第49話:『勝利の女神が味方するのは!』
ファミリー幹部ディヴィットを倒したアンナ。
アンナ:「はぁ、はぁ」
ディヴィットが倒れている場所の近くに立つアンナはディヴィットの顔を覗く。
完全に意識を失っているのが一目でわかる。
Ⅴ:「神月アンナ」
ⅤとⅣがアンナに近寄る。
Ⅳ:「大丈夫か?」
アンナ:「ああ、大したもんじゃねえよ。それと…」
アンナがいきなり2人に頭を下げる。
アンナ:「ごめん!俺の所為で、2人を危険な目にあわせちまって」
頭を下げながらそういうアンナ。
ⅤとⅣはフッと笑う。
Ⅳ:「今に始まったことじゃねえだろ」
Ⅴ:「気にするな。それより、慎也に連絡だ。今の戦況をまとめる。それとカイトの元に急ぐぞ」
アンナ:「そうだ。今、あいつ、この国の王子と戦っているんだった!」
Ⅳ:「早く行くぞ。のんびりしてる暇はない!」
3人は、この場を後にし、先へ急ぐ。
第4OP『Butterfly Core《VALSHE》』
第49話:『勝利の女神が味方するのは!』
1人走る遊馬。
建物の影から出た瞬間!
ファミリー部下:「おい、そこの奴、待て!」
たまたま、近くにいたファミリーの部下に見つかってしまった。
遊馬は急いで、引き返す。
部下は遊馬が逃げた方へ走り、建物から顔を出した、そのとき、壁に隠れていた遊馬が部下の顔を思いっきり蹴り気絶させた。
逃げる不利をして、建物の影に隠れていたのだ。
遊馬:「ったく、まだいたのか」
遊馬は、急いで先へ急ぐ。
遊馬:『アンナの怒りが収まったな。どうやら、暴走はしなかったか。だが、完全にコントロールしたというわけではないだろうな』
いろいろ考えながら走っていると、目の前に王宮の建物が少し見えた。
だが、今、敵である王子は王宮にはいない。
そう、王子は今…。
遊馬:「カイト…」
カイトサイド
王子は今、カイトと戦闘していた。
カイト:「くっ」
傷だらけのカイト。
余裕な笑みを見せるバギー。
バギー:「紋章を輝かせて、少しは楽しめる戦いを見せるかと思ったら、結局、常識な攻撃しか仕掛けて来ないんだな」
カイト:「くそっ!」
エースのマークの力がこもった斬撃が放たれる。
バギー:「タイラント…」
バギーの右手が緑色に光る。
そして、右手を横に大きく振った。
バギー:「フェザー・バリア!!」
荒々しく吹き荒れる風のバリアがバギーを覆った。
そして、カイトの攻撃を吹き飛ばす。
更に、吹き荒れる風の中からジャマダハルタイプのデュエルギアを持つバギーが出てきて、カイトに仕掛ける。
バギー:「ふん!」
ジャマダハルを突き刺そうとするバギーに対し、ギャラクシー・サーベルで受け止めるカイト。
バギーはカイトの腹を蹴ろうとするが、バギーの動きを見ていたカイトは、すぐにバギーから距離を取った。
バギー:「流石にこれだけ、戦っていたら、この程度の動きは読まれるか」
カイト:「お前、なぜ一つの国を人質に取ってまで、こんなことをする?政府に解散の要求を求める理由は何だ?」
カイトはギャラクシー・サーベルを構えながらバギーに聞く。
バギー:「この多元世紀は、国家政府が中心に立ち支配されているも同然だ。そんな国家政府は、俺の組織を認めようとしなかった。いや、正確にはファミリーを作り上げた、俺の父が、ファミリーそのものに力を与えなかった」
カイト:「お前の…父親だと?」
バギー:「これだけの人員を持ちながら、戦いには参戦せず国を守る自警団としてしか、ファミリーを使わなかった。だが、父が死んだことで、俺はファミリーを必ず変えることを選んだ。そして、強くなったのさ…!テイタラファミリーは、大組織を設立させるほどの力を!だがな、国家政府が承認するまで、大組織どころか、小組織にもなれない」
