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第101話:『決勝バトルロイヤル!進化したジャンク・ヴィクトリー』






遊馬の元、第2の修行を開始した小鳥たち。


属性波動をコントロールするため、みんな必死だった。



Ⅳ:「ふん!」
黒い大鎌のギミックパペット-ナイトジョーカーのデュエルギア”ギミックナイト・イーター”に、闇属性の波動を流し込み、横に思いっきり振る。

黒い斬撃がギミックナイト・イーターから飛んだが、すぐに消えた。


Ⅳ:「チッ、また消えちまった」
舌打ちをするⅣ。


近くでは、ベクターが属性の波動のコントロールの修行をしていた。


ベクター:「うりゃあ!」
アンブラル・グールの大鎌タイプのデュエルギア”アンブラル・ファルチェ”に、炎属性の波動を流し込んだ状態で、思いっきり振り、赤い斬撃が放たれたが、放った先にある岩にぶつかった瞬間、その場で斬撃は消えた。

岩に傷は一つもなかった。


ベクター:「くそっ、うまくいかねえものだなぁ」
悔しがるベクター。


そこに遊馬が現れた。


遊馬:「どうだぁ?順調か?」
2人に問いかける遊馬。

ベクター:「順調なわけないだろう!」
遊馬の問いに即答するベクター。

何かイライラしているようだ。

遊馬:「だろうな。この修行は、最初の修行と違って、そう簡単にうまくもんじゃねえからな。己の波動のコントロール、そして、己のイメージでどのように波動を使いこなすのか、この二つが重要だからな」
修行の目的2点を説明する遊馬に対し、Ⅳが話しを吹きかけてきた。


Ⅳ:「お前も、属性波動の修行をした時は、かなりの時間を費やしたのか?」
俺たちが知らない内に、遊馬はずっと戦っていたんだ。修行期間は、相当長いはずだと思ったⅣが質問した。


遊馬:「約1年だ。属性波動、いやデュエルエナジーを完全に使いこなすために修行したのは1年ぐらいは費やしたさ。同時は、まだデュエルエナジーについて、世間にあまり広がっていないときの話しだ。会得するのには、相当時間を使っちまったよ」
遊馬は、それを言って。この場を離れようとする。

遊馬:「本当に詰まっちまったときは、声かけてくれ」
それだけを言い残し、遊馬は、2人の前から消えた。



ベクター:「己のイメージでどのように波動を使いこなすかか。簡単に言ってくれるが、実際やってみると、難しいものだぜ」

Ⅳ:「だが、遊馬にできたんだ。俺たちにもできるはずだ」

ベクター:「お前、そんな熱血男子だったか?」
Ⅳを見ていると、何にでもやる気を出す少年に見えた。


Ⅳ:「バカにしているのか?」

ベクター:「そういうわけじゃねえよ。ただ、珍しくお前と同じ気持ちだったから、言っただけだ」
小ばかにしたような笑みを見せて、ベクターもその場から離れ、別の場所で修行を再開しようとする。


Ⅳ:「棘のある言い方だな」
Ⅳも少しだけ笑みを見せ、修行を再開する。








第6OP『ハートウェーブ《福圓美里》』








第101話:『決勝バトルロイヤル!進化したジャンク・ヴィクトリー』







ベクターやⅣが修行に集中していた、その頃、小鳥も修行に没頭していた。



フェアリー・アーチェリーから風の波動を纏った矢を放つ。


しかし、矢は放った瞬間に消えた。


小鳥:『ダメだわ…。光の矢を作って、ただ風属性の波動を流し込んで放とうしたら、継続時間が短いし、かと言って風属性の波動を流し込むのに集中しすぎたら、しっかりした光の矢を作ることができず、その場で消えちゃう』
小鳥はフェアリー・アーチェリーを見つめる。


