第112話:『サイドオーバーを超えて!決勝戦、遂に決着!』
オズボーン:「目障りだな。今すぐ消せ」
オズボーンがそういうと、クラークは一礼し、通信を切った。
オズボーン:「この部屋と、会場との間はガラス張りだ。暴れられては、迷惑になる。大人しくしてもらうぞ」
オズボーンの言う通りにする名人。
一方、ネオコーポレーションシティ国際空港の格納庫から人質を救出した由加。
由加:「すぐに警察が来ますので、ここで待っていてください」
由加は倒した敵を全員拘束し、この場を後にした。
由加:『早いとこ、兄さんと合流しないと』
由加は走って、デュエルバトルカーニバル選手権が行われている会場に向かう。
その頃、吸収装置本体がある部屋にいたラリーたち。
目の前に、オズボーンの秘書クラーク・トイマンが現れた。
不気味な笑みを見せるクラーク。
その笑みに少し動揺してしまうラリーたちであった。
第7OP『二つの未来《黒田倫弘》』
第112話:『サイドオーバーを超えて!決勝戦、遂に決着!』
ラリーたちの前に現れたクラーク。
カードが入ったカプセルの前に立ち、不気味な笑みを浮かべながら、ラリーたちを見つめる。
クラーク:「勝手なことはさせませんよ。これは、社長の計画を遂行するために一番必要なものですからね」
そう言って、後ろにあるカプセルいや、吸収装置本体を触るクラーク。
ナーヴ:「俺たちの動きがバレていたか」
ブリッツ:「ここで、敵さんのお出ましかよ…!」
つい足を一歩下げてしまったブリッツ。
タカ:「心配するな、ブリッツ。向こうはたったの一人だ。副社長が装置を止めている間に、俺たちが奴の足を止めていればやれるはずだ」
自信満々にタカは言った。
クラーク:「私がそれを簡単にやらせると思いましたか?」
クラークは1枚のカードを手に出す。
クラーク:「”ツインテール”」
手に持っていたカード、通常モンスターのツインテールのカードがピカッと輝き、デュエルギアへとなる。
細長い紐のようなものをブンブン振り回し、ラリーたちを威嚇する。
クラーク:「私の鞭で、あなた方を懲らしめて上げますよ」
鞭タイプのデュエルギアで床を強く打ち、バシッという音が部屋中に響き渡る。
ブリッツ:「あいつ、デュエルギア出しやがったぞ!」
タカ:「前言撤回するわ。やれるかわからなくなってきた」
クラークが持つデュエルギアを見て、自信を無くすタカ。
しかし、ラリーとナーヴが前に立つ。
ラリー:「自信無くしてどうするんだよ、タカ」
ナーヴ:「俺たちが止めないと、この会場にいる、みんなが危険な目に遭うんだ」
2人が手元にカードを出す。
ラリー:「”ワンショット・ナイト”!」
ナーヴ:「”スクラップ・ドラゴン”!」
2人が手に持つカードがピカッと光り、デュエルギアへと姿を変える。
ラリー:「ワンショット・ダガー!」
ワンショット・ナイトの短剣タイプのデュエルギア、両刃を持つ”ワンショット・ダガー”がラリーの手に握られる。
ナーヴ:「スクラップ・ガンブレード!」
スクラップ・ドラゴンの剣と銃が混合したデュエルギア、”スクラップ・ガンブレード”をナーヴは手に持った。
クラーク:「私とやる気ですか。束になって来ようと、私は引くつもりはありませんよ」
床に思いっきり鞭を叩いたクラーク。
タカ:「お、お前ら…」
ブリッツ:「そうだな。ナーヴたちの言う通りだ。ここで、奴を止めなきゃ装置は止められないんだ」
ブリッツもカードを手に持った。
タカ:「3人がやるなら俺だってやるさ!やれるところまでやってやる!」
タカもカードを手に持った。
ナーヴ:「ライナーさん、俺たちが奴を食い止めます。その間に、装置を止めてください!」
!ナーヴがライナーにお願いする。
ライナー:「わ、わかった。デュエルギアを使用するクラークは初めて見たから、私もあいつの力が取れだけのものかわからないが、気を付けてくれ」
ライナーは壁際沢山設置されている装置のコントロールパネルに向かって走る。
クラーク:「させません!」
ライナーの鞭タイプデュエルギアがライナーに向かって飛ぶ。
ナーヴ:「させるか!」
スクラップ・ガンブレードから銃弾を発射し、クラークの鞭を止める。
ラリー:「もらった!」
ラリーがワンショット・ダガーを上に挙げた状態でクラークに飛びついてきた。
クラーク:「そう簡単に、私に刃は届きませんよ!」
クラークは鞭タイプデュエルギアを多彩に使いこなし、鞭の先端がラリーの腕にヒットした。
ラリー:「くっ」
ラリーは鞭が当たった部分を押さえながら、一度後ろに下がる。
ラリーたちがクラークに攻撃を仕掛けている間にライナーは装置のコントロールパネルがある場所の前に立った。
