ツバキ：「うわああああ」
衝撃で宙に吹き飛ばされるツバキ。


カイト：「ツバキ！」

ブレイブ：「マズい！」
ブレイブが前に出る。


バギー：「もう遅い！消えてもらうぞ！若きデュエリスト！」
バギーがジャマダハルの刃先からビームを発射した。

その攻撃はツバキに迫る！



モクバ：「ツバキ！！」

海馬、万丈目：『『！！』』


ツバキに迫るバギーの攻撃。

誰もが躱せないと思った。


だが、当たる直前に、何者かがツバキを救った。


バギー：「！」


ツバキ：「君は…！」
ツバキは自分を助けてくれた人の顔を覗く。

知っている顔だった。

闇川：「大丈夫のようだな」
闇川。そう、闇川がツバキを救ったのだ。


ラフェール：「闇川…！」


藤原：「みんな、大丈夫かい？」
息を切らしながら、みんなに問うのは藤原だった。

万丈目：「藤原！」

藤原：「万丈目くん、君一体、何を…！」
万丈目の状態も気になったが、それよりもペガサスや隼人たちが血を流して倒れていることの方がもっと気になった。


藤原：「ペガサス会長！」
藤原は、ペガサスの元へ。

藤原：「一体、何が…！」

ペガサス：「話せば…長くなるのデース」

藤原：「しゃべらないでください。すぐ手当てします！」
藤原が持っていたバックの中から包帯などを出す。





ツバキを担ぐ闇川はカイトの隣に着地した。


ツバキを下ろす。


ラフェール：「大丈夫か？ツバキ」

ツバキ：「はい、何とか」

カイト：「まさか、あんなこともできるとはな」

風属性の分身。それを見破ることができず、ツバキは、そのまま攻撃を仕掛け、そして返り討ちにあった。


ツバキ：「やはり、一筋縄ではいかないか」







第4OP『Butterfly Core《VALSHE》』







第５２話：『光燐之太刀のコンタクト融合！』








バギーに苦戦するカイトたち。

だが、その頃、バギーから切り離したラットリーの相手をする剣代は…！



武器がぶつかる音が鳴り響く。


ラットリー：「随分、やりますね！」
ラットリーが、サイキックブロッカーのナイフタイプのデュエルギアで、剣代の光燐之太刀を受け止める。


剣代：「それは、どうも！」
剣代はラットリーを足で蹴り飛ばす。

ラットリーは、すかさず腕でガードし、ダメージを軽減した。


ラットリー：「かなり鍛えられているとみました。あの会談で、君の顔を見たとき、すぐにわかりました。君は、誰よりも曲者だと」

剣代：「……」

ラットリー：「こちらも本気を出さないといけないようですね」
右手に持つナイフを回す。


ラットリー：「…サイキックブロッカー、セカンドステージ！」
ナイフタイプのデュエルギアが輝く。


そして、ナイフタイプから剣タイプのデュエルギアへとなった。

ラットリー：「サイキック・ジャッジ！」
剣タイプのデュエルギア”サイキック・ジャッジ”を構えるラットリー。

剣代：「セカンドステージ…。この男できたのか」

ラットリー：「経験では私の方が上です。できても不思議ではない…！」
地面を思いっきり蹴り、剣代に接近する。

剣代が瞬きしている間に、既にラットリーは剣代の目の前にいた。




剣代：『速い…！』
剣代は急いで光燐之太刀を構えた。


ラットリー：「話にならない」
剣代の目の前から再び姿を消したラットリー。


剣代が振り向こうとしたとき、目の前にラットリーの姿を確認し、そのまま腹を殴られた。

剣代：「ぐはっ！」

ラットリー：「首、貰ったぞ」
髪の毛を掴み、身動きを取らせないようにするラットリー。

セカンドステージ化したサイキックブロッカーのナイフタイプのデュエルギアを振り下ろす。


剣代：「このお！」
優れた身体能力を持っている剣代は地面を思いっきり蹴り上げてジャンプ。

その反動でラットリーは態勢を崩し、チャンスだとばかりに剣代はラットリーの手を振り払い、後ろへ下がる。




ラットリー：「往生際が悪いですね」

剣代：「まだ死にたくないんでな」

ラットリー：「ほお、なら、君はいつ死ぬのですか？」


剣代：「え」
いきなり質問に思わず口を開いた剣代。


ラットリー：「この世界は狂っている。地球にいる8割が、永遠の命をもらい、この世界で暮らしている。永遠の命をもらって。なら、もらったものはいつ死ぬんだ？」

剣代：「何がいいたい？」

ラットリー：「人はいずれ死ぬ。歳を取ることに身体が弱まり、最後は静かに眠る。それが、理想の死の在り方。だが、この世界でそれは可能なのですか？」

剣代：「！！」

ラットリー：「永遠の命を手にすれば、歳を取ることもなく、若い者はそのままの姿。実際、私も、多元世紀になってから、この姿のままです」

ラットリーの話しを黙って聞く剣代。

ラットリー：「永遠の命を手にすれば、世界の人口は増え続け、ほとんどの方は豊かな暮らしが待っていると思っているでしょう。しかし、現実を見てください」

剣代：「！」

ラットリー：「戦争は止まず、神が永遠の命という素敵なものをプレゼントしたにも関わらず、結果、その者たちは戦いの中で死んでいます。我々は、いえバギー王子は、それを阻止するために、戦争をコントロールし、結果、世界を救うことに繋がるのです」

