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第72話:『オカルトVS恐竜』








目の前に現れたセルビアの敵を倒すハラルド。


ハラルド:「ん?」
ルーンの瞳が再び輝く。


ハラルド:「フッ」
ハラルドが一人で笑う。


すると、そこに。


龍可:「ハラルドさん!」
龍可、そして、龍亜と天兵がこちらに近づいて来るのが見えた。

龍亜:「ハラルドの兄ちゃんも、既に潜入していたんだな」


ハラルド:「君たちも無事は入れて来れたようだな」

天兵:「ええ、ヤバ司令が連れてきた隠密剣士部隊の人たちが敵と戦っている隙に何とか」

ハラルド:「隠密剣士部隊か。連中は何か情報を得ていたか?」

龍可:「いいえ、それどころか、あの人達、敵を倒すことしか考えていないみたいで」

ハラルド:「戦い好きも程ほどにしてほしいものだ」

龍亜:「ハラルドの兄ちゃんも、情報を得てないみたいだな」

ハラルド:「あぁ、何度かセルビアの連中に遭遇はしているが、デスリングの手掛かりはなしだ」
さっきハラルドが倒した敵を見る龍亜たち。


天兵:「この様子だとセルビアやフレシャス財団の中でもデスリングの所在を知っているのはごくわずかしかいないみたいだね」

龍可:「ええ、見つけるには時間がかかりそうね」

ハラルド:「ここで立ち止まっても仕方がない。とにかく徹底的に、この基地を見るしかない」

龍亜:「ああ、わかってるぜ」

龍可:「それに連れ去られた人達も助けないと」
ハラルドたちが行動を開始する。







第5OP『D-tecnoLife《UVERworld》』







第72話:『オカルトVS恐竜』







趙を倒したドラガン。


ドラガンに敗れた趙は床に倒れてしまう。

そんな趙に近づくドラガン。


趙:「うう…」
苦しみながら目を開ける趙。


ドラガンの顔がすぐに映った。


ドラガン:「貴様らと手を組んだセルビアのゼツラ。そいつが持ち去った血のデスリングは、今どこにある?」

趙:「フッ…さあな。ボスのところか、この基地のどこかにある金庫室にあるんじゃねえか。残念だがボスたちが今どこにいるかは俺にもわからねえし、金庫室の場所も把握し切れてねえんだ」

ドラガン:「なら、もう一つ質問する。フレシャス財団が雇ったレイドと言う男。そいつが連れ去った俺たちの仲間はどこにいる?」
新たな質問を投げるドラガン。


趙:「…レイド?誰のことだ?俺は知らねえぞ」

ドラガン:『レイドのことも、そしてデスリングも、知っているのはそんなにいないようだな』
ドラガンがため息をついた。

ドラガン:「そうか」
ドラガンは、この場を後にしようとする。


趙:「俺を…殺さないのか?」

ドラガン:「人殺しにはなりたくないんだ」
ドラガンは走り、その場を後にする。


趙:「チッ…、カッコつけやがって……」
意識を徐々に失い、目の前が真っ暗になる趙。





走って前へ進むドラガン。



ドラガン:『敵の数も多いが、フロンティアのみんなは手練れの奴が沢山いる。デスリングも連れ去られた仲間も見つけるのは時間の問題だと思うが…』
心の中でそう呟く。

しばらく走ると、窓が並ぶ廊下に出てきた。

窓から外を覗き、下の方を見ると、司令のヤバと一緒に来た隠密剣士部隊が敵と戦っていた。


ドラガン:「あいつら、デスリングの場所を突き止める気あるのかよ?」
ずっと敵と戦い殺し合っている隠密剣士部隊を見てドラガンが本音を漏らす。


しかし、隠密剣士部隊の隊長である徳山の姿はなかった。







ドラガンが外を見ていると、そこに!



