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第98話:『戦うモンスターの気持ち』







左手を押さえる一星。


そこにラリーを初め、アキ、愛たちも集まってきた。


アキ:「一星、どうしたの!?」
アキが一星に呼びかけるが、一星はずっと左手を押さえていた。


愛:「左手が痛いの?」

ミスティ:「急いで手当てした方がいいんじゃない、アキ」

アキ:「そうね。一星、立てる?」

一星:「あ、あぁ」
一星は自力で立ち上がり、その場から離れる。



ラリーもついて行こうとするが、一星と戦っていたセーブルが気になり、そちらの方を向いた。

セーブルは気を失っており、担架で運ばれるところだった。


ラリーはデュエルバトルフィールドシステムにセットしたままのセーブルのターミナルペットの中を見る。

ラリー:「!?」
するとどうか。ラリーは声が出なかった。

さっきまで使っていたはずの、ダーク・ヘルケイターやサポートカードが全部なかったのだ。

ターミナルペットの中にカードはあるが、全部バトルでは使用されていないカードだ。

ラリー:「すり替える時間はなかったはずだ」
ラリーは担架で運ばれそうになっていたセーブルを止める。

ラリー:「ちょっと待ってください!」
ラリーが担架に横たわるセーブルを揺さぶる。

ラリー:「おい!お前、一体、あのカードをどこで手に入れた!起きて答えろ!」
ラリーは大きくセーブルの身体を揺さぶる。

セーブル:「う…うぅ」

すると、セーブルの意識が戻った。

セーブル:「ここは…、俺は一体…」

ラリー:「おい、お前、ダーク・ヘルケイターのカードをどうした?どこにやった?」
意識を取り戻したセーブルに問うラリー。

セーブル:「ダーク・ヘルケイター…、わから、ない」

ラリー:「!」

セーブル:「ここは、どこだ?俺は、なぜ、ここにいる?」
様子がおかしいことに気付いたラリーはセーブルに質問をぶつける。

ラリー:「お前、デュエルバトルカーニバル選手権に出ていたんぞ。覚えているのか?」

セーブル:「デュエルバトルカーニバル…、何のことだ…?」

ラリー:「デュエルバトルをやっとことはあるのか?」

セーブル:「そんなもの…やったことない」
ラリーは確信したかのような顔をする。


ラリー:『記憶を失っている…』
ラリーはそう判断した。


そして、セーブルは担架に運ばれる。

ラリー:『何がどうなっているんだ?』
何かとてつもないことでも起きようとしているのか…。ラリーは一瞬そう思った。




その頃、とある場所に設置されているカプセル。


その中が突如輝き出し、カプセル内に1枚のカードが浮かび上がる。

そう、ダーク・ヘルケイターのカードが…!










第6OP『ハートウェーブ《福圓美里》』









第98話:『戦うモンスターの気持ち』








予選最終バトルを見ていた左頬に黄色いマーカーが刻まれた男。

サングラスで素顔を隠している。

男は、一星のことが心配でフィールドシステムが置かれている場所まで降りてきた者たちを見つめる。


ジャック、クロウ、龍亜、龍可、鬼柳、ラリー、一星に愛、そして、アキを見ていた。


アキだけは誰よりも長く見つめていた。


???:「アキ…」
男は彼女の名前を呟いた。



男の背後に近寄る人影…。

男は、その男の気配に気づいていた。





???:「元帥の命令か?慎也」
男は後ろを振り向くことなく、背後に近づく人の名前を呼ぶ。

男に近づいてきたのは、フロンティアSOA特務隊8係リーダーの桐潟慎也だった。


慎也:「この大会が開かれるとなれば、あなたは必ず会場に現れると、元帥は予想していました。第1回、第2回のデュエルバトルカーニバル選手権を2回連続優勝し、殿堂入り。今は、こう呼ぶべきでしょうか?殿堂入りチャンピオン・名人」
そう、慎也の前に立つサングラスをかけて素顔を隠す男。

この男こそ、第1回、第2回のデュエルバトルカーニバル選手権を2連続優勝し、殿堂入りを果たし、名人の名を手にした男なのである。



名人:「相変わらず、あの人の感は当たる」


慎也:「フッ、今回ばかりは俺にも予想できますよ」
真也は嬉しそうな笑いなのか、バカにしているような笑いなのか微妙な感じで返す。




名人:「元帥の命令で、あいつらは大会に出場したのか?」

慎也:「ノルマンディーカンパニーから招待状は送られてきたそうですが、出たいと申し出たのはラリーからのようです。そして、デュエルバトルにハマってしまった一星も自分の意志で出ています」

