外伝ストーリー第1部:『最終修行!VS遊馬』
アストラル:『いきなり、ナンバーズを出すとはな。いいのか?君の正体が、向こうにバレるかもしれないぞ』
遊馬:「俺も、隠れてばっかしは性に合わねえからな」
遊馬は前向きに、このデュエルに挑んでいる。
自分の正体を、相手に隠すつもりはないようだ。
デニム:「ナンバーズ…聞いたことのないモンスターだ。お前だけのカードということか」
デニムはナンバーズを見て、そう呟いた。
アストラル:『どうやら、敵はナンバーズを知らないようだな』
遊馬:「あの3人に比べて、俺はあまり有名じゃないからなぁ」
ちょっと残念そうに呟く遊馬であった。
2ターン
遊馬
LP4000
デニム
LP3100
デニム:「俺のターンだ、ドロー!」
デニムはデッキからカードをドローし、手札が6枚になる。
デニム:「モンスターをリバースでセット!」
デニムはリバースでモンスター1体を場に出した。
デニム:「マジックカード”イリュージョン・ドロー”!を発動!手札にあるイリュージョンまたは幻術と名の付いたカードを1枚墓地へ送り、デッキから2枚ドローする!」
デニムは手札にあるカード1枚を墓地へ送り、デッキから2枚ドローする。
引いたカードを確認し、右手に2枚のカードを持つ。
デニム:「カードを2枚セットし」
右手に持ったカードを場に伏せる。
デニム:「ターンエンドだ」
デニムは反撃することなくターンを終えた。
遊馬:『反撃なし。そして、伏せカードはモンスターを含めて3枚…』
アストラル:『油断するな、遊馬。あの伏せカード、何かある』
遊馬:「あぁ、わーってるよ」
遊馬は、そう言って、次のターンを迎える。
3ターン
遊馬
LP4000
デニム
LP3100
遊馬:「俺のターン!」
遊馬はデッキからカードをドローし、手札が4枚になる。
遊馬:「俺は”ガガガマジシャン”を攻撃表示で召喚!」
遊馬の場に現れたのは主力カードの1枚でもあるガガガマジシャンだ。「ガガガ」と言って、フィールドに登場する。
ガガガマジシャン
LV4 攻撃力1500
遊馬:「永続魔法”ガガガ×ガガガ”を発動!自分フィールド上に存在するガガガモンスター1体を選択して発動!このカードは、選択した同じ属性、レベル、攻撃力、守備力を持つモンスターカードとなりフィールド上に特殊召喚する!」
遊馬の場に本体をコピーしたクローンのガガガマジシャンが現れる。
クローンのガガガマジシャン
LV4 攻撃力1500
アストラル:『これでレベル4のモンスターが2体。行けるぞ!遊馬!』
遊馬:「ああ!俺はレベル4のガガガマジシャン2体でオーバーレイ!!」
フィールドの中央に渦が現れ、ガガガマジシャンとクローンのガガガマジシャンが吸い込まれる。
遊馬:「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」
先ほどと同じで、渦は大爆発を起こし、今度は遊馬の最強モンスターが君臨する。
遊馬:「現れよNo.39!我が戦いはここより始まる。白き翼に望みを託せ。光の使者、”希望皇ホープ”!」
希望の力をわが身に宿す遊馬の最強エースモンスターが、ここに現れる!
