このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第116話:『過去の刺客 紅の危機』







ヨーロッパ

ノルマンディーカンパニー本社周辺



パトカーが大勢止まっており、警官たちが手錠をかけられている者たちを拘束していた。




ジェリド:「本社にいたオズボーン派の社員は全て取り押さえた。他の社員たちの無事も確認済みだ」
ミッションウォッチを通して、現場の状況を報告するSOA隊2係リーダーのジェリド。

通信相手は、フロンティア元帥の百々原だった。



百々原:「了解だ。拘束した者たち以外にオズボーン派の社員がいるか確認してくれ。もしいない場合は、本部に戻ってきてくれ」

ジェリド:『了解だ』
ジェリドは通信を切った。



百々原:『パンドラの箱が出た以上、四大神王者は動くだろうが、それ以上に国家政府の動きも気になる。見過ごすとは思えないが…』
百々原は椅子から立ち上がり、窓から外を見る。


青空に無数の鳥が飛んでいた。








第7OP『二つの未来《黒田倫弘》』






第116話:『過去の刺客 紅の危機』








第5回デュエルバトルカーニバル選手権が終わり、あれから2日が経過した。


フロンティアは、ノルマンディーカンパニーのオズボーン派の社員を全員確保することに成功した。



ライナー派社員は、全員無事だった。


そんなライナーは、フロンティアの皆にお礼がしたいと、百々原元帥の部屋に訪れていた。

部屋には、一星、ラリー、ナーヴ、慎也の4人もいた。


ライナー:「ホント、この度はお世話になりました」
ライナーは一礼する。


百々原:「いえ、こちらももっと早くノルマンディーカンパニーの異変に対処していれば、今回みたいな騒動が引きおこることもなかったでしょう。本当に申し訳ない」
百々原も席を立ち一礼する。


ライナー:「結局、我々はオズボーンの掌で遊ばれていたのですね」

百々原:「そのようですね」
元気なさそうに2人は、そう言った。



ラリー:「ライナーさん。これから、ノルマンディーカンパニーはどうするつもりですか?」
ラリーは、自分の中にずっとしまい込んでいたことを質問した。


ライナー:「今回の件で、ノルマンディーカンパニーは、世界から信頼を失った。会社としてはやっていけないかもしれない」
そんなことを聞いたラリーが残念そうな顔をする。

ライナー:「だが、私はそれでもノルマンディーカンパニーをやめるつもりはない」


ラリー:「え?」


ライナー:「失った信頼はまた作り直せばいいだけのこと。私が社長になって0からやり始めようと思う」


ラリー:「ライナーさん」


ライナー:「勿論、デュエルバトルに関する運用も継続で行うつもりだ。今後の発展のためにも、先代社長からあった開発は、継続していこうと思う」
ライナーが嬉しそうにそう言った。


ナーヴ:「あなたなら絶対にできますよ。ライナーさん。天国で社長も見てると思います。頑張ってください」
ナーヴがライナーにエールの言葉を送り、ライナーは、それに対してお礼を言った。



