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第118話:『ありがとう、ネオコーポレーションシティ』








羅夢:「行くよ、天兵君!まずはナチュル・マロンでダイレクトアタック!」
ナチュル・マロンが自分の身体を武器にして、天兵に突進してきた。


天兵:「うっ」


天兵
LP4000 → 2800


羅夢:「そして、ナチュル・マンティスでダイレクトアタック!」
カマキリと言えば、鎌のような手。それを利用して、天兵に攻撃するナチュル・マンティス。


天兵:「うわっ!」
ナチュル・マンティスの攻撃についビビってしまった天兵だった。


天兵
LP2800 → 1100


天兵のライフは一気に半分以上も削られた。


羅夢:「カードを1枚セットし、ターンエンド」
羅夢のターンが終了した。


天兵:『ナチュルモンスターは、ほとんどが下級モンスターだけど、攻撃力はまた別だ。次こそ、反撃する!』
天兵は心の中でそう呟いた。






第7OP『二つの未来《黒田倫弘》』







第118話:『ありがとう、ネオコーポレーションシティ』





羅夢のモンスターたちの攻撃により、ライフを半分以上も失った天兵。

流れは確実に羅夢の方に向いていた。



羅夢:「デュエルは始まったばかりだ。次はどう来る?」
天兵が次のターン、どう動いてくるのか楽しみで仕方がない羅夢。


天兵:『さっきのターン、羅夢さんは僕の手札を確認している。迂闊に動けば、羅夢さんは必ず何かを仕掛けてくるはずだ』
天兵は羅夢がどう出てくるかを考えるが、それは自分の行動によって決められるものだ。

デッキの上に指を置いて、『とりあえず、僕のターンだ』
天兵はカードを引く。









4ターン
羅夢
LP4000
天兵
LP1200


天兵:「僕のターン、ドロー!」
天兵は引いたカードを確認した。

そして、心の中で『よしっ』と呟いた。


天兵:「マジックカード”緊急充電”を発動!」

羅夢:「緊急充電…?」

天兵のマジック、トラップゾーンに緊急充電のカードが出てきた。


天兵:「手札の電池メン-単一型1体を墓地へ送り、デッキから2枚ドローする!!」
天兵は手札にあるモンスターカード1枚を墓地へ送り、デッキから2枚ドローする。


天兵:「”電池メン-単三型”を召喚!!」
天兵の場に、単3型電池の姿をしたモンスターが現れる。


電池メン-単三型
LV3 攻撃力0


羅夢:「この瞬間、ナチュル・ガーディアンの効果発動!相手がモンスターの召喚に成功したとき、このカードの攻撃力はエンドフェイズまで300ポイントアップする!」
ナチュル・ガーディアンの攻撃力が上昇する。


ナチュル・ガーディアン
攻撃力1600 → 1900



羅夢:「更に、ナチュル・マンティスの効果発動!相手がモンスターを召喚した時、手札のナチュルモンスター1体を墓地へ送ることで、そのモンスターを破壊する!俺は、”ナチュル・スティンクバグ”を墓地へ送り」
手札にあるモンスターカード1枚を墓地へ送った羅夢。


羅夢:「電池メン-単三型を破壊!」
今、天兵が召喚したモンスターがフィールドから消えた。


これがナチュルデッキの特性だ。相手の行動により、効果が発動し、様々な効果を発揮する。


しかし、これは天兵の読み通りだった。

天兵:「僕の読み通りだ!速攻魔法!”電池回路”!”電池メン”と名の付いたモンスターが相手のカード効果で破壊されたとき、墓地に存在する電池メンと名の付いたモンスター2体を特殊召喚する!僕のフィールドに戻れ、電池メン-角型!電池メン-単一型!」
天兵の場に、角型の電池と、単一型の電池の姿をしたモンスターが現れた。


