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第93話:『勝利VS混沌の女神 決死の数秒』








第5回デュエルバトルカーニバル選手権が開幕する日の朝。


各会場は最終点検が行われていた。


「そっちに異常はないか?」
「大丈夫です」
「手抜かりするなよ。今日から大きな戦場になるんだからよ!」

作業する人々は気合を入れて点検する。






日本


とある高級ホテル


ノルマンディーカンパニーの社長オズボーンはヨーロッパからわざわざ日本まで足を運んでいた。


クラーク:「ついに今日ですね」

オズボーン:「ああ、第5回デュエルバトルカーニバル選手権は、ここ日本を舞台とする」
オズボーンが朝なのにも関わらずワインを一杯飲む。

オズボーン:「各地の会場の準備はできているのか?」

クラーク:「現在、最終点検が行われています。ご安心を」

オズボーン:「礼のカードは?」

クラーク:「ええ、こちらに」
クラークはアタッシュケースに入っているカードを見せる。


オズボーン:「この3枚のカードに人間のデュエルエナジーを吸い取らせる。そして、最終的にパンドラの箱を開ける。前世紀に戻るためのな。ふふふふ、あははははは」
高笑いするオズボーン。部屋中に声が響く。








第6OP『ハートウェーブ《福圓美里》』







第93話:『勝利VS混沌の女神 決死の数秒』







第5回デュエルバトルカーニバル選手権の開会式が始まる3時間前。



一星とラリーは会場に来ていた。


ラリー:「それじゃあ、俺たちは控室に行くよ」

ナーヴ:「ああ、しっかりな」
ナーヴが手を挙げて言う。


アキ:「一星、頑張ってね」

愛:「応援しているから」


一星:「気が早いな、まだ開会式だし、今日やるかもわからないんだぞ」
一星が少し笑ってそう言うと、ラリーと共に控室に向かった。


愛:「全く、緊張感がないんだから、一星は」

アキ:「緊張はしてるはずよ」

愛:「え?」

アキ:「パパと同じで、気持ちを中に仕舞い込むくせがあるのよ。あの子には」
母だからこそ分かることだ。





控室に入った一星とラリー。


ここの予選会場は、決勝トーナメントでも使われる会場で一番大きい場所でもあるから、参加する人数もそれなりに多い。


ラリー:「ひええ、すげえ数。全員、大会に出るのか?」
そう言いながら一星と一緒に控室を見回るラリー。


一星:「強敵が沢山いそうですね」

ラリー:「いそうってもんじゃないぜ。あそこにいる人なんて、第3回の大会で決勝トーナメントベスト4まで上り詰めた選手だし、あっちには第4回大会でベスト8だった選手がいる」
自分と腕を磨いていると同時に、過去のデュエルバトルカーニバル選手権のデータを見たラリーは選手の顔を見て、すぐにその人達がすごい人だと分かった。


一星:「調べているんですね」

ラリー:「当たり前だろ、優勝する気で望んでいるんだ。これぐらいしないとな」
自分のやる気を見せるラリー。


すると、ラリーの腕が隣を通り過ぎた人に当たってしまった。

ラリー:「あ、すいません」

???:「いや、大丈夫だ」
腕が当たった人はラリーの方に顔を向ける。



ラリー:「あ、あなたは!」

一星:「知っている人ですか?」

ラリー:「知っているも何も、この人は第4回デュエルバトルカーニバル選手権の準優勝者のシルク・ガーフィールドだよ」
目の前に立つ人の名前を呼ぶラリー。

シルク:「キミは、僕のことを知っているのかい?」

ラリー:「勿論です!デュエルバトルが好きな人ならだれでも知っています!俺、ラリー・ドーソンって言います。大会に出るのは初めてです!あの、サインください!」
どこから出したのか色紙を出すラリー。

