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第60話:『宣告者(デクレアラー)の輝きと3匹のバニーラ』






小鳥たちがダイシャラス王国から帰国してから数日後




フロンティア本部

元帥室



百々原は資料を整理し、前を見る。


百々原:「では、今日から君も、このフロンティアの一員となってもらう。所属はSOA特務隊だ。わかったな。上原レミ」
百々原の前にいた女性。ダイシャラス王国を裏で支配していたテイタラファミリーの幹部の1人だったケリロットではなく上原レミが立っていた。


レミ:「はい」
真剣な眼差しでレミは返事をした。






第4OP『Butterfly Core《VALSHE》』






第60話:『宣告者(デクレアラー)の輝きと3匹のバニーラ』







フロンティアのとある広場に集まるSOA特務隊のメンバーたち。




慎也:「と言うわけでは、今日から正式に俺たちの仲間になった上原レミだ」


レミ:「上原レミです。改めてよろしくお願いします」
笑顔で挨拶するレミ。


梨香:「レミ~」
梨香がレミに抱き付く。

梨香:「よかったね、ここに来られて!これで一緒にいられるよ!」
だらだらと涙を流す梨香。


剣代:「梨香、見っともないぞ」

梨香:「だって~」


レミ:「ありがとう、梨香。私に生きる道を作ってくれて」

梨香:「友達なんだから当たり前でしょ」
涙を手で拭き、そういう梨香。



愛:「けど、よく入れたよね。テイタラファミリーの幹部を含むメンバーは全員、逮捕されたんでしょ。どうして、あなただけ許されたの?」


レミ:「それが…」
レミが数日前のことを話す。

それは、初めて百々原元帥と会ったときのことだ。



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百々原:「君の、今後のことだが…」

レミ:「私がやってきたことの罪は重いです。覚悟はできています」

百々原:「うむ、確かに、君はテイタラファミリーの一員だった。他のファミリーの幹部たちと同様の処分が下されるはずだろう。と私は思ったんだが」

レミ:「?」

百々原:「どうやら、君のデータは既に改ざんされているらしい。四大神王者の手によってね」

レミ:「改ざん?」

百々原:「あぁ、四大神王者ロスト、遊馬に聞いた話では、四大神王者全員は、君の素性を知っているそうだ。そのため、最初からこうなることを予測していたのだろう。君の国のデータを改ざんして罪をなかったことにしていた」


レミ:「どうして!私は、他の幹部と一緒で人を沢山殺して!」

百々原:「それはわかっている。罪は重い。このまま、なかったことになんてできない。だから、遊馬からこう言われたんだ」



遊馬:『もし罪を背負いたいのであれば、みんなを守ってほしい。遊戯さんからの伝言だ』
遊馬がテイタラファミリーの反乱が始まる前に百々原に言った言葉だ。

遊馬:「彼女も戦いたくて、戦っているわけじゃない。俺たちと同じだ。ならせめて、みんなと共に戦ってほしい」
遊馬が遊戯から受け取った伝言。この言葉に百々原は応えたのだ。




