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第43話:『デュエルで友達を救う!梨香の決断』







崩れた大地。


その場に倒れるフェイトロン。


そして、この状況を引き起こした四大神王者ロストいや、九十九遊馬がその場に立っていた。



遊馬:「いい戦いだったぜ」
倒れるフェイトロンを見てボソッと言う遊馬。


すると、プロペラの音が聞こえ、上を見上げると、ヘリコプターが上空を飛んでいた。

高度を少しずつ下げている。

つまり、近くに着陸するようだ。



遊馬:「増援か。見つからないうちに隠れるか」
遊馬が急いで、ここを後にする。









第4OP『Butterfly Core《VALSHE》』








第43話:『デュエルで友達を救う!梨香の決断』







葵たちが乗るヘリコプターが、着陸した。


SOA特務隊6係リーダー羅夢、そして、おなじみの哲平や色葉、葵がヘリコプターから降りた。



葵:「慎也、聞こえる?応答して!」
ミッションウォッチを使って、慎也に呼びかける。








慎也サイド



慎也のミッションウォッチが通信をキャッチする。

慎也は声の主を聞く。

葵:『慎也、応答して!』
自分の恋人の葵だ。と思った慎也は急いで通信に出る。


慎也:「葵!葵なのか?」






慎也の声を聞いて一安心する葵

葵:「よかった。無事のようね」




慎也:「お前、どうしてここに?」


葵:「元帥の許可が下りて、助けに来たのよ。哲平や色葉、それに羅夢もいるわ」


羅夢:「慎也さん、羅夢です。バリアが消えたので、急いで着陸しました。現在の状況を教えてください」


慎也:『わかった。長くなりそうだから、お互い移動しながら話し合おう』

羅夢:「了解です。では、こちらは、二手に分かれて行動します。俺と哲平さんペア。葵さん色葉さんペアで行動します」
羅夢の提案に3人は頷いた。












その頃---------。



???:「梨香、梨香!」

???:「お姉ちゃん、目を開けて!」
自分の名前を呼ぶ二人の女性の声。


梨香の視界は暗かった。

自分でもわかる。私は今、目を閉じている。

なぜ、目を閉じているのか。あまり思い出せないけど、敵のレミを助けようと、逃げたレミを追おうとしたが、ダメージの影響で気絶した。

確か、それで私は目を閉じたんだ。

まだ見えないが、声を聞けば、私の名前を呼んでいるのが誰なのかはすぐにわかる。

確認のため、目を開けた梨香。


2人の女性。

珠里:「お姉ちゃん、大丈夫!?」

明日香:「よかったわ。こんなところで倒れていたから、心配したのよ」
自分を心配してくれた母、明日香と妹の珠理。

梨香はゆっくりと起き上がる。



梨香:「ママ、珠里、私…」
小さいな声で2人を呼ぶ梨香。


2人が梨香の顔を見る。


ポタポタ…



梨香:「私…レミを…救えなかった…」
涙を流す梨香。

珠里:「レミって確か、この国で知り合った、お姉ちゃんの友達…」

明日香:「何があったの?」
梨香の頭を撫でる明日香。

明日香は梨香に飛びつく。

梨香:「私、友達…助けられなかった…」
明日香の胸の中で大泣きする梨香。



梨香と、そのレミって子に一体、何が起きたのか。

明日香は、梨香が落ち着いた後で事情を聞いた。






明日香:「そう、そんなことがあったのね」
梨香の頭を撫でる明日香。


梨香:「レミは復讐のためにファミリーに忠誠を誓ったっていっていた。あの子の信念は本物だったわ」
レミが言っていた言葉。その言葉に嘘はない。

その場にいた梨香にはわかっていた。レミの気持ちは本物だと。

それを救おうとして救えなかった私。

梨香は自分が嘘をついていることに気付き、更に心が痛かった。


梨香:「私には、レミを救うことなんて…」
梨香はレミを救うことを諦めていた。

明日香:「もう諦めちゃうの?」
すると隣にいる明日香が梨香に問う。

梨香は「え?」と明日香の方を振り向く。

明日香の顔は真剣な眼差しで梨香を見つめる。


母の表情を見て、少し驚く梨香。そして、珠里。


珠里:「ママ、お姉ちゃんも言っていたけど、そのレミって人の気持ちは本物…」

明日香:「それだけで、その子を救うことを諦めちゃうの?」

梨香:「っ!」

明日香:「確かに、その子の気持ちは本物かもしれない。でも、あなたの強い気持ちをぶつければ、彼女だって、本当の自分を新たに見つけることができるかもしれないわ」

梨香:「でもどうやって…」

明日香:「勿論、デュエルよ」
少し笑って答える明日香。

明日香:「デュエルをすれば、お互いわかり合えるわ。私も、あなたたちのパパとわかり合ったのもデュエルだったんだから」

私たちのパパ。世界を救って散った、遊城十代。

パパもデュエルがすごく好きだって聞いた。ママに、吹雪おじさん、恵美おばさん、翔さん、ヨハンさんたちからも、パパの学生時代の話しをすごくしてくれた。

どんな状況でも最後まで諦めず、1回のドローですべてを逆転させてきた。

私は、そんなパパに会ったことがないけど、ママに続いて憧れの人。

梨香:『私だって、昔から目指していた…ママみたいに華麗で、パパみたいに強いデュエリストに!』

そうよ!私がこんなことで!

