第63話:『サイバー・エンジェル-帝釈天!!』
明日香とガレスのデュエル。現在は4ターン目。
ガレス:「俺の反撃だ!ラファーガの騎士-リバイブでサイバー・プリマに攻撃!タイラント・フェザー!!」
槍と剣を使って攻撃を仕掛けるラファーガの騎士-リバイブはサイバー・プリマを破壊した。
明日香:「うっ」
明日香
LP2600 → 2100
ガレス:「ラファーガの騎士-リバイブの効果発動!相手モンスターを破壊したとき、破壊したモンスターのレベル×200ポイントのダメージを相手に与え、自分はその分ライフを回復する!!」
ラファーガの騎士-リバイブは明日香に蹴りをお見舞いする。
明日香:「きゃあ!」
サイバー・プリマのレベルは6だ。よって、1200ポイントのダメージを受ける。
明日香
LP2100 → 900
そして、ガレスは明日香が受けたダメージ分回復する。
ガレス
LP200 → 1400
ガレス:「俺はこれでターンエンドだ」
ガレスのターンが終了した。
ガレス:「形勢逆転だな」
明日香:『この人、以外と強い…!』
本音を心の中で呟いた明日香。
第4OP『Butterfly Core《VALSHE》』
第63話:『サイバー・エンジェル-帝釈天!!』
ガレスの騎士デッキに恐ろしさを少し理解した明日香。
明日香はガレスの騎士デッキに打ち勝つことができるのか。
5ターン目、明日香のターンだ。
5ターン
明日香
LP900
ガレス
LP1400
明日香:「私のターン。ドロー!」
明日香がカードをドローし、手札が4枚になる。
明日香:『出せるモンスターが…』
明日香の手札に、召喚できるモンスターはいなかった。
明日香:「カードを伏せて、ターンエンド」
明日香は、このターンドローしたカードを場に伏せて、ターンを終えた。
ガレス:「ウハハハ、打つ手なしか?どうやら、勝負は付いたも同様だな!」
ガレスの高笑いに釣られたのか、後ろにいる部下たちも笑う。
明日香:「くっ」
悔しい思いしかない明日香。
6ターン
明日香
LP900
ガレス
LP1400
ガレス:「俺のターン!」
ガレスがカードをドローする。
ガレス:「ラファーガの騎士-リバイブの効果により、手札が5枚以上存在する場合、相手の手札を確認し、1枚を墓地へ送る!」
ガレスの手札は6枚あるので、発動条件を満たしている。
明日香は手札をガレスに公開する。
ガレス:「俺の勝ちは決まったも同然だが、念には念を入れておくか。”機械天使の儀式”を墓地へ送れ!」
ガレスは明日香の手札にあった儀式魔法のカードを指さした。
明日香のデュエルアイに、機械天使の儀式のカードが表示され、×印がつく。
表示通り、明日香は機械天使の儀式のカードを墓地へと送る。
ガレス:「”砂塵の騎士”を召喚!」
ガレスの場に2体目の騎士が現れる。
砂塵の騎士
LV4 攻撃力1400
明日香:「新たな騎士…」
ガレス:「これだけじゃねえぞ。マジックカード”騎士の砂上”!!!」
明日香:「!!」
ガレス:「騎士と名の付いたモンスターがフィールド上に存在する場合、そのモンスター1体を選択して発動。選択したモンスターを墓地へ送り、デッキから”サブルムの騎士-ムーシャ”を特殊召喚する!!」
砂塵の騎士が砂の渦の中で輝き、茶髪で銃と剣を持つ騎士が現れる。
サブルムの騎士-ムーシャ
LV8 攻撃力2800
ガレス:「サブルムの騎士-ムーシャが召喚に成功したとき、デッキから1枚ドローする」
ガレスがデッキから1枚ドローし、手札が5枚になる。
ガレス:「リバイブでトドメを指すのもよかったが、こっちの方が少しは痛みを味わえるぞ」
明日香:「?」
ガレス:「サブルムの騎士-ムーシャでダイレクトアタック!」
サブルムの騎士-ムーシャが明日香に接近する。
明日香:「リバースカード発動!”エンジェルエルフバリアー”!!手札を1枚捨て、このカードを発動したターン、相手から受ける戦闘ダメージを0にする!」
