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第67話:『仲間のために!』









高いところから下を見下ろすゼツラ。


ゼツラが見下ろす下には、御伽、リシド、ヴァロン、ジャック、牛尾、ミゾグチ、ブレイブ、風也、そしてジェリド、モンドの10人が傷だらけで倒れていた。


全員に意識はなかった。



ゼツラ:「フロンティアも落ちたもんだな。こんな弱い奴らを戦いにに出すとは」
ゼツラが倒れるジェリドを見て言う。



すると、そこにツバキが走ってきた。


ツバキ:「こ、これは……!!?」
目の前の光景を見て驚く。


御伽さんにリシドさん、ヴァロンさんたちが倒れているからだ。


ゼツラ:「なんだ?こいつらの仲間か?」
ツバキを見てゼツラが口を開く。


ツバキ:「お前が呉島薫が言っていたゼツラ…」

ゼツラ:「?その口振り、あのデブは捕まったということか。やっぱり連れてくるんじゃなかったな」

ツバキ:「みんなに何をしたの!?」

ゼツラ:「見ての通りだ。ただ戦っただけだ。けど、弱すぎてすぐに壊れちまったみたいだが」

ツバキ:「そ、そんな…」

ゼツラ:「お前にも、こいつらと同じ痛みを味わってもらう!」
ゼツラが飛び降り、ツバキに急接近する。



ツバキ:「!!」










第5OP『D-tecnoLife《UVERworld》』








第67話:『仲間のために!』








ツバキに急接近するゼツラ。


そのままツバキの息の根を止めようとするゼツラだったが、いきなり武器が降りかかり咄嗟に躱す。


???:「危ないところだったな、ツバキ」
大剣を使ってツバキを助けてくれた男性。


ツバキ:「て、哲平さん…!?」
ツバキの前に現れたのは、今までの作戦の中、何度もお世話になった哲平だった。


ゼツラ:「増援か」

哲平:「お前はゼツラ・ジ・クリス。セルビアの部隊長だったな」

ゼツラ:「たかが一人の増援に…!」
ゼツラが周りの気配を感じ取る。


周りには、フロンティアの増援とも思われる者たちが沢山いた。

哲平:「投降しろ!」

ゼツラ:「デスリングの回収は成功した。ここは引くとするか」
ゼツラの周りに突風が吹き荒れる。


哲平:「ぐっ!」

ツバキ:「くっ」
激しい風に耐える哲平達。


風が収まり、前を見ると、ゼツラの姿は消えていた。


哲平:「逃したか」

ツバキ:「御伽さん!」
ツバキが御伽の元へ向かう。

ツバキ:「御伽さん!しっかりしてください!」
御伽に呼びかけるも返事がない。


哲平もジェリドの首を触って生きているかを確認する。


哲平:「まだ大丈夫だ。急いで応急処置をしろ!急いで本部に連れて帰るぞ!」
哲平の命令で増援に来てくれた仲間たちが動く。


哲平:「まだ大丈夫だ。お前も手伝ってくれ」
哲平がツバキに声をかける。


ツバキ:「はい、わかりました」
ツバキが少し元気なさそうに返事をする。







呉島薫も哲平が連れてきた仲間たちに拘束され、連行された。



今回の任務は失敗に終わったのだ。



そして、ツバキ以外は全員重症の傷を負ってしまった。








数時間後、フロンティア本部についてツバキと哲平。


御伽達がストレッチャーで運ばれ、緊急手術が開始された。


治療室の扉の前に立つツバキ。



結衣:「ツバキ!」
結衣や杏子たちが心配そうな顔をしてこちらに来た。


杏子:「ツバキ、大丈夫?」
杏子がツバキの肩を掴み、顔を覗き込む。


ツバキは杏子の視線から目をそらし今の自分の顔を見せないようにする。


マリク:「哲平から話は聞いた。中組織のセルビアの敵にやられたって」

本田:「今回の作戦が失敗だったみたいだな」
本音を漏らす本田。

城之内:「おまっ!空気読めよ!」
本田の腹を殴る城之内。

本田:「わ、わりい」
腹を押さえながら謝る本田。



深影:「アトラス様…」

カーリー:「ジャック~」
ジャックの治療をしている部屋の扉の前に立つ深影たち。


クロウ:「まさか、ジャックがやられるとはな」

風間:「それほどの敵ということか…!」

シェリー:「上層部はすぐに会議を始めるみたいよ」

氷室:「これだけの重傷人が出たんだ…!上だって黙っちゃいねえはずだ」
