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第46話:『止められない静かな怒り バギーの風』





ドラガンサイド



ドラガン:「こちら、ドラガン。こっちの敵は、全員確保した」
ドラガンがミッションウォッチの通信を通して仲間たちに知らせる。


捕まえた敵を取り囲うように国の警察たちが立っている。

ドラガンは警察と協力して、ファミリーの一員たちを捕まえたのだ。



ブレイブサイド



ブレイブ:「こちらブレイブだ。こっちももう大丈夫だぜ」
ブレイブの方も敵を倒したようだ。

ブレイブに倒された敵が山のように積み重ねてられている。





ハラルドサイド


ハラルド:「私の方も大丈夫だ。たった今、シェリー・ルブランと合流した。これより、王宮へ向かう」
ハラルドはシェリー、ミゾグチと協力し、市民の救出と敵の殲滅をしていたのだ。



ハラルド:「シェリー・ルブラン、ミゾグチ、君たちのおかげで事が早く片付いた。礼を言う」

シェリー:「礼には及ばないわ。今は、協力が一番必要な時よ」

ミゾグチ:「ですが、先ほどから敵と遭う人数や回数が減っています。既に、敵の半分の勢力は潰したと考えてもいいのではないでしょうか?」

シェリー:「確かに。けど、親玉を倒さない限り、この戦いは続くわ」
真剣な顔で、王宮がある方向を見て言う。



ハラルド:「バギー・グ・テイタラ第2王子」
ハラルドもシェリーと同じ方を見て言う。







第4OP『Butterfly Core《VALSHE》』






第46話:『止められない静かな怒り バギーの風』








この戦いを引き起こした張本人バギー。


1人で道路を歩いていた。


歩いている途中、周りには、犬や猫、それにリスなどの生き物がいた。


バギーは、生き物が何もしていないのにも関わらず、鋭い目で睨み付けた。


それに怯える生き物たち。


バギー:「俺は虫の居所が悪いんだ。とっとと」
右手を指鉄砲の形にした。

バギー:「消えろ」
指鉄砲の人差し指から風の波動で作った弾丸を生き物たちに当てて動けないほどの怪我をさせる。



ダイシャラス王国を覆っていたバリアが消えたことで計画が大幅に狂い、気が立っているバギー。


バギー:『一体、どこの砂利が、バリアを消した…。フロンティアの連中には、まだバリアの制御装置の場所が知られているはずはない。いや知っていたところで、制御装置は複雑な回路とプログラムで構築されている。そう簡単に解除できるはずがない』
制御装置は、100本以上の導線で繋げて作っているので、見つかったとしても解除には2時間以上はかかるはず。プログラムをハッキングして解除しようとしても、制御装置のプログラムを扱えるのは、自分を含めて残りは、ラットリーとラビリットぐらいだ。


