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第99話:『新たなステップのアドバイス』







洞窟の入り口に立つ1体のモンスター。

太陽が、そのモンスタを照らす。

落ち込んでいた一星も、その目で見る。


ラリー:「何で…ここにいる。…デュエルバトルの伝説を作ったモンスター…。”アーマード・ウォリアー”」
突如乱入したモンスターを見てラリーは、そう呟いた。


ラリー:「そして、そのモンスターを操るのは、第1回、第2回のデュエルバトルカーニバル選手権を2連覇したデュエリスト。その人は、後にこう呼ばれた。”殿堂入りチャンピオン・名人”」
突如と現れたモンスターの所持者の名前を口にするラリー。






第6OP『ハートウェーブ《福圓美里》』






第99話:『新たなステップのアドバイス』







フィールド内に突如乱入したモンスター。

それに目が離れない周りの人々。



雑賀:「殿堂入りチャンピオン・名人。大会当時はマントで身を隠し姿をさらさなかったと記録には残されていたな。わかっているのは、その名人が使うモンスター。それが、あのアーマード・ウォリアー…!」

氷室:「だが、その名人の姿はないぞ!?」

ラリー:「おそらく別のフィールドシステムから乱入しているんだ」
ラリーの予想は的中しており、その頃、名人は自身のターミナルペットをフィールドシステムにセットしており、カメラ越しから一星やクレイヴンの姿を見ていた。







クレイヴン:「まさか、名人が登場するとはな…」
冷や汗を掻くクレイヴン。



クロウ:「にしても、どうして無関係の名人が、このバトルに乱入する?名人に取って、このバトルは塵一つ関係ないはずだぜ」
周りが思うことを、そのまま口にするクロウ。


しかし、名人本人には、このバトルに参加するほどの理由があった。

なぜなら、この男は…。



クレイヴン:「何が目的かは知らんが、俺にとっては好都合だ。第1回と2回を優勝し、殿堂入りしたものの、第3回大会から突如と消えたアンタと戦えるんだ。乱入したからには」
クレイヴンがサポートカードを使用し、ヨルムンガンド・マグライオンの周りに、火の球が現れる。

クレイヴン:「武器を取れよ!」
そして、火の球から火の粉が飛び出した。

飛び出した火の粉は次第に蛇のような形状になり、洞窟の入り口に立つアーマード・ウォリアーに襲いかかる。





アーマード・ウォリアーに襲いかかる攻撃を見る名人。


名人:「サポートカード”ニトロ・ロングライフル”」
名人はサポートカードを使用した。



すると、アーマード・ウォリアーは緑色のロングライフルを手に持ち、襲いかかる蛇形状の火の粉に弾をぶつけ、ピンポイントで打ち落とす。


ラリー:「なんて、正確な射撃だ!」

氷室:「あんな小さいものをいとも簡単に!」
アーマード・ウォリアーの攻撃を見て、唖然とするラリーたち。


あんな小さいものを、正確に撃ち落とすのは、デュエルバトルをやって来て初めてみた。



クレイヴン:「やっぱりやるな。ならこいつでどうだ!こいつには、こういう使い方もある!」
ヨルムンガンド・マグライオンの周りに出ている火の球から無数の火の粉が再びアーマード・ウォリアーに襲いかかる。

しかし、さっきと違って、出した火の粉は一つにまとまり、ライオン型の火の粉になった。





名人:「無数がダメだったら、まとめてくるか。ならば、サポートカード”ターボ・ソードブレイカー”」
サポートカードを使用した名人。

アーマード・ウォリアーが、ニトロ・ロングライフルを持っている手の逆の手に、普通の刃と櫛状の峰をもつ赤い剣を手に持ち、そのライオン型の火の粉を斬り裂いた。


切り裂いた突如に、爆発しアーマード・ウォリアーの視界を奪った。


すると、アーマード・ウォリアーの背後に、いつの間にライオン型の火の粉が襲いかかってきた。


クレイヴン:「もらった!」




名人:「甘い攻撃だ!」
名人がそう言うと、アーマード・ウォリアーはターボ・ソードブレイカーの剣先でライオン型の火の粉を受け止める。


そして、ニトロ・ロングライフルで、その火の粉を打ち消した。







クレイヴン:「やっぱりすごいな、名人の称号を持つ男は!こいつを扱っている奴の顔を拝んでみたくなってきたよ。どこから、このバトルに乱入したかは知らないが、この攻撃で終わらせてやる。そして、名人の称号は、俺が剥奪する!」
ヨルムンガンド・マグライオンの周りに出ている火の球が一つになり、それをヨルムンガンド・マグライオンが吸収する。


そして、ヨルムンガンド・マグライオンの身体が燃え上がる。





名人:「必殺技と言う奴か」
映像からヨルムンガンド・マグライオンの姿を見た名人は、その予想した。


名人:「一度しか優勝していない者に、名人の称号を譲るつもりはない」
名人は誰もいない場所でそう一人で呟く。




クレイヴン:「喰らえ!地獄の業火!クリムゾン・デス…」
必殺技の名前を言い放とうとしたとき…!