セルビア部下:「いたぞ!」
セルビアの組織メンバーと思われる人たちが5人ほど現れた。


ドラガン:「ちっ」
舌打ちをするドラガン。



セルビアの敵がドラガンに襲いかかる。

しかし、うち一人が後ろからの攻撃によって倒れてしまった。


敵は誰だ!と後ろを振り向くが、他の敵も瞬時に倒される。



一星:「口ほどにもない」

愛:「峰打ちよ」
槍タイプのデュエルギアを持つ双子の姉弟が現れた。

ドラガン:「君たちは…!」

アキ:「ドラガン」
2人の母親であるアキが二人の後ろから出てきた。


ドラガン:「十六夜…!」
十六夜とはアキの旧姓である。

ドラガンを初め、ジャックや牛尾数人はアキのことを現在の姓である不動や下の名前では呼ばず、旧姓の”十六夜”と呼んでいるのだ。


アキ:「無事だったようね」

ドラガン:「ああ」

一星:「何か情報は得ましたか?」
一星がドラガンに質問する。


ドラガン:「いや、残念だが、今まで倒した敵からいい情報は得ていない。デスリングのことも連れ去られた仲間のこともな」

愛:「私たちと同じってことね」

ドラガン:「おそらく敵の中でも、デスリングの所在と、フレシャス財団のボスがレイドって男を雇っていることを知っているのはごくわずかなようだ」
今までの情報を考えると、そう決めつけるのが妥当だろ判断したドラガン。

一星:「俺もそう思います。両ボスとも、かなり慎重のようですね」

アキ:「隅から隅まで探すしかないってことね」
アキがそういうと。

一星:「いや、そうでもないと思う」
一星がそういい、3人が一星を見る。

愛:「どういうこと?」

一星:「あれを見ろ」
一星が見る目線の先を見るアキたち。


ドラガン:「監視カメラ。なるほどな」

一星:「こんなに広い建物なんだ。監視カメラの映像を見れば、連れ去れたみんなの居場所も、デスリングがある場所も見つけられるはずだ」

アキ:「そうなると、制御室を見つけるのが先ね」

ドラガン:「そうだな、早いとこ手掛かりを見つけてみんなに情報を展開しよう」
ドラガン、アキたちも制御室を見つけるために行動を開始する。







一方で、たった今セルビアの基地内に入った、獏良、杏子、藤原、ヨハンの4人。


獏良:「敵はいないみたいだね」

杏子:「ええ、でも油断しちゃダメよ」
歩きながら前へ進む獏良たち。

藤原:「これからどうします?僕個人としてはなるべく敵と遭遇せずに任務を遂行したいんですけど」
少し弱音を吐く藤原。

ヨハン:「ヤバの爺さんは敵から情報を聞き出して任務を完了させるって言っていたが」

杏子:「そんなことしなくても、動いていれば手掛かりは見つかると思うわよ」

敵と遭遇したくないのは、他のみんなもそうだったようだ。




ヨハン:「なあ、藤原」
前へ進みながら藤原に声を掛けるヨハン。

藤原:「どうしたんだい?ヨハン君」
ヨハンに声を掛けられた藤原が反応した。

ヨハン:「デスリングの回収のことなんだけどよ」

藤原:「うん」

ヨハン:「あれって、回収したあとどうすんだ?」

藤原:「それは勿論、処分するじゃない?砕くとか」

ヨハン:「本当にそうなのか?」

藤原:「え?」

獏良:「実は、それ僕も気になっていたんだ」
獏良が話しに入ってきた。

杏子:「どういうこと?獏良君」

獏良:「確かに危険なものだから、処分するのは当然だよね。指輪なんだし、砕こうと思えば砕けるよ。けど、そのデスリングは世界に8つしかない貴重なもの。それを簡単に処分するとは考えられない」