梨香は涙を拭いた。その途端に表情が変わった。



梨香:「ママ、ありがとう!私、もう一度、レミに会ってくる!!」
梨香が走って、ここを去った。

それを見届ける明日香。


珠里:「お姉ちゃん!私も!」
珠里が追いかけようとする。

明日香:「珠里、これはお姉ちゃんの戦いよ」

珠里:「でも…」

明日香:「大丈夫、あの子は強い子よ」
明日香には優しい笑みが浮かんでいた。




すると…


???:『デュエルでお互いがわかる…誰かが、そんなこと言っていたね』
明日香の背後から聞こえた声。明日香は後ろを振り向くと。

明日香:「サイバー・チュチュ…!」
明日香の後ろにいたのは精霊体として現れたサイバー・チュチュだった。

明日香には精霊が見えている。

あの悲劇、世界精霊大戦終戦後、第1子である剣代を身籠ったとき、同時に明日香は精霊が見えるようになったのだ。


サイバー・チュチュ:『応援に行かなくてもいいの?』

明日香:「私が近くにいなくても、あの子は絶対に勝つわ」

サイバー・チュチュ:『あら、随分、自信があるんだね』

明日香:「あの子は、3人兄妹の中でも一番、十代に似てるから…」

サイバー・チュチュ:『そう。なら大丈夫ね』
明日香は信じていた梨香が、絶対に勝って友達を救うことを…。









その頃、レミいや、ケリロットは…。




ケリロット:「他の幹部たちはどこに?」
幹部たちと合流するために道を歩くケリロット。


すると、部下から通信が届いた。


ケリロット:「どうしたの?」
通信機を出して、対応するケリロット。

部下:『それが、住民を閉じ込めていたバリアが消えたことで、王子が激怒し街の中に!』

ケリロット:『やっぱり…。他の幹部たちにも繋がらないし、敵は相当の手練れってことなのね』
ケリロットは、来た道を引き返す。


ケリロット:『制御装置に何があったのかは知らないけど、せめてもう一回バリアを復元しないと…』
ケリロットは走ってバリアの制御装置のある地下施設まで向かう。









バリア制御装置がある地下施設



一つの人影がカードを一枚手に取る。

カードは光って、目の前に”エルフの剣士”が現れた。

エルフの剣士は叫んで、剣を振り、バリアを制御するためのディスプレイやキーボードを切って破壊した。


これで、バリアを制御することはできない。


エルフの剣士が消え、人影は、この場から出る。







その頃、梨香はレミと会うため、走っていた。


梨香:「レミ、どこにいるの?」
考えてみれば、レミが去ろうとして追おうとしたときに、私は気絶してしまった。


どっちの方向に行ったなんか知らなかった。

これは探すのに手間がかかると梨香は思った。








ケリロットサイド



ケリロット:「制御装置さえ起動すれば、少しは王子の機嫌がよくなるはずだわ」
ケリロットも急いで、バリアの制御装置のある方へと走る。







お互い知らない内に、距離は急接近していた。





そして……



お互いに建物の陰から同時に現れた。

梨香:「レミ…!」


ケリロット:「あなた…!しつこいわね」
不機嫌そうなケリロット。

今は、この女の相手をしている場合ではない。急いでバリアの制御装置を起動させなければ…。


ケリロット:「どきなさい。私、今はあなたの相手をしている暇じゃないの」

梨香:「どかない。どうしても退いてほしいなら、私とデュエルして勝ったらにして!」
左腕にデュエルディスクをつける梨香。


ケリロット:「ふざけてるの?こんな戦争の中デュエルなんて、馬鹿馬鹿しいわ」

梨香:「こんな時だからこそ、友達を救うためにやるのよ!」