小鳥:『光の矢を生成するのと、風属性の波動をコントロールを同時にできるようにしないと、この武器は使えないわ。一体、どうすれば』
修行に行き詰ってしまう小鳥。


遊馬から難しいって話は聞いていたけど、やっぱりやってみると、その気持ちがわかる。







だが、小鳥の修行は誰よりも難しいことを、あいつはわかっていた。



遊馬:「やっぱり、行き詰っちまったか」


小鳥:「遊馬」
様子見をしに来たのだろう。小鳥はそう思った。

しかし、彼の口から「やっぱり」と言う言葉が出た。つまり、遊馬は、最初から私がこうなることを予想していたのだろうか。


遊馬:「お前の弓のデュエルギアは矢を生成することで、力が使えるからな。その光の矢に属性波動を流し込むのは辛いだろう」
当たりだ。遊馬には、私の辛さが分かっていた。


小鳥:「ねぇ」

遊馬:「ん?」

小鳥:「第2の修行始まったばっかしで、すごく聞きづらいんだけ、どうやったらうまくできるの?」

遊馬:「どうやったら、うまくできるか、か」


小鳥:「私は、もっと強くなりたい。そのためには、この属性波動をうまく使いこなしたいの」
真剣な目で、小鳥は遊馬に語り掛ける。


本気の目。遊馬には、小鳥の強い気持ちが伝わった。


遊馬:「最初の修行が始まる直前、俺がデュエルエナジーについて話したことは覚えているよな」


小鳥:「え、えぇ」

遊馬:「デュエルエナジーには、大きく分けて二つある。6つの属性の波動、そして、デュエルギアを出すための、アルマと呼ばれるデュエルエナジーがな」
遊馬の話しを真剣に聞く小鳥。


遊馬:「普通、お前が使う弓やチャーリーが使う銃のような飛び道具タイプのデュエルギアは、デュエルギアを手元に出してから、属性の波動を流し込むことで、弾や矢など射出するモノに波動の力が流れ込む。しかし、お前の場合は、その矢を放とうするときに手元で生成しなくちゃいけないから、属性波動のコントロールも難しくなるわけだが、お前、どうやって矢に属性波動を流し込もうとしている?」

小鳥:「え?それは、矢を作ってから、属性波動を矢に流し込んでいるけど…」

遊馬:「はあ、やっぱりか」

小鳥:「な、なによ」
何か小ばかにされた気分。そう思った小鳥は恥ずかしくて、頬を赤くする。


遊馬:「いや、ドルべと同じ答えだったからさ」

小鳥:「え?」

遊馬:「ドルべのホーリー・ライトニング・カトラリーアローもお前と同じような武器だろ」

ドルべのデュエルギアは光天使ソードの”ホーリー・ライトニング・カトラリーアロー”と呼ばれる弓タイプ。

自分と同じ形の武器だ。光の矢を生成して放つのも同じだ。


遊馬:「ドルべと同じことを言うけど、その考えが間違いだ。矢を作ってから、波動を流し込むのは、初心者には難しいことなんだ。物凄く手が器用で、戦いの経験を積み重ねていかねえとできないんだよ」

小鳥:「そ、それじゃあ、どうすれば…」


遊馬:「同時にやるんだ」

小鳥:「同時に…?」


遊馬:「矢を生成するときは、デュエルギアを出す時と同じで、デュエルエナジーのアルマをコントロールすることで出すことができる。そのアルマを使って矢を生成するのと同時に属性波動を流し込む。これが基本だ」
どうして思いつかなかったんだろう…。アルマと属性波動を同時にコントロールするという発想に、小鳥も気づいた。


遊馬:「だが、こっちも会得するのは大変だ。アルマをコントロールしながら属性波動も同時にコントロールするんだからな。下手にデュエルエナジーを流し込み過ぎれば、デュエルギアや、それから放った矢とかが所持者から受け取った力に耐え切れず爆発する可能性があるからな」