勿論、クラークはそれを見逃していなかった。
クラーク:『まあいいでしょう。決勝戦が終わるころには、もう手遅れです。それにあなたのスピードでは決勝が終わるまでに止めることは不可能です』
クラークは集中力をラリーたちに向ける。
クラーク:『少しだけ、遊んであげるとしましょう』
クラークはその笑みをラリーたちに見せる。
タカ:「嫌な笑い顔だな」
ブリッツ:「俺たちをバカにしているのか!?」
クラーク:「とんでもない。別にあなたたちをバカにはしていないです。ただ、見下しているのですよ」
ラリー:「それをバカにしてるっていうんだよ!」
ラリーは再び攻撃を仕掛けてきた。
クラークは鞭を床に叩き付け、大きな音が部屋中に響き渡る。
決勝戦が終わるまでに装置を止めることができるのか――
地下で装置を止めるためにラリーたちが戦っている中、その上で行われているデュエルバトルカーニバル選手権の決勝戦は……。
ジャンク・ヴィクトリーが、ヨルムンガンド・マグライオンが、ニトロ・サイクロンが、フェンリル・マグニオンが、ターボ・ボンファイアが、スレイプニル・マグニオンが今だなお激しい戦闘を繰り広げていた。
クレイヴン:「最高だ!ここまで勝ち残ってきただけのことはあるよ、不動一星!」
バトルを思いっきり楽しむクレイヴン。笑いが止まらない。
クレイヴン:「初めて戦った、あのときとは見違えるほどに変わったな!」
一星:「あんたのおかげで、俺はモンスターの本当の気持ちを理解した。あんたがいてくれたから、俺はここまで来られたんだ!感謝するぞ!」
クレイヴン:「お礼を言ったところで、バトルを緩めるつもりはないぞ!」
一星:「そのつもりで言った覚えはない!」
バトル中の一星とクレイヴンの言い合いはモンスター同士の戦いでも表現されていた。
ヨルムンガンド・マグライオンがヘル・フィアンマ・ボンテージにチャージしていたエネルギーを炎に変えて一気に放った。
その攻撃は、フェンリル・マグニオンと戦っていたニトロ・サイクロンが丁度、射線上に位置していた。
ニトロ・サイクロンは、その攻撃に気づき、フェンリル・マグニオンから一度距離をとり、ヨルムンガンド・マグライオンの攻撃を躱す。
そして、その攻撃が向かう先には、ジャンク・ヴィクトリーがいたが、手に持っていたジャンク・アブソーブシールドを構え、その攻撃を吸収した。
クレイヴン:「そのシールド、かなり厄介だな。だったら!」
ヨルムンガンド・マグライオンの背中に炎のリングが現れる。
クレイヴン:「サポートカード”オールレンジ・バードストライク”!」
炎のリングから炎でできた無数の鳥が生成され、ジャンク・ヴィクトリーに向かって、突撃する。
一星:「広範囲による攻撃か!ジャンク・アブソーブシールドを破壊しに来たか!だったら!」
ジャンク・ヴィクトリーは手に持っていたジャンク・エレメント・ブレードを投げ飛ばし、それをニトロ・サイクロンがキャッチする。
一星:「サポートカード”ジャンク・ビット!”」
ジャンク・ヴィクトリーの周りに無数のゴミ屑のようなものが宙に浮かぶ。
いや、よく見ると、ゴミ屑にも見えるが砲身がついていたり、刃がついていたりなど、ただのゴミ屑ではなかった。
一星:「行け!」
無数の炎の鳥たちと、ゴミ屑がぶつかり合う。
どちらも譲らない攻撃だ。
しかし、その攻撃を放った直後、スレイプニル・マグニオンが腕につけているかぎ爪の刃をキラッと光らせ、ジャンク・ヴィクトリーに攻撃を仕掛けてきた。
ジャンク・ヴィクトリーは、ジャンク・アブソーブシールドを使ってギリギリ防御したモノの少し態勢を崩す。
頂いたとばかりに攻撃を仕掛けようとするスレイプニル・マグニオンだったが、ターボ・ボンファイアが両手を覆っている炎を投げ飛ばし、スレイプニル・マグニオンをジャンク・ヴィクトリーから遠ざける。
そして、ターボ・ボンファイアが身体中に炎を灯し、スレイプニル・マグニオンに体当たりを仕掛けてきた。
クレイヴン:「チッ、”マグニオン・ランサー”!」
2本の炎の槍を片手に持つヨルムンガンド・マグライオンだったが、すぐにそれをフェンリル・マグニオンとスレイプニル・マグニオンに向けて投げつけ、両モンスターとも槍を受け取る。
そして、フェンリル・マグニオンがターボ・ボンファイアの前に現れ、今受け取った槍と元々持っていた剣を使って、ターボ・ボンファイアの攻撃を受け止める。
その間にフェンリル・マグニオンの後にいたスレイプニル・マグニオンがターボ・ボンファイアの後ろに回り込み、トドメを刺そうとする。
一星:「ニトロ・サイクロン!」