No.39 希望皇ホープ
ランク4 攻撃力2500
遊馬:「バトルだ!希望皇ホープでリバースモンスターに攻撃!ホープ剣・スラッシュッ!!」
ホープは2本の剣を抜き、デニムの裏守備モンスターを斬り裂く。
そして、裏守備モンスター”幻想召喚師”を破壊した。
デニム:「この瞬間、リバースカード発動!”幻術洗脳”!自分フィールド上に存在する魔法使い族モンスターが戦闘によって破壊され、墓地へ送られたときに発動!相手フィールド上に存在するモンスター1体の攻撃力を1000ポイントアップさせてコントロールを得る!」
遊馬:「何!?」
ホープが破壊したモンスターは幻想召喚師。つまり、魔法使い族である。
デニム:「俺が選択するのは勿論、希望皇ホープ!!我が幻術に落ちるがいい!!」
幻術洗脳のカードから超音波が発せられ、ホープのコントロールを奪い、デニムのフィールドに立つ。
No.39 希望皇ホープ
攻撃力2500 → 3500
遊馬:「ホープ…」
アストラル:『油断するなと言ったはずだ』
遊馬:「あ、説教は後にしてくれ。デュエルは始まったばかり。まだ、勝負はわからないさ」
アストラル:『君は、いつも前向きな行動を取るな』
まあ、それが遊馬の良いところなんだが…。アストラルは、心の中でそう思った。
遊馬:「リバイスドラゴンを攻撃表示から守備表示に変更」
リバイスドラゴンの表示形式が変わる。
No.19 リバイス・ドラゴン
守備力0
遊馬:「ターンエンドだ」
遊馬は、奪われたホープを、そのままにしてターンを終えた。
デニム:「奪われたモンスターを取り返そうとはしないか?酷い主人だな。なら、こいつの力は俺が思う存分、引き出してやる」
遊馬:「やれるものなら、やってみろ。ナンバーズは、普通の人間が扱える代物じゃねえぞ」
デニム:「俺の幻術に落ちたものは、俺の言葉しか聞こえない。こいつは、もう俺のものだ。行くぞ!」
遊馬:「…」
デニムが次のターンを迎える。
4ターン
遊馬
LP4000
デニム
LP3100
デニム:「俺のターン、ドロー!」
デニムの手札が4枚になる。
デニム:「永続魔法”イッルジオーネ・エクシーズ”を発動!」
デニムが発動した永続魔法から超音波が発生し、その超音波を受けたリバイス・ドラゴンが目の色を変化させて、遊馬の場からデニムの場に移る。
No.17 リバイス・ドラゴン
守備力0
アストラル:『何…!リバイス・ドラゴンが!?』
リバイス・ドラゴンを奪われて驚愕するアストラルであった。
デニム:「イッルジオーネ・エクシーズは相手フィールド上に存在するエクシーズモンスター1体のコントロールを得ることができる。更にコントロールを得たエクシーズモンスターのランクによって、更なる効果を得る!」
遊馬:「リバイス・ドラゴンのランクは3…」
デニム:「ランク3のエクシーズモンスターのコントロールを奪ったときは、相手に1000ポイントのダメージを与える!」
デニムのカードによって洗脳されたリバイス・ドラゴンが、口から粒子を放って遊馬に当てる。
遊馬:「うっ」
遊馬
LP4000 → 3000
デニム:「リバイス・ドラゴンの表示形式を変更!」
No.17 リバイス・ドラゴン
攻撃力2000
遊馬から奪ったリバイス・ドラゴンの表示形式が守備表示から攻撃表示に変更された。
デニム:「リバイス・ドラゴンの効果は、オーバーレイネットワークを取り除くことで攻撃力が上がるようだな。なら、その効果を有効に使わせてもらおうか!リバイス・ドラゴンの効果発動!オーバーレイネットワークを一つ取り除き、リバイス・ドラゴンの攻撃力を500ポイントアップさせる!!」
遊馬のモンスターであるリバイス・ドラゴンを弄ぶデニム。
リバイス・ドラゴンのオーバーレイネットワークが2つから1つになった。
No.17 リバイス・ドラゴン
攻撃力2000 → 2500
遊馬:「攻撃力…2500…」
デニム:「俺の幻術に罹った者は、二度と幻術から目を覚ますことはない!リバイス・ドラゴンでダイレクトアタック!!」
リバイス・ドラゴンの口から粒子を放ち、遊馬を襲う。
遊馬
LP3000 → 500
遊馬:「ぐはっ!」
アストラル:『一気にライフを!次の攻撃が通れば、我々の負けだ…!』