ライナー:「それでは、私はこれで。この後の飛行機でヨーロッパに帰るので」

百々原:「分かりました。空港までお送りしましょう。慎也、済まないが車の手配を頼む」

慎也:「了解です」
慎也は急いで車の手配をするために、部屋を出る。


ライナー:「そういえば、不動一星くんだったかな」

一星:「はい」
いきなり名前を呼ばれたことで少しだけビクッとした一星。


ライナーが一星に近づく。


ライナー:「そういえば、まだ送っていなかったと思ってね」

一星:「?」

ライナー:「優勝おめでとう。来年もおそらく開くと思うから、よろしく頼むよ」
一星の肩を掴んで、ライナーはそう言った。


少し照れくさかった一星。

一星:「ありがとうございます」
一星はライナーに礼を言った。









フロンティア表玄関



リムジンのような車に、ライナーは乗った。


更に、百々原もその後に乗り、慎也が車の扉の前に立つ。


慎也:「それじゃあ、俺は付き添いで行ってくるから、みんなは解散してくれ」
慎也は車の中に乗り、3人を乗せた車は国際空港に向けて出発した。


それを見送った一星達は建物の中に戻る。


ラリー:「ライナーさん、嬉しそうな顔してたな。社長になったからかな?」

ナーヴ:「それもあるだろうが、会社を昔のような雰囲気に戻せるチャンスだからな。昔の会社になることを祈っているんだろう」

一星:「あの人なら、絶対にやり遂げますよ。必ず」
ラリーとナーヴに向かって、一星はそう言った。



ナーヴ:「!」
一星の顔を見たナーヴ。

2日前、事件後に街中で通りかかった男のことを思い出してしまった。


あの左頬についたマーカー…。いや、気のせいだと思うが…。


一星:「どうしました?ナーヴさん。難しい顔して」

ナーヴ:「あ、あぁ、いやなんでもない」
自分が考えていることは、あまり知られたくない。

だが、一星に、このことを言ったら…。

そんなことを考えてしまったナーヴ。


ナーヴ:『いや、確信がないんだ。あまり、こいつらを傷つけたくない』
ナーヴは自分の首を振って、考えていることを胸の中に仕舞った。




ナーヴ:「そういえば、一星。今日、母さんが一日どこかへ行くって言ってたが、お前は行かないのか?」

一星:「ん?あぁ、そうですね。今日は、母さんを久しぶりにゆっくりさせたいんで、俺も愛も、ここでお留守番ですよ」
ナーヴの問いに一星は、そう答えた。








その頃、アキは―。





アキ:「ママ、洗濯終わったけど、これ外で干すの?」
洗濯した物が入った籠を手に持つアキ。


節子:「もうアキったら、そんなの私がやるから、今日はゆっくり休みなさい」
アキから籠を取り上げる節子。


アキ:「もう、ママったら心配性なんだから」
少し頬を膨らませてそう言った。



母が外で洗濯物を干している間、アキはリビングのソファーに座った。


言うまでもないが、ここはネオコーポレーションシティにあるアキの実家とも言える場所だ。


前世紀で起きた次元振動によりネオ童実野シティは消失してしまった。

そして、ネオ童実野シティの議員だった父は職を失ってしまった。



だが、そんな父にも、実は女神が降りてきていた。



英雄:「ただいまー」
父が帰宅し、アキは玄関でお出迎えする。


アキ:「おかえり、パパ」

英雄:「おお、アキ。帰ってきていたのか」

アキ:「今日は早いんだね。まだ昼ちょっと前よ」

英雄:「いや、今日は元々休みだったんだが、ネオコーポレーションシティの議員会が急遽開かれてしまってな。それだけ参加してほしいということで行ってたんだ」

アキ:「ふーん」


そう、英雄はネオコーポレーションシティの議員になっていたのだ。

実は、アキがフロンティアに加入したのをきっかけに、フロンティアの元帥でもありネオコーポレーションシティの市長でもある百々原が、英雄に議員の仕事の話しを持ちかけてくれていたのだ。



節子:「あら、お帰りなさい、あなた。会議だけで済んだのね」
節子は英雄からバックを受け取った。



英雄:「ああ、今日はゆっくりできるよ」


3人で昼ご飯を食べ、その後、アキはソファーに座ってテレビを見ていた。



テレビに映るニュース番組。トップニュースは、やはり第5回デュエルバトルカーニバル選手権のことだった。






予選から決勝まで、いろいろなバトルが映る中、優勝した一星が、フルネームと顔出しで紹介された。


英雄:「いやー、一星は強いな。ホント、私の孫だ」
自分の孫が、優勝したと仕事場にも自慢できると最後に付け足す。


アキ:「もう、パパったら…」
少し呆れた感じで口を開いたアキ。

だが、そんなアキも嬉しそうな父を見て笑った。



英雄は、リビングに飾る写真を見る。


その中には、自分たちの写真や、アキの写真、愛と一星の写真もあった。


勿論、遊星の写真もある。



英雄:「こんな世界になって、もう50年も経っているのか」
ボソッとそう口にした英雄。

アキは紅茶が入っているコップを手に取って、「そうね」と呟く。


英雄:「アキ、辛くはないかね?」

アキ:「え?」

英雄:「あ、いや、お前は1人で子供を育て、仕事も両立してきた。私は、お前は誇りに思っている。だが、それ以上に愛する人を失った、お前の心が私は心配なんだ」

アキが愛する人は50年以上も前。前世紀の時代に、モーメントの暴走によって照らし出された輝きの飲み込まれ、そのまま行方不明となってしまった。


愛と一星を授かってすぐのことだった。

こんなめでたいことがあったのに、どうしてすぐ、こんなことに…。あの時は、そんな気持ちでいっぱいだった。



アキ:「大丈夫よ、パパ。遊星はいなくなってしまったけど、私には、子供たちもいるし、ジャックやクロウ、ミスティやシェリーたち仲間がいるから。それに…」

英雄:「?」

アキ:「どうしてだかわからないけど、私ずっと遊星に見られているような感じがするの。遊星は遠い場所でずっと私を見守っている感じがするの」
少し照れくさそうにアキは言った。



