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第92話:『属性波動 習得の道』







羅夢:「ちゃんとやってるみたいだね」
それは、SOA特務隊6係リーダー、実野塚羅夢だった。


突如、みんなが修行する場所に現れた羅夢。



小鳥:「羅夢さん、どうして?」
羅夢が姿を現したことに不思議を持つ小鳥が問いかける。

羅夢:「今回の修行は、俺も手伝うことになっているからね」
羅夢は一言そう言った。







第6OP『ハートウェーブ《福圓美里》』







第92話:『属性波動 習得の道』






皆の修行を手伝いに来た羅夢。丁度、予定時間に来た羅夢に遊馬が声を掛ける。

遊馬:「予定通りの時間だな」

羅夢:「もっと早く来るつもりだったけどな。前の任務の報告書がうまくまとめらなくて、こんな時間になってしまった」

遊馬:「丁度いいタイミングだよ」
遊馬は笑みを浮かべながら言った。



等々力:「遊馬君、どうして羅夢さんが、修行の手伝いに?特に不安があるわけじゃないけど…」
等々力の問いに羅夢本人が答えた。

羅夢:「そうだね」
羅夢は一度、遊馬の顔を見る。

遊馬は縦に首を一度振った。


羅夢:「まず、孤独の法を解かれた遊馬のことなんだけど、国家政府の承認を得ているとはいえ、四大神王者の1人だって言うことには変わりはない。いつ、また孤独の法になってもおかしくないし、任務のために外に行くことも考えられる。だから、俺が代理としてみんなの修行を見届けることになったんだ。遊馬本人にも頼まれたしな」
再び、遊馬を見る羅夢。


羅夢:「そして、今回の修行について、フロンティア上層部は、この修行にあまり月日をかけないほしいと言われているからね。一応、2か月は貰っているけど、属性波動の力を取得するのは本来半年はかかる」
半年つまり、6か月で取得できるものを2か月で取得するという内容は、みんなを不安にさせた。


ベクター:「おいおい、本当に属性波動の力を手に入れられるのかよ!」

ゴーシュ:「半年で取得できるものをどうやって2か月で取得するんだ?」
2人の問いに遊馬が簡単に答えた。

遊馬:「1日の修行時間をなるべく多く取る。それだけだぜ」
と本当に簡単に答えた。


闇川:「本当にできるのか?」

六十郎:「みんな、不安じゃぞ」


羅夢:「そのために俺がいるんです」
と羅夢が前に出る。

羅夢:「俺の力があれば、みんなの体力を回復できるからね」

小鳥:「羅夢さんと言えば、確か樹属性っていう力を使いましたよね」

徳之助:「そうウラ!羅夢さんの波動属性見てみたいウラ!」
いきなり言われて、羅夢が「え」と少し驚く。

徳之助:「見せてほしいウラ!」
少し無理矢理感がある言い方で羅夢にお願いする。


羅夢:「そうだね…」
どうしようかなという感じで少し照れくさそうな感じになる羅夢。


すると、遊馬が羅夢の耳元で囁く。


遊馬:「いずれ教えることになるだろうし、ここはひとつ頼むわ。ここで断れば徳之助がうるさくなるだろうし」

羅夢:「いいのか?あまり時間ないだろう」

遊馬:「修行は今日始まったばかりだ。まだ60日ある」

羅夢:「キミがそういうなら」
遊馬が羅夢から離れる。


羅夢:「それじゃあ、デュエルギアと併用して見せるよ」
羅夢はデッキケースから1枚カードを取る。


羅夢:「バルキオン・ランスロット!」
緑と銀色のスピアを手元に出す羅夢。


”ナチュル・バルキオン”のスピアタイプのデュエルギア”バルキオン・ランスロット”。これが羅夢が愛用するデュエルギアだ。






羅夢:「アースクエイク・ラッシュウォール!!」
波動をバルキオン・ランスロットに流し込み、斬撃を少し離れた場所の地面に向かって放つ。

そして、その斬撃は地面に当たり、その辺りの地面が盛り上がり小さい山ができる。


羅夢:「ウォータスプライシェード!!」
バルキオン・ランスロットを地面に突き刺し、今さっき作った小さい山の天辺から噴水のように水が勢いよく吹き出る。

吹き出る水は止まることなく、川のように流れる。

羅夢は、その山に近づく。


羅夢:「これが俺の属性波動の力。俺は主に地属性と水属性の二つを得意としているんだ」
アースクエイク・ラッシュウォールは地属性の波動による力でできるもの。そして、ウォータスプライシェードは水属性の波動によってできる。


