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第87話:『本部帰還命令 百々原と遊馬』








徳山を初め、隠密剣士部隊のみんなが、セルビアとフレシャス財団のみんなを、トラックに乗せる。


徳山:「俺たちは先に本部へと帰還する。行くぞ!」
徳山は先頭にいるトラックの助手席に乗り、十数台のトラックが一斉に出発した。





その頃、今回の司令ヤバは、遊馬に怒りをぶつけていた。


すごい怒った目線で、遊馬を見るヤバ。


その目に、遊馬は振り向こうともしなかった。






第5OP『D-tecnoLife《UVERworld》』






第87話:『本部帰還命令 百々原と遊馬』





遊馬をにらみつけるヤバ。


ヤバ:「おい、遊馬!」
名前を呼ぶヤバ。

遊馬は目線を合わせず、返事をした。


遊馬:「なんだよ?」

ヤバ:「こっちを見ろ!」
遊馬はヤバの言う通りにした。



ヤバ:「孤独の法を破った理由を教えてもらおうか!答え次第では、貴様は牢獄行きだ」

遊馬:「俺が、ここに来たのは、遊戯さんの経由で血のデスリングが、ここにあることを知り、任務を遂行していただけだ。あんたも知ってるはずだ。俺たち四大神王者がデスリングについて、どれだけ危険だということを知っているのか」

ヤバ:「ああ、四大神王者のリーダー、アッシュいや、武藤遊戯がデスリングを持っているからな」
ヤバの言葉に、ほとんどの者たちが驚いた。



双六:「遊戯がデスリングを持っているじゃと…!」

レベッカ:「それ、本当の話しなの!?」
遊馬にレベッカが追求した。

遊馬は頷いた。


遊馬:『まあ、遊戯さんだけじゃないがな…』


ヤバ:「それが、ここに来た理由か?」

遊馬:「ああ、俺は四大神王者として、みんなは大統領経由でフロンティアとして任務を遂行した。偶然、任務の中身が同じだったってことだ」

ヤバ:「だとしても、仲間や家族との接触はまた別の話だ」
この言葉を聞いた遊馬は少しだけ歯を立てた。

ヤバが言っていることは、つまり、家族や仲間たちを見捨てろと言っているように聞こえたからだ。



ゴーシュ:「あんたいい加減にしろよ」

ドロワ:「事情はどうあれ、遊馬のおかげでさらわれたみんなは助かった」

小鳥:「私も危ないところを助けてもらったわ!」
みんなが遊馬の味方をする。


ヤバ:「だが、今回の任務である血のデスリングの回収は失敗した!」
大きな声で叫ぶヤバ。その言葉に誰も返すことはできなかった。



ヤバ:「持ち去ったのは、遊馬、貴様が追っているバリアンだ。お前がバリアンという障害物を早く排除しなかったから、この結果が生まれた!この落とし前どうしてくれる!」
遊馬の目の前に来て追求するヤバ。


向かい合う2人の目線。その間にはプレッシャーが放たれていた。



遊馬:「わかったよ。バリアン追撃については、まだ俺に任されている任務だ。ドン・サウザンドの件もあるし、早いとこ奴らを見つけて、血のデスリングを回収してやる。それでいいか?」
溜息をついて、そう言った遊馬。

ヤバ:「ほお、まともな答えが出たな。孤独の法を枷られている奴が一番言いそうな言葉だ」


遊馬:「どうせ、あんたは、この答えを待っていたんだろ?俺たちを孤立させて、命がけのことは、全て俺たちに擦り付けて、それでおしまい。せこいぜ」
ヤバから目線を逸らす遊馬。