仲間たちがやられたことに怒りを覚えるクロウたち。


小鳥:「……」
友であり、ダイシャラス王国でも共に国を救うために戦ったエスパー・ロビンこと風也を思い浮かべる小鳥。

小鳥:『まさか、あなたまで…』
心配そうな顔をする小鳥。

すると、誰かが小鳥の肩を掴む。

鉄男:「大丈夫だ。あいつは、見た目は貧弱だが頑固な男だ」
鉄男が小鳥にそう語り掛ける。

小鳥:「鉄男君は厳しいわね」
悲しい顔をしていた小鳥に笑みが戻る。






舞:「ツバキ、どうしてあなただけ無事だったの?」
あれだけのけが人が出てツバキだけが無事だった。

それは、みんな気になっていたことだ。


ツバキ:「僕、任務から解任されたんだ」

結衣:「え?」

ツバキ:「一緒に同行していたジェリドっていうSOA隊2係リーダーの人が、父さんのことをバカにして、それを許すことができなかった僕は、その人と言い合いになったんだ。そしたら、時間の無駄にした責任を取らされて…」
ツバキの父、遊戯。そして、杏子が最も愛する男。


フロンティアが持つ世界勢力の一つ四大神王者のボスにして伝説のデュエリストであるが、正体を知ってからすでに1年、遊戯は自分たちの前に現れることはなかった。

ツバキ:「任務が大事だってことはわかっている。けど、父さんのことをあー言われることに僕は我慢できなかったんだ」
拳を握るツバキ。


杏子:「ツバキ」
杏子がツバキを抱きしめる。

ツバキ:「母さん…」

杏子:「あなたが正しいと思うのなら、そうしなさい。任務が大事なのか、父さんのことが大事なのかをね。前にも言ったでしょ、父さんは必ず戻って来るって」

ツバキ:「…そうだったね」
少しだけ涙を流すツバキ。

周りのみんなは、ツバキたちを見て安心したような顔をする。


レミ:「お邪魔してすいません」
レミと梨香がやってきた。


梨香:「ツバキ、あなたが倒した男。今から尋問を始めるみたいよ」
ツバキが倒して、ここに連行された男、呉島薫。セルビアの隊員だ。

彼もまた父に恨みを持っていた男だ。



ツバキ:「あの人はセルビアの隊員だ。今は、あの人に聞くしかない」
ツバキが呉島薫がこれから尋問される部屋に向かう。


結衣:「ツバキ、私も」

杏子:「結衣、あなたはここにいなさい。私が行くから」

結衣:「ママ」
杏子に止められた結衣は言うことを聞き、行くのをやめた。


代わりに杏子がツバキと共に尋問室に向かう。








フロンティア本部最上階会議室前


扉の前に、哲平が立っていた。


哲平:『中組織とはいえ、デスリングを取られた以上、上層部も黙ってはいないはずだ。それに、任務失敗の件もある。十天老士の爺さんたちもなんて出るか…』
扉を見ながら、呟く哲平。


扉の向こうでは、一体、どんな会議が行われているのか。










呉島薫が尋問される部屋についたツバキと杏子。



既に呉島薫は椅子に座っていた。


他に部屋にいたのは、尋問を専門にするフロンティアの隊員たちだ。


武藤ツバキだ。という目線をツバキに対してぶつける隊員たち。


ツバキが呉島薫の前に立つ。

既にいた隊員たちは止めることはなく、そのまま今の場所にいた。



この男を連れてきたのは、ツバキだ。つまり、ツバキには、この男と話す権限を持っている。



呉島:「誰が来たかと思えば、お前か」
偉そうに椅子に座る呉島。

その姿を見て、ツバキはため息をついた。


ツバキ:「立場がわかっていないみたいだね。捕まっているのは、あなたの方ですよ」

呉島:「尋問するつもりだろうが、何も話すつもりはねえ。俺は何も知らないんだからな」
そのセリフを口に出す人ほど怪しいものだ。

ツバキは、心の中でそう思った。


ツバキ:「あなたが所属するセルビア。そのセルビアがなぜ、デスリングを狙う?」

呉島:「さあな、俺は知らねえ」

ツバキ:「あなたに命令している人物は?」

呉島:「俺はゼツラに誘われてついてきたまでだ。デスリングのことを知りたければ、ゼツラに命令を与えたボスに聞いてほしいな」
呉島が口にした”ボス”と言う言葉にツバキが反応した。


ツバキ:『みんなを倒したゼツラ。そのゼツラに命令を与えたのがセルビアのボス。おそらく、そいつがデスリングを狙っている』
呉島の話しを聞いて、一つの決断を心の中で決めた。