藤原:「考えてみれば、デュエルモンスターズの中でも危険なカードは沢山存在しているけど、結局処分せず、どこかに封印している事例が多々ある」

杏子:「そう考えると、デスリングも処分せず、封印する可能性があるってこと?」

獏良:「もしくは、この世界を支配する、あの組織に渡すか」
獏良がいうあの組織。ここにいる皆が獏良の言う「あの組織」がどこを示しているのかすぐに分かった。

獏良:「この世界は国家政府がまとめている。そう考えれば、そんな危険な物、国家政府が見逃すはずがない。噂じゃ政府は力を求めているって話も聞くからね」


皆が色々考えながら歩いていると、ビービーと嫌な音が周りで鳴り始めた。



ヨハン:「なんだ!?」
皆がきょろきょろ周りを見る。


藤原が上を見ると、鉄格子が落ちてくるものが見えた。


藤原:「危ない!」
藤原の叫び声とと共に皆が上を見る。


獏良は杏子を藤原たちがいる方へ押す。


杏子:「きゃ!」
倒れそうになる杏子を支えるヨハン。

ヨハン:「大丈夫ですか?」

杏子:「ええ、ありがとう」
ヨハンに礼を言う杏子。


上から降りてきた鉄格子の所為で、獏良のみが鉄格子の向こうに行ってしまった。


藤原:「トラップに引っかかったみたいですね」

獏良:「うん、残念だけど」

杏子:「獏良君!怪我ない?」

獏良:「大丈夫。平気だよ、杏子ちゃん」
笑顔で答える獏良。




藤原:「頑丈な鉄格子みたいだね」

ヨハン:「こんなものデュエルギアを使えば、壊せるだろうぜ」
ヨハンがカードを出す。

獏良:「そんなことしなくてもいいと思うよ。ほら」
獏良が指を指す。

その先を見ると、レバーがあった。

杏子:「あれを上げればいいのね」
杏子がそういうと、獏良がレバーがある方へ近づく。


レバーに手を伸ばそうとした、そのとき!


シュー!

何かが飛んできた!それは、デュエルモンスターズのカードで、カードはレバー付近の隙間に挟まる。

驚いた獏良が手を引っ込める。



???:「ここは敵の基地内なんだ。不用意に敵の基地にあるものに手を出さないって、上官に習わなかったのか?」
獏良の目の前に、黒髪でパーマがかかった男性が現れる。


藤原:「あれは?」

ヨハン:「間違いなく敵だな。運がないぜ、俺たちは」
敵と遭わずに任務を遂行したかったがそう言っていた側から敵が現れてしまった。


獏良:「キミはどっちの人?セルビア?それとも、フレシャス財団?」

環:「フレシャス財団だ」

獏良:「だよね。どう見ても中国人だし」

環:「ボスからもなるべく作戦が開始するまで、敵との戦いは控えろと言われたが、今はそうもいっていられないようだな」
デュエルディスクを腕につけながらそういうフレシャス財団の一員の環・孔璋(カン・チンリン)が言う。


杏子:「作戦?」

ヨハン:「どうやら、お前はボスたちの企みを知っているようだな」


環:「フレシャス財団のボス孫さんの方だけな。セルビアの方は知ったことではない」


杏子:「獏良君、こいつ、何か知っているよ」

獏良:「うん、わかっている」
獏良がミッションウォッチからデュエルディスクを出す。


環:「情報はそれなりに見てきた。獏良了。オカルトデッキを使うデュエリストだったな」

獏良:「こんな僕のことを知ってくれているなんて光栄だよ」

環:「俺がお前をオカルトの存在にしてやるよ、獏良了」

獏良:「血のデスリングの場所、知っているなら教えてもらおうよ!」
デュエルディスクを起動させる。




「「デュエル!!!」」
2人の掛け声でデュエルがスタートした。




両者
LP4000


1ターン


獏良:「先行は僕がもらう!僕のターン!カード、ドロー!」
獏良が先行を取った。

獏良:「僕は、”死霊騎士デスカリバー・ナイト”を攻撃表示で召喚!」
黒い馬に乗った闇の騎士が現れる。


死霊騎士デスカリバー・ナイト
LV4 攻撃力1900


獏良:「僕はこれで、ターンエンド」
獏良のターンが終了した。




2ターン


両者
LP4000


環:「俺のターン、ドロー!」
環がカードをドローし、手札が6枚になる。


すると、そのとき、耳につけていた無線機から声がした。


部下:『環さん、やはり、あなたが思っていた通りです。セルビアの基地に潜入したフロンティアの連中に指示を出している奴は、この近くにいます』
無線の向こうで一人の男が環に言う。

