第110話:『3対3の決勝戦!裏で捕えられた男!』
決勝戦が始まった丁度その頃、ラリー、ナーヴ、タカ、ブリッツは走って会場に向かっていた。
ラリー:「ああもう、決勝戦開始しちゃったよ!」
ミッションウォッチの時刻を見て、怒りのこもった口調でラリーは叫んだ。
ブリッツ:「くそ、誰かさんの所為で、まさかこんなハメに合うとはな」
ブリッツはタカを睨みつける。
ナーヴ、ラリーもタカを睨みつけた。
なぜ、ラリーたちが、決勝戦が始まったというのに、ここにいるのかと言うと、その原因を作ったのタカだからだ。
タカが寝坊し、他の3人は待つハメになってしまったのだ。
タカ:「わ、悪かったよ。てか、俺のことなんていいから先に行けばよかったじゃねえか」
ナーヴ:「そうさせなかったのが、お前だろ!」
ナーヴはタカに怒りのツッコミを入れる。
ナーヴ:「俺達がお前を起こしに行って、全然目が覚める気配がないから放って行こうと思ったら、お前の寝相の悪さが俺たちを襲ったんだろう」
ナーヴが言うには、こうだ。
いつもの時間に目覚ましは鳴ったが、タカは前日にお酒を体内に入れると次の日はやたらと起きるのが襲う。
昨日は、一星の決勝戦進出の祝いを兼ねて、ラリーたちはビールを飲んだ。いや、このときに止めておけばよかったのだ。次の日、タカの悪い癖が出るのは、みんな知っていたのだから。だがお酒には敵わない大人たちなのだ、俺たちは。
話しを戻すが、目覚ましが鳴って起きなかったので、ナーヴとブリッツ、ラリーはタカを必死に起こした。
しかし、寝相の悪さゆえに、腕を掴まれたり、いきなり転がり込み、ラリーが押しつぶされたりしたのだ。
自分の寝相の悪さに返す言葉もない。
そして、4人は会場についた。
しかし―
ラリー:「あー、やっぱり」
ラリーは残念そうに肩を下ろす。
いつもの会場入り口の周りに沢山の人だかりが出来ていた。
決勝戦だから生で見たいという人が続出したのだ。
そのため、既に会場内はいっぱいで、入り口の近くにいる人々は、会場内に入ることができず、近くの巨大ディスプレイで、バトルの映像を見ていた。
ナーヴ:「ラリーの言う通りだったな」
ブリッツ:「これじゃあ、中に入るのは難しいな」
タカ:「悪い、俺の所為で…」
がっかりするラリーたちを見て、責任を感じてしまうタカ。
ナーヴ:「もういいって。こう言うこともある」
ブリッツ:「俺たちも外で一星の応援するか」
タカを慰めるナーヴ。一星の応援を外でやろうと発言したブリッツ。
そんな中、ラリーは関係者専用の入り口から入ろうとするトラックを見つけた。
もしかしたら、あそこからなら…。
ラリーは心の中でそう呟いた。
第7OP『二つの未来《黒田倫弘》』
第110話:『3対3の決勝戦!裏で捕えられた男!』
遂に始まった決勝戦。一星VSクレイヴン
両者は、相手モンスターを見つけるため、月面の上を飛んで移動していた。
一星:「敵の姿なし。向こうも、ジャンク・ヴィクトリーを見つけ出すために移動していると思うが…」
敵モンスターが全然確認できない。
それは、ヨルムンガンド・マグライオンを使用するクレイヴンも同様だった。
クレイヴン:「お互い、離れた場所にモンスターを召喚されたみたいだな。制限時間は30分だが、もう5分が持ってかれたか」
クレイヴンは、近くに表示されているタイマーを見てそう呟く。
制限時間:残り25分を切った。
ハラルド:「静かだな」