シルク:「喜んで」
素直に色紙を受け取り、サインを書くシルク。

シルク:「はい、どうぞ」
サインを書いた色紙をラリーに返す。

ラリー:「ありがとうございます!」
すごく嬉しそうなラリー。




シルク:「キミも大会に出るのは初めてかな?」


一星:「あ、はい。不動一星と言います。よろしくお願いします」
一星はシルクに挨拶する。


シルク:「こちらこそ。君はどうして大会に出ようと思ったのかな?」

一星:「ラリーさんに誘われて、デュエルバトルを初めてやってみたら、少しは興味が出て」
シルクの問いに一星は、特に考えることなく、そのままの答えを返した。


シルク:「僕と同じだね」

一星:「え?」

シルク:「僕も6年前、第1回デュエルバトルカーニバル選手権の決勝を見た時、その戦いに惚れて始めたんだ」
シルクは目を瞑って、あの時のことを思い出す。


第1回デュエルバトルカーニバル選手権の決勝


激戦を繰り広げて勝ち抜いた2人が激しいバトルを繰り広げている姿を…。


シルク:「大勢の観客がいる中、あの二人が行われたバトルは激しい攻防戦だったよ。どちらとも激しい攻撃ばかりで、見ているこちらも、時が止まっているように感じた」

あの時、戦っていたモンスター。片方は、リボルバー・ドラゴンと使って、遠距離攻撃を得意とした攻撃を駆使して戦っていた。


そして、もう片方。あのとき、自分は、こちらの選手しか見ていなかった。


選手の方は、サングラスとマフラーをつけて姿を見せることはなかった。

その選手が使っているモンスターも、妙なアーマーに包まれていたため、姿が見えなかった。



あの時、会場にいた観客たちは、顔を隠す方の選手にブーイングを投げていた。


ブーイングを投げつけられている本人は、そんなこと気にもせずにバトルを続けていた。





そして、激しい戦闘を繰り広げる中、その謎の選手は優勝した。



一星:「それがのちに”殿堂入りチャンピオン・名人”の称号を手にしたんですよね」
壁側に寄り一星とシルクは話していた。


シルク:「そう、その次の第2回も優勝し、2回連続優勝したことで、その称号を手にした。ファンのみんなも、その人のことを最後は認めていた」
コップに入っている水を飲むシルク。

シルク:「第3回大会の時には出場していなかったことには残念だったけど、あの人がいたからこそ、今の自分がいるんだっていつも思うんだ。って、ゴメン。僕の昔話なんて興味ないよね」
笑いながら一星に謝る。

一星:「そんなことないですよ。いい話です。俺もラリーさんに誘われて、初めてデュエルバトルして興味を持ったと思いましたが、まだデュエルバトルの楽しさっていうのをわかっていないですから」

シルク:「この大会の中できっとわかるよ。デュエルバトルの楽しさがね」
シルクが一星にそう言うと、館内に放送が鳴り響く。


『選手の皆さん、開会式の開始が近くなってきましたので、会場にお越しください。繰り返します…』

遂に始まる第5回デュエルバトルカーニバル選手権が!


シルク:「さて、僕たちもそろそろ行こう。一星くん、お互い頑張ろう」
シルクが一星に握手を求める。

一星:「こちらこそ、よろしくお願いします」
一星がシルクの握手に応じた。


シルク:「それじゃあ」
シルクは、この場を後にする。


ラリー:「いっせいー!」
ラリーがこちらに来る。

ラリー:「あれ?シルクさんは?」

一星:「もう会場に行きましたよ」
会場に行ったことを伝える一星。

ラリーはがっかりした。

ラリー:「えー、もっと話ししたかったのに」
だったら、一緒にいればよかったのに。他の選手も見てくると言って、俺の元から離れたはラリーさん自身だと心の中で思った一星。

一星本人はシルクの昔話もなどを聞けて、満足したようだ。



一星:「俺たちも行きましょう。開会式の時間です」

ラリー:「うう、わかった」
がっかりしていたラリーも流石に腰を起こし、一星の言う通りに会場に向かった。








第5回デュエルバトルカーニバル選手権予選会場



選手のみんなが、会場に集まって整列する。



MC:「さあ、遂に始まるぞ!第5回デュエルバトルカーニバル選手権が!!世界中のみんな、会場に集まれ!来れないファンは、テレビでその熱いバトルを目に焼き付けろ!ここでの大会進行および実況は、このMCが担当するぜ!」
ノリノリにしゃべるリーゼント司会者、MC。