明日香は手札を1枚犠牲にすることで、ムーシャの攻撃を跳ね返した。
ガレス:「やはり、トラップカードだったか。だが、俺の戦略に抜かりはない!サブルムの騎士-ムーシャの効果発動!相手がトラップカードを発動したとき、相手プレイヤーに300ポイントのダメージを与える!」
サブルムの騎士-ムーシャが手に持つ銃から弾丸を発砲し、明日香に当たる。
明日香:「うっ!」
胸辺りにクリーンヒットした。
明日香
LP900 → 600
ガレス:「俺はこれでターンエンドだ」
ガレスのターンが終了した。
7ターン
明日香
LP600
ガレス
LP1400
明日香:「私のターン!」
明日香がカードをドローする。
引いたカードはマジックカード”スケープゴート”だった。
羊トークンを4体出せるカードだが、反撃はできない。また守るしかできない明日香だった。
元々手札にあった1枚のカードを見る明日香。
そのカードを見て、明日香は…。
明日香:『まだ、希望はある』
そう思った。
明日香:「マジックカード”スケープ・ゴート”!!”羊トークン”を4体守備表示で特殊召喚!」
明日香の場に4体の羊トークンが現れた。
羊トークン ×4
LV1 守備力0
明日香:「ターンエンドよ」
明日香のターンが終了した。
海賊3:「へへへ、あの女、何もできねえみたいだぜ!」
海賊4:「おもしれえ!始まる時は、あんなに強気だったのによ!」
海賊1:「船長!早く、あの女とっ捕まえましょうぜ!」
ガレス:「捕まえてどうすんだ?」
海賊1:「そりゃあもちろん、俺が先に御馳走するぜ!あの女を!」
舌を出して、明日香を見る男。
その目つきに、ゾクッとした明日香。
海賊2:「俺が先だぜ!最初、てめえは見物だ」
海賊1:「んだと!」
ガレス:「おい、てめえら!船長を差し置いて、先にやろうなんて許さねえぞ!!」
ガレスが部下たちに怒鳴る。
シュンとする部下たち。
ガレス:「あいつを抱くのは、俺が先だ。てめえらは、俺が満足した後だ」
海賊4:「ええ!それじゃあ、いつになるかわからないじゃないですか!」
ガレス:「なんか言ったか?」
海賊4:「いえ、何でもないです」
ガレスの目つきにやられ、引っ込む海賊隊員の1人。
明日香:「あなた、私に勝ったら抱こうとしているの?」
ガレス:「ウハハハ、そりゃあもちろんだ。日本人で、ここまでスタイルは滅多にいない。レア中のレアだ。そんな奴を抱かないなんてありえねえだろ」
明日香:「女を何だと思っているのよ。あなたが私を抱こうなんて、100年いえ!1000年早いわ!」
ガレス:「そんなこと言って、初体験がしたくてたまらないんじゃないのか!」
明日香:「ばっ!そんなわけないでしょう!私は、もう3人の息子と娘がいる母親よ!」
ガレス:「なんだ?お前、結婚済か。お前みたいな女を抱けた夫は羨ましいだろうな?まさか、あの万丈目が夫か?」
そう聞くガレスに明日香は。
明日香:「違うわ。万丈目くんは友達よ」
ガレス:「じゃあ、別の男がいるってことか?」
明日香:「ふざけないで!デュエル中よ!」
ガレス:「気の強い女だな。本当に。まあ、そんな女だからこそ、デュエルでは潰し害があるってもんだ」
明日香:「あなたのターンよ!来なさい!」
ガレス:「へっ!羊4匹を出して守備を固めたつもりだろうが、そんなもの、俺の騎士デッキには何の意味もない!いや、海賊騎士の俺には、何の意味もない!」
ガレスが笑う。
海賊1:「よ!船長!」
海賊2:「大統領!」
海賊3:「旦那ーー!」
海賊4:「親分!どこでもついて行くぜ!」
ガレスの笑いに釣られているのか興奮する部下共。
それを見た明日香が、ついて行けないと言わんばかりに汗を流す。
ガレス:「俺のターンだったな。そろそろ決着をつける!」
ガレスがデュエル再開の口振りを見せる。
8ターン
明日香
LP600
ガレス
LP1400
ガレス:「俺のターン!」
ガレスがデッキからドローする。