デニムのフィールドには、前のターンにコントロールを奪われた希望皇ホープがいる。
残りライフ500。ホープの攻撃力2500。
当てれば、完全にライフは0一桁だ。
デニム:「終わりだ!四大神王者ロスト!希望皇ホープでダイレクトアタック!」
ホープは剣を抜き、遊馬に接近する。
デニム:「この勝負貰った!」
遊馬:「まだ、諦めないぜ!トラップ発動!”ナンバーズ・カバー”!」
謎の光が遊馬を守った。
デニム:「!?」
遊馬:「このカードはダイレクトアタックを宣言されたときに発動できるトラップカード!自分のエクストラデッキに存在するナンバーズと名の付くエクシーズモンスター1体を墓地へ送り、ダイレクトアタックを無効にする!!俺がエクストラデッキから送るモンスターは、”No.32 海咬龍シャーク・ドレイク”!」
遊馬を守る謎の光の正体は、サメの頭を持つ龍、海咬龍シャーク・ドレイクだった。
デニム:「命拾いしたか。俺はこれでターンエンド!」
デニムのターンが終了した。
5ターン
遊馬
LP500
デニム
LP3100
遊馬:「俺のターン、ドロー!」
遊馬がデッキからカードをドローする。
アストラル:『ホープとリバイス・ドラゴンを奪われ、絶体絶命だな』
遊馬:『いい展開じゃねえか。遊戯さんたちだったら、この状況を楽しんでいるだろうぜ』
2人はテレパシーで話し合う。
アストラル:『遊馬、敵の場には2体のナンバーズだ。ここは、ホープの効果を裏手に取って逆転を狙う』
遊馬:『そんなことを、お前に言われなくてもわかってるぜ』
遊馬はそう呟き、自分の手札を確認した。
遊馬:「俺は”ドドドバスター”を特殊召喚!」
遊馬の場に上級モンスターであるドドドバスターがリリースなしで召喚された。
遊馬:「このカードは、相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、レベルを6から4に下げることで手札から特殊召喚できる!」
ドドドバスター
LV6 → 4 攻撃力1900
デニム:「たかが、攻撃力1900のモンスターを出して、何ができる。そいつも、次の俺のターンで奪ってやる」
ドドドバスターを奪うことを宣言するデニムであった。
遊馬:「装備魔法”ドドドハンマー”を発動!自分フィールド上に存在するドドドモンスター1体に装備することで、攻撃力が500ポイントアップする!」
ドドドバスターに装備魔法が装備され、攻撃力がアップする。
ドドドバスター
攻撃力1900 → 2400
デニム:「攻撃力2400…、リバイス・ドラゴンの攻撃力を上回ったか」
遊馬:「ドドドバスターでリバイスドラゴンに攻撃!」
ドドドバスターは、手に持つ巨大なハンマーを振り上げ、リバイス・ドラゴンに近づく。
デニム:「俺の場には、貴様から奪ったホープがいることを忘れたか!希望皇ホープの効果発動!オーバーレイネットワークを一つ取り除き、ドドドバスターの攻撃を無効にする!」
ホープはバリアを展開し、ドドドバスターの攻撃を封じる。
No.39 希望皇ホープ
オーバーレイネットワーク2 → 1
デニム:「俺がホープの効果を見ていないとでも思ったか」
遊馬:「ドドドハンマーを装備したモンスターが、モンスター効果によって攻撃を無効にされたとき、手札を1枚墓地へ捨てることで、もう一度攻撃することができる!」
遊馬はラスト手札1枚のカードを墓地へ送り、更なる攻撃を仕掛ける。
ドドドバスターが、改めてリバイス・ドラゴンに攻撃を仕掛ける。
デニム:「どういうつもりかは知らないが、無駄だ!希望皇ホープの効果発動!オーバーレイネットワークを一つ取り除き、ドドドバスターの攻撃を無効にする!」
No.39 希望皇ホープ
オーバーレイネットワーク1 → 0
ホープは再びバリアを展開し、ドドドバスターの攻撃を無効にする。
遊馬:「俺は、これでターンエンドだ」
遊馬のターンが終了した。
デニム:「エースモンスターを奪われて、血が上ったか?無意味な攻撃を連続で続けるとはな。次のターンで終わらせる!」
デニムのターンが回ってきた。
6ターン
LP500
デニム
LP3100
デニム:「俺のターン!」
デニムがデッキからカードをドローする。