呉島:「それよりも」


ツバキ:「?」

呉島:「ゼツラにやられた、お前のお仲間はどうなった?」
ツバキに問う呉島。

その目線は、嫌みがこもった目線だった。


呉島:「お前が俺とデュエルしてたとき、お前の仲間はゼツラに手も足も出なかったんだろ?」

ツバキ:「やられたみんなの分まで僕が戦う。そして、あいつを倒す」

呉島:「無駄だな。気合や思いだけで、あの男に勝てるわけがない。お前は遊戯の息子ではあるが、遊戯ではない」

ツバキ:「何が言いたいの?」

呉島:「お前は弱いってことだ」
呉島がニヒッと笑う。


呉島:「一緒に行動していた仲間がやられたのに、お前だけ無傷。運がよかっただけだ。貴様の父、遊戯もそうだ。俺とデュエルしたあのときも、運が良かったから逆転して俺に勝った。そして、俺は妹を失った」

ツバキ:「まだ、妹が死んだことを父さんの所為にするつもり?」

呉島:「俺の気持ちは変わらない。奴は俺と妹の人生を崩した男だ」

杏子:「……」

呉島:「遊戯は運で人の人生を崩すが、お前は運で自分の人生を崩していくんだ。そして、絶望し、全てを失う。俺のようにな!」

ツバキ:「っ!」
ツバキの怒りが頂点に達しようとする。

呉島:「運で自分の人生が崩れるんだ。弱くて当然だな、あん?ツバキ」
呉島が笑う。

ツバキ:「お前って男は…」
ツバキが呉島に近づこうとする。

しかし、ツバキよりも先に呉島の胸倉を掴む人がいた。


杏子:「いい加減にしなさいよ、あなた」
呉島の顔に自分の顔を近づけ、すごい目つきで呉島の顔を見る杏子。


呉島:「な、なんだ?お前は?」

ツバキ:「か、母さん」
ツバキも少し怯えている。母さんを怒らせると怖いってことを知っているからだ。


杏子:「黙って聞いてれば、適当なことばっか言って。いい!」
杏子が呉島の胸倉を強く掴む。

杏子:「別にあなたの妹が、夫の所為で死んだって思うのはあなたの勝手よ。でもね、息子の人生を、あなたにとやかく言うのはやめてもらえる。それと、運がいいだの悪いだの、そんな理由で勝ち負けに文句言うなんて見苦しいわよ。そして、最後!二度と私の前に夫と子供の文句を言わないで。次会ったときに、さっきみたいなこと言ってみなさい。私がただじゃ置かないから」
完全にキレている杏子。

