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第37話:『VS邪属性の脅威』







式典会場



そこの祭壇の近くに四天王の1人、J・J(ジェイツー)がいた。


J・J:「俺もそろそろ動くとするか」
前髪をかき上げるJ・J。


J・J:「暗黒に染める闇の力。大地を揺るがす地の力」
右手が黒いオーラに左が茶色のオーラに包まれるJ・J。


J・J:「この2つが重なり合ったとき、俺は新たな属性を生み出す……・それが、”邪”だ」
ニコッと笑うJ・J。


この男の力は一体………。







第3OP『BRAVING!《KANAN》』







第37話:『VS邪属性の脅威』








テイタラファミリーの部下から隠れる琴羽。



琴羽:「はぁはぁ、もうどこへ行っていも、無理ね」
さっきから逃げても逃げても、その先にはファミリーの部下がいて、逃げ道を塞いでいた。


そして、今、隠れている建物も既に、四方に敵がいて建物から出ることができなくなっていた。


琴羽:「頃合いかしらね」
琴羽は心の中で命を捨てる覚悟をしていた。


息を吸う琴羽。


琴羽:「ごめんなさい、小鳥。私の分まで生きて」
琴羽が建物の陰から出ようとした、そのとき----。

バシッ!

琴羽の腕を誰かが掴んだ。

琴羽は後ろを振り向く。


未来:「やっと見つけたわ」

琴羽:「み、未来…!?」
腕を掴んだのは九十九未来だった。

後ろには、娘の九十九明里がいた。


琴羽:「ど、どうして2人が…!」

明里:「色々ありまして、話すと長くなるので割愛しますが、私たちは、琴羽さんを探していたんです」

琴羽:「え?」

未来:「ここに長時間いるのは危険だわ。早く、ここから逃げるわよ」

琴羽:「え、えぇ」
琴羽は言われるがままに2人について行く。


敵に見つからないように、建物から出て脱出する。


未来:「うまく脱出できたわね」

琴羽:「ねえ、小鳥は、私の娘は大丈夫なの?」

明里:「大丈夫ですよ。今、この国にいるフロンティアのメンバーは小鳥ちゃんの司令の元で動いていますから」

琴羽:「し、司令…!?」
司令という言葉に驚く琴羽。

こういう部隊行動で司令となると、ほぼ部隊のトップということになる。

琴羽はなぜ、娘が司令になったのかが気になった。


未来:「ホント、色々あったのよ。小鳥ちゃん、元司令に怒ったりして、大変だったんだから」

琴羽は、娘が元司令に怒った?と、心の中で呟いた。


琴羽:「小鳥、なんか悪いことしたの?」


明里:「むしろ、大問題です。まあ、悪いのは完全に、元司令の宝井っていう人なんですけど」

未来:「それより、小鳥ちゃんのところに行きましょう。彼女も司令と動いているはずよ」

琴羽:「え、えぇ」
何が何だか分からなくなってきた琴羽。

だが、今は娘の無事を祈るだけだった。





その頃、慎也は-----



慎也:「王宮も気になるが、ここも少々気になるな」
慎也が今いるところは、式典会場だった。

事の始まりはここだった。

国にバリアを張られたときも、バギーが国家政府に諸々要求したのもここだった。


なら、ここに何かあるはずだと思ったのだ。



慎也は、周りに気を付けながら、前へ進む。


人の死体が、そこら中に倒れている。


慎也:「くっ、ダイシャラス王国第2王子バギー。やはり、この行為は許されることじゃない」
周りの残酷な光景にバギーに対する怒りを覚える慎也。


すると、こちらに近づく走る足音が聞こえた。


慎也は警戒するが、目の前に出てきた男を見て、すぐに味方だと判断した。


慎也:「なんだ、凌牙か」

凌牙:「慎也さん、何であんたが?」

慎也:「もしかしたら、ここに何かあるんじゃないかと思ってな」

凌牙:「俺と同じか。全てはここから始まった。なら、この会場には何かあると思って、俺もここへ来た。それで、何かあったのか?」