デニム:「希望皇ホープ!貴様の宿主に強烈な痛みを!ドドドバスターに攻撃!」
ホープがドドドバスターに攻撃を仕掛ける。
遊馬:「この瞬間、前のターン、ドドドハンマーの効果で墓地へ送った”タスケナイト”の効果発動!!」
ドドドハンマーの効果、つまりもう一度攻撃を仕掛けるときに墓地へ送ったカードだ。
遊馬:「このカードが墓地に存在し、自分の手札が0枚のとき、相手モンスターの攻撃宣言時に発動でき、このカードを墓地から特殊召喚し、バトルフェイズを終了する!」
遊馬の場に、赤い鎧を身につけ、背中に剣を背負った戦士が現れる。
タスケナイト
LV4 守備力100
デニム:「バトルフェイズを強制終了させるカード…。そんなものを墓地へ送っていたか。だが、俺の有利に変わりはない」
デニムは右手に1枚のカードを手に取る。
デニム:「幻想の中に眠れ!リバイス・ドラゴンをリリース!」
遊馬から奪ったリバイス・ドラゴンがフィールドから消える。
デニム:「来い!我が最強の幻術使い!”幻術霊界士グリダニア”!」
デニムの場に
幻術霊界士グリダニア
LV6 攻撃力2600
デニム:「このカードが召喚に成功したとき、自分はライフを1000ポイント支払う」
デニム
LP3100 → 2100
遊馬:「ライフを減らしてまで、モンスターを召喚…」
アストラル:『何かある…、気を引き締めた方がいいぞ、遊馬』
アストラルの言う通りだ。1000ポイントというライフを削ってまでモンスターを召喚するなど、滅多にない。
それだけ、リスクを負うほどの効果を持っているということだ。
デニム:「グリダニアはフィールド上に存在する限り、お互いに空いているモンスターゾーンは全て使用できなくなる!ノー・アベイラブル・ゾーン!!」
グリダニアはマントの中から黒い霧のようなものを放つ。
そして、遊馬もデニムも、お互いにモンスターゾーンは3つ空いている。
放たれた黒い霧は3つのモンスターゾーンに覆い被さった。
遊馬:「モンスターゾーンを収縮する効果を持っていたのかよ…!」
流石に、予想もつかない効果だ。
デニム:「リバースカード発動!永続トラップ”グリダニアの生命運河”!幻術霊界士グリダニアがフィールド上に存在するときのみ発動可能!このカードが存在する限り、相手はエンドフェイズ時に500ポイントのダメージを受ける!」
遊馬:「!」
デニム:「そうだ。ロスト、貴様のライフはわずか500。つまり、次のターンのエンドフェイズが回った瞬間の貴様のライフは0となるのだ!」
アストラル:『くっ』
デニム:「それだけじゃない。グリダニアの生命運河が存在するときに、幻術霊界士グリダニアが破壊されたとき、このカードを除外することで、相手に1000ポイントのダメージを与える。お前が何かを仕掛けてグリダニアを破壊すれば、その瞬間、貴様のライフは尽きる!お前は、何もすることができない!俺はこれでターンエンド!」
デニムのターンが終了した。
デニム:「俺の場は、万全だ。さあ、カードを引いて、自分の手で幕を下ろせ!」
挑発させているつもりか。馬鹿笑いして、デニムは言った。
7ターン
遊馬
LP500
デニム
LP2100
遊馬:「…」
遊馬は黙ってドローフェイズを迎え、デッキからカードをドローし、手札が1枚になる。
デニム:「終わりが見えて、言葉も出ないか?」
遊馬:「ドドドバスターに装備しているドドドハンマーの効果発動。このカードを墓地へ送ることで、デッキから2枚ドローする」
ドドドバスター
攻撃力2400 → 1900
遊馬はドドドバスターの攻撃力を下げてまでデッキからカードをドローする。
遊馬:「フッ」
デニム:「!?」
笑った…。この状況だと言うのに今¥、奴は笑った。
遊馬:「ドドドバスターで希望皇ホープに攻撃!」
ホープより、攻撃力の低いドドドバスターで攻撃を仕掛けるドドドバスター。
デニム:「遂にイカれたか!ドドドバスターの攻撃力は1900.ホープは2500。この攻撃が成立すれば、お前のライフは0だ!自滅を選ぶとはな!」
遊馬をバカにするデニム。
遊馬:「お前、ホープの効果をちゃんと読んだのか?」
デニム:「何…?は…!」
自分の場を見るデニム。どういうことだ…!ホープが消えて行く!