ジャック:「あの男、久しぶりに見るな」

クロウ:「昔と同じで、元気な司会者だな」
観客席に座るジャックたち。

呆れたようにクロウが言う。




なんだかんだ、2人はMCには世話になっている。


前世紀、プロになった俺たちは様々な大会に出てきた。

そんな何回も出た大会の中、大会を進める司会者だったのが、ほとんどあの男だった。


天兵:「3人共、今日は来れたんだね」
天兵の後ろに座っているボブ、パティ、スライ。

ボブ:「俺は仕事さぼってきた」

パティ:「私は仮病で休んで来たわ」

スライ:「……」


龍可:「なんだかんだ、みんな一星のことが気になるのね」
仕事をさぼってまで来てくれるとは思っていなかった龍可。

苦笑いする龍可であった。




MC:「それでは、まずはノルマンディーカンパニーの社長オズボーン・セーブル社長より挨拶です」
MCは壇に上がってきたオズボーンにマイクを渡す。


オズボーン:「選手の皆さん、ついにこの日がやってきた。第5回デュエルバトルカーニバル選手権、出場者は例年よりも多く、世界各地で行われる予選も、その会場に集まる人数は200人越え。しかし、決勝トーナメントに行けるのは、予選を勝ち抜いた50人のみ。つまり、9割の者たちは予選で落ちるということだ。全ては君たち自身の腕、そして戦うモンスターとの絆が勝敗を握る!選手のみんな、いいバトルを繰り広げてくれることを期待する!」
マイクがあるにも関わらず、大きな声でしゃべるオズボーン。

すると、次の瞬間、口元からマイクを取り、素でしゃべる。


オズボーン:「これより宣言する!第5回デュエルバトルカーニバル選手権の開催を!!」
大きなクラッカーがバーンと鳴り響き、紙くずが宙を舞う。


会場にいるみんなの歓声も会場中に響いていた。

オズボーンは一礼し、MCにマイクを渡し、壇を降りる。


オズボーン:『さあて、犬ども。私のために頑張ってくれよ』
不気味な笑みを浮かべるオズボーンであった。




MC:「オズボーン社長、開催をありがとうございます!さあ、選手のみんな、会場にいるみんな、テレビを見ている君たち!遂に、第5回デュエルバトルカーニバル選手権の始まりだ!まずは予選の開始だ!」
会場にある大きな画面にルーレットが出てきた。


MC:「ここでの予選がリーグ戦で執り行います!ルールは従来と同じルールで行い、戦うモンスターは最初にエントリーしたモンスターではなくてはいきません!試合時間は10分!予選中にモンスターの入れ替えを行いバトルを望んだ時は失格と見なし、大会に出る資格を失いますので注意するように!さあ、予選リーグの対戦が決まったようだ!選手のみんな、最初に戦う相手を目に焼き付けろ!」
大きな画面に選手たちの顔が映り、対戦表が映る。



一星:「!」
一星は驚愕した。

一星の顔が映る隣には、さっき会ったばかりの人の顔が映っていた。


シルク・ガーフィールド。第4回デュエルバトルカーニバル選手権の準優勝者だ。


そして、一星とシルクの顔の間には、こう書いてある。

”VS”という字が!


シルク:「まさか、こうなるとはね」
残念そうに言うシルク。



ラリー:「一星、まさか最初から強敵にぶつかるなんて。しかも、1回戦目」
一星の後ろにいたラリーが言う。

一星とシルクのバトルは、この後すぐの時間帯だった。




MC:「予選リーグ第1試合!不動一星VSシルク・ガーフィールド!」
MCが2人の名前を読む。


一星はシルクを見つめる。

シルクも一星を見つめ返す。

2人の間には火花が散っていた。





愛:「シルク・ガーフィールド。うそっ、第4回デュエルバトルカーニバル選手権の準優勝者だって」
ミッションウォッチのホログラムディスプレイでシルクのデータを見る愛。