小鳥:「結局、経験ってことね」



遊馬:「そういうことだ」


小鳥:「でもわかったわ。少しは道が開けたかもしれない。ありがとう、遊馬」
色々教えてくれた遊馬にお礼を言う小鳥。


遊馬に背を見せ、修行に集中する。


その姿を見て、一安心した遊馬は、この場を後にした。





遊馬がしばらく歩いている羅夢と遭遇した。


羅夢:「どうだい?みんなの様子は?」

遊馬:「行き詰っている奴もいれば、自分の考えのままに動く奴もいる感じだよ」

羅夢:「そうか。それよりも、遊馬。君の耳に入れておきたいことがあるんだ」

遊馬:「なんだ?」
羅夢は、遊馬に伝えたいことを全て話した。



………………………………………


遊馬:「そいつは確か…」


羅夢:「ワックスポワロ事件で関わっている奴だ。少し前に釈放されたらしいんだが、その後の行方が分からないみたいなんだ」


遊馬:「フロンティア上層部は、そいつを追っているのか?」

羅夢:「そうしようとしているみたいだ。なんせ、あの男と一緒にいた男なら、バリアンについての手掛かりが手に入るんじゃないかという考えらしい。キミも任務のメンバーリストに入っていたよ」

遊馬:「第2の修行が始まったって言うのに、いきなり外に出なきゃいけないのかよ」

羅夢:「元帥の話しじゃ、強制はしないって言ってたが…」

遊馬:「いいさ。出られる時に出て、任務は遂行するさ」
少し笑って、遊馬は言った。







一方、その頃、一星の方は…。




フィールド内にジャンク・ヴィクトリーがポツンと立っていた。


周りにはバトルでできた傷痕が沢山あった。


デュエルバトルフィールドシステムの電源が落ちた。

一星はターミナルペットを手に取る。


一星:『ジャンク・ヴィクトリーの進化した姿…。これをバトルでどう使っていくのかはイメージできた。後はサイドオーバーの方だ。発動するためのコツが掴めない』
近くの椅子に座った一星。

ふーと息を吹いた。


一星:『モンスターとの絆が高ければ、サイドオーバーは発動する。だが、これを発動するための条件が見えない。どうすれば…』
チャンピオン・名人から教えてもらったサイドオーバーと呼ばれる現象。これについて考える一星。

何をどうすれば、この現象を発動することができるのか。

その答えが全然見つからなかった。


すると、一星の頬に誰かが冷たい物を頬に当ててきた。

龍可:「お疲れのようね」

一星:「龍可さん」
一星の頬に冷たい水が入ったペットボトルを頬に当てたのは、龍可だった。

龍可:「何悩んでいるの?」
一星に水を渡し、隣に座る龍可。


一星:「……」


龍可:「私でよかったら、相談に乗るわよ」
龍可は一星の力になりたいのだ。

一星は龍可に質問をぶつけた。


一星:「龍可さんは、小さい頃からデュエルモンスターズの精霊が見えるって言ってましたよね」

龍可:「え、えぇ」
予想外の質問に一瞬戸惑ってしまう龍可。


一星:「龍可さんは精霊の気持ちって伝わるんですか?」

龍可:「んー、そうね」
質問に悩む龍可。

龍可:「目を見れば伝わってくるわね、精霊たちの気持ちが」

一星:「目?」

龍可:「えぇ、エンシェントフェアリーや、レグルスは喋れるから口でちゃんと言ってくれるけど、クリボンは喋れないから、言葉じゃ気持ちは伝えられない。でもね、目を見たら、自分が何を伝えたいのか、自分にどうしてほしいのかって言うのが自ずとわかってくるのよ。付き合いも長いしね」
龍可は精霊が見えるから、精霊たちと面を合わせて話したことが何度もあることだろう。

だから、目を見れば、精霊の気持ちがわかるはずだ。


一星:「俺にもできるのでしょうか。目を見るだけで、モンスターの気持ちがわかるようになるか」

龍可:「目を見ただけじゃ、ダメよ」

一星:「え?」

龍可:「目を見て、相手が何を伝えようとしているのか、それも少しは考えないと。自分の想像だけで、相手の気持ちをわかろうとしても失敗するだけよ」
龍可さんからもらったアドバイス。