鬼柳:「ああ、いつものデュエルバトルとは出方が違う…」
シェリー:「前兆ってやつね」
エマリー:「前兆?」
ミゾグチ:「何かが起こる前の知らせと言うべきものです」
つまり、これから何かが起きるのだ。デュエルバトルで、そして、この会場で…。
特別席からバトルを見るオズボーンがフッと笑う。
秘書であるクラークは席を外していた。
デュエルバトル時間、残り24分を切った。
MC:「バトルが始まってから、6分が経過した。両者、敵を見つけるのに手間取っているようだ」
MCが実況する。
一星:「このまま制限時間を削られるのはまずいな」
一星はそう呟く。
クレイヴン:「こうなったら、やるしかないな」
クレイヴンも、制限時間を気にしていたようで、何か動きを見せる。
静かなフィールドいや、会場内に緊張感が走る。
敵を捜すジャンク・ヴィクトリーの目の前が一瞬ピカッと光る。
その光を一星は見逃していなかった。
クレイヴン:「さあ、躱して見ろ!”ヘル・フィアンマ・ボンテージ”!!」
ヨルムンガンド・マグライオンは、キャノン砲を手に取り、そこから炎のビームを目の前に見えたジャンク・ヴィクトリーに向けて放った。
一星:「遂に、見つけた」
一星はそう呟き、ジャンク・ヴィクトリーはヨルムンガンド・マグライオンが放った炎のビームを躱す。
クレイヴン:「今のはご挨拶だ!次のはデカいぞ!」
キャノン砲に炎を溜めて、さっきより巨大な炎のビームを放った。
一星:「サポートカード!”ジャンク・アブソーブシールド”!!」
大会初使用のカード。ジャンク・ヴィクトリーは、シールドを手に取り、炎のビームを受ける準備をする。
一星:「シールド展開!」
シールドの真ん中が展開し、炎のビームを受け止める。
いや、よく見ると炎のビームを受け止めているのではなく―。
クレイヴン:「炎を吸収している…!」
これがジャンク・アブソーブシールドの能力だ。敵の攻撃を吸収し、ダメージを無効にする。
だが、それだけじゃない。
一星:「サポートカード!”ジャンク・エレメント・ブレード”!」
ジャンク・ヴィクトリーの手に、大剣が握られた。
そして、ジャンク・アブソーブシールドの真ん中が再び展開され、さっき吸収したエネルギーをジャンク・エレメント・ブレードに与え、刀身に炎が灯される。
クレイヴン:「面白い…。面白いぞ!」
クレイヴンはサポートカード”レオーネ・ファイアソード”を使い、ヨルムンガンド・マグライオンは、炎が灯された刀身の剣を手に取り、ジャンク・ヴィクトリーに仕掛ける。
ジャンク・ヴィクトリーもヨルムンガンド・マグライオンに急接近する。
一星:「うおおおおお!」
クレイヴン:「でああああああ!」
2人の物凄い気迫。その気迫は両者のモンスターが持つ剣に込められている。
そして、2体が持つ剣がぶつかりあった。
一星:「あの時の決着を付けよう、クレイヴン・エレクトロ!」
クレイヴン:「いいだろう!不動一星!この大会を出て、俺と戦った奴らは全然話にならなくて退屈してたんだ。お前なら、俺を本気にさせてくれる!」
楽しそうに笑うクレイヴン。
バトルを楽しんでいるのだ。
MC:「遂に、両者のモンスターがぶつかった!ようやくデュエルバトルらしくなってきたぞ!!」
ぶつかりあったモンスターを見て、興奮するMC。
ドラガン:「ようやくバトルの始まりだな」
天兵:「いけえ!一星!」
牛尾:「負けんじゃねえぞ!」
一星を全力で応援するみんな。