一星はそう叫ぶと、ニトロ・サイクロンがジャンク・エレメント・ブレードでスレイプニル・マグニオンの槍を受け止める。
ジャンク・ビットとマグニオン・ランサーのぶつかり合いは今なお続いている。
クレイヴン:「体制をたてな―」
クレイヴンが何かを言おうとしたが、フィールドシステムの中で戦っているヨルムンガンド・マグライオンたちを見て、考えはがらりと変わった。
クレイヴン:「そうだな。そうだよな。もっとバトルを楽しみたいよな!お前ら!」
ヨルムンガンド・マグライオンたちの気持ちが伝わったのか笑ってクレイヴンは言った。
クレイヴン:「あれを使うぞ!ヨルムンガンド・マグライオン!」
周りに散っている鳥の形をした炎が1つに集約され、大きな火の球体ができた。
ヨルムンガンド・マグライオンは、球体を自身の身体に吸収し、身体が炎に包まれる。
一星:「こ、これは…!!」
似たようなことを前にやったのを見たことがある一星。
そう、俺が初めて、クレイヴンと戦ったときのこと。突如、名人のアーマード・ウォリアーが現れ、ヨルムンガンド・マグライオンとバトルをしたときのことだ。
あのとき、最後に繰り出そうとしていた技に似ていた。
あの時は、フィールドシステムが強制的に終了しバトルは中断。
ヨルムンガンド・マグライオンは、攻撃を放つことはなかった。
一星:「まさか、あのときやろうとした奴か!」
そう思った一星。
ジャンク・ヴィクトリーの周りに、ジャンク・ビットが展開される。
一星:「”ジャンク・ハルバードキャノン”!」
ハイソリッド・ユニゾン・ランチャーよりも強力なエネルギー砲が放てる新たな武器”ハイソリッド・ユニゾン・ランチャー”を手に持つジャンク・ヴィクトリーは、ジャンク・アブソーブシールドに吸収したエネルギーをキャノン砲に与える。
フェンリル・マグニオンが手に持つ剣とマグニオン・ランサーの刃から炎が灯され、炎の斬撃を×印を描くように放った。
ターボ・ボンファイアが炎を全身に纏わせ、両手から粒子が入り混じった炎の光線を放った。
クレイヴン:「全てを焼き尽くす地獄の業火!!」
手に持つヘル・フィアンマ・ボンテージを、その辺に投げ飛ばし、攻撃態勢を整える。
一星:「エネルギー充電完了!!」
ジャンク・ハルバードキャノンのエネルギーがMAXになった。
ニトロ・サイクロンが手に持つジャンク・エレメント・ブレードを大きく振り、刀身からビームを放った。
同じくスレイプニル・マグニオンもマグニオン・ランサーから炎でできたビームを放った。
クレイヴン:「クリムゾン・デス・ダイナマイト!!」
クレイヴンが技名を言い放った瞬間、ヨルムンガンド・マグライオンが拳を突き付け、炎で構成された巨大な蛇が宇宙をかける。
一星:「ジャンク・ハルバードキャノン!ディスチャァァージ!!」
ジャンク・ハルバードキャノンから特大のビームが放たれた。
そのビームは円を描くように展開されていたジャンク・ビットのど真ん中を潜り抜け、ビームは龍のような形に姿が変わった。
6体が放った攻撃は、ど真ん中目掛けて飛んでいく。
そして、6つの攻撃が交差。巨大な爆発を起こし、その爆発が6体のモンスターを、そして戦っている場の月を飲み込んだ。
そのバトルを見ていた観客たちが目を丸くする。
声にならないぐらい、すごい光景だったからだ。
アキ:「月が…」
アキがつい口にしてしまった。
オズボーンの特別部屋から、バトルを見る名人も、少し驚いていた。
名人:「月が、壊れていく…」
月に大きな穴が開いた。
そして、所々で地割れが発生した。
巨大な爆発により、月に大きな穴が開いた影響で、その破片が宙を舞った。
MC:「な、なんというバトルだ!核爆発でも起きたような攻撃だったぞ!この攻撃の中、両者のモンスターたちは一体どうなったんだ!!」
興奮を抑えられないMCが実況する。
シェリー:「判定が下されていないということは、ジャンク・ヴィクトリーもヨルムンガンド・マグライオンもまだ倒れていないみたいね」
氷室:「だが、モンスターの姿が見えないぞ!」
大きな爆発の影響で、バトルするモンスターを見失ってしまう観客の人々。
モンスターの居場所が分かっているのは、モンスターを使用している、本人たちだけだった。
宙に舞う月の破片。大きいものもあれば小さいものもある。
そんな中とてつもない大きな破片に亀裂が入り、そして爆発した。
そこから出てきたのは身体中傷だらけの、ヨルムンガンド・マグライオン、フェンリル・マグニオン、スレイプニル・マグニオンの3体だった。
MC:「おーっと、クレイヴンのモンスターが姿を現したぞ!」
