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第59話:『国家政府の真意』





テイタラファミリーとの戦い終結から3日。


ダイシャラス王国の国民たちは、街の復興に力を注いでいた。


大工A:「おーい、そっち頼むわ!」

大工B:「了解っす!先輩!」


御頭:「手を休めるなよ!家がなくて、困っている人達のために、一日でも早く復興を進めるぞ!!」


一同:「「「「おー!」」」」
建物を建設する大工たち。




看護師:「先生、こちらの患者を見ていただけないでしょうか?」


先生:「わかった。この患者が終わったらいくよ」

看護師:「よろしくお願いします」
病院は、患者でいっぱいだった。





警官:「よし、次はあっちを見に行くぞ。Aチームは俺に着いて来い!」


一同:「「「「ラージャ!」」」」
隊長の指示で十数人が隊長の後について行く。





ダイシャラス王国に住む人々は昼間は誰も休まず、自分の役割を果たしていた。








第4OP『Butterfly Core《VALSHE》』









第59話:『国家政府の真意』









今回の騒動で、本部から派遣された”ICPO”、通称インターポールは、フロンティア上層部”十天老士”の1人、宝井の元を訪れていた。




警部:「では、我々ICPOは、一度本部に戻り、状況を報告しに行きます。ご協力ありがとうございます」
宝井に敬礼する警部。


警部は、その場を走り、宝井は走った警部の背中を見る。


宝井:『なぜ、戦っているときに来なかった。フロンティアが、この国にいたからか?いずれにせよ、来るタイミングが違う!』
警部の背中姿を見て、心の中でぶつぶつ文句を言う宝井。