バギーの話しを黙って聞くカイト。
バギー:「知っているはずだ。この世界は小組織、中組織、大組織の3つによって組織の階級がランク付けされる。だが、それは国家政府が全て一任されているため、多くの人数をそろえたところで、国家政府が承認しなければ、大組織にも中組織にも、小組織にもなれない。なら、政府を潰し、俺たちファミリーが世界の中心に立ち、世界をまとめ上げると!」
バギーは両手を広げ、大きな声でいう。
カイト:「そのために、国家政府は邪魔だというのか?」
バギー:「それに今の大組織もな。フロンティアを含む今ある大組織は、力の強さが半端ではない。俺のファミリーが頂点を到達するためには障害物になる」
カイト:「国家政府の解散に、大組織をお前の作ったファミリーの傘下に置く。そんなことのために、この国にいる未関係な人々を全員巻き込んだのか?」
バギー:「全ては計画のため!それを邪魔するものがいれば排除するまで!そして、世界を作り上げるために、犠牲は付き物!」
カイト:「くっ、ふざけるな!」
カイトがバギーに接近し攻撃を仕掛ける。
バギー:「無駄なことを!」
ジャマダハルを使って、カイトの攻撃を受け止めるカイト。
慎也サイド
慎也:「そうか、アンナが幹部の1人を」
Ⅴの通信に対応する慎也。
Ⅴ:「ああ、危ないところだったが、彼女は無事だ。慎也、今の戦況を確認したい」
慎也:「あぁ、ファミリーの幹部クラス7人の内、アンナが倒したディヴィットを含む5人は、ゴーシュ&ドロワペア、雑賀&牛尾ペア、それにドルべ、アンナ、闇川が倒した。幹部一人ケリロットという女性は先ほど梨香から連絡があり和解して、今は梨香たちと共に行動している。残る一人なんだが、氷室と本田さん、御伽さんに獏良さんの4人が幹部らしき男が倒れているところを発見している」
本田と御伽、獏良、氷室の4人は共に行動をしていたのだが、大きな爆音が聞こえた方へ行ってみると、そこには幹部らしき男が倒れていると、慎也に連絡があったのだ。
最初は民間人かと思ったが、近くに落ちているデュエルギアに、テイタラファミリーの紋章のバッチが胸元についていることから、間違いないだろう。
Ⅴ:「我々の仲間がやったのか?」
慎也:「わからない。特に連絡もないしな。話しを続けるぞ。幹部よりも最上級に立つ四天王4人の内3人は、小鳥、凌牙、マリクさんたちが倒し、最後の一人が現在、増援に来た哲平たちが追っている。それから、王子の側近を名乗る男が宝井元司令の元へ現れたそうだ。名はラットリーという昔は”首跳ねの鎌鼬”という名で少しは有名だったそうだ。戦闘中、撤退したものの、六十郎さんが怪我を負ったらしいが命に別状はないそうだ」
慎也が、連絡が来た内容を簡単にまとめあげ、説明した。
Ⅴ:「ということは残っているのは、四天王一人と王子の側近ラットリー、そして、カイトが戦っている王子本人ということか」
慎也:「ああ、着々と敵の勢力は減っている。しかし、王子を止めない限り、この戦闘は終わらないだろう。急いで、カイトの元へ急いでくれ」
Ⅴ:「了解した」
Ⅴと慎也は通信を切った。
Ⅴ:「聞いての通りだ。このままカイトの元へ向かう!」
Ⅳ:「ああ」
アンナ:「了解だぜ」
ⅤとⅣ、アンナは急いでカイトの元へ急ぐ。
その頃、哲平と羅夢に敗れ、1人逃げる四天王1人バックス。
バックス:「まさか、この俺があんな奴らに負けるとはな」
怪我を負った身体で走るバックス。
体力はそれほど残っていないだろう。
バックス:「残るは、王子からもらったあの薬だけが頼りか」