クレイヴンが使う3体のモンスターが現れたことを確認したMC。
ヨルムンガンド・マグライオンは攻撃を放つ直前に投げ捨てたヘル・フィアンマ・ボンテージが偶々、近くにあったのでそれを手に取るが、爆発の影響でもう使い物にならなかった。
クレイヴン:「最高だ、本当に最高のバトルだ!もっと楽しもうぜ!不動一星!!」
クレイヴンが笑って一星の名前を呼ぶ。
その頃、一星が使うジャンク・ヴィクトリー、ニトロ・サイクロン、ターボ・ボンファイアの3体は、宙に舞う大きな月の破片の陰に隠れていた。
こちらの3体も酷い傷を身体中に負っていた。
一星:「痛いよな?ジャンク・ヴィクトリー、ニトロ・サイクロン、ターボ・ボンファイア」
自分が操る3体のモンスターの名前を呼ぶ一星。
一星:「すまない。俺にもっと才能があれば、お前たちをここまで傷づけることはなかった。俺のことが憎いよな…」
フィールドシステムにセットするターミナルペットに手を乗せる一星。
一星:「けどな、ここまで来てしまったからには絶対に勝ちたいんだ。お前たちがどんなに俺を憎んでいようと、俺は、このバトルに勝ちたいんだ…!」
デュエルバトルフィールドシステムは遊星粒子がフィールドを構築している。
その粒子を通じて、一星の思いはモンスターたちに届いた。
モンスターたちの目が光る。
???:『恨んでなどいない』
一星:「!?」
突如、声が聞こえた。頭の中に声が聞こえたのだ。
???:『キミの思いと我々の思いは一緒だ』
???:「我々も勝ちたい。だから全力でバトルをしている」
他に2人、別の声が聞こえた。
一星はフィールドシステムにいる3体のモンスターを見る。
3体とも一星を見ていた。
一星は目を大きくする。
彼等だった。俺が操るジャンク・ヴィクトリー、ニトロ・サイクロン、ターボ・ボンファイアが俺に語り掛けていたのだ。
ニトロ・サイクロン:『優勝するぞ、一星』
ターボ・ボンファイア:『我々は全力で、キミの手足となってバトルをしよう』
ジャンク・ヴィクトリー:『最後の決戦だ、一星』
3体のモンスターが一星を見ながら呟いた。
一星は一度頷き、目を閉じる。
一星:『ありがとう、お前たち。必ず、優勝するぞ!』
一星が操る3体のモンスターが、飛び出し姿を現した。
クレイヴン:「来たな!」
MC:「不動一星が操る3体のモンスターが姿を現した!残り時間は5分を切っている!最後の大勝負だあああ!!」
興奮しながら実況するMC。
その興奮がみんなにも乗り移ったのか、観客たちが2人を応援する。
エマリー:「いっせーい!がんばれ!!」
パティ:「応援してるから!」
ボブ:「負けんじゃねえぞ!!」
一星を全力で応援するみんな。
アキ:『頑張って、一星』
母親であるアキは息子を信じ、心の中で一星を応援する。
クレイヴン:「5分を切ったし、焦ってきたか?」
一星:「それはあんたもそうじゃないのか?」
お互い笑って会話をした。
クレイヴン:「フッ、正直図星だよ!俺をここまで楽しませてくれたんだ。とっておきを見せてやるよ!”マグニオン・フェニックス”!」
クレイヴンの新たなサポートモンスターカード、炎の不死鳥が現れた。
クレイヴン:「ヨルムンガンド・マグライオンにマグニオン・フェニックスをチューニング!!」
マグニオン・フェニックスが2つのリングとなり、ヨルムンガンド・マグライオンを包み込む。
クレイヴン:「絶対的な力を、その姿で示せ!シンクロ召喚!”ヨルムンガンドフェニックス・エンペラード”!!」
赤い身体に、大蛇の身体の模様をした鎧。その背中に4枚の炎の翼。不死鳥と獅子が混ざり合った兜をつけたシンクロモンスターが現れる。
MC:「ヨルムンガンド・マグライオンがシンクロモンスターとなって進化したぞー!!」
シンクロモンスターが現れ、会場に歓声が沸く。
恐れなしにヨルムンガンドフェニックス・エンペラードに接近するジャンク・ヴィクトリーたち。
一星:「わかる。わかるぞ。お前たちの気持ちが!」
一星にはジャンク・ヴィクトリーとニトロ・サイクロン、ターボ・ボンファイアの気持ちが伝わってきていた。
遊星粒子を通じて、モンスターの意志が伝わってくる。
サイドオーバー発動。
いや、一度に3体に対してサイドオーバーは既に、その力を超えていた。
一星:「”スターダスト・チューナー”!」
白銀の身体と翼を持った小さいドラゴンがジャンク・ヴィクトリーの前に現れた。
一星:「ジャンク・ヴィクトリーにスターダスト・チューナーをチューニング!!」
2体のモンスターが一つになる。
一星:「集いし輝きの星が、新たな道を照らし、世界を救う!」
2体のモンスターが一つになる瞬間の輝きが宇宙を照らす。