笑って答える梨香。


ケリロット:『何?さっきと雰囲気が違う。何があったの?』


梨香:「レミって、魔導法士ジュノンのデュエルギア使ってたよね?つまり、魔導書デッキでしょ?私、一度も戦ったことないのよね。だから、魔導書デッキの力見せてよ!」
梨香がデッキをデュエルディスクに装填する。


ケリロット:「どいてって言っても無駄のようね。いいわ!あなたの望み通りにしてあげる!」
どこから出したのかデュエルディスクを左腕に装着し、デッキを装填するケリロット。



ケリロット:「いくわよ!梨香!」

梨香:「ええ!」


「「デュエル!!!」」

2人の掛け声とともにデュエルがスタートした。


両者
LP4000

手札5枚






1ターン


梨香:「先行は私ね!私のターン、ドロー!」
梨香がデッキからドローし、手札が6枚になった。


梨香:「私は”サイバー・チュール”を攻撃表示で召喚!」
梨香のフィールドにピンクのツインテールでバレリーナ用の舞台衣装を着こなすモンスターが現れた。


サイバー・チュール
レベル3 攻撃力1000


サイバー・チュール:「あの子を救うのね」

梨香:「うん、一緒に頑張りましょ。チュール」

サイバー・チュール:「当然よ」
サイバー・チュールが笑って答える。

梨香:「カード1枚セットしてターンエンドよ」
梨香のターンが終了した。





2ターン
両者
LP4000

ケリロット:「私のターン!」
ケリロットがカードをドローする。

ケリロット:「私の魔導書デッキを見せてあげるわ。”魔導弓士ラムール”を攻撃表示で召喚!」
ケリロットの場に、緑色の長髪で弓を持った魔法使いが現れた。


魔導弓士ラムール
レベル3 攻撃力600


ケリロット:「ラムール効果発動!1ターンに1度、手札の「魔導書」と名のついた魔法カードを1枚見せることで、手札からレベル4以下の魔法使い族モンスター1体を特殊召喚することができる!私の手札にある”ヒュグロの魔導書”を、あなたに見せるわ。これにより、”魔導書士バテル”を特殊召喚!」
ケリロットの場に2体目のモンスターが登場した。


魔導書士バテル
レベル2 攻撃力500


梨香:「いきなり、モンスターを2体…。でも、攻撃力は、チュールの方が上…。」

ケリロット:「今はね。バテル効果発動!」
バテルが書を開き黙読する。

ケリロット:「このカードを召喚したとき、デッキから「魔導書」と名の付いた魔法カードを手札に加えることができる。”セフェルの魔導書”を手札に加えるわ!」
バテルが黙読する書が輝き、輝きの中からセフェルの魔導書のカードが現れ、ケリロットの手札の中へ。


ケリロット:「”ヒュグロの魔導書”を発動!


梨香:「さっき私に見せた魔法カード…!」



ケリロット:「自分フィールド上の魔法使い族モンスター1体を選択して発動。選択したモンスターはエンドフェイズ時まで、攻撃力が1000ポイントアップする!更に戦闘で相手モンスターを破壊したとき、デッキから魔導書と名の付いた魔法カードを手札に加える!」
ヒュグロの魔導書の力が、ラムールに力を与える。


魔導弓士ラムール
攻撃力600→1600


梨香:「攻撃力1600…」


ケリロット:「魔導弓士ラムールでサイバー・チュールを攻撃!!」
ラムールが手に持つ弓から矢を放ち、サイバー・チュールを破壊した。

梨香:「チュール…!」

梨香
LP4000→3400

ケリロット:「ラムールがモンスターを破壊したことで、ヒュグロの魔導書の効果が発動。デッキから魔導書を手札に加えるわ」
ケリロットがデッキから1枚カードを手札に加えた。