それに怯える呉島。周りのみんなも怯えていた。

杏子:「あなたが知っていること全て吐いてもらうわよ」

呉島:「だから、俺は何も…」

杏子:「話してもらうわよ、全部ね」
ギロッとした目で呉島を見る杏子。

胸倉から手を離し、呉島を椅子に座らせる。

身体に力が入らない呉島はぐったりしていた。


ツバキ:「母さん、相変わらず怖いね」
ツバキが唾を飲み込み言う。

杏子:「何か言った?」

ツバキ:「いえ、何も」
あまりの怖さにすぐに否定したツバキだった。








フロンティア本部

最上階会議室

会議室の扉が開いた。

中から出てきたのは、百々原だった。


哲平:「元帥」
扉の前にいた哲平が百々原の元へ来る。

百々原:「思ったよりも早く対応が決まったぞ」

哲平:「そうですか」

百々原:「慎也の穴埋めは君に任せる。頼むぞ」
百々原が哲平の肩を掴む。

哲平:「わかりました」
哲平が頷いて言う。







呉島から情報を聞き出したツバキと杏子は、みんなを集め、内容を展開する。



天兵:「それじゃあ、セルビアのボスである月荒っていう人がデスリングを狙っているのは間違いないんですね」

杏子:「ええ、デスリングを使って何をするのかまで本人も知らないって泣いて言っていたわ」

アキ:「泣いて?」
杏子の言葉から出た”泣いて”という言葉に疑問を抱くアキ。


結衣がツバキの隣に来る。

結衣:「何かあったの?」
周りに聞こえないように結衣がツバキに聞く。


ツバキ:「聞かない方がいいよ。僕も思い出したくないから」
怖い母の姿を思い出したくないツバキだった。



杏子:「それともう一つ、”フレシャス財団”っていう財団もセルビアと同じでデスリングを狙っているみたいよ」

レミ:「フレシャス財団」

珠里:「レミさん、知っているんですか?」

レミ:「ええ、少しね。中国を拠点に動いている財団よ。ボスの名は”孫・九垓”。目に付けたものは、どんな手段を使っても手にしようとする男よ」

一星:「フレシャス財団と何か関わったことがあるのか?」
一星が聞く。


レミ:「実は、昔、フレシャス財団とテイタラファミリーは武器の輸入輸出の取引をしていたときがあったの。5年ほど前の話しよ」

セイコ:「ですが、確かテイタラファミリーと関わりのあった組織は全て政府に目を付けられ、全組織が捕まったはずでは」

レミ:「5年前の話だから、政府も見逃したのかもしれないわ。事実、あの事件後、私はテイタラファミリーと関わりのあった組織のリストを見せてもらったけど、フレシャス財団という名はなかったです」
ダイシャラス王国で起きた事件。その時に壊滅したテイタラファミリーと輸入輸出の関わりのある組織は全部指名手配され、そして捕まっている。

しかし、フレシャス財団は5年ほど前まで輸入輸出関係にあった。

過去の組織の方には目を瞑ったのだろう。


杏子:「フレシャス財団がデスリングを狙っていることを知った月荒は、フレシャス財団と手を組もうと考えているみたいよ。理由は流石に聞き出せなかったけど」
セルビアとフレシャス財団が手を組めば、大きな敵になる。みんな、それを理解していた。



エマリー:「みんな」
エマリーとミスティが来た。

鬼柳:「お前ら」


エマリー:「牛尾さんたちの手術終わったみたい」

ミスティ:「みんな、命に別状はないみたいよ」
ミスティの言葉を聞いて、みんなが一安心する。

翔:「よかった」

恵美:「これで、一安心ね」


万丈目:「だが、これからどうするんだ?」

トロン:「任務はポール・キャシディの保護とデスリングの回収。だが、どちらも失敗に終わっている。しかもデスリングは敵の手に落ちている」

モクバ:「上層部が、どう答えを出して来るか」
みんなが沈黙する。


すると、

ツバキ:「僕は行くよ」
ツバキがボソッと口にする。


マリク:「ツバキ…」

ツバキ:「御伽さんたちがやられたんだ。このまま、ゼツラを…セルビアを放っては置けない。僕たちはSOA特務隊。独立行動が許されているエージェントだ」
ツバキがそういうと城之内や剣代が頷く。


ツバキ:「仲間のために僕は行く!」
ツバキがきっぱり言い放った。


城之内:「よく言った!ツバキ。やっぱり、お前は遊戯の息子だ!俺たちも同じ気持ちだ」

本田:「御伽達の仇を撃とうぜ!」

双六:「全員、切り返しが早いの」

アーサー:「これこそ、仲間の絆って奴か」
周りの雰囲気を見て口を開く双六とアーサーだった。


城之内:「組織の名前はわかってんだ。基地もすぐに見つかるはずだ。急ぐぞ」
城之内が、動き出そうとしたとき…。



哲平:「待ってください」
哲平が城之内の前に現れた。


レミ:「哲平さん」

イシズ:「今の話し…」

杏子:「もしかして聞かれちゃった?」

哲平は黙って頷く。


ツバキ:「止めないでください。哲平さん。僕は行かなきゃいけないんです」

ツバキが城之内の前に立つ。

哲平:「ジェリドたちの仇を撃つためにか?」

ツバキ:「それもあります。だけど、それ以前に…」

哲平:「?」

ツバキ:「僕たちに与えられた任務はまだ続いています。だから行くんです。行かせてください」
ツバキが哲平に強くお願いする。


哲平:「俺にお願いする必要はない」

ツバキ:「え?」

哲平:「上層部の会議が先ほど終了した。百々原元帥の命により、ここにいるメンバーは、これより中組織セルビアの基地へ向かい、デスリングの奪還を行う。リーダーは慎也に代わって、俺がやることになった」
哲平がスラスラと内容を話す。

