第6話【2枚目の幻のE・HERO】
きれいな月が空に昇っている。
時刻は午後の11時を過ぎていた。
アカデミアの校舎には、ところところ明かりがついていた。
そして、デュエルアカデミアがある島に1台ヘリが港のヘリポートに着陸。
中から、2人の男性が降りてきた。
一人は長い髪で赤い服を着た男。
もう一人はお腹が出て、パンダに似た男だった。
「みんなとは会っていたけど、アカデミアに来るのは久しぶりなんだな」
「早く鮫島校長のところに行くのデース」
2人の男が校舎に向かう。
第1OP 99%(BOWL)
GX‐6【2枚目の幻のE・HERO】
ほとんどの部屋の電気は消え、外も風の音と、木が揺れる音しか聞こえなかった。
アカデミア教師専用の部屋も、ほとんど明かりが消えた。
その中の明日香の部屋も明かりが消えた。
明日香はベットでぐっすり寝ていた。
だが、同室にいた十代は、ソファーに座り、前にある机に、何個かのHEROデッキを置き、それをずっと見つめていた。
『クローン・エンパイラには、24つのHEROデッキがある。その内、2つのデッキ、I・HEROと、F・HEROは、俺の手にある』
十代は机に置いていたデッキを取る。
そして、十代は数秒後、デッキを再び机に置く。
「クローン・エンパイラが持っているHEROデッキは、22個…か」
十代は天井を見る。
「ん?」
十代は近くに置いてあった自分のデッキと、サブカードが入ったケースを取る。
『そういえば、I・HEROを使っていたプレートって奴が、HEROは26個あるっていてたな…そして、その内、1つは、E・HERO…もう、1つはわからないっていてたが…』
十代はサブカードが入ったケースからカードを取る。
『まさか、M・HEROが、その内に入るんじゃ……エドが使うD(デステニー)・HERO…いや、あれは、エドの父さんが作ったものだ…26のHEROデッキには関係ないだろ』
十代は考える。
「考えて見れば、どうして、俺はいつもデッキを拾うんだ?そのまま、置いていれば、いいものを?」
十代は、目をオッドアイにした。
暗い部屋でオッドアイにすると、電気のように光る。
十代はデッキを見る。
「特に、危険な力は感じない…」
十代は呟く。
十代はため息をつく。
「また、わからないことが増えたな…クローン・エンパイラのこと、HEROデッキのこと…、そして、なぜ、俺がデッキを拾うのかということ……俺って、何なんだろうな」
十代が言う。
すると、
コンコン
「?」
扉からノックする音が聞こえた。
十代は上着を着て、扉を開ける。
「やあ、十代くん」
「吹雪さん!?」
ノックしたのは、明日香の兄、吹雪だった。
「こんな時間にごめんね、十代くん」
「いえ、明日香にようですか?明日香なら、もう…」
「いや、違うんだ」
「?」
「十代くん…ちょっと、散歩しないかい?」
吹雪が言う。
数分後、十代と吹雪は夜の外を散歩した。
外は風の音、木が揺さぶられる音、そして、かすかだが、海で涙の音がした。
「珍しいですね…俺に散歩を誘うなんて」
「そう?まあ、4年前までは一回も誘わなかったね。キミこそ、こんな時間まで起きて、何してたんだい?」
「ちょっと、考え事です」
「明日香のことかい?」
吹雪が言うと、十代はちょっと慌てる。
「なんで、明日香が出るんですか!?」
「ははっ、ごめんごめん…てっきり、十代くんは明日香のことを考えていたのかと思ってね」
十代は自分の頬を人差し指でかく。
「十代くんは考えてなくても、明日香はずっと、キミの心配をしていたんだよ」
吹雪が言う。
「え?」
2人の会話にしばらく間が空く。
「キミが、この4年間、行方不明になっている間、僕たちは、1年に3回ぐらいは会えてね…同窓会や、いろんた会を開いたんだ」
吹雪が言う。
「……………」
十代は黙って、それを聞く。
「そして、みんなで、いろんなことをしたり、話したりした…だけど、明日香だけは、真っ先にキミの話しをするんだ」
「俺の………?」