環:「やはりな」
環が小さい声で言う。

部下:「動きますか?」

環:「敵の頭を潰す。それが基本だ。だが、孫さんには、内密だぞ」
環が小さい声で話していると…。


ヨハン:「何、コソコソ話しているんだ?お前のターンだぞ!」
ヨハンが環に怒鳴る。

環:「うるさい奴だ。通信を切る。しばらくは連絡できそうにない」

部下:『了解しました』
部下からの通信が切れた。


環:「”ハイパーハンマーヘッド”を攻撃表示で召喚!」
環の場に、顔の先がハンマーのような形をした恐竜が現れる。


ハイパーハンマーヘッド
LV4 攻撃力1500


環:「カード1枚セットし、ターンを終了する」
環のターンが終了した。



獏良:『あの人のデッキは、竜崎君と同じ恐竜デッキ…。恐竜デッキは竜崎くんと何度もデュエルしている。僕のデッキの敵じゃない』
心の中で余裕な言葉を言う獏良。






その頃…。



竜崎:「ハックション!!」
大きな声でくしゃみをする竜崎。


チャーリー:「シー」
チャーリーが人差し指を鼻に当てて言う。

チャーリーと竜崎の他に羽蛾もここにいた。


竜崎:「誰や、ワイの噂しとるのは?」
鼻をすすりながら言う。








3ターン


両者
LP4000


獏良:「僕のターン!ドロー!」
獏良がカードをドローする。


獏良:「”首なし騎士”を攻撃表示で召喚!」
獏良の場に首がない鉄の鎧を付けた騎士が現れる。


首なし騎士
LV4 攻撃力1450


環:「不気味なモンスターだ」

獏良:「死霊騎士デスカリバー・ナイトでハイパーハンマーヘッドに攻撃!」
デスカリバー・ナイトが手に持つ大剣でハイパーハンマーヘッドの首を斬り落とす。

環:「っ!」



LP4000 → 3600


獏良:「いくよ!首なし騎士でダイレクトアタック!!」
不気味な霧の中に消えた首なし騎士。

しかし突如、環の背後に現れ、手に持つ剣で環を斬った。

環:「ぐはっ!」



LP3600 → 2150


獏良:「カードを1枚セットし、ターンエンドだよ」
獏良のターンが終了した。


杏子:「うん!獏良の先制攻撃が決まったわ」

藤原:「流れはこちらにあるね!」
獏良の有利に喜ぶ2人であった。







4ターン
獏良
LP4000

LP2150


環:「俺のターン!」
環がカードをドローし、手札が5枚になる。


環:「約2000ポイントのライフを削ったところで調子に乗るなよ。ここからが本番だ」
環が引いたカードを手札に加え、別のカードを場に出す。


環:「”二頭を持つキング・レックス”を攻撃表示で召喚!」
環の場に頭が二つある恐竜が現れる。


二頭を持つキング・レックス
LV4 攻撃力1600


環:「リバースカード発動!永続トラップ”恐竜火山”!」
前のターンに伏せたカードを発動する。

獏良:「恐竜火山?」


環:「自分フィールド上と墓地から恐竜族モンスター1体ずつ除外することで、デッキから”クリムゾン・デス・ティラノ”を攻撃表示で特殊召喚する!!」
フィールドから二頭を持つキング・レックス、墓地よりハイパーハンマーヘッドを除外した。

環:「マグマよりいでよ!クリムゾン・デス・ティラノ!!」
環の場に岩のような身体にマグマが流れるような模様が入った恐竜が現れる。


クリムゾン・デス・ティラノ
LV8 攻撃力3000


藤原:「攻撃力3000!」

ヨハン:「恐竜族の長所は、カード効果によって進化し、パワーアップすることだ」
藤原とヨハンが環が召喚したモンスターを見て言う。



環:「クリムゾン・デス・ティラノで死霊騎士デスカリバー・ナイトに攻撃!」
クリムゾン・デス・ティラノが背中についている火山を噴火させ、口から炎が混じった破壊光線を放ち、デスカリバー・ナイトを破壊した。

