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第111話:『復活の阻止!パンドラの箱』










一星:「上だ!ジャンク・ヴィクトリー!!」
ジャンク・ヴィクトリーに指示を出す一星。


ジャンク・ヴィクトリーの頭上には、フェンリル・マグニオンが攻撃を仕掛けてきた。


ジャンク・ヴィクトリーはジャンク・エレメント・ブレードを使って、フェンリル・マグニオンの剣を受け止める。


クレイヴン:「後ろががら空きだ!モンスターとの絆が弱いと後ろは見えねえぞ!」
ヨルムンガンド・マグライオンがジャンク・ヴィクトリーの背後から攻撃を仕掛ける。


一星:「ニトロ・サイクロン!」
ニトロ・サイクロンがヨルムンガンド・マグライオンを蹴り飛ばし、ジャンク・ヴィクトリーを守った。



クレイヴン:「やるな。だが!」
ヨルムンガンド・マグライオンを蹴り落とした直後、ニトロ・サイクロンは真上から攻撃を受けた。


攻撃を仕掛けてきたのは、スレイプニル・マグニオンだった。

かぎ爪でニトロ・サイクロンに攻撃をしてきたのだ。


一星:「援護しろ!ターボ・ボンファイア!」
ターボ・ボンファイアがスレイプニル・マグニオンの動きを封じる。



MC:「3対3の激しいバトルは、止むことがない!一体、いつまで続くんだー!!」
興奮しながら実況するMC。




3対3の激しい攻防は留まることはなかった。








第7OP『二つの未来《黒田倫弘》』







第111話:『復活の阻止!パンドラの箱』








決勝戦が繰り広げている中、ライナーから大会の裏で動いているオズボーンの計画を知ったラリー、ナーヴ、タカ、ブリッツの4人は、デュエルバトルフィールドシステムと連動している吸収装置本体がある場所へ向かっていた。




タカ:「なあ、一つ聞いていいか?どうして、先代の社長が亡くなった時、副社長であるあんたが社長にならなかったんだ?」
移動しながら、タカはライナーに聞いた。


ライナー:「あまり、こういうことは、外部に漏らすのはよくないことだが、実は2年前、社長の座を巡って小競り合いがあってね」

ブリッツ:「小競り合い?」

ライナー:「えぇ。先代社長と同じ気持ちを持つ者と、そうでない者たち。私が率いていた先代社長と同じ気持ちを持つ者たちは、今まで通り他社との交流を深め、世界に多くの製品を広める考えを持っていた。逆に、現社長オズボーン率いる側は、新たなノルマンディーカンパニーを生み出すため、会社独自でさまざまな製品を生み出し、そして先代社長とミスターYが世界に轟かせたデュエルバトルに力を入れることを望んでいた。会社の中で二つの勢力が分断し、社長の座を賭けて選挙が行われたんだ」

ナーヴ:「なるほどな。それで、その選挙でオズボーン側が勝利し、他社との交流がほとんどなくなったってことか」
先代社長が亡くなってから他社との交流がほとんどなくなったノルマンディーカンパニー。その理由が、今わかった。

ライナー:「それだけじゃない。オズボーンは自分が勝利し、会社を好き放題動かし、社長と同じ気持ちだった私たちを、ほとんど会社の外に出すことはなかったんだ。奴隷のように扱われてきたよ、約2年間ぐらいね」
辛い思いを打ち明けるライナー。

ライナー:「だが、それでも結果、去年のノルマンディーカンパニーの利益は赤字、第5回デュエルバトルカーニバル選手権を開催することもできずにいたんだ。そのときからだ。オズボーンの様子がエスカレートしたのは…」
ライナーが去年、多元世紀50年であった出来事を話す。


ライナー:「会社の利益が赤字だと知ったオズボーンは、去年開くことのできなかった第5回デュエルバトルカーニバル選手権に力を入れていった。予選が開かれる会場全ての施設改装、フィールドシステムの改良、特定の人を集め、パンドラの箱計画を遂行。デュエルバトル開発者であるミスターYと先代社長が世界に広げたデュエルバトルを暗躍していたんだ」