ケリロット:「そして、魔導書士バテルでダイレクトアタック!」
バテルが呪文を唱え、梨香にダメージを与える。


梨香:「きゃあ!」


梨香
LP3400→2900

ケリロット:「たかが攻撃力1000のモンスターを攻撃表示にしただけで、防ぐカードを伏せていないなんて。デュエリストとしては、まだまだみたいね。見損なったわよ」

梨香:「防ぐカードはセットしていなくても、復活させるカードは伏せているわ。リバースカード発動!”リビングデッドの呼び声”!墓地から、サイバー・チュール復活させる!」
リビングデッドの呼び声。永続トラップカードで、このカードがフィールド上に存在すれば、墓地のモンスターを復活させることができる。


サイバー・チュール
攻撃力1000

ケリロット:「まあいいわ。リバースカード1枚セット!ターンエンドよ」
ケリロットのターンが終了した。同時に、ヒュグロの魔導書の効果が切れ、ラムールの攻撃力が戻る。


魔導弓士ラムール
攻撃力1600→600


梨香:『魔導書は”魔法カード”を中心とした戦術が有名だったわね。魔法カードを封じれば、まあいいんだけど、これは勝つためのデュエルじゃない。レミを救うためのデュエル。正々堂々、お互いの力をぶつけて、レミの心に私の気持ちを!』
梨香がデッキに指を置く。




3ターン
梨香
LP2900
ケリロット
LP4000



梨香:「私のターン!」
梨香がカードをドローする。


梨香:「装備魔法”フレイムトウシューズ”を、サイバー・チュールに装備!攻撃力800ポイントアップ!」
サイバー・チュールが赤いトウシューズを履く。


サイバー・チュール
攻撃力1000→1800


梨香:「サイバー・チュールで魔導弓士ラムールに攻撃!」
サイバー・チュールの足が炎に包まれ、そのままラムールを蹴り飛ばす。

ケリロット:「くっ」


ケリロット
LP4000→2800


梨香:「フレイムトウシューズの効果発動。装備モンスターが戦闘でモンスターを破壊したとき、デッキから魔法カードを1枚手札に加えることができる!」
梨香がデッキからカードを1枚に加えた。


梨香:「カードを2枚セットし、ターンエンド」
梨香のターンが終了した。

ケリロット:「装備魔法でモンスターの攻撃力を上げて、私のモンスターを破壊。常識的な戦術じゃない。それじゃあ、私に勝てないわよ」

梨香:「勝つ気なんてない!」

ケリロット:「!?」

梨香:「私は、あなたを救うためのデュエルをやっているの!勝ち負けなんてどうでもいいわ!」

ケリロット:「そんな考え、私の復讐心が上回るわ!」

梨香:「レミ!復讐したって!」

ケリロット:「何も帰って来ないって言うでしょ!さっきも聞いたわ!でも、もう止められない!私の心は!」
鋭い目で梨香を見るケリロット。梨香は怯えず、睨み返す。

ケリロット:『何なのよ、その目…。あなたが私の何がわかるっていうの!』
心の中で梨香に言葉をぶつけるケリロット。





4ターン
梨香
LP2900
ケリロット
LP2800


ケリロット:「私のターン!」
ケリロットがデッキからカードドローする。

ケリロット:「魔導書士バテルをリリースし、”魔導皇士アンプール”をアドバンス召喚!」
ケリロットの場に皇帝が君臨する。


魔導皇士アンプール
レベル5 攻撃力2300


梨香:『タロットでは、確か皇帝だったわね…。油断は禁物ね』


ケリロット:「リバースカード発動!”アブラメリンの魔導書”!墓地に存在する魔導書モンスター1体を効果を無効にして特殊召喚する!」
ケリロットの墓地にある魔導書モンスターは、魔導弓士ラムールのみ。つまり、召喚できるモンスターは決まっていることは梨香にもわかっていた。


魔導弓士ラムール
攻撃力600

ケリロット:「魔導皇士アンプールのモンスター効果!自分フィールド上に存在する魔法使い族モンスター1体と、墓地の魔導書と名の付いたカードを1枚除外することで、相手モンスター1体のコントロールをエンドフェイズまで得るわ!」
ケリロットの効果説明を聞いて、梨香が「えっ」と驚く。