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レミ:「初代キング・オブ・デュエリストが…」

百々原:「だから、私は君を、このフロンティアの一員に招待したいと思うのだが」


レミ:「私は罪を背負った女。そんな私を、梨香は、みんなは受け入れてくれるのでしょうか」

百々原:「人間皆、罪を背負っているものだ」
軽く口を手で塞いでしゃべる百々原。







レミ:「で、ここに入ったわけ」


小鳥:「遊馬、レミのこと最初から知ってたのね」

アンナ:「けど、刑務所に行くより、こっちの方が楽しいぜ。絶対、な?」


鉄男:「ああ、改めてよろしくな」


レミ:「こちらこそ」
レミが一礼する。


葵:「ところで、レミ。元帥は?」


レミ:「私が出るときに、宝井さんが、元帥の部屋に入るのを見ましたけど…」








元帥の部屋




宝井:「遊馬に”Xデータファイル”を渡したですって!!」

百々原:「あぁ、そして、この施設に管理しているデータを全て消去した」


宝井:「なぜです!あれには、四大神王者のデータが5万と入っています!あの力を人類が身につければ、戦争は勝てるのですよ!」

百々原:「”同化計画”は、やらんと言ったはずだ。人類があの力を手にすれば、戦争は増える一方だ。

宝井:「それに勝つための力です!急いで、データを復元します!」

百々原:「ならん!」

宝井:「なぜです!」

百々原:「ならんと言ったはずだ」
百々原が宝井を睨みつける。

宝井:「!!」

百々原:「そもそも、四大神王者は、この計画を反対している。自分たちの力を他の者たちに与えるなど、絶対にあってはならんぞ。いいな」
百々原が宝井に聞く。

宝井:「了解です。ですが、この計画はいずれ必要になりますよ。それをお忘れなく」
宝井は、そう言い残し、部屋を出る。



百々原:「必要になるか。そうならない時代が来てくれれば、本当はいいのだがな」
1人椅子に座ってしゃべる百々原。









正午


昼ごはんの時間だ。



レイが、廊下を歩いて誰かを探す。


ジュンコ:「レイちゃん」

レイ:「あ、ジュンコ先輩、ももえ先輩、お疲れ様です」
前からジュンコとももえが歩いてきた。


ももえ:「どうかしたのですか?」

レイ:「それが、今日マルッチのこと見てないなと思って探しているんです」
マルッチ、加納マルタンのことだ。

レイとはアカデミア時代の同級生になる。


ジュンコ:「そういえば、そうね」

ももえ:「どこに行ったのでしょう?」











その頃、マルタンは…。



マルタン:「たまには、こういうのいいですね」
朝からずっと街中を歩いていた。


ネオコーポレーションシティは毎度ながら平和で快適な街。

こんな性格だからいつもは、一日家にいるのだが、久しぶりの気分転換ということで、街を歩いていたのだ。



しばらく歩いていると、自然公園があり、その森の中にマルタンは入って行った。









自然公園の近くに止めているトラックの2台の中。



???:「ったく、準備が遅い。どれだけ時間を使ったと思っていんだ!」

部下:「すいません。社長」

???:「いいか!ここには、アースファクトリー社の支部を建てるんだ。アースファクトリーと言う名を広めるために、まずはここから始まるのだ。失敗は許されないぞ!」
手に持つ資料を机に叩き付け、しゃべるアースファクトリー社の若い社長。

会社の名前を広めるために、自然公園の森を埋め立て、アースファクトリー社の支部を建てようとしていたのだ。


その頃、マルタンは1人、森の中を歩いていた。



しばらく歩いていると、上から何かが降って来てマルタンの頭に当たる。


マルタン:「いたっ!」
マルタンは頭を触りながら、なんだ?と後ろを振り向き、地面に落ちているのを見る。


マルタン:「ニンジン?」
食べかけのニンジンが落ちていた。


すると、また上からニンジンが降って来てマルタンの頭に当たる。


マルタン:「一体、誰だい。こんな悪戯するのは…!」
マルタンは上を見た。


すると、木の枝に3匹の兎がいた。


しかも、普通の兎ではない。


マルタン:「あれは、”バニーラ”?」
バニーラ。デュエルモンスターズ界のモンスターだ。


多元世紀になって、デュエルモンスターズの精霊が実体化することはまれにある。

更に、野生の精霊が、こうやって森の中に密かに暮らしたり、人間の振りをして街中を歩くこともある。


マルタンがバニーラを見ていると、また一匹のバニーラが食べていたニンジンを投げる。

マルタン:「わっ!君たち、一体、何がしたいの!」
マルタンが少しキレる。

その顔を見たバニーラたちが笑う。

そして、その場から逃げ出した。

マルタン:「あっ、ちょっと!」
マルタンが追いかける。

バニーラたちは、地面に着地し走って逃げる。

マルタンは、それを追いかける。




しばらくして、広地に出た。

バニーラたちを見失ったマルタンがきょろきょろ周りを見る。


すると、後ろからまたもやニンジンが投げられ、マルタンの頭に当たる。

マルタンは後ろを振り向くと、バニーラがこちらに走ってきた。

そして、マルタンの周りを走り回る。

マルタン:「君たち、もしかして僕と遊びたいの?」
腰を低く下ろし、そう聞くとバニーラたいがその場に止まり頷く。

マルタン:「なら、そう言ってくれればいいのに」
マルタンが一匹のバニーラを手に乗せて言う。

すると、残り2匹のバニーラもマルタンの肩に乗ってきた。



そして、マルタンはしばらくバニーラ3匹と遊んだ。


公園の噴水に顔を突っ込んだり、走りバニーラを追いかけたり、30歳を過ぎるマルタンだが、今は子供に戻った気分だ。

アカデミアにいたときも、ここまではしゃいだことはなかったかもしれない。





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そして、草原に寝っ転がる。

マルタンのお腹の上にバニーラが乗っていた。

マルタン:「疲れたね」
マルタンがそういうと、バニーラたちが耳を動かした。


マルタン:「さて、僕はそろそろ行くよ」
マルタンが起きあがり、地面に着地したバニーラたちがマルタンを悲しい目で見る。

マルタン:「じゃないと、友達や先輩たちが心配するからね」
マルタンが、バニーラたちの目を見る。

悲しんでる?まさかね。

マルタンはそう思った。



すると、次の瞬間!