クレイヴン:「俺を本気にさせたんだ。それなりの覚悟の準備はできているんだろうな!」
一星に向けて、クレイヴンはそう言った。
すると、次の瞬間、ジャンク・ヴィクトリーの背後にいきなりモンスターが姿を現した。
一星:「!」
狼をモチーフにした鎧、ヨルムンガンド・マグライオンと同様に獅子に兜をかぶるモンスター。
クレイヴン:「”フェンリル・マグニオン”、奴の動きを止めろ!」
既に背中に背負っていた剣を抜き、ジャンク・ヴィクトリーに仕掛ける。
一星:『ジャンク・ヴィクトリーと接触する前に、出していたか』
フェンリル・マグニオンがジャンク・ヴィクトリーに斬りかかろうとする。
一星:「覚悟の準備は、とうの昔にできている!」
一星はそう叫ぶと同時に、フェンリル・マグニオンの動きを何者かが止めた。
クレイヴン:「フッ、いい準備をしてるじゃねえか。お前もモンスターを出していたか」
フェンリル・マグニオンの動きを止めたモンスター”ニトロ・サイクロン”を見て、言葉を口にする。
ニトロ・サイクロンはフェンリル・マグニオンを蹴り飛ばし、ジャンク・ヴィクトリーから遠ざけた。
クレイヴン:「1回だけで油断するなよ!」
ジャンク・ヴィクトリーの頭上に突如現れた、3体目のモンスター。
馬をモチーフにした鎧を身に纏い、他の2体同様、獅子の兜をかぶるモンスター”スレイプニル・マグニオン”。基本武装であるかぎ爪タイプの武器で、ジャンク・ヴィクトリーに攻撃を仕掛ける。
一星:「今だ!”ターボ・ボンファイア”!!」
炎が燃え上がる模様がついた鎧を身に纏うターボ・ボンファイアがスレイプニル・マグニオンの攻撃を受け止める。
クレイヴン:「やるな。お前もモンスターを2体出していたか」
ジャンク・ヴィクトリーとヨルムンガンド・マグライオンが一旦、後ろに下がる。
一星:「決勝戦のために与えられた特別ルールだからな。ここまでしないとバトルが盛り上がらないと思って、仕込んだまでだ!」
一星の3体のモンスターが行動を開始する。
クレイヴン:「同様の意見だ。俺達、どうやら似た者同士だったようだな!」
クレイヴンが操る3体のモンスターも動きを開始する。
その頃、ラリーたち4人は…。
ブリッツ:「おいおい、本当に大丈夫なのか?」
少し恐れながら、ブリッツは問いかける。
ラリー:「大丈夫だって。うまくいけば、会場の中に入れるかも」
ラリーたちは会場関係者および大会関係者の入り口から建物内に入ったのだ。
もしかしたら、バトルしている場所まで行けるかもしれないとラリーが提案した。
現在地はおそらく地下だろう。
前に進む中で、沢山の扉が現れ、1個ずつ扉を開けて、中を確認し、上に上がれる場所を探した。
しばらくすると、背後から台車を押すような物音がした。
ナーヴ:「隠れろ。誰か来た」
ナーヴは物音に咄嗟に気づき、みんなに指示する。
ラリーたちはナーヴの言う通りに隠れ、誰が来たかを確認する。
3人の人影。うち2人は台車を押していた。台車の上には随分大きな箱が乗っかっていた。
その3人を追うラリーたち。
しばらくして、台車を押す2人とそれについて行く1人の男性はとある部屋を入った。
男性たちが入った部屋の扉は随分見えずらい場所にあった。
男性A:「ここが所定の場所だな。おい、荷物を下ろすぞ」
1人の男性がそういうと、3人がかりで箱を持ち上げて、それを部屋の中に置く。
男性B:「随分、重いな。一体、何が入っているんだ?」