ヤバ:「なんだと…?もう一回言ってみろ!ただじゃ置かないぞ!」
ヤバは周り込み、遊馬と目線を合わせる。


遊馬:「ああ、何度もいってやる。せこいって言ったんだ。俺が、あんたら十天老士にどれだけの怒りをぶつけたいのか、ここではっきりつけてやろうか」

ヤバ:「お前、口の利き方に―」
ヤバが遊馬に更なる怒りをぶつけようとする。



しかし、あの男の乱入で、それは叶わなかった。






慎也:「いい加減にしてくれ!ヤバ司令」
ヤバの背後に立つ慎也が大きな声で言う。



ヤバ:「慎也、貴様も俺に口答えするか!」


慎也:「無礼な口を言ったことは謝ります。ですが、遊馬もフロンティアの仲間、いやそれ以前に、1人の人間です。彼を孤立させる理由はありません!」

遊馬:「慎也…」
上下関係を破り、慎也がヤバに自分が思っていることをぶつけた。


慎也:「それに、俺がここに来たのは、他に理由があります」

ヤバ:「理由だと?」

慎也が遊馬を見る。


慎也:「俺は、元帥から遊馬宛に伝言を頼まれてきたんだ」

遊馬:「俺に?」

慎也:「ああ、元帥は、遊馬がここにいることを予想していた。おそらくデスリングのことだから四大神王者が動くと予想していたんだろう」

遊馬:「それで、伝言の内容は?」
遊馬が気になる伝言の内容。慎也は、その答えを真剣な顔で言った。


慎也:「遊馬、元帥からの命令で今すぐネオコーポレーションシティ、フロンティア本部に帰還しろ」
慎也の口から放たれた言葉。遊馬、ヤバ、そして、周りのみんなが驚く。


慎也:「それが、元帥から伝言だ。帰還後の内容はまだ聞いていない」

遊馬:「単刀直入だな。まあ、あの人らしいけどな」
少し笑って言う。


ヤバ:「遊馬に帰還命令だと…!バカな、あの人は一体何を考えている!」
元帥の考えに賛同できないヤバが文句を言う。



葵:「司令、この件については元帥に一任されています。あなたがとやかく言える立場ではありません」
慎也の隣に立つ恋人の葵がヤバに対して発言する。



ヤバ:「くっ、わかった。元帥の命令だ。俺に拒否権はない。だが、孤独の法が解かれているわけではない。必要最低限、仲間たちとの会話は控えてもらうぞ!」
孤独の法のことだけ、強調して言う。



遊馬:「わかったよ。そこだけは、油断ならねえんだな」

ヤバ:「なんとでもいえ。1時間後にフロンティア本部へと帰還する。それまでに支度しろ」
その言葉が、ここでヤバがみんなに命令した最後の言葉だった。








十数分後…





セルビア基地

地下




そこにジムと明日香、イシズ、遊馬の4人がいた。



明日香:「それじゃあ読むわよ」
明日香の前にある大きな石版。そう、神秘の石版だ。

ジムと戦ったマーガレットは、この石版について研究していた。

どういった経緯で、この石版を手にしたかはわからないが、奴はこの神秘の石版を研究していたのは事実。つまり、この石版は本物となる。


明日香は石版に触れる。



明日香:「世界が混沌に染まりし時、一つの国が滅び去った。世界の始まりであり、世界の終わりを示す場所。時代が新時代へと突き進むそのときまで、その国が全ての鍵を握る。その国の名は…」
そこで明日香は読むのを止めた。


ジム:「どうしたトゥモローガール?」

明日香:「ごめんなさい。ここから先は読めなくなっているわ。まるで、色々な字が何度も上書きされているようになっていてとても読めるような字じゃない」

ジム:「肝心な場所は読めないということか。しかし、どうやら何処かの場所を指し示してようだ」
顎に手を当ててジムは呟いた。

イシズ:「滅び去った国。そして、鍵を握る」
そう呟いたイシズは後ろに立つ遊馬に振り向く。


イシズ:「慎也から聞いています。四大神王者も、この石版を読めると。あなたなら、この国が何なのか知っているのではありませんか?」

遊馬:「……」


イシズ:「1年半前、ワックスポワロから帰還する途中で偶々上陸した無人島。そこにも、神秘の石版はありました。それだけじゃありません。神秘の石版に彫られたあなた方の四大神王者のメッセージも」