ドーン!

まるで、大きなものが落ちたかのような物音がした。


マルタン:「何!?今の音!」
マルタンは音がした方へ走る。


それを追いかけるバニーラたち。


大きな物音がした方から鳥が逃げていくのが見えた。

更に、野良猫も走って逃げる様子が見えた。





社長:「急げよ!時間がないんだ!」
若い男性が、ブルドーザーやパワーショベルに乗る運転手に命令する。



マルタン:「ちょっと、何してるんですか!?」
そこにマルタンが来た。

社長:「何だい?君は。ここは今、部外者立ち入り禁止だ。下がっててくれ。早くやってくれ!」
社長がブルドーザーの運転手に命令すると、ブルドーザーが木を倒していく。


それを見るバニーラたちが怯える。

バニーラの様子を見たマルタンが「止めないと」という気持ちになった。


マルタン:「この作業、市長に許可をもらってやっているんですか?」

社長:「部外者は下がっていろと言ったはずだ」

マルタン:「この自然公園の森には、動物たちが暮らしているんですよ。何とも思わないんですか?」

社長:「俺の会社を広めるためには何とも思わないな」

マルタン:「社長?」

社長:「俺のことを知らないのか?ネットでは顔写真を載せてまでプロフィールを書いているんだが…、やはりアースファクトリー社を広めるためには、ここまでやる必要があるみたいだな」

マルタン:「アースファクトリー社って確か、製薬会社の」

社長:「会社は知っているようだな。どうだい?俺の会社で作った薬試してみないかい?この薬なんて、2日飲めば風邪で吹っ飛ぶし、こっちの薬を飲めば便秘に効くよ」
薬を出して、マルタンに進める。

マルタン:「アースファクトリー社の社長が、どうしてここまでするんですか?」
マルタンの問いに薬を懐に仕舞い話す。


社長:「勿論、アースファクトリー社の存在を広めるためだ。広めれば、その分、お金が入るし、周りの人々にもお客さんの信頼もつかめる。そのために、ここの森を埋めて、アースファクトリー社の支部を建てるのさ」

マルタン:「市長に許可をもらっているんですか?百々原市長は、何も言っていませんでしたけど」
フロンティアの元帥、百々原はネオコーポレーションシティの市長もやっている。