剣代：「そのために、今いる人間は邪魔だとでもいうのか！あんたらの計画のために、この国の人々は死んで行くのか！」

ラットリー：「世界を救うためには犠牲は付き物です。かつての”世界精霊大戦”のように」
世界精霊大戦…。この言葉に剣代はピクッと反応した。

世界精霊大戦で世界を救ったのは、自分の父。世界を救うために、自分の命を犠牲にした。


剣代：「世界精霊大戦は、遊城十代が自ら望んで犠牲になった。あんたらとは違う！」

ラットリー：「ええ、そうでしょう！テイタラファミリーは手を汚しているだけで犠牲にはなっていない。しかし、悪いのは王子を信じてきた住民たち。もっと早く我々の正体に気付いていれば、事は起きなったでしょう」

剣代：「お前たちテイタラファミリーは、絶対に許さない！」
歯を食いしばる剣代。

とてつもない殺気が放たれる。


ラットリー：『キレましたか。しかし、自分を見失えば、やられるのは自分の方です』
サイキック・ジャッジを構えるラットリー。


ラットリー：「いいものを見せましょう、私、最強の必殺技を」
ラットリーからも殺気が放たれる。

2人の殺気がぶつかり合うが、剣代の方が弱くラットリーの殺気に押される。


剣代：「くっ」


ラットリー：「光、闇、炎、水、風、地、6つの属性のうち、風属性は最も危険な属性。波動の制御を見誤ったとき、周りにも被害が及ぶ」

剣代：「何の…話だ…」
殺気に押されながらも立って話す剣代。

ラットリー：「この世界に入ってきたばかりの人には難しい知識でしたかね。さあ、瞬きをすれば、あなたの首は既に飛んでいます」

剣代：「！」

ラットリー：「刈れ。サイキック・ウィンドシア」
サイキック・ジャッジを振ったラットリー。

斬撃のようなものが飛び、剣代に迫る。


目を大きく開ける剣代。












その頃、王宮を目指す三沢、亮、マリク、リシド、鬼柳、ミスティ、エマリーがいきなり聞こえた爆発音に反応した。



鬼柳：「今の爆発、近いな」

亮：「ああ、どうやら、王宮の方では再び戦闘が始まっているようだな」

エマリー：「急いだほうがいいんじゃない」

ミスティ：「そうね」
みんなが色々話している中で、三沢はミッションウォッチをずっといじりながら走っていた。

三沢：「よし、あと5分もすれば、王宮へ着くぞ」

マリク：「なら、急ごう」
マリクたちは、1秒も早く王宮へ着くために走り続ける。






その頃、小鳥、ドルべ、ベクターは…。



小鳥：「王宮の方にいる、みんなは大丈夫かしら」

ベクター：「ふん、俺たちのメンツは、そう簡単に死ぬ奴なんていねえよ」

小鳥：「そうかもしれないけど…」
それでも、みんなのことが心配で仕方がない小鳥。


ドルべ：「途中からとはいえ、今は君が司令なんだ小鳥。君が、そんなことじゃ、みんなは動かないぞ」

小鳥：「ドルべ…」

ドルべ：「遊馬なら、自身を持て！って言うんじゃないのか」
ドルべの言う通りだ。

私がしっかりしないと。

小鳥は急いで、ミッションウォッチの通信機能をオンにする。



小鳥：『みんな、聞いて！』






ミッションウォッチから聞こえる小鳥の声。



小鳥：『私は、人命救助を最優先って言ったけど。今から、命令を変更するわ』






未来サイド



未来が付けるミッションウォッチから聞こえる小鳥の声に小鳥の母、琴羽が黙って聞いた。


琴羽：「小鳥…」







Ⅴサイド


Ⅳとアンナと行動するⅤ。

たった今、璃緒、エド、キャットと合流した。


全員、小鳥の通信を聞いた。









小鳥は息を吸う。



小鳥：「全力で戦争を止める！だから、協力して、バギー駄王子を倒すわよ！」
駄王子…。ドルべには察しが付いた。

ドルべ：『駄目王子の略語か…？』


突っ込むところはあるが、小鳥の声は、みんなに響き渡る。








まだ王宮についていない者たちも、急いで王宮へ目指して本格的に動いた。


遠回りはなし！目の前に現れた敵は、一瞬で蹴散らす！









バギーと戦うツバキたち



ツバキ：「司令、命令だね、今のは」


カイト：「そのようだな」


ラフェール：「我々も答えるしかないか」
武器を構えるツバキたち。



バギー：「フッ」
みんなを睨むバギー。