電池メン-角型
攻撃力1000


電池メン-単一型
LV1 攻撃力0



羅夢:『ナチュルモンスターの効果を利用してモンスターを復活させたか。だが、それだけでは、俺は驚かないよ』
口がニヤッとする羅夢。

天兵:「これで、あいつを召喚する条件は整った。僕は電池メン-角型と電池メン-単一型をリリース!」

2体の電池メンが電流を身体中に浴びて、フィールドから消えた。


羅夢:『特殊召喚で新たなモンスターを出すつもりか?』


天兵:「”マンガン電池メン-9V型”を特殊召喚する!」
天兵の場に、今では珍しい電池、9V型の電池の姿をしたモンスターが現れる。


マンガン電池メン-9V型
LV7 攻撃力0


天兵:「マンガン電池メン-9V型の効果発動!1ターンに1度、相手モンスターを1体選択する。そして、このカードの攻撃力は選択したモンスターの元々の攻撃力プラス800の数値になる!」

羅夢:「元々の攻撃力プラス800.随分、上がるんだね」

天兵:「このターン、僕が選択するモンスターは、ナチュル・マンティス!ナチュル・マンティスの攻撃力は1700。それにプラス800した数値が9V型の攻撃力になる!」
マンガン電池メン-9V型が一気に上がった。


マンガン電池メン-9V型
攻撃力0 → 2500


羅夢:「攻撃力2500…!」

天兵:「マンガン電池メン-9V型でナチュル・ガーディアンに攻撃!」
マンガン電池メン-9V型が身体中に浴びた電流を目標に向かって放ち、敵モンスターを破壊した。


羅夢:「くっ」


羅夢
LP4000 → 3400


天兵:「カードを1枚セットし、ターンエンド」
カードを1枚セットし、天兵のターンは終了した。





羅夢:「ナチュルモンスターの効果を活かして反撃する戦術。実に味のある戦術だったよ。でも、それだけじゃ、俺を驚かせることはできないよ」


天兵:「分かっています。これだけじゃあ、あなたをぎゃふんと言わせられないことぐらいは。ですが、少しだけ、流れは僕に傾いています。さあ、あなたのターンです」


羅夢:『スイッチ、入ってきたね』
天兵の様子を見て、心の中で面白そうに、そう呟く。






5ターン
羅夢
LP3400
天兵
LP1100


羅夢:「俺のターン!」
ドローフェイズ。羅夢はデッキからドローする。


羅夢:「俺は”ナチュル・コスモスビート”を召喚する!」
羅夢の場に、苗のような2頭身の小さな体を持つモンスターが現れる。

頭には綺麗なお花が咲いている。


ナチュル・コスモスビート
LV2 攻撃力1000


羅夢:「更に、ナチュル・マロンの効果発動!1ターンに1度、自分の墓地に存在するナチュルモンスター2体をデッキに戻し、デッキから1枚ドローする。俺は墓地のナチュル・スタッグ、ナチュル・ガーディアンをデッキに戻し、デッキから1枚ドロー」
2枚のカードをデッキに戻し、デュエルディスクのデッキ装填場所に搭載されている自動シャッフル機能を使って、デッキをシャッフルしその後デッキから1枚ドローした。

羅夢:「さあ、少しは本気を出させてもらおうよ!」

天兵:「!」

羅夢:「俺はレベル3のナチュル・マロンに、レベル2のナチュル・コスモスビートをチューニング!」
ナチュル・コスモスビートが二つのリングになり、ナチュル・マロンを包み込んだ。


羅夢:「自然の王よ!今ここに君臨せよ!シンクロ召喚!現れろ!”ナチュル・ビースト”!」
羅夢の場に緑の毛に所々が根っこのようなものが絡まれた虎のようなシンクロモンスターが現れる。


ナチュル・ビースト
LV5 攻撃力2200


天兵:「ナチュル…、ビースト…」

羅夢:「まだだ、トラップ発動!”自然の中の共鳴”。自分の墓地に存在するナチュルと名の付いたチューナーモンスター1体と、チューナー以外のモンスター1体を選択し、選択したモンスターを除外し、除外したモンスターを素材にシンクロ召喚を行う!」

天兵:「2連続シンクロ召喚!」


羅夢:「選択するのはレベル3のナチュル・マロンと、レベル3のナチュル・スティンクバグ!この2体でシンクロ召喚を行う!」
ナチュル・スティンクバグが3つのリングとなって、ナチュル・マロンと一つになる。