全世界各地




とある国の施設



男性A:「テイタラファミリーが落ちたとなると、いつまでもここにいるのは危険だ!おい!支度できたか?」

男性B:「へい!ばっちりです!」

男性A:「よし行くぞ!」
数人の男性たちが荷物を持って外を出ようとする。


すると、いきなり周りが輝き、辺りを眩しくする。


警官:「お前たちは完全に包囲されている!テイタラファミリーから入手していた麻薬について洗いざらい吐いてもらおうぞ!」
周りの警官たちが、数人の男性たちを囲う。


男性A:「くそがぁあ!」
荷物を地面に落とし、悔しがる男性。





別の国にある小組織


警官:「ダイシャラス王国とのつながりについて、聞かせてもらうぞ!」

男性:「しらねえ!俺たちは何もしらねえんだよ!」
警官たちに抑えられる男性が暴れる。

それは、他の者たちもそうだった。





次々と、世界中にいるテイタラファミリーが裏で製造していた武器や麻薬を買収していた組織や組はが逮捕されていく。

テイタラファミリーの裏が暴かれたのだから、それに関わるものたちが全員が逮捕されてもおかしくない。







慎也:「そうか、武器や麻薬を買収していた奴らが、次々と」

羅夢:「はい。小組織だけでも、既に10組織ほどテイタラファミリーとつながりがあり、麻薬を買収したことにより、逮捕されています」

葵:「テイタラファミリーと繋がっていた人たちが全員逮捕されるのも時間の問題ね」

哲平:「そうだな」
慎也と羅夢、葵と哲平が椅子に座って話す。


葵:「そういえば、さっき聞いたんだけど、明日には飛行機が飛べるみたいよ」

羅夢:「では、明日の便でネオコーポレーションシティに戻りましょう」

哲平:「そうだな。な、慎也。…ん?」
哲平が慎也に声を掛けると、慎也は下を向いていた。


哲平:「どうした、慎也?」

慎也:「なんだかんだ、今回のミッションは遊馬に助けられたなと思ってな」

羅夢:「確かに。ここに来ているなんて誰も予想していなかったでしょうしね」

葵:「けど、ここに来たおかげで宝井さんはカンカンだったけどね」

慎也:「それにバリアンのことだ。遊馬は、手を出すなと言っていたが、1人でバリアンを相手にするのは自殺行為だ」

葵:「でも、遊馬は一度バリアンの創設者・ドン・サウザンドを倒したデュエリスト。1人で立ち向かっても、そう簡単にやられはしないと思うわ」


慎也:「昔と同じならな。バリアンのと決戦からあれこれ、50年以上は立っているのだぞ。向こうも力をつけているはずだ」

哲平:「元帥にバリアンのことは?」

慎也:「俺から話しておく。遊馬はフロンティアに一切手を出すなと言われているが、やはり放っておくことはできない」
慎也がそういうと、哲平達が頷く。


哲平:「そうと決まれば、早速、元帥に連絡だ」

慎也:「元帥に連絡しても無駄だぞ。今頃、元帥は…」










世界をまとめる国際組織”国家政府”。



そんな国家政府の聖地が、ここ”ヴェーロイア”だ。



ヴェーロイアの中心に大きく建つ建物。

国家政府 本部




???:「バギー・グ・テイタラめ。好き放題やってくれたものだ」

???:「バギーが率いていたファミリー。幹部クラスの情報が、こちらに全然なかったが、あれはどういうことだ?」

???:「バギーの刺客が、ここに潜り込んでいたそうだ。そやつが、情報を裏でもみ消していたんだろう」

???:「その男は?」

???:「我々に正体がバレたことを悟ったのか、密室で自殺したそうだ」
5人の年配たちが大きな部屋の空間で話す。



”五輪帥星”

国家政府の最高権力者であり、5人の年配たちで構成されている。

世界を監視しており、世界勢力を発案した者たちでもある。

1人は長身で杖を持った老人。
1人は、杖を持った小太りの老人。
1人は背がかなり小さくチョビ髭を生やした老人。
1人は眼鏡をかけ、銃を磨く老人。
1人は侍のような姿で腰に刀を差す老人。


名前は全員不明である。



???:「バギーのことも大いに気になるが、そいつを追っていた遊馬の方はどうなんだ?バリアンについて捜査を依頼してから、こっちに連絡は?」
長身で杖を持った老人が聞く。

???:「ない。四大神王者だぞ。そう簡単に連絡は寄こすまい」
眼鏡をかけ、銃を磨く老人が銃を閉まって言う。

???:「なぜ、九十九遊馬を動かした。バリアンと繋がりがあるからか?」

???:「それもあるが、他の奴らが、どこで何をしているのか見当がつかない。今回はたまたま、九十九遊馬の居所がつかめたこともあり、依頼したまでのこと」
長身で杖を持った老人が、杖を持った小太りの老人に聞く。