一星:「その身で飛翔せよ!”ジャンク・ヴィクトリー-スターダスト”!!」
スターダスト・ドラゴンの力を受け継いだジャンク・ヴィクトリーが、遂にその姿を現した。
ミゾグチ:「あ、あれは!」
矢薙:「あんちゃんが使っていたドラゴンの!」
愛:「スターダスト・ドラゴンの力を受け継ぐジャンク・ヴィクトリー!」
ジャンク・ヴィクトリー-スターダストを見て、不動遊星が使用していたスターダスト・ドラゴンを思い出すみんな。
オズボーンの特別席がある部屋から見ていた名人は「フッ」と笑った。
クレイヴン:「お前もとっておきを出してきたな!手加減なしで行かせてもらうぞ!!」
ヨルムンガンドフェニックス・エンペラードの周りに浮かぶ月の破片が炎に包まれる。
クレイヴン:「サポートカード”ブレイン・ファイア”!!」
サポートカードを使用し、炎に包みこまれた破片が自由に動き回る。
炎を纏う無数の破片は、クレイヴンが操る3体のモンスターの周りに展開される。
これでは、一星のモンスターたちが放つ攻撃は簡単には通らない。
ニトロ・サイクロン:『一星!あれを!』
ニトロ・サイクロンが一星に呼びかける。
一星:「サポートカード!”キャノンランス・ウェポン・アーマー”!!」
一星がサポートカードを発動すると、ジャンク・ヴィクトリー-スターダストの手に光の球が現れ、その光の球をニトロ・サイクロンに向けて投げ飛ばす。
光の球にニトロ・サイクロンは包まれ、両肩にキャノン砲を装備し、手にランスを持った状態で姿を現した。
ニトロ・サイクロン:『狙い撃つ!!』
両肩のキャノン砲からビームを発射し、炎を纏った破片を消し飛ばしていく。
ニトロ・サイクロン:『行け!ジャンク・ヴィクトリー!ターボ・ボンファイア!』
ニトロ・サイクロンの援護の元、敵に向かって突っ込む2体のモンスター。
ジャンク・ヴィクトリー-スターダストがヨルムンガンドフェニックス・エンペラードに接近しようとするが、いつの間に頭上にいたスレイプニル・マグニオンがボロボロのマグニオン・ランサーの刃をジャンク・ヴィクトリー-スターダストに向けて接近してきた。
ターボ・ボンファイア:『邪魔はさせない!』
炎を纏ってターボ・ボンファイアがスレイプニル・マグニオンに体当たりする。
続いて、フェンリル・マグニオンが攻撃を仕掛けてくるが、ランスを手に持つニトロ・サイクロンが前に出てきて、フェンリル・マグニオンの攻撃を防ぐ。
ジャンク・ヴィクトリー-スターダストが、その拳をヨルムンガンドフェニックス・エンペラードにぶつける。
クレイヴン:「そう簡単にさせると!」
ヨルムンガンドフェニックス・エンペラードの周りに浮かぶ炎を纏った破片がジャンク・ヴィクトリー-スターダストを襲う。
一星:「ううっ!」
サイドオーバーの影響で、ジャンク・ヴィクトリーが受けるダメージは自分にも跳ね返ってくる。
ジャンク・ヴィクトリー:『この攻撃は厄介だぞ』
攻撃を受けながら一星に語り掛けるジャンク・ヴィクトリー。
一星:「完璧な攻撃なんてないさ!あれを使うぞ!」
ジャンク・ヴィクトリー:『おう!』
ジャンク・ヴィクトリー-スターダストの背中に白銀の翼が生え、攻撃体勢に入る。
何かをやろうとしていることに気づいたクレイヴン。
クレイヴン:「とんでもないことでもしようとしているな!やらせるか!」
ヨルムンガンドフェニックス・エンペラードの両手が赤い光に包まれ、片方は炎で模った獅子の顔に、片方は炎で模った蛇の顔になった。
クレイヴン:「はあああああ!」
その状態でヨルムンガンドフェニックス・エンペラードはジャンク・ヴィクトリー-スターダストに突撃してきた。
一星:「トランジェント・サンクチュアリ!!」
ジャンク・ヴィクトリー-スターダストの周りに一瞬結界が張られ、その結界を両手に吸収し、その両手を前に突き出して、光の竜を召喚する。
そして、それと一つになり、ヨルムンガンドフェニックス・エンペラードに突撃する。
激しい爆発が引き起こした中、ヨルムンガンドフェニックス・エンペラードが吹き飛ばされ、背後にあった巨大な月の破片に激しくぶつかった。
クレイヴン:「何!?」
ヨルムンガンドフェニックス・エンペラードが攻撃負けしたことに驚くクレイヴン。
ジャンク・ヴィクトリー-スターダストは粒子を纏って、その場に立っていた。
クレイヴン:「このモンスター…、バトルの中で更に強くなっただと…!」
ジャンク・ヴィクトリーは強い。バトル開始からクレイヴンはそう思った。だが改めて思った。ジャンク・ヴィクトリーの強さにやはり驚かされると。
一星:「父さんと違って…」
クレイヴン:「?」