アストラル:『ホープのモンスター効果。オーバーレイネットワークが存在しないときに、攻撃対象に選択されたときに、ホープは自滅する!』
アストラルが独り言のように話した。
希望皇ホープが完全にデニムの場から消えた。
デニム:「そうか。前のターン、手札を減らしてまでわざわざ攻撃してきたのは、ホープのオーバーレイユニット0にするため…」
遊馬:「エースモンスターの弱点ぐらいは、しっかり理解しているつもりだぜ」
デニム:「くっ」
遊馬:「手札から速攻魔法”セメタリー・カオス・チェンジ”を発動!」
遊馬はバトルフェイズ中に速攻魔法を発動した。
遊馬:「自分の墓地に希望皇ホープが存在するとき、そのカードを素材に”CNo.39 希望皇ホープレイ”をエクストラデッキから特殊召喚する!!」
フィールド中央に次元の渦が現れ、そこから新たなモンスターが現れる。
遊馬:「現れよ、CNo.39!混沌を光に変える使者!希望皇ホープレイ!」
混沌の力を、光に変えて、希望皇ホープは生まれ変わって、遊馬の場に君臨した。
CNo.39 希望皇ホープレイ
ランク4 攻撃力2500
デニム:「カオス…ナンバーズだと…!」
遊馬:「更に速攻魔法”ワン・モア・タイム・エクシーズ”を発動!」
遊馬は新たな速攻魔法を発動した。
アストラル:『カード効果によって、エクシーズモンスターがエクストラデッキから特殊召喚された場合、自分フィールド上に存在するモンスターを素材にエクシーズ召喚を行う!』
遊馬:「俺はレベル4のドドドバスターとタスケナイトをオーバーレイ!」
ドドドバスターは特殊召喚するときにレベル6からレベル4になっていた。
遊馬:「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」
フィールド中央に現れた渦からダイヤモンドの甲羅を持つカニが現れる。
遊馬:「現れろ!”No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング”!」
新たなナンバーズが遊馬の場に現れる。
No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング
ランク4 攻撃力0
遊馬:「ホープレイの効果発動!オーバーレイ・チャージ!!」
ホープレイの力が溢れる。
遊馬:「ホープレイのオーバーレイユニットを1つ取り除き、ホープレイの攻撃力を500アップさせ、更に相手フィールド上に存在するモンスター1体の攻撃力を1000ダウンさせる!」
ホープレイの周りに浮かぶオーバーレイユニットが一つ消えた効果が発動した。
CNo.39 希望皇ホープレイ
攻撃力2500 → 3000
幻術霊界士グリダニア
攻撃力2600 → 1600
遊馬:「ホープレイで幻術霊界士グリダニアに攻撃!ホープ剣・カオススラッシュ!」
ホープレイは両手に剣を握り、更に隠していた2本の腕を展開し、背中に背負う大剣を抜いて、攻撃を仕掛ける。
デニム:「バカめ!このまま攻撃をすれば、グリダニアの生命運河の効果が発動し、貴様は1000ポイントを受けて、終わりだ!」
前のデニムのターンに発動したカードの効果だ。
奴は万全の対策を展開していた。
だが、それは、遊馬に通用しない。だから、遊馬は笑っていられるのだ。
遊馬:「速攻魔法”奇跡のホープスラッシュ”!希望皇ホープレイが攻撃するとき、エンドフェイズまでフィールド上に存在する永続魔法、永続トラップの効果は無効となる!」
デニム:「何!?」
つまり、永続トラップであるグリダニアの生命運河の効果は無効ということだ。
ホープレイは3本の剣で、幻術霊界士グリダニアを斬り裂いた。
デニム:「ぐわああ!」
デニム
LP2100 → 700
遊馬:「トドメだ!ダイヤモンド・クラブ・キングでダイレクトアタック!」
遊馬の場にあるもう1体のモンスターが攻撃を仕掛ける。
しかし…。
デニム:「そいつの攻撃力は0だ。ダメージはない!」
そう、ダイヤモンド・クラブ・キングに攻撃力はない。そんなモンスターで攻撃を仕掛けても、ダメージはない。
遊馬:「甘いな。ダイヤモンド・クラブ・キングの効果発動。オーバーレイユニットを一つ取り除くことで、ターン終了時まで、このカードの守備力を0にし、攻撃力を3000にする!」