ここの自然公園はネオコーポレーションシティにある自然公園の中でも一番の広さを持っている。

もし、森を埋め立てて会社を建てるとなると、自分の耳にも入ってくるはずだ。


社長:「チッ、市長と関わりのある奴だったか」

マルタン:「やっぱり許可貰ってないんですね!」

社長:「どうせ、貰えないんだ!だったら勝手にやるまでだ」

マルタン:「動物の気持ちも分からないで、勝手に会社なんて立てるなんて、ひどいです!」

社長:「もう作業は始まっている。今更止めることなんてできないぞ」


マルタン:「いえ、止めます!どんな手を使っても」
マルタンがついミッションウォッチを起動させ、量子変換していたデュエルディスクを手に持つ。


社長:「ん?おまえ、デュエリストか?」

マルタン:「?」

社長:「俺も、昔はデュエリストでね。デュエルの実力はそれなりに自信がある」

マルタン:「なら丁度いいですね」

社長:「なんだと?」

マルタン:「デュエルをしましょう。そして、もしあなたが勝ったら、作業は自由にしてください。ですが、あなたが負けた場合は、この場から去ってください」

社長:「ほお、自身があるみたいだな」

マルタン:「この森を大切にする動物や、バニーラたちがいるんです!あなたの勝手な理想、僕が止めます」
マルタンが社長を真剣な目で見つめる。


そんな真剣な眼差しをするマルタンを3人のバニーラが見る。








作業を中断し、社長がデュエルディスクを左腕につける。

そして、マルタンも左腕につける。


社長:「今回は最近実装されたデュエルリンクスソリッドビジョンシステムで勝負するいいな?」
デュエルアイを左目につける社長。

マルタン:「わかりました。それでいいです」
マルタンも最近、製造されたデュエルアイを左目につける。


社長:「では行くぞ!」

マルタン:「望むところです!」

「「デュエル!!!!」」






両者
LP4000




1ターン

マルタン:「僕の先行!ドロー!」
マルタンが先行を取り、デッキから一枚ドローする。


マルタン:「僕は”紫光の宣告者(バイオレット・デクレアラー)”を攻撃表示で召喚!」
マルタンの場に白い球体で紫色に光る天使が現れた。


紫光の宣告者(バイオレット・デクレアラー)
LV2 攻撃力300


マルタン:「3枚カードをセットして、ターンエンド」
マルタンのターンが終了した。





2ターン
両者
LP4000

社長:「俺のターン!ドロー!」
アースファクトリー社の社長がカードをドローし、手札が6枚になる。

社長:「宣告者デッキとは、中々面白いカードを使う。だが、そのデッキでは、俺のインセクトパワーデッキには勝てないぞ」
社長が引いたカードを確認し、フィールドにセットする。

社長:「”インセクトナイト”を攻撃表示で召喚!」
剣と盾を持った昆虫姿の騎士が現れる。


インセクトナイト
LV4 攻撃力1900


社長:「インセクトナイトでバイオレット・デクレアラーを攻撃!!」
インセクトナイトに攻撃宣言し、手に持つ剣でバイオレット・デクレアラーに斬りかかろうとする。


マルタン:「トラップカード発動!”攻撃の無力化”!!」
マルタンがリバースカードを発動し周辺にバリアが張られ、インセクトナイトの攻撃を止める。

マルタン:「これにより、相手のバトルフェイズは強制終了する」


社長:「なら俺は、マジックカード”サウザンドニードル”を発動」

マルタン:「サウザンドニードル…?」

社長:「昆虫族モンスターを戦闘で相手モンスターを破壊できなかったとき、相手プレイヤーに1000ポイントのダメージを与える!」
空に現れた千本の針がマルタンに降りかかる。

マルタン:「なら、手札の”緑光の宣告者(グリーン・デクレアラー)”の効果を発動!このカードと、手札の天使族モンスターを墓地に送り、相手の魔法カードの発動を無効にし破壊する!」
手札を0にしてまでマルタンは社長のマジックカードの効果を無効にし破壊した。

社長:「ターンエンドだ。手札を0にしてまで、効果を無効にするとはな。次のターン、手札0枚から何かできるのか?」

マルタン:「やってみせるさ。僕だって、やる時はやるんだ」



3ターン
両者
LP4000


マルタン:「僕のターン!」
マルタンがカードをドローした。


マルタン:「リバースカード発動!”天使の歌”!墓地より、緑光の宣告者の効果で墓地に送った”コ―リング・ノヴァ”を特殊召喚する!」
マルタンの場に天使族モンスターが現れる。


コ―リング・ノヴァ
LV4 攻撃力1400


マルタン:「更に、特殊召喚したモンスターがLV4以下の場合、デッキから1枚ドローする」
マルタンがデッキから1枚ドローする。

社長:「そんなモンスターで何ができる?攻撃力は、こちらが上だ」

マルタン:「言われなくてもわかっている。手札から儀式魔法”宣告者の預言(デクレアラー・プロフェシー)”を発動!」

社長:「儀式召喚のリリース素材か」

マルタン:「その通りだよ。コ―リング・ノヴァとバイオレット・デクレアラーをリリース!!」
2体の天使がフィールドから消える。


マルタン:「神の光を持つ天使よ!今ここに!儀式召喚!”神光の宣告者(パーフェクト・デクレアラー)”」
マルタンの場に儀式モンスターが召喚された。


神光の宣告者(パーフェクト・デクレアラー)
LV6 攻撃力1800


社長:「それでも、わずかにこちらの方が攻撃力は上だ」

マルタン:「今はね」

社長:「?」

マルタン:「永続トラップ発動!!!”宣告者の共鳴”!自分フィールド上に”宣告者”モンスターが存在するとき、1ターンに1度、墓地に存在する”宣告者”と名の付いたモンスター1枚を手札に加え、自分フィールド上に存在する宣告者モンスターの攻撃力を400ポイントアップさせる!!僕は、緑光の宣告者(グリーン・デクレアラー)を手札に加える!」
緑光の宣告者(グリーン・デクレアラー)のカードを手札に加えたマルタン。

