第51話:『味方同士の戦い バギーの罠』
事件の首謀者バギー、そして側近のラットリーは王宮へ向かっていた。
バギー:「!」
ラットリー:「王子、この感じは…?」
バギー:「チッ、役立たずが…!」
バギーがボソッと口にする。
四天王最後の生き残りバックス。
戦闘不能!
ラットリー:「これで幹部と四天王は全員やられたことになりますね」
バギー:「どいつもこいつも、使い物にならねえな」
2人は走って前へ進む。
そして、2人の目の前に、大きな建物が現れた。
ダイシャラス王国の王宮
つまり、テイタラファミリーの基地だ。
第4OP『Butterfly Core《VALSHE》』
第51話:『味方同士の戦い バギーの罠』
ラットリー:「なんとか戻って来られた…」
バギー:「隠れるのも、もう飽きた」
ラットリー:「そう言わずに、中へ入ってください。計画はまだ続いています」
バギー:「ああ、そうだな」
バギーはラットリーの言う通りにした。
2人が王宮へ一歩ずつ近づいて行く。
カイト:「そこまでだ!!」
後ろから追いかけてくる二つの影。
カイトとツバキだった。
ラットリー:「チッ」
バギー:「思ったより、早かったな」
バギーとラットリーが振り向く。
ツバキ:「お前たち二人の行動なんて、少し考えれば直ぐわかる」
カイト:「さっき、俺たちの仲間が、四天王最後の一人を倒したと聞いた。残るのは、まだ街中にいるテイタラファミリーの部下。そして、お前たち二人だ!」
ギャラクシー・サーベルの先でバギーたちを指す。
バギー:「ラットリー、こいつらだけでもかみ殺すぞ」
ラットリー:「仕方ありませんね」
バギーとラットリーは武器を出す。
バギーは、ジャマダハルタイプのデュエルギアを、ラットリーはサイキックブロッカーのナイフタイプのデュエルギアを出した。
ツバキ:「来るよ、カイト」
カイト:「ああ」
ツバキとカイトも持っていたデュエルギアを構える。
そして、4人は接近し、バギーとカイト、ラットリーとツバキの武器がぶつかり合った。
その衝撃は、周りの建物のガラスを割った。
カイト:「破滅のフォトン・スラッシュ!!」
粒子の斬撃を飛ばし、バギーにぶつける。
バギー:「ふん!」
しかし、愛用するジャマダハルで斬撃を消し飛ばした。
そして、再び、2人の武器が交差する。
ツバキ:「は!」
ツバキは杖から魔力の波動を放ち、ラットリーにぶつける。
ラットリー:「そんなものでは!」
ラットリーはナイフで、波動を切った。
ラットリー:「私を倒すことなどできない」
そういって、ラットリーはツバキに接近する。
ツバキ:『マズい!この間合いじゃ躱せない!』
ラットリー:「もらった!!」
ラットリーがツバキにトドメを刺そうとする。
しかし、別の方角から斬撃が飛び、それに気づいたラットリーは急いで躱し、ツバキから距離を取る。
今の攻撃は、完全に自分を助けてくれた攻撃。
そう思ったツバキ。
モクバ:「おーい、無事かー!」
こちらに手を振ってくる男性。
ツバキ:「モクバさん!それに!」
来てくれたのは、モクバ。それに、海馬、ペガサス、隼人だった。
ラットリー:「増援…!」
ペガサス:「どうやら、間に合ったようデース」
バギー:「デュエルモンスターズの生みの親ペガサス・J・クロフォード、それに海馬コーポレーション社長の海馬瀬人。厄介だな」
カイトと武器を交えているバギーがチラッ見しながら、海馬たちを見る。
すると、
万丈目:「厄介な敵は、ここにもいるぞ!」
バギーの上から振ってきた人影。
万丈目:「万丈目サンダー見参!」
かぎ爪タイプのデュエルギアを右手につける万丈目がバギーに攻撃する。
しかし、すぐにカイトから距離を取り、躱す。
万丈目:「躱されたか」
剣代:「変な名乗りするからです」
カイトの後ろからひょっこり現れた剣代がボソッと言うと、万丈目は頬を赤くする。
剣代:「いい年して…」
万丈目:「うっ」
心に傷が付いた万丈目。
剣代:「大丈夫か?カイト」
カイト:「ああ、問題ない」
剣代の問いに答えるカイト。
ラットリー:「また増援ですか」
万丈目:「俺たちだけじゃないがな」
万丈目がそういうと、後ろからラフェール、ドラガン、ブレイブの3人が顔を出す。
隼人:「他の仲間たちも、今、こっちに向かっているんだな」
ペガサス:「そちらの戦力では、私たちに勝つことなどできません!降伏してください!」
ペガサスがバギーとラットリーに降参を要求する。