一星はジャンク・ヴィクトリーのカードを見る。


一星:「目を見て、相手が伝えたいことを考える…」
今までのバトルを思い返す一星。

デュエルバトルのことや、ジャンク・ヴィクトリーを使ってデュエルに勝利したときのことなどを思い出す。


色々思い出すと、一星はフッと笑ってしまった。


龍可:「少しは悩みが吹っ切れた?」

一星:「はい、ありがとうございます。俺、何か分かった気がします」

龍可:「そ、よかったわ」

一星:「それじゃあ、俺は特訓の続きがあるので」
一星はデュエルバトルフィールドシステムがある場所に向かう。


龍可も椅子から立ち上がった。


龍可:『精霊の話しをしたの久しぶりだったわね』
龍可は心の中で、そう呟いた。



すると、


『クリィ』
龍可の顔の隣に、精霊クリボンが現れた。

クリボンを見て、つい笑みがこぼれた龍可であった。






数日後




一星はDホイールに乗って、デュエルバトルカーニバル選手権の会場に向かっていた。



何故なら、これから始まるのだ。

決勝バトルロイヤルが。5人同時に行われるバトル。

対戦相手も今日、発表される。

そして、このバトルで勝ったものだけが、決勝トーナメントに進出できるのだ。



一星:『今日のバトルで、特訓の成果が発揮される。どんな奴が相手だろうと、俺の目的は一つ。勝つだけだ!』
Dホイールの速度を上げて、1秒でも早く会場に向かう一星であった。




そして、数十分後、一星は無事に会場に着いた。



他の選手たちは既に会場入りしていた。


ラリー:「一星!」

一星:「ラリーさん」

ラリー:「随分、遅かったな。なんかあったのか?」

一星:「いえ、ギリギリまで特訓したかったので」

ラリー:「気合入ってるな」

一星:「ここまで来たんです。勝ちに行くのは当たりまえです」
一星の気合はラリーにものすごく伝わってきた。

クレイヴンに遭ったあのときから、一星は少し変わったようにも見えた。

ラリー:「お互い頑張ろうぜ」
いずれぶち当たる敵かもしれない。

だが、俺も一星とは戦いたい。その気持ちを胸に仕舞いながらラリーは言った。





その頃、会場にアキたちも到着した。


アキ:「なんとか間に会ったわね」
椅子に座るアキ。

クロウ:「お前がのんびりカップラーメン食ってるから、急ぐはめになっちまったじゃねえか!」
そう言ってクロウが怒った対象の人物は…。

ジャック:「俺の所為だと言うのか!」
カップラーメン大好きジャックだった。

龍亜:「あーあ、またやってるよ」

天兵:「相変わらずだね」

パティ:「けど楽しそうだけどね」
2人の会話が漫才にも見えてしまったパティがクスクス笑う。


深影:「決勝トーナメント進出が決まるバトルだけあって、観客も沢山いるわね」

牛尾:「全くですね。会場の熱気に身体が参りそうですよ」
既に少しだけ汗を掻いている牛尾が言う。



そして、突然、会場の明かりが消えた。


愛:「あ、始まるみたいよ」
愛の言う通り、すぐさま実況のMCの声が会場に響き渡る。



MC:『everybody!盛り上がっているか!』
MCがそう言うと、会場に大きな歓声が沸いた。


MC:『みんな待ち望んでいた第5回デュエルバトルカーニバル選手権決勝トーナメント!今日、ここで出場者が決まるぞー!』

何度も言うかもしれないが、このバトルに勝たなければ、決勝トーナメントに出場することはできない。

そして、出場できる確率は50%、いやそれ以下かもしれない。



ラリー:「どんな奴が来ようと、絶対勝ってやる!」
気合充分のラリー。


他の出場者たちも気合充分のようだ。



一星:『俺も今までの経験と特訓の成果で強くなっているはずだ。必ず勝つ。まずは決勝バトルロイヤル。これに勝つことだ!』
一星も心の中で燃やす闘志が顔に出る。



MC:『決勝バトルロイヤルでは5人が同時にバトルを行います。予選と違い、サポートカードは7枚でいれることが可能となり、その内モンスターカードによるサポートカードは1枚まで。バトルによる時間宣言は10分。タイムオーバーになっても決着が着かなかった場合は、一番ヒットポイントが多いものを勝ちとなります。そして、5人の中で最後まで立っていたモンスターが勝利を手にし、決勝トーナメントに出場することができます!』
MCの頭上に大きな画面が現れる。