「あいつは今、何をしているんだ?…どこにいるんだろう?…昔のあいつは、あーだったけど、今は、どうなのかしら?…いろんな話しをして、みんなもいつの間にか、キミの話しに夢中になるんだ」
吹雪が言う。
「あいつが、そこまで、俺のことを…」
十代が始めて、明日香が自分のことを心配してくれたのを知った。
「そういえば、まだ、僕は、詳しく聞いていなかったね…4年間、一体、何してたんだい?」
吹雪が聞く。
「世界中を旅してました…もちろん、ただの旅ではなかった…世界中の不可思議な事件を解決するための旅…毎日が命がけの日で、自分では、平和…いや、普通な日にちというのがなかったです」
十代が言う。
「命を賭けて、怖くなかったのかい?」
「そりゃあ、怖いときもあったです。…だけど、俺が逃げたら、怖がってたら、その事件は、解決できない…」
夢中に話していると、2人はいつの間にか、浜辺に着いた。
2人は暗い夜の海を見る。
「キミは世界中の、みんなを、ダークネスから救ってくれた…キミには、世界を救う責任があるかもしれない…」
吹雪が十代を見る。
「だけど、それを一人でやることはないと思うよ…」
十代は少し反応した。
「いや、その前にやり過ぎは禁物だね…聞けば、睡眠も、食事もあんまり、取ってないって聞いたよ」
吹雪が言う。
「それは…」
「キミの周りには、僕や明日香、みんながいる…それを忘れないことだ」
吹雪が言う。
十代は少し間が空いて言う。
「………そうですね…ありがとうございます」
十代が言う。
すると、そのとき、
ブルブル…ブルブル
十代のズボンのポケットの中に入れていた携帯電話が鳴る。
「ん?」
十代は携帯電話を取り出す。
「誰からだい?」
吹雪が聞く。
「この電話番号は…鮫島校長からだ!?」
十代は電話に出る。
「もしもし、」
『十代くん、良かった…まだ起きていましたか』
「なんですか?こんな時間に」
『すまないんだが、今から校長室まで来てくれないかね?』
「今からですか?」
『すまない…大事なことなんだ』
「わかりました…10分内に、そっちに行きます」
十代は通話を切る。
「校長先生、なんだって?」
吹雪が聞く。
「今から校長室に来てくれって…」
十代が言う。
「今から呼ぶってことは、かなり大事なことだね」
吹雪が言う。
「…じゃあ、俺は、校長室に行きます」
「うん…」
十代はアカデミアの校舎に向かう。
数分後、十代はアカデミアの校舎にある校長室のドアの前についた。
『……………』
十代はしばらく、ドアの前に立ち、中に入る。
「失礼します」
十代が言う。
すると、校長室の中には、校長の他に、2人の男がいた。
「どうやら、主役が来たようです」
鮫島校長が言う。
鮫島校長に向かっていた2人の男が十代に振り向く。
「十代!」
「十代ボーイ!」
その2人はインダストリアルイリュージョン社、会長ペガサス・J・クロフォードと、社員であり、十代の友人、前田隼人だった。
「隼人!?ペガサス会長!?」
十代も驚く。
「久しぶりなんだな!随分、変わったんだな、十代」
「お前こそ、元気そうだな」
十代と隼人は互いに握手する。
「十代ボーイ」
ペガサスが十代に声をかける。
「ペガサス会長も、相変わらず元気そうだな」
十代とペガサス会長が握手する。
「それより、何で、2人が、ここにいんだ?」
十代が聞く。
「十代くん、いい知らせだ」
鮫島校長が言う。
「いい知らせ?」
十代が言う。
「十代。お前が探している幻のE・HERO1枚がある場所で見つかったんだな」
隼人が言う。
「幻のE・HEROが!?」
十代が驚く。
「って言うか、なんで、隼人たちが、俺が幻のE・HEROを探しているって、知ってんだ?」
十代が聞く。
「私が頼んだのだよ。キミがアカデミアに帰ってきて、私はすぐ、いろんなところに幻のE・HEROを探索してくださいとね」
鮫島校長が言う。
「そうだったのか…」
十代が言う。
「十代ボーイ」
ペガサス会長が十代を呼びかけ、十代はペガサスの方に振り向いた。