バギー:「貴様ら、誰に口を聞いているか、わからせる必要があるようだな」
バギーから感じる気迫。誰もが、その気迫を感じていた。
ブレイブ:「なんて気迫だ、こいつは」
ラフェール:「何を言っても無駄のようだな」
カイト:「聞かないというなら、力づくで止めるまでだ!」
カイトが前に出て、バギーに接近する。
バギー:「フェザー・ハンド・ガン!!」
ジャマダハルを地面に突き刺し、両手を銃の形にして人差し指の先から、風属性の波動で作った弾を連射する。
その弾は、カイトが走る地面の目の前に放たれ、周りに砂塵が舞う。
バギーは再び、ジャマダハルを手に持ち、カイトがいる場所へ走る。
ブレイブ:「ヴァニティ・ティルヴィング!!」
ブレイブがカイトの前に出て、バギーのジャマダハルを受け止める。
ブレイブ:「ロキ!奴を笑え!!ヴァニティ・バレット・バーン!!!」
刀身が紫色に輝き、剣先から魔力を溜めて、溜めた魔力の塊を放った。
バギー:「笑うのは、貴様だ」
バギーは、ブレイブが放った魔力を斬った。
すると、斬った魔力から粒子が放出され、バギーの視界を封じ込めた。
バギー:「蓄積していた粒子が、外に漏れたのか!」
ブレイブ:「言ったろ、笑えって。ドラガン、後は任せたぞ!」
ドラガン:「分かっている!」
ドラガンがバギーに向かって走る。
ドラガン:「トールよ。轟く雷鳴と共に、その身を我に預けよ!」
ドラガンの手にハンマータイプのデュエルギアが持たれた。
ドラガン:「ミョルニル・トゥルエノ!!はああああ!」
雷の力を浴びているハンマーがバギーの頭上に降り注ぐ。
ラットリー:「王子!!」
ドラガン:「もらった!!」
バギー:「タイラント・フェザー・バリア!!」
ドラガンがミョルニル・トゥルエノを振り下ろしたが、その武器はバギーには届かず、一歩手前で止められた。
ドラガン:「風の防御か…!」
ドラガンは後ろに下がる。
ラットリー:「ふっ」
バギーのバリアに手も足も出なかったドラガンを見て笑うラットリー。
ツバキ:「余所見をしている暇はないよ!」
ツバキがラットリーに迫り、杖を振り下ろした。
ラットリー:「ふん!」
ナイフで杖を受け止める。
剣代:「もらった!」
剣代が背後に回り、ラットリーの背中を取る。
剣代愛用のデュエルギア”光燐之太刀”でラットリーにトドメを刺そうとするが、ラットリーは素早い判断で行動し、攻撃を躱す。
攻撃を躱したラットリーはツバキと剣代を見る。
ツバキ:「卑怯って言わないでよね。これも、この戦いを止めるため」
剣代:「容赦はしない」
心の中で静かに怒っていた2人。
ラットリー:『若者が調子を…!』
ラットリーの眉間にしわが出た。
???:「みんなーー」
こっちに呼びかける声。
ハルト:「兄さん!大丈夫!」
ラリー:「激しい戦闘みたいだね」
来たのは、ハルトとカイトのサポートロボ”オービタル7”と、ラリー、タカ、ナーヴ、ブリッツたちだった。
ラットリー:『また増援。この人数は流石に不利がある』
ラットリーが王子の方へ向かう。
剣代:「そうはさせるか!」
剣代がバギーの方へ向かうラットリーを追い、武器を交える。
ラットリー:「チッ」
剣代:「首跳ねの鎌鼬、お前の相手は俺だ!」
ツバキ:「剣代!」
剣代:「王子の方は、任せた!こいつは俺に任せてくれ!付き合ってもらうぞ!」
剣代がラットリーの右腕を掴み、そのまま王宮の方へ引くずり込む。
剣代はラットリーとタイマンで勝負を挑む気なのだ。
ツバキ:「剣代、無事でいて」
ツバキは、そう言ってバギーの方へ目を向ける。
バギーの四方を囲うSOA特務隊。
海馬:「終わりだな」
ラフェール:「大人しく投降してもらおうか」
万丈目:「もし断るって言うんなら」
デュエルギアを構える万丈目。
それにつられるように、みんなも武器を構える。
バギー:「最近、この世界に入ってきた新米どもが調子に乗るなよ」
ボソッと呟くバギー。
この世界。つまり、この戦いの世界のことを言っているのだろう。
バギーはジャマダハルを地面に置く。
すると、懐に手を入れる。
みんなは、警戒する。
すると、バギーは懐からリコーダーに似た笛を出した。
ナーヴ:「笛…?」
バギー:「アウシ・パフォーム」
小さく呟くと、バギーはいきなり笛を吹き出した。
いい音色とは言えないリズムで笛を吹き続ける。
ツバキ:「一体、何をして…」
???:「ぐわあああ!」
突然の悲鳴。
ツバキは、そちらを見る。
目に入ったのは…!