エマリー:「いきなり強敵ね」

鬼柳:「運がないな、一星の奴」

ミスティ:「デュエルバトル初心者の一星くんにはきつい相手ね」
娘を挟んで座る鬼柳とミスティが言う。


タカ:「だが、一星もいっぱい練習してきたんだ。絶対に負けるとは限らない!」

ナーヴ:「ああ、あいつだって頑張ってきたんだ」

ブリッツ:「けどよ、第4回準優勝者だぜ。勝ち目はほとんどないだろう」
一星の勝利に確信がないように言うブリッツ。





シェリー:「そうかしら?」
すると、シェリーが話しに入ってきた。

ブリッツはシェリーを見る。

シェリー:「確かにデュエルバトルの腕だったら、向こうの方が上かもしれないわね。でも、一星は、救世主の息子よ。救世主は、どんな相手にも後ろを振り向かず前を見て戦い勝ってきたわ」
救世主…、ネオ童実野シティの救世主の息子。

シェリーの言う通りだ。

あいつのオヤジは、どんな敵のも逃げず立ち向かっていた。

シェリー:「そうよね?アキ」
シェリーが隣に座るアキに話しを振る。

アキ:「そうね。あの子は、父親譲りのところがいっぱいあるから」
笑みを浮かべてアキが言う。






デュエルバトルのフィールドを挟んで立つ一星とシルク。


シルク:「まさか、いきなり当たるとはね」

一星:「手加減はできません」

シルク:「それは、こちらも同じだ、一星君。全力で行くよ!」
真剣な眼差しを見せるシルク。





『field system standby』
デュエルバトルフィールドシステムが起動する。

『Terminal PET setup』
お互いにカードをセットしているターミナル・ペットをバトルフィールドシステムにセットする。

『Review Terminal PET』
ターミナル・ペットの設定を確認。

『yuseiParticle Spread』
フィールド内に遊星粒子が撒かれる。

『Stage ”jungle”』
森林のフィールド。ジャングルが、2人が戦う舞台となった。

『Monster Call!』
一星とシルクのモンスターがフィールドに現れる。

一星は勿論、ジャンク・ヴィクトリーで立ち向かう。

そして、シルクの方は黒いドレスに身を包む女性、”カオス・ゴッデス-混沌の女神-”を出してきた。

ラリー:「あれが、シルクさんのモンスター。カオス・ゴッデス-混沌の女神-…」
カオス・ゴッデス-混沌の女神-の美しさに見とれるラリー。


エマリー:「綺麗…」

鬼柳:「カオス・ゴッデス。そこらへんにいるモンスターのはずだが、なんだ?この殺気は?」

ジャック:「同じモンスターでも使うものが強ければ、その気迫はモンスターに映る。あのシルクと言う男。相当レベルが高いと見えた」
シルクを高評価するジャックたち。



MC:「さあ、予選第1試合の開始だ!」

『DuelBattle START!!!』
一星VSシルク、2人のデュエルバトルが開始された。


シルク:「先手必勝だ!カオス・ゴッデス!その力を見せろ!」
カオス・ゴッデス-混沌の女神-が杖から魔力を放つ。


一星:「避けろ!ジャンク・ヴィクトリー!!」
うまくその攻撃を躱すジャンク・ヴィクトリー。

カオス・ゴッデス-混沌の女神-は連続で杖から連続で魔力を放つが、ジャンク・ヴィクトリーは全て躱す。

シルク:『初心者と言っていたが、才能があるようだね。しかし、躱すだけではバトルは成立しない。僕がデュエルバトルの面白さを教えて上げるよ!』
シルクが動き出す。


シルク:「サポートカード!”コート・オブ・ジャスティス”!」
空に、リングが浮かび上がり、輝きを放つ。

そして、カオス・ゴッデスはそのリングよりも高い位置に飛び上がる。


一星:「!」

シルク:「行くよ!一星君!”カオス・ロッド”!」
カオス・ゴッデスに黒い杖が持たれる。