我此処に至り、世界を救うことを誓う。この文章を誓いの証拠とす。四大神王者一行




あの神秘の石版に追記されていた内容は、そう書いてあった。


イシズ:「神秘の石版は傷一つ付くことがない石版。それにどうやって、メッセージを書き残したのか」

ジム:「教えてくれ。世界を救うとは何だ?それに、あの時見つけた石版には”最上兵器”という神が作ったものまで書かれていた。最上兵器とは何だ?」
イシズとジムが遊馬に追求する。



遊馬:「俺も神秘の石版について、全て把握しているわけではありません。すいませんが、ここでのことについては、一度忘れてくれませんか」
遊馬は2人にそういう。

遊馬:「杏子さん、明日香さん、アキさん。この3人がなぜ石版を解読することができるのかはわかりませんが、少なくとも、この石版に書かれいるのは世界の過去と未来を示す真実の石版。国家政府だけが知る内容も含まれています。内容を知れば、俺たち四大神王者と同じ運命を辿ります」
遊馬は後ろを振り向いた。


遊馬:「四大神王者のバーンが言ってました。ゆっくり進めば自ずと答えは見えてくると。時間はかかると思いますがね」
そう言って、遊馬はこの場を後にした。


その姿を見るジム、明日香、イシズ。



この石版が示す内容。それは一体、何なのか…。







数十分後



SOA特務隊は、乗ってきた自動車に乗ってフロンティア本部へと向かった。



ヤバが乗る車にはヤバの部下の他に遊馬と一馬が乗っていた。


ずっと下を見る遊馬。



すると、隣に座る一馬が飲み物を渡す。

缶コーヒーだった。


一馬:「のど乾いただろ」

遊馬:「あ、ああ、ありがとう。父ちゃん」
遊馬は缶コーヒーを受け取る。


環のプルタブを開けて、コーヒーをのどに注ぎ込む。



遊馬:「怒ってないのか?」

一馬:「何がだ?」

遊馬:「理由はどうあれ、俺はずっと父ちゃんたちに生きていることを隠していた。50年以上もだ。正直、俺はもう忘れられていたと思っていたぜ」

一馬:「そんなことか」
一馬もコーヒーを飲んだ。


一馬:「オヤジって言うのは実の子供を簡単に忘れられないものさ」

遊馬:「そういうものなのか?」

一馬:「お前も、小鳥ちゃんと結婚して子供が生まれたらわかるさ」

遊馬:「どうして、小鳥限定なんだ?」
遊馬はコーヒーを再び飲む。

一馬:「2人は付き合っているんだろう?この際、ゴールを決めちまったらどうだ」


ブフーーー!

飲んでいたコーヒーを吐き出してしまう。


遊馬:「父ちゃん!何言ってんだ!」
大きな声を出す遊馬。



ヤバ:「遊馬!言ったはずだ!必要最低限のことは話すなと!」
大声を出した遊馬にヤバが怒鳴る。


遊馬:「はいはい、わかったよ」
ヤバだけには素直にならない遊馬。

見っともない返事が、ヤバを挑発させたのか、舌打ちをしてヤバは前を向く。


遊馬:「ったく」
少しだけ顔を赤くする遊馬の顔を見て、フッと笑う一馬。

一馬:『そういう年頃か』
優しい笑顔を見せる。










数時間後


ここは、フロンティア本部・元帥の部屋




明智:『そうか、デスリングはバリアンに』
百々原は画面に映る日本の大統領、明智と話していた。


百々原:「はい、SOA特務隊8係副リーダー及び情報係の原森哲平から連絡がありました。武藤ツバキが、血のデスリングを持つ孫・九垓を倒した後に、バリアンが現れ、そのままリングを」