タカ:「な、なんで…!」
タカが血を流して倒れた。
万丈目:「な、なんだ、これ…は…!!?」
万丈目がかぎ爪タイプのデュエルギアで、タカを襲ったのだ。
カイト:「何している!?」
万丈目:「違う…!俺は何も…!」
そう言っているが、次は近くにいたブリッツを襲った。
ブリッツ:「ぐはっ!どういうつもり…だ…!」
ブリッツも血を流して倒れる。
ツバキ:「こ、これは…!」
海馬:「な、なんだ…と…!」
海馬もまた、ブルーアイズソードを使って、隼人とペガサスを斬った。
ペガサス:「か、海馬ボーイ…!」
隼人:「うう…」
モクバ:「に、兄様…」
海馬:「モクバ…逃げろ…!」
そう言いつつも、海馬は剣を振り下げた。
しかし、ラフェールが前に出て、ブルーアイズソードを受け止めた。
ラフェール:「くっ、何が起きている…!」
しばらくして、バギーは笛から口を離した。
同時に、海馬と万丈目の動きも止まった。
バギー:「フッ」
カイト:「貴様、一体、何をした!!?」
バギー:「お前たちは、この国に入った時点で、俺の支配下に入っていたのさ」
ハルト:「え?」
ツバキ:「どういうこと?」
バギー:「この笛には、特殊な超音波を出す素材が中に組み込まれている。その音を聞けば、俺のファミリーが製造している麻薬”XOG97”を口にしている者たちの身体の自由を奪うことができるのさ」
笛を見せびらかしながら語るバギー。
ラリー:「身体の自由を奪うって…」
万丈目:「だが、俺たちは、そんな麻薬を口にした覚えはないぞ!」
バギー:「言ったはずだ。この国に入った時点で、お前たちは、俺の支配下に入ったと。この国中の食べ物には、俺が製造した麻薬が少量入ったものが沢山ある。食べた奴らにバレないようにな。XOG97も例外じゃない」
ツバキ:「くっ…」
ハルト:「そんな…!」
カイト:「卑怯な手を…!」
拳を握るカイト。
バギー:「お前たちの場合、まだこの国にきて、それほど立っていないから効果の有無に差があるようだが、この国の住民が、この笛の音を聞けば、どうなるだろうな」
バギーが笛を口に当てた。
ツバキ:「!!」
バギーは笛を吹いた。
再び、万丈目と海馬の自由を奪った。
海馬:「くそっ…」
万丈目:「こんな、外道に…負けるはずが…!」
海馬と万丈目は、自分のデュエルギアを自らの首に当てる。
カイト:「マズい!オービタル!!」
オービタル:『カシコマリ!!』
オービタルが身体を変形させ、万丈目と海馬を拘束した。
カイトは気付いたのだ。さっきのそぶりは、海馬と万丈目が自らの武器で首を斬って殺すことに。
バギー:『判断が早いな』
笛を吹きながら、そう思ったバギー。
ツバキ:「あの笛を何とかしないとダメか」
ツバキが接近する。
ツバキ:「はあああ!」
バギーは足元にあったジャマダハルを蹴り上げ、右手に持って、ツバキの接近を封じる。
ツバキ:「簡単には、取らせてくれないよね」
一旦、下がるツバキ。
ツバキ:『けど、あれだけ近づいて、僕の身体はいうことを聞いた。僕の体には、あまり効果ないみたいだね』
そう思ったツバキ。
バギーは再び、笛から口を離す。
バギー:「4人脱落、2人は身動きが取れない」
ブレイブ:「嘗めるな!」
ドラガン:「俺たちだけでも!」
ツバキ:「2人とも待って!!」
ブレイブとドラガンがバギーに接近する。
それを止めようとするツバキ。
だが、もう遅い。
バギー:「これが、俺の最終手段さ」
バギーは再び笛を吹いた。
すると、ブレイブとドラガンの身体の自由が奪われてしまった。
ブレイブ:「く、くそっ」
ドラガン:「俺たちまで…!」
ナーヴ:「さっきまで大丈夫だった、あの二人が、あーなったってことは」
ツバキ:「うん、奴との距離による効果の有無はあるってことだよ」
ラリー:「あの笛、なんとかしないと」
ツバキ:「これが最終手段…!」