名人:「そうか」
慎也の話しを聞いて納得した男。


慎也:「元帥はあなたを待っています。これからの戦いのために…」

名人:「今の俺にその刺客はない。そして、四大神王者としての責任もある」
男の口から放たれた単語、四大神王者。

その言葉に慎也は食いついてきた。

慎也:「遊馬もあなたも、四大神王者としての責任を感じすぎです。何もかも背負っても解決するものではないはずです。四大神王者No.3、スターリング」
チャンピオン・名人を慎也はそう言った。

世界勢力の一つ、フロンティア管轄の四大神王者。

そのNo.3スターリング。彼こそが、そのスターリングなのだ。

名人:「あまり、その名をここで口にするな。誰かに聞こえたら、ただじゃすまない」

慎也:「そう思うのでしたら、少し俺達にも相談してください。力貸します」

名人:「気持ちだけありがたく受け取って置く」
スターリングは、後ろを振り向き、この場から離れようと慎也の横を素通りしようとする。


名人:「慎也」
一度足を止め、慎也の耳元で言いたいことを話す。

名人:「この大会、裏に何かあるかもしれない」

慎也:「え?」

名人:「あの方も動いているからな」
それを言い残し、スターリングは、慎也を残し、この場を後にする。

慎也は追わずに、この場を離れるスターリングを見送った。

慎也:「あの方?遊戯隊長か、もしくは…」
スターリングが言っていた”あの方”。

慎也は、あの方に該当する人物を2人予想していた。







その頃、一星はアキに左手首を手当てしてもらっていた。


アキ:「大丈夫?」

一星:「あぁ、少し気合入れ過ぎたようだ」
そう言って、大したことないと誤魔化す一星だが…。


アキ:『本当にそれだけかしら。この傷、まるで何かにぶつけられたような傷だわ』
医者であるアキには分かる。この傷が、どうやってできる傷なのかが。


一星:「それより、ラリーさん、本当なんですか?セーブルが記憶を無くしていたって言うのは?」
この部屋にいるアキともう一人ラリーに話しを聞いた。

ラリー:「あぁ、俺が話しかけた時、大会に出場していたことを認識していなかった。それに、ダーク・ヘルケイターのカードを持っていたということもな」
さっき自分がセーブルと話したことを伝えるラリー。


アキ:「そのカード、あなたがターミナルペットの中を見た時には消えていたって言ったわね。すり替えられたとかは?」

ラリー:「そんな時間はなかったし、あの大勢がいる会場のど真ん中でカードをすり替えようとすれば、目立ってしょうがないはずだ」

アキ:「確かにね」

ラリー:「この大会、何か、とてつもないことが起きようとしているのかもしれない」
ラリーはそう予想した。









とある施設に設置されているカプセル。

その中にダーク・ヘルケルターのカードはあった。

そして、そのカプセルの前に立つ、2人の人影。

そう、オズボーンとクラークだ。


オズボーン:「あの人形はよくやってくれた。ダーク・ヘルケルターの力をあそこまで引き出すとは。これで、カードにエナジーも蓄えられただろう」

クラーク:「ですが、その影響で、セーブルは一部の記憶を失ったようですね。我々にとっては好都合ですが」
クラークはリストに映っているセーブルの顔写真に×印をつけた。





オズボーン:「さあ、次は決勝トーナメントだ。とその前に、更に人数を減らすために決勝バトルロワイヤルがあるんだったな」

クラーク:「はい、5人1組でバトルを行い、最後の1人が勝者となるロイヤルバトル。そこで真の強さを持つものだけが決勝トーナメントに上がれます」

オズボーン:「素晴らしいな。何も知らない奴らは、戦い続け、弱きものは散り、強きものは、私の計画のために動く。そう、我々が前世紀に戻るための一歩となるのだ。ふふふ、はははははは、あはははは」
オズボーンの高笑いが、響き渡る。