???:「四大神王者。ホント、好き放題やってくれる連中だ。アッシュいや、武藤遊戯の居所も分からないのか?」

???:「2年ほど前に連絡してからそれっきりだ。他の奴らもな」
侍のような姿で腰に刀を差す老人が、背が小さくチョビ髭を生やした老人に聞いた。

???:「奴の居場所は相変わらずわからないままか?」

???:「我々の目を欺くほどの行動。奴を見つけるのは困難だ」
長身で杖を持った老人が、先ほどまで銃を磨いていた老人に聞く。

???:「”無限の放浪者”。奴だけは警戒しなければいけない人物」

???:「だが、奴は自分から世界を動かそうとはしない。他の組織の上層部からも信頼されているほどだからな」

???:「いつ化けの皮がはがれるかわからんぞ」

???:「今は隙にさせておけ」
五輪帥星たちが話しを進めていると、大きい扉がノックされた。


役人:「失礼します!」
役人1人が入ってきた。


役人:「報告。大組織”フロンティア”元帥、百々原清太郎氏がお着きになりました」
腰を低く落とし、そのままの姿勢で百々原が来たことを報告する。


???:「そうか。よし、通せ」

役人:「はっ」
役人は下がり、部屋を後にする。


???:「さて、話しを聞こうじゃないか。あの男の」
五輪帥星たちは待っていた。百々原のことを。



百々原は、静かに廊下を歩き、五輪帥星がいる部屋に向かっていた。





東アメリカ大陸のオレガンシティ




大組織”サイファー”本部。




ジェームズ:「そうか。2人は来たか」
大組織”サイファー”の総帥、ジェームズ・H・ウィリアムが腕を組んで机に向かって座る。



隊員:「はい」


ジェームズ:「今回のダイシャラス王国の騒動の件で、天下八大王共には招集をしてみたが、やはりこうなったか」

隊員:「仕方ありません。天下八大王は8人中2名は、サイファーの隊員ですが、残りはよそ者同然。好き放題ばかりする連中です」

ジェームズ:「ふむ、だが、この件を野放しにすることはできない。事件後ダイシャラス王国に入った隊員からの情報によれば、王宮を破壊した痕跡を見ると四大神王者ロストの仕業の可能性があると履んだそうだ」

隊員:「しかし、四大神王者は孤独の法を科せられてから、今まで動きを見せなかったはずでは…!」
隊員がそういうと、ジェームズはため息をついた。

ジェームズ:「いつまでも黙ってはいるとは思ってはいなかったが」

隊員:「奴らも動くのでしょうか」

ジェームズ:「それを見極めるための招集だ」

隊員:「今回、ダイシャラス王国でテイタラファミリーと戦闘したフロンティアの使者たちはどうなさいます?監視を付けますか?」

ジェームズ:「半年前に入った新米ばかりだ。必要ない」
ジェームズが立ち上がる。


ジェームズ:『その新米どもの影響で、四大神王者は動いた可能性もあるな』
ジェームズが心の中で呟く。



すると、そこに別の隊員が入ってきた。


隊員B:「報告します。天下八大王”アレハンドロ・ユニオン”並びに”ハーヴェイ・ノヴァ”の2名が到着しました」

ジェームズ:「あの二人か。まあいい、通せ。私もすぐに行く。これ以上、待っても誰も来ないだろう」
ジェームズは上着を着用する。







館内放送:『天下八大王”アレハンドロ・ユニオン”並びに”ハーヴェイ・ノヴァ”が到着』
館内に響く女性の声。


その中を、2人の男性が歩く。


金髪で長身。左半分の顔が入墨だらけの男、天下八大王”アレハンドロ・ユニオン”。

蟹股歩きで、胸毛を見せびらかす男、天下八大王”ハーヴェイ・ノヴァ”。






そして、場所は天下八大王が集まるフロアへ。


隊員A:「キミ!上官に向かって何をする!」
隊員一人が動揺していた。

ここまでずっと一緒に行動して隊員が、自分に刀を向けていたからだ。


隊員B:「……」
上官が呼びかけても返答がない。

ましてや、刀を持って、こちらに向かってきた。

隊員A:「おい!やめろ!」
槍タイプのデュエルギアを手に取り、刀を受け止める。


隊員C:「何のつもりだ!よせ!」
隊員Cが隊員Bに触れ止めようとした、そのとき!