獏良:「ぐわああ!」


獏良
LP4000 → 2900


杏子:「獏良君!」


環:「まだだ!クリムゾン・デス・ティラノの効果発動!このカードが戦闘でモンスターを破壊したとき、エンドフェイズまで攻撃力を800ポイント上げることで、相手フィールド上に存在するモンスターにもう一度攻撃することができる!」


クリムゾン・デス・ティラノ
攻撃力3000 → 3800


獏良:「攻撃力3800…!」

環:「クリムゾン・デス・ティラノ2回目のバトル!首なし騎士に攻撃!」
クリムゾン・デス・ティラノが2回目の攻撃を行い、首なし騎士を破壊。

同時に大ダメージが獏良を襲う。

獏良:「うわああああ!」


獏良
LP2900 → 550


攻撃の衝撃で宙に浮いた体は鉄格子にぶつかる。


環:「ターンエンド」
怖い目つきでターン終了を宣言する。同時にクリムゾン・デス・ティラノの攻撃力が元に戻る。


クリムゾン・デス・ティラノ
攻撃力3800 → 3000


獏良:「ぐっ」
背中を思いっきりぶつけた獏良は自身の手で背中を触る。

杏子:「大丈夫!獏良君」

獏良:「うん、何とか」
獏良は自力で立ち上がる。

獏良:『簡単に逆転された…。この人、強い…!』
環の実力を改めて思い知った獏良が心の中で呟く。








その頃、ドラガン、アキ、一星、愛は制御室に通じる扉の前にいた。

扉の前には2人の男性がいた。

一星:「俺が行く」
一星が走って敵2人に立ち向かう。

セルビアの部下:「貴様、侵入者だな!止まれ!」
敵は一星に警告するが、一星は止まらず、武器を使わず、手足だけで瞬時に2人の敵を倒した。

身体能力は父親譲りのようだ。


4人は制御室の中に入る。

中には誰もいない。

アキ:「誰もいないわ」

ドラガン:「ここにいた連中も、全員外に出たようだな」

愛:「一星、急いで」

一星:「分かっている」
一星が自前のパソコンをミッションウォッチから出し、プラグを繋げて、基地内のセキュリティプログラムにハッキングする。

一星:「あとはスピード勝負だ」
パソコンのキーを叩いて呟く。




そして、獏良と環のデュエルは5ターン目を迎えていた。



5ターン
獏良
LP550

LP2150


獏良:「僕のターン」
獏良がカードをドローし、手札が5枚になる。

獏良:『今は守りに出るしかない』
獏良がモンスターをカードを場に出す。


獏良:「モンスターを裏守備表示でセット!」
裏守備表示でモンスターカードを場に出した獏良。

環:「俺の最強モンスターに手も足も出ないようだな?守りに出たって次のターンですぐ崩れる」

獏良:「くっ、ターンエンドだ」
獏良のターンが終了した。


杏子:「諦めないで、獏良君」
杏子が獏良に言葉をかける。

獏良:「大丈夫、まだ策はあるから」
獏良の目は死んではいなかった。






6ターン
獏良
LP550

LP2150


環:「どんな手で来ようと、俺の勝ちは変わらない。このターンで終わらせる!ドロー!」
カードをドローする環が引いたカードを確認する。

環:「いいカードを引いた!そのリバースモンスターが何なのか、このカードで暴いてやる!」
引いたカードを前に突き出して言う。

環:「マジックカード”守備封じ”!効果は言うまでもないだろ!」
守備封じは、相手フィールド上に存在する守備表示モンスターの攻撃表示に変更する魔法カードだ。

獏良:「くっ」

環:「その伏せカード、見せてもらおうぞ!」
環が指を指した獏良の場に裏守備モンスターが表側になる。

現れた目が3つある黒い狼だった。


闇の狼
LV3 攻撃力0


環:「ただの雑魚モンスターか。倒し害のないモンスターだ。だが、クリムゾン・デス・ティラノの攻撃で瞬殺し、お前のライフを消し去ってくれる!」
クリムゾン・デス・ティラノが攻撃体勢に入る。


藤原:「マズい!」

ヨハン:「この攻撃が通れば!」

杏子:「獏良君のライフは!」


環:「消えろ!雑魚が!」
クリムゾン・デス・ティラノが攻撃し、闇の狼を倒した。

大ダメージが獏良を襲おうとしたとき!