ラリー:「そのときから、オズボーンはパンドラの箱計画を遂行していたんだね。過去に戻り、タイムパラドックスを引き起こし、未来を自由に変える。オズボーンは、過去に戻って、ノルマンディーカンパニーの利益をいい方向に持って行きたいのかな」

ナーヴ:「それだけじゃないと思うがな―!」
ナーヴがしゃべりながら歩いていると、目の前に人影が見えた。

ナーヴ:「隠れろ」
ナーヴの言う通りに、みんなは壁際に隠れる。


そっと顔を覗かせ、進行方向の方を見ると、スーツを着た男性二人が立っていた。


ナーヴは目を細めて、スーツを着用する2人の懐をよーく見る。


脇の下でキラッと光る黒い物体を確認。







ナーヴ:「あいつら拳銃持ってやがる」
拳銃を確認したナーヴが舌打ちをして言った。


ライナー:「おそらく、オズボーンいや、その秘書のクラークが手配したボディガードだ。オズボーンの計画を知っているかもしれない」


ラリー:「つまり敵ってことか。どうする?ナーヴ」


ナーヴ:「どうするって言っても、行くしかないだろう。タカ、力隠してくれ」

タカ:「ほい来た。いっちょやりますか」
楽しそうに笑うタカ。



ナーヴとタカは気付かれないように、2人の背後に回る。



そして、まずはタカが。

タカ:「おりゃあ!」
スーツを来た男性に体当たり。

それに気づいたもう一人男性が拳銃をホルスターから取り出そうとするが、その前に背後にいたナーヴが、男性の首を絞めて、窒息させ気絶する。


タカ:「おりゃ!」
タカも体当たりした男性の顎に強い打撃を与えて気絶させた。


ナーヴ:「慎也から教わったものが、ここで役に立つとはな。おい、いいぞ」
ナーヴは隠れていたラリーたちを呼ぶ。


ブリッツ:「タカ、お前もう少し静かにやれないのか?」

タカ:「仕方ないだろう。恐怖心を誤魔化すには叫ぶしかないんだ」

ブリッツ:「はいはい、そうですか」
やれやれと言うような感じで、ブリッツは言った。


ラリー:「とりあえず、早いとこ縛っておこうよ」
またいつ目覚めて追いかけられても面倒だ。

ラリーたちは、気絶している男性2人を近くの柱に括り付けて身動きが取れないようにする。









その頃、1人の男性が、デュエルバトルカーニバル選手権が開かれている会場の外にいた。



???:「波乱の前兆ですか…。雲行きが怪しいですね」
眼鏡をくいっと人差し指で上げて、空を見る男性。



???:「戦争の傷跡が、再び世界を混沌へと誘うときが来たのか…」
ポケットから出したミッションウォッチのホログラムを起動させて、随分昔の写真を出した。

暗い空の下、モンスターたちが、何かに対して攻撃を仕掛けているその写真。



???:「遊星粒子とデュエルエナジーを利用して、それを生み出そうとしているのか…、あの男は…」
眼鏡をかけた男性は、人ごみの多い入り口を見て、入ることは困難だと判断したのか、会場から遠ざかる。









会場内



「うおおおおお」と観客席の声が会場内に響き渡る。


名人:「決勝は盛り上がっているようだな」
廊下を歩く名人が、会場から響き渡る客の声を聞いてそう言った。



すると、名人のミッションウォッチがメールを受信した。


『空港にて、ノルマンディーカンパニーが手配したと思われる飛行機を格納庫で発見。調査する?
由加』
メール本文には、そう書かれていた。

メールの内容を見た名人が、どうするか考えたが、どう動くかを、送信者本人に聞いた。








ネオコーポレーションシティ国際空港



調査で、空港に来ていた由加。


送信相手から返事が来た。


『できるのか?』

由加:「全く心配性なんだから」
由加は「もう」と顔を膨らませたような感じで呟いた。


『当たり前。心配するのは、奥さんだけにしてww』
と本文に書いて送信した。



思ったより、すぐに返事が来た。あんなこと書いて、怒っているかなと思った由加。


『了解した。気を付けて調査を続けてくれ』

「え!それだけ!?」
こんなときだから、「ふざけているのか」とか「大きなお世話だ」とかそういう返事が返ってくると思っていたが、予想外の返事が返ってきたので、由加はつい突っ込んでしまった。