隊員C:「うわあ!」
隊員Bはその手をどけようと隊員Cに刃を向ける。


その様子を見ている2人隊員。


サイファー βJ1部隊隊長にして、天下八大王の1人、”バリー・デリソン”。

バリーは大きくため息をつく。

そして、もう一人。

サイファー αC4部隊隊長にして、バリーと同じく天下八大王の1人、”カクリコン・ライル”。


カクリコン:「ハーヴェイ、貴様の幻術だな」
カクリコンが座席に座るハーヴェイを見る。

ハーヴェイ:「ご明察。よくわかったな」

カクリコン:「こんなことするのは、この中で、お前ぐらいだ。とっとと幻術を解け」

ハーヴェイ:「なら、早くやろうぜ。こっちは退屈しのぎで来てんだ」
ハーヴェイがニヤッと笑うと、幻術に掛けられている隊員Bが更に暴れる。


隊員A:「こんな下らないこと、さっさとやめろ!」
隊員Aがハーヴェイに言う。


ハーヴェイ:「俺に指図してえなら、俺より強くなってから言え。カスが」
ハーヴェイが隊員Aを睨みつける。

すると、そこに。


ジェームズ:「やめろ。貴様、ここでの勝手な行動は慎んでもらう」
総帥ジェームズ・H・ウィリアムが部屋に入ってきた。


ハーヴェイ:「ようやくお出ましか」
ハーヴェイがそういうと、幻術に掛けられていた隊員Bが目を覚ます。

隊員B:「俺は、一体何を…?」
手に持つ刀を見て、自分が何をしていたのかを自覚する。



ジェームズ:「ったく、好き勝手やってくれる。まあいい、始めよう。時間だ。お前たちだけ来ただけでも良しとする」

全員が席に着く。


ハーヴェイ:「俺は来る気がなかったがな。退屈しのぎになりそうだったから来ただけだ」
ハーヴェイが両足をテーブルの上に乗せて座る。

アレハンドロ:「……」
ハーヴェイと違いアレハンドロは、何もしゃべろうとしなかった。


ジェームズ:「そうか、迷惑だな。今回はダイシャラス王国でのことについて話すつもりだったんだが」

ハーヴェイ:「はっ、あのバカ王子の反乱ってか。でも、それは、ここと同じ大組織のフロンティア、”SOA特務隊”が止めたんだろ。それと、この招集、何の関係があるんだ?」
ハーヴェイがジェームズに問う。




ジェームズ:「今回の招集の議題はダイシャラス王国ではなく、”SOA特務隊”の方だ」
その言葉に、ハーヴェイだけでなく、アレハンドロやバリー、カクリコンたちが反応した。


ハーヴェイ:「はっ、意味が分からねえな。じゃあ、尚更、この招集をかけた理由がわからねえ」


ジェームズ:「少しは”黙る”ってことができないのか?」

ハーヴェイ:「ふふふ、はははは。言ってくれるな総帥さんよ。俺の幻術にハマりたいようだな」
ハーヴェイがジェームズを睨みつける。


すると、足音が聞こえた。


???:「招集と聞いて来てみれば、下らない事をやっているようだが、来る場所を間違えたか?」
1人の男が部屋に近づいて来る。


部屋にいる、みんなが声がした方を見る。


隊員A:「お前は…!」


バリー:「世界最強の剣士…」
バリーがボソッと呟く。

そう、部屋に入ってきたのは、天下八大王の1人、”世界最強の剣士”の称号を持つ男”ゼルダ・ウルフィアス”だった。


ハーヴェイ:「ほお、こいつは珍客だ」

ジェームズ:「ゼルダ。まさか、お前が…!」


ゼルダ:「俺のことはどうでもいい。話しを聞きに来ただけだ。この招集の議題になる”SOA特務隊”に興味を持っていてな。それを聞きに来ただけだ」
ゼルダが空いている椅子に座る。

アレハンドロ:「……」

カクリコン:『あの世界最強の剣士が興味を持つほどとは、一体、どんな奴らなんだ…』
椅子に座るゼルダを見て呟くカクリコン。



そして、話しは続いたのであった。










一方、その頃、ヴェーロイアにある国家政府本部の最高権力者”五輪帥星”たちがいる部屋に、フロンティア元帥、百々原清太郎が来ていた。



百々原:「今回の騒動、国家政府はなぜ何もしなかったのです!」
百々原の追求に、五輪師星たちは黙っていた。


百々原:「私の部下たちが偶々、あの国にいたからよかったものの、もしいなかったら、今回と同じようにバギー・グ・テイタラの要求を無視し国中の人々を皆殺しさせるつもりだったんですか!答えてもらいましょうか!」
百々原が大きな声で叫ぶ。