笛を吹き続けるバギー。
ブレイブとドラガンは硬直状態のままだった。
バギーは笛を吹いたまま、ドラガンとブレイブに近寄る。
2人は、笛の効果によって身動きが取れないため、逃れることができない。
ブレイブ:「くそっ…!」
カイト:「あのままでは、あの二人が!」
ツバキ:「僕が援護する!カイト!2人を!」
カイト:「ああ!」
カイトとツバキが突撃する。
ツバキ:「マジカルスペル・バーン!!」
杖タイプのデュエルギアから黒い波動を飛ばし、バギーを2人から遠ざける。
カイトは、その間にブレイブとドラガンの前に立つ。
カイト:「破滅のフォトン・スラッシュ!!」
粒子の斬撃を飛ばし、バギーを更に遠ざける。
すると、ブレイブとドラガンは解放されたかのように膝をついた。
ブレイブ:「た、助かった…!」
ドラガン:「ありがとう、カイト。それに、ツバキ」
カイトとカイトの隣に来たツバキに礼を言うドラガン。
ナーヴ:「それにしても、どうすればいい?」
ラリー:「奴の笛の音を聞けば、身体が操られる。簡単に倒せないよ」
ツバキ:「確かに。けど、何もできないわけじゃない」
ナーヴ:「どういうことだ?」
カイト:「あいつの音を聞けば操られるが、それは奴のフィールドに入ったらの話しだ」
ハルト:「なるほど!要は、変に近づかなきゃいいんだ」
ツバキ:「うん。ドラガン、ブレイブはあの男から約6メートルから8メートルぐらいのところで身体の自由が効かなくなった」
ハルト:「それにさっき兄さんが2人よりも前に出たとき、兄さんは操られていなかった」
ツバキ:「カイト、現状、この中で君が一番、あいつに大ダメージを与えられるチャンスがあるということだよ」
ツバキがカイトを見る。
カイト:「わかっている」
真剣な眼差しでバギーを睨みつける。
バギー:『この笛の効果は個人差がある』
カイトたちを見るバギー。
バギー:『あいつ以外が俺に先制攻撃を仕掛け、隙を作り、そこにあいつがトドメの攻撃を仕掛ける。攻撃パターンはそう来るだろうな』
バギーは笛を吹くのをやめた。
ツバキ:『カイト』
小さな声でカイトの名を呼びツバキの隣に来る。
ジャマダハルを右手に持つ。
カイト:「何…!正気か」
ツバキ:「うん」
カイト:「だが、それでは…!」
ツバキ:「分かっているよ。これは賭けだってことぐらい。でも、奴を倒すためには、これぐらいの覚悟はいるよ」
ツバキが今まで以上の気迫をバギーにぶつける。
バギー:『こいつの、気迫…!尋常ではないな』
ツバキの気迫を感じ取るバギー。
カイトもツバキの気迫に肌がピリピリしていた。
その気迫に驚かされたカイトは、フッと笑う。
カイト:「わかった。それで行こう」
カイトがツバキの作戦に乗ったようだ。
ツバキ:「行くよ!」
ツバキが杖タイプのデュエルギアから黒い波動弾を何発も出した。
ブレイブ:「ヴァニティ・ティルヴィング!お前の魔力を見せてやれ!」
剣タイプのデュエルギア”ヴァニティ・ティルヴィング”から斬撃が放たれる。
ドラガン:「ふん!」
ハンマータイプのデュエルギア”ミョルニル・トゥルエノ”を地面に叩き付け、地面にひび割れを起き、バギーの足場を崩そうとする。
ラフェール:「はああ!」
ラフェールも太刀タイプのデュエルギアから斬撃を飛ばす。
4人の攻撃が、バギーに襲いかかる。
しかし、バギーは簡単にその攻撃を躱した。
だが、その直後、カイトが突貫しバギーに迫る。
同時にカイトの右手の甲にエースのマークが浮かび上がった。
カイト:「はあああ!」
カイトがギャラクシー・サーベルから斬撃を飛ばす。
バギーはジャマダハルでそれを斬った。
カイト:「まだだ!」
カイトは接近しながら連続で斬撃を飛ばす。
バギーはジャマダハルでそれを全て受け飛ばす。
だが、連続でそれを行った所為で、バギーは雲の中のいるかのように周りが何も見えなかった。
シュパッ!