慎也:「いいや、これといって何もない。バリアの制御装置ぐらい、ここにあっても不思議じゃないと思ったんだが…」
慎也が話しを続けようとした、その時。



???:「制御装置は、ここにはないぞ」
どこからか聞こえた男の声。

周りを警戒する2人。


そして、近くにあったオブジェから姿を現した一人の男。


慎也:「幹部…いや四天王か」

凌牙:「何…!こいつが」
目の前に現れた男が四天王だとわかって少し驚く凌牙。


J・J:「流石は、フロンティアSOA特務隊8係リーダー桐潟慎也だ。俺の殺気を感じ取り、即判断したな」

慎也:「長年の経験ってやつだ」

J・J:「なるほどな。紹介が遅れた。俺はJ・J(ジェイツー)。テイタラファミリーの四天王の1人だ」
自己紹介を済ませるJ・J。


凌牙:「慎也さん、さっきこいつ」

慎也:「ああ、制御装置はここにないと言っていたな」

J・J:「信用できないか?だが、これだけ広範囲に展開するバリアの制御装置を外に出すマヌケがいるか?」

慎也:「まぁ、まずいねえわな。けど、お前が手に持つ、それはなんだ?」
慎也はJ・Jの左手に持つ何かのリモコンを見て聞く。

J・J:「これか?これは、バリアの制御装置を遠隔操作することができるリモコンだ。王子から預かった」
リモコンを見せびらかすように出して語るJ・J。


凌牙:「それがあれば、バリアを消滅させることもできるのか?」

J・J:「ああ、スイッチ一つでこの国を覆ったバリアを消すことができる」

慎也:「よし、そのリモコンを渡せ」
手を差し伸べる慎也。

J・J:「素直にはい、どうぞっていうと思っているのか?」

慎也:「ま、余程のバカじゃねえ限り言わねえよな」

凌牙:「力づくで奪ってやるよ」
凌牙がデュエルギア”ブラックランサー”を構える。


J・J:「やれるものならやってみろ」
リモコンを懐にしまうJ・J。


慎也:「街の人を守るために戦っている。時間がかけてられない」
慎也も、デュエルギア”サンダーマグナム”を手に取る。


J・J:「デュエルギア”モザイク・マンティコア”」
J・Jの手に、わずかに曲がった細身の片刃刀が握られた。カラーやデザインからして、J・Jが口にしたモザイク・マンティコアのデュエルギアだろうと、慎也は判断した。

凌牙:「変わった剣だな」

慎也:「シャムシール…」

凌牙:「ん?」

慎也:「中近東でよく使われていた刀だ。一体、どんな力を持っているのか、まずはそれを見極める!」
慎也がサンダーマグナムの銃口をJ・Jに向ける。

慎也:「サンダーショット!」
電撃の銃弾がJ・Jに向かう。


J・J:「そんなもの!」
慎也が放った銃弾を全て弾き飛ばす。


凌牙:「もらった!」
J・Jの目の前に現れた凌牙。慎也が攻撃を仕掛けたと同時に、既に走って来てたのだ。

凌牙:「ブラックスピア!!」
ブラックランサーの先が黒いオーラで纏われ、その状態で突貫してくる凌牙。


J・Jはシャムシールの剣先を地面に突き刺した。

J・J:「グランド・ガード」
突き刺した剣先の目の前の地面から大地の壁が現れ、凌牙の技を受け止める。


大地の壁にブラックランサーが突き刺さる。

凌牙:「くそっ」
突き刺さったブラックランサーを抜く凌牙。


J・J:「スコタディ・スラッシュ」
壁の奥から聞こえる不気味なJ・Jの声。






慎也:「離れろ!凌牙!」
慎也が叫ぶ。


すると、J・Jが出した大地の壁が縦に真っ二つに割れ、黒い斬撃が飛んできた。


凌牙:「くっ!」
凌牙は右手に傷を負うが咄嗟の判断で下がったことで軽症で済んだ。



凌牙:「くそっ」
凌牙が慎也のところまで下がった。



凌牙:「今のは闇の攻撃。さっき、モザイク・マンティコアのデュエルギアだと、あんたは言ったよな。モザイク・マンティコアは地属性。けど、今、出した攻撃はどう見たって闇属性。どういうことだ?これは」
慎也に聞く凌牙。