ガレス:「ラファーガの騎士-リバイブの効果により、自分の手札が5枚以上あるとき、相手の手札を確認し、1枚を墓地へ送る!」
ガレスの手札は6枚存在している。
そして、明日香の手札は…。
ガレス:「確認するほどでもねえな。お前の手札は残り1枚。そのカードを墓地へ送ってもらおうか」
ガレスは明日香に要求する。
明日香は、手札にあるラスト1枚のカードを墓地へ捨てた。
ガレス:「瀬戸際に立たされちまったな?明日香。俺の勝利はもうすぐそこだ!マジックカード”騎士の極限精神”を発動!自分フィールド上に存在する騎士モンスターは、このターン2回攻撃を行うことができる」
ガレスの場にある2体の騎士の身体が輝く。
ガレス:「行くぞ!ラファーガの騎士-リバイブで、まずは羊トークン2体を破壊!!」
ラファーガの騎士-リバイブが手に持つ剣で、羊トークン2体を粉砕した。
ガレス:「ラファーガの騎士-リバイブの効果により、破壊したモンスターのレベル×200ポイントのダメージを相手に与え、自分はその分ライフを回復する!」
羊トークンのレベルは1。それが2体なので、400ポイントのダメージを受ける明日香。そして、逆にガレスはその数値分ライフを回復する。
明日香:「くっ」
明日香
LP600 → 200
ガレス
LP1400 → 1800
ガレス:「サブルムの騎士-ムーシャで残った羊トークン2体を破壊!!」
サブルムの騎士-ムーシャが残りの羊トークンを粉砕した。
これで明日香のフィールドにモンスターも伏せカードも存在せず、手札もない状況になってしまった。
最悪の立場だ。
ガレス:「邪魔者は消した。次のターンでトドメを指す!リバースカード1枚セットし、ターンを終了する」
ガレスのターンが終了した。
ガレス:「念には念を入れておいたが、どうだ?明日香。サレンダーする気はないか?」
明日香:「!」
ガレス:「フィールド尽き、手札尽き、ライフはたったの200。もう勝ち目はない。今、サレンダーすれば、優しく抱いてやるぞ」
舌を出すガレス。
明日香はゾクッとした。
明日香:「誰がサレンダーなんかするものですか!」
ガレス:「つまり、お前は激しい方が好きだということだな!」
明日香:「負けるつもりないって言ってるのよ!」
ガレス:「この状況で、そんな口を開くとはな!だったら、やってみろよ!まあ、無理だろうがな!ハハハハハ!」
ガレスと共に後ろにいた部下たちも笑う。
明日香:『あんな奴に抱かれるなってゴメンよ!私には、十代って言う人が…』
十代…。けど、そいつは、もういない。
デュエル中にも関わらず、十代のことを思い出してしまった明日香。
明日香:『十代、私、勝てるかな…』
???:「デッキを信じていれば、カードは必ず答えてくれる」
明日香の頭に過った懐かしい声。
明日香:「!」
明日香は自分のデッキを見る。
???:『最後まで諦めなければ、奇跡は起きるぜ』
あいつがよく言っていた。
そして、何度も奇跡を起こしてきた。
明日香:『そうよね。まだ、終わりじゃないわよね』
口がにやける明日香。
明日香:「例え、フィールドががら空きでも、手札がなくても、まだデッキがある!最後まで諦めない!私を見てて、十代…!」
明日香がカードをドローする。
9ターン
明日香
LP200
ガレス
LP1800
明日香:「私のターン!」
明日香がカードをドローする。
と次の瞬間。
???:『明日香!』
明日香の頭に聞こえた女性の声。
引いたカードは”サイバー・チュチュ”だった。
明日香:『サイバー・チュチュ…!来てくれたのね』
サイバー・チュチュ:『一緒に頑張ろう!私は、明日香の相棒なんだから!』
カードに描かれているサイバー・チュチュのイラストの右目がパチッとウインクする。
明日香:『流石、私の相棒よ』
明日香の表情が変わったことに気付いたガレス。
明日香:「私は今引いた、サイバー・チュチュのカードをを墓地へ送って」
サイバー・チュチュのカードを墓地に送った明日香。