パーフェクト・デクレアラーの攻撃力がアップする。


神光の宣告者(パーフェクト・デクレアラー)
攻撃力1800→2300


マルタン:「パーフェクト・デクレアラーでインセクトナイトを攻撃!!」
パーフェクト・デクレアラーが光線を照射し、インセクトナイトを粉砕した。

社長:「くっ」


社長
LP4000→3600

マルタン:「僕はこれでターンエンド」
マルタンのターンが終了した。



社長:「たかが400ポイントのダメージ、痛くもないわ!」

社長がデッキの上に指を置く。



4ターン
マルタン
LP4000
社長
LP3600

社長:「俺のターン!!」
社長がカードをドローする。

社長:「”チェーンソー・インセクト”を召喚!!」
社長の場に顎に当たる部分が電動鋸のクワガタが現れた。


チェーンソー・インセクト
LV4 攻撃力2400



マルタン:「レベル4で攻撃力2400…!」

社長:「俺のインセクトパワーデッキをなめるなよ。こんなもんじゃないぞ!」

マルタン:「!」

社長:「マジックカード”インセクト信教”!自分フィールド上に昆虫族モンスターが存在する場合、このターン、相手フィールド上に存在するモンスターの効果を無効にし、更に自分のライフが相手より少ない場合、ライフを1000ポイント払い、手札からレベル6以上の昆虫族モンスター1体を特殊召喚する!」


社長
LP3600→2600


社長:「いでよ!”メタルアーマードバグ”!!」
社長の場に巨大な昆虫族モンスターが現れる。


メタルアーマードバグ
LV8 攻撃力2800


マルタン:「攻撃力2800…!」

社長:「チェーンソー・インセクトでパーフェクト・デクレアラーを攻撃!!」
電動鋸の顎で、パーフェクト・デクレアラーを真っ二つにした。

マルタン:「ぐっ」


マルタン
LP4000 → 3900

社長:「チェーンソー・インセクトは、その攻撃力の高さゆえ、自身の効果により、ダメージステップ終了時、相手プレイヤーはデッキから1枚ドローする」
社長の言う通りにマルタンはデッキから1枚ドローする。

社長:「そして、メタルアーマードバグでダイレクトアタック!!」
メタルアーマードバグがマルタンに突撃する。

マルタン:「うわああ!」
マルタンが吹き飛ばされる。


マルタン
LP3900 → 1100


起き上がるマルタン。少しずれたデュエルアイを元の位置に戻す。

社長:「これでターン終了。攻撃力2400と2800.これを破壊することなど、簡単にはいかない。次の俺のターンで勝ちは決まるな」
自分の勝利を宣言した社長。

マルタン:「僕は、絶対に負けられないんだ」
マルタンがボソッと言う。

社長:「お前はなぜ、そこまで、この森に拘る?」
社長が聞く。

木の影からバニーラたちが覗く。

マルタン:「だって…」
マルタンが大きな声で叫ぶ。

マルタン:「この森には、大切な友達が住んでいるんだ!」
その言葉を聞いたバニーラたちが、ピクッと反応した。

おそらく、今日会ったばっかりなのに友達と言ってくれたことをうれしく思っているのだろう。

社長:「訳のわからないことを!」
社長が少しキレた。






5ターン

マルタン
LP1100
社長
LP2600

マルタン:「僕の、ターン!」
カードをドローするマルタン。

マルタン:「フィールドに存在する永続トラップ、宣告者の共鳴の効果。このカードを墓地に送ることで、デッキから宣告者と名の付く儀式モンスターを手札に加える」
デッキからあるカードを手札に加えた。

マルタン:「マジックカード”天使の咆哮”を発動。ライフを半分にすることで、墓地の天使族モンスターを可能な限り特殊召喚する。だけど、特殊召喚されたモンスターの効果は無効になり、攻撃力は0となる」


マルタン
LP1100 → 550


マルタンの場に3体のモンスターが現れる。

神光の宣告者(パーフェクト・デクレアラー)
攻撃力0


紫光の宣告者(バイオレット・デクレアラー)
攻撃力0


コ―リング・ノヴァ
攻撃力0


社長:「ライフを減らしてまでモンスターを出すということは、目的はさっき手札に加えた儀式モンスターを召喚するためだな」

マルタン:「儀式魔法”宣告者の神託(デクレアラー・オラクル)”を発動!手札の緑光の宣告者(グリーン・デクレアラー)、と、フィールド上に存在するコ―リング・ノヴァ、神光の宣告者(パーフェクト・デクレアラー)をリリース!」
3体のモンスターが儀式の生け贄となった。