ケリロット:「魔導弓士ラムールとアブラメリンの魔導書を除外!サイバー・チュール、頂くわよ!」
サイバー・チュールに装備されていたフレイムトウシューズが破壊され、梨香の場にいたチュールケリロットの場に移る。

梨香:「更に、セフェルの魔導書を発動!自分フィールド上に魔法使い族モンスターが存在するとき、手札の魔導書カード1枚を相手に見せることで、墓地に存在する魔導書と名のついた通常魔法カード1枚を選択して効果を発動するわ!」
手札にある魔導書のカードを梨香に見せ、ヒュグロの魔導書のカードがケリロットの場に現れた。


ケリロット:「ヒュグロの魔導書の効果を墓地より発動!」
ヒュグロの魔導書の効果で、アンプールの攻撃力が上がる。


魔導皇士アンプール
攻撃力2300→3300


梨香:「ぐっ」

ケリロット:「勝負あったわね。サイバー・チュールを奪われて、あなたの場にモンスターはない。アンプールの攻撃で終わりよ!魔導皇士アンプールでダイレクトアタック!!」
アンプールの魔導の力が梨香に襲いかかる。


梨香:「あなたを助けるまで、私は負けられない!トラップ発動!”華麗なる初舞台”!自分フィールド上にモンスターが存在しないとき、デッキから”サイバー・マリー”を特殊召喚する!」
美しいバレリーナのドレスを着た女性が現れる。


サイバー・マリー
レベル4 攻撃力1400


梨香:「サイバー・マリーのモンスター効果により、1ターンに1度、相手モンスターの攻撃を無効にする!」
サイバー・マリーがバリアを張り巡らせ、アンプールの攻撃を防御する。

ケリロット:「やるわね。でも、私が気付いていないとでも思った?サイバー・チュールは、相手フィールド上に存在する全てのモンスターの攻撃力が、このカードの攻撃力よりも高い場合、このカードは相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる」

梨香:「っ!」

ケリロット:「サイバー・チュールで梨香にダイレクトアタック!!」
サイバー・チュールが梨香を蹴る。

梨香:「ああっ!」


梨香
LP2900→1900


ケリロット:「私はこれでターンエンドよ。ターンが終了したから、サイバー・チュールは、あなたに返すわ」
チュールが梨香の場に戻る。

魔導皇士アンプール
攻撃力3300→2300


ケリロット:「さっきあなた、私を助けるって言ってたけど、どうしてそこまで私に拘るのかしら?」

梨香:「あなたが私の友達だからよ…」
ダメージを受けた身体で立ち上がる梨香。

ケリロット:「っ…、さっきも言ったでしょ。私、あなたと友達になった覚えないわ!」

梨香:「あなたになくても、私にはあるの。だから、必ずあなたを復讐の心から救って見せるわ」

ケリロット:「ああもう!何が救うよ!私の復讐の気持ちは変えられないわ!私の復讐を広げているのは、この世にいる愚かな人間!そして、その復習が始まったのは、父の死!いや、そもそも、あの次元振動さえ起きず、多元世紀が始まれなければ、あんなことにはならなかったわ!」

梨香:「…」

ケリロット:「確かに、多元世紀になったことで、父の病気を治すワクチンが発見され、あのときは希望が見えた。でも、結果は絶望へと動いた!そして、母と弟の運命も変わった。多元世紀さえ、始まれなけば…」

梨香:「多元世紀の始まり。ううん、次元振動が起きた理由って知ってる?」
梨香の突然の問いに戸惑うケリロット。

ケリロット:「いろんな理由があるんでしょ。国家政府は、世間に何も教えないけど。でも、一番有名なのは、世界を破滅へと加速させた大規模な戦争、”世界精霊大戦”。あの戦争は過去も未来も、異世界も関係しているでしょ。何かしら特別な力が勝手に生み出されて、その力が次元振動を引き起こした」

梨香:「知ってるんだね」

ケリロット:「あの戦争を終止符させた伝説の英雄、遊城十代。自分の命を引き換えにして戦争を終わらせたけど、皮肉よね。世界を救ったのに、あの人のことを恨んでいる人は、この世に五万といるんだから」