その画面に、選手たちの顔写真が映った。



MC:「さあ!決勝バトルロイヤルに組み合わせを発表するぞ!選手たちよ!ぶつかった敵たちと熱いバトルを繰り広げてくれ!」
画面に映る選手たちの顔写真がシャッフルされ、そして5人組に分かれた。



ラリー:「俺は…、お、あった!」
ラリーは、これから対戦する4人の選手たちの顔を見る。


雑誌やテレビでは見たことない顔ばっかし。今大会初出場または今までの大会で予選落ちだろうと思われる人ばかりだった。

しかし、全員、選手たちの顔は強そうな顔をしていた。


ラリー:「どんな手で来ようと、負けるつもりはねえよ。さて、一星は…!」
一星の対戦相手4人の顔を確認するが、ラリーは口を開きっぱなしで驚いてしまった。


一星が戦う4人の相手…。


1人は、第1回デュエルバトルカーニバル選手権のベスト4、ノービル・ペトリア。

1人は、第1回デュエルバトルカーニバル選手権のベスト8、カルマ・サブザ。

1人は、第2回デュエルバトルカーニバル選手権のベスト4、ヘルダイト・バンダム。

そして、最後の1人は女性。:第4回デュエルバトルカーニバル選手権のベスト4、チムニ・エクレール。


以上、4人が一星の対戦相手だった。





ボブ:「マジかよ…!」

天兵:「うん、過去の大会で成績を残し、この大会に名を刻んだデュエリストばかりだよ」
天兵の話しを聞いたスライが、フッと笑う。

その笑いは少し小ばかにしているようにも見えた。

そんなスライは、会場に立つ一星の顔を見る。


スライ:「ん?」



牛尾:「一星の運も、ここで尽きちまったか?」

シェリー:「あら、そうかしら?」
と笑った顔でシェリーは言った。


ボマー:「どういうことだ?」
ミスティの言葉に疑問を抱いたボマーが聞くと、ミスティもクスクス笑って言った。

ミスティ:「彼の顔、見てみて」

鬼柳:「あいつ、負けるつもりはないみたいだぜ」
ミスティの言う通り、会場に立つ一星の顔を見るボマー達。


全員、強敵のはずなのに一星の顔は笑っていた。


タカ:「あいつ、笑ってやがる?」

ブリッツ:「強敵相手に笑って負けを認めたのか?」
ブリッツがそう言うと…。


ナーヴ:「んなわけないだろう。逆にやる気が出る顔だよ、あれは」
ナーヴは一星の顔を見て、そう確信した。




ジャック:「フッ」

クロウ:「今のあいつの顔、遊星にそっくりだぜ」
今の一星の顔を見て、そう思ったクロウであった。



イェーガー:「やっと時間が空いて見に来れたんです。負け試合だけは勘弁してほしいです」

矢薙:「まったくじゃわい」
今回、一星の初バトルを見るイェーガーと矢薙が言う。





MC:『さあ、対戦相手は決まった!早速第1バトルの始まりだ!選手たちは準備してくれ!!』
第1バトルを行う選手たち5人が会場の真ん中に現れたデュエルバトルフィールドシステムの前に向かう。