一星:「父さんと違って、俺は手が器用じゃないんだ。だから、1つ1つ覚えていくだけで精一杯なんだ」
笑いながら一星はそう言った。
クレイヴン:『こいつ、やはり面い!』
クレイヴンもつい笑ってしまう。
両者のエースモンスターが激しい戦闘を繰り広げている中、他の4体も激しいスピード勝負が繰り広げられていた。
ニトロ・サイクロン:『はああ!』
手に持つ槍をフェンリル・マグニオンに向ける。
しかし、フェンリル・マグニオンに気を取られ過ぎて、背後にいるスレイプニル・マグニオンがいることに気づかなかった。
スレイプニル・マグニオンはかぎ爪の武器でニトロ・サイクロンを背中から襲った。
勿論、そのダメージは一星に伝わった。
一星:「ぐう!」
背中に強烈な痛みを感じる一星。
ターボ・ボンファイア:『このお!』
敵2体のモンスターに向かって、炎を飛ばし、ニトロ・サイクロンを守る。
ターボ・ボンファイアはニトロ・サイクロンの横に立つ。
ターボ・ボンファイア:『そろそろ決めるとしよう、ニトロ・サイクロン』
ニトロ・サイクロン:『そうだな』
2人は協力して相手2体のモンスターを倒すことを提案した。
ニトロ・サイクロンは両肩のキャノン砲の砲口を敵に向ける。
ターボ・ボンファイア:『チャージが完了するまで、俺が相手を引き付ける!一星!』
ターボ・ボンファイアが一斉に語り掛けた。
一星:「サポートカード!”クリムゾン・ワイルド”!」
一星がサポートカードを使用し、ジャンク・ヴィクトリー-スターダストの手に光の球が現れ、その光の球をターボ・ボンファイアに向けて投げ飛ばす。
紅のオーラに包まれたターボ・ボンファイア。そのオーラは次第に、狼の姿へと変え、ターボ・ボンファイアは、その状態で敵2体の動きを封じた。
ヨルムンガンドフェニックス・エンペラードが応援に行こうとするが、ジャンク・ヴィクトリー-スターダストは、それをさせなかった。
クレイヴン:「なら、こいつでまずはお前から葬る!”炎の大蛇竜-ヨルムンガンド・ドラゴン”!」
9枚目のサポートカード。それは最後のモンスターカードでもあった。
ヨルムンガンド・ドラゴン。蛇のように長い身体を持ち、背中に炎が灯されていた。
その巨大な身体でターボ・ボンファイアの身体を縛り付け捕える。
ニトロ・サイクロン:『ターボ・ボンファイア!』
ターボ・ボンファイア:『構うな!やれ!!』
自分のことはいいから撃てと命ずるターボ・ボンファイア。
ターボ・ボンファイアを信じ、ニトロ・サイクロンは両肩のキャノン砲を放とうとした。
一星:「ニトロ・サイクロン!」
ニトロ・サイクロン:『トルネード・バスター・キャノン!』
両肩のキャノン砲から風を纏ったエネルギーが放たれ、周りに浮かぶ月の破片や炎の破片がかき消される。
クレイヴン:「ラストサポートカード!”アンフィニ・フォルトゥレス”!!」
最後のサポートカードを使用したクレイヴン。
フィールドにいる4体のモンスターに丈夫なバリアが張られ、フェンリル・マグニオンとスレイプニル・マグニオン、ヨルムンガンド・ドラゴンは、ニトロ・サイクロンが放った攻撃に立ち向かう。
ニトロ・サイクロン:『うおおおおおお!』
フルパワーで放つニトロ・サイクロンの攻撃は、3体のモンスターを飲み込み、そして月に当たり、そのまま月を貫通した。
それを見た会場のみんなが驚く。
強烈な爆風がジャンク・ヴィクトリーを襲う。
ゴミ屑が散らばるかのように宙に攻撃による影響で飛び散った月の破片が更に増える。
ジャンク・ヴィクトリー:『ニトロ・サイクロン、ターボ・ボンファイア…』
仲間の名前を呟くジャンク・ヴィクトリー。
ターボ・ボンファイア:『ジャンク・ヴィクトリー!』
今の攻撃で更に傷だらけになったターボ・ボンファイアが炎を身体中に纏って、宇宙を駆けた。
ターボ・ボンファイア:『一星を勝利に導いてくれ!』
ターボ・ボンファイアはフェンリル・マグニオンを捕え、そのまま月へと衝突し爆発した。
ターボ・ボンファイアとフェンリル・マグニオンの撃破を確認。
爆発の影響で、身体中に痛みが走る一星。
一星:「ターボ・ボンファイア、お前の気持ち、受け取ったぞ!」
ターボ・ボンファイアが命懸けで戦ってくれた思いを無駄にしないと誓う一星。
スレイプニル・マグニオンがニトロ・サイクロンに接近する。
さっきの攻撃でニトロ・サイクロンの身体もボロボロ。両肩のキャノンランス・ウェポン・アーマーのキャノン砲も使い物にならなくなっていた。
「これで終わりだ!」そんな表情でスレイプニル・マグニオンは、ニトロ・サイクロンにかぎ爪の武器を刃を向けた。