羅夢:「大自然の空を駆ける龍よ!ここに降誕せよ!シンクロ召喚!現れろ!”ナチュル・パルキオン”!」
岩のような固そうな体をした龍が現れる。


ナチュル・パルキオン
LV6 攻撃力2500



天兵:『シンクロモンスターが2体。このターンでケリをつもりだな』
天兵が、羅夢が自分にトドメを刺して来ることを予想していた。

天兵:『マンガン電池メン-9V型の攻撃力は2500。同じ攻撃力を持つナチュル・パルキオンで相打ちし、ナチュル・ビーストでトドメをさしてくるか…』
羅夢の戦法を考える天兵。

天兵の姿を見る羅夢。つい、フッと笑ってしまう。

羅夢:「ナチュル・パルキオンで相打ち狙いで攻撃しナチュル・ビーストでトドメを刺す」
天兵が考えていることを口にする羅夢。

それを聞いた天兵は驚いた。


羅夢:「今、俺は、君の考えが手に取るようにわかる。でも、キミが考えている通りに僕が動くと思っているのかい!」

天兵:「!」


羅夢:「手札から速攻魔法”ナチュルの共同戦線”を発動!」
速攻魔法を発動した羅夢。


羅夢:「自分フィールド上に、ナチュルと名の付いたモンスターが2体以上存在するとき、自分フィールド上に存在するナチュルモンスターの攻撃力は、エンドフェイズまで1000ポイントアップする!」
2体のシンクロモンスターの攻撃力がアップする。


ナチュル・ビースト
攻撃力2200 → 3300

ナチュル・パルキオン
攻撃力2500 → 3500


羅夢:「ただし、この効果で攻撃力がアップしたモンスターが攻撃するとき、俺はデッキの上からカードを2枚墓地へ送らなければ攻撃できない」
羅夢はデッキの上から2枚のカードを引いた。


羅夢:「バトルフェイズだ!」
引いた2枚のカードを墓地へ送る羅夢。


羅夢:「ナチュル・パルキオンでマンガン電池メン-9V型に攻撃!」
ナチュル・パルキオンがマンガン電池メン-9V型をあっさり破壊した。

天兵:「くっ」


天兵
LP1100 → 100


羅夢:「さあ、これで最後だ!ナチュル・ビーストでダイレクトアタック!」
再びデッキの上からカードを2枚墓地へ送って、ナチュル・ビーストが天兵に攻撃を仕掛けた。

この攻撃が当たれば、天兵は敗北する。


しかし―。


天兵:「リバースカード発動!”バッテリー・オーバーフロー”!墓地に存在する電池メンと名の付いたモンスター1体を守備表示で特殊召喚する!」
これで、ダイレクトアタックは免れる…はずだった。

羅夢:「ナチュル・パルキオンの効果発動!自分の墓地に存在するカード2枚を除外し、トラップの発動を無効にし破壊する!検問とナチュルの自然合唱の2枚のカードを除外し、バッテリー・オーバーフローを破壊!」
ナチュル・パルキオンの効果により、天兵が発動したカードが破壊されてしまった。


天兵:「まだだ!墓地からバッテリー・オーバーフローの効果発動!このカードを除外し、相手モンスター1体の攻撃を無効にし、デッキから電池メンと名の付いたカードを特殊召喚する!」
ナチュル・ビーストの攻撃が止まった。


羅夢:「2段構えしていたか…」
面白うそうな表情をしながら小さい声で羅夢は言った。

そして、天兵の場には、単三型の電池の姿をした”電池メン-単三型”が現れる。


電池メン-単三型
LV3 守備力0


羅夢:『ナチュル・パルキオンの効果を理解した上での咄嗟の対応。追い込まれているのにも関わらず、以外と落ち着いた方だね』
羅夢は天兵の落ち着いた感じを評価した。


羅夢:「俺はこれでターンエンド」
羅夢のターンが終了した。








6ターン


天兵
LP100
羅夢
LP3400


天兵:「僕のターン!ドロー!」
天兵はデッキからカードをドローし、手札が2枚になる。

天兵は引いたカードを確認する前に、羅夢のフィールドを確認する。

天兵:『2体のシンクロモンスター…』
天兵の分析が始まった。


天兵:『ナチュル・パルキオンは自分の墓地に存在するカードを2枚除外すれば、トラップの発動を無効にできる効果を持ち、ナチュル・ビーストは、デッキの上からカードを2枚墓地に送ることで魔法カードの発動を無効にし破壊する効果を持っている。下手に魔法とトラップカードを出せば、確実に破壊される…』
天兵は目を閉じる。