梨香:「あなたはどうなの?英雄を恨んでいる?」

ケリロット:「もう何よ!いきなり。その人と、あなた何か関係してるの!」

梨香:「パパよ」

ケリロット:「えっ…」

梨香:「初めてあったとき言ったでしょ。私が生まれる前には、パパは死んでいたって。私のパパよ。遊城十代は」

ケリロット:「あなたのおお父さんが、英雄…」

梨香:「世界は世界精霊大戦が、この世界を作り上げた現況だって言っているけど、もしそれが影響で、多元世紀が生まれてしまったのであれば、パパには責任がある。そして、そんなパパの血が流れている私やお兄ちゃんにも。パパを憎まれている人は沢山いるわ。だけど、パパが世界を救ったことに変わりはない」

ケリロット:「…」

梨香:「多元世紀になったからこそ、新しい出会いだってある。レミ、あなたの家族もあなたが復讐したって嬉しくないんじゃない。私と巡り遭えたように、新しい出会いを望んでいるんじゃないかしら」

ケリロット:「新しい…出会い…」

梨香:「レミ、あなたの居場所は此処じゃないわ」
レミに本当の居場所を気付かせる梨香。





ケリロット:「でも私は…私はテイタラファミリーに忠誠を誓った。今更、変えられないわ!」
梨香の言葉に反発するケリロット。

でも、その目には涙が流れていた。

梨香:『レミも苦しんでいる。待ってて、私があなたの帰る場所を作ってあげる!』





5ターン
梨香
LP1900
ケリロット
LP2800


梨香:「私のターン!」
梨香がカードをドローする。

梨香:「マジックカード”融合”発動!サイバー・チュールと、サイバー・マリーを融合!」
2体のモンスターが一つになる。

梨香:「美しく舞い降りなさい!融合召喚!”サイバー・ピエリーナ”!!」
融合モンスター”サイバー・ブレイダー”に似たバレリーナ姿をした融合モンスターが現れる。


サイバー・ピエリーナ
レベル6 攻撃力2100


ケリロット:「融合モンスター…!」

梨香:「サイバー・ピエリーナの効果!相手フィールド上に、サイバー・ピエリーナよりも攻撃力が高いモンスターが存在するとき、このカードの攻撃力は1000ポイントアップする!アラベスク!!」


サイバー・ピエリーナ
攻撃力2100→3100


梨香:「サイバー・ピエリーナで、魔導皇士アンプールに攻撃!フリックフラック!!」
身体を回転させて、アンプールに蹴り技をお見舞いする。

ケリロット:「ぐっ!」


ケリロット
LP2800→2000


ケリロットの場にモンスターがいなくなったことで、サイバー・ピエリーナの攻撃力が元に戻る。


サイバー・ピエリーナ
攻撃力3100→2100


梨香:「この瞬間、サイバー・ピエリーナの効果発動。戦闘で相手モンスターを破壊したとき、エンドフェイズまで攻撃力を700ポイント下げて、もう一度バトルできる!」


サイバー・ピエリーナ
攻撃力2100→1400


梨香:「サイバー・ピエリーナでダイレクトアタック!」
サイバー・ピエリーナ2回目の攻撃。蹴り技をケリロットにお見舞いする。


ケリロット:「きゃああ」


ケリロット
LP2000→600


梨香:「カードを1枚セットして、ターンエンドよ」


サイバー・ピエリーナ
攻撃力1400→2100


梨香のターンが終了した。





6ターン
梨香
LP1900
ケリロット
LP600


ケリロット:「私のターン!」
ケリロットがドローする。

ケリロット:「私は負けられない。負けられないのよ!マジックカード”死者蘇生”!魔導皇士アンプール復活させるわ!」
墓地より、先ほど破壊された魔導皇士アンプールが場に戻ってきた。


魔導皇士アンプール
攻撃力2300

ケリロット:「マジックカード”アルベの魔導書”を発動!魔法使い族モンスター1体を選択し、選択したモンスターは1体で2体分のオーバーレイユニットにすることができる!」


梨香:「ってことは…!」

ケリロット:「これで魔法使い族エクシーズモンスターをエクシーズ召喚することができるわ!私は2体分となった魔導皇士アンプールでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」
フィールドに巨大な渦が現れた。