『DuelBattle End!Force Quit!』
デュエルバトルフィールドシステムが強制終了し、システムが自動で停止した。



クロウ:「何だ!?」


ラリー:「強制終了だ!ってことは」
ラリーはさっきある人にシステムの強制終了をお願いした。

そう、この店の店長だ。


ラリーは店長の方を見ると、店長はシステムの電源を消していた。


クレイヴン:「チッ、いいところで」


店長:「これ以上、騒ぎを起こすのであれば、例え前大会優勝者のあなたでも、この店を追い出します」
少し声を震えさせながら、店長はクレイヴンにそう言った。


クレイヴン:「戦意のない声だな、店長。まあいい、オイ」
クレイヴンはフィールドシステムに両手をつけて落ち込む一星に声を掛ける。

クレイヴン:「さっきも言った通りだ。お前は、戦わせているモンスターの痛みをわかっちゃいない。それがわからないんじゃ、お前に決勝トーナメントを出場する資格はない」
落ち込んでいる一星。しかし、今の言葉を聞いて、一星は目を見開いた。


クレイヴン:「次のバトル、お前がどんな戦いを見せてくれるのか楽しみにしているぞ」
クレイヴンはそう言って、この店を後にする。




カメラ越しから、店の様子を見ていた名人。


ターミナルペットをポケットに仕舞い、映像も消した。







その頃、一星もターミナルペットを手に取る。


今までのバトルを思い出す。

シルクとのバトル、ラリーとのバトル。

デュエルバトルを初めて、まだそんなに月日は経っていない。

しかし、ジャンク・ヴィクトリーの身体はバトルが終われば、いつもボロボロだった。

俺は、ジャンク・ヴィクトリーを傷つけていたんだ。


一星は、見せを出ようとする。


ラリー:「一星…!」

一星:「すいません。今は一人にしてください」

一星はそう言い残し、店を出る。


氷室:「重症だな」

雑賀:「あんなことを言われたんだ。今はそっとしておくのが一番だ」

クロウ:「しかし、クレイヴン・エレクトロ、前大会優勝者だけのことはある」

氷室:「あぁ、あんなバトルを見せるとは、並大抵じゃできねえだろ」

雑賀:「それに、乱入してきた名人のモンスターとも渡り合っていた。最後に放とうとした攻撃、強制終了が入らなければ、名人は負けていたかもな」
強制終了に入ろうとした直前に、クレイヴンのヨルムンガンド・マグライオンが何かとてつもない攻撃をやろうとしたことを思い出す雑賀達。


ラリー:「けど、名人の方だって本気じゃないはずだ。守ってばっかしで、自ら攻撃する場面なんてなかったからな」

クロウ:「名人、そして、その男が使うアーマード・ウォリアーか…」
クロウは小さい声で呟いた。






その頃、一星は近くの噴水場所のベンチで、1人座っていた。


周りのみんなは楽しそうに遊んでたり、デートしている。

一星は元気を無くし、地面を見る。


モンスターの痛みを今まで知らなかった俺に、デュエルバトルをする権利なんてない…。


心の中で一星はそう呟いた。






その頃、クレイヴンは…。



クレイヴン:「邪魔が入らなければ、俺が勝っていた…!くそっ!」
手に持つジュースの缶を握り潰す。



クレイヴン:『この大会、必ず優勝して、あんたに届いて見せるぞ。名人!』
潰した缶を、近くのごみ箱にぽいっと捨てる。








そして、噴水の近くのベンチで一人座る一星。





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クレイヴン:「お前のバトルの仕方は、俺を不満にさせる!」
あのとき、突如聞こえたクレイヴンの声。

あの男は、俺に怒りをぶつけていた。



クレイヴン:「お前はモンスターたちが味わう痛みを知らず、只管モンスターを戦わせ、勝利を手にしようとしている!」
その言葉を聞いた一星は、自分がデュエルバトルでやっていることが間違っていたのかもと気づいた。