バギー:「SOA特務隊以外にも動いている奴がいるのか…」
予想をつけるバギー。

予想を事実にするべく、バギーは動く。








小鳥サイド




小鳥:「えっ、ホントですか!?」


色葉:『ええ、あなたのお友達を保護したわ』
ミッションウォッチの向こう側から聞こえる色葉の声。






色葉:「小鳥よ」
自分のミッションウォッチをつけている腕をセイとサチに近づける色葉。


セイ:「小鳥!」

サチ:「小鳥、無事なの!?」





小鳥:「セイ!サチ!よかった、無事なのね」


セイ:『うん、大丈夫。今、色葉さんたちと一緒に王宮に向かっているわ』


小鳥:「えぇ!!?どうして、避難所に行かなかったのよ!」
少し怒った口調で言う小鳥。


すると、向こうから葵の声がした。





葵:「小鳥、彼女たちはね、あなたが心配で危険を冒してまで、私たちについてきたの」
葵がセイとサチが、自分たちに着いてきた経緯を話す。



小鳥:「セイ、サチ」
それを聞いて、つい2人の名前を呼ぶ小鳥。



葵:「その気持ちに応えてあげなさい」



少し躊躇う小鳥。だが、答えはすぐに出た。


小鳥:「わかりました。セイとサチをよろしくお願いします」
葵と色葉に2人を守るようにお願いする。


葵:「大丈夫よ、彼女たちは私たちが守るわ。敵が近くにいるかもしれないから、一度通信を切るわね」
葵がそういうと、通信を切った葵。


色葉:「さあ、王宮に行くわよ」
その言葉にセイとサチが「はい!」と返事をする。






小鳥サイド



小鳥:「セイ、サチ、無茶しないでね」
小鳥もこの場を去る。











その頃、倉庫内でラットリーと出くわしたSOA特務隊の隊員たち。


六十郎がラットリーの相手をしていた。




六十郎:「はあ、はあ」
息を切らす六十郎。

それに対し、普通に立っているラットリーはフッと笑う。




一馬:「六十郎さん!」

六十郎:「手出しは無用じゃ!これは、1対1の戦い。ワシの戦いじゃ」

ラットリー:「強がる人だ。だが、そろそろ私も時間だ」
サイキックブロッカーのナイフタイプのデュエルギアの刃を舌で嘗める。


ラットリー:「こいつが血を吸いたがっている。あなたたちの首を一気に落とさせてもらいます」
みんなを怯えさせるラットリー。


それに、羽蛾と竜崎がヒィィィと喚く。


六十郎:「お前さんの相手はワシだ。後ろの者達には手出しするな」

ラットリー:「でしたら、あなたの首を最初に落として差し上げましょう」
ラットリーが一気に六十郎に接近し、懐を取った。


トロン:「マズい!」

マーサ:「危ない!」
みんなが、六十郎の危機に叫ぶ。


しかし、六十郎は、カオス・ソルジャーの剣タイプのデュエルギア”伝説剣”で受け止めた。


ラットリー:『これを受け止めるとは、この老人、剣裁きの中では、かなりの手練れ』
ラットリーが一旦、下がる。



宝井:「あの首跳ねの鎌鼬に、ここまで対抗できるとはな」

春:「お前さんは知らないが、あそこにいる老いぼれは、あんたが思っているほどの男ではないぞ」
後ろに手を回し、立っている春が六十郎を見て言う。


昔から、六十郎のことを知っている春。長い付き合いだからこそ、知っていることもある。



みんなが、色々雑談をしていると、ラットリーの無線機に通信が入った。


ラットリー:「どうした?」
ラットリーは耳につけている通信機に意識を少し集中し、小さい声でしゃべる。


ラットリー:「何…!王子が」
ラットリーに来た連絡は、王子が王宮から出てしまったという情報だった。


ラットリー:「なぜ、王子を出した?言い訳は聞かないぞ」
ラットリーが通信相手の部下に強く質問する。


六十郎:「なに、こそこそ話しておる!戦いは終わってはいないぞ!」
六十郎がラットリーに刃を向ける。

ラットリー:「チッ」
ラットリーは嫌々、ナイフで刃を受け止めた。







カイトサイド



カイトは今、弟のハルトと共に、王宮へと向かっていた。



カイト:「ハルト、王宮まではあとどれぐらいだ?」
建物の影に隠れて、後ろにいるハルトに聞くカイト。

ハルト:「距離で考えれば、あと10分ぐらいの場所にあるんだけど」
ハルトの言葉を聞いて、カイトが建物の影から顔を少し出す。

カイト:「これでは、10分では行けないな」
カイトがそういうのも、王宮へと行ける大きな道は、ファミリーの部下が多く、とても強行突破できる状態ではなかった。


カイト:「オービタル。この道以外で最短で王宮へと行ける道を探し出せ」

オービタル7:『カシコマリ!』
オービタルが急いでプログラムの地図を出し、解析を開始する。


その瞬間、カイトがしゃがみ込む。

ハルト:「兄さん、大丈夫?」
その姿を見て、心配するハルトがカイトの肩を掴む。

カイト:「ああ、少し疲れただけだ」

ハルト:「ずっと戦いと走っていただけだったからね」

カイト:「お前こそ、大丈夫か?ハルト」

ハルト:「兄さんよりは、元気だよ」
笑って答えるハルト。


カイト:「なぜ、こんな世界になってしまったんだろうな」

ハルト:「いきなり、どうしたの?兄さん」

カイト:「俺たちは、ハートランドシティで普通に暮らし、普通にデュエルをして過ごしていたはずだ。そんな中、次元振動が起き、世界は、こうなってしまった」

ハルト:「思い出の世界と今ある世界。僕はたまにそうやって区別をつけてしまうけど…」
暗い顔をするハルト。


カイト:「どうした、ハルト?」

ハルト:「兄さん、つい此間から気になったんだけど、僕たちって、どうしてこの世界を受け入れたの?」

カイト:「!」

ハルト:「確かに、次元振動が起きて、世界は変わってしまった。でも普通、帰りたいとか世界を戻したいとか最初は普通考えない?50年前、この世界になって、僕は、そんな気持ちになった記憶がないんだ」
ハルトが言った言葉。