「もう、ノリが悪い人よね。まあいいわ」
文句を言いながら、由加はある場所に向かった。


そこは関係者以外立ち入り禁止の場所。そう飛行機の格納庫だった。



由加が潜入した格納庫にある飛行機は、ヨーロッパから来たものだった。



しかも、普通の民間飛行機ではない。



ノルマンディーカンパニー専属の飛行機だ。


飛行機の周りには、スーツを着用し、サングラスをかけたボディガードが数人いた。

しかも、拳銃を脇の下に所持している。







由加:「あらあら、随分警戒しちゃって。そんなに見られたくないものがあるのかしら」
由加はそう言って、こっそりと飛行機に近づき、入り口から伸びている階段を静かに昇る。


気付かれないように機内を覗く。


ライフルを持ったスーツを着用する男性4人を確認。


更に、5人…。手首を縛られた男女がいた。


由加はミッションウォッチのホログラムを出し、何やら名簿のようなものを出した。


そして、拘束されている人達の名簿が出てきた。



由加:『約2年間、姿を見ていないノルマンディーカンパニー社員…。どうやらビンゴみたいね』
ホログラムを消して、再び機内を見る由加。


由加:『さて、どうしたものかな』
由加はこれからどうするか考える。

だが―。


男性A:「おい」
由加の背後から拳銃を突き付ける男性が話しかけてきた。


「あちゃー」とやっちゃったみたいな顔をする由加。

男性A:「貴様、何者だ?立て!」
由加は男性の言われた通りに立ち上がり、背中に銃を突きつけられる。

男性A:「歩け」
男性はそう命令し、由加は手を挙げながら機内に入る。


男性A:「侵入者だ。ここの存在がバレた」
男性Aが機内にいた男性たち4人に言う。

男性A:「女、どこの手のものだ?言わないと命はないぞ」
銃口を由加の背中に強く当てる。


由加:「ごめんなさい。私、乱暴な男性って嫌いなの」
そう言って、由加は一瞬で背後に立つ男の腹を殴る。

男性A:「き、貴様…」
男性はその場で気絶し、由加は男性が持っていた銃から弾を抜く。


その姿を見て、男性4人が手に持つライフルの銃口を由加に向ける。


由加はさっき奪った拳銃をライフルを持つ男性1人の顔に投げつけ、顔に拳銃が当たった男性は、痛みのあまりに顔を押さえる。


その隙に、由加は残りの3人に攻撃。

ライフルが発砲する前に、敵を殴り蹴り、気絶させた。


男性B:「このお!」
顔に拳銃が当たった男性が割れたサングラスを外し、ライフルを構える。


しかし、そのライフルを由加は足で蹴り飛ばし、そのままかかと落としを男性の頭にヒットさせて気絶させる。


由加:「ふう」
一安心したかのように息を吐く由加。



拘束されている5人の人質の縄を解く。


由加:「大丈夫ですか?」


社員A:「あなたは?」


由加:「さすらいの女戦士ってとこよ。早いとこ、ここから逃げましょう」
由加は全員の縄を解いた。




窓から外の様子を見ると、この数分間でスーツを着用した人達が増えていることに気付いた。