バックスも持っているのだ。ポッパーが飲んだ薬と同じものを。
バックスがしばらく走っていると人の気配がした。
誰かがこちらに走ってきている。俺と戦った男2人ではない。
足音が違う場所から聞こえるからだ。
息切れしている声。
女性だとすぐに分かった。
そして、バックスの前に1人の女性が現れた。
小鳥:「はぁ、はぁ」
バックス:「お前は…」
目の前に現れた女性を見るバックス。
小鳥:「あなた、もしかしてテイタラファミリーの一員なの?」
弓タイプデュエルギア”フェアリー・アーチャリー”を構える小鳥。
バックス:「チッ、ついてないぜ、まさか、この状態であいつらの仲間に出くわすとはよ」
舌打ちをして、嫌な顔をするバックス。
そんな顔を見て、小鳥は、この人は危ないと内心で思っていた。
明日香サイド
明日香、剣代、梨香、珠里、そしてレミは5人で行動しカイトがいる場所まで急いでいた。
しばらく走っていると…。
珠里:「ママ、あそこにいるのって!」
珠里が指さした場所には二人の人影があった。
明日香:「翔君、万丈目君」
明日香が二人の名を呼ぶと、2人は明日香達の方へ振り向いた。
翔:「明日香さん、それにみんなも」
万丈目:「無事だったか」
明日香:「万丈目君たちこそ、無事でよかったわ」
梨香:「お二人も、カイトのところに?」
翔:「うん、早いとこ彼を助けないといけないからね」
レミ:「私が道案内します。ついて来てください」
レミが口を開き、初対面である翔と万丈目が彼女を見る。
翔:「彼女は?」
剣代:「テイタラファミリーの幹部だった子です」
翔:「ふーん、この子が」
万丈目:「信用できるのか?」
万丈目がレミを睨みつける。
すると、梨香がレミをかばうように万丈目の前に立つ。
梨香:「事情はどうあれ、今は私の友達です!」
レミ:「梨香…」
梨香の態度に驚くレミ。
そして、万丈目を「まあいいだろう」と呟く。
レミ:「こっちです。王子は、この先にいる…!」
レミが何かに気付いた。
そして、感の良い剣代、万丈目も何かに気付いた。
レミ:「危ない!」
レミは珠里を抱いて飛びついた。
剣代:「くっ!」
剣代は翔と梨香を押し、万丈目は明日香を押した。
そして、みんながいるところに、鉄骨が数本を落ちてきた。
梨香:「きゃあ」
万丈目:「ぐっ」
レミと剣代、万丈目の適切な判断で、みんなに怪我はなかった。
梨香:「お兄ちゃん、大丈夫!?」
鉄骨の向こうにいる剣代に向かって叫ぶ梨香。
剣代:「ああ、大丈夫だ。万丈目さんもな」
万丈目:「くそっ、なんだ?一体」
鉄骨が落ちてきた影響で、明日香、梨香、珠里、翔、レミの5人と、万丈目と剣代の2人に分かれてしまった。
???:「ははは」
高笑いする男性の声。
声がした方を振り向くみんな。
???:「流石、俺。鉄骨を軽々持ち運び、敵を倒すとは、我ながらビューティフルな戦略だ」
ポーズを決めながらぶつぶつと何かを言う男性。
梨香:「誰、あの人?」
レミ:「あいつは、テイタラファミリーの部下の1人、名前はビューティフル・ナイトウ!」
レミが、高笑いをしている男性の名を呼ぶ。
ナイトウ:「鮮やかに決まったときは、鮮やかに決めポーズする。実にすばら…」
ナイトウがチラッと鉄骨の方を見る。
よく見ると、鉄骨の下敷きになっている人は誰もいなかった。
ナイトウ:「って、誰も倒してねえじゃねえか!ああ、もうかっこよく決めてたのによ!」
ナイトウが頭を抱えて、ぶつぶつ言い出す。
その姿を見て、梨香たちは呆然とする。
万丈目:「なんだ?あいつ」
剣代:「さあ」
レミ:「ナイトウは通称、雑用係のナイトウとも呼ばれるほど、雑用ばかりやらされて、そしてバカなの」