カイト:「もらった!!」
カイトが、バギーの飛び掛かる。
バギー:「甘い!」
ジャマダハルをその辺に投げ、笛を吹き始めた。
すると、2メートルぐらいのところでカイトの動きが止まった。
カイト:「くっ、おれは、この距離が限界か…!」
オービタル:「カイト様!」
ハルト:「兄さん!」
ブレイブ:「俺たちよりはるかに近いが…!」
ドラガン:「あの距離で動きが止まってしまっては…!」
歯を立てるドラガン。
バギー:『こいつを倒せば、あとは楽に片付けられる』
バギーがカイトに近づく。
オービタル:『カイト様!』
海馬と万丈目を拘束しているオービタルは、その状態でカイトに近づこうとする。
カイト:「手出しはするな!オービタル!」
カイトはオービタルに訴える。こっちに来るな!と。
カイト:「お前は、その二人を動けないようにしていればいい」
万丈目と海馬はバギーの笛の音を聞いただけで、身体の自由が効かない。
そうなると、変に拘束を解除するわけにはいかない。
バギー:『天城カイト。悪いが、ここで終わらせる』
バギーがカイトに接近する。
カイトは歯を立てる。
打つ手がない。諦めた顔をしているようにも見える。
しかし、カイトはニコッと笑った。
カイト:「トドメは任せたぞ」
バギー:「!!」
カイト:「ツバキ」
カイトの背後からツバキが現れ、バギーに接近する。
笛を思いっきり拭くが、ツバキはカイトよりもバギーに近い距離を取っているのにも関わらず、身体が操られる気配はなかった。
バギー:『チッ、こいつの方が接近できた…』
笛を吹くのをやめ、先ほどその辺に投げつけたジャマダハルを手に持つ。
そして、バギーが振り向いた瞬間
ツバキ:「ゲームオーバーだよ」
ツバキの杖タイプのデュエルギアの先端がバギーの胸元に当たる。
バギー:『!』
ラリー:「おおお!」
ナーヴ:「取ったぞ!!」
カイトは、さっきツバキと話したことを思い出す。
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ツバキ:「カイト、トドメは僕が指すよ」
カイト:「何…!」
ツバキ:「あの男のことだ。カイトが自身にトドメを差しに来ることぐらいお見通しのはず。それを逆手に取る」
カイト:「!」
ツバキ:「僕が接近し、奴にトドメを指す!それでいくよ」
そう、ツバキはバギーが予測していたことを読み、それを逆手にとって作戦を立てていたのだ。
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カイト:「悪運の強い奴だ。お前は」
フッと笑うカイト。
万丈目:「よし!これで奴を!」
海馬:「倒すことができる」
モクバ:「行けえ!ツバキ!!」
ツバキ:「終わりだよ。王子様!」
ツバキが杖タイプのデュエルギアの先端からレーザーのように粒子を放った。
零距離から放った攻撃は勿論、バギーの胸元に当たった。
衝撃で後ろに飛ばされるバギー。
苦しむ顔が目に映る。
そう、ついにこの事件の首謀者であるバギーを倒したのだ。
と、誰もが思った…!
シュー。
突然、バギーの身体が消えた。
ツバキ:「!!」
カイト:「何…!」
ペガサス:「ツバキボーイ!後ろデス!」
怪我を負ったペガサスが苦しみながら叫ぶ。
ツバキは後ろを振り向く。
そこには、こちらに近づくバギーの姿が!
バギー:「風属性の分身にまったく気づかないとは、やはり弱いな!貴様らは!」
バギーはツバキの懐に入り、腹を蹴る。
ツバキ:「ぐはっ!」
バギー:「お前を先に潰す!」
バギーはジャマダハルから斬撃を飛ばし、ツバキを襲う。
ツバキ:「うわああああ」
衝撃で宙に吹き飛ばされるツバキ。
カイト:「ツバキ!」
ラフェール:「マズい!」
ラフェールが前に出る。
バギー:「もう遅い!消えてもらうぞ!若きデュエリスト!」
バギーがジャマダハルの刃先からビームを発射した。
その攻撃はツバキに迫る!
ツバキに迫る悪夢。それを、脱することは…!
第3ED『キミモノガタリ《little by little》』
次回予告
ナレーション:タイマンで勝負する剣代とラットリー。
首跳ねの鎌鼬と呼ばれるラットリーの卑劣な攻撃が、剣代を襲い続ける。
窮地に追い込まれる剣代だが、剣代の声に精霊達が応え、新たな力を芽生えさせた!
剣代:次回、遊戯王5DXAL「光燐之太刀のコンタクト融合!」
剣代:「コンタクト融合に、こんな使い方が…!」