それを聞いて、カイトも疑問を抱いた。

カイト:『確かに、世界が変わるというのは、非現実的なことだ。世界を元に戻し、前の世界に帰る。それが、最初に思う気持ちだ。だが、俺にも、そんな気持ち、最初に持った覚えはない。どういうことだ?50年経ったから、そんな気持ちを持っていたことすら忘れているだけなのか?それとも、何らかの理由で、そのような気持ちを持たないように仕向けられているのか』
カイトが頭を少し抑える。


ハルト:「兄さん、大丈夫?」
ハルトがカイトに呼びかける。


すると、ピコンと音はした。

音を出したのはオービタルだった。

オービタル7:『分析が終了しました。ここから、少し西へ。それから、この国で一番を大きい公園の近くの道路をまっすぐ進めば、王宮付近まで行けマス!』

ハルト:「兄さん」

カイト:「ああ、急ごう」
そう言って、カイトが立ち上がった瞬間!

ドカーンと爆発音がした。


カイト:「なんだ…!?」
爆発音に驚くカイトたち。







遊馬サイド



王宮へと向かう遊馬


遊馬:「この感じ…、まさか、動いたのか!?」
遊馬が何かを感じ、急いで走る。










その頃、六十郎の相手をするラットリーも何かを感じたようだ。


ラットリー:「王子…、落ち着いてください…」
ラットリーが刃を交えている六十郎を蹴り飛ばす。

六十郎:「ぐはっ!」
六十郎は地面に仰向けで倒れ、腹を押させる。



ラットリー:「あなた方の首は、また今度取ることにしますよ」
ラットリーは急いで、この場を去る。


一馬:「待て!」

春:「一馬、今は、先を急ぐのが先決じゃ」
春の言葉に間違いはない。六十郎の手当てをして、急いで王宮へと向かうのが、今、やるべきことだ。




カイトサイド


カイト:「一体なんだ?」
つい、建物の影から出たカイトとハルト、オービタル。


砂塵の中からギャーと悲鳴が何回も聞こえた。



男性の声:「お、おやめください!ぎゃあ!」

男性の声2:「ぐわああああ!」




ハルト:「な、何なの!?」

カイト:「誰の仕業だ…!」
砂塵が少しずつ消え、地面には血まみれのファミリーの部下が倒れていた。


カイト:「こ、これは…!」
前を見るカイト。


そこには一人の男が立っていた。


バギー:「役立たず共が」
歯を食いしばる男が立っていた。


ハルト:「あ、あれは!」

オービタル:『身長、顔のパーツの位置、全て一致しました!』
首を回し慌てながら言うオービタル。


カイト:「今回の事件の首謀者、バギー・グ・テイタラ」

カイトたちの前に現れたのは、今回の事件の首謀者、バギー・グ・テイタラ王子だった。



ハルトが周りを見る。


ハルト:「自分の部下を…!」
周りの光景に唖然とするハルト。



そして、バギーがカイトたちに気づいた。


バギー:「ようやく、フロンティアの犬に会えたな」
鋭い眼力でカイトを見つめ、その視線に恐怖を覚えたカイト。


カイト:『なんて気迫だ…!』
カイトは、危ないと思ったのか、ハルトの方を見る。


カイト:「ハルト、オービタルを連れて、別ルートの仲間と合流しろ」

ハルト:「でも兄さんは…!」

カイト:「俺のことはいい!早く行け!オービタル!!」
カイトが叫び、オービタルが敬礼する。


オービタル:『カシコマリ!!』
オービタルがアームを出し、ハルトを無理矢理、この場から遠ざけた。


ハルト:「兄さん!!にーーさん!!」
ハルトの声が遠くなっていくのを確認し、再びバギーの方を見る。



しかし、その場にバギーの姿はなかった。


と思ったが、目の前にバギーの顔が出てきて、カイトは咄嗟に剣タイプのデュエルギア”ギャラクシー・サーベル”を構えようとするが、バギーの方が一足早く、カイトを蹴り飛ばす。

カイト:「がはっ!」
腹を押さえるカイト。

苦しみながら、バギーを見る。


カイト:『なんて速さだ…!』
立ち上がるカイト。ギャラクシー・サーベルを構える。



バギー:「俺は今、機嫌が悪いんだ。計画を無茶苦茶にされてな。お前たちの邪魔が入らなければ、こうはならなかった。この落とし前はつけてもらうぞ」
バギーの怒りは頂点に達している。

それに気づいたカイトは一瞬の油断もしないように構える。







その頃、カイトの指示で動くオービタルとハルト



ハルト:「こちら、ハルト!兄さんが王子バギーと交戦を開始!すぐに応援をお願いします!繰り返します!カイト兄さんが、バギーと交戦!すぐに応援をお願いします!」
ミッションウォッチの通信機能を使って、自分たちの身に起きたことを仲間たちに伝えるハルト。