由加:「流石にこっそりとは行けないわね」
由加は人質になっていた人たちを置いて、さっき入ってきたドアの前に立つ。



飛行機の周りに立つスーツを着用した人達がいる中、「はぁい♡」とアイドルのような声を出しながら、由加は堂々とみんなの前に姿を現す。


飛行機の周りにいた人達は、拳銃をホルスターから抜き、銃口を由加に向ける。


由加:「もう女1人にそんなもの向けないでほしいわ」
由加は階段を一歩ずつ下がる。


由加:「あ、それとも女一人でもバレてはいけない情報があったりするのかな?ここには?」
相手を挑発させるような口調で、由加は話す。



そして、由加は一番下までたどり着いた。



由加:「ライトエンド・パルチザン」
由加の手に白い槍タイプのデュエルギアが握られる。


周りにいる男性たちは、銃のグリップを強く握る。




由加:「あなたたち、誰に刃を向けているのか分からせてあげる!」
相手を狩るような目で、そう発言した由加。


ライトエンド・パルチザンを強く握り、行動を開始する。



近くにいた人達が、由加に向けて弾丸を発砲する。


しかし、由加はライトエンド・パルチザンで、その弾丸を弾き飛ばす。

そして、槍の棒の部分を使って、相手を打撃し気絶させる。



「このおお!」と相手は銃を乱射する。



由加:「イクスパンション・バリア!」
由加はライトエンド・パルチザンを縦にして構える。

そして、ライトエンド・パルチザンからバリアが張られ、敵が乱射した弾丸から自分のみを守った。




由加:「次はこっちの番よ」
相手の弾がなくなったことを確認し、バリアを消して攻撃体勢に入る。


ライトエンド・パルチザンをヘリコプターのプロペラのように振り回し、回転しながら宙へ投げた。


由加:「ホーリー・デイブレイク!」
宙へ投げたライトエンド・パルチザンから、眩しい光が放射され、スーツを着用する男性たちはあまりにも眩しい輝きに目を瞑ってしまった。

そして、眩しい光と共に、無数のビームが宙で回転するライトエンド・パルチザンから放たれ、敵を攻撃する。

敵たちは、視界を奪われているため、ビームが放たれていることにも気づかず、攻撃が直撃する。



飛行機の周りにいた敵全員が気絶してしまう。


宙に投げたライトエンド・パルチザンが由加の元に戻ってきた。


由加:「手応えないわね、まったく」
由加は一番近くに倒れている男性の側に来る。


目につけていたサングラスが外れており、素顔が見えた。

由加は男性のポケットを物色し、身分証明書が出てきた。


どうやら、ノルマンディーカンパニーの会員証のようだ。


ミッションウォッチのホログラムを出し、ノルマンディーカンパニーの社員リストを確認する。


由加:「ノルマンディーカンパニーの社員。しかも、オズボーン派に強く賛同していた人みたいね」
由加は周りに倒れる人達を見て、「ここに倒れている人全員、そうなのかしら」と心の中で呟く。