明日香:「エンジェルエルフバリアーの効果で墓地へ送ったトラップカード”機械天使の煌めき”の効果を発動!このカードを除外することで、デッキからサイバー・エンジェルと名の付いたモンスターと、機械天使の儀式のカード1枚ずつを手札に加えるわ!」
明日香はデッキから2枚のカードを選択し手札に加える。
ガレス:「だが、儀式モンスターを出すには生け贄が必要。お前のフィールドと手札に、それができるモンスターはいない。無意味だ」
明日香:「安心しなさい。モンスターならいるわ」
ガレス:「何…!」
明日香:「私は、前のターンにラファーガの騎士-リバイブの効果で墓地へ送られたトラップカード”エンジェル・ソウト”の効果を発動!」
明日香の場にトラップカードが現れた。
ガレス:「エンジェル・ソウト…?」
明日香:「自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードを除外し、墓地から天使族モンスター1体を効果を無効にし、守備表示で特殊召喚する!”サイバー・エンジェル-荼吉尼”を守備表示で墓地より復活させるわ!」
腕が四本ある機械天使が現れた。
サイバー・エンジェル-荼吉尼
LV8 守備力2400
ガレス:「チッ、モンスターを出したか」
明日香:「”機械天使の儀式”を発動!サイバー・エンジェル-荼吉尼をリリースし、儀式召喚を行うわ!!」
サイバー・エンジェル-荼吉尼が、フィールドから消え、新たなモンスターが天より舞い降りてきた。
明日香:「東方を守りし光の天使よ。今ここに光の道を作りて、大地を震わせ!降臨せよ!!”サイバー・エンジェル-帝釈天(タイシャクテン)”!!」
鋭い刃を持つ矛を手に持ち、オレンジ色の長髪の機械天使が明日香の場に舞い降りる。
サイバー・エンジェル-帝釈天(タイシャクテン)
LV8 攻撃力2900
ガレス:「攻撃力2900…!ここで、強力な儀式モンスターを出して来るとはな」
明日香:「これが私の切札よ!サイバー・エンジェル-帝釈天の効果発動!自分フィールド上に存在するモンスターが、このモンスターのみの場合、サイバー・エンジェル-帝釈天の攻撃力は1000ポイントアップする!」
サイバー・エンジェル-帝釈天の攻撃力が上がる。
サイバー・エンジェル-帝釈天
攻撃力2900 → 3900
ガレス:「こ、攻撃力3900だと…!」
明日香:「サイバー・エンジェル-帝釈天でサブルムの騎士-ムーシャに攻撃!エターナル・イルミネイト!!」
サイバー・エンジェル-帝釈天が攻撃を仕掛ける。
ガレス:「トラップ発動!”騎士の守り神”!相手モンスターの攻撃を無効にし、攻撃した相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える!これで、お前のライフは0!俺の勝ちだ!」
明日香:「無駄よ!サイバー・エンジェル-帝釈天の効果には、バトル中、相手が発動したトラップカードを無効にし破壊する効果を持っているわ!」
サイバー・エンジェル-帝釈天の効果により、騎士の守り神は消え去った。
ガレス:「くそっ!」
明日香:「攻撃続行よ!サブルムの騎士-ムーシャを破壊しなさい!帝釈天!!」
サイバー・エンジェル-帝釈天が、サブルムの騎士-ムーシャを葬った。
ガレス:「ば、バカな…!」
ガレス
LP1800 → 700
明日香:「安心するのは早いわよ!サイバー・エンジェル-帝釈天の効果。このカードが戦闘でモンスターを破壊したとき、破壊したモンスターの攻撃力が2000以上の場合、このカードはもう一度バトルすることができる!」
ガレス:「なっ!」
明日香:「これでサヨナラよ!エターナル・イルミネイト!!」
サイバー・エンジェル-帝釈天が眩しい光の輝きをフィールドに照らし、ラファーガの騎士-リバイブを破壊した。
ガレス:「うわあああ!」
ガレス
LP700 → 0
ガレスのライフ0。
勝者、明日香!!