???:「口を慎め。百々原」

???:「今回の件について、バギー・グ・テイタラの要求は、我々、国家政府に大きな損害を与えかねないことだ」

???:「バギー・グ・テイタラの要求を飲み、国家政府が無くなったら、この世界は誰がまとめる?」
長身で杖を持った老人が、その杖で百々原を指し、チョビ髭を生やした老人が椅子に座って語り、刀を磨く老人が百々原に問う。


百々原:「そのために、ダイシャラス王国の国民たちには犠牲になってもらうと、そう言いたいのですか?」

???:「国家政府の存在は、この多元世紀には大きな存在だ」

百々原:「一国の国民たちの命よりも重いと言いたいのですか?」
百々原が問うと、五輪師星は口を開かず黙ってしまった。


百々原:「あなたたちは勝手過ぎる…!」
百々原が一歩前に出て大きな声で叫ぶ。



百々原:「あなたたちは、何かを恐れている。国家政府が無くなると、何が問題なのですか!あなたたちが懸命に隠し続けている空白の200年についてですか!戦争の始まりですか!」
大きな声で怒鳴る百々原に、銃を磨く眼鏡をかけた老人が、銃口を百々原に向ける。


???:「それ以上、しゃべると命はないぞ!」

百々原:「!」
百々原は一瞬ビクッとしてしまった。しかし、そのまま口を開く。

百々原:「それと、もう一つ、ロストいや、遊馬の件です。彼を動かしたみたいですね」


???:「バリアンのこと、奴から聞いたのか?」

百々原:「はい、バリアンについて、あなたたちはどこで入手したのです?」
百々原が問うと、杖を持った小太りの老人が前に出る。

???:「バリアンについては、最初から九十九遊馬に聞いていた。時が来れば、戦争になりうることもな」

百々原:「その時が、今ですか」

???:「覚えておけ。国家政府は、世界を見ていることを」
杖を後ろに回し胸を張る小太りの老人が言う。


すると、そこに。



朧:「失礼します」
女性秘書の朧が部屋に入ってきた。


???:「どうした?」
チョビ髭を生やした老人が聞く。


朧:「はい、先ほど四大神王者ロストよりメールが送られてきました」
その言葉に、部屋にいる6人が反応した。




???:「話の内容は?」

朧:「はい。バリアン、ダイシャラス王国にて姿現し王子を拉致。俺は、このままバリアンの調査を続行。手出しはするな。とのことです」

???:「メールは何処から送られてきた?」

朧:「残念ながら特定は不可能です」

???:「相変わらずな奴だ。他の四大神王者も、どこにいるか特定できずにいるようだが」

???:「ロストはともかく、他の3人は我々の秘密を持っている。下手に騒動を起こせば、こちらの信頼も危うい」
五輪師星は、四大神王者に苦手意識を持っている。

力は強い、自分から世界を動かそうとすることもない。一応、信頼はできる。

しかし、それでも国家政府の弱みを奴らは持っている。それを公表されることを五輪師星は怖れている。



百々原:「バリアンについて、遊馬からはフロンティアは手出ししないでほしいと言われています」

???:「当然だ。これは、ロストだけの問題。お前たちを動かそうを思わん」

百々原:「分かりました。私は失礼します」
百々原は一礼し、この部屋を出る。

秘書の朧が先導し連れていく。


廊下を歩く百々原。

百々原:「遊馬の問題。あんたらが遊馬を勝手に動かしただけじゃないのか。いずれにせよ、バリアンの件については、少しでも早く手を打つべきだ。フロンティアは、四大神王者を決して見捨てたりしない!」
百々原が心の中で呟く。