由加はミッションウォッチからメールを送ろうとしていた。


宛先は”兄さん”と書かれている。


由加:「兄さんの邪魔しちゃマズいからやめておこう。今頃、兄さんの方も動いているはずだし」
由加はミッションウォッチから出していたホログラムを消す。







第5回デュエルバトルカーニバル選手権会場内



とあるドアの前に立つ、1人の男性





MC:「さあ、残り時間20分を切ったが、以前3対3の激しい攻防が続いているぞ!このバトルに決着はつくのか!」
MCが実況する。


一星とクレイヴンのバトルは激しさを増すばかりだった。




クレイヴン:「ウルフ・ダイナマイト!」
フェンリル・マグニオンが基本武器である剣を投げ飛ばすと、その剣が炎を纏い、その炎は狼の形へと変えて突撃する。


一星:「インパクト・スラッガー!!」
ニトロ・サイクロンは、両手に風の力を溜めて、それをフェンリル・マグニオンが放った攻撃に向けて撃つ。

2体が放った攻撃がぶつかりあったとき、周りに爆風を巻き起こした。


一番近くにいたターボ・ボンファイアとスレイプニル・マグニオンが吹き飛ばされる。



一星:「ターボ・ボンファイアを受け止めろ!ニトロ・サイクロン!」
吹き飛ばされたターボ・ボンファイアをニトロ・サイクロンが受け止める。


一星:「態勢を立て直しつつ攻撃しろ、ターボ・ボンファイア!」
鎧についている炎の模様が光る。


一星:「バーン・ストロング!」
粒子が入り混じった炎が身体を包み、そのままスレイプニル・マグニオンに接近する。


まずは1体目!を倒したと思い込んでしまう一星。



クレイヴン:「そうか、受けて立ちたいか。お前の考えに乗ったぞスレイプニル・マグニオン!」
クレイヴンは独り言を言いながら笑っていた。


そして、スレイプニル・マグニオンが炎で身体を包んでいるターボ・ボンファイアの肩を掴み受け止める。



一星:「!!?」



MC:「なんと、ターボ・ボンファイアの必殺技を止めた!見た目によらず、なんて怪力を持ったモンスターなんだー!」
会場内に大きな歓声が響き渡る。



一星:『この男、やはり強い。モンスターとの気持ちがわかっているからこそ対応できるのか…』
冷や汗を少し垂らしながら、一星は呟く。









一星とクレイヴンの激しいバトルをいつもの特別席から見ているノルマンディーカンパニー社長オズボーン。


足を組み、片膝に手を乗せて、そして少し笑った表情で、バトルを見ていた。


しかし、その表情は更にニヤッとさせた。


オズボーン:「そろそろ来る頃だと思ったよ。チャンピオン・名人」
オズボーンの背後にある扉。

その前に立つサングラスをかけた1人の男性。


オズボーン:「いや、名人ではなく四大神王者No.3スターリングと呼んだ方がいいか?」


名人:「俺が四大神王者だということもお見通しか」

オズボーン:「ちなみに言うなら、このゲームを開発したミスターYの正体も知っている。お前がよく知る人物だろ」
オズボーンの言葉に何も返さない名人。





オズボーン:「やはり四大神王者が動いていたか。もっと用心するべきだったな」

名人:「俺が、ここに来た理由はわかるな?」
名人は問いかける。

名人:「俺はあんたが経営するノルマンディーカンパニーについて調査を続けてきたが、やはり予想通りだったよ。会社には裏がある」

オズボーン:「……」

名人:「お前が止まっているホテルと、この会場にある資料を調査させてもらった。パンドラの箱計画。なぜ、過去に戻ってまでして、未来を変えようとする?先代社長が、世界を楽しませるために開催したデュエルバトルカーニバル選手権を壊すつもりか!」
名人がオズボーンに追求する。


オズボーン:「先代社長は優しすぎた。その優しさは会社のためにはなっただろう。だが、それは思い込みに過ぎない。所詮、他社との力を借りなければ、ノルマンディーカンパニーは大きくなれない。だから、私が会社の頂点に立ち、世界を驚かせようと思った」

名人:「だが、それは大きな過ち。他社との交流を避け、会社内部の環境も大きく変えた結果、去年の経理は赤字だった。会社の拡大に力を入れ過ぎたお前が、招いた結果だ」

オズボーン:「そう、去年はな」
「去年は」と発言したオズボーンに、名人が「ん?」と反応した。

オズボーン:「他社との交流を避け、ノルマンディーカンパニーだけで、世界を驚かせようとした。それだけではダメだと私は思った。そこで、思いついたのが”パンドラの箱計画”だ。かの有名なあの大戦争。そのときに国会議事堂とホワイトハウスを包んだ謎の結界。あの結界には次元を超える異次元ワープの圧縮体が結界、そのものを作り上げていたと当時の研究者が発表している。私は、それに目をつけた。これさえあれば、未来を変えられると」

名人:「タイムパラドックスか」

オズボーン:「そう、時間軸を遡り、過去の出来事を改変し、因果律に矛盾をきたす。私は、前世紀まで戻り、”次元振動”によって変わってしまった世界を変える。国家政府を消し、ノルマンディーカンパニーが世界をコントロールする世界を作り上げるのだ」

名人:「そんなことができると思っているのか!」
名人が強い言葉でオズボーンに問いかける。


オズボーン:「会社のためなら、どんな手段でも使おう!先代社長とミスターYが作った、デュエルバトルを利用し、私は今の世界を変えるのだ!」
オズボーンは、ソファーについている隠しボタンをポチっと押した。


すると、名人の後ろにある扉がシャッターで閉ざされた。


オズボーン:「決勝戦が終わるまで、ゆっくりと、あの二人のバトルを見ようじゃないか。決勝戦、どちらかが勝ったとき、パンドラの箱は復活を遂げる。そのとき、世界は変わるのさ」
オズボーンの言葉を聞いて、少しだけ悔しがる名人。