英雄:「そうか、お前がいうなら、そうなのかもしれないな」
英雄は写真立てが飾られている中で遊星とアキが映っている写真を見つめる。


その写真は、2人が遊園地にデートしたときの写真だった。

英雄:『遊星くん、いつまでもアキを見守ってやってくれ』
英雄は心の中でそう呟いた。





その日の夜



アキ:「それじゃあ、私、本部に戻るわ。あ、それと、ママに一つお願いしてもいいかな」

節子:「ん?何かしら」

アキ:「ゴメン、家の掃除しといてほしいの。やっている暇なくて」
申し訳なさそうにアキは節子に頼んだ。


節子は大きなため息をついた。


節子:「まったくしかないわね。わかったわ」

アキ:「ありがとう、ママ。それじゃあ、私、行くわ。じゃあね」

英雄:「体に気を付けるんだぞ」
英雄と節子は手を振ってアキを見送った。


アキは手を振りながら、家を後にした。





しかし、アキはまだ気づいていない。

もうすでに彼女に謎の陰が忍び寄っていたことに…。




フロンティア本部に向かうアキは、人通りが多い歩道を歩いていた。


気付けば時刻は19時を回っている。今日はずっと実家でゆっくりしていたので、時間なんて気にしていなかった。


アキ:「早いとこ戻らないとね」
左腕につけているミッションウォッチの時間を確認しながらアキはそう言った。



すると、そのとき、アキは凄まじい気配を体に感じた。


アキ:『え…?何、この気配…。私、誰かに見られてる?』
アキはゆっくりと後ろを振り向く。

人が沢山いるのだから、自分のことを偶々見る人なんて沢山いる。

でも、アキは、それでも目を少し細めて確認する。


アキ:『誰なの…?』
アキは咄嗟に、その場から走った。



そして、アキの後ろをつけていた人もアキを追う。





アキは狭い路地に入り、更に走り続ける。
もっと、もっと走って、人気のないところに来た。


アキは、その場に立つ。


そして、自分のことを追っていた人が路地から飛び出し、アキの方を見る。


アキ:「ここなら、私たち以外、誰もいないから好都合でしょ?」
アキは自分のことをずっと追っていた人の方を見る。


赤毛の男性:「チッ、気付かれていたか」
アキの前に立つ赤毛の男性は舌打ちをして言った。


アキ:「私がフロンティアのメンバーだということを知ったうえで狙ってきたの?」
アキが質問するが、それに対し男性は応えなかった。


アキ:「無言で、この場を貫くつもりじゃないでしょうね?」
アキが質問すると、やっと男性は口を開いた。





赤毛の男性:「俺と一緒に来い、十六夜アキ」
アキのことを旧姓で呼んだ。

アキ:「初対面の女に対して、いきなり過ぎじゃない?ついていくわけないでしょ」

赤毛の男性:「ボスが、お前の力を求めている。サイコパワーの力を」

アキ:「え?」
サイコパワー。それは、かつてアキの身体に眠っていたモンスターを実体化させる超能力。

この力の所為で、一度は両親の元を離れ、学園生活でも、他人との接触を避けているときが多かった。

そして、この力の所為で、かつてアキにつけられた異名が”黒薔薇の魔女”である。


あの時の自分は、いい思い出なんてなかった。

遊星という素晴らしい人と会うまでは…。


アキ:「なんで、サイコパワーのことを知っているの?それに、私にはもう力はないわ!」
そう、既にアキの中にサイコパワーの力は眠っていない。



赤毛の男性:「それは、お前がそう思っているだけ。本来、持っていた力が完全に消えることはない。まだお前の身体の奥に眠っているのだ。サイコパワーは…」
赤毛の男性がそう言うと、アキは自分の胸に左手を当てる。