レミも呆れたようなそぶりをする。
ナイトウ:「ん?ケリロット幹部、なんでそんなところにいるんだ?」
ナイトウがレミに気付いた。
レミはもともとテイタラファミリーの一員だ。顔を知られているのは当たり前だ。
レミ:「ごめんなさい、ナイトウ。私はファミリーを抜けるわ。そして、今、王子がやろうとしていることを止めるわ」
ナイトウに向かって、レミはそう言った。
ナイトウ:「ほおお、なら今はもう敵ってことか?」
レミ:「そうなるわね」
ナイトウ:「なら、お前も一緒にあの世行きだな」
ナイトウが近くにあった鉄骨を手に取る。
明日香:「剣代、万丈目くん!二人は先に行って」
珠里:「私たちは後で行くから」
2人はそういうが、万丈目は心配そうに明日香を見る。
万丈目:「しかし、天上院くんたちだけでは危険だ!」
万丈目が無理にこっちに来ようとするが鉄骨が邪魔をして向こうに行くことができなかった。
翔:「この状況だから、仕方ないよ。万丈目くんに剣代君、急いで先に行って」
翔も明日香と同じことを言う。
剣代:「万丈目さん行きましょう」
万丈目:「剣代、貴様…!」
剣代:「母さんたちなら絶対に大丈夫です。俺はそう信じます」
剣代の瞳を見て、万丈目は小さな声で「わかった」と言う。
万丈目:「なら先に行っているよ、天上院くん」
万丈目は剣代と共に、先へ急いだ。
レミ:「さて、あなたの相手は私よ。ナイトウ」
”魔導法士ジュノン”の剣タイプのデュエルギア”マジークガイドソード”を手に持つレミ。
すると、梨香がレミの隣に立った。
梨香:「私も一緒に戦うわ、レミ」
梨香もサイバーエンジェル-螺天(ラーマ)の刀タイプのデュエルギア”ラーマーヤナ”を手にする。
レミ:「わかった」
頷くレミ。
レミ:「梨香、一緒に行くわよ!」
2人が武器を持って立つ。
梨香:「ママ、ここは私とレミがやるから見てて」
後ろにいる明日香にそういう梨香。
明日香:「気を付けるのよ、梨香」
梨香の背中を見てそういう明日香。
実の娘、心配ではあるが信じているからか、内心、一安心している気持ちもどこかにあった。
レミ:「梨香、あいつは、幹部じゃないし、差ほど強くはないわ。怪力だけが取り柄なのよ」
梨香:「その怪力って、デュエルモンスターズの力と関係しているの?」
レミ:「いえ、生身のままよ」
ナイトウのことを話すレミ。
翔:「あの人の力って、どこから出て来てるのかな?」
呆れたような顔で言う翔。
ナイトウ:「おい!全部聞こえてるぞ!!」
レミたちの話しを聞いていたナイトウは少しだけキレた。
ナイトウ:「いいか、覚えておけ!俺の筋肉は…」
レミ:「もういいわ。その話し1時間以上は聞かないといけないから。さあ、掛かってきなさい」
レミが剣を構える。
梨香:「私たちのコンビネーション見せてあげましょう」
梨香も武器を構える。
ナイトウ:「女二人が生意気な口を聞いて、痛い目にあっても知らねえからな」
鉄骨を持ったナイトウが飛び上がり、レミと梨香に急速接近する。
レミ:「梨香、同時攻撃よ!」
梨香:「OK」
2人がそれぞれ武器を両手で持つ。
レミ:「二刀流派-極(ごく)」
レミのマジークガイドソードの刀身が桃色に輝く。
同時に梨香のラーマーヤナの刀身も同じ色の輝きを見せる。
梨香:「時雨桜」
梨香とレミが同時に剣を振り、斬撃を放つ。
2人の斬撃は融合し、桜の花びらのようなものが斬撃と共に空を舞う。
ナイトウ:「は?」
目に映る桜の花びらに一言口を開くナイトウ。
斬撃と花びらがナイトウが持つ鉄骨を切り落とし、更に、ナイトウ自身にも攻撃が当たり、悲鳴を上げる。