ダイシャラス王国

早朝

ダイシャラス王国の空港



ジュンコ:「うーん、これで帰れるわね」

ももえ:「日本に帰ったら、温泉にでも入りたいですわ」
背筋を伸ばすジュンコと、自分の右肩を叩くももえが嬉しそうに言う。



春:「初めて、この国に来て色々あったのぉ」

明里:「ええ、遊馬が生きていたことには、ホント驚いたわ」
椅子に座る春の肩を明里が揉む。




アキ:「2人とも、忘れ物はないかしら」
荷物を持つアキが、愛と一星に聞く。


愛:「うん、大丈夫」

一星:「問題ない」
アキの問いに子供たちが答える。



みんなが、楽しく話している中、片隅で話す一馬、未来、慎也。

一馬:「やはり、遊馬のことは…」

慎也:「はい、あまり外部に漏らさないでください。国家政府は、まだ遊馬の生存を隠したがっているでしょうから」

未来:「国家政府は、息子の何を恐れているの?」

慎也:「それは、俺にもわかりません。ですが、遊馬は四大神王者の1人。世界を動かそうとしない四大神王者ですが、やろうと思えば世界を変える力を持っている存在です。ワックスポワロで戦った狂言の戦いを覚えていますか?」




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慎也と狂言がデュエルしたときのことだ。



狂言:「世界には、まれに、自分が特異点だと知り、世界の謎を知るスフィアである二種混合の者たちもいる。その中でも代表するのが、フロンティアの最大戦力でもある四大神王者。世界勢力でも一番強いと言われている四人組のデュエリスト」




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未来:「!」

一馬:「狂言のことが事実だとすれば、遊馬も…!」

慎也:「ええ、特異点であり、スフィアでもあります。そして、同じスフィアである国家政府の最高権力者たち。遊馬が秘密を握っているとなると、世界に遊馬の生存は公表したくない」


未来:「私たちの息子は、国家政府のおもちゃじゃない!」
少し強い口調で言う未来。

慎也:「わかっています。ですが、遊馬のためにも、今は」
慎也も遊馬がおもちゃじゃない、1人の人間だということは知っている。しかし、今はこうするしかできないのだ。


すると、後ろから。


小鳥:「待ちましょうよ。遊馬のこと」
小鳥、琴羽、セイ、サチが来た。

未来:「小鳥ちゃん」

小鳥:「私は待ちます。遊馬のことをずっと」

琴羽:「また、来てくれんじゃない。遊馬君は」
琴羽がそういうとセイとサチが頷く。


一馬が未来の肩を掴む。

一馬:「遊馬のことだ。世界のどこかにいるのは間違いない。待とうじゃないか」

未来:「…そうね」
自分の肩を掴む一馬の手にそっと手を乗せる。




哲平:「慎也、そろそろ搭乗時間だぞ」

慎也:「ああ、よし日本に戻るか」
慎也が足元にある荷物を持って、搭乗口に向かう。




小鳥も荷物を持って、搭乗口に向かう。

向かう途中に、前から来た男が小鳥の横を通り過ぎようとしたとき。


???:「元気でな。小鳥」

小鳥:「!」
小鳥が咄嗟に後ろを振り向く。

今のは、遊馬の声だった。

まだ、この国にいたんだ。

小鳥が後ろを振り向いたときには、遊馬らしき人はいなかった。



セイ:「小鳥ー」

サチ:「早く!」
セイとサチが小鳥を呼ぶ。

小鳥は、前を振り向き、走って搭乗口に向かう。





小鳥の強い思いは、遊馬に届いたのか。

そして、遊馬と小鳥、再会の日は訪れるのか。


かっとビングの精神は不滅、そして、その精神を愛してしまった小鳥もまた、新たな道を歩むことになる。







第3ED『キミモノガタリ《little by little》』






次回予告

ナレーション:ダイシャラス王国から帰国してから数日後、小さな陰謀が動こうとしていた。

それを止めるべく、マルタンが前に立ちはだかる!

陰謀を止めるため、マルタンの力が発揮される!

マルタン:次回、遊戯王5DXAL「宣告者(デクレアラー)の輝きと3匹のバニーラ」


マルタン:「この森には、大切な友達が住んでいるんだ!」
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