左手薬指についている指輪がピカッと光る。


アキ:「私の中にサイコパワーが残っていたとしても、あなたについていく理由はないわ」
アキは男性の申し出を拒否する。


赤毛の男性:「ならば、力尽くで連れていくまでだ」
男性は一枚のカードを取り出す。

それは装備魔法「妖刀竹光」だった。

カードが輝き、男性の手に妖刀竹光が握られる。


これはモンスターによる武器、つまりデュエルギアではない。

装備魔法そのものが実体化しただけだ。



アキ:「刃を向けてくるんだったら容赦はしないわ!」
”ブラック・ローズ・ドラゴン”のカードを手にし、手元にデュエルギアを出す。

見た目は棒だが三節棍タイプの”ローザ・ジャベリン”だ。



赤毛の男性:「容赦しない?それはこっちのセリフだ!」
男性は妖刀竹光の剣先をアキに向けて接近する。


アキは持っていたバックをその場に捨てて、その接近を躱す。


アキ:『私だって、守られてばっかしじゃいられないのよ!』
アキはローザ・ジャベリンを巧みに使い、反撃に出る。


ローザ・ジャベリンを、振り回し男性に打撃を与えようとするが、男性は妖刀竹光で、アキの攻撃を受け止める。

アキ:「なら!」
ローザ・ジャベリンは中が鎖で繋げられており、3つに分離させることができる。

そして、3つに分離したローザ・ジャベリンが紐の影響で蛇腹な動きをし、1本の棒が男性の背中にヒットする。


男性は一旦後ろに下がる。



赤毛の男性:「力を失ったただの女だと思っていたが、そうではないようだな」

アキ:「私だって、フロンティアに入ってから、自分を磨いているのよ。甘く見ないで」
分離していたローザ・ジャベリンを1本の棒にして、先端を地面に叩き付けて、凛とした態度で言った。



赤毛の男性:「ならば、こちらも尚更容赦はしなくていいということだよな!」
妖刀竹光からとてつもない邪念が放たれる。


アキは、それに一瞬ビビってしまったが、恐れずローザ・ジャベリンを構えた。


赤毛の男性:「邪気よ、この刀に纏わりつけ…」
男性はボソッと一言言って、刀の刀身が赤く光る。


刀から放たれる殺気に、腰が抜けそうになるアキ。


赤毛の男性:「俺の太刀を受けてみろ!」
妖刀竹光の牙がアキに向かう。


アキは、咄嗟にローザ・ジャベリンを構えて、妖刀竹光を受け止めるが、力負けをし、押し飛ばされた。

アキ:「きゃああ!」
アキは後ろに立っていた電柱に背中をぶつけた。



赤毛の男性:「フッ、やはり女だな。これだけの力で、吹き飛ばされるとは」

アキ:「うう…」
アキは背中を押さえながら立ち上がる。



赤毛の男性:「もう一度言う。俺と一緒に来い。従えば、これ以上痛い目は合わないぞ」
男性が妖刀竹光の刃をアキに近づけながら脅す。


赤毛の男性:「うっ」
いきなり胸を押さえる男性。

赤毛の男性:「力の効力が…」
男性はアキに向けていた妖刀竹光を持つ手を下げてしまう。

アキはそれを見逃していなかった。





アキ:「もらったわよ!」
ローザ・ジャベリンを振り回すアキ。

周りに薔薇の花びらを散らせる。

いきなり、出てきた薔薇の花びらを見て、声が出ない男性。


アキ:「ビューティフル・ダンス・ローズ!!」
無数に散る薔薇の花びらは、一気に男性を襲った。


赤毛の男性:「ぐぉぉぉ!」
苦しむ男性。


5秒ぐらいで男性を襲っていた薔薇の花びらは消えた。

男性は、膝を地面につけた。



アキ:「これ以上、私もあなたを傷つけたくないわ。だから、おとなしく帰りなさい」
アキはそう言って、デュエルギアを収める。


そして、戦闘する直前に地面に置いたバックを拾おうとする。


赤毛の男性:「そういう甘い奴こそ、早死にするぞ!ここは、多元世紀!デュエルモンスターズが関わる戦闘が消えない世界だ!」
すぐ側の地面に置いていた妖刀竹光を持って、アキに急接近する。