ケリロット:「正は繁栄、豊穣、愛情、包容力、逆は軽率、虚栄心、嫉妬、浪費。全てを力に変え、女帝よ今ここに!!」
ケリロットの場に、銀髪の女帝が現れた。


ケリロット:「降臨せよ!”魔導皇聖トリス”!!」


魔導皇聖トリス
ランク5 攻撃力2000


ケリロット:「魔導皇聖トリスの効果発動。オーバーレイユニット一つ取り除くことで、デッキをシャッフルしその後、デッキから5枚めくって、その中の「魔導書」と名のついたカードの数までフィールド上のモンスターを選んで破壊する!!」
ケリロットはデッキから5枚めくる。

ケリロット:「5枚の内、3枚が魔導書カードよ。よって、3枚までカードを破壊するわ。選ぶカードは、あなたのモンスター1体とリバースカード1枚。つまり、全て破壊よ」
ケリロットの場にあるカードすべてが破壊された。

ケリロット:「めくった5枚は、好きな順番にデッキの上に戻すわ」
5枚のカードをデッキの上に戻るケリロット。

このまま攻撃宣言すれば、私の勝ち。そう思っているケリロット。だが、それをためらう自分がわからない。

ケリロット:『私は復讐を…!』
ケリロットが攻撃宣言をする。

ケリロット:「魔導皇聖トリスでダイレクトアタック!スチュワーデス・アセンション!」
杖を前に突き出し、魔力を放とうとする。

しかし、トリスは攻撃を自ら中断した。

ケリロット:「どうしたの?トリス!」

梨香:「トリスは攻撃を行えないわよ」

ケリロット:「何ですって…!」

梨香:「さっきトリスの効果で破壊された伏せカード。”バレリーナの誘惑”。フィールド上に伏せてあった、このカードが破壊されたとき、手札を1枚捨て、このターン破壊されたモンスター1体を効果を無効にして攻撃表示で特殊召喚する!!」
梨香は、その効果で手札にあったトラップカード”ドゥーブルパッセ”を墓地に捨て、サイバー・ピエリーナを復活させたのだ。

サイバー・ピエリーナ
攻撃力2100


サイバー・ピエリーナの攻撃力は魔導皇聖トリスよりも高い。つまり、攻撃を行えないのだ。

ケリロット:「くっカードを1枚セットして、ターンエンド」
ケリロットのターンが終了した。

ケリロット:『私が伏せたカードが、聖なるバリア-ミラーフォース。攻撃するようであれば、このカードを発動して、あなたのモンスターを…』



7ターン
梨香
LP1900
ケリロット
LP600


梨香:「私のターン!」
梨香がカードをドローする。

梨香:「このターンで終わりにしましょ。儀式魔法!”機械天使の儀式”を発動!!」
梨香の場に儀式の祭壇が現れる。


梨香:「レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリースし、手札から「サイバー・エンジェル」儀式モンスター1体を儀式召喚するわ!サイバー・ピエリーナをリリース!」
サイバー・ピエリーナがリリースされた。

梨香:「宇宙を創造する光の天使よ。万物の根源となりて姿を現せ!」
梨香の頭上が輝き光の天使が舞い降りる。

梨香:「儀式召喚!!降臨せよ!”サイバー・エンジェル-梵天”!!」
緑色の服装を着こなし、4本の腕を持つ天使が現れた。

サイバー・エンジェル-梵天
レベル6 攻撃力2300


梨香:「サイバー・エンジェル-梵天、モンスター効果発動。このモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊したとき、相手の手札1枚につき、500ポイントのダメージを与える。つまり、梵天でトリスを破壊し、戦闘ダメージ300。そして、レミの手札は現在1枚。よって、500の追加ダメージであなたの負けよ!」
梨香が攻撃宣言をする。