ナイトウは、そのまま地面に落下し、気を失った。
珠里:「お姉ちゃんたち、すごい」
2人の姿に呆然とする珠里。
梨香:「イエイ!」
梨香とレミがハイタッチする。
レミ:「やったね」
梨香:「うん」
嬉しそうな2人を見て明日香も少し笑顔を見せる。
レミ:「あ、喜んでいる暇じゃないわ。早くお兄さんたちを追いかけましょう。少し迂回はするけど、それほど時間ロスはしないわ」
梨香:「そうね」
明日香:「剣代たちを追うわよ」
明日香達は、先に行った剣代と万丈目を追う。
カイトサイド
バギーと戦うカイト。
カイト:「破滅のフォトン・スラッシュ!!」
ギャラクシー・サーベルから斬撃を放ち、バギーに喰らわせる。
しかし、バギーは手に持つジャマダハルで斬撃を斬り裂いた。
バギー:「ぬるい斬撃だな」
カイト:「くっ」
歯を立てて悔しがるカイト。
さっきから自分の攻撃は全てあいつに落とされている。
ダメージなど与えていない。カイトはそれが悔しくて、左手をぎゅーと握る。
バギー:「そろそろ、バリアの制御装置に向かわなければいけない。そろそろ、終わらせる」
ニヤッと笑うバギーを見て、カイトは「来る!」と心の底で思った。
バギーがジャマダハルを地面に突き刺す。
そして、両掌が緑色に光る。
バギー:「ピン・ザ・フェザー」
バギーが両手を大きく振った。
すると、緑色に光る手から風の渦で出てきた針が無数に飛び、カイトを襲う。
カイト:「ぐっ!」
カイトの服が所々敗れる。
バギー:「こいつを躱すことは確実に不可能だ。消えろ、砂利が!」
更に両手を振り、風の渦の針を増やす。
このままでは、カイトが串刺しになってしまう。
???:「マジカルスペル・バーン」
黒い波動がカイトの後ろから飛んできて、バギーが飛ばす無数の針をかき消した。
バギー:「!?」
???:「躱せないなら、落とせばいい。簡単な理屈だよ」
カイトは後ろを見る。
ツバキ:「そうだよね?カイト」
武藤ツバキ。伝説のデュエリスト武藤遊戯の息子だ。
ツバキの手には、長い杖がある。さっきの攻撃はツバキによるものだとすぐに分かった。
カイト:「ツ、ツバキ。お前…」
バギー:「ここで、援軍か。邪魔ばかりする」
またもや予想外の出来事に少しキレるバギー。
ツバキ:「あの人が、バギー王子?」
カイト:「あぁ、だが、見ての通りだ。一筋縄ではいかない」
ツバキ:「だろうね。けど、あの男を倒せば、この国は救われる。それに、ファミリーの幹部と四天王はほとんど倒したって連絡が来たよ」
ツバキの言葉に、ピクッと反応したバギー。そして、カイト。
カイト:「何…!」
ツバキ:「戦いに夢中で通信聞いてなかったんだ。残る敵は、あの男とラットリーって男。そして、逃走中の四天王1人らしいよ」
カイト:「そうか」
ツバキ:「勝利の女神は、今、こちらに向いているよ」
ツバキとカイトがデュエルギアを持ってバギーの前に立つ。
バギー:「チッ、役立たず共が」
歯を食いしばるバギー。
地面に突き刺していたジャマダハルを手に持つ。
バギー:「俺の計画を乱しやがって」
バギーはもう片手にジャマダハルのデュエルギアを持った。
二刀のジャマダハル。それを持って、バギーは2人に近づく。
ツバキ:「来るよ!」
カイト:「分かっている!」
バギー:「砂利が集まったところで何もできはしない!!」
バギーがツバキとカイトを襲う。
しかし、ツバキとカイトはそれぞれ自分が持っているデュエルギアを使って、バギーのジャマダハルを受け止める。
カイト&ツバキ:「「うおおおおおお!」」
腕に力を入れて、バギーを吹き飛ばす。
バギーは建物の壁に背中をぶつける。
バギー:「フェザー・ハンド・ガン!!」