すると、どこからか着信音のような音が鳴った。

オズボーン:「どうした?」
オズボーンは、ソファーについているボタンを押すと、ホログラムが出てきた。

そのホログラムには、クラークが映っていた。



クラーク:『申し訳ございません、社長。ネズミを取り逃がしてしまいました』
クラークは地下通路の監視カメラの映像を見せる。


映像には、男性4人と共に行動するライナー・リッグが映っていた。


クラーク:『一緒にいるのは大会に出場していたフロンティア関係者のラリー・ドーソンです。他3名もフロンティアの関係者になります』

オズボーンが見ているホログラムを離れた場所から覗く名人。

名人:『あいつら…』
サングラス越しから名人の目が少し見える。



オズボーン:「計画に気付かれたか?」

クラーク:『元副社長がいるので、おそらく。すでに吸収装置本体が置いてある部屋のすぐそばに来ています』


オズボーン:「目障りだな。今すぐ消せ」
オズボーンがそういうと、クラークは一礼し、通信を切った。

オズボーン:「この部屋と、会場との間はガラス張りだ。暴れられては、迷惑になる。大人しくしてもらうぞ」
オズボーンが言っていることが言われなくても理解している。

オズボーンの目の前にはガラス1枚を通して会場内が見えている。

こんなところで暴れたら、向こうから丸見えだ。

今は、黙って待つしかない。


名人:『無事でいてくれ、みんな』
名人は、心の中でそう呟いた。










その頃、ラリーたちは目的との部屋のすぐ側まで来ていた。



ライナー:「この部屋だ。この部屋の中に、吸収装置の本体があるはずだ」

ナーヴ:「みんな、油断するなよ」

タカ:「あぁ」

ラリー:「わかっているよ」
緊張感が走る中、ブリッツはドアノブに触れる。


ブリッツ:「それじゃあ、行くぞ」
ブリッツは思い切って扉を開けた。


薄暗い部屋。

しかし、部屋の中心にあるカプセルのようなものが、少しだけ部屋全体を照らしていた。



ラリーたちは恐る恐る中へ入る。


ラリー:「こ、これは…!」
ラリーは3つのカプセルの中にあるそれぞれのカードを確認した。


ラリー:「”ダーク・ヘルケイター”、”魔界のデューザ・サイボーグ”、”邪眼の魔剣ザビ・キラー”」
全て大会の中で使われていたカードだ。


特にダーク・ヘルケイターのカードは、所持して者のターミナルペットから消えていることをラリーは確認している。



ブリッツ:「これが吸収装置か」

ライナー:「吸収値がMAXを示している。早く止めないと、手遅れになってしまう」
カプセルの側に置いてある電子版には100%と表示されている。早く手を打たなくては!



ナーヴ:「吸収装置を止めることができるか、ライナーさん?」

ライナー:「やってみよう。装置の資料にも目は通している」
そう発言するライナー。



すると、そのとき!



???:「困りますね、副社長どの」
どこからか聞こえる男性の声。

カプセルの背後から、声の主と思われる人が現れた。



ライナー:「お前はクラーク!クラーク・トイマン!」
男性の顔を確認したライナーが現れた男性の名前を言う。


ラリー:「誰?あの人?」


ライナー:「クラーク・トイマン。オズボーンの秘書だ。オズボーンの暗躍にも携わっているはずだ」



不気味な笑みを見せるクラーク。


装置を死守するため、クラークがラリーたちの前に立ちふさがる!!!









第7ED『Last Moment《SPYAIR》』








次回予告

ナレーション:ラリーたちの前に現れたクラーク・トイマン。

パンドラの箱計画の要である吸収装置を死守するべく、その刃をラリーたちに向ける!

一方、大会決勝も遂に大詰めを迎えていた!

果たして、勝利を手にするのは一星なのか、クレイヴンなのか―!

激戦の中、頂点に立つ最強の選手が決まる!!


一星:次回、遊戯王5DXAL「サイドオーバーを超えて!決勝戦、遂に決着!」


一星:「わかる。わかるぞ。お前たちの気持ちが!」
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