それを黙って聞くみんな。

哲平:「なお、遅れて合流することになるが、司令として十天老士のヤバ・レイ氏が同行する」

ツバキ:「哲平さん…」

哲平:「俺も、同じ気持ちだ、ツバキ」
笑みを見せる哲平。


ヨハン:「また十天老士の1人が司令でつくのか」

剣山:「余計なのがついてるけど、行けるなら許すドン」

哲平:「みんな、急いで準備しろ。時間は待ってくれないぞ」
哲平をリーダーに、デスリングを巡った戦いが始まろうとする。









その頃、フレシャス財団が滞在する基地では…。




部下:「ボス、アポを取っていた客がついてでアルよ」

孫:「よし、通せ」
フレシャス財団のボスである孫が窓の外を見て言う。


すると、1人男が部屋に入ってきた。


孫:「お待ちしていた。あなたが、デスリングのことを調査しているいう研究者ですね」

???:「はい、刈間九十九と言います。よろしくお願いします」
部屋に入ってきたのは、メガネをかけた男性だった。

しかし、刈間九十九と名乗る男の名はあくまで偽名。

正体は、”九十九遊馬”だ。

遊馬はフレシャス財団と接触し、デスリングについての情報を聞き出そうとしているのだ。

そのため、メガネをかけ、眉毛をつけ眉毛で太くし、カラーコンタクトで目を青くして変装しているのだ。


孫:「立ってないで、ゆっくりお話しをしましょう」

九十九:「ではお言葉に甘えて」
遊馬が椅子に向かう。

九十九:『とりあえず潜入は成功だな。中組織のセルビアとは、この後接触するのか?』
既にセルビアと接触することも知っている遊馬。

静かに椅子に座る。


孫:「しかし、驚きました。私と同じでデスリングに興味を持つ科学者がいるとは」

九十九:「デスリングは危険なものです。だからこそ、興味が湧きます」

孫:「あなたはデスリングについて研究しているみたいですね。できれば、その研究成果を教えていただきたい」

九十九:「具体的にはお答えできません。研究データを外部に漏らすのは、こちらの規定で許されていないので。ですが…」

孫:「?」

九十九:「世界に8つ存在するデスリングがとても危険だということは知っています。リングのコントロールを誤れば、コントロール者はリングの闇に精神を飲み込まれる。そんな危険なものを、この世に放置するわけにはいかない」

孫:「あなたはデスリングの存在を許していないと、そういうんですか?」

九十九:「正直な気持ち、はです。ですが、所詮は指輪。デスリングの力を信用しているわけではないです」
遊馬はこう言っているが、嘘だ。デスリングの力は闇の力そのもの。それに、遊馬は目の前でデスリングの力を見たことがある。リングの怖さを知っているのだ。


九十九:「あなたは、デスリングを使って、何をしようとしているんですか?」
遊馬が孫に追求する。

すると、孫は立ち上がる。

孫:「その話しは、移動中に話しをしましょう」

九十九:「どこへ?」

孫:「これから中組織セルビアに会いに行くのですよ。手を組みにね」
孫はそう言って、部屋の扉を開ける。

遊馬も立ち上がり、孫の後を追う。



孫:「この方を、リムジンへ」

部下:「分かったでアルよ」
部下は返事をし、遊馬をリムジンに誘導する。



孫:「高額な金を出して雇ったんだ。働いてもらうぞ」
孫がそう言って、横を振り向く。

そこには、1人の男が立っていた。



???:「わかりましたよ、旦那。それで、俺は具体的に何をすればいいんだ?」
ゴールドの上着に黒いハットを被る男が壁に寄り掛かり、ズボンのポケットに手を入れて、孫に問う。


孫:「フロンティアの虫共を監視しろ。必要であれば、攻撃しても構わん」

???:「フロンティアねぇ。これから、セルビアの犬どもに会いに行くって言うのに、どうしてそんな奴らを監視しなきゃいけないんだ?」

孫:「情報が正しければ、セルビアはデスリングを手に入れたようだ。それをフロンティアの使者共に見られ、攻撃を仕掛け始末したらしい。となれば、必ずフロンティアは新たな使いをセルビアの基地へ向かわせるはずだ」

???:「奴らはすぐに手を打ってくるのが早いからな。了解だ、旦那。フロンティアの動きをちょっくら見てきますよ」
男は歩き出す。


孫:「お前は、フレシャス財団の人間じゃない。見つけた後のことは、お前に任せるぞ、レイド」

レイド:「へーい」
男、いやレイドは懐から数枚のカードを出す。


レイド:『お前たちを使うときが来たかもねぇ』
レイドが手にしたカード。そのカードには”E・HERO”という字が書いてあった。










第4ED『もう一度君に会いたい《下川みくに》』






次回予告

ナレーション:フレシャス財団とセルビアが接触した!

その頃、セルビアの基地へ向かおうとするツバキたちの前に、連続殺人犯レイドが立ちはだかる。

しかしその男は剣代を指名し、1対1の戦いを申し込む。


だが、レイドの罠に剣代がそしてフロンティアの皆が大苦戦することになる!


剣代:次回、遊戯王5DXAL「レイドの罠!大いなる力のE・HERO!」

剣代:「返してもらうぞ!父のカードを!」





遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!


遊馬:「”フレシャス財団”は、中国を拠点に活動する財団だ。奴らは”血のデスリング”を狙って遥々海を渡って日本にやってきた。セルビアと手を組んで何をするつもりだ?今後、目が離せない財団だな」
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