元々持っていた杖は、もう片方に持っているため、両手に杖が持たれた状態になった。



シルク:「光よ闇よ。全てを飲み込みし、破壊せん!」
カオス・ゴッデスが持っている2本の杖に魔力が溜められる。


一星:『来るか…!』

シルク:「デッド・エンド・ノヴァ!!」
2本に溜められた魔力をコード・オブ・ジャスティスにより出したリングに向けて放つ。

魔力はリングの真ん中を通り抜けたと同時に、拡散した。

まるで、雨のように魔力は地面に降り注ぐ。


周りの森はかき消され、爆風がフィールドを襲った。


MC:『シルク・ガーフィールドのカオス・ゴッデス-混沌の女神-、なんという攻撃だぁ!一瞬で、大地を変えてしまったぞ!』
カオス・ゴッデスの攻撃を見え興奮するMC。




鬼柳:「なんて攻撃だ…!ジャングルが跡形もなく消し飛んだぞ!」

ジャック:「デュエルバトルでは、カードに書かれているテキストに関係なく、攻撃や防御、あらゆる方法で使うことができるが、本来、天使族モンスターを特殊召喚するコート・オブ・ジャスティスを、こんな風に使うとはな」


ナーヴ:「準優勝した過去を持つことだけはあるな。流石だ」


エマリー:「それよりも一星のモンスターは大丈夫なの!?」
周りに飛び取る砂塵の所為で、ジャンク・ヴィクトリーの姿は見えない。


少しずつフィールドに舞う砂塵が晴れていく。







シルク:「本当にキミは初心者なのかい?」
シルクは笑みを浮かべながらそう言った。


砂塵が張れ、木が倒れている中、ジャンク・ヴィクトリーは立っていた。


ジャンク・ヴィクトリーの前にはトラップカード”くず鉄のかかし”があった。


MC:『おおーと!ジャンク・ヴィクトリーは健在だ!くず鉄のかかしで何とか生き延びたぁぁ!』
MCに釣られるように会場のみんなが盛り上がる。


一星:「流石に一瞬で負けるのは恥ずかしいですからね」
ジャンク・ヴィクトリーの前からくず鉄のかかしが消える。


愛:「なんとか生き延びたみたいね」

シェリー:「敵の実力はこれで分かったはずよ。一星はどう反撃に出るかしら」
これから一星がどう動くか楽しみにするシェリー。


シルク:「今の攻撃を受けきる相手は久しぶりにみたよ。生き延びたんだ。君の本当の力見せてくれよ!」

一星:「望むところだ!シルクさん!俺の、いや俺たちのスピードに付いてきてくれよ!サポートカード”ジャンク・ジェット・スラスター”!」
ジャンク・ヴィクトリーの足にジェット機のノズルのようなものが装着された。

そして、ノズルから炎を噴射し、宙に浮くカオス・ゴッデスに急接近する。


シルク:「迂闊だよ!一星君!こっちには、まだコート・オブ・ジャスティスとカオス・ロッドの二つのサポートカードが健在だ!」
カオス・ゴッデスが先ほどと同じ攻撃の体勢に入る。


シルク:「デッド・エンド・ノヴァ!!」
先ほどと同じ魔力をリングに向かって放ち、リングを通り抜けたと同時に、魔力が拡散する。


一星:「お前のスピードを見せろ!ジャンク・ヴィクトリー!!」
ジャンク・ヴィクトリーに拡散した魔力が襲いかかってくるが、ジャンク・ヴィクトリーは足に装着されたノズルにより、スピードが上がり高速移動で、デッド・エンド・ノヴァを躱した。


シルク:「は、早い…!」
ジャンク・ヴィクトリーのスピードに驚くシルク。



ジャンク・ヴィクトリーは、その最高のスピードを活かしながら、コート・オブ・ジャスティスに突撃し破壊する。


そして、そのままカオス・ゴッデスに接近する。


一星:「サポートカード!”フレイムガントレット”!!」
ジャンク・ヴィクトリーの腕が炎に包まれる。



MC:『おおっとぉ!ジャンク・ヴィクトリーの腕が炎で燃え上がった!これで勝負は決まるのかあ!』
燃え上がるジャンク・ヴィクトリーの腕を見て、一星の勝利を予言するMC。