デュエルバトルカーニバルの予選が終了して2日後



一星とラリーは、デュエルバトルを専門とする店へ来ていた。


そして、付き添いで、クロウと氷室、雑賀の3人も来ていた。


次の決勝バトルロイヤルが開かれるのは4日後。


そのバトルで勝って初めて、決勝トーナメントへ進出できる。

少しでも力をつけるため、この店に良く来る人達とバトルをしているのだ。



一星:「ジャンク・ヴィクトリー!パワー・オブ・バイセン!!」
ガントレットをつけた状態の右腕でバトルする相手のモンスターを撃破した。




『DuelBattle End! DuelBattle End!』



対戦相手の男性:「流石、予選を勝ち進んだdけのことはあるぜ。この調子で頑張ってくれ」

一星:「ありがとうございます」
一星は自分を応援してくれた人に礼を言って、後ろに下がる。

次はラリーの番だ。



氷室:「腕の調子はよさそうだな」
最後の予選バトルで怪我をした一星の左手を心配する氷室。

一星:「はい、大したことじゃないので」


雑賀:「だが、無理はするなよ。これで、大会中、バトル続行不可能になって敗北したら、恥ずかしいからな」

一星:「フッ、わかっています。心配しないでください」
雑賀にも心配されている一星。本当に大丈夫だってことを伝える。


クロウ:「なあ、一星。俺とデュエルバトルしてくれないか?」

一星:「え?」

クロウ:「なんかお前たちの見てるとやりたくなってきてよ。なあ、頼むよ」
と両手を合わせ、子供みたいにお願いをするクロウ。

一星:「わ、わかりました。ラリーさんが終わった後にやりましょう」
一星はクロウからの挑戦を受けた。





そして、5分ぐらいが経ち、ラリーのバトルが終わった。


勿論、勝ったのはラリーだ。



そして、一星とクロウが向かい合って立つ。


クロウ:「お手柔らかに頼むぜ、一星」

一星:「そのつもりです」
クロウの言葉に笑って答える一星。





『field system standby』
デュエルバトルフィールドシステムが起動した。

『Terminal PET setup』
2人はターミナルペットをフィールドシステムにセットする。

『Review Terminal PET』
フィールドシステムがターミナルペットのセットを確認した。

『yuseiParticle Spread』
遊星粒子が散布され、フィールドを構築する。


『Stage ”cave”』
大きな洞窟。今回のバトルは岩石内に掘込まれたほら穴のようだ。

『Monster Call!』
互いのモンスターが召喚される。

一星はジャンク・ヴィクトリー。

そして、クロウは、黒き鎧を付けた旋風”BF(ブラックフェザー)-アーマード・ウィング”だった。


『DuelBattle START!!!』


クロウ:「行くぜ!」
アーマード・ウィングが先制を仕掛けてきた。

クロウ:「黒き旋風!ブラック・ハリケーン!」
アーマード・ウィングは身体を回転させ、黒い竜巻を纏い、その状態で、ジャンク・ヴィクトリーに攻撃する。


一星:「迎え撃つぞ!ジャンク・ヴィクトリー!サポートカード”プレス・ダイバスター”!!」
ジャンク・ヴィクトリー専用の大剣プレス・ダイバスターを使用し、その大剣でアーマード・ウィングの攻撃を受け止める。


クロウ:「へっ、やっぱり、こんな攻撃じゃ歯が立たないか。なら、俺はサポートカード”ブラックハリケーン・エクスカリバー”!」
アーマード・ウィングが黒い剣を手に持つ。





一星:「黒い剣…」

クロウ:「ただの黒い剣じゃないぜ。こいつは、ブラックフェザーが持ったときこそ、真の力が解き放たれる剣だ!」
アーマード・ウィングがジャンク・ヴィクトリーに攻撃を仕掛ける。


一星:「動きが早い…!」
アーマード・ウィングの動きを見て驚く一星。



氷室:「おいおい、クロウの奴、本当に初心者か?」

ラリー:「クロウ、ずっと俺たちのバトル見てたからな」
おそらく、それでデュエルバトルのやり方を覚えたのだろう。

それにしても、本当に初めてやった感じには見えない戦い方だ。



クロウ:「アーマード・ウィング!お前の旋風をお見舞いさせろ!ブラック・マキシマム・ハリケーン!!」
ブラックハリケーン・エクスカリバーを持ったアーマード・ウィングが身体を回転させ、大きな黒い竜巻を作り、ジャンク・ヴィクトリーを襲う。