Ⅴサイド


Ⅴ:「まさか、王子自ら動くとは…。急ぐぞ、Ⅳ」

Ⅳ:「ああ」
弟と共に行動するⅤは急いでカイトの元へ向かう。

Ⅴにとって、カイトは弟子そのもの。

放っておくことはできないのだ。





慎也サイド


凌牙と共に行動を共にする慎也。

慎也:「急ぐぞ、凌牙」

凌牙:「ああ、しかし、なぜ、奴は外に出てきた?」

慎也:「これは、長年の戦いの感だが、計画が狂ったからかもしれないな」

凌牙:「奴の計画は、住民を人質にして、政府に解散とか要求することだったな」

慎也:「ああ、だが、その人質を取るために、バリアが消えたことで、人質は解放。チャンスとばかりに国家政府は要求を破棄するはずだ」

凌牙:「計画の狂いが怒りを産んだということか」

慎也:「そういうことだ」
慎也と凌牙は走って、カイトの元へ走る。







小鳥サイド





小鳥:「ハルト君が送って来てくれた場所、私が今いる場所からは少し離れているけど、そんなに時間は掛からない」
小鳥も走って、カイトの場所まで走る。








遊馬サイド



遊馬は高いビルに上り、辺りを見渡す。


すると、大きな爆発音がし、そこを一点集中で見つめる。

目を閉じて、殺気を感じ取る。



遊馬:「あそこで間違いないようだな」
遊馬があそこにカイトがいると推測する。




ピカーンと、双眼鏡でビルの下から遊馬をのぞき込む1人の男性。


ファミリーの部下:「いたぞ!あそこだぁ!!」
双眼鏡をのぞき込んでいた部下が仲間を呼び寄せ、遊馬がいるビルの内部に入ってきた。



遊馬:「しつこい連中だな」
遊馬は隣のビルに飛び移る。


遊馬:「バギーが動いたとなると、俺もそろそろ動かないとマズいかもな」
遊馬が思っている本音。

つまり、これは仲間に会うということにもなる。


しかし、遊馬にいや四大神王者にとって、これは簡単に許されるべきものではなかった。







カイトサイド




爆発に巻き込まれるカイト。


顔が傷だらけになり、服もボロボロになる。



カイト:「これが、ファミリーボスの力か…!」
ギャラクシー・サーベルを持った手を下に下げるカイトが口走る。



右拳に波動を溜めるバギー。

風の波動が、バギーの右拳に溜められ、カイトに一瞬で近づく。


バギー:「ふん!!」
その拳でカイトを殴ろうとするが、カイトがギャラクシー・サーベルでバギーの右太ももを突き刺した。

バギー:「小癪なことを…!」
バギーは少し態勢を崩したが、そのままカイトを殴ろうとする。


カイトは、空いている左手で受け止めようとするが、風の波動を溜めている右拳を受け止めることができず、後ろに吹き飛ばされる。


カイトは背後に木に背中から激突。


激痛のあまり、倒れてしまう。



バギーはゆっくりと倒れたカイトに近づく。



バギー:「まずは一人だ」
ジャマダハルのような武器を手に出すバギー。

倒れたカイトにトドメを刺そうとしているのだ。


バギーが近づいているのにも関わらず、ピクリとも動かないカイト。


バギーはカイトのすぐ側まで来た。

バギー:「消えろ、雑魚が」
ジャマダハルのようなデュエルギアをカイトの頭を突き刺そうとする。

しかし、そのとき、カイトの目が開き、すぐ起き上がり、ギャラクシー・サーベルでそれを弾く。

バギー:「貴様、まだ…!」

カイト:「一度、俺は死を味わっている。もう二度とあんなことにはならない。ハルトや父さん、そして仲間のために、俺は戦う!」
カイトの右手の甲に紋章が浮かび上がる、


No.3のエースのマークが…!!








第3ED『キミモノガタリ《little by little》』






次回予告

ナレーション:カイトとバギーが戦闘しているその頃、豹変したポッパーに苦戦を強いられる亮と三沢。

マリク、リシドも合流し、4人で反撃に出るが強すぎる力を制御できないポッパーは、自身を援護しに来た部下にまで手をかけ、攻撃をし続ける。

だが、亮、三沢、マリク、リシド、4人の力が一つになったとき、世代を超える一撃が、運命を変えた!


三沢:次回、遊戯王5DXAL「フォーマンセル!全てを無にする一撃!」

三沢:「これが、俺たちの戦いだ!」
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