国会堂・大統領室


明智:「それで、フレシャス財団の孫・九垓は、そのあとどうなったんだ?」
明智もまた画面に映る百々原に追求する。


百々原:『プリズンによって連行されたそうです』

明智:「つまり、プリズンにとって孫は最初から目をつけていた人物ということになるな」

百々原:『ええ、あの男が過去に何をやったのかはわかりませんが、プリズンが動くということは、それ相当のことをやっているかと』

明智:「そうだな」
椅子に深く腰掛ける明智。腕を組んで、軽くため息をついた。


明智:「せめて、デスリングだけは回収もしくは破壊してほしかったが…」





百々原:「申し訳ございません」

明智:『いや、君が謝ることじゃない。無論、任務を遂行してくれたみんなもだ。それで、やっぱり四大神王者は動いていたか?』

百々原:「ええ、九十九遊馬が現地にいました。私の独断で、彼をこちらに向かわせています。それで、彼には」

明智:『ああ、わかっている。国家政府にも連絡しているんだろう?』
明智の質問に百々原は頷いた。


明智:『今後のためだ。彼には、みんなのために働いてもらう』
百々原の考えが読めていたのか、百々原の考えに賛同する。



百々原:「ん?」
明智が映る画面の隅に”Call”という字が書いてあった。

百々原:「どうやら着いたようです。私はこれで」


明智:『ああ、遊馬によろしく伝えてくれ』
そう言い残し、明智との通信が切れた。


そして、callしてきているスタッフの回線を開いた。

百々原:「どうした?」

スタッフ:「九十九遊馬が到着しました」

百々原:「そうか、すぐに私の部屋に来るように伝えてくれ」
百々原はそう言って、通信を切った。

百々原:「さあ、お前の答えを聞こうじゃないか」
百々原は天井を見上げて言った。






ネオコーポレーションシティ


フロンティア本部



正門にセルビアの基地へと向かった一行たちが乗る自動車が並んで止まる。


その先頭車両から遊馬が降りた。



羅夢:「やっと来たね、遊馬」
遊馬を出迎えてくれた顎に傷がある一人の男性。


遊馬:「アンタが出迎えに来てくれるなんてな、羅夢」
SOA特務隊6係リーダーの実野塚羅夢が遊馬を出迎えてくれたのだ。


慎也:「百々原元帥の命令か?」

羅夢:「ええ、すぐに元帥室にきてほしいそうです。慎也さんと哲平さんもご一緒にとのことです」

哲平:「俺たちもか。そうなると、大事な話みたいだな」

慎也:「とりあえず言ってみるか。遊馬」
慎也が遊馬を呼ぶ。


遊馬:「ああ、じゃあな、父ちゃん」
一緒に車に乗っていた一馬にそう言い残し、遊馬は慎也たちと共に、ここを後にした。



そこに、鉄男たちが来る。


鉄男:「あいつ、大丈夫なのか?」

徳之助:「心配ウラ」

等々力:「とどのつまり、孤独の法を破った罪に囚われるのでは?」


葵:「それはないと思うわ。慎也の話しでは、元帥は最後の最後まで、四大神王者の孤独の法に反対してくれたみたいだし、そんな人が罪を与えるとは思えないわ」
等々力が口にした事に葵がそう言った。