鉄男:「ってことは二つの属性の波動が強く流れているってことか?」
疑問に思った鉄男が遊馬に聞いた。


遊馬:「経験や修行を積み重ねていけば、体内に流れる、それぞれの属性波動も強くなっていく。俺の場合は、戦闘じゃあ全ての属性を扱っているからな」
6つの属性を使いこなすことを少しだけ自慢する遊馬。


キャッシー:「ふーん、それじゃあ、羅夢さんは樹属性っていう属性を合わせれば3つの属性を戦いの中で使っているってことね」

遊馬:「まあ、属性という言葉の単位で数えたら3つだな」
みんなの頭の中に、はてなマークが出る。

属性という言葉の単位とはどういう意味だ?


言った本人は勿論理解しているし、力を見せた羅夢も、この言葉の意味はわかっている。

クスクスと笑う羅夢。


羅夢:「確かに、属性と言う言葉の単位で言えば、3つだね。けど、波動の単位で言えば、水と地の2つだけなんだよ。”樹”なんて属性の波動はないだろ?」

確かに。属性の波動はデュエルモンスターズの属性と同じで炎、水、風、地、光、闇の6つしかないとさっき遊馬が言っていた。


ハルト:「そういえば…」

Ⅲ:「それじゃあ、樹属性って一体…」
気になることを遊馬にぶつける。


遊馬:「組み合わせているんだ」

Ⅲ:「組み合わせる?」

遊馬:「ああ、水属性と地属性を組み合わせて、新たな属性、”樹属性”を生み出しているんだ」
水と地。その二つから生み出された新たな属性。それが樹だ。


羅夢:「水、そして地。この二つの波動を均等に組み合わせることで、俺は”樹”という属性を発生させることができる」
羅夢はそういうと、水が流れる山に自身の手を置いた。


そして、樹属性の力を手を置いた山に対して流し込み、水が吹き出る山の天辺から一本の木が生えた。

アリト:「すげえ」

Ⅴ:「こういうこともできるのか」
改めて属性の波動の力を思い知るみんな。



羅夢:「一人が複数の属性波動を使うとなると戦いも有利になる。敵がどんな属性の攻撃を仕掛けても対抗できるからね。でも、俺みたいに複数の属性を組み合わせることで新たな属性を生み出せば、より強力な攻撃になり武器にもなる。中には特性を持つ属性もあり、俺の樹属性は回復能力の力が備わっている」
さっき羅夢が言っていた。自分の力があれば、体力を回復できると。

その意味がようやく理解できた鉄男たちだった。

「なるほど」と頷いた。


遊馬:「複数の属性を組み合わせることで、新たに生み出された属性、それを生み出した人間を”多重属性界”っていうんだ。シャーク、お前は聞いたことあるんじゃねえのか?」
と遊馬が凌牙に聞いた。

凌牙はダイシャラス王国での戦いで、その単語を聞いたことがあるからだ。

その言葉を聞いた時、一緒に戦っていた慎也から「また今度教えてやる」と一言言われたことも覚えている。

凌牙は「ああ」と返事をする。


遊馬:「お前が、ダイシャラス王国で戦った幹部の1人J・J(ジェー・ツー)。奴もそうだ。奴は地属性と闇属性を組み合わせて”邪属性”を生み出していた」
遊馬の話しを聞いて、凌牙はあのときの戦いを思い出す。


今思えば変わった力だった。

もし慎也がいなければ、俺は今ここにいなかったかもしれない。



羅夢:「ちなみに、君たちの前にいる彼だって、多重属性界の持ち主だよ」

みんなの前にいる彼と言えば…。



Ⅳ:「何…!」

小鳥:「遊馬が…!」

一馬:「お前も複数の属性を組み合わせることができるのか…?」
一馬が遊馬に聞く。






羅夢:「遊馬は水属性と風属性の二つを組み合わせることで、”嵐属性”という属性を生み出しているんだ」
遊馬の代わりに遊馬の多重属性界のことを解説する羅夢に遊馬が突っ込む。