男性A:「さあな、ノルマンディーカンパニー向けの荷物だ。大会が終わった後にでもパーティでも開くんじゃないのか?」
男性C:「おい、そろそろ行くぞ。ノルマンディーカンパニーの人からサインももらってるし、俺たちは次の仕事に行かないと」
男性B:「そうだな」
男性Bは箱を下ろし、随分楽になった台車を転がす。
そして、3人は部屋を出て、扉を閉める。
3人が立ち去ったことを確認し、ラリーたちは扉の前に立つ。
ナーヴ:「随分、見えずらい場所にあるな、この扉」
ドアノブに触れて、ナーヴは扉を開ける。
少しだけ明りがついていた、その部屋は、暗さの所為か不気味に感じた。
いや暗さだけじゃない。先ほどの3人が持ってきた箱が部屋のど真ん中に置かれている。
9畳ほどの広さのある部屋に大きな箱が1個だけ置いてあるのも不思議な感じだ。
タカ:「なんか、入り口っぽい場所あったか?」
壁に触りながら、タカは他の3人に聞いた。
ブリッツ:「いや、ねえな」
ナーヴ:「こっちもだ。どうやら、また外れのようだな。とっとと出るか」
ナーヴは、みんなと一緒に部屋を出ようとする。
しかし、ラリーが部屋の真ん中に置いてある箱に耳を当てていた。
ナーヴ:「どうした?ラリー」
ラリー:「この箱、何か不気味だ」
ブリッツ:「そりゃあ、広い部屋に、明かりが少しついていないからな」
ラリー:「いや、そうじゃなくて、この箱から、何か聞こえるんだ」
ラリーは少し驚いた表情で、右足を一歩下げる。
タカ:「ええ?」
タカも箱に耳を澄ませる。
ラリーの言う通り、何かが聞こえる。
タカ:「なんだ?この音?」
タカも箱の中から聞こえる音を聞いて不思議がる。
すると、ラリーがカッターナイフを手元に出す。
ブリッツ:「おいおい、ノルマンディーカンパニー宛の手紙だぞ。勝手に開けたりしたら」
ブリッツは止めようとするがラリーはブリッツの言葉を無視し、箱の蓋を開けて中身を確認する。
ラリー:「!!?」
ラリーは驚愕した。
身体が硬直する。
ナーヴ:「どうした?ラリー」
ナーヴも箱の中を確認する。
ナーヴ:「こ、これは…!」
ラリーと同じくナーヴも驚いた。
人だ。箱の中に入っていたのは人だったのだ。
両方の手足を鎖のようなもので縛られ、口元は喋れないように布で塞がれている。
白髪で60代ぐらいの男性は気絶して箱の中に入れられていたのだ。
ナーヴ:「と、とりあえず、中から出そう」
ナーヴの意見にみんなが賛成し、協力して男性を箱の中から出した。
数分後
ラリーたちは箱の中から男性を出した。
手足を拘束していた鎖を取り、口を塞いでいた布も取った。
タカ:「息はあるか?」
生存確認をするナーヴ。
ナーヴ:「大丈夫だ。息はある」
ナーヴの一言で、みんなが一安心したかのように息を吐く。
ラリー:「けど、どうして、この人、箱の中に入っていたんだろう?手足を縛られていたってことは、誰かに入れられたってことだよね」
タカ:「訳アリみたいだな」
気絶する男性を見て、ラリーたちは話す。
すると、男性の身体が少し動き、ゆっくりと目を開いた。
それに気づいたラリーたち。
ブリッツ:「爺さん、大丈夫か?」
ブリッツが目を覚ました男性に問いかける。
ライナー:「ここは…」
男性の記憶はうろ覚えだった。
なぜ、今まで寝ていたんだ。落ち着いて記憶をたどる。
オズボーンの計画を見つけてしまい…。
オズボーンに見つかってしまい。
監禁され…。
その後、無理矢理、薬を飲まされ、そこから…はっ!