獏良:「トラップ発動!”ネクロフィアの扉”!攻撃力500以下のモンスターが戦闘で破壊されたとき、そのターン自分が受ける戦闘ダメージは全て0になる!」
獏良の周りに黒いバリアが張られる。

更に、不気味な霧が同時に出てきた。

環:「チッ」

獏良:「更に、デッキから”ダーク・ネクロフィア”を手札に加える」
獏良のエースモンスターともいえるダーク・ネクロフィアを手札に加えた獏良。

環:「生き延びたか。まあ、苦しみが伸びるだけだがな。ターンエンドだ」
環のターンが終了した。


杏子:「獏良君、このターンで何とかしないと次のターンで…!」

獏良:「安心して。僕の勝ちは決まっているから」
ニコッと笑って獏良が答える。

環:「何…!」
話しを聞いていた環が口を開く。



7ターン
獏良
LP550

LP2150


獏良:「僕のターン!」
獏良がカードをドローする。

環:「この状況で、お前が勝てるだと?状況が分かっていないようだな。貴様の場にモンスターはいない。そして、俺の場には攻撃力3000のモンスター。それを上回る上級モンスターを、そう簡単に出すなどできはしない」

獏良:「そうかな?」

環:「!」

獏良:「悪いけど、あなたが闇の狼を破壊した時点で、僕の勝利は決まっているよ」

環:「何!?」

獏良:「今、僕の墓地には3体の悪魔族が存在する!死霊騎士デスカリバー・ナイト、首なし騎士、闇の狼の3体の悪魔族モンスターを除外!!」
3体の悪魔族モンスターが除外された。



ヨハン:「この召喚条件で出せるモンスターはさっき手札に加えた…!」




獏良:「そう!”ダーク・ネクロフィア”を特殊召喚するよ!」
獏良の場にエースモンスターのダーク・ネクロフィアが現れる。


ダーク・ネクロフィア
LV8 攻撃力2200


環:「たかが、攻撃力2200のモンスターが俺のクリムゾン・デス・ティラノを倒せると思うなよ!」

獏良:「確かにこのままじゃ倒せないね。でも仲間の力を借りれば問題ない!」

環:「仲間の力だと……」
環がボソッと口にする。



獏良:「除外された闇の狼のモンスター効果発動!このカードが除外されたとき、自分フィールド上に存在する悪魔族モンスター1体の攻撃力をエンドフェイズまで2倍にする!」

環:「何だと!」

獏良:「もうわかるよね?攻撃力を上げる悪魔族モンスターは、ダーク・ネクロフィア!」
ダーク・ネクロフィアの攻撃力が上がる。


ダーク・ネクロフィア
攻撃力2200 → 4400


杏子:「攻撃力4400!これなら!」
ダーク・ネクロフィアの攻撃力が上がったことに喜ぶ杏子。


獏良:「行くよ!ダーク・ネクロフィアでクリムゾン・デス・ティラノに攻撃!念眼殺!!!」
ダーク・ネクロフィアが攻撃を仕掛け、クリムゾン・デス・ティラノを破壊した。