竜巻の影響で洞窟の天井に穴が開き、明るい月が見える。

風圧に耐え切れず、ジャンク・ヴィクトリーは吹き飛ばされた。

一星:「ジャンク・ヴィクトリー!くっ、どうやら、本気のようだな」

クロウ:「俺はいつだって本気だぜ!」

一星:「なら、迎え撃つまで!ジャンク・ヴィクトリー!竜巻の中へ突っ込んで本体に攻撃だ!」
一星の指示でジャンク・ヴィクトリーが竜巻の中に突っ込んだ。




雑賀:「おいおい、竜巻の中へ突っ込んだぞ!?」

氷室:「無茶な作戦だぜ!」
2人とも一星の作戦に驚く。



ジャンク・ヴィクトリーは竜巻の風圧に耐え切りながら、アーマード・ウィングがいる場所まで進む。


竜巻による影響で、ジャンク・ヴィクトリーの身体に傷が付く。


一星:「もう少しだ…。ジャンク・ヴィクトリー…!耐えきってくれ!」
一星の声に応えるかのように、ジャンク・ヴィクトリーは竜巻に耐え、前へ進んだ。



そして、竜巻の中心部へ到着し、アーマード・ウィングを見つけた。


一星:「行け!ジャンク・ヴィクトリー!」
プレス・ダイバスターを持ったジャンク・ヴィクトリーが、アーマード・ウィングに仕掛ける。

クロウ:「反撃しろ!アーマード・ウィング!」
身体を回転させていたアーマード・ウィングが回転をやめ、ブラックハリケーン・エクスカリバーで、ジャンク・ヴィクトリーを迎え撃つ。


一星:「勝利を手にする斬撃。スクラップ・エスパーダ!!」
プレス・ダイバスターでアーマード・ウィングに斬りかかる。

アーマード・ウィングはブラックハリケーン・エクスカリバーで防御するが、プレス・ダイバスターが、それを破壊し、アーマード・ウィングを斬り倒す。




『DuelBattle End!』
勝者は一星だ。


クロウ:「流石、一星だ。初心者である俺が敵うわけないか」

一星:「そんなことありません。いいバトルでした。機会があったらまたやりましょう」
一星はクロウに礼を言う。


すると、


『DuelBattle REOPEN!!!』


フィールドシステムから放たれた合図。

REOPEN。つまり、再開ということだ。


一星:「何…!」


ラリー:「バトル再開!?」


クロウ:「一体、誰が…!」
周りにいる、みんなが驚く。



そして、アーマード・ウィングの竜巻の影響で空いた穴に、モンスターの影。

そのモンスターはジャンク・ヴィクトリーに迫ってくる。


赤い身体、獅子の兜、大蛇を模した鎧を身に纏っていた。


???:「今のバトル見させたもらった。だが、お前のバトルの仕方は…」

ジャンク・ヴィクトリーに近づくモンスターがスピード上げる。


???:「俺を不満にさせる!」
銀髪オールバックの髪型で肌が黒い男性がそう言い、その男が操るモンスターがジャンク・ヴィクトリーに攻撃する。


一星:「くっ!」


クロウ:「だれだ!いきなり攻撃を仕掛けてきた奴は!?」
クロウはジャンク・ヴィクトリーに攻撃を仕掛けたモンスターを扱うデュエリストの顔を見る。




クレイヴン:「クレイヴン…。クレイヴン・エレクトロ。そして、こいつは、”ヨルムンガンド・マグライオン”!」
自分の名前と、扱うモンスターの名前を教える男性。



店の店主や、この店に良く来る客人は、その名を聞いて驚いた。


そして、ラリーも、この名前に聞き覚えがあった。


ラリー:「クレイヴン・エレクトロだって!」


氷室:「知っているのか?」


ラリー:「…クレイヴン・エレクトロ。第4回デュエルバトルカーニバル選手権優勝者だ」
ラリーから語られた言葉に氷室と雑賀が驚く。


一星:「前大会の優勝者の人が、どうして俺を!それに、不満にさせるって」

クレイヴン:「そのままの意味さ。お前のバトルの仕方はなっちゃいない」

一星:「何…!?」

クレイヴン:「お前は、デュエルバトルをやる資格がないデュエリストだ!」
ヨルムンガンド・マグライオンがジャンク・ヴィクトリーを吹き飛ばす。

一星:「資格がないかどうか、お前が決めるな!」
サポートカード”ジャンク・ジェット・スラスター”を使用し、ジャンク・ヴィクトリーの機動性能を上げる。


クレイヴン:「サポートカード”ライジング・イラプション”!」
ヨルムンガンド・マグライオンの周りに数本の火柱が現れる。

その火柱の所為で、ジャンク・ヴィクトリーの動きが封じられる。

一星:「くっ、火柱が邪魔で身動きが…、いや、プレス・ダイバスターがあればジャンク・ヴィクトリーでも、これぐらいの火柱ぐらい!」

ジャンク・ヴィクトリーが火柱に突っ込もうとする。


しかし、ジャンク・ヴィクトリーが突っ込もうとした火柱からヨルムンガンド・マグライオンが現れ、獅子の兜の目が光り、ライオンの幻影を出す。


一星:「なっ!」

クレイヴン:「ビート・ジエンド」
ライオンの幻影がジャンク・ヴィクトリーを噛みつき捉える。


氷室:「ジャンク・ヴィクトリーが捕まったぞ!」
一星のモンスターが捕まったことに驚く氷室。


一星:「くっ」

クレイヴン:「モンスターの力に自身を持ち、ライジング・イラプションに突っ込む。悪くはない戦法だ。だが、お前、もし自分が同じ立場に居たら、同じことをしていたか!」

一星:「!」

クレイヴン:「デュエルバトルにとって、勝利するのは当たり前だ。それはモンスター達も分かっていること。だが、お前はモンスターたちが味わう痛みを知らず、只管モンスターを戦わせ、勝利を手にしようとしている!」