クレイヴン:「お前は、デュエルバトルをやる資格がないデュエリストだ!」
この言葉が一番辛かった。


初対面に、こんなことを言われるとは思いもよらなかったし、そして何より辛かった。



勇気が出ない。デュエルバトルをする気にもなれない。

初めてかもしれない。ここまでショックを受けたのは…。



一星は、下を向きながら落ち込む。


そんな姿を夕日が照らす。




すると、一星の前に何者かが立つ…。


丁度、夕日が作る影が一星に当たる。


一星:「?」
一星は前を見る。

サングラスをかけた男。

左頬に黄色い線?マーカー?のようなもの


名人:「随分、落ち込んでいるな」


一星:「誰だ、あんた?」
一星は、目の前に立つ男に問いかける。


名人:「これを見ればわかるだろう」
そう言って名人が一枚のカードを一星に見せる。


一星:「!」
一星は目を見開いた。

カードには”アーマード・ウォリアー”と書かれていたからだ。


一星:「アーマード・ウォリアー…!それじゃあ、あなたが殿堂入りチャンピオン・名人…!」
一星はベンチから立ち上がる。


名人:「さっきのバトル見ていたぞ」

一星:「……」
この人名人なら、さっきのバトルも当然見られていたはずだ。

一星:「どうして、あんなことを?クレイヴンを倒すためですか?」
恐る恐る質問する一星。


名人:「……」

一星:「優勝者2連覇を達成した後、デュエルバトルカーニバル選手権から姿を消した、あなたがどうして、ここにいるんです?」
少しイライラした状態で一星は聞いた。


名人:「それぐらい話せるなら、まだできるな」

一星:「え?」

名人:「着いて来い。面白いものを見せてやろう」
名人はそう言って、どこかへ向かう。

初めてあった人について行くのは気が進まない。

しかし、この人は名人。俺に何か伝えようとしているのか。

そんなことを考えながら一星は名人について行く。









フロンティア本部



アキ:「そんなことがあったのね」

クロウ:「あぁ、一星の奴、だいぶんショックを受けていたぜ」

ラリー:「今は一人にしてほしいっていうから、そのままにしてきたけど…」
ラリーが、一星を一人にさせたことを言う。


アキ:「…私、探して来る」

クロウ:「俺たちも行くぜ」

アキ:「大丈夫よ、私一人で平気だから」
そう言って、アキは部屋を出た。



雑賀:「しかし、クレイヴンって言う男も酷い奴だ。初対面の男にあんなこと言うとはな」
雑賀がそう言うと、テーブルに座る愛が口を開く。

愛:「でも、その人が言っていることも正しいんじゃない?」

氷室:「何?」

愛:「一星のバトルを見て、そう思ったってことは、その人は自分が使うモンスターを大切にしているって証拠になるんじゃない?」
確かに愛の言う通りだ。

そんなことを言う人は、大体、モンスターを大切にしている人だ。

モンスターを大切にしているからこそ、モンスターとの絆が深まり、それが力となることもある。

クレイヴンとヨルムンガンド・マグライオンが強い理由は、そこにあるのかもしれない。








外は既に日が沈み夜になっていた。



とある建物に入る名人と一星。


誰もいない建物内に入り、とある部屋の電気をつける。


明りが部屋を照らす。


そして、部屋のど真ん中に、それはあった。


そう、デュエルバトルカーニバル選手権フィールドシステムだ。



一星:「フィールドシステム…」

名人:「さあ、始めるぞ」

一星:「始めるって、何を…?」

名人:「無論、デュエルバトルだ」
フィールドシステムの起動準備を整えながら、名人は言った。


一星:「何を言っているんですか。クレイヴンとのバトルを、あなたは見ていたはずです。俺があなたに敵うわけがない」

名人:「勝負をする前から敗北を認めるのか?」

一星:「!」

名人:「そんなに怖いか?デュエルバトルをすることが?」

一星:「そ、それは…」

名人:「デュエルバトルで味わうモンスターの痛み。お前はもう体感しているはずだ。予選最終バトルでな」
名人の言葉を聞き、一星はセーブル・シックとのバトルを思い出す。