何かを企んでいるのか…？










目の前の風景を見てフッと笑うラットリー。



建物数件壊すほどの破壊力。

斬撃一太刀で、ここまでやるものは、相当の手練れ。


斬撃が向かった先に、剣代の姿はなかった。


あるのは、攻撃の衝撃で舞っている砂塵ぐらいだ。




ラットリー：「他愛もないですね」
ラットリーがフッと笑う。

勝負は付いた、私の勝ちで…と思ったラットリー。



しかし、瓦礫が動く物音がした。


そして、動いた瓦礫の中から…！


剣代：「ぶはっ！」

ラットリー：「ほお」

剣代：「死ぬかと思った」
瓦礫の中から剣代が現れた。


剣代を見るラットリー。


ラットリー：『まぐれで躱したのか。それとも運がよかったのか。まあ、どちらにせよ、次で決めるだけです』
落ち着いた表情で、今起きていることを再認識し、次の行動へと移ろうとするラットリー。






剣代：『今の攻撃、当たるとまずいな。さっきのは、光燐之太刀のおかげで助かったが…』
剣代は自分の手に持つ光燐之太刀をチラッと見る。


剣代は汗を流す。


よく見ると、光燐之太刀はさっきの攻撃の衝撃でボロボロ。刃こぼれを起こしている状態だ。



こんな状態の刀で、さっきの攻撃を受け止められるわけがない。


剣代には、なすすべが見つからなかった。



剣代：『くそっ』
歯を立て悔しがる剣代。


しかし、剣代は気付いていなかった。


さっきから自分の腰につけているデッキケースが輝いていたことに。


ラットリー：「サイキック・ウィンドシア・セカンド！！」
サイキック・ジャッジを十字型に縦横に振り、十字の斬撃が剣代に迫る。


剣代は咄嗟に刃こぼれした光燐之太刀を前に出す。

しかし、こんな剣で受け止められるわけがない。それは、剣代に本人が一番理解していた。


剣代：『ここまでか』
剣代は諦め、自分の弱さを改めて実感した。

目を瞑って死ぬ覚悟をした。


しかし…！


？？？：『まだ終わりではない』

剣代：「え？」
剣代は瞑った目をパッと開ける。

すると、目に映ったのは、刃こぼれした光燐之太刀が輝いていたのだ。


？？？：『我々は真の力は、こんなものではない！それを一番理解しているのは、剣代、君だ！』
光燐之太刀から伝わってくる声。

ネオル：『叫べ、剣代。コンタクト融合と！』


剣代：「ネオル…！お前なのか」
光燐之太刀から聞こえてくる声。それは、剣代のエースモンスター”E・HEROネオル”だった。


剣代はネオルの言われた通りにする。


剣代：「コンタクト融合！！」
そう叫んだ途端、デッキケースから光の球が飛んだ。

光の球はモンスターへと姿を変える。


そう、炎のネオスペーシアン”N・ファイア・ビートル”に！

火を纏ったカブトムシの戦士。

ファイア・ビートルは光燐之太刀と一つになる。


剣代は今、目の前で起こっていることを理解できなかった。


すぐ側には、ラットリーの斬撃が迫っている。


剣代：「コンタクト融合に、こんな使い方が…！」
赤く染まった刀身、形状も変わった光燐之太刀は、静かに炎を灯す。


光燐之太刀・烈火


剣代は、光燐之太刀・烈火を見つめ、表情を変える。

迫ってくるラットリーの必殺斬撃サイキック・ウィンドシア。


光燐之太刀・烈火を構え、剣代は叫んだ。



剣代：「ラス・オブ・ネオル-烈火斬！！」
光燐之太刀・烈火を振り、炎の斬撃を飛ばす。

しかし、よく見るとただの炎の斬撃ではない。

粒子を纏っており、キラキラと輝いていた。


二つの斬撃がぶつかるが、剣代が放った斬撃が、ラットリーの斬撃をすぐに打ち消し、そのままラットリーに迫る。


ラットリー：「何…！」
ラットリーは、サイキック・ジャッジを前に構え、剣代の炎の斬撃を受け止める。


ラットリー：「こ、これは、さっきまでとはパワーが…！」
剣代の斬撃に耐えるラットリーだが、すぐに吹き飛ばされた。


炎の斬撃により、地面に大きな亀裂が入った。



ラットリー：「はぁはぁ、こんなことが…！」
ダメージを受けるラットリー。


剣代：「コンタクト融合した光燐之太刀。デュエルギアもデュエルモンスターズの効果を宿しているとは聞いていたが、これが、お前の新の力」
光燐之太刀・烈火を見つめる剣代。