「十代ボーイが、幻のE・HEROを探していると聞いて、私は手当たり次第、世界中を探しました。そして、ある人が、幻のE・HEROをある場所で見つけたのデース」
ペガサスが言う。
「ある人?一体、誰なんだ?」
「武藤遊戯ボーイ、デース」
ペガサスが以外な発言をする。
「遊戯さんが!?」
十代が驚く。
「ペガサス会長は、幻のE・HEROのことを知って、武藤遊戯にも探してくれって、頼んだんだな」
隼人が言う。
「遊戯さんが、幻のE・HEROを…」
「遊戯ボーイは、十代ボーイの話しをいっぱいしてくれたのデース。やはり、あなたたち、2人は引き継がれた存在なのデース」
「遊戯さんは元気に?」
「今は、すでに旅を終え、2年前に高校生の同級生だった女性と、結婚したのデース」
「そうか…それで、幻のE・HEROがある場所は?」
十代が聞く。
「北海道なんだな」
隼人が言う。
「北海道…日本の北か」
十代が言う。
「十代くん…キミは今からペガサス会長と隼人くんと共に、北海道へ行きたまえ」
鮫島校長が言う。
「わかりました。今すぐ、支度します」
十代がそう言うと、校長室を急いで出る。
「十代…本当に逞しくなったんだな。見た目でわかる」
「人は変化するものデース」
「ペガサス会長の言うとおりです。彼が、この4年間で得たことは多いでしょう」
隼人、ペガサス会長、鮫島校長が言う。
その頃、十代は部屋に戻り、北海道へ行く支度をする。
デッキをケースに入れ、デュエルディスクを腕につける。
すると、部屋に光の魂が出てきた。
《十代くん》
大徳寺だった。
「大徳寺先生!?」
十代は小声で言う。
《どうしたんだニャ?》
「幻のE・HEROが見つかった。今から、北海道に行く」
《なら、先生もいっしょに行くニャ》
「いいのか?」
《いいニャ。先生はずっと、十代くんといっしょに旅をしてたから慣れっこなんだニャ》
「そうか…なら、廊下にいてくれ。もう少しで支度が終わるから」
《わかったニャ》
大徳寺は扉をすり抜け、廊下に出る。
十代は大徳寺が部屋から出た瞬間、ベットで寝る明日香のところに行く。
十代は吹雪がさっき言ったことを思い出す。
十代は明日香の頭を撫でる。
すると、明日香の体が動く。
「!!」
十代は一瞬、起こしたかと思ったが、明日香の動きが止まった。
十代は一安心した。
「本当に悪かったな明日香…心配させて」
十代が明日香の顔に自分の顔を近づける。
「じゃあ、ちょっくら行って来るぜ」
十代は明日香の額にキスをする。
正直、自分でこんなことするのは、珍しかった。それは十代でも気づいた。
十代は部屋を出る。
十代たちはヘリコプターが止まっているヘリポートにいた。
「大徳寺先生!」
《久しぶりだニャ。隼人くん》
「そうなんだな。また、こうやって、会えるのが嬉しいんだな」
《ありがとうニャ》
「じゃあ、ペガサス会長、十代くんをお願いします」
「任せるのデース」
鮫島校長と、ペガサス会長が互いに握手する。
数分後、ヘリコプターにエンジンがつき、空に飛び立つ。
鮫島校長は、それを見送る。
ヘリコプターの中で、十代、大徳寺、隼人、ペガサス会長が話す。
「じゃあ、その小さな山の頂上に、幻のE・HEROが」
「そうなのデース」
「下から頂上までは30分もかからないんだな」
《2枚目は一体、どんな姿をしているか。それ以前に、幻のE・HEROが十代を選ぶかどうかが問題なんだニャ》
「だが、はっきりしていることは、クローン・エンパイラの奴らが、北海道に幻のE・HEROがあるとわかったら、奴らは必ず、俺の前に現れる」
十代が言う。
そして、十代たちが乗ったヘリコプターは北海道に向けて、飛び立った。
第1ED Wake Up Your Heart(KENNwith The NaB's)
予告
十代:ここに、幻のE・HEROがあるのか。
しかも、クローン・エンパイラの奴も来たし、絶対に幻のE・HEROは守って見せるぜ。
次回【十代&隼人 驚異のK(クリスタル)・HERO】
隼人、俺と戦ってくれるのか?