ブリッツ:「おいおい!あいつ、前大会の準優勝者に勝っちまうぜ!」

エマリー:「このまま、行けば勝てるわ!」
喜ぶエマリー達。


しかし、数人だけは、疑いの目で2人のバトルを見ていた。



クロウ:「いや…」

ジャック:「あいつにはまだ、3枚のサポートカードが存在する」
腕を組みながら、そう語る玄人ジャック。


そして、2人の予想は的中する。


カオス・ゴッデスは手に持っていたカオス・ロッドを投げ捨て、地上まで急降下する。


シルク:「サポートカード!”チェーン・ストライク”!!」
カオス・ゴッデスが元々持っていた杖を地面に突き刺す。

すると、地中から無数のチェーンが出てきて、ジャンク・ヴィクトリーを拘束する。


一星:「!!」

MC:「シルク選手!ここで、チェーン・ストライクを使ったぁ!ジャンク・ヴィクトリー身動きができなくなったぞぉぉぉ!」
会場の歓声が大きくなる。


余裕の笑みを見せるシルク。


一星:「まだ、こんなサポートカードを残していたのか…!」

シルク:「どうだい?一星君。これが、デュエルバトルだ」

一星:「!?」

シルク:「決められた時間の中で、モンスターをどのようにしてバトルさせるのか。そして、制限されたサポートカードをうまく利用することで、勝利へと導く。一度敗れたら、残された数枚のカードで新たな策を生み出し逆転する。これが僕が教えるデュエルバトルの楽しみさ!デュエルバトルも、デュエルモンスターズと同じデュエリストの戦術で競うバトルさ!」
自分にとってのデュエルバトルの楽しみを伝えるシルク。

その言葉を聞いた一星は、本当の意味で自分が、なぜデュエルバトルに興味を持ったのか分かった気がした。




あの時はラリーさんのバトルを何度も見て、そして体感して少し興味を持った。

だが、俺が本当に興味を持ったのは、これだったんだと。

少ないカードでどれだけジャンク・ヴィクトリーを勝利へ導けるのかを見たかったんだ…!

一星はフィールド内を見て、拘束されているジャンク・ヴィクトリーを見る。

一星の視線に気づいたかのようにジャンク・ヴィクトリーも一星を見る。


シルク:「残り1分。時間ないからね。ここで勝負を決めさせてもらうよ!”アテナ”!!」
シルクはここで、サポートカードの中で唯一のモンスターカードを出した。


拘束されたジャンク・ヴィクトリーを挟むように、2体の天使は位置へ着いた。


シルク:「フィナーレだよ!」
指を鳴らすシルク。


2体の天使が武器に聖なる光をため込む。


シルク:「混沌の光と聖者の光交わりし時、世界を包む光が勝利へ導く!サンクチュアリ・オブ・サンダルフォン!!」
2体の天使が真ん中にいるジャンク・ヴィクトリーに向かって杖にため込んだ光を解き放つ。