J・J:「ふっ」


慎也:「地属性と闇属性の”波動”を得意とするのか、こいつ」

凌牙:「波動…?」

慎也:「”波動”については、また今度教えてやる。今は目の前に集中しろ」
慎也がサンダーマグナムを構える。


J・J:「属性の波動のことも知らないとはな。これだから新米は」
凌牙をバカにするJ・J。

凌牙:「訳の分からないことを!」
凌牙が突っ込む。

慎也:「深追いはするな!凌牙」
慎也が止めようとする。

しかし、凌牙の耳に慎也の声は入っていなかった。


J・J:「お前みたいな奴が早死にするのさ」
J・Jは足元に落ちてあった鉄パイプを手に取る。

すると、左手に持つ鉄パイプに茶色いオーラが纏われた。


J・J:「大地の血祭」
鉄パイプを地面に叩き付け、凌牙の方に向かって地割れを起こした。


凌牙:「何…!?」
地割れに足を持って行かれる凌牙。


慎也:『鉄パイプに地属性の波動を流し込んだのか…!』
慎也は急いで凌牙の方へ向かう。

しかし、慎也も凌牙同様に地割れの影響で足の自由があまり聞いていなかった。


慎也:「ちっ」
慎也が高くジャンプした。

すると、足裏から炎が吹き出し、そのまま凌牙の方へ向かう。


慎也:「手を伸ばせ!凌牙」
飛んで近づいてくる慎也に手を伸ばす凌牙。

慎也はその手を掴み、凌牙を救出。

地割れの範囲外に凌牙を着地させ、慎也自身も地面に着地する。



J・J:「サンダー・ドラゴンの銃タイプのデュエルギアを使い、波動は炎属性か」
慎也を分析した結果を口に出すJ・J。


慎也:『2つの属性の波動を持つデュエリスト。限界勢力を持つデュエリスト。ファミリーの四天王は、相当強いと見えるな』
慎也が目の前にいるJ・J、そしてマリクたちが戦っているポッパーの力のことを思って、敵の四天王がかなりの手練れと判断した。


凌牙:「くっ」
凌牙はブラックランサーを構える。



J・J:『こいつは話にならんな。属性の波動を理解せず、デュエルギアの持つ属性にしか頼らない単調な攻撃。すぐ読める』
凌牙を見るJ・Jは、心の中で呟く。


J・J:『こっちは、それなりに警戒した方がいいな。こいつは、戦闘経験が長い。俺の攻撃を分析するぐらいの行動はしてくるはず』
凌牙から慎也に目線を移すJ・J。



慎也:『おそらく、凌牙の攻撃は既に見切られている。前に出して攻撃を仕掛けるのは危険だ。俺が前に出て攻撃を仕掛けるしか』
慎也が一歩前に出る。



J・J:『秘密兵器を出すしかねえな』
J・Jも前に出る。

それを見て、仕掛けてくるかと心の中で思った慎也。


凌牙:『来るか…!』
凌牙もブラックランサーを強く握る。



J・J:「デュエリストなら基本中の基本のことだが、デュエルモンスターズには6つの属性が存在する」

凌牙:「?」
いきなりデュエルモンスターズを語り始めるJ・Jを不思議に思った凌牙。


J・J:「炎、地、風、水、光、そして闇。属性の波動も同じだ」

慎也:「……」
黙ってJ・Jの話しを聞く慎也。






J・J:「だが稀に、複数の属性を融合させ、新たなに属性を生み出すデュエリストがいる」


凌牙:「新たな属性だと…?」

慎也:『こいつ、まさか!』
慎也は少し驚くそぶりを見せる。


J・J:「闇属性、地属性。俺の2つの波動を融合させたときに生まれる属性は…」
シャムシールと鉄パイプを交差させるJ・J。


J・J:「邪属性!」

慎也:「やはり、”多重属性界”!離れるぞ!凌牙!」
慎也が急いで凌牙に指示する。


J・J:「もう遅い!」
シャムシールと鉄パイプが暗黒色に染まる。


J・J:「蛇竜烈破!!」
交差したシャムシールと鉄パイプの中心から、暗黒色の蛇の形状をした波動が2人を襲う。


凌牙:「うわああ!」

慎也:「凌牙!ぐわああ!」
吹き飛ばされる2人。


J・J:「邪属性に敵なし」
構えを解くJ・Jは、砂塵の中にいるはずの慎也と凌牙を探す。


慎也:「ごほっ、ごほっ」
慎也が砂塵の中から出てきた。


凌牙:「くっ!」
凌牙も苦しそうに出てきた。


J・J:「力は抑えたからな。貴様らは2人を捕え、この国にいるSOA特務隊の連中の居場所を全て吐かせる。殺すのは、その後だ」
フッと笑うJ・Jだった。慎也と凌牙、2人の絶望のカウントダウンが始まり、すぐ終わりを告げようとしていた。