反応が遅れ、このままでは捕まる!そう思ったアキ。


だが―。


???:「はーい、そこまで!」
白い槍が、妖刀竹光を受け止めた。


アキの前に現れた白い槍を持つ女性。自分と歳は全然変わらないぐらいだ。


由加:「勝負見てたけど、おとなしく負けを認めたらどうなの?どう見ても、彼女の勝ちじゃない」
アキの前に現れた女性はアキの勝利だと言い張る。


赤毛の男性:「フロンティアの関係者か?」

由加:「さあ、どうでしょうね」

赤毛の男性:「チッ」

由加:「あ、待ちなさい!」
赤毛の男性は、アキから受けたダメージを引きずって、この場を後にした。


由加:「私から逃げられると思っているのかしら。あ、それよりも大丈夫?」
由加はアキの方を振り向いた怪我がないかを確認した。

アキ:「え、えぇ、大丈夫。ありがとう、助けてくれて」

由加:「気にしないで。私は当然のことしたまでだし、あなたを守ってほしいってある人に言われたから」

アキ:「え?」

由加:「それじゃあね、アキ」
由加は赤毛の男性が走った方向へ走って行った。


私の名前、どうして知ってるんだろう…。それにある人に頼まれて…。

そんなことを考えるアキであった。




その頃、赤毛の男性は、息切れをしながら、走っていた。


だが―。


由加:「残念だけど、逃がさないよ。あなたには聞きたいことがあるから」
男性の目の前に由加が現れた。

先回りされたのだ。


由加:「正確に言うと、私の兄がだけどね。でも、兄も色々忙しくてね。代理で、彼女の場所に来たってわけ」
由加はそう言うと、心の中で『まあ、彼女の前に出てくることができないっていうのが、本音だけど』と呟いた。


由加:「さあ、大人しくしてもらうわよ」
由加が1歩ずつ男性に近づく。

赤毛の男性:「俺を叩いたところで何もでや―」
話している最中に男性は、いきなり「うっ!」と胸を押さえて膝を地面についた。

由加:「?」

赤毛の男性:「う、うそだ…。なんで、俺が―!ディバ―ぎゃあああ!」
男性の身体にいきなり電流が流れだす。


由加:「ちょ!」
由加は急いで男性に近づく。

口から黒い煙を吐き出しながら、男性は倒れた。

由加は首元を触って男性の生存を確認する。

由加:「死んでる…」
由加は男性を地面に寝かせて、衣服の中にある持ち物を確認する。


持ち物の中にあった2枚の身分証明書。1枚は、この時代でもよく使われている身分証明書だ。

そして、もう1枚は―。

由加:『これは、前世紀CHW時代に使われていたもの。ということは、この人はCHWから来た人』
CHW…、それは、スタンディングデュエルの他に、ライディングデュエルが活発化した時代。

あのシティの救世主とも言われた不動遊星が活躍した時代も、このCHWの時代だ。


由加:『それに、このマーク…』
由加は身分証明書についている奇妙なマークを見つめる。

由加:『これは、アルカディア・ムーブメントのマーク。サイコデュエリストが集結した組織。兄さんの世界ではアキは、かつてここに所属していたみたいだけど、リーダーのディヴァイン亡きあと壊滅したって聞いてるけど…』
由加は自分が身につけているミッションウォッチからホログラムを出し、そこに映し出されたマークを見る。それは、男性が持っていた身分証明書についているマークと同じものだった。


由加:『兄さんの情報が正しければ、この世界にアルカディア・ムーブメントが復活している…。そして、アルカディア・ムーブメントは、かつてサイコパワーを持っていたアキを狙っている…』
由加は立ち上がる。

由加:「早いとこ、遊星兄さんに知らせないと…」
由加は、死んだ男性を見てそう呟いた。








第7ED『Last Moment《SPYAIR》』第7ED『Last Moment《SPYAIR》』






次回予告

ナレーション:フロンティアに所属して既に1年半

皆は、それぞれの思いや目標を胸に強くなっていった。

しかし、1人の男は、成果を上げることができず、上層部から目をつけられていた。

元気をなくす、彼の前に現れた羅夢。彼の力を確認するためにデュエルを挑んだ!

さあ、戦え!天兵!


天兵:次回、遊戯王5DXAL「天兵VS羅夢 自然の漸進」


天兵:「僕は…弱いんだ…!」
1/1ページ
スキ