他の選手たちは、邪魔にならないところに向かう。

控室に向かう者もいれば、その近くで見る者たちもいた。


前大会優勝者のクレイヴンは、控室に向かっていた。


クレイヴン:『さあ、お前がどれだけ変わったのか見せてもらおうか』
控室に向かう途中に見えた一星を見て、クレイヴンは呟いた。


ちなみに一星は最後のバトルだった。




これから大いに盛り上がる会場内に立つ眼鏡をかけた怪しい男。

人差し指で眼鏡の位置を直した。



そして、そことは別の場所で一人の女性が立っていた。

???:「さて、じっくり見せてもらおうじゃない」
女性は笑ってそう言う。






バトルは次々と進んでいく。




前大会優勝者クレイヴンが出たときは、会場が物凄く盛り上がった。

バトルの結果も、クレイヴンが使用するヨルムンガンド・マグライオンが圧勝し、クレイヴンは決勝トーナメント進出を決めた。



ラリーが出たバトルロイヤル。激しいバトルを繰り広げ…。

ラリー:「これで終わりだ!」
ワンショット・ナイトが最後の敵を倒し、バトルが終了した。



MC:『ウィナー!ラリー・ドーソン!!』
ラリーが見事決勝トーナメント進出を決めた。



雑賀:「ラリーが決勝トーナメント進出の切符を手に入れたか」

氷室:「ああ、これで残るは…」
みんなも分かっている。次が、決勝バトルロイヤル最後のバトルだ。


そして、そのバトルにはあいつが出てくる。



MC:『さあ、決勝バトルロイヤルもいよいよこれが最後のバトルとなった!果たして決勝トーナメント進出の切符を手に入れるのは誰なのか!選手たち、スタンバイよろしく!』
MCの掛け声により、一星を初め5人の選手が入場する。




ボブ:「出てきたぞ!」

パティ:「一星!頑張れ!」

愛:「応援してるわよ!」
みんなが一星の応援をする。



泣いても笑っても、これですべて決まる。

決勝進出への道が…!


5人の選手たちは真剣な目で見つめ合う。


ヘルダイト:『弱そうなやつばかりだな。これは、俺の勝ちで決まりだな』
心の中で、対戦相手達を見下す第2回デュエルバトルカーニバル選手権のベスト4のヘルダイト。



MC:『決勝バトルロイヤルラストバトル!熱い心でぶつかり合い勝利を掴め!』




『field system standby』
デュエルバトルフィールドシステムが起動する。

選手たちはターミナルペットを手に取る。

『Terminal PET setup』
手に持つターミナルペットをフィールドシステムにセットする。

『Review Terminal PET』
フィールドシステムがそれぞれのターミナルペットのセットを確認した。

『yuseiParticle Spread』
遊星粒子が散布され、フィールドを構築していく。

『Stage ”Volcano”』
構築されたフィールドは火山だった。

数分に一度の確率で、火山が噴火するようになっているようだ。


『Monster Call!』
5人のモンスターたちが召喚される。

ノービル・ペトリアが使用するモンスターは”ヴァイロン・オメガ”。

カルマ・サブザが使用するモンスターは”インヴェルズ・ギラファ”。

ヘルダイト・バンダムが使用するモンスターは”ジェムナイト・ジルコニア”。

チムニ・エクレールが使用するモンスターは”ダイガスタ・エメラル”。

そして、一星が使用するモンスターはもちろん、”ジャンク・ヴィクトリー”だった。



フィールドに現れたジャンク・ヴィクトリー。その姿を前大会優勝者クレイヴンが見て、「フッ」と笑った。

クレイヴン:「この短期間で、ここまでとはな」
褒めているのか貶しているのか、微妙な言葉でクレイヴン入ったが、その表情は楽しそうな顔をしていた。



エマリー:「予選同様、ジャンク・ヴィクトリーで行くみたいね」

鬼柳:「ああ、だが、俺には分かる。あれは、予選の時のジャンク・ヴィクトリーであって、そうでない。何かが進化したジャンク・ヴィクトリー」
楽しそうに笑って鬼柳は語った。



アキ:『見せつけなさい、一星。あなたの力を。あなたの努力の成果を。世界に!』
母親のアキが心の中で呟く。

『DuelBattle START!!!』


一星:「行くぜ!ジャンク・ヴィクトリー!!」
ジャンク・ヴィクトリーが動き出す。





ヘルダイト:「まずは、お前からだ!消えろ!三流デュエリストが!!」
ヘルダイトのモンスター、ジェムナイト・ジルコニアが、ダイヤモンドのように輝く大きな拳で、ジャンク・ヴィクトリーに攻撃を仕掛けた。


一星:「プレス・ダイバスター!」
ジャンク・ヴィクトリー専用の大剣、プレス・ダイバスターをジャンク・ヴィクトリーが持ち、それを使ってジェムナイト・ジルコニアに拳を受け止めた。