ダイヤモンド・クラブ・キングの攻守の数値が入れ替わった。
No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング
守備力3000 → 0
攻撃力0 → 3000
デニム:「何だと…!?」
遊馬:「トドメだ!デニム!」
ダイヤモンド・クラブ・キングが、その固い腕をデニムにぶつける。
デニム:「ぐわああああ!」
デニム
LP700 → 0
デニムのライフが0になった。
デュエルは遊馬の勝利で決まりだ。
遊馬:「俺の勝ちだ。約束通り、ここは通らせてもらうぜ」
遊馬はデュエルに勝ったのだ。ここを通る権利がある。
まだ、ミッションは完了していない。
デニム:「まだだ。まだ終わりじゃない!」
デニムはデュエル開始前に懐に仕舞っていた幻術の力をパワーアップさせるワクチンが入った注射器を手元に出し、腕に打ち、ワクチンを体内に投入する。
遊馬:「!」
投入を終え空っぽになった注射器を投げ捨てるデニム。
デニム:「俺の幻術は四大神王者をも凌駕する!全ての力を解き放て!幻術霊界士グリダニア!!」
手に持った幻術霊界士グリダニアのカードが輝く。
デニム:「奴に、最高の暗闇を!!」
そのカードから黒いオーラが放たれ、辺りを包み込む。
遊馬:「随分と殺風景な幻術だな」
辺りは真っ暗。全然、何も見えない。
だが、辺り一体に、眼球が現れ、その眼球からビームが一斉に発射される。
ビームが遊馬に向かって集中攻撃すると、遊馬の右手の甲に紋章が浮かび上がる。
そう、エースのマークだ。
エースのマークは輝き、バリアを一面に張る。
そして…。
遊馬:「四大神王者を見くびるんじゃねえ…!」
暗闇の中で、解き放たれる威圧。
そして、遊馬からは何も見えていないが、デニムからは遊馬の姿が見える。
それが、裏目に出たのか、遊馬の目つきを見てビビり、幻術が解かれる。
デニムはその場で腰を落とす。
遊馬:「それでいい」
遊馬は黙って前へ進む。
遊馬:「あ、そうだ。最後に狂言と一緒にいたお前に聞くけどよ、バリアンについて何か聞いたことあるか?」
遊馬は隣に座り込むデニムに聞くが、当の本人の耳に遊馬の声は聞こえていないようだ。
遊馬:『聞くだけ無駄か』
遊馬はため息をついて、小組織ビジョン基地内に潜入する。
その頃、基地内は慌てていた。
基地内研究室およびワクチン製造室
ルーベンス:「急げ!証拠は全て消せ!」
ルーベンスは部下たちに指示を出し、今回の現況であるワクチンを全て回収した。
それに関する資料も処分した。
ルーベンス:「しまった…、部屋にワクチンデータが入ったメモリを…、くそっ!」
ルーベンスは最後の最後でドジを踏んだ。
今回のワクチンデータのメモリを部屋にある机の引き出しに入れたままだったことに気付いたルーベンスは、急いで部屋に向かう。
しかし、研究室の扉が開き、中に1人の男が入ってきた。
遊馬:「どーも、ビジョンの皆さん」
ルーベンス:「貴様…!デニムはどうした!」
遊馬:「外で尻餅ついてるぜ。それより、あんたらが持っている、それ。置いていってもらおうか。それが世界中にばら撒かれると、厄介なんだ」
ルーベンスの後ろにいる者たちは全員リュックを背負っている。
遊馬はお見通しのようだ。その中にワクチンが入っていることを…。
ルーベンス:「誰が置いて行くものか!これは、ビジョンの将来に必要なものだ!お前なんかにとやかくされるつもりはない!」
ルーベンスがそう言うと、部下たちは一斉に、ワクチンが入った注射器を出す。
しかし、遊馬はいきなり威圧を解き放った。
その威圧を感じたルーベンスを初め、部下たちはその手を止めた。
遊馬:「やめといたほうがいいぜ。これ以上は、痛い目に遭うからな」
遊馬は一歩ずつルーベンスに近づいて言った。
ルーベンスもまた、デニムと同じで尻餅をついた。
部下たちは手元に持った注射器を床に落とし、パリンパリンと連続で割れる音が部屋に響き渡る。
遊馬:「無理矢理力を上げたって、強くはなれないさ」
ルーベンスの足元に転がる注射器を、踏み割る遊馬。
遊馬はナディエージダを手元に出し、ワクチンを製造していたと思われる部屋に向かって、連続で弾丸を放った。