あの時、俺は遊星粒子を感じ、ジャンク・ヴィクトリーの意志が伝わった。


そして…。

自分の左手を見る一星。




名人:「知りたくないか?その力が何なのか?」

一星:「あなたは、知っているんですか?俺があの時体感した、あれを」

名人:「その答えを知りたければ、このバトルで教えてやる」
名人はターミナルペットを手に取る。


一星もターミナルペットを手に取る。

そのとき、過去のバトルを思い出してしまった。

そして、身体がボロボロのジャンク・ヴィクトリーのことを…。


一星:「!」
一星は首を振る。




『field system standby』
デュエルバトルフィールドシステムが起動。

『Terminal PET setup』
両者ともにターミナルペットをフィールドシステムにセット。

『Review Terminal PET』
フィールドシステムがターミナルペットのセットを確認した。

『yuseiParticle Spread』
遊星粒子が散布され、フィールドが構築される。

『Stage ”City”』
フィールドは、高層ビルが立ち並ぶ街。


一星:「!」
そして、その街には見覚えがあった。

名人:「懐かしいだろう」

一星:「これは、俺の故郷…ネオ童実野シティ…!」
一星が生まれ育った場所。今は、既に存在しない前世紀の街。ネオ童実野シティがバトルの舞台だった。

一星:「あなたは、一体、何者なんだ?」

名人:「その答えを言うのは、まだ早い」
サングラスを人差し指でずらし、部屋の明かりがサングラスをキラッと一瞬照らす。

『Monster Call!』
一星はジャンク・ヴィクトリーをフィールドに出す。

そして、名人はアーマード・ウォリアーを出した。

『DuelBattle START!!!』


名人:「バトルスタートだ!」
両者のモンスターが動き出す。

アーマード・ウォリアーは空高く飛び、ジャンク・ヴィクトリーは地上から見上げた。


一星:「ほんの一瞬で、あんなに高く飛ぶとは…!だが、いい的だ!」
一星は1枚目のサポートカードを使用し、ハイソリッド・ユニゾン・ランチャーをジャンク・ヴィクトリーは手に取った。

そして、ハイソリッド・ユニゾン・ランチャーからビームを、アーマード・ウォリアーに向けて放った。


名人もつかさず、サポートカードを使用し、ターボ・ソードブレイカーをアーマード・ウォリアーが手に取り、それを使ってハイソリッド・ユニゾン・ランチャーから放ったビームを斬り裂きかき消した。