ニトロ・サイクロンはとっさに近くにあったランスを手に取った。
そして、スレイプニル・マグニオンのかぎ爪の刃がニトロ・サイクロンの胸に突き刺さる。
しかし、スレイプニル・マグニオンもニトロ・サイクロンが手に持つランスが突き刺さっていた。
ニトロ・サイクロン:『勝利を手にしろ、一星…。お前にはまだ、頼れるエースモンスターがいる』
ニトロ・サイクロンは、一星にそう言い残し、両モンスターは塵となって消えた。
一星:「ニトロ・サイクロン…」
ニトロ・サイクロンもやられてしまい、悲しい気持ちと悔しい気持ちが入り混じった気持ちになる一星。
一星:「行くぞ!ジャンク・ヴィクトリー!」
一星の声に答えるかのように、ジャンク・ヴィクトリー-スターダストの目が光る。
そして、ヨルムンガンドフェニックス・エンペラードと、ヨルムンガンド・ドラゴンに向かって突撃する。
クレイヴン:「1体で仕掛けてくるとは、勝負を捨てたか!」
クレイヴンが操る2体のモンスターがジャンク・ヴィクトリー-スターダストに接近する。
一星:「あいつと一緒に羽ばたいてくれジャンク・ヴィクトリー」
ジャンク・ヴィクトリー-スターダストの周りに薔薇の花びらが舞う。
クレイヴン:「なんだ…!」
一星:「集いし星の輝きで、地上の薔薇が開花する!宇宙に舞い上がれ!我が最強モンスター!”エトワール・ローズ・ドラゴン”!!」
星と薔薇、その2つの言葉を名前に持つ竜、エトワール・ローズ・ドラゴンが宇宙に現れた。
一星の真のエースモンスター。
そして、このバトルの中で最後に使用されるサポートカードだ。
一星:「エトワール・ローズ・ドラゴン!リュエール・デゼトワール!!」
エトワール・ローズ・ドラゴンは口から粒子を放つ。
クレイヴン:「迎え撃て!ヨルムンガンド・ドラゴン!」
ヨルムンガンド・ドラゴンも赤い粒子を口から放ち、エトワール・ローズ・ドラゴンの攻撃に迎え撃った。
クレイヴン:「ホント、こんな気持ちになったのは久しぶりだ!」
一星:「タイムリミットまで残り1分だ」
決勝戦も残り1分でケリをつけないといけない。
普通、こんなときは焦る気持ちがいっぱいのはずだ。
だが、今は違った。こんなときだからこそ、バトルが楽しくて仕方がなかった。
一星、クレイヴン:「「決着を付けるぞ!!」」
両者のモンスターたちがぶつかり合う。
MC:「残り時間残り1分!決勝の王冠を手にするのは果たしてどっちだー!」
MCも薄々気付いていた。
おそらく、このバトルで私が語ることは何もないということに…。
愛:「いっせーい!」
クロウ:「絶対に勝て!一星!」
一星を応援する愛たち。
激しい動きの中、ジャンク・ヴィクトリー-スターダストとヨルムンガンドフェニックス・エンペラードはお互いの拳をぶつけあっていた。
エトワール・ローズ・ドラゴンとヨルムンガンド・ドラゴンも口から放つ粒子の光線を何度もぶつかり合う。
一星:『ジャンク・ヴィクトリー、ここまで本当にありがとう。感謝している』
ジャンク・ヴィクトリー:『これからもだ。我々の戦いはまだ続くのだから』
一星:『フッ、そうだな。これからもよろしく頼むぞ!』
戦いながら一星とジャンク・ヴィクトリーは遊星粒子を通して、言葉を交わしていた。
クレイヴン:「エンペラー・ヨルムンガンド・スクリュー!!」
ヨルムンガンドフェニックス・エンペラードは炎を身体中に灯し、突撃する。
一星:「スターダスト・バース!!」
ジャンク・ヴィクトリー-スターダストが白銀の翼を大きく広げて、ヨルムンガンドフェニックス・エンペラードとぶつかり合う。
大きな爆風が発生し、周りの破片が飛び散る。
2人がぶつかり合っている場所に、両者のドラゴンが粒子を口から放ち、ぶつかり合っていた2体のモンスターは一度距離を取る。
ヨルムンガンド・ドラゴンが大きな雄叫びを挙げるとともに炎の姿へと変わった。
対するエトワール・ローズ・ドラゴンも身体を薔薇の花びらに変え、無数の花びらが宙に舞い、ジャンク・ヴィクトリー-スターダストに力を貸す。
クレイヴン:「イクスプロージョン・レジェンド!!」
姿を炎に変えたヨルムンガンド・ドラゴンと、ヨルムンガンドフェニックス・エンペラードが一つになり猛スピードで突撃する。
無数の花びらが輝き、光のエトワール・ローズ・ドラゴンが現れ、ジャンク・ヴィクトリー-スターダストは、その光のエトワール・ローズ・ドラゴンと一つとなって突撃する。
一星:「スターダスト・スクラップ・ノヴァ!!」
大きな翼を羽ばたかせるジャンク・ヴィクトリー-スターダスト。
両者モンスターの攻撃が再び激しくぶつかり合う。
残り時間は20秒!