解き放った光は衝突し、フィールド内が光に包まれる。



パティ:「ま、眩しい…!」

天兵:「なんて攻撃なの…!?」
フィールド内から解き放たれる光に驚く会場の人々。


アキ:「一星…!」
息子の名前を呼ぶアキ。



MC:『フィールド、いや会場は大きな光の眼差しに包まれたぁ!ジャンク・ヴィクトリーはどうなったぁ!』
会場を包む光が徐々に薄れる。


勝利を確信したシルクは少し笑った。


しかし、突如フィールド内を竜巻が襲った。

シルク:「何…!」

チェーンによって拘束されたジャンク・ヴィクトリーは健在だった。


一星:「シルクさん。一つ忘れていますよ。俺にはまだモンスターカードのサポートカードが残っています」
竜巻の中から緑色の肌に鎧を付けた戦士が現れた。

一星:「サポートカード!シンクロモンスター!”ニトロ・サイクロン”!!」
ニトロ・サイクロンは、ジャンク・ヴィクトリーを拘束するチェーンを切り落とす。


MC:「おおおっと!ジャンク・ヴィクトリーはまだ健在だぁ!なんと凄まじいバトルだ!大会を開幕させる相応しいバトルだあ!」


会場が盛り上がる。



愛:「一星、無事だったのね!」


鬼柳:「いいタイミングでサポートカードを出しやがる」

ナーヴ:「ホントだな」
一星のモンスター、ジャンク・ヴィクトリーが無事だったことに喜ぶみんな。


シルク:「そうだよ!一星君!それこそデュエルバトルだ!」
一星の行動に喜ぶシルク。


MC:「しかし、残り時間はもうすぐ30秒を過ぎてしまうぞ!タイムオーバーになってしまった場合、ヒットポイントが多い方が勝利となる!今現在、ヒットポイントが多いのはシルク選手の、カオス・ゴッデス!さあ、どうする!不動一星!そして、ジャンク・ヴィクトリー!!」
大きな声で実況するMC。



一星:「もう時間はない!ラストサポートカード!”ハイソリッド・ユニゾン・ランチャー”!!」
ジャンク・が巨大なランチャー砲を持ち構える。


一星:「残り30秒に全てをかける!」
一星がとてつもない気迫が放たれる。


シルク:「ならばこちらも、取って置きを見せるとしよう!最後のサポートカード!”イオフィエル・スヴィエート”!」
シルクがサポートカードを発動したと同時に、カオス・ゴッデスとアテナが横に並んで立つ。

そして、背後に女性の姿をした神が現れる。


ジャンク・ヴィクトリーもハイソリッド・ユニゾン・ランチャーにエネルギーを充電する。


ニトロ・サイクロンも力を溜める。



シルク:「全てを支配する静寂な光!イオフィエル・スヴィエート!!」
カオス・ゴッデス、アテナ、そして2体の背後に現れた女性の姿をした神が光を解き放つ。


そして、一星のモンスターたちも攻撃を開始する。

まずは、ニトロ・サイクロンが溜めていた力を解き放ち攻撃する。


一星:「ハイソリッド・ユニゾン・ランチャー!ファイアー!」
ジャンク・ヴィクトリーもハイソリッド・ユニゾン・ランチャーからエネルギーを解き放つ。


両者の攻撃がぶつかり合う。


一星、シルク:「「うおおおおおお!!」」

両者譲らない攻撃がフィールド内のジャングルを襲う。


そして、ジャンク・ヴィクトリーの方の攻撃が追い込んでいく。


シルク:「!」

一星:「俺の、勝ちです!シルクさん!」
完全にジャンク・ヴィクトリーの攻撃が押し込み、カオス・ゴッデスたちに直撃する。


シルクのモンスターのヒットポイント0。

残りタイム1秒。


会場が静まっていた。


『DuelBattle End! DuelBattle End!』

MC:「……はっ!けっちゃーく!大会最初のバトルにも関わらず激しいバトルを見せ、最後まで立っていたのは、ジャンク・ヴィクトリーを扱う不どーう一星!!」

WINNER不動一星の表示が電光掲示板に出る。



会場が大きく盛り上がった。


愛:「一星の勝ちよ!」

ボブ:「よっしゃあ!」
一星の勝利に喜ぶ仲間たち。

その中で一人スライだけは、喜びを表に出さずにいた。




ラリー:「やったな、一星」
遠い場所から一星の勝利を見届けていたラリー。



シルクが一星の元に来る。


シルク:「一星君。負けたよ。僕の完敗だ」

一星:「俺も、あなたから色々と学ばさせていただきました。ありがとうございます」

シルク:「キミの勝利に期待するよ」
シルクが一星に握手を求めた。

一星:「はい」
一星は握手に応じた。




一星、大会初のバトルは勝利という字で幕を下ろすのであった。






第6ED『Imagination > Reality《AiRI》』






次回予告

ナレーション:1回戦目を勝ち抜いた一星。

続いて2回戦目は”ガルマソード”を使うベンジャミ・アレンと言う男だった。

しかし、この男にはある秘密が隠されていた。


一星:次回、遊戯王5DXAL「襲いかかる阿修羅の魔剣」

一星:「剣に剣で勝負だ!」
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