キャッシー:「それじゃあ、一体…?」

葵:「もっと重要なことかもね」
フロンティア本部の建物を見上げる葵がそう言った。







十数分後



遊馬、慎也、哲平、羅夢の4人は元帥室の扉の前まで来ていた。


哲平がドアをノックする。


百々原:「入ってもいいぞ」
扉の向こうから聞こえた元帥の声。

哲平:「失礼します」
哲平がドアノブに触れ、扉を開けた。


百々原はいつものデスクに座っていた。


百々原:「待っていたぞ。遊馬」
優しく遊馬の名を言う百々原。


遊馬たちは、さっさと部屋の中に入った。



遊馬:「いきなり、呼び出すなんてどういうつもりですか?」


百々原:「直接話したいことがあってね。わざわざここまで来てもらった」


遊馬:「俺が四大神王者だって知っているのは、フロンティア内部でもごくわずか。俺は死んでいることになっているからな」

羅夢:「ここまで来るのにも苦労しましたよ」
羅夢が呆れたようなポーズを見せて言う。


百々原:「それは済まなかったな。だが、それも今日で終わりかもな」

遊馬:「?」

慎也:「どういうことですか?」
百々原が言った言葉に違和感を感じた遊馬達。

慎也が追求した。


百々原:「では、単刀直入に言おう。遊馬、本日付で、孤独の法を解き、フロンティア本部に合流せよ」
百々原が言った言葉に、唖然とする遊馬達。


哲平:「孤独の法を解くって…」

慎也:「遊馬を仲間や家族と接触させてもよろしいってことですか…?」
唖然とした哲平と慎也が聞くと、百々原が頷いた。


百々原:「このことは、明智大統領そして国家政府にも連絡済だ。了承もされている」


羅夢:「大統領はともかく、国家政府が了承するなんて…!」
遊馬の孤独の法を解くのを国家政府が了承してくれるなんて思わなかったのは、遊馬も同じ思いだった。

だが、遊馬には心当たりがあった。


遊馬:「国家政府が了承してくれる理由…、やっぱりバリアンですか?バリアンはドン・サウザンドを復活させて、世界を再び変えようとしている。それを止めるため、フロンティアを、その戦力に加える。だから、俺に枷られた法を解いた。そう言ったところですか?」
遊馬が真剣な顔で質問する。





百々原:「国家政府の考えは、そうかもしれない。だが、私の考えは少し違う」
百々原が立ち上がり、窓から外を見る。


百々原:「この世界の戦いを終わらせるため、どうしても力は必要になる。フロンティアは世界勢力の中で最も最強とも言われている四大神王者という力を持っている。だが、君を含め四大神王者も所詮は人間だ。何もかも背負わせるわけにはいかない」

遊馬:「俺たちは、そのつもりで戦っています。みんなに向かれる牙をなるべく自分たちに向ける。それが俺たちの仕事です」
百々原が言ったことに即答する遊馬。

その言葉に、百々原がため息をついた。


百々原:「君たちがここを出ていく時も、同じことを言っていたな。家族や仲間たちもいずれは戦わなきゃいけないときがくる。その時は、自分たちがみんなに向かれる牙の見えない盾になると。だが、ダイシャラス王国のときも、今回のデスリングにしても結局、みんなには恐ろしい戦いが待っていた。キミが近くにいたとしてもだ」
百々原が言っていることは御尤もだ。

俺がいても、みんなは戦わなきゃいけない立場にあった。

俺が近くにいようがいまいが、結果が変わらない。

遊馬もうすうす感じていた。

百々原:「このままではいけない。何か手を打たなければいけないと思った私は、一つの答えを出した。それが、遊馬。キミだ」
遊馬の方を振り向き、自分の考えを述べる。


百々原:「遊馬、みんなの修行についてはくれないか?」

遊馬:「!」

百々原:「キミが仲間たちを戦いに参加させたくない気持ちはわかる。だが、もうここまで来ては引き返すことはできない。だったらせめてみんなに力を身につけてほしい。私も部下を失いたくはない」
真剣な眼差しで遊馬を見る百々原。



慎也:「元帥…」


遊馬:「それが、俺がやるべきことですか?」


百々原は頷いた。

百々原:「答えはすぐじゃなくていい。少し考える時間を―」

遊馬:「いや、答えは決まっている」

百々原:「!」

遊馬:「遊戯さんが俺にこう言ったんだ。もしみんなと過ごせることができたらよろしく頼むよって。それって、遊戯さんはこうなることを予想していたからそう言ったのかもしれない」