二度とワクチンが作られないようにするためだ。
遊馬は、次にビジョンのリーダーであるルーベンスの部屋に入ってきた。
部屋中の引き出しを開けて、何かを探す遊馬。
そして、見つけた。怪しいメモリを…。
遊馬は、そのメモリの中身を確認し、今回作られたワクチンのデータであることを確認した。
アストラル:『どうだ?やはり、危険なものか?』
遊馬:「あぁ、使い続ければ、神経を壊すワクチンだ。ワクチンに使われている成分は、過去に遊戯さんと解決した事件で見たことがある」
アストラル:『最悪の事態にならなくて済んだな』
遊馬:「そうだな」
遊馬はメモリを投げる。
そして、そのメモリにナディエージダの銃口を向けて、弾丸を放ちメモリを粉砕した。
遊馬:「ミッション完了。ずらかるとするか」
アストラル:『フロンティアに戻るのか?』
遊馬:「いや、独自でバリアンについて調査を続行する。元帥にもそう伝えて置いたからな」
任務を終えた遊馬は、ビジョンの基地を後にした。
その頃、デニムは今だに、遊馬の威圧にやられたときのショックで腰を抜かしていた。
すると、誰かがこちらに近づいてきた。
デニムの目線に、両足が見えた。
デニムは顔をゆっくりと上げる。
デニム:「お、お前は…」
デニムは目を丸くした。
デニムの前に現れた男は不気味な笑みをする。
その頃、ルーベンスは製造したワクチンを破壊されたことにショックを受けていた。
ルーベンスだけではない。ビジョンに所属する者たち全員が、座り込んでいた。
ルーベンス:「俺たちの夢は終わった。もう何もかも失った…。世界をコントロールすることなんか、所詮夢でしか見れないことか…」
ルーベンスが色々と呟いていると、部屋の扉が開いた。
???:「なら、そんな夢を見せてやろうか?永久に」
部屋の中に一人の男性が入ってきた。
ルーベンス:「……」
ルーベンスは、部屋に入ってきた男の顔を見る。
ハーヴェイ:「最も、二度と現実には戻って来れないことになるだろうがな」
見せびらかしているつもりか、胸毛が見えるようにワイシャツの上部のボタンを外していた。
ルーベンス:「お、お前は、世界勢力”天下八大王”の1人…!」
サイファーが持つ世界勢力の1つ”天下八大王”。
この男は、その天下八大王の1人に数えられている人物。
ハーヴェイ:「いい夢を見て、お休み。悲しい人間よ」
ハーヴェイ・ノヴァ。まだ、その力は謎である。
ハーヴェイは右掌を、ルーベンスの顔に近づける。
ルーベンス:「や、やめろ!やまてくれー!!」
基地内から、いろんな人の悲鳴が聞こえた。
そして、数時間後
中央裁判所の下につく、謎の集団”牢獄(プリズン)”の者たちが、ビジョンの基地に到着した。
何も言葉を話していないが、プリズンは目の前に倒れているデニムを見て、今の状況を確認する。
デニム:「ふはは…、そうだ…。俺の幻術こそ最強…。最強なのさ…。ははは…」
地面に倒れているデニムは、白目を向いて、呟いていた。
一方で、基地内にいるルーベンスたち全員も、白目を向きながら、倒れて色々と呟いていた。
ルーベンス:「世界をコントロールしている…。俺は…遂に世界を…手に入れたのだ……。ふははは」
呟いている言葉が、本人の意志ではなく操られているようにも見える。
そして、牢獄(プリズン)の1人が呟いた。
プリズン:「混沌たる世界に、ゴールはない。そしてスタートもない。戦いは新たな戦いを読むだけ…。そして、この男もまた、新たな火ぶたを切る引き金を引いてしまったようだ」
デニムを見て、そう呟いたプリズンの1人…。
多元世紀51年
ここでの出来事は永久に、世界に広がることはないだろう……
主題歌『僕クエスト《ゴールデンボンバー》』
人間界とは違う世界…。
赤に染められた実体を持たない一種のエネルギー世界、”バリアン世界”。
そこを統一する、あの存在が……。
???:「全てはバリアン世界のために…」
かつて、その身は封印され、更には滅び去ったはず…
だが、こいつは再び蘇ったのだ。地獄の底から…。
ドン・サウザンド:「始めよう。完全なる勝利を得るために!」
ドン・サウザンドが、遂に動き出す!!!!!
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