それを見た羅夢は不思議そうに天兵を見つめた。

天兵:『あの2体のモンスター効果を発動させる条件を断ち切りたいけど、相手のデッキはまだ30枚ほど存在する。トラップを発動しても簡単に破壊されてしまう。かといって墓地のカードを無くそうとしてもこっちが魔法カードを発動すれば、それを無効にするために、ビーストの効果が発動し、デッキから2枚カードを墓地に送れば、墓地にカードが無くなることはない』
天兵は、結論的な答えを言った。

天兵:『はあ、正直、厄介だね』
天兵はドローフェイズで引いたカードを確認する。

そして、鋭い目で、羅夢を見つめた。

天兵:『次の僕のターンに掛けるしかない』そう呟く天兵は引いたカードと、元々手札にあったカード1枚をフィールドにセットする。


天兵:「カードを2枚セットし」
天兵の手札は0枚になった。

天兵:「ターンエンド」
天兵のターンが終了した。


羅夢:『カードを伏せただけ。モンスターの召喚はなしか。ただのブラフか、それとも…』
羅夢はデュエルを続行する。






7ターン
LP100
羅夢
LP3400


羅夢:「俺のターン。ドロー!」
羅夢はデッキからカードをドローした。

天兵:「この瞬間、永続トラップカード”水銀電池メン”を発動!」

羅夢:『永続トラップ…』

天兵:「このカードが発動したターン、自分はライフを1000回復する。更に、このカードフィールド上に存在する限り、相手はモンスターで攻撃することができない!」
天兵ライフが回復する。

天兵
LP100 → 1100


ここで、羅夢の思考が回転する。


羅夢:『あのカードは確か、墓地に存在するとき、自分の墓地に存在する電池メンを全て除外することで、フィールド上に存在するモンスターを全て破壊し、破壊されたモンスターの攻撃力分のダメージを、相手プレイヤーに与えるカード。もし発動すれば、ナチュル・ビーストとナチュル・パルキオンの攻撃力分のダメージを受けて敗北してしまう。あのカードにナチュル・パルキオンの効果を使うのはまずいな』
そう心の中で呟き、あえてナチュル・パルキオンの効果は使用しなかった。


羅夢:『攻撃が封じられ、俺がやれることはない。だが、問題はもう一つ。あの伏せカードだ…。あれに、勝負をかけたか…』
天兵の場にあるもう一枚のカード。それが気になる羅夢であった。


羅夢:「俺はこれでターンエンドだ」
あえて何もせずにターンを終える羅夢だった。




8ターン
LP1100
羅夢
LP3400


天兵:「僕のターン、ドロー!」
天兵はカードをドローし、手札が1枚になる。


天兵:「マジックカード”マジック・プランター”!自分フィールド上に表側表示で存在する永続罠カード1枚を墓地へ送り、デッキからカードを2枚ドローする!」
天兵が魔法カードを発動する。

しかし、この瞬間、奴の効果が発動する!


羅夢:「ナチュル・ビーストの効果発動!デッキの上からカードを2枚墓地へ送り、魔法カードの発動を無効にし破壊する!ナチュル・ビーストの効果を忘れていたのかい?天兵君」
羅夢はデッキの上から2枚カードを墓地へ送り、天兵が発動したマジック・プランターを破壊した。


天兵:「忘れてなんていませんよ。僕の計算通りです。リバースカード発動!トラップカード”電池メン・ディストラクション”!自分フィールド上に存在する電池メンと名の付いたモンスターを墓地へ送り、フィールド上に存在するカードを全て破壊する!」
天兵が伏せていたトラップカードを発動するが、この瞬間、ナチュル・パルキオンの効果が発動する。