一星:「はっ!」

クレイヴン:「そんなお前にデュエルバトルをやる資格はない!」
この言葉を聞いた一星は、目を見開く。


今までのバトルを思い出す一星。

俺は、ラリーさんの影響でデュエルバトルの興味を持ち、大会に出場した。

そして、シルクさんとのバトルでデュエルバトルの楽しさを知り、自分の力を試したくなった。

バトルは順調に勝った。予選も突破した。

だが、今までのバトルでジャンク・ヴィクトリーは、沢山傷ついた。

俺は、それに気づいて…やれなかったのか…。


両手をフィールドシステムの台につく一星。


一星:「俺は何も考えずにジャンク・ヴィクトリーのことを…!」


戦う気力を失ったのだ。



クレイヴン:「自分の愚かさに気付いたか。バトルで傷ついた自分のモンスターが、無残に散るところをその目で見ていろ!トドメをさせ!ヨルムンガンド・マグライオン!」
ヨルムンガンド・マグライオンが出しているライオンの幻影に捕らえられているジャンク・ヴィクトリーは身動きが取れない。

そして、ヨルムンガンド・マグライオンが両手に炎をため込む。



クロウ:「しっかりしろ!一星!バトルは終わっていないぞ!」
クロウが呼びかけるが、一星に返事はなかった。

雑賀:「ダメだ!完全に自分を見失っている!」

氷室:「あんなこときつく言われちまったら、そりゃあ誰だって!」

ラリー:「バトルを強制終了させてくれ!」
ラリーが店の店主にそう伝えると、店主は返事をして、システムを強制終了させるためのスイッチがある場所に向かう。


クレイヴン:「消えろ!本当の力を知らないデュエリストが!」
ヨルムンガンド・マグライオンが、ジャンク・ヴィクトリーに攻撃を仕掛ける。


すると、別方向から援護射撃が放たれ、ヨルムンガンド・マグライオンは後ろに下がる。

その衝撃で、捕えていたジャンク・ヴィクトリーを手放してしまった。


クレイヴン:「乱入か!」

さっきまで明るい月が昇っていた空。

しかし、その空は次第に明るくなり日の出が出る。


洞窟の中にいるため、モンスターたちからは、日の出が出る瞬間は見えない。

だが、洞窟の外にいる一体のモンスターには、その日の出が見えている。

しかし、そのモンスターは洞窟の中にいるモンスターたちを見下ろしていた。

クレイヴン:「なっ…あのモンスターは…」
クレイヴンが目を凝らす。

システムを強制終了させようとしていた店主も足を止めてしまう。

雑賀:「な、なんだ…」

氷室:「あれ…」

洞窟の入り口に立つ1体のモンスター。

太陽が、そのモンスタを照らす。

落ち込んでいた一星も、その目で見る。


ラリー:「何で…ここにいる。…デュエルバトルの伝説を作ったモンスター…。”アーマード・ウォリアー”」
突如乱入したモンスターを見てラリーは、そう呟いた。







第6ED『Imagination > Reality《AiRI》』





次回予告

ナレーション:デュエルバトルするモンスターの本当の痛みを知ってしまった一星。

戦意喪失してしまった一星の元に、あの男が現れる。

男は一星に新たなステップを踏む為のアドバイスを伝えるため、デュエルバトルを申し出る。

このバトルで、一星は立ち上がることができるのか…!

そして、新たなステップを導き出すことができるのか!


一星:次回、遊戯王5DXAL「新たなステップのアドバイス」

一星:「これが、この人の…、アーマード・ウォリアーの凄さ…」


遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!


クロウ:「ブラックフェザー・ドラゴンに続き、俺のもう1体のエースモンスターとも言える”BF-アーマード・ウィング”は攻撃したときに相手モンスターに楔カウンターを1つ置くができ、それを取り除くことで、そのモンスターの攻守を0にするぜ。どんなモンスターも一撃だぜ!」
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