環:「ぐわあ!」



LP2150 → 750


環:「俺のクリムゾン・デス・ティラノを破壊するとはな!」
クリムゾン・デス・ティラノが破壊されたことに少し悔しがる環。表情に出ているから獏良でもすぐに分かった。


環:『俺の手札には死者蘇生のカードがある。次のターンで、クリムゾン・デス・ティラノを復活させれば、俺の勝ちで決まる』
環は手札にある死者蘇生のカードを見て呟く。

獏良:「悪いけど、次のターンはないよ」

環:「!?」
心が読まれたのか、そう獏良が言ったことに驚く環。

獏良:「速攻魔法”邪霊破(スピリットバーン)”!ダーク・ネクロフィアが戦闘でモンスターを破壊したとき、攻撃力を半分にして、もう一度攻撃することができる」



ダーク・ネクロフィア
攻撃力4400 → 2200


既に倍になっていたので、元の攻撃力に戻ったダーク・ネクロフィア。


環:「そんなはずは…」

獏良:「ダーク・ネクロフィアでダイレクトアタック!!スピリットバーン!」
ダーク・ネクロフィアが霊気を放ち、環に直撃する。



LP750 → 0


環の周りに白煙が立つ。


デュエルは獏良の勝利で終わった。






その頃、一星は基地内のセキュリティプログラムにハッキングし、基地内にある監視カメラを見ていた。

全ての監視カメラの約1時間前から今までの映像全てだ。


いくつかの映像を見ていると、獏良がデュエルに勝利した映像が映し出された。

そして、一星はすぐ気付いた。獏良の後ろにある鉄格子のことに。

一星:「子供の遊びだな」
一星が急いでキーを叩く。


そして、一星が見ているディスプレイに”OPEN”の文字が出てきた。






その頃、獏良たちがいる場所にある鉄格子が自動的に上に上がって行った。


ヨハン:「鉄格子が…!」

藤原:「レバーも引いていないのにどうして?」

ヨハン:「この際、そんなことはどうでもいいさ」
とりあえず、ラッキーだったということで、話しを収めるヨハン。


杏子:「獏良君、大丈夫だった?」

獏良:「うん、大丈夫。それより、あの人を」
獏良が前を見る。


しかし、白煙が晴れたその場に環の姿はなかった。


ヨハン:「あいつ、どこに行きやがったんだ?」

藤原:「まだ遠くにはいっていないはずだ。探そう」
逃げた環を探しに動き出した獏良たち。

環はボスの企みについて何か知っている。ここで、情報を聞き出せば、任務完了の第一歩となるのだから、4人共必死だった。





その頃、環は…。


環:「はぁ、はぁ、この俺が負けるはずがない。これは何かの間違いだ」
走りながらぶつぶつ話す環。

環:「おい、誰か。応答しろ!敵の頭は制圧できたのか?おい、聞こえていないのか?」
無線機から呼びかける環。だが、誰も出てくれない。


すると、そこに…。


レイド:「ありゃ、ボロボロだね」
あの男が現れた。

環:「誰だ?貴様!?」
孫がレイドを雇っていることを知らない環はここで初めてレイドを見た。

レイド:「その感じだと、負けて逃げてきたってところかな?見っともないねぇ」

環:「貴様も侵入者か!」

レイド:「フロンティアと一緒にしないでくれよ。俺はあいつらとは敵対しているんだ。だが、セルビアでもなければ、フレシャス財団でもない」
レイドが一歩ずつ環に近づく。


環:「く、来るな!」
レイドの目を見て「やばい」と悟った環が怯える。

レイド:「俺は俺のやりたいようにやる。邪魔な奴は死あるのみだ」
右掌が環の顔に近づく。


環:「う、うわあああああ!」
叫ぶことしかできない環。









九十九:「……」
刈間九十九として、セルビアの基地内に入った遊馬。

母の未来や中学のとき担任の先生だった右京が閉じ込められている檻の中の映像をじっと見る遊馬。


九十九:「動くか」
遊馬がボソッと呟く。








第4ED『もう一度君に会いたい《下川みくに》』





次回予告

ナレーション:遊馬が、そしてレイドが行動を開始する!

そして、司令であるヤバの元に、フレシャス財団の環が送り付けた刺客が現れた!

敵の数が多すぎる中、ヤバの前に現れた人物とは…!


チャーリー:次回、遊戯王5DXAL「失敗は成功のもと!折れない我の心!」

チャーリー:「隠れてて正解だったぜ!」
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