チムニ:「あらあら、後ろががら空きよ!」
緑色の鎧を身に纏うチムニのダイガスタ・エメラルが、両手に持つ盾のようなものをブーメランのように投げ飛ばす。

チムニ:「サポートカード!”ガスタの風塵”!!」
ブーメランのように投げた盾に風の力が纏われた。

これに当たれば、ジャンク・ヴィクトリーは大ダメージを受けてしまう。


一星:「サポートカード!”ハイソリッド・ユニゾン・ランチャー”!」
プレス・ダイバスターでジェムナイト・ジルコニアの拳を受け止めている状態で、もう片方の手にランチャー砲を持ち、ランチャー砲のビームでダイガスタ・エメラルが投げ飛ばした2つの盾を撃ち落とした。



一星:「ジャンク・ジェット・スラスター!!」
新たなサポートカードを使用し、一瞬で、その場から消えた。


ヘルダイト:「何!?消えた!」
ジャンク・ヴィクトリーが消えたことに驚くヘルダイト。

しかし、驚いたすぐに、ジェムナイト・ジルコニアにビーム砲が炸裂した。

いつの間に上の方にいたジャンク・ヴィクトリーがハイソリッド・ユニゾン・ランチャーをぶっ放しジェムナイト・ジルコニアを倒したのだ。

ヘルダイト:「何ぃ!!」



MC:『第2回デュエルバトルカーニバル選手権のベスト4のヘルダイト、ここでまさかの敗北だあ!!』



ノービル:「やるじゃねえか新米!こいつはどうだ!」
サポートカードを使用したノービル。

ヴァイロン・オメガがリング状のパーツのど真ん中に粒子を溜める。

そして、溜めた粒子を一気に解き放ち、ジャンク・ヴィクトリーを撃破。

そう思ったノービルは、勝利の笑みを表情に浮かべた…次の瞬間、自分のモンスターが敗北したシステムの音声が耳に聞こえた。

ノービル:「何!?」
よく見ると、ジャンク・ヴィクトリーが、プレス・ダイバスターがヴァイロン・オメガを斬り倒していたのだ。

さっきの攻撃は当たっておらず、ジャンク・ヴィクトリーは躱していたのだ。




ジャック:「2人を連続撃破とはな!」

ブリッツ:「あいつ、予選とは全然動きが違うぞ!」
一星を応援する、みんなも一星の実力に驚いていた。




ラリー:「あいつ、俺が知らない内に、ここまで…。戦う時が楽しみだぜ!」
共に、大会に出場したラリーが、一星と戦うことを待ち遠しにしていた。




クレイヴン:『そうだ。俺は、これを待っていたんだ!』
一星を見て、身体がゾクゾクする。

その感覚を止めることはできなかった。




カルマ「初出場の奴が、ここまでやるとはな」
インヴェルズ・ギラファを使うカルマ。


しかし、カルマは飛んでいるジャンク・ヴィクトリーの下を見る。

その下は火口。もうすぐ、噴火しそうな様子だった。


カルマ:「フッ、そのまま塵となって敗北しろ」
カルマがそう言うと、いいタイミングで火山が噴火し、火口から吹き出したマグマがジャンク・ヴィクトリーを襲う。



MC:『おおーと!ジャンク・ヴィクトリー!運悪く、噴火したマグマに飲み込まれた!これで敗北決定か!!』
マグマに飲み込まれたジャンク・ヴィクトリーの安否を心配するアキたち。





一星:「俺達は、こんなもんじゃない。そうだよな?ジャンク・ヴィクトリー」
目を瞑り、そう呟く一星。


ジャンク・ヴィクトリーの意志が、遊星粒子を通して伝わってきた。





一星:「お前の新たな力、見せるときがきた!」
サイドオーバー発動。遊星粒子を通してジャンク・ヴィクトリーと同調した一星とジャンク・ヴィクトリー。


一星:「サポートカード!チューナーモンスター”レッド・デーモンズ・チューナー”!」
マグマの中で召喚された赤と黒の身体の小さい龍。


その龍が輝き、ジャンク・ヴィクトリーと一つになる。


一星:「集いし鼓動の叫びが、王者を呼び出し、地上を震わす!その姿を現せ!”ジャンク・ヴィクトリー-レッドデーモンズ”!!」
ジャンク・ヴィクトリーが輝き、その輝きがマグマを消し飛ばした。