遊馬:「あんまり、人の力を暴露するなよ。四大神王者の力は、一応機密事項みたいなものなんだぞ」

羅夢:「そうだったね」
羅夢は反省する気がないような感じでそう言った。

遊馬はため息をついた。


徳之助:「嵐属性の力、見せてほしいウラ!」
やっぱり突っかかってきた徳之助。



遊馬:「また今度な。話しが進まねえ」

徳之助:「ちぇっ」
残念そうに徳之助が言った。



遊馬:「さて、話しを戻すぞ」
そう言って遊馬はミッションウォッチから粒子変換していたある機器を出した。


遊馬:「さっき、属性紙で自分がどの属性波動が一番流れているのかはわかったはずだ。それを、今まで使ってきたデュエルギアに流し込む。それが第1段階だ」
遊馬はそう言いながら、手元に出した機器を、遊馬が愛用する希望皇ホープのデュエルギア”ナディエージダ”にセットする。


遊馬:「こいつは、フロンティア本部にいる開発部が作ってくれた属性波動の測定器だ。見てろ」
遊馬はそう言うと、ナディエージダに自分のデュエルエナジーを流し込んでみる。


すると、属性波動の測定器に二つの数値が出る。

遊馬の場合、上が98%、下が95%となっていた。


遊馬:「この測定器の見方は上に出ている数値が、デュエルエナジーのアルマ、つまりデュエルギアを出すためのデュエルエナジーを測定している数値だ。そして、下がデュエルエナジーの属性波動の数値だ。みんなには、この下の数値を2週間で80%超えるようにしてもらう」

カイト:「2週間で80%…」


羅夢:「さっきも言ったけど、この属性波動をモノにするために半年は必ずかかる。それを2か月で取得するということは、今日から過酷な試練が待っているということだ」
羅夢のちょっとした脅しに少し戸惑う小鳥たちだった。


遊馬:「リタイアするなら今の内だ。どうする?」
遊馬が問いかける。


すると、


凌牙:「俺はやるぞ。ここまで説明聞いたからにはな」

璃緒:「そうね。これで逃げてたら、これからフロンティアにいられなくなるわ」

アンナ:「やってやろうじゃねえか!なあ、みんな!」
アンナがそう聞くと、首を縦に振る者たちが沢山いた。


風也:「もっと強くなりたい。二度とあんな見っともない負けはしたくないんだ」
1か月前に元セルビアの戦闘部隊隊長だったゼツラに完敗している風也が、その時の戦いを思い出し悔しい気持ちを胸いっぱいにして言う。