ジャマダハルを足元に落とし、両手を銃の形にして人差し指の先から風の弾を連射して発砲する。
内一発がツバキの頬を掠った。
カイトとツバキが咄嗟に建物の影に隠れる。
バギー:「出て来いよ。雑魚共が」
キレ顔で2人が隠れた方へ風の弾を連射するバギー。
カイト:「完全にキレたか」
ツバキ:「なんとかあの男の懐に入れれば」
ツバキが建物の壁から顔を出しバギーを覗く。
だが、すぐにバギーにばれて、再びフェザー・ハンド・ガンを連射され、すぐに顔を引っ込める。
ツバキ:「厄介だね。…ん?」
ツバキは誰かがこちらに近づいて来るのがわかった。
建物を飛び越えながら、バギーの方へ向かう。
ラットリー:「王子、王宮にお戻りください!」
バギーの元へ来たのは、ラットリーだった。
バギー:「ラットリーか?」
バギーが男の名を口にし、それを聞いていたツバキが通信で聞いた名前と同じことに気付いた。
ツバキ:『ラットリー、あの人が残る敵の一人か』
ラットリーを見て、名前と顔を一致させるツバキ。
これで、倒す敵の顔と名前は覚えた。
ラットリー:「まだ、王子が出る幕ではありません。すぐにお戻りください」
バギー:「ラットリー、お前いつから俺に指図できるようになったんだ?」
ラットリー:「お、王子」
物凄い威圧感を感じ取るラットリー。
バギーは物凄い目でラットリーを見る。
バギー:「こいつらは、俺の計画を狂わせた。その代償は高い」
ラットリー:「確かに、バリアは消滅させられました。しかし、だからと言って、計画全てが狂ったわけではありません。住民は、まだ我らテイタラファミリーの手の上。政府はまだ王子の要求のことで考えているはずです」
バギー:「我がファミリーは残りどれぐらいいるんだ?」
ギロッとした目でラットリーを見る。
ラットリー:「既に半分以上はやられています。ですが、それでもまだ300人の部下がいます。大丈夫です」
ラットリーが自信をもってバギーに言う。
バギーはフッと笑う。
バギー:「バリアが消えたことで、住民は逃げる場が広がった。だが、部下共がそれを追いかければ、問題はないか。いいだろう、お前の言葉を信じてやる」
ラットリー:「王子」
バギーが一枚のカードを手に取る。
すると、カードが輝き、背後にドラゴンが現れた。
”嵐征竜-テンペスト”だ。
テンペストは、巨大な竜巻を起こした。
カイト:「くっ」
ツバキ:「これは…!」
竜巻の所為で、身動きがあまり取れない2人。
そして、どこからか聞こえるバギーの声。
バギー:「命拾いしたな。だが、一つだけ言わせてもらう。お前たちの力では俺には勝てない。絶対にな。ハハハハハハ」
バギーが高笑いする。
しばらくすると、竜巻が消え、嵐征竜-テンペストと共に、バギーとラットリーの姿が消えていた。
カイト:「くそっ、取り逃がしたか…!」
ツバキ:「いや、あの人たちは王宮へ行くと言っていた。なら、最初の目的通りに王宮へ行けば…」
カイト:「再び、奴にあえるということか」
ツバキ:「とりあえず王宮だよ。早く行こう。他のみんなには僕から連絡するよ」
カイト:「…わかった」
カイトとツバキは当初の予定通りに王宮へ向かうことにした。
第3ED『キミモノガタリ《little by little》』
次回予告
ナレーション:四天王1人バックスと出くわした小鳥。
バックスは薬の力で、肉体を強化し、小鳥に迫ってくる。
しかし、小鳥の隠された力が覚醒したとき、国を地獄に変えようとする力すらも止める謎の叫びが世界を救う。
小鳥:次回、遊戯王5DXAL「小鳥VSバックス 隠された謎の力」
小鳥:「私、今、何をして…」