海賊たち:「「「「船長!!」」」」
海賊たちがガレスの周りに集まる。
ガレス:「何してる!明日香を捕えろ!絶対に逃がすな!」
明日香:「!」
ガレス:「もう勝ち負けなんてどうでもいい!とっとと宝とあいつを連れて引き上げるぞ!」
ガレスがそういうと…。
???:「そう簡単にはいかないぞ」
聞き覚えのある男性の声。
ガレスたちが声が聞こえた方を振り向くと…。
万丈目:「この船の乗客は、解放した。大人しく投降しろ」
万丈目、そして後ろには、この船の乗客たちがいた。
乗客たちは、自分たちを見張っていた海賊たちを取り押さえていた。
ガレス:「ええぇぇぇ!!」
驚きを隠せないガレス。つい鼻水を垂らしてしまった。
明日香:「万丈目くん!やってくれたのね」
万丈目:「キミも、無事に勝ったみたいだね」
お互いにやるべきことを果たしたことを伝える。
ガレス:「お、おのれぇ!覚えてろ!!」
ガレスが、この場から逃げる。
海賊1:「待ってくれよ!船長!」
盗んだものを持っていた海賊たちが、持っていたものをその場に置きガレスを追いかける。
万丈目:「ま、待て!」
万丈目が追いかけようとするが、後ろから「うわっ」と声がしたので後ろを振り向くと、捕まえていた海賊たちも、その場から無理矢理逃げ出し、ガレスが向かった海賊船の方へ走る。
海賊5:「待ってくれ!船長!!」
乗客たちに捕まっていた海賊たちが急いで海賊船に乗る。
そして、海賊船は動き出し、豪華客船から離れていく。
万丈目:「くそっ!取り逃がした!」
万丈目が取り逃がしたことに悔しがる。
その姿を見る明日香。
豪華客船から引き上げたガレス達が乗る海賊船。
ガレスは機首にいた。
ガレス:「次会ったときはリベンジしてやるぞ!明日香!」
ガレスが離れる豪華客船を見てそう言う。
ガレス:『しかし、サイバー・エンジェルに、天上院明日香という名前…。誰かから聞いたような…。んん~。いつ誰に聞いたんだっけ?』
思い出そうとするガレス。
しかし、全然思い出せなかった。
昼過ぎ
ヒーロー・アイランド
翔:「あ、万丈目くん。こっちだよ!」
翔が手を挙げて、自分たちがいるところを教える。
剣山:「万丈目先輩、遅いザウルス!」
万丈目:「何も知らなかった奴が、大口を叩くな」
ヨハン:「大口叩いてたか?」
剣山の言葉が大口を叩いているようには思えなかったヨハン。
トメ:「それより、万丈目ちゃん。明日香ちゃんは?」
万丈目:「もうすぐ来ると思いますよ」
トメの質問に万丈目が答える。
その頃、明日香は港にいた。
綺麗な海を眺める明日香。
島を出て、ボートに乗っていたときに万丈目から言われた言葉を思い出す明日香。
万丈目:『あいつのこと、忘れたらどうだ?』
十代のことを忘れる。それは、自分にとって辛いことだ。
万丈目:『戻って来ない奴のことをずっと胸に締まっていても、苦しむのは君自身だ』
けど、十代のことを胸の中に締まっていても、あいつはもういない。自分自身が辛いのは永遠に続く。
明日香は十代からもらったネックレスを首から外し、右手で思いっきり握る。
そして、それを海に投げようとする。
これさえなくなれば、十代のことを忘れられる。
明日香はそう思った。
しかし、投げようとした直後に、十代の背中が見えた。
明日香:「!」
これを投げれば、十代のことを忘れることができる。
でも…。
明日香は、その場に膝をついた。
そして、左手でネックレスを持つ右手を掴んだ。
明日香:「やっぱり…」
明日香の涙が地面に落ちる。
明日香:「やっぱり、できないわ。私には、あいつを忘れる事なんて…」
その場で泣く明日香。
永遠に続く苦しみかもしれない。それでも明日香の気持ちは永遠に変わらないものだった。
数十分後、明日香はみんなと合流する。
ジュンコ:「明日香さーん」
梨香:「ママ、遅ーい!みんなご飯食べちゃったよ」
梨香が頬を膨らませて言う。
明日香:「ごめんなさい。遅くなっちゃって」
美寿知:「何かあったの?」
明日香の顔を覗いてそう問う美寿知。
少しの間が空いたが明日香は何事もなかったかのように…。
明日香:「何でもないですよ。大丈夫です」
そう答えた。
セイコ:「悩み事があったら言ってくださいね」
明日香:「ありがとうございます。セイコさん」
梨香:「ママ、私、パフェ食べたーい!」
レミ:「梨香、さっきご飯食べたばっかりでしょ」
明日香:「3時になったらね」
明日香にとって辛いことは続くかもしれない。
だが、家族や仲間たち、みんなのおかげで楽しく過ごせている。
人間は沢山笑って、泣いて、怒って生きている。
辛いことだけが人生じゃない。
明日香は十代のことを絶対に忘れない。そう誓うのであった。
第3ED『キミモノガタリ《little by little》』
次回予告
ナレーション:ダイシャラス王国で起きた戦いから1年。
新たな災いが起きようとしていた!
謎に包まれた一つのリング。それを巡る新たな戦いが幕を開けようとする!
新章突入の時!
ツバキ:次回、遊戯王5DXAL「デスリングと呼ばれる代物」
ツバキ:「その男を探すのが僕たちの任務ですか」
遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!
明日香:「機械天使の儀式は状況に応じて様々なサイバー・エンジェルを儀式召喚できるわ。私が、今回召喚した”サイバー・エンジェル-帝釈天(タイシャクテン)”は、ピンチだからこそ活躍してくれる最強のモンスターよ」