一星:「ビームを…!」

名人:「驚いている暇があるのか!」
アーマード・ウォリアーは、ジャンク・ヴィクトリーの懐に入る。

一星:「っ!よけろ!ジャンク・ヴィクトリー!」

名人:「遅い!」

一星:「なら受け止めろ!」

アーマード・ウォリアーはターボ・ソードブレイカーを、ジャンク・ヴィクトリーの懐を斬り裂いた。

しかし、その瞬間、ジャンク・ヴィクトリーがアーマード・ウォリアーの腕を掴み捉えた。

一星:「これで、動きは…はっ!」
一星は気付いてしまった。

また、やってしまった。避けるのが不可能だったから、その身で受け止めろと命令してしまった。


名人:「それでは、同じことの繰り返しだぞ!」

一星:「!」

名人:「遊星粒子を通じて、感じ取るんだジャンク・ヴィクトリーの意志を、心を、思いを!ジャンク・ヴィクトリーは、お前に何を求めているのかを!」

一星:「ジャンク・ヴィクトリーが俺に求めていること…」

名人:「それがわかれば、お前は次のステップへ進める!新たな道を切り開くことができる!」
名人は一星に伝える。新たな道を切り開くためのヒントを…。



アーマード・ウォリアーは、自身の腕を握るジャンク・ヴィクトリーの手を振り払い、後ろへ下がる。


名人:「一心不乱、アーマード・ウォリアーの力を見せてやろう。よく見ておけ!」
アーマード・ウォリアーの身体が輝く。


モンスターと名人からとてつもない気迫が一星を襲う。


一星:「これが、この人の…、アーマード・ウォリアーの凄さ…」
アーマード・ウォリアーを見て一星は呟いた。


一星:「そして、この人が、チャンピオン・名人」
名人の姿を見て一星は、呟いた。


一星:「ジャンク・ヴィクトリー…、俺はお前のことを何もわかっちゃいないかった…。お前に辛い思いをさせてしまった」
一星はジャンク・ヴィクトリーを見て呟く。

ジャンク・ヴィクトリーに謝罪しているのだ。

今まで辛いことばっかりさせたいたことに。


一星:「俺は、デュエルバトルをやる資格がない…。デュエリスト失格だな」
一星が目を瞑る。


すると、そのとき、謎の光がジャンク・ヴィクトリーを包む。

一星:「!」
一星が何かを感じた。

あの時と同じだ。

遊星粒子を通じて、ジャンク・ヴィクトリーの思いが伝わる。


一星:「ジャンク・ヴィクトリー…お前は…」
ジャンク・ヴィクトリーを見つめる一星。

一星:「お前は、俺を許してくれるのか…。お前に辛い思いをさせてしまっていた、この俺を…」
ジャンク・ヴィクトリーから感じる思いは優しいものだった。

怒りや憎しみなんてない。優しさと温かさのみが感じた。


名人:「遊星粒子を通して感じろ。不動一星。ジャンク・ヴィクトリーの思いを!」

一星:「!」

名人:「全身全霊で、この攻撃を躱して見ろ!サイドオーバーを発動していれば、この攻撃は受け止められるはずだ!」
アーマード・ウォリアーの身体から放たれる輝き増す。

名人:「コンシャスネス・ヴィクトリー!!」
体に光を纏い、前方に飛ぶ。

そして、前方に螺旋の渦を出して、ジャンク・ヴィクトリーに向かって突撃する。


一星:「ジャンク・ヴィクトリー…、今の俺とお前ならできる!行くぞ!うおおおお!」

ジャンク・ヴィクトリーに気迫が溜められる。


一星:「ジャンク・ヴィクトリー!お前の全力を、アーマード・ウォリアーにぶつけろ!」
ジャンク・ヴィクトリーも光を纏い、突撃する。

両者のモンスターがぶつかり合った。

その衝撃で周りに立ち並ぶビルの窓ガラスが次々と割れる。


熱い想いが、両者ともその攻撃に籠っていた。


名人に関しては一星の熱い想いまでも感じていた。

名人:「フッ、どうやら新たなステップは物にできそうだな」
名人はフッと笑ってそう言った。




両モンスターはダメージを受けながらも立っていた。


一星:「ジャンク・ヴィクトリー…」

名人:「サイドオーバー。モノにできそうだな」

一星:「サイドオーバー…?」
初めて聞いた言葉。サイドオーバーってなんだ?と不思議に思った一星だが、名人はすぐにそれが何なのかを教えてくれた。

名人:「デュエルバトル中に起きる現象だ。デュエルバトルフィールドシステムのフィールドを構築するための遊星粒子を通じて、人とモンスターが同調し、互いの意識を交差することで攻撃力や加速力が上がったり、モンスターが感じている痛みを感じたりするものだ」
名人は一星にわかりやすいように説明してくれた。

一星は自分の左手を見る。


一星:「セーブルとのバトルで感じたのは、それだったのか。そして、今も、俺はそれを…」

名人:「サイドオーバーは特定の人にしか起こらない現象だ。そして、それを引き起こすために欠かせないもの。それが、デュエリストとモンスターが強い絆で結ばれていることだ」

一星:「強い絆で結ばれる…」

名人:「サイドオーバーを発動したということはジャンク・ヴィクトリーは最初からお前のことを憎んだりしていない。むしろ、一緒に戦うことを選び、君の思いを受け入れていたんだ」
デュエルバトルフィールドシステムが強制的に止まった。

名人はターミナルペットを手に取る。


名人:「あとは、お前が切り開け。決勝トーナメントを勝ち進むために、どんな力を求めるのか。楽しみにしているぞ」


一星は自分のターミナルペットを手に取る。

一星:「新たな道を切り開く。ジャンク・ヴィクトリーと共に!」
一星は自分が何をしなくちゃいけないのか見えてきたような感じがした。


一星:「あの―」
名人にお礼を言おうと前を見た時、その場に名人の姿はなかった。


名人の優しい言葉、きつい言葉。

一星:『あの人の言葉から、なぜ懐かしさを感じるんだ…。初対面のはずなのに…』
一星は、その場に立ち、目の前に現れた名人のことを考えていた。


なぜ、あの人は、俺に、こんなことをしてくれたのか。何故、サイドオーバーについて教えてくれたのか。


一星は色々と考えてしまった。








第6ED『Imagination > Reality《AiRI》』






次回予告

ナレーション:サイドオーバーをモノにし、新たな道を切り開くために力をつける一星。

その頃、遊馬と共に属性波動の修行する小鳥たちも、次のステップへ進もうとしていた。

遊馬が次に与える試練。それは一体、何なのか。

皆が、それぞれの課題をクリアするために、動き出す!


遊馬:次回、遊戯王5DXAL「それぞれのステップ サイドオーバーと属性波動」


遊馬:「さぁてと、第2の修行だ」
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