マルタン:「宣告者の中でも最高レベルを誇る宣告者よ。今ここに!儀式召喚!降臨せよ!”崇光なる宣告者(アルティメット・デクレアラー)”!!」
宣告者の中で最高レベルを持つモンスターが現れた。


崇光なる宣告者(アルティメット・デクレアラー)
LV12 攻撃力2000


社長:「何が出てくると思えば、攻撃力2000。それでは俺には勝てない」

マルタン:「わかっているさ。だから、あなたのフィールドにいる虫たちはここで退場してもらう!」

社長:「何…!?」

マルタン:「墓地に存在する、天使の咆哮の効果発動!このカードと自分フィールド上に存在する天使族モンスター1体を除外することで、相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊し、破壊したモンスター1体につき、300ポイントのダメージを与える。バイオレット・デクレアラーを除外!」
バイオレット・デクレアラーがフィールドから消え、眩い光が社長のフィールドを照らし、モンスターを蹴散らす。

チェーンソー・インセクトとメタルアーマードバグを破壊

社長:「ば、バカな!」

社長
LP2600 → 2000


マルタン:「これで終わりです!アルティメット・デクレアラーでダイレクトアタック!!!」
アルティメット・デクレアラーが光線を社長に向けて発射し、社長が吹き飛ばされる。

社長:「うわああああ!」


社長
LP2000 → 0


勝者、マルタン!


デュエルを見ていたバニーラたちが喜ぶ。


マルタンがデュエルアイを外し、ボソッと呟く。

マルタン:「か、勝った…!」
勝ったんだ、僕は。やった。

そんな気持ちが胸いっぱいだ。


社長:「くそっ!」
付けていたデュエルアイを地面に叩き付ける。

社長:「こうなったら、力押しで!」
社長が力づくで作業を進めようとする。

しかし…!


警察:「アースファクトリーの社長だな」
警察数人が現れた。

社長:「なんだ?お前たちは!!?」

警察:「あなたに逮捕状が出ている。理由は分かっているな」
警察が社長に手錠をかける。

社長:「は、離せ!俺を誰だと思っている!」
社長が警察に連行された。

それを見るマルタン。

マルタン:「とりあえず、一件落着かな」
頬を軽くボリボリと掻くマルタン。

そこに、バニーラ3匹が近づいて来る。

マルタン:「さあ、もう大丈夫だよ。好きなところに行ってきな」
マルタンが笑顔で言う。

すると、バニーラ3匹がマルタンに飛びついた。

マルタン:「うわっ。どうしたの?好きなところに行きなよ」
マルタンがそういうが、バニーラたちは離れようとしない。

マルタン:「もしかして、君たち、僕と一緒にいたいの?」
マルタンがそう聞くと、バニーラ3匹が輝き、それぞれカードとなった。

聞いたことがある野生の精霊で気に言った主人を見つけるとカードになるって。

マルタンはバニーラ3匹に選ばれたのだ。

マルタン:「うん、わかったよ。これからよろしくね」
マルタンが3枚のバニーラのカードに言う。


すると、空が一瞬だが輝き、マルタンは空を見上げる。


すると、そこには、「虹色」とも呼ばれる美しい翼、そして尾羽を持つ大きな鳥が飛んでいた。

その姿はまるで不死鳥だ。

マルタン:「あれは…」
見たことのない鳥。

デュエルモンスターズだということはすぐに分かったが、それでも見たことがないモンスターだ。

マルタン:「世界には、あんな綺麗なモンスターが野生の精霊でいるんだ」
野生の精霊に興味を持ったような目をするマルタン。



世界は広い。それを改めて実感するマルタンであった。






第3ED『キミモノガタリ《little by little》』









次回予告

ナレーション:平和な日常が続く中、カイトとドロワは街に出る。

戦いの疲れを癒しながら、街を歩いていたとき、額にバリアンのマークを付けた者たちが現れた。

彼らの目的は一体!そして、カイトは、それにどう対抗するのか?

カイト:次回、遊戯王5DXAL「光子竜の猛攻!」

カイト:「貴様ら、懺悔の用意はできているか!」



遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!

マルタン:「僕が使用する”宣告者”デッキは光属性・天使族モンスターが主流で儀式召喚を得意とするよ。攻撃力は、それほど高くないけどカードの組み合わせで様々なコンボを決められるよ」
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