羅夢:「この瞬間、ナチュル・パルキオンの効果発動!墓地に存在するカード2枚を除外し、トラップカードの発動を無効にし破壊する。!電池メン・ディストラクションを破壊!」
墓地から2枚カードを除外し、天兵が発動したトラップカードを破壊した。

羅夢:「この2体を前に魔法とトラップは無意味も同然だよ、天兵君」

天兵:「さっきも言ったはずです。計算通りだと」

羅夢:「!」

天兵:「この瞬間、墓地に存在する電池メン・ディストラクションの効果発動!自分フィールド上に存在する永続魔法または永続トラップカード1枚を墓地へ送り、相手フィールド上に存在するカードを全て破壊する。!」

羅夢:「何…!」
この効果に開いた口が開かない羅夢。

なぜなら…


天兵:「ナチュル・パルキオンが効果で無効にできるのは、フィールド上のみ。墓地から発動するトラップまでは無効にできない!」
ここで初めて、羅夢は天兵の作戦に気付いた。


羅夢:『前のターン発動した、永続トラップ水銀電池メンは、これを発動するための布石だったということか。まんまとやられたよ』
少しだけ歯を立てて呟いた後に、面白いことをしてくる…。と呟いた。


天兵:「永続トラップ、水銀電池メンを墓地へ送り、羅夢さんのフィールド上にあるカードを全て破壊する!」

ナチュル・パルキオン、ナチュル・ビースト、天兵のフィールドががら空きになる。

羅夢:「くっ」

天兵:「更に、破壊したカード1枚につき、デッキからカードを1枚ドローする。破壊したカードは2枚。よって、2枚ドロー!」
デッキからカードを2枚引く。


天兵:「いくよ!僕の最強モンスター!電池メン-単三型をリリースし―」
天兵の場にいる電池メン-単三型が電流を浴びる。







天兵:「”超電磁稼動ボルテック・ドラゴン”をアドバンス召喚!!」
おもちゃのように稼働する恐竜の姿をしたモンスターが現れ、電池メン-単三型がそのモンスターの胸部にセットされる。


超電磁稼動ボルテック・ドラゴン
LV5 攻撃力2400


天兵:「超電磁稼動ボルテック・ドラゴンの効果発動!リリースしたモンスターで効果を得られる!電池メン-単三型の場合は、ボルテック・ドラゴンの攻撃力が1000ポイントアップする!」
超電磁稼動ボルテック・ドラゴンの攻撃力が上がる。


超電磁稼動ボルテック・ドラゴン
攻撃力2400 → 3400


羅夢:「攻撃力3400…!」

天兵:「ボルテック・ドラゴンの攻撃力と、あなたのライフポイントは同じ3400。つまり、ボルテック・ドラゴンのダイレクトアタックが通れば、僕の勝ちだ」

羅夢:「っ!」

天兵:「行け!超電磁稼動ボルテック・ドラゴン!ダイレクトアタックだ!」
全身に電流を浴び、それを羅夢に向かって放った。


放たれた電流は羅夢に当たり、白煙が辺りに舞った。


天兵:「か、勝った…」
自分が勝ったことに喜びを感じる天兵。


だが―


羅夢
LP3400 → 1700


白煙が晴れ、羅夢の姿が見えたかと思えば、羅夢のライフは0にはならなかった。


天兵:「え?ど、どうして…!」
状況が飲み込めない天兵が動揺する。


羅夢:「手札からマジックカード”自然の肩入れ”を墓地に送って効果発動したんだ。自分フィールド上に存在する地属性モンスターがカード効果で破壊されたターン、手札にある、このカードを墓地へ送ることで、1度だけ戦闘ダメージを半分にすることができる」
3400の半分は1700。これで、ライフが残った理由はわかった。


天兵:「あともう少しだったのに…!ターンエンド」
天兵はターンを終了した。



羅夢:「いい戦術だったよ。自然の肩入れが手札になかったら、確実に俺の負けだった」
天兵の戦術を褒める羅夢。





9ターン
天兵
LP1100
羅夢
LP1700


羅夢:「僕のターン、ドロー!」
羅夢はカードをドローし、引いたカードを確認する。


羅夢:「残念だが、このデュエルは、ここまでだ」

天兵:「え?」

羅夢:「マジックカード”ナチュル・リバーシブルフュージョン”を発動!墓地に存在するナチュルモンスターを選択し、融合召喚を行う!俺は、ナチュル・パルキオンとナチュル・ビーストで融合召喚を行う!!」
さっき天兵が発動したカードによって破壊された2体のモンスターが場に現れ、一つになる。