クレイヴン:「うおおおおおおお!」
全力で一星の攻撃に立ち向かうクレイヴン。
そして、大きな大爆発を起こした。
傷だらけだが、ヨルムンガンドフェニックス・エンペラードが、その場に立っていた。
残り時間10秒。
クレイヴン:「フッ…!」
勝者は自分だと決めてしまっていた。
だが、爆発の中から、モンスターが現れた。ヨルムンガンドフェニックス・エンペラードと同じく傷だらけのモンスター。
元の姿に戻ったジャンク・ヴィクトリーだった。
ジャンク・ヴィクトリー:『はああああ!』
一星:「うおおおおお!」
ジャンク・ヴィクトリーは、その拳でヨルムンガンドフェニックス・エンペラードに当てて思いっきり押し出し月面に叩き付けた。
その衝撃で月面に大きなクレーターができた。
残り1秒
『DuelBattle End! DuelBattle End!』
勝利と言う言葉を胸に、ジャンク・ヴィクトリーは月面に立った。
フィールドシステムが徐々に消えて行く。
会場にいるみんなが目を疑った。言葉に出なかった。
決勝戦に決着が着いたのだ。
MCも我を忘れていたが、自分が実況者であることに気づき、大きな声で叫んだ。
MC:「け、けっちゃーーく!!激戦を繰り広げてきた第5回デュエルバトルカーニバル選手権!その頂点に立ったのは、ジャンク・ヴィクトリーを操り、多彩なバトルを見せてきたデュエリスト!ふどーういっせぇぇーい!!」
一星の名前が会場に響き渡り、大きな歓声が沸いた。
エマリー:「一星が勝ったー!」
鬼柳:「あいつ、本当にやりやがった!」
クロウ:「すげえ!一星、あいつはすげえ奴だ!」
一星の勝利に興奮するみんな。
愛:「一星が勝ったよ!ママ!!」
嬉し涙を流しながら母アキに抱き付いた。
アキ:「ええ、そうね」
アキも嬉し涙を流して笑っていた。
ミスティや深影、カーリーが拍手を送る。
風間:「対した奴だ、あいつは」
ジャック:「流石、あいつの息子のことだけはあるな」
我が永遠のライバル不動遊星の息子を褒めるジャック。
マーサ:『遊星、見ているかい。あんたの息子が優勝したわよ』
ここにいない遊星に、マーサは言葉を送った。
マーサがアキと愛を見る。
マーサ:『もし、あんたが一緒にいれば、あの子たちももっと喜べたでしょうね』
そう思いながらマーサは拍手をした。
それを見てシュミットや雑賀たちも拍手を送る。
会場内に観客の拍手が響き渡る。
その音を聞いて、自分が優勝したんだと実感する一星であった。
クレイヴン:「不動一星」
クレイヴンが一星の元に来た。
一星:「クレイヴン」
クレイヴン:「負けたよ。俺の完敗だ。お前とモンスターとの絆は本物のようだな」
一星:「あのとき、あんたと会っていなかったら、俺は、ここまで来ることはできなかったさ。感謝している」
クレイヴン:「言ってくれるな。今回は負けたが、必ずリベンジさせてもらうぞ」
一星:「望むところだ」
2人は握手を交わした。
熱いバトルを繰り広げてくれた両者に、もう一度熱い拍手が贈られた。
会場内の光景を見ていたオズボーンと名人。
名人:「バトルは終わった。オズボーン、お前を拘束するぞ」
カードを手にする名人。
オズボーン:「バトルは終わった。だが、私の計画はこれから始まるのだ。今のバトルで装置にかなりのデュエルエナジーが溜まっただろう。それもこれも、彼ら二人のおかげだ」
笑いながらオズボーンは一星とクレイヴンを見る。
そして、オズボーンは椅子から立ち上がる。
オズボーン:「計画を実行する。もう、後戻りはできない」
名人:「装置のある場所には、フロンティアの者たちがいる。人数的に、お前の秘書は包囲されても同然だ」
オズボーン:「クラークを侮っては困る。あいつは一番頼れる私の部下だ。私の計画のためなら、何だってやってくれる。そう、命を捨てようとな!」
名人:「何!」
命を捨てようと?こいつの言っていることが理解できなかった名人。
だが、次の瞬間、会場内の明かりが一斉に消えてしまい真っ暗になった。
MC:「え?」
クレイヴン:「電気が」
一星:「消えた?」
ブレイブ:「おいおい、決勝は終わったはずだろ?何かサプライズでもあるのか?」
調子のいいようにブレイブは言った。
ドラガン:「いや、待て。なんだ、あれは!」
会場内の所々の床から光が差し上っていた。
光だけじゃない。よく見ると、黒と灰色が入り混じった粒子も、床から吹き出していた。
デュエルバトルフィールドシステムが光を放っていた。
名人:「オズボーン!貴様!」
オズボーン:「さあ、パンドラの箱の復活だ!」
両手を水平に広げて、オズボーンは大きな声で言った。
パンドラの箱が遂に、蘇る――!
第7ED『Last Moment《SPYAIR》』
次回予告
ナレーション:オズボーンの策略により、”パンドラの箱計画”が遂に実行されてしまった!
会場にいた人々は、パンドラの箱によってとじ込まれてしまい、更にパンドラの箱が生み出した敵が出現する。
そんな中、世界に大会の裏の真実を明かすオズボーン。
そして、その中で語られるデュエルバトル開発者ミスターYの正体…!
真実を知った一星はクレイヴンと共に、オズボーンを止めるために立ち上がる!
アキ:次回、遊戯王5DXAL「パンドラの箱復活!災いをもたらすウングリュック」
アキ:「私たちがやらないで誰が、みんなを守るの!」
遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!
一星:「今日活躍した、”ジャンク・ヴィクトリー-スターダスト”は、俺の父、不動遊星のエースモンスターであるスターダスト・ドラゴンの力を受け継いだ姿だ。スターダスト・ドラゴンのように空高く飛翔し、戦場を駆け巡るぞ!」