百々原:「遊馬、では…」

遊馬:「本日で、フロンティアに合流しますよ。あなたがそう決めて、国家政府も了承しているのなら十天老士の爺さんたちも何も言えねえだろ」
遊馬がそう言ったことで部屋の空気が変わった。


百々原:「そうか、それは、よかった」
優しい笑みを浮かべて百々原がそう言った。


慎也:「よかったな、遊馬」

哲平:「とりあえず、おかえりでいいのか?」

遊馬:「そうだな。まあ、これから大変なことが続くことは変わりはないがな」
遊馬が後頭部を掻いて言う。

慎也:「羅夢、みんなに伝えてくれ。遊馬が帰ってくることを」

羅夢:「了解です」
羅夢も嬉しそうに言って、部屋を出る。


遊馬:「国家政府が了承してくれたのはいいですが、俺を追ってくることはないんですか?」

百々原:「勿論、そこら辺についてもこちらから言っておいた。余計なことはしないでほしいとな」
百々原が椅子に座る。

遊馬:「そうか。なら、少しはゆっくりできそうだ」
今まで大変だった日常が、少しはゆっくりと過ごせることに嬉しさを感じる遊馬だった。









そして



SOA特務隊専用の大広場

未来:「そ、それじゃあ…!」

羅夢:「遊馬の方が解かれました。今日から、本部に合流ですよ」
羅夢がみんなの前で、さっきの話しを嬉しそうに言った。


ボーっとする小鳥。だが、段々と笑顔になっていく。


右京:「そうか。遊馬君が今日から」

春:「元帥が遊馬を呼び出した理由はそれだったんじゃな」


璃緒:「よかったですわね。小鳥」
璃緒が小鳥の肩に手を乗せる。


すると、部屋の自動ドアが開いた。

入ってきたのは慎也、哲平、そして遊馬だった。


慎也:「ほら」
慎也が遊馬の背中を押す。


璃緒も小鳥を遊馬の前に誘導する。



少し恥かしい気持ちだった。


遊馬:「た、ただいま」

小鳥:「お帰りなさい…って優しい答えが返ってくると思った!」
小鳥が遊馬の顔に自分の顔を近づけて、大きな声で叫ぶ。

小鳥:「50年以上もどこほっつき歩いていたのよ!私が、私がどれだけ悲しかったか。あなたに分かる?」

遊馬:「小鳥…。わ、悪かったな」

小鳥:「もう、バカァァ!」
小鳥が泣きながら遊馬の胸に抱き付いた。

もう今は嬉しくて泣くことしかできなかった。



明里:「遊馬!」

遊馬:「ね、ねえちゃん…!」
少し涙目を見せる姉を見て遊馬が動揺する。

明里:「女を泣かせるなんて、最低!」
と遊馬に平手打ち!

ブフッ!


未来:「母として責任を取らさせていただくわ。遊馬、私かも一発!」
そう言って、母からも平手打ちを喰らい、遊馬は吹き飛び、壁に激突した。


シュー


遊馬の体から白い煙のようなものが出ているように見えた。



そんな遊馬をアリトやハルト、Ⅲがツンツンと触る。

一馬はそんな遊馬の頭に手を乗せる。




遊馬が戻ってきたことで、みんなが笑顔になる。


これから、遊馬とどんな日常を送ることになるのか。


厳しいときもあるが、楽しい時も沢山ある。

これから楽しい日々が過ごせるはずだ。








第5ED『言葉のいらない約束《sana》』







次回予告

ナレーション:レイドから取り返した英雄の神、十代のカード”大いなる力のE・HERO”。

なぜ、十代のカードが今になって、出てきたのか。剣代たちは慎也へと追求する。

一方で、杏子が遊馬の元に訪れた。

そのわけとは…。

杏子:次回、遊戯王5DXAL「決闘王と赤龍戦神隊の行方」

杏子:「私が来ることは予想していたみたいね」
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