羅夢:「大自然の王よ!力を身に纏い、真の姿を現したまえ!融合召喚!出現せよ!”ナチュル・エクストリオ”!!」
龍のような鎧を装備した虎が現れる。


ナチュル・エクストリオ
LV10 攻撃力2800



天兵:「レベル10…、攻撃力2800…!」


羅夢:「装備魔法”パワー・オブ・ナチュル”を発動!相手フィールド上に元々の攻撃力の数値からアップしているモンスターが存在するとき、その数値分、装備モンスターの攻撃力がアップする!超電磁稼動ボルテック・ドラゴンは、自身の効果によって、攻撃力が1000ポイントアップしている。つまり、ナチュル・エクストリオの攻撃力も1000ポイントアップする!」


ナチュル・エクストリオ
攻撃力2800 → 3800


天兵:「攻撃力3800!」

羅夢:「ナチュル・エクストリオで超電磁稼動ボルテック・ドラゴンに攻撃!!」
ナチュル・エクストリオの赤い眼が、鋭いまなざしで、ボルテック・ドラゴンを見つめ、足元から無数の蔓を出し、ボルテック・ドラゴンを破壊した。


天兵:「うわあ!」


天兵
LP1100 → 700


羅夢:「ボルテック・ドラゴンを撃破!この瞬間、パワー・オブ・ナチュルの効果発動!パワー・オブ・ナチュルを装備したモンスターが相手モンスターを戦闘で破壊したとき、このカードを墓地に送ることで、もう一度バトルすることができる!」
装備魔法パワー・オブ・ナチュルを墓地へ送ったことで、ナチュル・エクストリオの攻撃力が元に戻る。


ナチュル・エクストリオ
攻撃力3800 → 2800


羅夢:「ナチュル・エクストリオでダイレクトアタック!」
ボルテック・ドラゴンを破壊した蔓が、そのまま天兵を襲う。


天兵
LP700 → 0


デュエルの勝者は羅夢となった。


羅夢:「俺の勝ちだね。言いデュエルだったよ」

天兵:「はい、ありがとうございます。はあ、負けちゃったか」
デュエルに負けたことに悔しさを感じる天兵。


天兵:「あともう少しだったんだけどな。やっぱり、こういうことには向いてないのかな」
天兵がちょっとした愚痴をこぼした。



羅夢:「そんなことないよ。キミにも、ちゃんと武器があるじゃないか。このデュエルで、俺がそれを感じたよ」

天兵:「僕の武器?」

羅夢:「その頭脳だよ。追い込まれても、キミは落ち着いてフィールドを分析し、相手の行動を予測して、一度はデュエルを逆転に追い込んだ。それは、戦いの中、いや、いろんな場所で活かせるものさ」

羅夢の話しを聞いた天兵。確かに、いつの間に自分はフィールドを分析し、相手が次どういった行動に出るのかを予想していた。

そして、手が勝手に動くかのようにカードを場にセットしていた。

天兵:『僕の力…』
心の中で呟く天兵。



羅夢:「どうだろう?天兵君、フロンティアの西支部に行ってみないかい?」

天兵:「西支部?」

羅夢:「ああ、日本の西側にある”ラクオウジシティ”。温泉でも有名な場所で、そこの国際空港と隣接して立っているが、フロンティアの西支部なんだ。ミッション・ウォッチを初め、フロンティアのメンバーが使用する器具や機材は、そこで製造されているんだ。それに、新作の器具なども開発されているし、様々な研究も行われているから、なんだかんだ本部よりもセキュリティが厳しい場所でもあるかな」

天兵:「僕がそこに?」

羅夢:「その頭脳を、向こうで活かして見ないかい?行くなら、俺の方から紹介はしておくよ」

天兵:『僕の、力を活かす場所…』
羅夢の誘いについて考える天兵。


行くとなれば、勿論、多元世紀になってからずっと暮らしていたネオコーポレーションシティから離れることになる。


だが、こんな僕の力を活かせる場所があるなら…!