チャーリー:「光属性の波動、俺にぴったりの属性だな。必ずものにしてやるよ」
歯をキラッと光らせる。

明里:「ただカッコつけたいだけじゃない…」
ボソッと呆れた口調で明里が言う。


春:「遊馬、あたしもやってよいか?」

未来:「お婆ちゃん…!」

春が遊馬の近づき問いかける。

遊馬:「まあ、いいけど、戦いには参加しないだろ、婆ちゃん」

春:「いざっていう時に、みんなを守る力ぐらいは身につけておきたくてな」
ニコッと笑う春。

遊馬:「そういうことなら、わかったぜ。婆ちゃん」
祖母の春、修行に参加することを許した遊馬は、みんなに指示する。


遊馬:「さて、始めるか。各自、好きな場所で修行をやってくれ。遠く離れなければ、どこで修行しても構わない。俺と羅夢で見回りしているから、さぼるのはやめてくれよ」

鉄男:「さぼるわけないだろ。お前じゃあるまいし」

小鳥:「そうよ。私たちはやるって決めたらやるわよ」
遊馬を小ばかにする鉄男たちに、遊馬が「言ってくれるな」と呟く。


一馬:「言われ放題だな遊馬」

遊馬:「やる気がある証拠として受け取るさ。それじゃあ、修行を初めてくれ!」
ついに、属性波動を取得するための修行が始まった。





みんなは、それぞれの場所に散らばり、デュエルギアにデュエルエナジーを測定する機器をつけて、属性波動をデュエルエナジーに流し込んでいく。




徳之助:「ふん!はあ!」
木に囲まれた場所で一人修行している徳之助。

愛用するチュウボーンのデュエルギアに測定器をつけて修行するが、測定器の上の数値は出ているものの属性波動の数値を示す下の数値に変化はない。


徳之助:「む、難しいウラ…」
わかっていたが、やはり簡単にはいかないようだ。




鉄男は、小さい湖の近くで修行していた。


ブリキギュンターにつけている測定器の下の数値が少し上がった。

鉄男:「よし、6%!とりあえず、デュエルギアに地属性の波動は流せているな!」
少しだけ喜ぶ鉄男。


物陰からその姿を見る羅夢。

鉄男の修行姿を見て、すぐこの場を後にする。






他のみんなも修行を開始し、羅夢は全員の修行風景に問題ないか確認する。





その頃、さっき属性波動について説明した場所の近くに遊馬はいた。


その近くで、修行する小鳥、凌牙、カイトの3人。



凌牙:「よし、10%を越えた」
ブラックランサーにつけた測定器の下の数値は11%と表示されていた。




同時にカイトも10%を越えていた。

測定器を確認し、15%の数値が出ていることを確認する。




少し息を切らす小鳥。

しかし、小鳥が持っているデュエルギア”フェアリー・アーチェリー”につけている測定器も丁度10%の数値を示していた。



3人を少し離れた場所で見る遊馬。

遊馬:「へえ」
少し嬉しそうにする遊馬。


そこに、羅夢が来た。


羅夢:「遊馬」
羅夢は遊馬に何かを伝えようとする。

遊馬:「お前が言いたいことは何となくわかるぜ」
その言葉を聞いた羅夢は「そうか」と返事を返す。



遊馬:『開始して1時間も経っていねえのに、もう測定器の数値が10%を越える奴らが現れたか。こいつは、以外と早く蹴りが着きそうだな』
心の中で遊馬は呟いた。









数日が経過した。




第5回デュエルバトルカーニバル選手権予選開始まで、残り3日。


一星とラリーは相変わらずフロンティア本部にあるデュエルバトルのシステムで腕を磨いていた。






その頃、龍亜、龍可、天兵はネオコーポレーションシティの、とあるファミレスを訪れていた。


理由はある者たちと待ち合わせをしていたからだ。


天兵:「あ、みんな!こっち、こっち!」
天兵は手を挙げて、店に入ってきた3人の友達を呼びかける。


龍可:「久しぶり、ボブ、パティ、スライ!」
と3人の友達に挨拶する龍可。


パティ:「龍可!久しぶり!元気だった?」
龍可を抱きしめる肌が黒く金髪の女性パティ。

学生時代はツインテールだったが、今では髪を下ろし綺麗で魅力的な姿をしている。


龍可:「ええ、もちろんよ」
龍可は笑顔でそう言った。



天兵:「ボブもスライも久しぶりだね。最後に会ったのは、確か…」

ボブ:「2年前の同窓会のときだ」
元気な声でそういったボブ。


スライ:「ふん」
腕を組んで、ぷいっと天兵たちから目を逸らすスライ。

龍亜:「お前、相変わらずだな。友達少なくなるぞ」
スライの行動に茶々を入れる龍亜にスライが突っかかる。

スライ:「なんだと?」

龍亜:「なんだよ?」
お互いに目線を合わせ、火花を散らす。


龍可:「もう、久しぶりに会って早々ケンカしないでよ」
龍可が龍亜の胸を押す。

龍亜:「いてっ!だってよ、スライが…!」

龍可:「だってよ、じゃないわ!ごめんね、スライ。龍亜の所為で機嫌を悪くしちゃって」
龍可がスライに謝る。


スライ:「別に…気にしていない」
龍亜の時とは違い、おとなしくするスライを見た龍亜が「ふん」と鼻を鳴らす。


龍亜:「なんだよ、龍可の時は大人しくなってよ」
自分の時とは明らかに態度が違うじゃねえかよと龍亜は心の中で思った。






ボブ:「お前と違って、龍可は優しいからな」


龍亜:「なんだと」
ボブの言葉が聞き捨てならなかった龍亜が少し怒る。

その姿を見て、天兵が笑う。



ボブ:「それよりどうなんだ?フロンティアは?やっぱり厳しい戦いと任務だらけなのか?」
龍亜たちがフロンティアにいることを知っているボブが問う。


天兵:「厳しいことや辛いことだらけだけど、楽しいことも沢山あるよ」
嬉しそうに言う天兵を見てボブは安心した。

ボブ:「そうか。それならよかったぜ。けど、無茶だけはするなよな。俺たちは見守ることしかできないかもしれないけど、それでも俺たちにとってお前らは大切な友達なんだからよ」
ボブはそういうと、パティが頷く。

