈夫よ、アドレーの性格は、私が昔から知ってるつもりだから』
ディスプレイを見つめる女性が、そう呟いた。
ラーヴル:『了解。これより、そちらに戻ります』
ラーヴルは通信を切った。
???:「世話のかける子ね。まったく」
呆れたような口調で、女性は口を開いた。
部下:「時間をかけて申し訳ございません。出発の準備が整いました、ガリーナ隊長」
敬礼をしながら、濃い赤髪の女性にそう言った。
ガリーナ:「トラブルの原因はなんだったの?」
ガリーナが敬礼する部下に質問した。
部下:「それが、飛行中に野生の鳥が衝突したみたいで」
ガリーナ:「それで、操縦席の非常警報が鳴ったってわけね。こんな忙しいときに、どうして邪魔が入るのかしら。それで、もう飛べるのよね?」
部下:「はい、修理はできたので問題ありません」
ガリーナ:「なら、アントンとラーヴルが戻り次第出発するわ。行先は、エルフェンの森よ」
ガリーナはそう言った。
本来向かう先のエルフェンの森。だが、アドレー本人以内今、アドレーを探すのが先決のはず。
なぜ、アドレーを探さずに、エルフェンの森に行くのか。ガリーナは一体、何を考えているのだろうか…。
第8ED『あしあと《Clair(クレア)》』
次回予告
ナレーション:キャットちゃんの話しをまったく聞き入れてくれない十天老士のメキボと杉山。
そんな中、アドレーは全ての謎を知りたいとエルフェンの森へ行くことを決意する。
1人では行かせられないと、キャットちゃんも決意を固め、アドレーと共にエルフェンの森へ行くことを決めた。
謎を、そして真実を突き止めるために、2人はエルフェンの森へ向かう。
キャッシー:次回、遊戯王5DXAL「目指せ エルフェンの森!」
キャッシー:「あれだけ話しを聞いちゃうと、私も真実を知りたいわ」
遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!
キャッシー:「ネオコーポレーションシティの東の位置にある森、それが”エルフェンの森”よ。別名で”蜘蛛の跡地”とも呼ばれているわ。一体、ここに何があるのか?それは今だ不明」