天兵:「僕は、新たなステップに進む!」
楽しそうに天兵は言った。

天兵:「僕、行きます。フロンティアの西支部に!」


羅夢:「わかった。元帥からは俺から伝えておこう。おそらく、すぐに行けると思うから、いつでも行ける準備はしておくように」

天兵:「はい!」
元気いっぱいの返事をした天兵であった。








数日後





ネオコーポレーションシティ国際空港





天兵が、フロンティアの西支部に行く当日


龍亜や龍可、スライたちが、天兵を送りに来てくれた。


天兵:「それじゃあ、行ってくるよ」
荷物を持って、保安検査場の前にいる天兵。


龍亜:「ああ、気を付けろよ」

パティ:「頑張ってね、天兵」

ボブ:「身体だけは壊すんじゃねえぞ」
龍亜たちが天兵にエールを送る。



羅夢:「向こうは忙しいから、こっちには滅多に帰って来れないだろう。それに、セキュリティもかなり厳しいから、むやみに情報を流さないように。向こうでも言われると思うけどね」

天兵:「わかりました」


龍可:「メールとか頂戴ね、天兵」
龍可が優しい笑顔で天兵に言った。


龍可:「ほら、スライも何か言いなさいよ」
スライの腕を引っ張り、天兵の前に立たせようとする龍可。

スライ:「フッ、とりあえず、頑張れ」
初めてかもしれないスライから頑張れなんていわれたのは。


天兵:「ありがとう、スライ」

そして、館内放送がなり、そろそろ出発する時間だ。


天兵:「それじゃあ、みんな元気でね」
天兵は手を振りながら保安検査場に向かう。


みんなも、手を振り返す。






そして、数十分後、天兵を乗せた飛行機は、空へと飛んだ。


下にあるネオコーポレーションシティを見て、涙が出そうだ。


天兵:『ありがとう、みんな。ありがとう、ネオコーポレーションシティ』
心の中で、友達と街に礼を言った。




パティ:「行っちゃったね」

龍亜:「ああ、けど、あいつが選んだ道だ。俺らがとやかく言えるものじゃないさ」
飛び去った飛行機を見送る龍亜たち。



天兵は新たな道を踏み始めるのであった。




羅夢:『あの人にあったら、彼、驚くかな?』
羅夢は心の中で呟いた。







数時間後



ラクオウジシティについて天兵は、すぐにフロンティア西支部に向かった。


門の前にいる警備の人に話しをかけてみた。


天兵:「今日から、ここに配属されることになった早野天兵というものですが」
身分証明書を渡し、警備の人がそれを確認。「少々お待ちください」と言われ、どこかに連絡をする。

警備員:「お待たせしました。エントランスのお待ちください。チーフが、お迎えに来ます」
警備員は天兵の身分証明書を本人に返し、天兵はそれを受け取って、エントランスに向かった。


西支部の建物中に入り、大きなエントランスが広がっていた。

それに感動する天兵。エントランスの中央まで足を運ぶ。



???:「キミが、早野天兵くんだね。話しは元帥から聞いているよ」

天兵:「あ、はい!よろしくお願いします!」

???:「ハハ、そんなにかしこまらなくてもいいよ」
天兵の態度を見て少し笑う、右目を前髪で隠す男性。


???:「紹介が遅れたね。私はここの研究および開発チーフを担当している―」
天兵に手を差し伸べてきた。


不動博士:「不動だ。よろしく頼むよ」
笑顔を天兵に見せた男性。そう、この男は、あの男の…。







第7ED『Last Moment《SPYAIR》』





次回予告

ナレーション:任務失敗をお互いにぶつけあう、結衣とツバキ。

2人の争いは、デュエルへと傾いてしまった。

お互いにどんな戦術で立ち向かうのか…!

姉と弟の戦いが始まる!


結衣:次回、遊戯王5DXAL「姉弟喧嘩突発!結衣VSツバキ」


結衣:「私の方が強いのを証明してあげるわ!」
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