梨香:「サイバー・エンジェル-梵天で魔導皇聖トリスに攻撃!ロット・シィング!!」
4本の腕で作った光の球をケリロット目掛けて放つ。

ケリロット:「無駄よ!私には、伏せてある聖なるバリアが―」
トラップカードを発動しようとするケリロット。

だが、突然、近くで子供たちの泣く声が聞こえた。

梨香もそれに気づき、辺りを見ると、集団で子供たち歩いていた。しかも、全員泣いている。

梨香:「親とはぐれた子供たち…」

ケリロット:「!!」
ケリロットは子供たちの上を見て驚く。

この国の争いの影響だろう。子供たちのすぐそばにある建物が今にも崩れそうだ。

そして、ケリロットの感は当たった。

建物が崩れ、子供たちの上に瓦礫が降り注ごうとした。


梨香:「危ない!」

梨香が走ろうとするが、それよりも早く別の女性が、子供たちの方へと走った。


そう、ケリロットいや、レミだ。

レミはデュエルを放棄し咄嗟に子供たちを助けに向かったのだ。


レミは、子供たち数名を抱き抱え、すぐに避けた。

そして、瓦礫が地面に落ちた。

同時に、魔導皇聖トリスが、サイバー・エンジェル-梵天の攻撃により破壊され…。


ケリロット
LP600→300→0


戦闘ダメージ、効果ダメージを喰らってライフが0になった。


梨香:「レミ!」
梨香も、すぐに駆け寄る。

子供たちもレミも無事だ。

レミ:「泣いちゃダメ。この先に、みんなが避難しているはずだから、そこに行きなさい」
レミが子供たちに指示をする。

子供たちはうんと首を縦に振って頷き、走って、レミが指さした方へと走る。

梨香:「レミ、あなた…」

レミ:「私もまだまだね。復讐なんて言っていながら、デュエルを放棄してあんなことするなんて…」

梨香:「もしかしてレミって、幼い子供たちが好きなの?」

レミ:「昔は保育士になろうと思っていたから。母の影響で、かわいい子供が好きで、今でも、そんな気持ちを捨てることはできないでいるわ。ホント、そんな気持ちを持っているから、他の幹部たちにも馬鹿にされていたけど…」

梨香:「別にいいじゃない。私だって、小さい子供が好きよ」

レミ:「でも、もし、このカードを発動していたら、まだ勝負はわからなかったかもしれないわね」
伏せていた聖なるバリア-ミラーフォースのカードを手に取るレミ。

梨香:「残念だけど、サイバー・エンジェル-梵天には、バトルフェイズ中、リバースカードを発動できない効果を持っているの、だから」

レミ:「結局、私の負けだったのね。さあ、私は負けた。生かすも殺すも、あなたの好きにしなさい」

梨香:「さっきも言ったでしょ。勝敗なんてどうでもいいの。私は、あなたを救って、あなたに本当の自分を見つけてほしいの」

レミ:「本当の自分…ね」

梨香:「愚かな人間に復讐するレミ、子供たちが好きで優しいレミ。これから生きるために、あなたはどっちを選んで生きていく?」

レミ:「…」

梨香:「フロンティアに来なよ!」
両手を広げて、フロンティアの招待する梨香。

梨香:「フロンティアは沢山の出会いもあるし、面白いこともある。辛いこともあるけど、みんなで乗り越えれば怖くないわ!」

レミ:「でも、私はテイタラファミリー幹部…。フロンティアのトップがなんていうか…」
気を落とすレミ。

梨香:「大丈夫!今、ここにいるSOA特務隊の慎也さんっていう人に頼めばなんとかしてくれるよ!だから、ね?行こう」
梨香がレミに手を差し伸べる。

その手を見るレミ。

レミ:『ファミリーにいるときは、一回もこうやって手を差し伸べてくれなかった。新しい出会い』
レミは涙を流しながら、梨香の手を取る。

梨香は手を引っ張て、レミを立たせる。

レミ:『私、やっと本当の自分を見つけることができたのかもしれない』
レミがニコッと笑う。



梨香とレミ。この2人に勝敗はない。

2人の間には、新たな友情という絆が生まれたのだ。





2人が話していると、そこに、明日香と珠里が来た。

梨香は嬉しそうにレミを2人に紹介する。


ケリロット・バウは、今ここに倒れた。そして、上原レミが戻ってきたのだ。







第3ED『キミモノガタリ《little by little》』







次回予告

ナレーション:テイタラファミリー四天王1人バックスが、羅夢と哲平の前に現れる。

尋常ではない炎の力と、悪道な行動で羅夢と哲平に襲いかかる。

その頃、宝井元司令を見張る一馬たちにも、殺しの鎌鼬が襲いかかってきた。

羅夢:次回、遊戯王5DXAL「悪道な炎 首跳ねの鎌鼬」

羅夢:「この男の炎は、悪の染まっている!」






遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!



レミ:「今回は私が使用しているデッキ”魔導書”についてよ。モンスターは主に魔法使い族で、魔法カードを中心とした戦術が多いわ。魔法カードでモンスターをサポートし、エクシーズモンスターで敵を粉砕!」
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