何もかも思い出した。
ライナー:「オズボーンを止めないと!」
いきなり起き上がる男性。身体がふらついている。
それを止めようとするラリーたち。
ラリー:「身体がふらついてるじゃないか。無理しないでください」
ラリーが男性に近づこうとする。
ライナー:「君たちには関係ない!私はオズボーンの暗躍を止めなくてはいけないんだ!」
ナーヴ:「オズボーンの暗躍?」
タカ:「わけわからないこと言ってないで、すぐに病院に行かないと―」
ライナー:「君たちには関係ないと言ったはずだ!いや、それともお前たち、オズボーンの手先か何かか?あいつに私の見張りを任されたんだろう」
ブリッツ:「興奮しているのか、この人の言っている意味が分からないぞ」
さっきから言っていることが無茶苦茶で、ラリーたちは理解できなかった。
しかし、ナーヴだけは、男性を落ち着かせようと前に出る。
ライナー:「オズボーンの計画を壊さないと、大変なことになるんだ!早く、オズボーンの元―」
興奮する男性の口をナーヴが手で押さえる。
ナーヴ:「わかったから落ち着け。俺たちは、大組織フロンティアに所属する者だ。この会場で行われているデュエルバトルカーニバル選手権の決勝戦を見ようと、ここに来たら偶々、あんたが入っていた箱を見つけて、ここにいる。オズボーンの手下でも何でもない。いいな?」
ナーヴがそういうと、男性は首を縦に振り頷いた。
ナーヴは男性の口元から手を離す。
ナーヴ:「教えてくれ。あなたは何者で、何で箱の中にいた。それにオズボーンの暗躍とはなんだ?」
ナーヴは気になることを3つ並べて男性に聞いた。
心が落ち着き、口を開く男性。
ライナー:「先ほどはすまなかった。私はノルマンディーカンパニー元副社長ライナー・リッグだ」
タカ:「ノルマンディーカンパニー元副社長?」
ブリッツ:「副社長である、あなたがどうして、ダンボールの中に縛られて入っていたんだ?」
ブリッツがそう問いかけると、ライナーは目を瞑って、事の整理をする。
ライナー:「第5回デュエルバトルカーニバル選手権を利用した計画を知り、私はオズボーンに拘束され監禁されていました」
ナーヴ:「オズボーンの暗躍、大会を利用した計画、あの男は何か飛んでもないことをしでかそうとしているのか?」
ライナー:「えぇ、私は大会が開かれる1か月ほど前、オズボーンが管理する資料室を偶々見つけてしまい、その中である計画の資料を見つけてしまった。それが、”パンドラの箱計画”」
ライナーの口から語られる計画。
ブリッツ:「なんだよ?そのパンドラの箱計画って」
ブリッツが不思議そうに聞く。
ライナー:「資料の内容はこう書かれていた。パンドラの箱を復活させるために必要な3枚のカードに、デュエリストのエナジーを与えることで、パンドラの箱は復活する。そのパンドラの箱は、時空を超え、過去に戻りタイムパラドックスを起こすことで、未来を自由に可変することができると…」
ライナーが資料に書かれていたことを、そのまま話す。
ラリー:「未来を変える力。それがパンドラの箱…」
ライナー:「この計画を第5回デュエルバトルカーニバル選手権で実行すると知った、私はすぐにオズボーンの元へ話しを聞こうと向かおうとしたが、監視カメラか何かがあったのだろう。逆にオズボーンに見つかってしまい、そのまま監禁されていたんだ」
ブリッツ:「大会の裏で、そんなことがあったのかよ…」
真実を知ったブリッツが少し驚いた口調で言う。
ラリー:『もしかして…』
ラリーは一星の予選最終バトルであった出来事を思い出す。
ラリー:「さっき、パンドラの箱の復活に必要な3枚のカードがあるって言ってたな。もしかして、その中に”ダーク・ヘルケイター”ってカードはなかったか?」
ダーク・ヘルケイター。予選最終バトルで一星が戦った相手セーブル・シックが持っていたカードだ。
あのとき、セーブルは一星に敗北後、記憶を一部失い、カードはどこかへ消えた。
ライナー:「ええ、”ダーク・ヘルケイター”、”魔界のデューザ・サイボーグ”、”邪眼の魔剣ザビ・キラー”。この3枚のカードがパンドラの箱復活に必要なカードだ」
ラリー:「やっぱり。それに、他の2枚も大会の中で使われている。しかも、使用者2人は、バトルに敗北後、意識を失い、今も目を覚ますことはないと聞いている」
魔界のデューザ・サイボーグを使ったアリスター・イドロ、邪眼の魔剣ザビ・キラーを使ったクリブ・パラサイトは、今も病院で意識不明の重体と言う話しを一星から聞いている。