そして、新たな姿で、姿を現した。





カーリー:「うそっ!あれって!」

深影:「アトラス様の!」

ジャック:「レッド・デーモンズ・ドラゴン…!」
ジャックたちが新たな姿で現れたジャンク・ヴィクトリーを見て驚く。



MC:「なーんと!ジャンク・ヴィクトリーが、あのジャック・アトラスの魂とも呼ばれているレッド・デーモンズ・ドラゴンの力を受け、進化したー!!」
会場が盛り上がる。


チムニ:「進化したところで!」
ダイガスタ・エメラルが攻撃を仕掛けるが、攻撃を仕掛ける前に、両手で生成した火の球を投げ飛ばす。


一星:「メテオ・バーン!!」
投げ飛ばした火の球はダイガスタ・エメラルに当たり、撃破する。




カルマ:「強さは見た目じゃねえんだよ!」
インヴェルズ・ギラファが動き出す。

そして、サポートカードの中に加えていた”インヴェルズ・グレズ”を呼び出す。


一星:「行くぞ!ジャンク・ヴィクトリー-レッド・デーモンズ!!」
綺麗な炎がジャンク・ヴィクトリー-レッド・デーモンズを包み込む。


そして、その姿でフィールド内を駆けまわる。

綺麗な炎から出ている火の粉が宙に舞う。


そして、地面に突き刺さっていてプレス・ダイバスターを手に持ち、まずはインヴェルズ・グレズを倒す。






ジャンク・ヴィクトリーの姿を、そして、一星の姿を見て、仲間やクレイヴンたちは驚く。



ナーヴ:『ほんの一カ月前に始めたばかりの、一星が、ここまで成長するとは…!』
一星の姿を見て改めて驚かされたナーヴ。

開いた口が閉じなかった。






そして、別の場所で、バトルを歓声する1人の女性。



???:「流石、私の甥っ子ね。兄さんに知らせなきゃ」
女性は、そう言って、バトルを最後まで見ず、この場を後にした。


いや、後にしようとした瞬間に、会場に響き渡ったのだ。



『DuelBattle End! DuelBattle End!』


カルマ・サブザの、インヴェルズ・ギラファの撃破を確認。




MC:「勝者ー!ふどーう、いっせーい!!」
一星の名を大きな声で呼ぶMC。


会場に今まで以上に大きな歓声が響き渡った。



MC:「最後に決勝トーナメント進出を決めたのは、不動一星だあああ!」
会場に拍手が響き渡る。



一星の勝利に喜ぶ愛やクロウたち。


アキも優しい目で一星を見つめる。




クレイヴン:「フッ、あの時とは違う。お前とのバトル楽しみにしているぞ」
クレイヴンも、その場を後にした。



一星はターミナルペットを手に取り、勝利の喜びと会場の拍手と歓声を、その場で感じた。








第6ED『Imagination > Reality《AiRI》』






次回予告

ナレーション:遂に、決勝トーナメントへ進出を果たした一星。

しかし、決勝トーナメント最初にぶつかった相手は、共に決勝トーナメント進出を約束したラリーだった。

今まで共に特訓し、成長した2人だったが敵として、今ぶつかる!

ラリー:次回、遊戯王5DXAL「決勝トーナメント開始!一星VSラリー」


ラリー:「一星!今から、俺とお前は敵だ!」








遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!



ブリッツ:「今回の話しで行われた5人同時でバトルする決勝バトルロワイヤル。予選と異なりサポートカードは5枚から7枚までに増えたぞ。バトルによる時間宣言は10分。そして、最後まで勝ち残った奴が決勝トーナメントに進出を果たす。ラリーも一星も遂に、決勝トーナメントに進出だ!二人とも頑張れよ!」
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