パティ:「死ぬのだけは絶対にダメだよ」

龍可:「縁起でもないこと言わないでよね、もう。大丈夫よ、ジャックやクロウ、みんながいるから」
パティたちを安心させる龍可。


スライ:「それで、いきなり俺たちを呼んだ理由は何だ?」
今言うことではないセリフを言ってしまったスライ。


パティが涙目になって、スライを睨みつける。

パティ:「スライ…それ、今いうセリフ?」
赤く光った目がスライを睨む。

スライ:「わ、悪い…」
怖かったのか、つい謝ってしまったスライ。


龍可:「そ、そうね、本題に入らないとね」
龍可はそう言って、みんなを席に座らせる。







数分後、スライ達も注文した飲み物が届いた。



ボブ:「デュエルバトルカーニバル選手権?」

龍亜:「ああ」

パティ:「それって確か、少し前に大手の会社の社長が開催宣言した大会よね?」

龍亜:「その大会に、一星が出るんだ」

龍可:「みんなで応援に行こうと思うんだけど、どう?」
龍可は3人に聞いた。


ボブ:「そうだな。仕事もあるけど、時間が空けば、行けるな」

パティ:「私もそうね。全部は行けないと思うけど、応援に行くわ」
2人の答えを聞いた龍可は礼を言う。

天兵:「スライはどう?行ける?」
天兵がさっきから黙っているスライに問いかける。

スライ:「……」
黙っているスライ。

天兵:「スライ?」

龍亜:「やめとけ、やめとけ。来る気がないなら、もう聞くな」
龍亜がそういうと、隣に座る龍可が龍亜に拳骨を喰らわせた。

龍亜:「ぐべっ!」

龍可:「そんなこと言わないの!全く」
流石、双子の妹。兄を黙らせた。

龍可:「スライも行かない?勿論、仕事が忙しくなければの話しだけど…」
スライを誘う龍可。

スライ:「……仕事は休める。行ってやるよ」
龍可から目を逸らして言う。


龍可:「よかった。ありがとう」

龍亜:「最初から素直に言えよ」
龍亜の言葉は龍可に聞こえていたようで、龍可は自分の拳を龍亜に見せつける。



龍亜:「ご、ごめん」
直ぐに謝る龍亜。


龍可:「みんなが来てくれたら、一星もアキさんも喜ぶよ」
龍可がそう言うと、パティが問いかけた。

パティ:「アキさんは、もう大丈夫なの?」

龍可:「え?」

パティ:「ほら、遊星が行方不明になったとき、かなり落ち込んでいたでしょ。私、今でも覚えているから。あれからもう50年以上も経つけど…」

龍可も龍亜も知っていた。最愛の人が行方不明になったとき、アキは物凄く落ち込んでいた。

誰とも口を聞かなかった時もあった。


龍可:「大丈夫よ、アキさん、もう乗り越えているから。でも、たまに元気をなくすときがあるけどね…」
龍可が目の前にあるカフェラテを一口飲んで、外を見る。








その頃…。




一星:「ジャンク・ヴィクトリー!ワンショット・ナイトにトドメを差せ!」
一星の指示でジャンク・ヴィクトリーが突貫し、ワンショット・ナイトを撃破した。


『DuelBattle End! DuelBattle End!』

勝者、不動一星


ラリー:「初めて負けちまったな」
自分の敗北を認めるラリー。

だが、一星の腕前はかなり上達している。この短期間で、よくここまで上げられたものだ。


ジャック:「フッ、流石は遊星の息子だな」

クロウ:「ああ、この短い期間で、かなり成長したみたいだな」


周りにいるジャックやクロウ、ナーヴたちも一星の成長ぶりに驚いていた。




アキ:「……」
一星の見るアキ。

一星を見ていると、たまに思い出してしまう。

50年以上も前。前世紀の時に、行方不明となった最愛の夫、遊星のことを…。


ミスティ:『どうしたの、アキ?』
隣にいたミスティが声をかけてきた。

アキ:「え?ああ、何でもないわ」
自我を取り戻すアキ。




ラリー:「よし、これなら大会で戦えるレベルだな」

一星:「俺、まだデュエルバトルの楽しみをちゃんと理解していませんが、大会の中でそれを見つけます」

ラリー:「その勢だ、一星!」

一星:「まずは一勝。必ず勝って見せる!」
遂に、一星がデュエルバトルカーニバル選手権に挑むときが来る!









第6ED『Imagination > Reality《AiRI》』








次回予告

ナレーション:遂に、第5回デュエルバトルカーニバル選手権の予選が始まった!

一星が最初にバトルするのは、なんと第4回デュエルバトルカーニバル選手権の準優勝者であった!

初手から強敵にぶち当たってしまった一星に勝ち目はあるのか!

一星:次回、遊戯王5DXAL「勝利VS混沌の女神 決死の数秒」

一星:「残り30秒に全てをかける!」


遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!


一星:「多元世紀45年に広まった新ゲーム。それが”デュエルバトル”だ。遊星粒子で作り上げたフィールド内にモンスターを1体だけ出現させてバトルさせる。サポートカードをうまく利用し、勝利を掴め!」
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