ラリー:『2人が目を覚まさないのは、限界までデュエルエナジーを吸い取られた所為だからか…』
何となくそう予想したラリー。
ライナー:「デュエルエナジーをカードに吸収する方法は2つある。1つはカードを所持していたものから、エナジーを吸い取る方法。それともう一つがデュエルバトルフィールドシステムに吸収装置を取り付け、微量のエナジーを吸収し、カードに分け与える方法」
ナーヴ:「デュエルバトルフィールドシステムに吸収装置を取り付けるって、実際にやっていないからわからないが、大掛かりな仕事になるんじゃないのか?」
ライナー:「システムに吸収装置を取り付けていたのは、おそらく、決勝トーナメントが開かれる、この会場だけだろう。人ひとりの吸収するエナジーの量も変わるものだ。だが、強い者こそが多くのエナジーを装置に吸収される。オズボーンのことだ。今、行われている決勝戦では、もしかしたら、普段よりも高い数値で、エナジーを吸収しているかもしれない」
タカ:「デュエルエナジーは、人間の体力と同じ。吸い取り過ぎたら、本人は…」
ナーヴ:「下手したら、死に至る可能性もある」
ブリッツ:「何…!?」
ナーヴ:「それが、大会の真実だったって言うのか!」
ラリー:「それに気付けず、俺たちはオズボーンの掌の上で踊らされていたのか…!」
オズボーンの裏の顔を知ったラリーたちは悔しがる。
ブリッツ:「大会を止めようぜ。でないと、一星が危ないぞ」
ナーヴ:「わかっている。だが、全世界で中継されているんだ。簡単に止められるものじゃない」
ラリー:「だったら、吸収装置がある場所を見つけて、破壊すればいいじゃない・それさえ壊せば、パンドラの箱は復活しない!」
ナーヴ:「だが、その吸収装置がある場所がわかない。オズボーンのことだ。この会場に置いているかもしれないが、簡単に見つかる場所には置いていないだろう」
ナーヴがそう言うと、ライナーが立ち上がる。
ライナー:「それなら、心配ない」
ライナーは靴の中から端末のようなものを出した。
ライナー:「私が、ここに来たのは好都合だ」
ライナーは地図のようなものをラリーたちに見せる。
ナーヴ:「それは、会場の内部図」
ライナー:「資料室を見つけてあのとき、オズボーンに見つかる少し前に、資料室にあった大会が開かれる会場の内部図を見つけたんだ。残しておいてよかった」
ラリー:「図を見せて」
ラリーは、ライナーが見せた図を見る。
タカ:「俺たちがいるのは、地下のこの辺だ」
タカは自分たちがいる場所であろうところを指さした。
そして、その内部図には怪しい印が刻まれていた。
ナーヴ:「さっき言っていた吸収装置がある場所、それは、この印の場所かもな」
現在地の場所からすぐに行ける場所ではない。
だが、行けない場所ではない。
ラリー:「行こう。オズボーンの暗躍を阻止するために」
ラリーがそう言うと、ナーヴたちは頷いた。
ライナー:「いいのか?君たちには関係―」
ラリー:「関係なくない」
ライナー:「?」
ラリー:「俺たちは大組織フロンティアのSOA特務隊のメンバー。人が困ってたら、助けるのが当たり前だよ」
ラリーがミッションウォッチを身につけて、そう言った。
ナーヴ:「ライナーさん、協力してください。あなたの力も必要です」
ライナー:「私にできることがあるのであれば、協力します」
ラリー:「急ごう。手遅れになる前に」
ラリーたちが動く。
パンドラの箱復活を阻止するために!!!
第7ED『Last Moment《SPYAIR》』
次回予告
ナレーション:デュエルバトルカーニバル選手権決勝戦が繰り広げている中、ラリーたちはオズボーンの暗躍を止めるべく、吸収装置本体がある場所まで向かう。
一方で、あの男がオズボーンの前に現れる。
更に、内密で動いていた、彼女も行動を開始し、戦いに挑む。
パンドラの箱の復活を阻止することができるのか…!?
由加:次回、遊戯王5DXAL「復活の阻止!パンドラの箱」
由加:「あなたたち、誰に刃を向けているのか分からせてあげる!」
遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!
ナーヴ:「デュエルバトルのフィールドを作るのが、デュエルバトルフィールドシステムと呼ばれるもので、このシステムから放出される遊星粒子が様々なフィールドを構築するぞ。そして、ターミナルペットをセットし、モンスターを呼び出すことでバトル開始だ!」