ラットリーが立ち上がる。

ラットリー：「手加減無用ということですか。なら、私も本気を出しましょう！」
もう片方に2本目のサイキック・ジャッジを握る。


剣代：「2刀流か」

ラットリー：「1本で10割の力を出せるのなら、2本あれば、その倍20倍のダメージを出すことができる！行くぞ！神の怒りの鉄槌だ！」
2本のサイキック・ジャッジを構えるラットリー。

気迫が溜められる。






剣代：「まだ、完全に物にはしていないけど、今の俺ならできる」
剣代も刀を構える。


2人はそれぞれ動かず気迫を溜め、今できる最大パワーの攻撃を放とうとする。


ラットリー：「オーバー・サイキック・ウィンドシア！！！」
緑色に染まる巨大な斬撃を飛ばしたラットリー。



剣代：「ラス・オブ・ネオル-大烈火斬！！！！」
先ほどよりも巨大な斬撃を飛ばした剣代。




2人の斬撃がぶつかり、周りに立っている木が攻撃の衝撃で倒れる。




ラットリー：「王子を守り、理想の世界を作り上げるために、私が負けるわけにはいかないのだ！！」
そう叫ぶラットリー。だが、この言葉を聞いて、剣代も負けるわけにはいかなかった。


剣代：「理想の世界を作るために、犠牲を増やすのなら、俺は、いや俺たちは全力で阻止する！！！」
剣代も大きな声で叫ぶ。


剣代：『そうだ、父さんがそうしたように…』
剣代の脳裏に浮かぶ父の背中。剣代にとって、それは見ることのできないものだ。



ラットリー：「うおおおおおおお！」

剣代：「はあああああああ！」


ぶつかる二つの斬撃だが、剣代の斬撃がリードし、ラットリーの斬撃を再び打ち消した。

ラットリー：「！！」

剣代：「いけえええ！」

ラットリー：「私は、私は、うわあああああああ！」
ラットリーに迫る炎の斬撃が、爆発し砂塵が舞う。




剣代：「はぁ、はぁ」
攻撃による消耗が激しい剣代。


そこに。


亮：「剣代！」
知り合いの亮、三沢、そして、マリクや鬼柳たちが来た。


剣代：「亮さんに三沢さん」

三沢：「無事か？剣代」

剣代：「はい、少し疲れただけです。それに、敵は倒しました」
剣代の視線の場所に倒れる男。


リシド：「この男は、確か」

マリク：「慎也から聞いた王子の側近ラットリー」

亮：「お前が倒したのか？」

剣代：「はい」
剣代はグッジョブっと親指を立ててニコッと笑う。





剣代VSラットリー

勝者、剣代！！



鬼柳：「となると、残るは」

ミスティ：「王子ただ1人」

ボマー：「勝利が見えてきたな」

剣代：「みんな、この先の王宮でバギーと戦っているはずだ。急ごう」
剣代が指さした方へ、みんなが走る。










その頃、バギーと戦っているメンツは…！



ラフェール：「うう…」

ドラガン：「くっ」

ブレイブ：「くそがっ…！」
怪我を負ったラフェール、ドラガン、ブレイブ。


オービタル：『………』
オービタル7起動不能。


海馬を押させるナーヴとラリー、モクバ。

万丈目を押さえる藤原とハルト。


藤原：「まさか、ここまでの差があるなんて…」
目を丸くし口にする藤原。


ツバキ：「くっ…」

カイト：「くそっ…」

闇川：「はぁ、はぁ」
膝を地面につく3人。


ジャマダハルを両手に持つバギーは、余裕な表情で立っていた。



ダイシャラス王国王子、いや、テイタラファミリーボス、バギー・グ・テイタラは、この国で最強なのである！！










第3ED『キミモノガタリ《little by little》』







次回予告

ナレーション：続々と王宮に到達するSOA特務隊。

しかし、バギーの恐ろしい強さの前に、仲間たちは次々と倒れてしまう！

テイタラファミリーのボス、バギーに勝つ手段はあるのか！

ついに、最終決戦！

小鳥：次回、遊戯王５ＤＸＡＬ「王国最強の男！バギーの恐怖！」


小鳥：「あなたを野放しにはできないわ…！」







遊戯王５ＤＸＡＬ豆知識コーナー！！



剣代：「俺のエースモンスター”E・HEROネオル”は、父、遊城十代が俺に残したカードだ。ネオスの弟子にあたり、コンタクト融合の力も備わっているぞ」