慎也:『複数の属性を融合し新たな属性を生み出し、それを使って自由自在の攻撃を繰り出すデュエリスト』
慎也が立ちながら心の中で呟く。


慎也:「ややこしい力を持っているな」
つい本音が出た慎也。


慎也:『こいつ相手に長時間の戦闘はきつい。それ以前に凌牙に戦わせるのはマズいな』
凌牙の方を向く慎也。


慎也:「凌牙、お前にこいつの相手は無理だ。一旦、引け」

凌牙:「何…!?」

慎也:「こいつの相手は俺がする。逃げる時間ぐらいは稼げる」

凌牙:「敵に背中を向けて逃げろと、そういっているのか?」
慎也に問う凌牙。

慎也:「逃げることは恥ずかしいことじゃない。こいつはレアな力を持っている。お前を早死にさせたくないんだ」
慎也が前に出る。


凌牙:「それであんたは、早死にする気か?」

慎也:「さあな。まあ、そうなる可能性はあるかもな」
少し笑って言う慎也。

凌牙:「お断りだ」

慎也:「…!?」
凌牙の答えに驚く慎也。

凌牙:「俺は、死に急ぐ味方を置き去りにするほど、バカじゃねえんだ」
凌牙が前に出る。

慎也:「凌牙、お前…!」

凌牙:「数じゃ、こっちが上だ。勝機はまだある」
凌牙の右手の甲が光る。

慎也:『あれは…』
凌牙の右手の甲に浮かぶ紋章を見る慎也。



J・J:『あれが噂に聞く”エースのマーク”。アストラル世界に選ばれし者たちが持つことを許される紋章か』
凌牙のエースのマークを見て呟くJ・J。








カイトサイド



敵を倒すカイト。


その時、自分の右手の甲に宿ったエースのマークが浮かび上がり、輝き出す。


カイト:「この感じ、凌牙か…!」
エースのマークを通じ凌牙の気持ちがカイトに伝わっているようだ。


オービタル7:『カイト様!後ろ!』
エースのマークに気を取られているところを敵が後ろから襲いかかってきたが、オービタルのサポートで回避し倒した。



カイト:『エースのマークは所持者同士を共鳴させることができるのか…?』
戦いながら呟くカイト。







ドルべサイド




ドルべ:「凌牙の気持ちを感じる…!」
走りながらいきなり輝いたエースのマークを見て、しゃべるドルべ。





Ⅴサイド



Ⅳ:「アニキ、その輝きは…!?」
Ⅳと共に行動しているⅤ。


Ⅴ:「ああ、凌牙の闘志を感じる。どうやら、強い相手を目の前にしているようだ」




アンナサイド



アンナ:「なら、暴れるしかねえぜ!」
エースのマークを通じて凌牙の気持ちが伝わったアンナがニヤッと笑って言い放つ。




ゴーシュサイド



ドロワと共に行動するゴーシュも凌牙の気持ちが伝わった。


ゴーシュ:「いいノリしてんじゃねえか、凌牙!」
ヘッと笑って叫ぶゴーシュ。






小鳥サイド


鉄男と徳之助と行動する小鳥。


小鳥:「えっ…」
小鳥がその場で足を止める。


鉄男:「どうした?小鳥」
いきなり止まった小鳥に聞く鉄男。

小鳥:「あっ、な、何でもない」
再び歩き出す小鳥。


小鳥:『今、シャークの声が聞こえたような…』
小鳥は一瞬だがシャーク(凌牙)の声を感じ取った。

いや、確信はない。だが、そんな感じがしたのだった。








四大神王者ロストサイド



ロスト:「フッ…」
走りながら笑うロスト。


ロスト:「かっとビングだ、シャーク。エースのマークの力を引き出せ!」
大きな声で叫ぶロスト。


この男にも凌牙の声が届いたようだ。







慎也、凌牙サイド




慎也:「……バカだな、俺は、仲間1人信じられないとは」
慎也が凌牙の横に立つ。


凌牙:「慎也さん…」

慎也:「行くぞ、凌牙。メインは、お前。バックは俺がやる。お前の成果、期待しているぞ」
慎也が凌牙にエールを送る。

同時に右手の甲の輝きが収まる。

だが、マークはそのまま右手の甲に浮かび上がったままだった。


凌牙:「了解した。あいつを倒して、急いで王宮に向かう!」
凌牙と慎也、2人の絶望のカウントダウンは自分たちの意志によって延長されたのだった。









第2ED『空とキミのメッセージ《choucho》』





次回予告

ナレーション:邪属性の力を持J・Jに対抗する凌牙と慎也。

止まることのない攻撃の嵐の中、J・Jが奥の手を炸裂し、2人の息の根を止めようとする。

しかし、絶望のカウントダウンが終点を迎えようとした、そのとき、凌牙のエースのマークが力を発揮する。

凌牙:次回、遊戯王5DXAL「炸裂!ワータラブラックスピア!」

凌牙:「J・J、貴様はこれで終わりだ!」





遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!



慎也:「今回は、テイタラファミリーの四天王についてだ。テイタラファミリーには4人の四天王、J・J、ポッパー、バックス、ラビリットが存在し、ラビリットが4人の中のリーダーを務めている。J・Jは蛇属性の力を、ポッパーは風属性モンスター得意とする限界勢力の力を持っているぞ。他の2人は一体、どんな力を持っているのか。それは今後の話しで」
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